『 託児された仔の有効活用について 』 寒い寒い冬の夜。 身を切るような、冷たい風がビルの谷間を吹き抜ける。 仕事帰りの男は、身震いすると両手をこすり合わせ息をかけ暖を取った。 「寒い…おでんでも買って帰ろうかな。」 男はぽつりと呟くと、近場にあったコンビニへ足を運ぶ。 … …… 「ありがとーざしたー」 やる気のない店員の棒読みのような挨拶に見送られつつ、 男は右手にビールの入った袋と、左手にたっぷりとおでんを詰め込んだ袋を携えてコンビニから出てきた。 「ふふふ、ちょっと奮発。 早く帰って映画でも見ながら晩酌といきますかっ♪」 男は白い息を吐きつつ、にやつきながら家路を急ぐ。 ガサッ… ペコッ… 大きな容器が入っているせいか、口も大きく開いていた左手のビニール袋に、 何やら小さなモノが投げ込まれた音がしたが、晩酌に意識をとられていた男に気づく術はなかった。 … …… 男が異変に気付いたのは、自宅に戻ってからだった。 家に帰った男は意気揚々と居間のテーブルの上にビニール袋を置き、さっそく中のおでんを取り出そうとした。 だが、容器の上には緑色の液体が広がり、その液体の中心で小さな生き物がイゴイゴと蠢いているのが目に入った。 テチャァァァ!!! シャァァアアア!!! どうも仔実装石のようだが、顔面が真っ赤で、ひどく茹っている。 容器の上の空気穴から漂う匂いに釣られて、穴を長時間覗いていたのだろうか。 吹き出る蒸気を浴び続けたせいか、完全に定温熱傷を起こしているようだ。 火傷の痛みに耐えかねて、糞を漏らし、更には自分勝手にも、容器の持ち主である男に対して責任転嫁の奇声を発しているのだろう。 「……やられた。 …託児されちまったか。」 男は、仔の威嚇に辟易しつつも、スマホに入れているリンガルアプリを起動した。 「テチャァァァア!! ドレイニンゲン!ごはんを食べるのを邪魔したばかりか うつくしいわたちにイタイイタイするとは何事テチっ! 謝罪と賠償を要求するテチぃぃ!!!」 テンプレの奇声なぞ、気にも留めない…と言いたいところだが、男は腹の虫が収まらなかった。 本当なら、今頃は映画を見ながら、おでんを肴に晩酌していたはずのだ。 それなのに、肴の上に汚物をまき散らされて、 更には聞くのも堪えがたい罵詈雑言を浴びせられれば、誰でも怒りを感じるだろう。 「………。」 パキッ むんずっ! 「テェ!! なんでわたちを掴むテチ、降ろすテチ降ろすテチ!」 男は無言のまま、割り箸を使って器用に仔実装をつまみ上げ、 汚物で汚れたおでんの蓋を外して、湯気が立ち上る出し汁の中へ仔実装を漬け込んだ。 ドポンッ! バシャバシャッ! 「テジャァァァァァアア!!!!!??? あついテチあついテチぃぃぃぃ!!!ひぃいいああああああ!!!!!」 仔実装は、おでん出汁の中で悶え打ちながら沈んでいく。 ガポガポと沈んでいく仔を見ながら、男はビール缶を開けてチビチビと晩酌を始める事にした。 どうせ食えないのなら、そのまま捨てるより、仔の苦しむさまを肴に飲むのも悪くない。 そう考えたのだ。 無論そういうわけなので、簡単には済ませない。 ひょいっ! ぽふっ! 「テハァァ!テヒィィィ!!!あちゅいあちゅいあちゅいてちぃぃぃぃ!!!! おいドレイニンゲン!高貴なわたちに対してこの対おry ゴボゴバゴベ!!!??」 割り箸で出汁の底に沈んだ仔を引き上げては、大根の上に置いて、ひと息つかせる。 仔がテチテチと涙を流して鳴き始めたら、大根を切り分けて仔の足場を崩し、細切れになった大根をグリグリと仔の口に詰め込んでいく。 「もがげぼっ!? あじゃぁぁぁあああああああ!!!!!!!!! あぢゅいデヂィィ!!!!焼ける焼けるぅぅ!ポンポンイタイイタイテヂャァァアアアアアアア!!! ひぃぃいいああああああ!!!!!ギャァァアアア!!!!!!」 アツアツの大根を、冷ます事もせず、咀嚼も赦さず喉奥へ突っ込んでいくのだ。 人間でも軽く火傷する。熱に弱い実装ならば、もはや拷問といっても良いだろう。 仔の全身は瞬く間に茹立ち、消化器官は焼け爛れる。 そんな動作をおでんダネの足場が無くなるまで延々と繰り返した。 男は、仔の姿を見つつ、ちびちびとビールを飲んでいたが、さすがにワンパターンすぎて飽きた。 何より、おでんの温度が下がってきたせいか、仔がテチュ〜ンと鳴き始めたから、余計に癇に障ったのだ。 「テチュ〜ン♪ チプププ、あったかいお風呂に入りながら、おいしいごはんをお腹いっぱいに食べれるなんて、 わたちのようなセレブにふさわしい待遇てちゅ〜ん♪ ドレイニンゲン、ほめてつかわすテチ♪」 仔は全身を真っ赤にさせていたが、出汁風呂にゆったりと浸かり、そこらに散らばって漂っている具材の破片を食いつつ 生意気にも、そんな発言をしだした。 「ちっ!!!」 男は思わず舌打ちをすると、ビール缶を置いて 仔を出汁風呂から引き上げる。 「テプププ、お風呂の後はキレイキレイするテチ?チププそれとも辛抱たまらなくなったテチ? わかったテチ、わたちのうつくしい体に触れる権利を与えてるテチぃ♪」 仔の妄言に辟易しつつ、男は仔の髪と服に手をかけて念入りに千切り始めた ブチッ!!! ビリビリッ!!! 「テジャアアアアアアアアアアアアア!!!!??? ドレイニンゲンなにするテチぃ!!!!!!! わたちのうつくしい髪がぁぁああ!!!!!!!!??? 大事なお服がぁあああああああああ!!!!!!!!!!!」 「キレイキレイしてほしいんだろ? その汚物みたいな髪と服を取り除いて、ちゃーんとキレイキレイに禿裸にしてやったんだ。 このドレイニンゲン様に、最大限の感謝をしやがれ、この糞蟲が。 ついでにてめぇみたいな糞にお似合いの家をくれてやるぜ。」 ジョボボボ! ボソンっ! 「てべっ!?」 男は台所の流しに置いてある三角コーナーに赴くと、おでん容器の出汁ごと禿裸にした仔を無造作にコーナーの中へ流し込んだ。 「てめぇみたいなクズは、そこで死ぬまでクズでも食ってろ糞が。」 男は吐き捨てるように、台所から離れる。 ちょうど、その時。 コンコンっ …どうやら、託児した糞親も来たようだ。 これはもう、殺るしかないよね? ガチャッ! ドガッ! デヂャ!? ぼてっ… 「ヒャッハァァァァアア!!!!!!!!!!!」 デジャァアアアア!!? ギャァアアアア!!!!!! 男はドアを勢いよく開けて、親実装を弾き飛ばすと有無を言わさず髪と服を引き千切り、両手を握り潰した。 親実装は、悲鳴をあげながら這う這うの体で、男から逃げ出した。 玄関先に散らばる髪と服と、そこから続く赤と緑の血の筋を見て、少し冷静になった男は、 片付けしなければいけないな…と深い溜息をついて。掃除道具を取り出した…。 … …… 男が翌朝目を覚ますと、台所から何やらギャーギャーと音がする。 三角コーナーを覗いてみれば、昨日コーナーの中に流し込んだ仔が騒いでいる音だった。 テチャぁああ! てっぢぃぃい!! コーナー内の残飯を綺麗に食べ終わったようで、 腹が空いたテチだの寒いテチだの風呂に入れろテチだの暖かいお布団を要求するテチだのと …まあリンガルを起動する気にもならないが、おそらくそんな感じで鳴いているんだろう、どうせ。 男は、仔のテチテチテチャテチャという騒音をBGMに朝食を作る。 そろそろパンの賞味期限が切れそうだったので、朝食はフレンチトーストにしよう。 余った牛乳と溶き卵の残りを仔の上にボトボトと垂らしてやると、 仔は冷たい洗礼に、またもギャーギャー騒ぎ出す。 はいはい、テンプレはもういいから。早く死ね。 … …… 結論から言うと、仔は存外に死ななかった。 3週間もの間、流し台の三角コーナーの中で生ゴミを糧に生き延び続けた。 加熱した油を捨てて、全身くまなく焼け爛れても。 フライパンに焦げ付いたカスを洗剤で洗い落とし、仔の上に降り注いでやっても。 仔はテチャテチャと呆けた笑いを浮かべながら男を見上げて、残飯を漁っていた。 ぬめりや水垢まで綺麗に舐め取ってくれているので、この3週間はネット替えの必要もなく、 これは、ちょっとしたお役立ちアイテムになるのでは…と、男が思い始めた時、ひょんな事で仔は死んだ。 仔の命が尽きる最後の1日、男は仕事で多忙だった。 朝昼夕、すべて外食で済ませ、仔が起きている間に家に帰る事もなかったのだ。 男がやっとの思いで仕事を終わらせ、自宅で料理をしようと流し台を覗き込むと、昨日までは元気にテチャテチャ鳴いていた糞蟲が、 血涙の痕を残し、空に向かって片手を伸ばしながら目を白く混濁させていたのだ。 どうやら男に見捨てられたと思って、寂しさから偽石を崩壊させてしまったのだろう。 やはり実装石にとって、誰からも相手にされないというのが一番堪える扱いのようだ。 わざわざ死体を片付けるのも面倒だし、さて、どうしたものか…。 … …… 次の日の仕事帰り、男はコンビニに寄った。 「すみません、おでんください。 あ、汁と具材は別々の容器に注いでもらっていいですか?」 「へ?はぁ、別にいいですけど。」 男の要求に、店員は疑問を抱きつつ、具材と汁を別々の容器に分けて入れた。 「ありがたーしたー」 やる気のない挨拶に見送られながら、男は、汁が注がれている容器の蓋を開けると わざとビニール袋の口を大きく開いて、のんびりと家路についた。 ボチャンっ!バシャバシャ! テジャアアアアアア!!!!?? しばらくすると、容器の中に何かが投げ込まれた音がした。 ははは、さっそく掛かったか。悲鳴あげてら。まあ食べ物を期待していたら、いきなり熱湯風呂だもんなあ、熱いだろうなぁ。笑える。 さて、また家まで着いて来られたら片付けが大変だし、その辺にいる親をいじめてから帰るかね。 ああ、電信柱の影にいたな。 デ!? デェ!? 男が足早に近づいてくると、糞親は、驚いて声をあげた。 男は、糞親の声には一切反応せず、ただ足を大きく上げて、親の前に踏み下ろした。 ダンッ!!!! デギャアアアアアア!!!!??? 踏みつぶされると直感したのか、親はパンツにこんもりと脱糞しながら、バタバタと逃げ出す。 取り敢えず、道端を汚さずに済んでよかった。 さすがに道路を汚物で汚したら、片付けが面倒すぎるもんな。 家に帰った男は、さっそく出汁の中でバチャバチャてぢゃてぢゃと泣き叫んでいる仔を三角コーナーに流し込む。 翌朝、出勤前にコーナーを覗いてみれば、昨日の仔が、前の仔の死体を綺麗に食べてくれていた。 うん、これはいい。 … …… それから数か月経ち、おでんの季節が終わる頃には、 男の方も、コンビニ店員にすっかりと覚えられて、 「いつもの」で通じるほど有名になってしまったとさ。 お し ま い

| 1 Re: Name:匿名石 2016/12/14-19:14:57 No:00003126[申告] |
| コンビニ託児でのおでんネタ、台所流しの残飯処理飼いネタ
既存だけども巧く話し作ってるわあ 文章も読みやすく描写もアッサリさせてこういうので良いんだよ で、おでんの季節が終わるまでに何匹ヤッたんだ?ww |
| 2 Re: Name:匿名石 2016/12/14-21:06:48 No:00003127[申告] |
| ついさっきまでおでんネタしてきていた相手を前にあたたかいお風呂だとか言い出す記憶力のなさ
糞蟲ってアホだなあ |
| 3 Re: Name:匿名石 2016/12/14-21:59:29 No:00003128[申告] |
| >そこで死ぬまでクズでも食ってろ
この時点で甘すぎるわ 殺す気ねえじゃんこいつ 親も禿裸にして手潰しただけで逃がしてるし、きっちりトドメ刺さないのはほんとモヤモヤする 長く楽しむのもいいけど、それならそれで少しでも楽しませちゃ駄目だろ |
| 4 Re: Name:匿名石 2016/12/15-02:14:30 No:00003131[申告] |
| 託児の追っかけ家族はリリースが基本的自衛手段じゃん |
| 5 Re: Name:匿名石 2016/12/15-02:33:16 No:00003132[申告] |
| リリースなのはいいとして中途半端に傷つけて返して公園まで送り届けないのはまずい気がする
途中で他の人や違う公園の野良にでも襲撃されて帰ってこなかった→あそこは楽園認定されたら困るだろうに詰めが甘い |
| 6 Re: Name:匿名石 2016/12/15-07:35:08 No:00003133[申告] |
| ペットショップ店員さんの回でも思ったけど、この作者さんの描写する実装の叫び声が凄い好き |
| 7 Re: Name:匿名石 2016/12/15-08:47:54 No:00003136[申告] |
| 最初は実装石相手に対等に怒っちゃうダメ人間っぽいと思ったけど
これは怒りからの虐待を通じて実装石を好きになっちゃったパターンだな 形は違うけどこれが男の『飼い方』なんだろう |
| 8 Re: Name:匿名石 2016/12/15-09:05:08 No:00003138[申告] |
| と、思ってたらポチの作者さんでびっくり
試験的に虐待を書いたと仰ってたけど根底には実装愛が流れる作品になってますね |
| 9 Re: Name:匿名石 2016/12/15-14:29:20 No:00003144[申告] |
| 愛情ある飼い主にエサをたっぷり貰って良かったね実装ちゃん! |
| 10 Re: Name:匿名石 2016/12/17-16:38:24 No:00003187[申告] |
| ウホッいい虐待派
虐待も愛護も書けるなんてすばらしいね やらないか? |
| 11 Re: Name:匿名石 2016/12/25-14:55:17 No:00003421[申告] |
| 熱々おでんで、鶴太郎を思い出しました。 |
| 12 Re: Name:匿名石 2026/03/25-10:02:43 No:00009914[申告] |
| 絶対部屋も匂いが移って臭い虐待人間になってるじゃんヤダー
早く会社から消えてくれないかなって言われてる |