このスクは[実装石虐待補完庫(塩保)]の[[スクあぷろだup0181-1267]に保管されていたものです。グレートマザー ある一匹の実装石が公園の公衆便所で初めての出産を迎えていた。 「デェ〜〜スゥ〜〜〜!!」 和式の便器の中にどっぷりと腰を下ろし、糞をするときと同じ要領で力む。お馴染みのスタイルだ。 30分ほど力んだあと堰を切ったようにポロポロと総排泄肛から粘膜に包まれた仔実装たちがでてくる。 その数6匹、奇形や蛆もいない全く健康な仔実装たちだ。 本能に突き動かされるように仔実装たちの粘膜をきれいになめとってやる。 疲れながらもその顔はうれしさに満ちていた。 彼女の名はペヘ、後にグレートマザーと呼ばれる実装石である。 『おまえたちはワタシの宝物デスゥ…… 立派に育つデス。』 「テッチュー♪」 だがその願いは満たされることはなかった。 ペヘは大きなミスを犯していた。出産をすませたらすぐに自分の巣に戻るべきであった。 これは出産経験が豊富な野良実装であれば常識中の常識のようなものであったが、ペヘにはそれはわからなかった。 ペヘは生まれた子をすぐに連れ帰らず、その場でかわいがりつづけていたのである。 『デッスーン、デッスーン。今日は美味しい生まれたての仔実装が食べたいデッスーン♪』 その常識の訳、それは同族による仔食いの危険性である。 出産は水場でなければならないが出産は体力を大幅に消耗する。また巣にもどるときは子供を抱えるため無防備になりやすい。 このため生まれてすぐに食われて死ぬ仔実装は珍しくはなかった。 ぺへの子もまたそうであった。 トイレのドアがきしみながら見慣れない実装石がトイレの中に入り込んできた。 『仔実装発見デスゥ♪』 「……デゲェ!?!?」 このときやっとペヘの頭に仔食いに注意しなくてはという考えがうかんできた。 だがもう注意するというレベルではなかった。目の前でよだれを垂らしながら近づいてくるのである。 『あ、あっち行くデスゥ!!!』 『仔実装ウマソウデスゥ……』 ペヘは出産の疲労と実装石への恐怖から腰が抜けてたてなかった。 それを確認した実装石はゆっくりと便器の中でじたばたしているペヘに近づき状況がわかってない仔実装を一匹抱き上げた。 「テッチー♪」 『や、やめるデスゥ!!!!!』 そして喜んでいる仔実装を足からあんぐりと腰あたりまで口にいれ、ゆっくりとかみしめた。 「テチャーーーッ!?!?!?!?」 『うまいデスゥ…… 親に見せつけながらだととってもうまいデスゥ♪』 ぺろりと一匹目を平らげ2匹目を取り上げる。今度の仔実装はさすがにいやがる。 『ワタシの子供を食べるなデスゥ!!!』 『大丈夫デスゥ、子供なんて何度でも簡単に作れるデス。』 3匹目に取りかかりながら興味深い話をはじめる。 『ワタシたち実装石はショクモツレンサの中で下の方に位置するデス。 だから子供を残して行くにはいっぱい子供を産まないといけないデス。 そして子供はケツに花をつっこめばすぐに作れるデス。』 『ほ、本当デス?』 『本当デス。』 そうこうしているうちに4匹目もたべられてしまう。 そして実装石はのこりの2匹を抱えてこういった。 『それじゃぁ、コイツらは授業料でもらっていくデス。』 『デェ!?!?! まつデス!! それはあんまりデスゥ!!!!』 こうして初めての子供はすべてどこの誰かもわからない実装石にたべられてしまった。 しかしぺへの中には奇妙な使命感が生まれていた。 『子供をいっぱい作るデス…… 子供をいっぱい作って幸せになるデス……』 ぺへはあの実装石の言うとおりに妊娠し、今度は無事に5匹の子を産んだ。 毎日餌探しに子供の面倒と忙しかったが幸せだった。 だが気がかりなこともある。長女のクピのことである。 ほかの姉妹をはねのけて乳を吸いに来たし、言うこともほとんど聞かない。 またふざけながらもほかの姉妹を怪我させることが多かった。 育児経験の豊富な実装石であれば即間引き対象となる仔であったが間引きをするという子とをペヘは知らなかった。 『それじゃぁ、ママはご飯探しにいってくるからみんなでいい子にしてるデス。』 「「「「テッチュー♪」」」」 今日も子供たちのためにご飯を取りに行く。最近はちょっと遠出して繁華街のゴミ捨て場がお気に入りのようだ。 だがこの間、巣のダンボールの中ではクピの天下であった。 『きょうもペプを叩いて遊ぶテチ!』 「テヒッ……」 『クピ、もうやめるテチ。ママにばれたらきっと捨てられちゃうテチ。』 『テプ…… 今日はオマエが叩かれたいみたいテチ。みんなやっちまうテチ!!』 『なんでそうなるテチ!?ペプもやめるてギャァァ!!!!』 四女のテプがクピに意見したため目の敵にされ五女のペプ、次女のペキ、三女のピミが襲いかかる。 そしてペキが勢いあまってテプの首をかみ切ってしまった。 首をかみ切られたテプはピクピクと宙を掻くように腕をすこし動かした後ぱたりと動かなくなってしまった。 『テプおねちゃん?どうしたテチ?』 『このバカ、死んでしまったテチ。』 『『『し、しんだテチ!?!?』』』 『テプププ…… でも大丈夫テチ、このクプにいい考えがあるテチ。』 クプは悪知恵がはたらく糞虫仔実装であった。 巣に帰ってきたペヘは入り口で血を流して倒れているテプを見て持って帰ってきたご飯を抱えたまま真っ青になっていた。 『ママ〜!!!』 そんなぺへに真っ先に抱きついてきたのはクプである。 『ママ!!ママ!!テプがね!!テプがね!!』 涙ながらにクプがぺへに昼間あったことを偽る。 巣の中で遊んでいたら知らない仔実装がやってきてテプが噛みつかれてしまった。 驚いて必死に追い返したがテプが動かなくなってしまった。 『怖かったデス。でももう大丈夫デス。』 「テププ……」 クプはうまくだませたことから思わず笑いがこぼれる。 それにぺへも気がついていた。怪しい…… きっとこの子がなにか一枚かんでいると。 その日はさめた唐揚げとサクランボだった。一人減った分皆久々におなかいっぱいに食べれたようだ。 『それじゃぁ行ってくるデス。ダンボールの蓋はちゃんとしめるデス。』 「「「テッチー♪」」」 ぺへがご飯を取りにいってからすぐにペプが切り出す。 『クプ、もうなぐって遊ぶのはやめるテチ。ママにばれたらきっと大変テチ。』 ピミもそれに同調する。 『そうテチ、殴ってあそぶのはやめて昨日のサクランボの種をなげっこするテチ。』 ペキはそれにだまってうなずく。 『……わかったテチュ。今日は種のなげっこで遊ぶテチ。』 クプは分の悪さを感じ渋々そうすることにした。 はじめは種をぽいぽいと投げるだけで遊んでいたがやはり娯楽の少ないダンボールの中、だんだんとヒートアップしていった。 種投げを途中で放棄して、クプが閉めとくように言われたダンボールの蓋をあける。 『巣の中は狭いテチ!そとでやるテチ!!』 熱にうかれ皆外に飛び出し種投げで遊ぶ。無論声も大きく張り上げる。 「テッチュー!!!」 ひときわ大きな声を上げてクプが種を投げる。ピミの頭の上を通り過ぎ草むらの向こう側へ飛んでいってしまった。 『ピミ!とっとととってくるテチ!!』 自分が大きく投げてしまったことを棚に上げピミを責めるクプ。 ピミもクプに殴られるのがいやで、渋々草むらに分け入って種を取りに行った。 『どこいったテチ?』 種はかなり遠くまで飛んでいた。 きょろきょろと探しながらピミが草むらを進んでいく。 『匂いはこっちのはずテチ。 ……ん?この匂いはなんテチュ?』 ピミは種の匂いとは別に嗅いだことない奇妙な匂いに気がついた。 『種と一緒に臭うテチ……』 言い終わるが早いか草むらが切れ、視界が広がった。 そこは公園の広場ですぐ目の前に野良実装が立っていた。 『テ…… テチュ♪ こんにちわテチュ♪』 ピミはまだ野良実装の怖さを知らなかった。そんなピミを野良実装はゆっくりとつまみ上げ…… 「テヤッ テヒィィッ テチュ!テチュ! テァァッ!!……」 食べられた。野良実装は仔実装たちが種投げに興じる声を聞きつけ食べに来たのだった。 食べられるときの悲鳴はクプたちにも届いた。談笑しながらピミが帰ってくるのを待っていたが悲鳴が聞こえてからは皆顔面蒼白。 草むらから何かがやってくる気配を真っ先に感じ取り巣に逃げ込んだのはペキだった。 その逃げる足音にクプも気がつき後を追う。 そしてダンボールの蓋を閉める音にペプが気がついたときには後の祭りであった。 『テヤァーーーッ!! クプ!!ワタチも入れるテチ!!!』 ダンボールの蓋を死にものぐるいで叩きながらペプが叫ぶ。 『誰テチュ?ママが帰ってくるまでここは開けられないテチュ。』 すましたクプの声。もはやペプはあきらめていた。いや、クプの考えの材料にはもうペプは邪魔者でしかなく。 このまま野良実装に食べられることを祈って蓋の隙間からその様子をじっと見ていた。 『クプ!! クプ!! 今すぐあけるテチ!!!』 ペプの様子にさらに余裕が無くなってくる。 『テヒィッ テ…… テッチューン♪ 今すぐここを開けるからちょっと待ってるテチュ♪』 『久々の仔実装…… うまそうデス〜ン♪』 『テッ!! 待つテチ!! 待つテチ!!! あ゛!!!』 蓋の隙間からクプが見た惨劇…… それは足の方からかじられてなお、こちらに助けを求める地獄絵図であった。 『ただいまデス。いい子にしてたデス?』 ペヘが帰ってきた。だがクプもペキも恐怖で震え上がったままペヘを見ているだけだ。 ペヘはすぐに感づいた。2匹子が減っていることを…… 『ペプとピミが…… ペフとピミが食べられちゃったテチ〜』 またもや涙ながらに語るクプ。 自分の過失はうまく死人になすりつけ外で種の投げっこをして野良実装に襲われ二人だけ命からがら生き残ったことをペヘに訴える。 だがペヘは昨日の一件もありこのクプに都合のいい話を心の中では疑っていた。 『怖かったデス。でももう大丈夫デス。』 そういい聞かせ、なでながら明日ご飯を取りに行くフリをして確かめなくてはと感じていた。 『それじゃ行ってくるデス……』 ペヘはいつもの通り巣をでたがいつもの通りご飯をとってくる気は無かった。 しばらく公園の入り口あたりで時間をつぶして音を立てないように巣に戻る。 そこでペヘが見たものは…… 『うまいテチ…… お姉ちゃんうまいテチ。』 だらりと横たわって体の半分ほどをかじられ死んでいるクプとそれをむさぼっていたペキだった。 ペキは昨日の一件に感化されペヘがでかけた後すぐにクプに襲いかかり共食いをはじめていたのである。 『オマエの仕業デス……??』 ペヘは勘違いした。ほかの3匹の死の原因はペキの仕業であると勘違いした。 『オマエがやったんデスゥッ!?!?』 我が子を怒りに任すまま全力で殴りつける。倒れ込んだペキにマウントポジションをとり力の限り殴る。 『オマエのせいでみんな死んだデスゥッ!?!?』 ペヘが我に返ったのは夕暮れになってから。もはや原型をとどめていないペキ。 ペヘは声も上げず泣いた。そしてもうこんなことが起きないようにしようと心にちかった。 ペヘはまた妊娠していた。身重のためあまり遠出して食べ物を集められないために公園のゴミ箱などをあさって何とかしのいでいた。 だが腹の子が栄養を欲し、常に空腹に悩まされていた。 そんな日がつついていたある日の昼下がりそれは起きた。 「デェ!?!?!!?」 「なんだこいつは?」 ぺへはベンチに座っていた男に逆さづりにされていた。ぺへの口にはツナマヨネーズのおにぎりが。 「ああ、実装石だね。弁当ねらわれるよ?」 「マジカ」 「見たところ妊娠してるようだね。」 「デギャッ デギャァッ」 ぺへは必死に逃げようと暴れるがガテン系の男の手からは逃れられない。 「おもしろいものを見せてあげようか?」 もう一人の男がおもむろに紅インクを取り出し右目に垂らす。 とたんにぺへの腹がぼこぼこと動きだし腹の中から悲鳴がし始めた。 「うわっ、なんだこれ!?!?」 「実装石って目の色で妊娠したり出産したりするんだ。 んで妊娠中に普通の状態に戻してやれば中にいた子供は親の栄養行きさ♪」 「うは…… えぐいな。」 ぺへは自分に宿っていたあたらしい命が自分の腹の中で死んでいくのを感じていた。 「緑色のインクもってねぇか?」 「あるけど…… やるのかい?」 「ああ、残り時間まで遊ばせてもらうぜw」 ぺへの右目が緑と赤、交互に染められていく。 「すげぇ!これたのしっ!!」 「デベァッ!!デブォ!!!」 声にならない声で抗議するぺへ。しかしたとえこの男たちがリンガルを持っていたとしてもそれは火に油を注ぐようなものだった。 「そろそろ時間か。」 10回ほど腹のなかの子の悲鳴を披露したあと草むらに投げ捨てられるように解放された。 『ニ、ニンゲンどもめっ!! 腹の中で殺された子の分まで恨んでやるデスゥッ』 だがこのあとのオナニー(受粉)とリンゴの皮でぺへはそのことをコロリとわすれてしまったのであった。 秋がすぎ、冬が訪れようとしてもぺへの子供たちは小さかった。早いもので夏の初め、遅いもので秋の終わりに生まれたからだった。 普通の実装石ならばこれは保存食である。だがぺへはこの不運な仔実装たちも育てる気でいた。 まず巣を粗悪なダンボールから木の根の下に掘った洞穴に移した。またそこへの入り口もきれいに擬装していた。 そして食べ物も普段から多めに集めて巣の奥深くに腐りにくいものを中心にため込んだ。 これで餌が取りに行けない日も何とか食いつなぐことができる。 そして大きく変わったのは子を選別するようになったこと。 いわゆる糞虫は生まれて三日間の間にすこしでも兆候が見られれば殺した。 そのような苦労を重ねていま7匹の優秀な仔実装たちがぺへの元に育っていた。 『この分だと夏にはみんな立派になるデスゥ……』 だがそんな些細な幸せも許されなかった。 その日は夜からの雪で強烈に冷え込んでいた。例年をグッと下回る零下15度。この地方の過去最低気温の記録を7度も下回った。 朝になっても気温はそんなに上がらず寒いままであった。 ぺへは肌寒さに目を覚ます。がちがちと歯をならしながらふるえて外の様子をみる。 「デッスゥ……」 辺り一面の銀世界。そしてまだだれも踏まれていない雪面。サクサクと歩いていくたびに足は冷たかったが何ともいえない優越感があった。 ぺへは子供たちを呼び起こそうと声をかけようとするが、巣の暗がりの中で身動き一つせず寝ている子供たちをみておこすのがかわいそうになりそっと巣を出て行った。 ガタガタとふるえながらゴミをあさっているが食べ物はほとんど集まらない。 そんなときある人間と目が合ってしまった。 ぺへはあの経験から相手の様子をじっと見ながらゆっくりと逃げ足を進める。 だが男はトラックに積んだ煙のできるキカイから小さい芋を取り出しぺへの方へ投げた。 「オマエも寒いだろう。そいつでも食ってあったまりな。」 北陸からきた農家を営んでいた男は作物の作れない冬、都会にでてきて焼き芋を売って歩いていた。 必死になってゴミをあさる姿がなにかにかぶったのであろうかちょっとした同情心が芽生えた結果売り物にならなそうな小さい芋をやっただけであった。 ぺへはそんなこともしらず警戒するように芋をひったくると一目散に巣へ引き返していった。 「がんばれよぉ…… ほいじゃ、おいらもいきますか。」 《いし〜やきぃも〜 おいも〜……》 ほかほかの芋が手に入ったぺへはこの暖かい芋をみんなで食べることだけが頭にあった。 こんな寒い日に暖かいものが手に入ったのであるずいぶんな幸運である。 巣にもどったぺへはすぐに皆をたたき起こす。 『さぁさ、朝ご飯デス。起きない子の分はなくなっちゃうデス!』 だがみなシンとして起きてこようという気配もなかった。 皆疲れているのだろうか?そんな疑問しかぺへには浮かばなかった。 『あ〜暖かいお芋は美味しいデスゥ!これならさめる前にみんなの分も食べちゃいたいデスゥ!!』 いつもならそんな言葉を聞いて飛び起きてくるやつもいたのだが誰も起きない。 不信におもって一匹を抱き上げる。石のように冷たく顔中に霜が張り、とても生きてるとは思えなかった。 『きっと寒さのせいでおねぼうさんになったデス。おひるまで待てばみんな起き出すデス。』 そんな風に気楽にぺへは考えていた。 そんな考えを捨てざる終えなくなったのは冬が終わり春が来て仔実装たちが腐りはじめてからだった。 皆その日の朝に凍死していたのである。 自慢の子供たちが死んでもぺへはめげなかった。春になり花がさくとあの方法ですぐに妊娠して子供たちを産んだ。 涙をのみながらもあまりできの悪い子は殺して、いい子だけを残していく。 数が少なくなればまた産んで足していく。そうしてすぐに仔実装の数は増えていった。 当然、数が多くなれば必要な食べ物の量も多くなる。ぺへは人間の商店街に盗みに回るまでになっていた。 その日も日々の糧を手に入れるためにスーパーマーケットの前まで来ていた。 「デ〜ス〜……」 無秩序におかれた自転車の影からぺへは外に並べられた果物を品定めしていた。 「デスッ」 ねらいの品が決まり行動に移す。が、一生懸命地を蹴ろうと足をばたつかしてもちっとも前に進まない。 「またおまえか……」 そのスーパーマーケットのバイトに運悪く捕まってしまったのであった。 「さてどうするか……」 『ニンゲン様、どうか見逃してくださいデスゥッ。家には8匹のいい子がおなかを空かせて待っているデスゥ……』 「ハァ?」 いつもは万引き犯人を連れてくる場所にそのバイトとぺへはいた。 「おまえねぇ…… あの果物一個分のお金稼ぐのにうちはどれくらいもの売らないといけないか知ってる?」 「デ……」 くどくどと説教をたれるバイト。いちどこういうのをやってみたかったらしい。 こってりと絞られること30分。 「わかったか……もう二度とやるんじゃねーぞ。」 そういってバイトが立ち上がる。 『デスゥ…… やっと終わったデス……』 この言葉がなければバイトはこのままぺへにたこ焼きでも持たして帰らすつもりだっただろう。 だがそんな気は す で に 吹 っ 飛 ん だ 。 「ぺへ君といったっけ? ボクの友達にね、工作機械を作るのが得意なヤツがいるんだ……」 そういってロッカーから小振りの赤いナイフを取り出す。 「譲ってくれた中でも最高傑作…… ヒートカッターだ。」 そういってどんどん赤黒く光るそれをぺへの左目に近づけていく。 「子供の産めない体にしてやるよ……」 ぺへが手で押さえようともナイフはとても熱くそれは無理で、仮にやけど覚悟で押さえてもバイトの力には遠く及ばない。 「デッデッデェッ!?!?! デーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!」 こうしてぺへは左目に大きな傷を負った。もう子供が産めない大きな傷を…… これからはあの子たちを絶対に守らなくては…… とぼとぼと帰りながらその決心だけはどんどん堅くなっていく。 「テェーーー……」 巣まであと1分ほどのところでぺへは聞き覚えのある仔実装の悲鳴を聞いた。 一番頭がよく自慢のプフの悲鳴…… いやな予感から必死に走る。 『デププ…… 今日は仔実装が食えてラッキーデスゥ♪』 『そうデス。こんなわかりにくい巣初めて見たデス。』 子供はすでに平らげられた後だった。 「デギャァァァ!!!!」 もはや言葉にならない言葉をあげてその二匹の実装石に飛びかかる! だがひらりとかわされ木に頭をぶつけてしまう。 『デププ…… バカなやつデス。また子供を産んで補充しとくデス〜♪』 そんな冷ややかな言葉を聞きながらぺへは意識を失った。 気がつくと夕方…… 左目の大きな傷、巣にいない子供たち。思い出していく今までのこと、夢ではない厳しい現実。 ぺへは絶望からふらふらと巣から離れて歩いていく…… 宛はない。ただ足だけが動いていた。 公園の広場に行くと強い死臭が漂う…… 虐待派による大虐殺が行われていた。 あの子供たちを食ったであろうやつもその中にいる。 だがそんなことよりもぺへは殺された実装石の周りで悲しそうに泣く仔実装たちに釘付けになった。 里親であればまだ子育てができる。そんな考えがぺへを支配した瞬間であった。 それから4年、力もなくなんの取り柄もないぺへであったが野良に食われながら、途中糞虫を見捨てながらも、 約200匹の仔実装を成体実装まで拾ってきてはそだてあげたのである。 育てられた仔実装たちは様々な道を歩んだ。飼い実装になれたもの、ほかの公園のボスになったもの、TVにでるようまでなったもの。様々だ。 だが当の本人のぺへは自分の行為への不満が強くなっていた。 『どんなにがんばってもこの子たちはワタシの子じゃないデスゥ……』 自らの子を欲していた。そう、もう決して手に入らない血を分けた我が子…… それだけがぺへの望みであった。 その里子の姉妹たちはぺへの6歳の誕生日を控え、ぺへには秘密にある計画を立てていた。 ぺへの誕生会。公園の真ん中に里子の姉妹とその子一同があつまりぺへの6歳の誕生日を祝う。 里子たちは各々の立場をつかって準備を進めた。 あるものはお菓子を用意し、あるものは公園の邪魔なほかの実装石たちを力ずくで追い出していった。 そして誕生会の日になった。 『『『ママ!ちょっと来てほしいデス!!』』』 いま育てている子たちがぺへをつれて公園の広場まで手を引いてつれていく。 そこには公園を埋め尽くさんばかりの実装石。すべてぺへが育てた子の家族である。 『『『『『『お誕生日おめでとうデスゥ!』』』』』』 折しも季節は春。公園の桜がペヘを祝福していた。 突然の祝福に呆然とするぺへ。そして片目を失ったあの日から育ててきた子供たちが孫の顔を見せにつぎつぎと祝辞を述べていた。 もし、これがすべてペヘの子供であれば、ペヘは幸せだったであろう。 しかしペヘの子はこの中に一人もいない。そう、いないのだ。これだけの実装石をそだてたのにもかかわらず。 第25女が自分の子たちをぺへの並べた瞬間。ガラスが割れるような音が公園に響いた。 嫉妬によるストレスにぺへの偽石が耐えられなくなったのである。 こうして他人の孤児を自らの子として育て上げたグレートマザー・ぺへは自らの嫉妬をだれにも知られることなくその実装石にしては長い一生をおえたのである。 その伝説は今もなお実装石たちの間で語り次がれている…… はずである。 「ふ〜ん…… なかなかの一生だね。」 『そうデス!だからワタシは天国行きデス!!』 「……だめだよ、子供を育てるのに民家から窃盗を何度もやってるじゃん。差し引きマイナスで地獄行き決定。」 『な、なんでデスゥ!?!? ニンゲン! ワタシはグレートマザーとあがめられて……』 「おれは閻魔大王だ!ニンゲンじゃねぇ!!! むかついた……オマエ、実装無限地獄決定。今すぐ行って後悔してこい。」 結局ペヘは不幸のようだ。グレートマザー ある一匹の実装石が公園の公衆便所で初めての出産を迎えていた。 「デェ〜〜スゥ〜〜〜!!」 和式の便器の中にどっぷりと腰を下ろし、糞をするときと同じ要領で力む。お馴染みのスタイルだ。 30分ほど力んだあと堰を切ったようにポロポロと総排泄肛から粘膜に包まれた仔実装たちがでてくる。 その数6匹、奇形や蛆もいない全く健康な仔実装たちだ。 本能に突き動かされるように仔実装たちの粘膜をきれいになめとってやる。 疲れながらもその顔はうれしさに満ちていた。 彼女の名はペヘ、後にグレートマザーと呼ばれる実装石である。 『おまえたちはワタシの宝物デスゥ…… 立派に育つデス。』 「テッチュー♪」 だがその願いは満たされることはなかった。 ペヘは大きなミスを犯していた。出産をすませたらすぐに自分の巣に戻るべきであった。 これは出産経験が豊富な野良実装であれば常識中の常識のようなものであったが、ペヘにはそれはわからなかった。 ペヘは生まれた子をすぐに連れ帰らず、その場でかわいがりつづけていたのである。 『デッスーン、デッスーン。今日は美味しい生まれたての仔実装が食べたいデッスーン♪』 その常識の訳、それは同族による仔食いの危険性である。 出産は水場でなければならないが出産は体力を大幅に消耗する。また巣にもどるときは子供を抱えるため無防備になりやすい。 このため生まれてすぐに食われて死ぬ仔実装は珍しくはなかった。 ぺへの子もまたそうであった。 トイレのドアがきしみながら見慣れない実装石がトイレの中に入り込んできた。 『仔実装発見デスゥ♪』 「……デゲェ!?!?」 このときやっとペヘの頭に仔食いに注意しなくてはという考えがうかんできた。 だがもう注意するというレベルではなかった。目の前でよだれを垂らしながら近づいてくるのである。 『あ、あっち行くデスゥ!!!』 『仔実装ウマソウデスゥ……』 ペヘは出産の疲労と実装石への恐怖から腰が抜けてたてなかった。 それを確認した実装石はゆっくりと便器の中でじたばたしているペヘに近づき状況がわかってない仔実装を一匹抱き上げた。 「テッチー♪」 『や、やめるデスゥ!!!!!』 そして喜んでいる仔実装を足からあんぐりと腰あたりまで口にいれ、ゆっくりとかみしめた。 「テチャーーーッ!?!?!?!?」 『うまいデスゥ…… 親に見せつけながらだととってもうまいデスゥ♪』 ぺろりと一匹目を平らげ2匹目を取り上げる。今度の仔実装はさすがにいやがる。 『ワタシの子供を食べるなデスゥ!!!』 『大丈夫デスゥ、子供なんて何度でも簡単に作れるデス。』 3匹目に取りかかりながら興味深い話をはじめる。 『ワタシたち実装石はショクモツレンサの中で下の方に位置するデス。 だから子供を残して行くにはいっぱい子供を産まないといけないデス。 そして子供はケツに花をつっこめばすぐに作れるデス。』 『ほ、本当デス?』 『本当デス。』 そうこうしているうちに4匹目もたべられてしまう。 そして実装石はのこりの2匹を抱えてこういった。 『それじゃぁ、コイツらは授業料でもらっていくデス。』 『デェ!?!?! まつデス!! それはあんまりデスゥ!!!!』 こうして初めての子供はすべてどこの誰かもわからない実装石にたべられてしまった。 しかしぺへの中には奇妙な使命感が生まれていた。 『子供をいっぱい作るデス…… 子供をいっぱい作って幸せになるデス……』 ぺへはあの実装石の言うとおりに妊娠し、今度は無事に5匹の子を産んだ。 毎日餌探しに子供の面倒と忙しかったが幸せだった。 だが気がかりなこともある。長女のクピのことである。 ほかの姉妹をはねのけて乳を吸いに来たし、言うこともほとんど聞かない。 またふざけながらもほかの姉妹を怪我させることが多かった。 育児経験の豊富な実装石であれば即間引き対象となる仔であったが間引きをするという子とをペヘは知らなかった。 『それじゃぁ、ママはご飯探しにいってくるからみんなでいい子にしてるデス。』 「「「「テッチュー♪」」」」 今日も子供たちのためにご飯を取りに行く。最近はちょっと遠出して繁華街のゴミ捨て場がお気に入りのようだ。 だがこの間、巣のダンボールの中ではクピの天下であった。 『きょうもペプを叩いて遊ぶテチ!』 「テヒッ……」 『クピ、もうやめるテチ。ママにばれたらきっと捨てられちゃうテチ。』 『テプ…… 今日はオマエが叩かれたいみたいテチ。みんなやっちまうテチ!!』 『なんでそうなるテチ!?ペプもやめるてギャァァ!!!!』 四女のテプがクピに意見したため目の敵にされ五女のペプ、次女のペキ、三女のピミが襲いかかる。 そしてペキが勢いあまってテプの首をかみ切ってしまった。 首をかみ切られたテプはピクピクと宙を掻くように腕をすこし動かした後ぱたりと動かなくなってしまった。 『テプおねちゃん?どうしたテチ?』 『このバカ、死んでしまったテチ。』 『『『し、しんだテチ!?!?』』』 『テプププ…… でも大丈夫テチ、このクプにいい考えがあるテチ。』 クプは悪知恵がはたらく糞虫仔実装であった。 巣に帰ってきたペヘは入り口で血を流して倒れているテプを見て持って帰ってきたご飯を抱えたまま真っ青になっていた。 『ママ〜!!!』 そんなぺへに真っ先に抱きついてきたのはクプである。 『ママ!!ママ!!テプがね!!テプがね!!』 涙ながらにクプがぺへに昼間あったことを偽る。 巣の中で遊んでいたら知らない仔実装がやってきてテプが噛みつかれてしまった。 驚いて必死に追い返したがテプが動かなくなってしまった。 『怖かったデス。でももう大丈夫デス。』 「テププ……」 クプはうまくだませたことから思わず笑いがこぼれる。 それにぺへも気がついていた。怪しい…… きっとこの子がなにか一枚かんでいると。 その日はさめた唐揚げとサクランボだった。一人減った分皆久々におなかいっぱいに食べれたようだ。 『それじゃぁ行ってくるデス。ダンボールの蓋はちゃんとしめるデス。』 「「「テッチー♪」」」 ぺへがご飯を取りにいってからすぐにペプが切り出す。 『クプ、もうなぐって遊ぶのはやめるテチ。ママにばれたらきっと大変テチ。』 ピミもそれに同調する。 『そうテチ、殴ってあそぶのはやめて昨日のサクランボの種をなげっこするテチ。』 ペキはそれにだまってうなずく。 『……わかったテチュ。今日は種のなげっこで遊ぶテチ。』 クプは分の悪さを感じ渋々そうすることにした。 はじめは種をぽいぽいと投げるだけで遊んでいたがやはり娯楽の少ないダンボールの中、だんだんとヒートアップしていった。 種投げを途中で放棄して、クプが閉めとくように言われたダンボールの蓋をあける。 『巣の中は狭いテチ!そとでやるテチ!!』 熱にうかれ皆外に飛び出し種投げで遊ぶ。無論声も大きく張り上げる。 「テッチュー!!!」 ひときわ大きな声を上げてクプが種を投げる。ピミの頭の上を通り過ぎ草むらの向こう側へ飛んでいってしまった。 『ピミ!とっとととってくるテチ!!』 自分が大きく投げてしまったことを棚に上げピミを責めるクプ。 ピミもクプに殴られるのがいやで、渋々草むらに分け入って種を取りに行った。 『どこいったテチ?』 種はかなり遠くまで飛んでいた。 きょろきょろと探しながらピミが草むらを進んでいく。 『匂いはこっちのはずテチ。 ……ん?この匂いはなんテチュ?』 ピミは種の匂いとは別に嗅いだことない奇妙な匂いに気がついた。 『種と一緒に臭うテチ……』 言い終わるが早いか草むらが切れ、視界が広がった。 そこは公園の広場ですぐ目の前に野良実装が立っていた。 『テ…… テチュ♪ こんにちわテチュ♪』 ピミはまだ野良実装の怖さを知らなかった。そんなピミを野良実装はゆっくりとつまみ上げ…… 「テヤッ テヒィィッ テチュ!テチュ! テァァッ!!……」 食べられた。野良実装は仔実装たちが種投げに興じる声を聞きつけ食べに来たのだった。 食べられるときの悲鳴はクプたちにも届いた。談笑しながらピミが帰ってくるのを待っていたが悲鳴が聞こえてからは皆顔面蒼白。 草むらから何かがやってくる気配を真っ先に感じ取り巣に逃げ込んだのはペキだった。 その逃げる足音にクプも気がつき後を追う。 そしてダンボールの蓋を閉める音にペプが気がついたときには後の祭りであった。 『テヤァーーーッ!! クプ!!ワタチも入れるテチ!!!』 ダンボールの蓋を死にものぐるいで叩きながらペプが叫ぶ。 『誰テチュ?ママが帰ってくるまでここは開けられないテチュ。』 すましたクプの声。もはやペプはあきらめていた。いや、クプの考えの材料にはもうペプは邪魔者でしかなく。 このまま野良実装に食べられることを祈って蓋の隙間からその様子をじっと見ていた。 『クプ!! クプ!! 今すぐあけるテチ!!!』 ペプの様子にさらに余裕が無くなってくる。 『テヒィッ テ…… テッチューン♪ 今すぐここを開けるからちょっと待ってるテチュ♪』 『久々の仔実装…… うまそうデス〜ン♪』 『テッ!! 待つテチ!! 待つテチ!!! あ゛!!!』 蓋の隙間からクプが見た惨劇…… それは足の方からかじられてなお、こちらに助けを求める地獄絵図であった。 『ただいまデス。いい子にしてたデス?』 ペヘが帰ってきた。だがクプもペキも恐怖で震え上がったままペヘを見ているだけだ。 ペヘはすぐに感づいた。2匹子が減っていることを…… 『ペプとピミが…… ペフとピミが食べられちゃったテチ〜』 またもや涙ながらに語るクプ。 自分の過失はうまく死人になすりつけ外で種の投げっこをして野良実装に襲われ二人だけ命からがら生き残ったことをペヘに訴える。 だがペヘは昨日の一件もありこのクプに都合のいい話を心の中では疑っていた。 『怖かったデス。でももう大丈夫デス。』 そういい聞かせ、なでながら明日ご飯を取りに行くフリをして確かめなくてはと感じていた。 『それじゃ行ってくるデス……』 ペヘはいつもの通り巣をでたがいつもの通りご飯をとってくる気は無かった。 しばらく公園の入り口あたりで時間をつぶして音を立てないように巣に戻る。 そこでペヘが見たものは…… 『うまいテチ…… お姉ちゃんうまいテチ。』 だらりと横たわって体の半分ほどをかじられ死んでいるクプとそれをむさぼっていたペキだった。 ペキは昨日の一件に感化されペヘがでかけた後すぐにクプに襲いかかり共食いをはじめていたのである。 『オマエの仕業デス……??』 ペヘは勘違いした。ほかの3匹の死の原因はペキの仕業であると勘違いした。 『オマエがやったんデスゥッ!?!?』 我が子を怒りに任すまま全力で殴りつける。倒れ込んだペキにマウントポジションをとり力の限り殴る。 『オマエのせいでみんな死んだデスゥッ!?!?』 ペヘが我に返ったのは夕暮れになってから。もはや原型をとどめていないペキ。 ペヘは声も上げず泣いた。そしてもうこんなことが起きないようにしようと心にちかった。 ペヘはまた妊娠していた。身重のためあまり遠出して食べ物を集められないために公園のゴミ箱などをあさって何とかしのいでいた。 だが腹の子が栄養を欲し、常に空腹に悩まされていた。 そんな日がつついていたある日の昼下がりそれは起きた。 「デェ!?!?!!?」 「なんだこいつは?」 ぺへはベンチに座っていた男に逆さづりにされていた。ぺへの口にはツナマヨネーズのおにぎりが。 「ああ、実装石だね。弁当ねらわれるよ?」 「マジカ」 「見たところ妊娠してるようだね。」 「デギャッ デギャァッ」 ぺへは必死に逃げようと暴れるがガテン系の男の手からは逃れられない。 「おもしろいものを見せてあげようか?」 もう一人の男がおもむろに紅インクを取り出し右目に垂らす。 とたんにぺへの腹がぼこぼこと動きだし腹の中から悲鳴がし始めた。 「うわっ、なんだこれ!?!?」 「実装石って目の色で妊娠したり出産したりするんだ。 んで妊娠中に普通の状態に戻してやれば中にいた子供は親の栄養行きさ♪」 「うは…… えぐいな。」 ぺへは自分に宿っていたあたらしい命が自分の腹の中で死んでいくのを感じていた。 「緑色のインクもってねぇか?」 「あるけど…… やるのかい?」 「ああ、残り時間まで遊ばせてもらうぜw」 ぺへの右目が緑と赤、交互に染められていく。 「すげぇ!これたのしっ!!」 「デベァッ!!デブォ!!!」 声にならない声で抗議するぺへ。しかしたとえこの男たちがリンガルを持っていたとしてもそれは火に油を注ぐようなものだった。 「そろそろ時間か。」 10回ほど腹のなかの子の悲鳴を披露したあと草むらに投げ捨てられるように解放された。 『ニ、ニンゲンどもめっ!! 腹の中で殺された子の分まで恨んでやるデスゥッ』 だがこのあとのオナニー(受粉)とリンゴの皮でぺへはそのことをコロリとわすれてしまったのであった。 秋がすぎ、冬が訪れようとしてもぺへの子供たちは小さかった。早いもので夏の初め、遅いもので秋の終わりに生まれたからだった。 普通の実装石ならばこれは保存食である。だがぺへはこの不運な仔実装たちも育てる気でいた。 まず巣を粗悪なダンボールから木の根の下に掘った洞穴に移した。またそこへの入り口もきれいに擬装していた。 そして食べ物も普段から多めに集めて巣の奥深くに腐りにくいものを中心にため込んだ。 これで餌が取りに行けない日も何とか食いつなぐことができる。 そして大きく変わったのは子を選別するようになったこと。 いわゆる糞虫は生まれて三日間の間にすこしでも兆候が見られれば殺した。 そのような苦労を重ねていま7匹の優秀な仔実装たちがぺへの元に育っていた。 『この分だと夏にはみんな立派になるデスゥ……』 だがそんな些細な幸せも許されなかった。 その日は夜からの雪で強烈に冷え込んでいた。例年をグッと下回る零下15度。この地方の過去最低気温の記録を7度も下回った。 朝になっても気温はそんなに上がらず寒いままであった。 ぺへは肌寒さに目を覚ます。がちがちと歯をならしながらふるえて外の様子をみる。 「デッスゥ……」 辺り一面の銀世界。そしてまだだれも踏まれていない雪面。サクサクと歩いていくたびに足は冷たかったが何ともいえない優越感があった。 ぺへは子供たちを呼び起こそうと声をかけようとするが、巣の暗がりの中で身動き一つせず寝ている子供たちをみておこすのがかわいそうになりそっと巣を出て行った。 ガタガタとふるえながらゴミをあさっているが食べ物はほとんど集まらない。 そんなときある人間と目が合ってしまった。 ぺへはあの経験から相手の様子をじっと見ながらゆっくりと逃げ足を進める。 だが男はトラックに積んだ煙のできるキカイから小さい芋を取り出しぺへの方へ投げた。 「オマエも寒いだろう。そいつでも食ってあったまりな。」 北陸からきた農家を営んでいた男は作物の作れない冬、都会にでてきて焼き芋を売って歩いていた。 必死になってゴミをあさる姿がなにかにかぶったのであろうかちょっとした同情心が芽生えた結果売り物にならなそうな小さい芋をやっただけであった。 ぺへはそんなこともしらず警戒するように芋をひったくると一目散に巣へ引き返していった。 「がんばれよぉ…… ほいじゃ、おいらもいきますか。」 《いし〜やきぃも〜 おいも〜……》 ほかほかの芋が手に入ったぺへはこの暖かい芋をみんなで食べることだけが頭にあった。 こんな寒い日に暖かいものが手に入ったのであるずいぶんな幸運である。 巣にもどったぺへはすぐに皆をたたき起こす。 『さぁさ、朝ご飯デス。起きない子の分はなくなっちゃうデス!』 だがみなシンとして起きてこようという気配もなかった。 皆疲れているのだろうか?そんな疑問しかぺへには浮かばなかった。 『あ〜暖かいお芋は美味しいデスゥ!これならさめる前にみんなの分も食べちゃいたいデスゥ!!』 いつもならそんな言葉を聞いて飛び起きてくるやつもいたのだが誰も起きない。 不信におもって一匹を抱き上げる。石のように冷たく顔中に霜が張り、とても生きてるとは思えなかった。 『きっと寒さのせいでおねぼうさんになったデス。おひるまで待てばみんな起き出すデス。』 そんな風に気楽にぺへは考えていた。 そんな考えを捨てざる終えなくなったのは冬が終わり春が来て仔実装たちが腐りはじめてからだった。 皆その日の朝に凍死していたのである。 自慢の子供たちが死んでもぺへはめげなかった。春になり花がさくとあの方法ですぐに妊娠して子供たちを産んだ。 涙をのみながらもあまりできの悪い子は殺して、いい子だけを残していく。 数が少なくなればまた産んで足していく。そうしてすぐに仔実装の数は増えていった。 当然、数が多くなれば必要な食べ物の量も多くなる。ぺへは人間の商店街に盗みに回るまでになっていた。 その日も日々の糧を手に入れるためにスーパーマーケットの前まで来ていた。 「デ〜ス〜……」 無秩序におかれた自転車の影からぺへは外に並べられた果物を品定めしていた。 「デスッ」 ねらいの品が決まり行動に移す。が、一生懸命地を蹴ろうと足をばたつかしてもちっとも前に進まない。 「またおまえか……」 そのスーパーマーケットのバイトに運悪く捕まってしまったのであった。 「さてどうするか……」 『ニンゲン様、どうか見逃してくださいデスゥッ。家には8匹のいい子がおなかを空かせて待っているデスゥ……』 「ハァ?」 いつもは万引き犯人を連れてくる場所にそのバイトとぺへはいた。 「おまえねぇ…… あの果物一個分のお金稼ぐのにうちはどれくらいもの売らないといけないか知ってる?」 「デ……」 くどくどと説教をたれるバイト。いちどこういうのをやってみたかったらしい。 こってりと絞られること30分。 「わかったか……もう二度とやるんじゃねーぞ。」 そういってバイトが立ち上がる。 『デスゥ…… やっと終わったデス……』 この言葉がなければバイトはこのままぺへにたこ焼きでも持たして帰らすつもりだっただろう。 だがそんな気は す で に 吹 っ 飛 ん だ 。 「ぺへ君といったっけ? ボクの友達にね、工作機械を作るのが得意なヤツがいるんだ……」 そういってロッカーから小振りの赤いナイフを取り出す。 「譲ってくれた中でも最高傑作…… ヒートカッターだ。」 そういってどんどん赤黒く光るそれをぺへの左目に近づけていく。 「子供の産めない体にしてやるよ……」 ぺへが手で押さえようともナイフはとても熱くそれは無理で、仮にやけど覚悟で押さえてもバイトの力には遠く及ばない。 「デッデッデェッ!?!?! デーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!」 こうしてぺへは左目に大きな傷を負った。もう子供が産めない大きな傷を…… これからはあの子たちを絶対に守らなくては…… とぼとぼと帰りながらその決心だけはどんどん堅くなっていく。 「テェーーー……」 巣まであと1分ほどのところでぺへは聞き覚えのある仔実装の悲鳴を聞いた。 一番頭がよく自慢のプフの悲鳴…… いやな予感から必死に走る。 『デププ…… 今日は仔実装が食えてラッキーデスゥ♪』 『そうデス。こんなわかりにくい巣初めて見たデス。』 子供はすでに平らげられた後だった。 「デギャァァァ!!!!」 もはや言葉にならない言葉をあげてその二匹の実装石に飛びかかる! だがひらりとかわされ木に頭をぶつけてしまう。 『デププ…… バカなやつデス。また子供を産んで補充しとくデス〜♪』 そんな冷ややかな言葉を聞きながらぺへは意識を失った。 気がつくと夕方…… 左目の大きな傷、巣にいない子供たち。思い出していく今までのこと、夢ではない厳しい現実。 ぺへは絶望からふらふらと巣から離れて歩いていく…… 宛はない。ただ足だけが動いていた。 公園の広場に行くと強い死臭が漂う…… 虐待派による大虐殺が行われていた。 あの子供たちを食ったであろうやつもその中にいる。 だがそんなことよりもぺへは殺された実装石の周りで悲しそうに泣く仔実装たちに釘付けになった。 里親であればまだ子育てができる。そんな考えがぺへを支配した瞬間であった。 それから4年、力もなくなんの取り柄もないぺへであったが野良に食われながら、途中糞虫を見捨てながらも、 約200匹の仔実装を成体実装まで拾ってきてはそだてあげたのである。 育てられた仔実装たちは様々な道を歩んだ。飼い実装になれたもの、ほかの公園のボスになったもの、TVにでるようまでなったもの。様々だ。 だが当の本人のぺへは自分の行為への不満が強くなっていた。 『どんなにがんばってもこの子たちはワタシの子じゃないデスゥ……』 自らの子を欲していた。そう、もう決して手に入らない血を分けた我が子…… それだけがぺへの望みであった。 その里子の姉妹たちはぺへの6歳の誕生日を控え、ぺへには秘密にある計画を立てていた。 ぺへの誕生会。公園の真ん中に里子の姉妹とその子一同があつまりぺへの6歳の誕生日を祝う。 里子たちは各々の立場をつかって準備を進めた。 あるものはお菓子を用意し、あるものは公園の邪魔なほかの実装石たちを力ずくで追い出していった。 そして誕生会の日になった。 『『『ママ!ちょっと来てほしいデス!!』』』 いま育てている子たちがぺへをつれて公園の広場まで手を引いてつれていく。 そこには公園を埋め尽くさんばかりの実装石。すべてぺへが育てた子の家族である。 『『『『『『お誕生日おめでとうデスゥ!』』』』』』 折しも季節は春。公園の桜がペヘを祝福していた。 突然の祝福に呆然とするぺへ。そして片目を失ったあの日から育ててきた子供たちが孫の顔を見せにつぎつぎと祝辞を述べていた。 もし、これがすべてペヘの子供であれば、ペヘは幸せだったであろう。 しかしペヘの子はこの中に一人もいない。そう、いないのだ。これだけの実装石をそだてたのにもかかわらず。 第25女が自分の子たちをぺへの並べた瞬間。ガラスが割れるような音が公園に響いた。 嫉妬によるストレスにぺへの偽石が耐えられなくなったのである。 こうして他人の孤児を自らの子として育て上げたグレートマザー・ぺへは自らの嫉妬をだれにも知られることなくその実装石にしては長い一生をおえたのである。 その伝説は今もなお実装石たちの間で語り次がれている…… はずである。 「ふ〜ん…… なかなかの一生だね。」 『そうデス!だからワタシは天国行きデス!!』 「……だめだよ、子供を育てるのに民家から窃盗を何度もやってるじゃん。差し引きマイナスで地獄行き決定。」 『な、なんでデスゥ!?!? ニンゲン! ワタシはグレートマザーとあがめられて……』 「おれは閻魔大王だ!ニンゲンじゃねぇ!!! むかついた……オマエ、実装無限地獄決定。今すぐ行って後悔してこい。」 結局ペヘは不幸のようだ。
2021/10:塩保消滅によりスクが見れなくなりましたので当保管庫の保存したキャッシュを表示します

| 1 Re: Name:匿名石 2025/10/27-12:28:24 No:00009822[申告] |
| いや、そこは「たとえ血が繋がってなくてもワタシには素晴らしい家族たちが居るデスゥ!」ってオチにならんのかい!? |
| 2 Re: Name:匿名石 2025/10/28-02:42:42 No:00009823[申告] |
| 幸せ回路より嫉妬心が勝ってしまったか… |
| 3 Re: Name:匿名石 2025/10/28-06:23:00 No:00009824[申告] |
| 幸せ回路も嫉妬も結局どちらも妄執の産物
孤児の子育ても倒錯した執着に過ぎなかったって事かなそこに慈愛は存在しない… |