日当 始まり ワタシは娘たちと川原で暮らしている野良実装デス。 川原で虫を捕まえて食べる、慎ましい暮らしをしていたデス。 ある朝、川原にニンゲンサンがやってきて、野良仲間たちを集めたデス。 「仕事ができる実装石を探してるのでテストさせて欲しい。お礼はする」 仲間たちはこぞって手を挙げたデス。全く、お礼目当ての卑しい奴らデスゥ…。 …ワタシももちろん手を挙げたデス…お礼目当てでスマンデス。 テストは、ニンゲンサンが組み立てた装置の上をペットボトルが流れてくるので たまに倒れてるのがあったらそれを立てるだけの簡単な内容だったデス。 でも上手くできない仲間はいて、でもそういう仲間も怒られる事はなく 協力してくれたお礼を渡すと言われ、袋をもらって帰らされたデス。 そして、ワタシの様に上手くできた者はお礼を受け取ると、 トラックに乗せられて川原からそう離れていない近くの建物に行ったデス。 ちなみにお礼に貰ったのは、なんとコンペイトウ1個だったデス! トラックの荷台に揺られながら、ワタシは初めてのアマアマを味わったデスゥーン♪ 「さあ、今日からここで働いてもらうよ。この契約書に手で印をつけて」 ワタシたちはニンゲンサンに言われ、何か書いてある紙に赤い手形を押したデス。 紙には、休んだらクビとか日当はコンペイトウ3個とか書かれているそうデス。 その日からワタシのお仕事が始まったデス。 デププ…娘たちにもアマアマを食べさせる為に頑張るデスゥ…! …数日後、近所の野良一家が全滅したデス。 何の病気か徐々に衰弱死したそうで、娘に病気がうつらないか心配デスゥ…。 そう言えばあの家の親はニンゲンサンのテストに落ちていた実装だったデス。 顔見知りの死に、ワタシは冥福を祈ったデスン…。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 1 ワタシはニンゲンサンの工場で働いているデス。 お仕事の内容は、倒れてるペットボトルを立てる事デス。 一日働いてコンペイトウ3個もらえるデス。 「今日の日当だよ。明日もよろしくね」 その日の仕事を終え、日当をもらったワタシが、 早く帰って娘たちとコンペイトウを食べようと工場を出た所で、、 ガラの悪いニンゲンサンたちに囲まれたデス…。 「おぅおぅ、ジッソーセキがナマイキに人間の仕事してんじゃねーよ」 「オレ知ってる。ジッソーセキって糞蟲なんだぜ」 「糞蟲をヤトうとかこの工場どんだけ…ゲラゲラ」 ここはワタシを働かせてくれる場所デス。悪口は言わないで欲しいデス。 「うるせーな、じゃあその手に持った袋を寄こしたら許してやるよ」 これは今日の日当デス…渡せないデスゥ。 「いいから寄こせ!…おっ、金平糖じゃん。ジッソーセキってこれ好きだよな」 「ただの変な形の飴なのにな」 「こいつナマイキだからこの飴踏み潰しちゃえ」 ニンゲンサンはコンペイトウを踏み砕くと、笑いながら去って行ったデス。 「デェ…酷いデスゥ。でも、ギャクタイされなかっただけマシデス…」 ワタシはコンペイトウの欠片を拾い集めて家への道を急いだデス…。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 2 ワタシはニンゲンサンの工場で働いているデス。 お仕事の内容は、倒れてるペットボトルを立てる事デス。 倒れてる数は少ないデスが、見逃すと怒られるので気が抜けないデス。 「おらぁ!倒れてるのが流れてきたぞ!」 ニンゲンサンの怒鳴り声と共に、バシィッと叩く音が鳴り響いたデス。 「デギャアッ!」 どうやら隣のレーンの同僚実装がぶたれたみたいデス…暴力はやめて欲しいデスゥ。 お昼休憩には全員に実装フードが少し配給されるデスが、今日は…。 「お前、ミスが多いから昼の配給抜きな」 「デェッ!?おなかがすいたデス…」 同僚実装が配給を抜かれてしまったデス…。 かわいそうなので、ワタシはフードをひとつ落としたふりをして 同僚実装の方に転がしてやったデス。 「デ?こんな所にフードが落ちてるデス!これはワタシのデッスーン♪」 同僚実装はそれに気づいて、おいしそうに食べていたデス…よかったデスゥ。 …午後の仕事は問題なく終わって、いよいよ日当の時間デス。 一日働くとコンペイトウ3個もらえるのデス。 「はい、今日の日当だよ。あと…今度お昼の時みたいな事したら、クビだからね」 デッ、バレてたデス!? …ニンゲンサンは厳しいデスン…明日も頑張るデス。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 3 ワタシはニンゲンサンの工場で働いているデス。 お仕事の内容は、倒れてるペットボトルを立てる事デス。 一日働くとコンペイトウ3個もらえるのデス。 その日ワタシは、娘の具合が悪いので今日は昼で帰らせて欲しいとお願いしたデス。 休むとクビなので、とりあえず仕事には来るしかなかったのデス。 「早退か、うーん、君は勤務態度も良いし、認めてあげない事もないけど…」 ニンゲンサンはしばらく考えてこう言ったデス。 「こうしよう。今日は昼で帰って良いが日当はなし。でも仕事はクビにはしない」 デデッ、日当はなしデス!?そ、それはあんまりデス…! 「一日働いたら支払う契約だからねぇ…クビは勘弁してあげるんだし我慢してよね」 ワタシはうなずくしかなかったデスゥ…。 日当なしのショックのせいか、その日の仕事は一度ミスをしてしまったデス…。 でもぶたれた痛みよりも、家で待つ娘たちにコンペイトウを持ち帰れない事の ショックの方が大きかったデスン…。 「お昼の配給だよー」 ニンゲンサンが実装フードを配り始めたデス。 ワタシはこれで帰るので貰えないと思うデスが…。 「あぁ君、このフード持って帰っていいから、娘さんと食べなよ」 デエッ!?あ、ありがとうデス! まさか貰えるなんて、なんだかんだでニンゲンサンはやさしいデスゥ! デスッ、明日からは失敗しないようにお仕事がんばるデスゥ! ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 4 ワタシはニンゲンサンの工場で働いているデス。 お仕事の内容は、倒れてるペットボトルを立てる事デス。 「デェェ…この仕事は何の為にやってるんデス?」 お昼休みに配給のフードを食べながら休んでいると、 隣に座った同僚実装が愚痴をこぼして来たデス。 ワタシは日当のコンペイトウの為に働いているデスが、同僚は不満があるようデス。 「毎日仕事しっぱなしで他に何もできないデス。娘の世話もできないデス。 こうしてる間に娘が危ない目に遭ってるかもしれないデスゥ!」 確かにワタシも娘が体調を崩した事もあったデス…でもコンペイトウは貴重デス! 「コ、コンペイトウがなんデス!ワタシは家族の方が大事デスッ!」 同僚実装がそう叫んだ時、いきなり背後から声を掛けられたデス。 「素敵な家族愛だけど、君はうちの従業員には向いてないかなあ…」 いつの間にかニンゲンサンが話を聞いていたのデス…! …結局、同僚実装はタイショクキンにコンペイトウ3個もらって仕事を辞めたデス。 その後、元同僚の家からは毎朝の様に楽しそうな鳴き声が聞こえるデス…。 ワタシはその声を聴きながら、今日も日当の為に仕事に向かうのデスゥ…! ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 終わり ワタシはニンゲンサンの工場で働いているデス。 …正確には働いていた、デス。 「えー、突然ですがこの工場は閉鎖になりました」 朝、仕事前の朝礼でいきなりそう切り出され、ワタシたちはざわついたデス。 台の上に立つニンゲンサンが言うには、 『ここは実装石を労働力として使う為の実験場だったが、 一部職員の実験対象に対する不適切な対応(※)が発覚した為に 実験が中止となった。なお当該職員は処罰された』…との事だったデス。 何言ってるかさっぱり分かんなかったデスが、もう仕事がない事は解かったデス。 「退職金代わりにフードとコンペイトウの余りをあげるから持ってってよ」 工場を出る前に、ニンゲンサンはフードとコンペイトウが入った袋を、 ワタシたち一匹一匹に手渡してくれたデス。 「ミスした時は罰を与えたりもしたけどさ、 個人的には君らが働く姿を見るのは好きだったよ」 最後にニンゲンサンはそう言って、手を振ってくれたデス。 ワタシたちも手を振って工場を後にしたデスン…。 こうして、ワタシはタイショクキンを両手に抱えて家に帰り、無職に戻ったデス。 数ヶ月が経ったデス。 ワタシは日々の暮らしに追われ、工場の事なんてすっかり忘れていたデス。 でもある日、独り立ちが近づいた娘が言ったのデス。 「昔、ママが毎日持って帰ってきたコンペイトウがまた食べたいテス」 突然、ワタシの脳裏に工場での思い出が鮮明に、そして懐かしく思い出されたデス。 ニンゲンサンのテストに合格して仕事を始めた時の事。 仕事帰りに子どものニンゲンサンに日当のコンペイトウを踏み砕かれた事。 娘が体調を崩して早退した事。同僚の愚痴。そして工場との別れ…。 ワタシが工場の方向に目をやると、そこにあった建物はもうなくなっていたデス。 「…あれは夢だったデスゥ…甘い夢だったデスよ…」ワタシは娘にそう言ったデス。 「夢…テスゥ?」 聞き返す娘にワタシは何も答えず、黙って思い出に浸ったデス…。 あそこでの仕事は決して楽しいものではなかったデスが、 それでも日当のコンペイトウは嬉しかったと思うのデスゥ…。 日当 ~完~ —————————————————————————————— スレに上げたスクをまとめて加筆修正しました。 (※) 採用テストの不合格者に、遅効性コロリを与えて処分していた事。 担当職員の独断で与えられたので問題視された。 仕事をミスした実装への罰は方針通りなので問題にはならなかった。

| 1 Re: Name:匿名石 2023/06/26-09:55:16 No:00007358[申告] |
| 不幸にならずに終わって良かった |
| 2 Re: Name:匿名石 2025/07/28-19:40:37 No:00009755[申告] |
| 製糸場の女工さん? 山本茂実センセイを思い出したデス。 |