一匹の禿裸実装が公園を駆け抜ける。 その背後を追いかけるのは髪と服のある野良実装。 「待つデスゥクソドレイ!」 「逃げられると思ってるんデッシャァァァァァ!」 「今日はお前がゴハンデスゥゥゥ!」 血眼になって追いかける野良達。 奴隷である禿裸よりも充実した食事をしていただけに体力はこちらが上。禿裸が捕まるのは時間の問題かに思われた。 だが一人の男がその間に割って入った。 実装石にとって人間は物理的にも巨大な壁だ。慌てて止まる野良達。 「どくデスクソニンゲン!」 「ソイツは逃げたからゴハンの刑デス!」 「腹減ってるんデシャァァ!」 怒りに人間との差すら忘れ言いたい放題する野良達。 そんな野良実装石を無視し、男は足元へ何かをパラパラと落とした。 「「「コンペイトウデスッ!」」」 奴隷の事など忘れてしまったのか男がばら蒔いた金平糖らしきものを一心不乱に貪り食う。 そうして完食した実装石達に男が言い放った。 「貴様らの命はあと三秒」 「「「デデッ!?」」」 「1、2、3…」 男が丁寧に時間経過を告げる。 「デププ…なにも起こらないデ…デ…アベジャ!」 嘲笑おうとした野良の後頭部が爆発し周囲に脳みそがぶち蒔けられる。 「デデデェ…!?チビャッ!」 「イッデレヴォ!」 2匹目は胴体が上下に千切れ飛び、三匹目は背中から背骨が飛び出し血の海を作った。 それぞれに体を爆裂させ実装石達は無惨な姿となって息絶え、公園には沈黙が訪れた。 その様子に呆然としていた禿裸だったがふと我に帰ると男へ近づいていく。 「ニ、ニンゲンサン…ありがとうデ」 「…がう」 「デ?」 聞こえていないのか男の肩はワナワナと震えている。 「違ぇよぉぉ!違ぇよぉぉぉぉぉ!!」 突然叫びながら暴れだす男。その様子に面食らった禿裸も思わず尻餅をつく。 「お前らが食ったのは実装ヒデブだろうがぁぁ!ヒデブって言って死ねよぉぉぉ!」 訳の解らない主張をし地団駄を踏む男はいまだ動けぬ禿裸をむんずと掴まれた。 「デデェッ!?」 「違ぇよぉぉ!違ぇよぉぉ!」 男が叫びながら何度も何度も禿裸を地面に叩きつける。 「ベブリェ!チャベッ!ベジュワッ!」 男が叩きつける度に血が吹き出し糞を撒き散らす。しかし男の手は止まらない。 全身がぺしゃんこに潰れ、掴んでいた禿裸の足から先が千切れ飛んでからようやく収まった。 「はぁ…やっぱり難しいか」 それだけ言い残し思った結果が出ずに意気消沈した男はゆっくりと公園を去っていった。 誰もいなくなった公園でボロ雑巾のようになった禿裸が這いずろうと身を動かす。 だがそんな事が出来る状態では毛頭無い。 「デ……デ………ヒデブ………」 その断末魔を誰に聞かれるでもなく禿裸は息絶えた………。