スレに投下した1レススクに加筆しました。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【オクラはミドリの大好物】 俺は郊外の戸建てで一人暮らしをしているフリーターだ。 父が遠方に転勤になり、母は父についていってしまった為に独り寂しく暮らしている。 「あんた、独り暮らしして少しは生活力を養いな」 とは母の弁。大きなお世話である。 そんなこんなで一人暮らしを始めてひと月。 初めは好き放題できて楽しかったが、すぐに飽きて規則正しく暮らすようになった俺は、ある日、何気なく近所の実装ショップを覗いた。 暇を紛らわすために仔実装でも飼うかと思ったのだが、そこで一匹の実装石と出会う。 処分品!大特価、298円! 食事・トイレのしつけ済み! そんな値札の付けられたサークルの中で、こちらを見上げていた成体実装。 これはお買い得だと思い、その場で購入を決めて連れ帰った。 ・ ・ ・ 俺はその実装石をミドリと名付けた。 予定がなく暇な時には遊んでやったり、時には散歩に連れて行ったりして、それなりに可愛がった。 ミドリのエサは、家庭菜園でたくさん採れたオクラを中心に与えていた。 元々は両親が育てていた家庭菜園だったが、今は俺が、両親に教わった通りに世話している。 採れた野菜は近所に配ったり自分で食べたりしているが、俺はオクラがあまり好きではなかったので、ミドリのエサにしたのである。 日ごとに醤油をつけたりマヨで和えたりと工夫をして、飽きが来ないようにしている為か、ミドリもすっかりオクラが気に入ったようだった。 ……そんなある日。 今日はバイトもなく、友人と遊ぶ予定もなく、全くのフリーだったので、ミドリを連れて公園に行くことにした。 「ミドリ、公園に散歩に行くぞ」 『嬉しいデスゥ!おさんぽ大好きデスゥ!』 うちの近所はあまり人口が多くなく、また平日の昼間ということもあって公園は人気が全くなかった。 まぁ、お年寄りの話し相手にされるよりは、静かな方が良いので助かるというものだ。 そうしてミドリを公園で遊ばせていると、ミドリが茂みの中で何かを見つけたらしく、地面にはいつくばって何やらやっている。 『ゴシュジンサマ!こんな所にオクラさんが落ちてるデスゥ!美味しそうデス!』 公園にオクラ?そんな馬鹿な。 変なものを拾い食いされたら大変なので俺は止めようとしたが……。 『レピャー!』 不意に聞こえてきた、小さな甲高い鳴き声。 ミドリがいる辺りから聞こえてきたその鳴き声に嫌な予感がした俺は、急いでミドリに駆け寄った。 『喋るオクラさんデスゥ!……活きが良くて旨いデス!』 どうやら間に合わなかったらしい。 ミドリは地面に開いた穴の中から蛆実装を取り出して食べていた。 そう……あの穴は野良実装の便槽、中に居たのは非常食として飼われていた蛆実装だ。 『このオクラさんちょっと苦みがあるけど美味しいデスゥ!』 むちゃむちゃと音を立てながら、ミドリは顔を糞だらけにしてこちらに笑顔を向ける。 ミドリは蛆実装を見たことがなかったのだろうか……そう言えば、ミドリを買った実装ショップでは蛆実装は売られていなかった。 それにしても本能的に自分と同類の存在だと理解しそうなものだが。 もしかしたら、オクラが好物になり過ぎて、オクラと似たような形の蛆実装もオクラに見えてしまったのか。 ……便槽にいた糞まみれの蛆実装を丸かじりした為に緑色の糞で染まったその顔を見て、俺は心の中で何かが冷めるのを感じた。 「あぁ、ミドリ……まだオクラが落ちてる穴があるはずだから、探して食え」 『本当デスゥ?さっそく探すデス!』 ミドリは糞まみれの顔のまま、公園の中を走り出した。 茂みに顔を突っ込み、地面をはいつくばって「オクラ」を探している。 ミドリは初めのうちこそ俺の方を振り返りながら「オクラ」を探していたが、やがて探すのに夢中になったのか、公園の奥まで駆けて行った。 それを見送ると、俺は公園を後にする。 出口で一度公園の中を振り返ると、今までどこかに隠れていたらしい野良実装が、こちらの様子を伺いながらミドリの後を追いかけるのが見えた。 そして帰宅の途中、ミドリの叫び声のようなものが聞こえた気がしたが、俺は足を止めなかった。 ・ ・ ・ ……ミドリは、帰って来なかった。 だが俺の頭にあったのは、余ったオクラをどうしようか、という問題だけだった……。 【終わり】

| 1 Re: Name:匿名石 2026/06/19-23:57:23 No:00009986[申告] |
| 「あんたって子は!飼うなら最後までちゃんと責任持ちなさい!!」
と感想。大きなお世話である。 |
| 2 Re: Name:匿名石 2026/06/20-02:40:42 No:00009988[申告] |
| オクラを産む機械になったかな? |