タイトル:【燈虐装】 実装のいる風景5 とっくり実燈
ファイル:実装のいる風景5 とっくり実燈.txt
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初投稿日時:2007/06/15-22:57:48修正日時:2007/06/15-22:57:48
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実装のいる風景5 とっくり実燈


 家周りを見てまわっていたら、裏庭の軒に丸いものがぶら下がっていた。
 夏ミカンほどの大きさだ。おそらくスズメバチか大型のアシナガバチの巣だろう。
 毎年この時期になるといろいろなハチが家の周囲に巣を作る。
 ハチは危険な昆虫だが、畑の害虫をとってくれる益虫でもある。
 しかしこうも家の近くに巣を作られると、安全のため駆除しないわけにはいかない。

 巣が小さい今なら、叩き落して殺虫剤をかければ一人で排除できる。
 秋に柿ぼりに使う長い竹ざお(自家製)をとってくる。
 万一の時にはすぐ避難できるように近くのサッシを開けておく。
 手近に殺虫剤をおいてソロソロと竹ざおの先を近づけると、巣の裏に黒い影が見えた。見張り役だろうか。
 しかしよく見ると黒い生き物はオオスズメバチにしてもずいぶん大きく形がおかしい。
 どちらかというと鳥に似ている気がする。
 竹ざおをいったん下に下ろすと、黒い影がパタパタこちらに飛んで近づいてきた。


 ルトールトーと鳴いている。


 実装燈だった。まぎらわしいヤツめ。


 実物は初めて見るが、こいつは『とっくり実燈』という実装燈の亜種のようだ。
 一般の実装燈は寄生蜂のように生きた実装石の体内に卵を産みつける習性が知られている。
 この亜種は狩り蜂のように蛆実装や親指実装を麻痺させて捕え、巣に持ち帰って卵を産みつけるらしい。
 一般の実装燈はなるべく大型の成体実装に卵を産みつけたがる。
 捕食される危険を冒してまでも成体を狙うのは、仔だと産みつけた卵ごと他の生物に捕食される可能性が高いからだ。
 しかし『とっくり実燈』は安全な巣に確保した獲物に産卵することによってこれらのリスクを減らしているのだ。
 実装生物の多様な生存戦略がテレビ番組で放送されていたときに、この『とっくり実燈』の生態も見たことがある。


 亜種でも実装燈なら話が通じるだろう。リンガルを起動して話をしてみる。

 「ルトルトー」
 (やめてルトー せっかくつくったオウチこわしちゃイヤルトー )


 ハチだからといって家のすぐ近くに巣を作らなければ駆除するわけではない。
 まして害蟲駆除を助けてくれる実装燈ならツバメみたいなモノだ。
 とりあえず家の中には入り込まないことと、窓や壁に糞をひっかけて汚さないことを命じてみた。

 「(わかったルト オウチはきれいがいいルト オヤカタサマのオウチもよごさないルト)」


 この実装燈は衛生観念や性格が悪い個体ではなかったようだ。
 変種の実燈の生態に興味もあったので巣作りを許すことにする。



 それから時々、麻痺させた禿裸の蛆実装や親指実装を抱えた実装燈が飛んでいるのを見かける。
 麻痺していても恐怖でポトポト糞便が垂れ落ちて、すっかり糞抜きも出来ているようだ。
 わざわざ禿裸にしてあるのは重量軽減のためだけでなく、巣に詰める際の体積削減の意味もあるのだろう。
 ちょうどツバメ程の大きさの親実燈は巣の中へ直接入らない。
 丸い巣の上のほうに窓が開いていてそこから獲物を詰めている。


 ある日、裏庭に面した生垣の周りで野良実装石親仔がうろついていた。
 オレが家から出てくるとデジャテヂャ騒ぎたててくる。

 「(ここからウチの仔の臭いがするデス 高貴なワタシを待たせたお詫びにスシとステーキを献上するデス)」

 「(親指ちゃん返すテチ それにコンペイトウもよこすテチ そしてアタチを飼うテチ)」

 「(ユカイハンはこのウジちゃんがみてたレフ かんねんしてプニプニするレフ)」


 ツバメが人家に巣を作りたがるのは、巣を襲いに来る蛇やイタチを避けるためだとされる。
 これも似たようなものだろう。
 成体と仔実装はちょうど使いみちがあったので殺さずとっておくことにする。
 蛆実装はカップ麺のドンブリに入れて巣からよく見えるところに置いておく。

 「(ユカイハンかくごするレフ このウジちゃんがあいてレフ)」

 「(オヤカタサマありがルトー)」

 「(ネングのおさめどきレフ オヤユビネーチャかえすレフ)」

 「(イキのいいウジちゃんでうれしいルトッ)」

 「(レヒ゛ャアアアッ! イタイレフッイタイレフッ! チクチクしちゃイヤレフーーッ!)」

 「(さっさとシビれルト)」

 「(なんかピリピリするレフッ? ウジちゃんカラダがうごかないレ レ? レ フレ レレ・・・ )」 


 少し離れた物陰から狩りの様子を観察する。
 とっくり実燈は細身の剣で的確に蛆実装の神経節を刺していく。
 あの剣は実蒼石のハサミのように生まれもってくるそうだ。
 普段は体内に収納されていて飛行の邪魔にならないらしい。
 剣の麻痺毒は体内に収納されている間に補充される。

 「(ママーー オネーチャーー ドコイッタレフーー?! タアスケテレフーー ウジチャンピンチレフーーーン! )」

 「(オーケケソリソリ フークをビリビリ ムーイテムシッテ ハゲハダカーー♪)」

 「(ヤメテレフーー レ フェ … ウジチャンハゲハダカニサレチャタレフ レェェ…ン レェェーーー …… ・・ ・・ )」


 とっくり実燈の狩りはあっという間だ。
 蛆実装はまだ弱々しく口を動かして来るはずのない助けを求めている。しかし体はまったく動かない。
 実燈は無抵抗の獲物から剣で髪をそり落とし、切り裂いた服をむしり取った。

 実装石を麻痺させる実装シビレの基礎成分はとっくり実燈の麻痺毒の研究から生まれたとも聞く。
 麻痺して痙攣する実装石親仔に吊りひもをくくりながら、薀蓄を思い出す。
 成体と仔実装には最近発売された新製品『蚊取り実装』を使ってみた。
 これはその実装シビレと殺虫剤を組み合わせたものだ。
 薬液を注射した実装石を転がしておけば血を吸った蚊を駆除してくれる。
 半信半疑だがCMにつられて買ってきた。


 「(ニンゲンサーーン コノママジャウジチャンコロサレチャウレフー ナンデタスケテクレナイレフーー? )」

 「(あとはクソぬきルト さっさとひりだすルトッ)」

 「(タカイレフ コワイレフッ ウジチャン ウンチモレチャウレフーーッ! )」 


 それから実燈は蛆実装を持ち上げて何度か高度を落とし糞便を出させる。
 ちゃんとドンブリの上で上下してなるべく庭を汚すまいとするところが健気だ。
 ここまでされたら普通の蛆実装なら恐怖で偽石を崩壊させてもおかしくない。
 しかしとっくり実燈の麻痺毒には偽石安定成分も含まれているので獲物が勝手に死ぬことを許さない。
 自然というものは大したものだ。この仕組みは『蚊取り実装』にも応用されている。
 声を出す力も垂れ流す糞もなくなった蛆実装を実燈が巣に持ち帰る。
 今日はよいものが見れた。



 やがて1週間もすると、丸い巣の窓がふさがれ、親実燈は姿を見せなくなった。
 実装燈は安全な場所を間借りしに来ていただけで、別に餌を期待して来ていたわけではなかった。
 観察のために裏庭のサッシを開けるとルトルト鳴きながら近くまで飛んでくることもあった。
 しかしそれでも手の届く距離まではなかなか近づこうとしなかった。
 本当にツバメ程度の懐きかただったなと思うが、野生動物と人間の適切な距離だと思う。


 それから一月ほどしたころの夕方、巣の上のほうに窓が開いて、中から小さめの実装燈が顔を覗かせた。
 キョロキョロ窓から周囲をうかがっている。おそらく巣立ちは安全な夜になってからだ。


 人間と野生動物の関係は難しい。
 しかしお互いの距離を間違えなければ共に生きることはできるはずだ。


 蚊取り実装に使っていた実装石親仔の死骸を片付けながら、巣立っていく実装燈の行く末に幸あれと祈ることにした。




−− 終わり −−

春の味                  初スク
春の味2 実竹煮             2スク
春の味3 身近な野草の天婦羅       3スク
実装のいる風景1 春の思い出       4スク
実装のいる風景2 春の災難        5スク
実装ストーンステーキ           6スク
川辺の蛆実装               7スク
蚊取り実装                                8スク
海実装の食べ方              9スク
実装のいる風景3 初夏の思い出     10スク
仔実装ちまき                            11スク
実装のいる風景4 実装玉        12スク
お手軽炙り実装燻製風          13スク
夾竹桃(キョウチクトウ)                14スク
実装のいる風景5 とっくり実燈
                                   《 大鍋146 》

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1 Re: Name:匿名石 2016/12/21-05:25:37 No:00003270[申告]
いーとーまきまき いーとーまきまき ひーてひーて とんとんとん♪
2 Re: Name:匿名石 2016/12/21-08:16:41 No:00003275[申告]
幸あれ
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