タイトル:【虐ホラー実験】 偽石風邪・光る目・ハエ実装の短編三本
ファイル:偽石風邪・光る目・ハエ実装.txt
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初投稿日時:2025/04/23-19:11:32修正日時:2025/04/23-19:11:32
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【偽石風邪】


……偽石風邪。
偽石に作用するウイルスで発症する病気で、風邪のような症状で徐々に衰弱し死に至る。
実装シリーズ以外の生物は偽石を持たないので無症状だが、それ故に無自覚のままウイルスを広めてしまうことも多い。
特効薬、と言うか栄養ドリンクを飲んで安静にしていれば1週間ほどで完治する。

『デホッデホッ!』
「うーん、偽石風邪ですね。
 栄養ドリンクを出しておきましょう」
ペットのテチコが風邪をひいた。
少しの間様子を見たが、徐々に弱っていくので医者に連れて行くと、今はやりの偽石風邪と言われた。
どこで偽石風邪に罹ったのかは分からないが、この前テチコは野良猫に引っかかれたので、その時にうつされたのかもしれない。

医者は栄養ドリンクを出してくれたが、正直もったいないのでテチコなんかに飲ませたくない。
栄養ドリンクで治るなら砂糖水でも治るだろ……。

「テチコ、お医者さんがくれた栄養ドリンクだぞ」
『ありがとうデスゴシュジンサマ……デホデホッ』
テチコはゆっくりと栄養ドリンク(砂糖水)を飲むと、横になって目を閉じた。

それから1週間、テチコは咳が続き衰弱して……。
『デホッ、ゴシュジンサマ……今までワガママをたくさん言ってごめんデス、デホデホッ、でもありがとうデス……』
その言葉を最期にパキンした。
「逝ったか……俺も健康には気をつけようっと」
と言うことで栄養ドリンクは俺が飲んだ。

テチコは死んでしまったが、前の時と同じく公園で次のテチコを捕まえればいいな。
それに、次からはテチコが風邪をひいても医者に連れて行く必要なさそうだ。
どうせ実装石が罹る風邪なんて、偽石風邪なら栄養ドリンクで治るし、そうでなくても栄養ドリンクで治るだろうから、
どちらにしてもそんな贅沢なモノを与える必要はないということだしな。


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【光る目】


ここ数日、俺は残業続きで帰りが遅くなっている。

ある日、帰宅途中に公園を通ることにした。
そこは野良実装が多いことで有名な公園だったが、家への近道なのだ。

公園に入っていくと、茂みの中から無数の緑と赤の光がこっちに向けられていた。
その緑と赤の光が隣り合って並んでいることや地面からの高さを考えると、たぶん実装石の目だろう。
つまり、大勢の実装石が茂みの中からこちらを見ているようだ。

(おかしい……今は夜中の2時だぞ……?
 野良実装はみんな寝てるだろ……って言うか実装石の目ってこんな暗闇ではっきり分かるほど光ったか?)

物凄く不気味だったので回れ右し、公園の外を遠回りして家に帰った。
公園を出る際に一度だけ振り返ると、緑と赤の光はまだこちらを見ていた。

  *  *  *

翌朝、出社する時に公園の前を通ると、近所のおばさん達が話す声が聞こえてきた。

「昨日の一斉駆除で野良実装がいなくなって助かったわ」
「ホントホント、臭いも酷かったし、鳴き声がうるさかったしねぇ」
「駆除と消毒で、今日はもうすっかりきれいな公園に戻ってるわ」

(……?
 ……昨日の、駆除?)

じゃあ、俺が昨夜見た緑と赤の光は、一体何だったんだ?
駆除された野良実装の亡霊とか……?
いや、まさかな……。

「おっと、今日も忙しいんだった……早く出社しないと」

俺は足早にその場を通り過ぎた……帰りにこの公園を通るのはやめよう、そう思いながら。


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【ハエ実装】


俺は今、胎教が胎児実装に与える影響についての実験をしている。
まずは緑色の目薬で妊娠させた親実装の口をガムテープで塞ぎ、スピーカーでこんな胎教を聞かせる。

≪蛆ちゃんは大きくなったらハエになるデス~♪
 蛆はそもそもハエの幼虫なんデス~♪≫

通常、親から産まれてくるのは蛆実装であり、粘膜を舐め取られることで仔実装となるわけだが、
その「蛆」という名前から着想を得て、ハエ実装が生み出せないかというのが実験の目的だ。
こんな実験が何の役に立つかは分からないが、会社から給料はちゃんと出るから気にする必要はないだろう。

  *  *  *

胎教を聞かせ始めて数日が経ち、出産の日。
生まれたのは一見すると普通の蛆実装で、親実装はほっとしている様子だ。

『変な胎教をされたから心配してたデス。粘膜は舐められなかったけど無事産まれてくれて良かったデス』

リンガルを見るとそんなことを言っている。
蛆実装たちは普通の蛆実装と同じように、レフレフ鳴きながら、ケージの中を蠢いている。
……ま、この先どうなるかお楽しみだな。

  *  *  *

数日後、全ての蛆実装が繭を作り親実装は大喜びの様子だ。

『これで手足が伸びて大きくなるデス!』

さらに数日後……羽化の時が来た。
繭が割れ、中から現れたのは……。

『テッテレー!! ハエジッソーちゃんテチ!』
『ワタチおそらをとべるテチ!』
『チププ……ママは飛べないテチか?』

それは、実装の顔と手足がついたハエだった。
実験は成功だ。
見事に蛆実装からハエ実装に変態させたぞ。

そのハエ実装はテチテチ鳴きながらぶんぶんと親実装の周囲を飛び回る。
なんか糞蟲っぽいのもいるな……ハエだけに相応しいとも言えるか。

『デェェン、なんデスこれは!
 こんなのワタシのムスメじゃないデス!』

せっかく羽化した仔たちの姿が、親実装は気に入らないらしい。
それなら仕方ない、じゃあハエに効くスプレーをシューッ!

『テチャ……!』
『苦しいテ……ヂッ…!』
『クソママ早く助けるテヂィ……!』

次々と床に落ちたハエ実装は少しの間イゴイゴと手足を動かしていたが、すぐ動かなくなった。
それを見た親実装はしばし呆然としていたが、やがて泣き出した。

『…デ、デ…デェェェェン、デェェェェェン!』

動かなくなったハエ実装をその手に抱いて、親実装はいつまでも泣いていた。

……まあ、仮死状態になる実装キゼツを噴き掛けただけなんだけどな。
俺は親実装からハエを取り上げると、ケースに入れて別の部屋へと運び、身体の構造を調べるために解剖した。
その結果を報告書にまとめ、今日の業務は終了だ。

しかし胎教だけでここまでの変化があるとはなぁ……さすがはでたらめナマモノだぜ。
これだから実装石の研究はやめられない。


終

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