餌2−食い物の怨み− 最近菜園代わりにしているプランターが荒されてると思ったら、野良実装の親子が失敬していることがわかった。 これはちょっとお仕置きが必要だ。 ということでいじり倒してあるボルトアクションライフルタイプのエアガンを引っ張りだしてきた。 改正銃刀法には接触していないものの、ノーマルの状態より三割ほどパワーを上げてある。 実装石に対してはいささかオーバーキル気味だが偽石を割らなければどうということはない。 早速ガンケースから出し、自宅の裏庭に作った簡易シューティングレンジでスコープの調整を兼ねて何発か撃ってみる。 調整が終わったら部屋の中に戻り窓を開け、ヴァイポッドを展開してプランターのほうに銃口を向けて伏せ撃ちの体勢をとった。 腕が腕だけに一発で仕留めるつもりはないが、外すつもりもない。 だから弾は事前にマガジン一杯に詰めてある。 スコープを覗いて十分もしないうちにデスデステチテチという鳴き声が聞こえて来た。 この場所は菜園からだと箪笥の陰になって実装石側からは見えない。狙い放題である。 野良実装の親がスコープの視界に入った。だが子供は離れた処にいるのか鳴き声だけで姿を見せない。 「(デプププ……ここのプチトマトは絶品だったデス。また持って帰るデス。隷属のバカニンゲンに食わすには勿体ないデス)」 デーデーデスデスと上機嫌でプチトマトを摘んでコンビニのレジ袋に放り込む親実装。 そこへテチテチと甲高い声を上げて仔実装が三匹ばかり走りよってくる。これで全部のようだ。 まずは一番ドン臭そうなのから的になってもらう。 トリガーセイフティを解除し、ボルトハンドルを起こし手早く手前に引いて元の位置に押し戻す。 呼吸を落ち着け、鼻から吸った息を半開きにした口からゆっくりと吐く動作を繰り返し、クロスヘアの中心に仔実装の胴体を捕らえる。 トリガーを一気に引いてシリンダー内のスプリングとピストンを開放する。 サプレッサーを装着しているため、ボスッ! とくぐもった音とともにBB弾が発射された。 「テッ!?」 弾が命中した仔実装は、自分の身に何が起こったのか解せぬまま、その身体を数十センチ弾き飛ばされ、芝生の上に転がる。 その身体は上半身のほぼ半分が吹き飛んでおり、脱糞しながら残った手足が小刻みに痙攣していた。 「(デジャアァー!? 三番目! 一体どうしたデスー!?)」 我が子の異変に気がついた親が血相を変えて飛ばされたほうへと駆け寄り、何が起きたのかと周囲を忙しなく見回している。 しかし、こちらにとってその行動は飛んで火にいる何とやらであり、わざわざ狙いやすい場所へ移動してくれただけに過ぎない。 BB弾をチャンバーに再装填し再びトリガーを引く。 「デッギャアァァァーーーッ!!!!」 親実装がパンコンし悲鳴を上げた頃には、その脚に風穴が開いていた。 「(デギャー! ワダヂの脚がぁぁぁ!! あじがいだいデズー!!)」 「(ママー、何やってるテチィ? ワタチもやりたいテチー!)」 「(オネーチャンどうちたテチー?)」 大怪我をしてギャーギャー喚いている親のところに残りの仔実装たちが寄ってくる。 鳴き声から察するにこの状況を全く理解していないとほぼ間違いないだろう。 「(デビャアァー! お前たちこっち来るなデス! 早く逃げろデス!!)」 「「チィ?」」 親が何か言ったらしく二匹が止まって首をかしげているが、的として狙いやすくなっただけである。 三度目のトリガーが引かれ、一発のBB弾が二匹を仕留める。 手前にいた仔実装を貫通したせいで弾の運動エネルギーが低下するのは防ぎようがないことだ。 奥にいたほうはBB弾が体内に入ったはいいが貫通まではしていないようだった。 だが、これが丁度いいさじ加減となり、見事な生殺し具合である。 エアガンをバケツに持ち替えて外に出る。 偽石があるおかげで即死という選択肢がない哀れなナマモノをゴミバサミで摘まみあげ、バケツの中に放る。 飛び散った腕や肉片は他の生き物が処理してくれるだろう。 「(ニンゲン! やっぱりお前の仕業だったデスカ!? 立場をわきまえない奴隷は食い殺してやるデスゥ!!)」 まだ吼える元気はある。これならそう簡単には死ななそうだ。 流石にコイツらを素手で扱うのは気が引けるため、ラテックスの手袋をはめる。 そしてお約束の如く禿裸になってもらう。 「(デェェェ!! 怪我してなかったらキサマのようなクズには絶対負けないデスゥ!!)」 「(……お腹……スースー……コンペイトウのお花畑……きれい……テチィ)」 「(痛いテチィ……ニンゲンは糞蟲以下の外道テチ)」 「(ワタチの……うで……テェ……)」 やはり親が一番ピンピンしているようだ。 仔は二匹が虫の息だがBB弾が貫通していない個体は立てはしないが何とか自力で動けるらしい。 やはり少しでも逃げて抵抗してくれなくては面白みがない。 禿裸の親子を床材のふすまが四分の一ほど敷かれた大型のプラ水槽の中に落とす。 プラ水槽の中で蠢いているクリーム色に薄茶の縞を持ったワームたちが落ちてきた生餌(なまえさ)に群がる。 キマワリの幼虫。一般にはジャイアントミールワームの名でアロワナのや爬虫類の餌として売られている雑食性のワームだ。 ジャイアントミルの顎は植物の硬い繊維を噛み切るため強力である。 だからトカゲなどに頭を潰さずに与えると、胃壁を食い破ってしまうこともあるというから、実装石の脆い肉体など容易く噛み千切っていく。 「ヂイィィィ!!!! デギャアァァァーーー!!!!」 ここでも親が一番騒いでいる。仔実装たちは殆ど抵抗することなくただ肉を貪られている。 「(デェ〜……どうじで? どうじで高貴でセレブリチーなワタチがぁ……デスゥ〜)」 実装石よりはるかに高等な生物である昆虫も本能には忠実である。そこに肉があれば喰う。ただそれだけである。 「(ビェェェ! かじるなデスー! この! この!)」 親実装は襲い来るジャイアントミルを潰そうとするも、外皮が硬い上に滑らかなため指のない実装腕では効果的な打撃を与えることは不可能だった。 そろそろと思い仔実装を貪っているジャイアントミルの群れの中にピンセットを突っ込み、頭部の辺りを探る。 肉片に食い込んだ偽石を見つけて摘み上げ、栄養剤の小瓶の中に投入した。 他の二匹の偽石も同じように回収し栄養剤に浸す。ついでにBB弾も回収しておく。 肉塊の一部が激しい痙攣を始めた。 肉体と偽石の環境のギャップから来る反応のようだ。 そこへ我が子が生き地獄を味わっていることに気づいた親が血涙を流しつつ媚びてきた。 しかし相手は虐待派ではなくジャイアントミルなので効果は皆無に等しい。 そしてそして結局自分も同じ結末をたどる。 「(デビャアー! 食うなデスー! やめろデスー!! あごおぉぉぉ……)」 ついにジャイアントミルが総排泄孔から体内に侵入したようだ。 生きたまま内蔵を食い散らかされる激痛にのたうちまわる親。 やがてその肉片からも偽石を回収し、小瓶に入れる。 そう簡単には死なせてやらない。 実装石だった肉片を回収し、水洗いしてから活性剤を希釈した生理食塩水を張ったイチゴのパックに漂わせる。 偽石はまだ割れていないからしばらくすれば再生するだろう。 コイツらには偽石が壊れるまでジャイアントミルと遊んでもらうことにする。 楽しみにしていたプチトマトの初なりを食い損ねた怨み、とくと知るがいい。 了 熱帯魚屋のジャイアントミルをみて思いつきましたとさ by似非蜥蜴 三スク:餌2 二スク:夜狩り 初スク:餌
