「デェェン!こんなのイヤデスゥ!」 球体状に膨張した肉体を抱えてフルフルと左右に体を揺らし懊悩するは野良実装。 ぼいんぼいんと地面にバインドしながら不平を訴える。 ……実装石にのみ反応する特殊物質が背後された、食べた実装石をフウセン状に膨張・変形させる異常なコンペイトウ型悪趣味グッズの効能。 一瞬でそれは実装石の肉体をガスで満たし、見るも無残なフウセン実装へと変えてしまう。 新発売されたソレが用いられ、今日の公園に珍妙な実装石の嘆きの声がよく響いた。 「クソニンゲン!もとに戻すデッシャア!!」 「ママもワタチももとにもどすテチ~!ワタチのおぱんつが脱げたんテチ!おだいじ丸見えじゃニンゲンにヨクジョーされてイヤイヤテチィ!」 「飼いにしてくれるっていうのはウソだったテス!?」 「ウジちゃんふわふわまるまるなんレフ~」 一家全員がフウセンかくやの具合に膨張させられており、無言で動画撮影を続ける改造者、虐待派の女性と相まってなんとも奇妙な光景だ。 ママ実装は怒りのあまりにガスの混じったクソをブッブッと垂れて、制動の効かなさから身体を汚していく。 口の達者だった次女らしき仔実装は色ボケの気があったらしい。膨張時に脱げてしまったパンツを掴もうと跳ねながら四苦八苦している。 長女らしき中実装はといえば、おめおめと恨めしそうにブツブツ飼いにしろだのと言っている。 事態を把握できていない蛆実装だけが能天気にぼいんぼいん、と跳ねている。 「こんな姿で飼い実装になるのはイヤデスゥ!」 「いやテスゥ!」 間の抜けた、しかし切実な心からの絶叫。 勿論、飼いにする約束なども女性はしていない。 無言の餌付けへ無警戒に食いついた実装石が妄想と現実を混同して認知する特有の思考、所謂、幸せ回路で夢想しただけ。 してもいない約束に縋りつくフウセン実装たち。 「デププ、見るデスゥ、面白いものがあるデス」 「チププ!」 また別の野良一家が膨らんだ実装たちを指さしてあざ笑う。 女性はそこに近づき、ただ無言で一家の前にコンペイトウに見えるものをばら撒いた。 「デデデ……愚かなニンゲンが高貴なワタシへの貢ぎ物をした、というわけデスか!」 「そして……ワタチたちを飼いジッソウにしてくれる、ということテチね!」 まるでリピート再生でもするかのような、判で押したような光景だった。 勝手な妄想に盛り上がる実装石たちはやはり、ばらまかれたその害毒を口にした。 ぼんっ、と湿った音がなり、実装一家の肉体はあざ笑った球形実装とまるきり同じ姿へ変わり果てた。 「デデェ?なんデスゥ?」また茂みから別の野良一家が現れる。 女性は無言でそこに近づいていく。 その顔は笑顔だった。 悲痛な実装石の声。続けて、ぼんっと膨らむ音がまた響く。 公園に、無数に彼女の楽しみが膨らんでいった。 おわり
