タイトル:【塩】 餌付け(mayスレ投下スク)
ファイル:塩保管スク[jsc0222.txt]
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:1908 レス数:7
初投稿日時:2007/04/09-01:54:34修正日時:2007/04/09-01:54:34
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このスクは[実装石虐待補完庫(塩保)]に保管されていたものです。
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公園の野良実装親子と仲良くなった。 切欠はある日の昼休み、公園の日光の下で弁当を食べようと思ったことだった。 ベンチに座って弁当をぱくついていると、後ろの草むらで草を掻き分ける音と、「デスー」という鳴き声がした。 昼休みが終わるにはまだ時間があったし、僕は好奇心から草むらに入っていった。 しばらく進んでいくと奥の方の木の下で、野良実装親仔が日向ぼっこをしていた。 木の陰にはダンボールが見えるから、ここに住み着いている野良実装だろう。 「デ!デシャァァァァァ!」 「テチィー!?」 「テェェェ・・・」 「テチ・・・テチィ・・・」 親実装は僕を見ると盛大に威嚇を始め、怯えた仔実装三匹は親実装の影に隠れた。 別に苛めに来たわけじゃない。 僕は敵意がないことを証明するために、弁当の食い残しの唐揚げを放り投げた。 「テ!」 仔実装達の視線が転がる唐揚げに集中した。 親実装は警戒を解かない。 一匹の仔実装が親実装の背中から抜け出し、唐揚げにふらふらと吸い寄せられていった。 「デェェェェ!?」 親実装が急いで唐揚げを持った仔実装に走りより、仔実装を抱え上げた。 「あ、待てよ!」 親実装は三匹を連れ、ダンボールハウスに逃げこんでしまった。 扉を閉じて、寄り付く島もない。 仕方なく、その日はそれで終わった。 次の日、僕は再び弁当を持って公園に向かった。 今度はベンチではなく、野良実装のダンボール前で食べることにした。 昨日の今日で、野良実装は警戒したらしく、僕が現れる前にはダンボールに既に閉じこもっていた。 弁当をわざとらしく食べる。 チンしたばかりだから、温かいうまそうな弁当の匂いは箱の中にまで届いているだろう。 箱の中から仔実装の視線を感じる。 半分ぐらい食べたところで、仔実装の興奮した鳴き声が聞こえてきた。 突然、ダンボールの扉が開き、一匹の仔実装が飛び出してきた。 飛び出してきた仔実装は前のめりに倒れて、ダンボールを泣きながらポスポス叩き始めた。 「テェェェェェェン!テェェェェェェ〜ン!」 どうやらこの仔実装は親実装に追い出されたらしい。 我侭言う仔はうちの仔じゃありません、ということだろうか。 僕は泣く仔の傍に、唐揚げの欠片を投げてやった。 「テェェェェン・・・テェ?」 仔実装はテチーンと唐揚げに飛びついた。 この様子からして、昨日唐揚げをゲットした仔実装かもしれない。 仔実装はムグムグと唐揚げを咀嚼して飲み込み、げっぷを一つした。 僕は仔実装においでおいでと手で合図をする。 仔実装は合図を飲み込んで、僕の元までやって来た。 今度は唐揚げを一個、丸ごとくれてやる。 この唐揚げ弁当に三つしかついていない唐揚げのうちの一つだ。 仔実装はその場で食べ始めるかと思ったら、唐揚げを抱えてふらふらとダンボールに向かっていった。 先程は閉まっていた扉がすんなり開き、仔実装は箱の中に消えた。 次の日、前日の仔実装は弁当を広げるとすんなり出てきた。 見たところ怪我もなく元気そうに鳴いている。 親実装に折檻されたり間引きを受けていないかと心配していたので、僕はホッとした。 そんな風な感じで、僕は時間をかけて野良実装親仔を餌付けしていった。 箱から出てくる仔実装が一匹から二匹になり、二匹から三匹になり、遂に親実装も引きずり出すことに成功した。 二週間後には親仔揃って僕を出迎えるまでになった。 「デスー」 「テチー」 「テチャー」 「テッチュ〜ン」 三匹の仔実装が、僕の足に纏わりつく。 仔実装を踏み潰しかねないので動けないでいると、親実装が僕の靴から仔実装を引き剥がしていく。 弁当の袋をガサガサ言わせると、親実装の目まで輝き出す。 大盛りにした弁当から、蓋の上に中身を小分けして差し出すと、野良実装親仔は勢いよく食べ始めた。 空になった弁当箱を差し出すと、仔実装は箱まで舐めた。 食い終わった後、仔実装が僕があげたカラーボールを持ってきて、遊んでくれとせがんでくる。 時間の許す限り、僕は仔実装たちと遊んでやった。 ボールを投げたち、高く持ち上げたち、撫でてやると仔実装はとても喜んだ。 会社に帰る時間になると、仔実装が名残惜しそうに僕を見送る。 昼休みは僕の憩いの時間となった。 野良実装親仔と昼休み限定の、良い関係が出来たと思う。 僕には一時の癒しを、親仔にはご飯と遊び相手を。 それに僕がいる間は敵の多い野良実装も、安全な時間を過ごすことができる。 聞いた話では、公園のまばらな木々の生え方はサバンナに似ているらしい。 人間の故郷のサバンナに似た風景が、人に癒しを与えるという。 黒板を爪で引っかいたときの音が不快に感じられるのは、人が猿だったときの警戒音と似ているためだそうだ。 どこか本能の隅の方に残っているのだろう。 公園のベンチに座ってボーっとしているとホッとする。 僕と一緒でない23時間を、野良実装親仔は公園でどう過ごしているのだろうか。 弱肉強食の公園というサバンナには猫という猛獣や、猛禽類のカラス、歯の鋭く素早い鼠、それに人間という巨人が徘徊している。 それに同属の実装石も味方ではない。 それらの目を掻い潜りつつ餌を集めて仔を育てるのは並大抵の事ではないだろう。 仔実装が成体になる確率はものすごく低いというのも頷ける。 僕は次第に一匹ぐらい飼ってもいいかな・・・と思うようになっていった。 都会の一人暮らしは寂しい物だ。 ただ会社とアパートを往復する毎日で、家に帰っても誰もいない。 この野良仔実装は見たところいつも小奇麗だし、飼い実装として合格なのではないだろうか。 親実装は「飼え!」なんて直接言ったりしないが、たまにもじもじして何か僕に言いたげなときがある。 休みが明けたら仔実装を一匹預からせてくれないか、と聞いてみよう。 名前も付けて、可愛い服を着せてやったりしたら、仔実装の奴泣いて喜ぶだろうな。 僕はニヤニヤしながら月曜日になるのを待った。。 週明けの月曜日、いつものように公園の草むらに入り、声をかけた。 「よう、元気してたかー?」 いつもなら休みの間会えなくて、寂しがっていた仔実装達が嬌声を上げて足元に走り寄ってくるはずだった。 弁当の袋を親実装に見せると、あいつらの目が輝き出す。 しかし、野良実装親仔はそこにはいなかった。 あるのはボロボロになったダンボールのみ。 四角く綺麗なダンボールはボコボコに潰されてひっくり返っていた。 何者かに襲われたのは明白だった。 先週のダンボールはまだまだ使える状態だったのだ。 引っ越すなら持って行けばいいのだし、ボロボロにすることもない。 しばらく探してみたけれど、親仔を見つけることは出来なかった。 一週間通っても、親仔は戻ってこなかった。 打ち捨てられたダンボールを見るたびに、暗い気持ちになる。 もうここには来ないようにしよう、帰ろうとすると後ろから鳴き声が聞こえた。 「テェェェ・・・」 振り向くと、倒れたダンボールが揺れていた。 「生きてたのか!」 箱に駆け寄ると、中から仔実装が這い出てきた。 「テェェ・・・」 仔実装を見て、言葉を失った。 仔実装は髪も服もない禿裸。 全身青あざだらけで、左目と右腕がなかった。 右腕の根元は焼き潰されているらしい。 火傷のケロイドが痛々しい。 これがあの仔実装だろうか? 「テェェェェェエエェェェェエエエエエエエエ!」 僕を見ると、仔実装は大声で叫んだ。 足元に駆け寄り、靴に縋りついてくる。 間違いない、あの仔実装のうちの一匹だ。 「あ、おい・・・」 「テギャアアアアアア!」 泣き喚きながら、靴に覆いかぶさる。 箱の中を見ると、そこには変わり果てた親実装と仔実装二匹がいた。 足元を見ると、靴の仔実装が触ったところが汚れている。 仔実装は泥と糞まみれだ。 思わず僕が一歩下がると、仔実装は前のめりに倒れた。 「テェッ!?テェッ!?」 仔実装は急いで起き上がり、再び僕にしがみつく。 (よせ、よせよ!) 僕は心の中で言った。 仔実装は人間に虐待されたのだろう。 なんでこんなに酷い真似が出来るのか、僕には全く理解できない。 こんなことをした奴に怒りを感じる。 感じる一方・・・ 「テェェェェェェェェェェェェェェン!!」 仔実装の鳴き声は激しくなる一方だ。 だが、この仔実装に優しくするわけにはいかない。 もしかすると、手当てしたら回復するかもしれない。 目に見える傷も消え、心の傷も癒えるかもしれない。 しかし、それには大変な手間がかかることだろう。 もしこのまま会社に持っていったら、仔実装は知らない人間に怯えて泣き喚き、仕事にならないだろう。 どこか安全な場所に置き、家に連れて行って綺麗に洗う。 傷の手当てをして寝かせつける。 それから・・・僕は仔実装に悩まされることになる。 夢に怯えて夜鳴きするかもしれない、会社に行くのを泣いて邪魔するかもしれない、もう僕を含めた人間に懐かないかもしれない。 僕は僕を煩わせる仔実装に次第に憎悪を抱くことになる。 なんで僕がこんな目に・・・なぜこいつは泣き止まないのか・・・ それは僕が望んでいた仔実装との共同生活とはかけ離れた物だ。 僕らは昼休み限定の関係だからうまくやっていけたんだ。 親実装は飼えだの言って、僕を困らせなかった。 だから仔実装、おまえも親実装のように賢くなれ。 頼るものが世界中で僕しかいないとしても、それは遠慮して欲しい。 僕には責任を持って、この仔実装を最後まで飼うのは無理だ。 僕に見放されたら死が待っているとしても。 僕は後ろを向いて歩き出した。 「テェ!?テェェェェェ!?」 仔実装は僕が前のように優しく撫でてくれると思っていたか、泣いて付いてくる。 きっとあのニンゲンなら、傷をを癒し、暖かい寝床とご飯をくれるはず・・・ 仔実装はズボンの裾を片方しかない手で必死に掴み、僕を引きとめようと踏ん張った。 体の軽い仔実装は簡単に引きずられ、傷だらけの体で前のめりに転がった。 「テ、テ、テ、テギュアアアアアアアアアアアアアアア!」 仔実装はものすごい鳴き声をあげる。 このまま草むらから出たら、僕が仔実装と虐待したというあらぬ疑いを受けるかもしれない。 まだ手をつけていない弁当を開ける。 ガサガサという音に、仔実装が敏感に反応した。 「ほら仔実装、唐揚げだ」 「テ、テチュ〜ン♪テチュ〜ン♪」 媚びる仔実装に唐揚げを見せつけ、ダンボールの方に投げてやった。 転がるから揚げを追いかける仔実装。 片手でバランス悪く、よたよた仔実装は走る。 仔実装の痩せた背中に、細い縦線が見えた。 偽石を摘出されたとしたら、ますます飼うわけにはいかない。 いつ殺されるかわかったものではない。 「テェ♪テェ♪テェ♪」 僕は唐揚げにむしゃぶりつく仔実装を残して茂みから出た。 「テェェェェェェェェェェェェェーーー!!」 茂みから大分離れたところまで歩くと、仔実装が茂みから飛び出してきた。 僕を探してギョロギョロ辺りを見回している。 仔実装はサラリーマンやOLを僕と勘違いして近寄り、悲鳴を上げて逃げ惑う。 「テェェェェェン!テギャァァァァァァ!」 「何あれー」 「うわっ、気持ち悪っ!」 昼下がりの公園を走り回る傷だらけの仔実装の姿は異様だった。 助けを求める仔実装に誰も手を差し伸べず、遠巻きに見るだけだ。 そのうち疲れきったのか、仔実装は道の真ん中で座り込んでしまった。 「テェェェェン!テェェェェェン!」 泣いている仔実装の周りに数人が集まり、指をさしてひそひそ話し合う。 「ェェェェェ・・・ェェ!?テェエエ!?」 仔実装は知らない人間がどう見えるのだろう。 そのうち人垣で仔実装は見えなくなり、声だけが聞こえた。 丸い円の中から脱出できずに泣いてやしないだろうか。 「アアアアアアアアアアアァァァァァァァ!」 公園の出口に向かって歩き出す。 仔実装の声が遠のいていく。 僕は最後にもう一度振り返った。 野次馬が減っても、仔実装はまだその場に座り込んで泣いていた。 以後、僕は公園には寄り付かなくなった。公園の野良実装親子と仲良くなった。 切欠はある日の昼休み、公園の日光の下で弁当を食べようと思ったことだった。 ベンチに座って弁当をぱくついていると、後ろの草むらで草を掻き分ける音と、「デスー」という鳴き声がした。 昼休みが終わるにはまだ時間があったし、僕は好奇心から草むらに入っていった。 しばらく進んでいくと奥の方の木の下で、野良実装親仔が日向ぼっこをしていた。 木の陰にはダンボールが見えるから、ここに住み着いている野良実装だろう。 「デ!デシャァァァァァ!」 「テチィー!?」 「テェェェ・・・」 「テチ・・・テチィ・・・」 親実装は僕を見ると盛大に威嚇を始め、怯えた仔実装三匹は親実装の影に隠れた。 別に苛めに来たわけじゃない。 僕は敵意がないことを証明するために、弁当の食い残しの唐揚げを放り投げた。 「テ!」 仔実装達の視線が転がる唐揚げに集中した。 親実装は警戒を解かない。 一匹の仔実装が親実装の背中から抜け出し、唐揚げにふらふらと吸い寄せられていった。 「デェェェェ!?」 親実装が急いで唐揚げを持った仔実装に走りより、仔実装を抱え上げた。 「あ、待てよ!」 親実装は三匹を連れ、ダンボールハウスに逃げこんでしまった。 扉を閉じて、寄り付く島もない。 仕方なく、その日はそれで終わった。 次の日、僕は再び弁当を持って公園に向かった。 今度はベンチではなく、野良実装のダンボール前で食べることにした。 昨日の今日で、野良実装は警戒したらしく、僕が現れる前にはダンボールに既に閉じこもっていた。 弁当をわざとらしく食べる。 チンしたばかりだから、温かいうまそうな弁当の匂いは箱の中にまで届いているだろう。 箱の中から仔実装の視線を感じる。 半分ぐらい食べたところで、仔実装の興奮した鳴き声が聞こえてきた。 突然、ダンボールの扉が開き、一匹の仔実装が飛び出してきた。 飛び出してきた仔実装は前のめりに倒れて、ダンボールを泣きながらポスポス叩き始めた。 「テェェェェェェン!テェェェェェェ〜ン!」 どうやらこの仔実装は親実装に追い出されたらしい。 我侭言う仔はうちの仔じゃありません、ということだろうか。 僕は泣く仔の傍に、唐揚げの欠片を投げてやった。 「テェェェェン・・・テェ?」 仔実装はテチーンと唐揚げに飛びついた。 この様子からして、昨日唐揚げをゲットした仔実装かもしれない。 仔実装はムグムグと唐揚げを咀嚼して飲み込み、げっぷを一つした。 僕は仔実装においでおいでと手で合図をする。 仔実装は合図を飲み込んで、僕の元までやって来た。 今度は唐揚げを一個、丸ごとくれてやる。 この唐揚げ弁当に三つしかついていない唐揚げのうちの一つだ。 仔実装はその場で食べ始めるかと思ったら、唐揚げを抱えてふらふらとダンボールに向かっていった。 先程は閉まっていた扉がすんなり開き、仔実装は箱の中に消えた。 次の日、前日の仔実装は弁当を広げるとすんなり出てきた。 見たところ怪我もなく元気そうに鳴いている。 親実装に折檻されたり間引きを受けていないかと心配していたので、僕はホッとした。 そんな風な感じで、僕は時間をかけて野良実装親仔を餌付けしていった。 箱から出てくる仔実装が一匹から二匹になり、二匹から三匹になり、遂に親実装も引きずり出すことに成功した。 二週間後には親仔揃って僕を出迎えるまでになった。 「デスー」 「テチー」 「テチャー」 「テッチュ〜ン」 三匹の仔実装が、僕の足に纏わりつく。 仔実装を踏み潰しかねないので動けないでいると、親実装が僕の靴から仔実装を引き剥がしていく。 弁当の袋をガサガサ言わせると、親実装の目まで輝き出す。 大盛りにした弁当から、蓋の上に中身を小分けして差し出すと、野良実装親仔は勢いよく食べ始めた。 空になった弁当箱を差し出すと、仔実装は箱まで舐めた。 食い終わった後、仔実装が僕があげたカラーボールを持ってきて、遊んでくれとせがんでくる。 時間の許す限り、僕は仔実装たちと遊んでやった。 ボールを投げたち、高く持ち上げたち、撫でてやると仔実装はとても喜んだ。 会社に帰る時間になると、仔実装が名残惜しそうに僕を見送る。 昼休みは僕の憩いの時間となった。 野良実装親仔と昼休み限定の、良い関係が出来たと思う。 僕には一時の癒しを、親仔にはご飯と遊び相手を。 それに僕がいる間は敵の多い野良実装も、安全な時間を過ごすことができる。 聞いた話では、公園のまばらな木々の生え方はサバンナに似ているらしい。 人間の故郷のサバンナに似た風景が、人に癒しを与えるという。 黒板を爪で引っかいたときの音が不快に感じられるのは、人が猿だったときの警戒音と似ているためだそうだ。 どこか本能の隅の方に残っているのだろう。 公園のベンチに座ってボーっとしているとホッとする。 僕と一緒でない23時間を、野良実装親仔は公園でどう過ごしているのだろうか。 弱肉強食の公園というサバンナには猫という猛獣や、猛禽類のカラス、歯の鋭く素早い鼠、それに人間という巨人が徘徊している。 それに同属の実装石も味方ではない。 それらの目を掻い潜りつつ餌を集めて仔を育てるのは並大抵の事ではないだろう。 仔実装が成体になる確率はものすごく低いというのも頷ける。 僕は次第に一匹ぐらい飼ってもいいかな・・・と思うようになっていった。 都会の一人暮らしは寂しい物だ。 ただ会社とアパートを往復する毎日で、家に帰っても誰もいない。 この野良仔実装は見たところいつも小奇麗だし、飼い実装として合格なのではないだろうか。 親実装は「飼え!」なんて直接言ったりしないが、たまにもじもじして何か僕に言いたげなときがある。 休みが明けたら仔実装を一匹預からせてくれないか、と聞いてみよう。 名前も付けて、可愛い服を着せてやったりしたら、仔実装の奴泣いて喜ぶだろうな。 僕はニヤニヤしながら月曜日になるのを待った。。 週明けの月曜日、いつものように公園の草むらに入り、声をかけた。 「よう、元気してたかー?」 いつもなら休みの間会えなくて、寂しがっていた仔実装達が嬌声を上げて足元に走り寄ってくるはずだった。 弁当の袋を親実装に見せると、あいつらの目が輝き出す。 しかし、野良実装親仔はそこにはいなかった。 あるのはボロボロになったダンボールのみ。 四角く綺麗なダンボールはボコボコに潰されてひっくり返っていた。 何者かに襲われたのは明白だった。 先週のダンボールはまだまだ使える状態だったのだ。 引っ越すなら持って行けばいいのだし、ボロボロにすることもない。 しばらく探してみたけれど、親仔を見つけることは出来なかった。 一週間通っても、親仔は戻ってこなかった。 打ち捨てられたダンボールを見るたびに、暗い気持ちになる。 もうここには来ないようにしよう、帰ろうとすると後ろから鳴き声が聞こえた。 「テェェェ・・・」 振り向くと、倒れたダンボールが揺れていた。 「生きてたのか!」 箱に駆け寄ると、中から仔実装が這い出てきた。 「テェェ・・・」 仔実装を見て、言葉を失った。 仔実装は髪も服もない禿裸。 全身青あざだらけで、左目と右腕がなかった。 右腕の根元は焼き潰されているらしい。 火傷のケロイドが痛々しい。 これがあの仔実装だろうか? 「テェェェェェエエェェェェエエエエエエエエ!」 僕を見ると、仔実装は大声で叫んだ。 足元に駆け寄り、靴に縋りついてくる。 間違いない、あの仔実装のうちの一匹だ。 「あ、おい・・・」 「テギャアアアアアア!」 泣き喚きながら、靴に覆いかぶさる。 箱の中を見ると、そこには変わり果てた親実装と仔実装二匹がいた。 足元を見ると、靴の仔実装が触ったところが汚れている。 仔実装は泥と糞まみれだ。 思わず僕が一歩下がると、仔実装は前のめりに倒れた。 「テェッ!?テェッ!?」 仔実装は急いで起き上がり、再び僕にしがみつく。 (よせ、よせよ!) 僕は心の中で言った。 仔実装は人間に虐待されたのだろう。 なんでこんなに酷い真似が出来るのか、僕には全く理解できない。 こんなことをした奴に怒りを感じる。 感じる一方・・・ 「テェェェェェェェェェェェェェェン!!」 仔実装の鳴き声は激しくなる一方だ。 だが、この仔実装に優しくするわけにはいかない。 もしかすると、手当てしたら回復するかもしれない。 目に見える傷も消え、心の傷も癒えるかもしれない。 しかし、それには大変な手間がかかることだろう。 もしこのまま会社に持っていったら、仔実装は知らない人間に怯えて泣き喚き、仕事にならないだろう。 どこか安全な場所に置き、家に連れて行って綺麗に洗う。 傷の手当てをして寝かせつける。 それから・・・僕は仔実装に悩まされることになる。 夢に怯えて夜鳴きするかもしれない、会社に行くのを泣いて邪魔するかもしれない、もう僕を含めた人間に懐かないかもしれない。 僕は僕を煩わせる仔実装に次第に憎悪を抱くことになる。 なんで僕がこんな目に・・・なぜこいつは泣き止まないのか・・・ それは僕が望んでいた仔実装との共同生活とはかけ離れた物だ。 僕らは昼休み限定の関係だからうまくやっていけたんだ。 親実装は飼えだの言って、僕を困らせなかった。 だから仔実装、おまえも親実装のように賢くなれ。 頼るものが世界中で僕しかいないとしても、それは遠慮して欲しい。 僕には責任を持って、この仔実装を最後まで飼うのは無理だ。 僕に見放されたら死が待っているとしても。 僕は後ろを向いて歩き出した。 「テェ!?テェェェェェ!?」 仔実装は僕が前のように優しく撫でてくれると思っていたか、泣いて付いてくる。 きっとあのニンゲンなら、傷をを癒し、暖かい寝床とご飯をくれるはず・・・ 仔実装はズボンの裾を片方しかない手で必死に掴み、僕を引きとめようと踏ん張った。 体の軽い仔実装は簡単に引きずられ、傷だらけの体で前のめりに転がった。 「テ、テ、テ、テギュアアアアアアアアアアアアアアア!」 仔実装はものすごい鳴き声をあげる。 このまま草むらから出たら、僕が仔実装と虐待したというあらぬ疑いを受けるかもしれない。 まだ手をつけていない弁当を開ける。 ガサガサという音に、仔実装が敏感に反応した。 「ほら仔実装、唐揚げだ」 「テ、テチュ〜ン♪テチュ〜ン♪」 媚びる仔実装に唐揚げを見せつけ、ダンボールの方に投げてやった。 転がるから揚げを追いかける仔実装。 片手でバランス悪く、よたよた仔実装は走る。 仔実装の痩せた背中に、細い縦線が見えた。 偽石を摘出されたとしたら、ますます飼うわけにはいかない。 いつ殺されるかわかったものではない。 「テェ♪テェ♪テェ♪」 僕は唐揚げにむしゃぶりつく仔実装を残して茂みから出た。 「テェェェェェェェェェェェェェーーー!!」 茂みから大分離れたところまで歩くと、仔実装が茂みから飛び出してきた。 僕を探してギョロギョロ辺りを見回している。 仔実装はサラリーマンやOLを僕と勘違いして近寄り、悲鳴を上げて逃げ惑う。 「テェェェェェン!テギャァァァァァァ!」 「何あれー」 「うわっ、気持ち悪っ!」 昼下がりの公園を走り回る傷だらけの仔実装の姿は異様だった。 助けを求める仔実装に誰も手を差し伸べず、遠巻きに見るだけだ。 そのうち疲れきったのか、仔実装は道の真ん中で座り込んでしまった。 「テェェェェン!テェェェェェン!」 泣いている仔実装の周りに数人が集まり、指をさしてひそひそ話し合う。 「ェェェェェ・・・ェェ!?テェエエ!?」 仔実装は知らない人間がどう見えるのだろう。 そのうち人垣で仔実装は見えなくなり、声だけが聞こえた。 丸い円の中から脱出できずに泣いてやしないだろうか。 「アアアアアアアアアアアァァァァァァァ!」 公園の出口に向かって歩き出す。 仔実装の声が遠のいていく。 僕は最後にもう一度振り返った。 野次馬が減っても、仔実装はまだその場に座り込んで泣いていた。 以後、僕は公園には寄り付かなくなった。

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1 Re: Name:匿名石 2023/08/11-22:09:54 No:00007770[申告]
仔実装可哀想…
2 Re: Name:匿名石 2023/08/14-21:23:36 No:00007778[申告]
餌付けするなら拾ってやって最後まで面倒を見るべきなんだよねぇ
3 Re: Name:匿名石 2023/08/15-14:49:45 No:00007783[申告]
偽石抜きは大抵延命のためだし抜くのも視点人物だからあんまり怖い行為ってイメージなかったけどこのシチュエーションだと恐ろしさがよくわかる…
4 Re: Name:匿名石 2023/08/15-15:23:34 No:00007784[申告]
良い話だ…どこにも救いがない
5 Re: Name:匿名石 2024/01/03-16:43:07 No:00008583[申告]
もしかしたら主人公と実装一家が仲良くして幸せそうだったから目をつけられたのかね
最後の野次馬の中に犯人がニヤニヤして見てそうとか妄想した
6 Re: Name:匿名石 2024/01/03-23:27:58 No:00008584[申告]
間引きや偽石や厚かましさ、聞き齧ったように微妙に詳しい男が軽率に手懐けているプロセスを別の意味で頃合いを見ていた者はいたのかも知れない
リリースの仕方がどうにも怪しいのよね
7 Re: Name:匿名石 2025/07/02-05:38:36 No:00009733[申告]
野良に餌付けするような無責任なカス
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