ヘェァ~ヘェァ~… 間抜けな呻きが耳をうったのは年明けのめでたさが頭から抜けきらぬ時分であった 仕事始めからすぐに週末を迎え、何となく正月の続きのようなぼやついた気分で日課の早朝散歩をしてい時のことだ 公園と歩道を隔てる柵の内、公園の茂みから柵に向かって立つ実装石がいた 早朝とあって仄暗い、灰がかった暗がりの中、赤緑の両目だけが鮮やかに浮きたち、俺をとらえてギョロリとめぐるさまは不気味極まりない 俺の接近に気付いたのは間違いないが、柵の前に立ち尽くして動かない 不思議に思い目を凝らしてみれば、どうやら柵に舌が張り付いてしまったらしい 足元には缶コーヒーの空き缶が転がっているから、捨てられて柵にかかったものを舐め取ろうとしてピタリと舌が張り付いてしまったのだろう 「ヘヒィ~…オロロ~ン」 何かを訴えるように腕をモゾモゾ、ハァハァという荒い息遣い、白い息が盛んに吐き出され、柵に氷の粒を拵えていた 辞めておけば良いのについ仏心を出した俺は、周囲を見渡して誰も居ないことを確認するとその凍りついた舌に水筒から茶を垂らしてやった 「デヘヒャァァァァ!」 家を出て大して経っておらず、飲み頃にはほど遠い熱々の茶に、実装石はゴロゴロと転げ回った
