タイトル:【虐】 逢いに行っても、いいですか? 5(LAST)
ファイル:逢いに行っても、いいですか?5.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:3744 レス数:1
初投稿日時:2007/06/09-17:05:27修正日時:2007/06/09-17:05:27
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逢いに行っても、いいですか? 5


●としあき:
 通勤路の途中の河川で、仔実装と親指実装の姉妹を発見した会社員。
 姉妹を気に入り、食事などを提供する。
 現在、二日間の出張中につき姉妹とは逢えず。

●姉仔実装/親指実装:
 橋桁と堤防の間に出来る隙間を住処にしている、実装石の姉妹。
 人なつっこくて大人しく、姉はそこそこ賢いが妹は物忘れが激しい。
 現在、姉は半死半生の地獄体験中、妹は死亡。

●ひろあき:
 虐待派のフリーター。
 最近、河川敷で実装石を見かけなくなりストレスを溜めていたところに
 仔実装姉妹を発見し、虐待魂を燃焼させていたが、姉妹の様子がおかしい
 事に気付き始める。



       ※           ※           ※


 ワッチキャップの男に消毒液の浣腸を受けた姉仔実装は、腹部…否、もはや全身に広がった激痛に
のた打ち回っていた。

 腹が苦しい! 焼けるように熱い! 痛い!!

 総排泄孔から押し込まれた消毒液が内臓壁を傷め、同時に残留している大量の糞を冒していく。
 身体の中で花火が暴れまわっているような、想像を絶する痛み。
 姉仔実装は、声も出せず、無意識に背を反らした。
 舌は真っ直ぐ天に向かって伸び、血涙は止め処なく流れ落ちる。
 やがて、総排泄孔から糞が少し漏れたが、それは水分をほぼ完全に失った固形便だった。
 最初は小さい粒状のものだったが、次に控えているのは、ともすれば姉仔実装の総排泄孔より遥かに大きい
塊だった。
 それが栓になり、姉仔実装の体内を荒らす「猛毒」の循環を補助してしまう。
 姉仔実装は、いつまでも解放されない地獄の苦悶に苛まれ、意識を飛ばしそうになっていた。
 だが、彼女は自分が妊娠している事に気付いていた。
 せめて、腹の中の子供達だけでも無事に出産したいと思っていた。
 そのため、必死で意識と気力を維持しようとしていた。
 気絶しないように、狂ってしまわないように…必死で戦った。

 ……ッ!!! ……ッッッ!!!

 全身が紫色になり、口から大量の血と水、吐瀉物、消毒液の一部が漏れ出した。
 焼けるような痛みを顔にも感じ、姉仔実装は、この極限の条件下にも関わらず「口から吐き出せばいいの
では?」という回答を導き出した。
 すぐに嘔吐しようと口を大きく開くが、次の瞬間、何かが口の中にズボッと入り込んできた。
 それは、折りたたまれたビニール袋だった。
 逆流させないように、男が詰め込んだのだ。

「吐くな」

 ………ッッッッ!!!!

 男の冷酷な呟きが聞こえた。
 逃げ道をすべて塞がれた姉仔実装は、全身と、裂け始めた総排泄孔の激痛、そしてビニールによる行き場
のない嘔吐感に煽られ、一瞬すべてを諦めた。
 優しく接してくれたとしあきの顔を思い出したその時、下半身が、ビリッという音を立てた。

 ド…ドボオォォォォォォッッッ!!!

 テッテ…レピャアッ!!

 ドボドボドボドボドボドボドボドボ

 テッ…レピャアッ!!

 ドクドク、ドクドクドク……

 決壊した総排泄孔からは、今までこんな小さな身体に収まっていたとはとても思えない量の糞便が噴出
された。
 それに混じり、大量の水、血、粘膜、そして蛆実装が流れ出る。
 既に死んでいる親指の身体も、糞便の流れに押されていく。
 噴出の勢いで、姉仔実装の身体は噴き飛び、巣の壁に背を思い切り打ち付けた。
 その衝撃で、姉仔実装は微かに残っていた意識すらも失ってしまった。

 レ……ピィ……

 噴き出された排泄物に混じった蛆実装達は、悲惨な状態だった。
 固形化した糞に挟まれて圧死する者も居れば、既に死産だった者も居る。
 また辛うじて無事に出て来た者も、粘膜に包まれたまま遠く離れた場に放置されている。
 やがて、蛆実装達は声も上げなくなり、短すぎる一生をあっさりと終えた。


 一連の過程を余す所なく眺めていた男は、とても満足そうに微笑むと、姉仔実装の口からビニールを引きずり
出し、瞼を開いてまだかろうじて生きている事を確認して、その場を静かに立ち去った。
 
 その笑顔は、とても満足そうだった。


       ※           ※           ※



 午後六時。
 なぜかすっきりしない目覚め方をしてしまったひろあきは、パソコンを立ち上げて“実装石・虐待紳士社交
コミュニティ”にログインした。
 例の毒殺トピックが、また伸びている事に眉をしかめる。
 気になる点がいくつもあるので、ひろあきは我慢してページを開いた。
 ログを遡る……途中、「親指」という単語が目に止まった。




・すれあきさんの投稿:

 風邪薬はかなり使えるよwww
 ほら大人の用量を子供が飲んで倒れたとかよくあるじゃん
 それを身体の小さい実装石でやるってんだからすげ〜効果ばつぐんwwww
 つか抜群すぎたwwwwwww
 今日親指に飲ませてみたらwwwwwww即死wwwwwwwwww


・なべあきさんの投稿:

 mjk


・やおあきさんの投稿:

 それは同じ実装石ファンとして許せない行動だな
 いいぞもっと殺れ



・すれあきさんの投稿:

>ひゃっはあき
 メールトン
 60日原液の実験もかなり利いてるよwwww
 おいらが実験に使ってる野良ほとんど生ける屍状態wwwwwww
 また今度新しい技開発しようze!!


・にじあきさんの投稿:

>すれあき
>60日原液の実験

 ちょっとごめん
 これ何の事?


・すれあきさんの投稿:

>にじあき
 ひゃっはあきの提案でさwwwww
 蚊取り線香の60日用カートリッジってあるじゃん
 あれの中身を水に溶かして飲ませたらどうなるかってwwwww
 試してみたらスゲーんだwwww
 体調悪化なんてもんじゃねー仔実装が死人みたいな顔になってさwww
 デコピンしても全然痛がらねーのwwwww
 意識もあるのかねーのかわかんねーしありゃもうゾンビだよwwww
 ほんのちょっと混ぜただけでスゲー効果あんのなwwww
 あれは予想外に楽しかったwwwww



 ——以前から感じてはいたが、これらはまるで、あの河川敷の仔実装姉妹が陥っている状況そのままでは
ないか。
 似ている、などというレベルではない。
 慌てて、さらに前のログまで遡って読み返す。

 キャベジソで飢餓感を煽り、塩分・塩水投与で強烈な枯渇勘を与え、香りの強いものや甘すぎる物で嗅覚・
味覚を殺す。
 正露丸で便秘をさせ、濃縮コーラで太らせる。
 60日蚊取りの原液を飲ませて体力と神経を消耗させる。
 合致するポイントが、あまりにも多すぎた。

 以前は、このトピックに参加している誰かが、ここからネタを貰ってあの姉妹に試しているのではないかと
考えていたが、どうもそんな回りくどい話ではなさそうだ。
 まさか、すれあき自身が……

 やがてひろあきは、過去ログの中に「消毒液を浣腸」という、とんでもない記述を発見した。
 すれあきに対して、自分でも説明のつかない奇妙な「怒り」を覚え始める。
 焦る気持ちを無理矢理押さえつけ、各投稿のタイムスタンプを確認した。
 どうやら今は、すれあきが数分間隔で細かくレスを入れているようだ。
 ひろあきは、久しぶりにトピックに書き込んでみた。
 


・ひろあきさんの投稿:

>すれあき

 お前それ、一体どこで試してるんだ?



 ——書き込み確認後、数分待ってリロードしてみる。
 予想通り、すぐに返答が来た——



・すれあきさんの投稿:

>ひろあき
 うちの近所の河川敷だよwwwww
 ちょっとヒャッハーしすぎてそこの実装石ほとんど全滅させちゃっだけどさwwwwwww
 今すげー可愛い?仔実装の姉妹で遊んでるYO!!

 っても妹の親指殺しちゃったけどねーwwwwwww
 なんか飽きてきちゃったからさwwwwww
 そろそろトドメ刺そうかなって思ってるよwwww



 その投稿を読んだ次の瞬間、ひろあきは道具を引っかき集めてバッグに詰めると、急いでアパートを
飛び出した。

 その後、数件「ひろあき久しぶり」的なレスが書き込まれたが、本人がそれを確認したのは、しばらく後の
ことだった。


       ※           ※           ※


 午後七時半。
 本当ならバイトに行く準備をしなければならない時刻なのだが、ひろあきは部屋着のままで河川敷にやって
来た。
 巣の中をLEDライトで照らし、目を疑う。
 そこには、今までで最悪の光景が広がっていた。


 大量の水・便・吐瀉物、そして血液によってびしゃびしゃになったダンボールの床。
 どす黒く変色してしまった、タオルの布団。
 倒れた空っぽのペットボトルと、いまだ手付かずのまま汚水に浸かっているチョコレート。
 青白く変色した肌と、両目を灰色に染めた親指の死体が、手前の方に転がっている。
 血の海の中には、石の様に固まった糞の塊と、大量の蛆実装の死体が散乱していた。
 いずれの蛆実装も、粘膜すら舐め取ってもらえず、汚水の中で朽ち果てていた。
 実装石としてまともな形をしているものは一匹もおらず、中には畸形の蛆もいる。

 姉仔実装は、ずだずだに引き裂けた総排泄孔を開いたまま、壁に背をもたれて虫の息状態になっていた。

 身体はもはやミイラのようにやせ衰え、空気の抜けた風船のような皮が下腹部から伸びている。
 あの大きく膨らんだ腹のイメージは、もはや全くない。
 それどころか、出逢ったばかりの頃の面影すら、微塵もなくなっている。

 テ……ヒ……テ……ゲェッ

 身体中の水分を搾り出されたような姉仔実装は、弱々しく首を動かし、ひろあきを見た。
 と同時に、また吐き戻そうとする。
 だが、口からはもう何も零れない。
 全身をくすんだ緑と赤、そして茶色い汚物で汚しきった姉仔実装は、しわがれた手を、そっとひろあきの方に
伸ばしてきた。

 テ……チ……

 ひろあきが、何気なくその手に触れようとしたその時、背後で何かがドサッと落ちる音がした。


「なんだこれは……なんだ、なんだこれはっっっ!!!」


 振り返ると、背後ではスーツ姿の男性が、驚きと怒りの入り混じった表情でこちらを睨みつけていた。
 わなわなと、全身が震えている。
 足許には、姉妹のために買って来たのだろう沢山の食料と飲み物、そして実装フードの袋が散らばっている。
 そして、彼の荷物と思われる大きなカバン……
 先のトピックの内容を、即座に思い出す。
 ひろあきは小さく舌打ちして立ち上がると、スーツ姿の男性・としあきを真正面から睨み返した。

「これ、あんたがやったんだろ」

「はあ? 僕は今ここに来たばかりだ! あんたこそ…」

「俺はここしばらく、こいつらの“面倒”を見ていたんだよ」

「僕は、今日出張から帰ってきたばかりなんだ! この二日間、この仔達には逢ってない!」

「えっ?」

 としあきに言われて、ひろあきはあらためて彼の様子を確認した。
 大きなビジネスバッグは、確かに旅行から帰って来たばかりといった感じだし、本人もどことなく疲れている
様子が窺える。
 とてもじゃないが、数時間前からここに何度も来ているようには見受けられない。
 どことなく気に入らない奴ではあったが、少なくとも言い分は嘘ではないだろう事が理解できる。
 という事は、本当の「すれあき」はまだここに来ていないのか。
 それとも、たまたま状況が似ているだけで、奴が言っていたのはこことは違う別な場所だったのか?

「じゃあ、これはいったい誰が…」

 巣を振り返るひろあきを押しのけ、としあきは姉妹に顔を寄せた。
 凄まじい汚臭に少しばかりむせ返ったが、としあきは、既に動かなくなった親指を無念そうに眺め、そして
ほとんど廃人化している姉仔実装を辛そうに見つめた。

「この仔達が、何をしたっていうんです? どうして、こんなことに?!」

「どうも、誰かが毒を飲ませていたらしい」

「毒?」

 ひろあきは、としあきに「姉妹が飲まされただろうと思われる毒」について説明した。
 勿論、虐待コミュの存在は避けて。
 だが専門知識をろくに持たない一般人のとしあきにとって、ひろあきの話す毒知識は、異常に精度の高い…
言い換えれば「これ以上ないほど疑わしい」話にしか感じられなかった。
 としあきの目に、だんだんと疑惑の色が宿る。
 だがひろあきは、としあきの視線を無意識に避けるようにして話していたため、それに気付けなかった。

「やっぱり、あんたがやったんだろう!」

「人の話聞けよ。だから毒の説明してんじゃん」

「じゃあ、どうしてそんなに詳しいのか説明してくれよ。僕はどう聞いてもあんたがやったようにしか聞こえないね!」

「お前、本気でバカか? 第一、そんなに怒るくらいなら、最初からお前が飼ってやれば良かったじゃんか」

「そ、それは……無理だから」

 今度は、としあきが言いよどむ。
 ぺっと唾を吐き、ひろあきは姉仔実装を抱き上げると、カバンの中から実装石活性剤の小瓶を取り出した。
 それを見たとしあきが、再び絡んでくる。

「そら見ろ! 毒を飲ませようとしているじゃないか! やっぱりあんたが虐待していたんだな!!」

「バカ言ってんじゃねーよ! これは実装石活性剤!! 薬だよ薬! あんた、水持ってきてくれないか」

「薬? 助かるのかその仔?」

「助けるから、早い所水くれよ。この薬は薄めて使うんだ」

「本当に、毒じゃないんだろうな?」

「しつこいな、アンタ!」

「——わ、わかったよ」

 巣の中のペットボトルを取り上げ、としあきは渋々川へ急ぐ。
 ひろあきは、手の中で嘔吐を繰り返している姉仔実装の顔を、指で拭き取った。
 本音はこんな事したくはなかったが、こうなった手前、としあきの前では愛護派を演じるしかない。
 ひろあきは、多分もう聞こえないだろうとは思いつつも、姉仔実装に「俺にされた事はあいつに黙ってろよ、
代わりに命は助けてやるから」と呼びかける。
 少し間を置き、姉仔実装はか細く「チィ」と鳴いた。


 小瓶の中に直接水を注ぎ、適当に薄めたものを姉仔実装の口に少しずつ含ませる。
 途中から吐き戻しそうになったので、途中からとしあきのハンカチに染み込ませて吸わせる事にする。
 いつしかとしあきもひろあきと揃って姉仔実装の様子を窺ってきた。

 ひろあきは、なんでこいつらを飼おうとしなかったのかを、としあきに追求した。

「うちは妻や娘がいるから。飼うならちゃんとペットショップで売っているような、血統書付きの奴じゃないとダメ
 なんだ」

「それだけかよ?」

「それに、うちの妻は野良の動物が嫌いだから」

「……」

 舌打ちを返しながら、ひろあきは活性剤を何度もハンカチに吸い込ませた。
 十数回繰り返していると、突然、姉仔実装が大きく息をし始めた。
 濃度が高かったせいか、思いのほか早く回復できたらしい。
 としあきとひろあきは、思わず揃って喜びの声を上げた。


「良かった! ありがとう、ありがとう!! あんたのおかげで、この仔だけは助かったよ!」
「あんた、そりよりこいつを別な場所に移した方がいい。さっきも言ったけど、ここには実装石を毒殺しようとして
 楽しんでる奴がいる。マジでヤベー奴だから、ここから遠ざけないといつか死ぬぜ」

 ひろあきは、いまだ干しっ放しだった姉妹の実装服を回収すると、それを姉仔実装ごとビニール袋に詰めて、
としあきに渡した。
 もうこうなってしまった以上、姉仔実装を甚振る気にはなれない。
 こいつは解放し、また別な場所で実装石を探そうと考えた。
 同時に、なんだかんだで姉妹に対して徹底した態度を維持出来なかった自分を、歯痒く思っていた。

 その後少しだけ会話を交わし、親指の死体を埋葬してやった後、としあきとひろあきは堤防の道路まで上った。
 何台もの車が、ほぼ等間隔で走ってくる。
 姉仔実装は、薬が効いてきたのかだんだん呼吸が整い始め、血色も戻り始めている。
 ひろあきは携帯リンガルを起動させ、としあきに姉仔実装の言葉を聞かせてやる事にした。
 目を開け、としあきの顔を確認した途端、姉仔実装はぼろぼろと涙をこぼし始めた。

『テチュア…ニンゲンさん、なんでワタチ達を飼ってくれなかったテチ?
 親指チャン…死んじゃったテチ。
 親指チャン、ニンゲンさんに逢いたくて、ずっとずっと、待ってたテチ…』

 翻訳される言葉に驚いていたとしあきだったが、ひろあきの奨めで言葉をかけてやる事にした。

「そ、それは…ごめんな。
 うちでは…その…」

 ひろあきは、としあきに目線を送り「それ以上話すな!」と伝える。
 “飼えない”と言ったが最後、姉仔実装はショックで自壊してしまうかもしれない。
 ひろあきの目線の意味に気付いたとしあきは、途中で言葉を止めた。

 まだそんなに時間が遅くないせいか、堤防道路を走る車の量は、結構多い。
 二人は、車を避けて道の脇に寄った。

「でも、代わりに、これからも君に援助するからね。心配しないでいいんだよ」

『テェッ?! テ、テ、テ……』

「僕は、君たちの事がとっても好きだよ。
 だから、ずっと……あれっ?」

『テ、テ、テ、テ……テチ、テチ、テチ、テチィッ!!!!』

 突然、袋の中で姉仔実装が暴れ始めた。
 苦しそうに胸を押さえ、全身をぶるぶる震わせ、歯をむき出してのた打ち回る。
 ついさっきまでとても愛らしい顔付きだったのに、あっという間に醜悪な表情に戻ってしまう。
 としあきは「うわっ」と声を漏らし、一瞬とても嫌そうな顔をしたが、姉仔実装の様子に意識を向けていた
ひろあきは、それに気付かなかった。

「な、何だ?!」

 としあきは、咄嗟に袋の中から姉仔実装をすくい上げた。
 両手で身体を包み、苦悶する姉仔実装を包んで様子を窺おうと覗き込む。
 その時、車幅の広い外車がこちらに走ってきたため、二人はさらに避けようとした。

 その瞬間——


『テ、テチャアッ!! 苦し……テギャアッ!!』

 ぽろっ……

 四肢を振り乱した姉仔実装の身体が、としあきの手の中から零れ落ちた。
 そして——


 テチャ…… チベッ!!


 ブオォォォ————ン

 テ……?!


 ——ベシャッ!!


 車道に転がり、姉仔実装はダイレクトに外車のタイヤに踏み潰された。
 その体液は、一番近間に居たとしあきに降りかかった。
 グレーのスラックスに、緑と赤、茶色の汚物が付着する。
 その後、立て続けに数台の車が通り過ぎ、姉仔実装の身体は完全に擦り潰され、原型どころかそこに居たと
いう痕跡すらも完全に消えうせた。
 二人は、姉仔実装が落下した場所を、ただ呆然と眺めているしかなかった。


 やがて、としあきが身体をふるふると振るわせ始める。
 ひろあきが声をかけようとした瞬間、振り返ったとしあきの右フックが、顔面に炸裂した。

「やっぱり毒だったじゃないか! よくも、よくもマデリーンを殺したな!! よくもやってくれたな!!」

「ま、ま、マデリーン?!」

「あの仔につけようと思ってた名前だ!! 許さないぞ、お前を絶対に許さないぞっ!!」

「ち、ちょっ……待っ……!! センス悪っ…い、いてっ!! 落ち着……!!」

 ひろあきを押し倒してマウントポジションを取ったとしあきは、泣きながら何度も何度も何度も何度も何度も
何度も顔面を殴打した。

 それは、数十秒後そこを通りかかった車の運転手が止めに入るまで続けられた。


 抵抗も出来ず殴られながら、ひろあきは、なんで姉仔実装が突然苦しみ出したのか、ようやく気が付いた。

 ——計られた。
 やっぱり、すれあきはここに来ていたんだ。
 活性剤を飲ませるより前に、何かしらの処置を施していたんだ。
 俺は、最後まで、すれあきに裏を掻かれ続けたんだな。

 十発目の拳がヒットした時点で、ひろあきは、もう何もかもどうでも良くなった。



 その後。

 通りすがりの運転手が通報したため、二人は警察に連行され事情聴取を受ける事になった。
 それにより、喧嘩はとしあきから先に手を出した事、ひろあきは無抵抗だった事、原因になった実装石は彼の
所有物ではない事が認められた。
 だが、としあきによる「彼は実装石を虐待していた」という発言も重要視されたため、ひろあきの立場は
いきなり悪くなった。

 結果的に、ひろあきは実装石虐待の経験がある事を認めざるをえなくなり、大変まずい立場に追いやられた。
 ひろあきの「俺の他に別な虐待師が居るんだ」という主張に、警察はとうとう最後まで耳を貸さなかった。

 後日警察が姉妹の巣を調べたが、ひろあきが唱えていた「カメラ」は、ついに発見されなかった。


       ※           ※           ※


・すれあきさんの投稿:

 みんなwwww聞いてくれよwwww
 おいらまた面白いアイデア思いついちゃったよwwwwwww


・にじあきさんの投稿:

 君の手腕と研究努力は皆が認めている
 ここまで来たらなんでも話してくれ


・すれあきさんの投稿:

>にじあき
 実装石活性剤を飲ませるんだ♪


・なべあきさんの投稿:

 は?


・ピザあきさんの投稿:

 活性剤?
 なんでピザ


・ほりあきさんの投稿:

 すれあきついに脳にキタか
 やはりここは俺様が直々に犯すしかないようだな



・すれあきさんの投稿:

 ちょwwwwwマジだってwwwwww
 今までのおいらのアイデアで散々苦しめた実装石に活性剤の「原液」飲ませてみ?

 ものすげー無様に苦しみながら時間かけて死ぬからwwwwwww



・ほりあきさんの投稿:

 んなわけねー

 −終了−


・やおあきさんの投稿:

 いや待った!
 俺はわかったよ
 これはちょっと盲点かも


・にじあきさんの投稿:

 そうか、そういう方法があるのか
 さすがすれあきだ



・なべあきさんの投稿:

>やおあき
>にじあき

 解説キボンティーヌ


・にじあきさんの投稿:

 多分理屈はこうだろ
 毒メニューを何度も与え続けた実装石は、生体維持のために偽石に過剰な負担を
かけている筈だ
 ヘタしたらヒビが入ってるかもしれないよな
 活性剤も、身体は爆発的に回復させるけど、代わりに偽石にすごい負担かける
ものだ
 だからこそ普通は薄めて使うわけで

 偽石がボロボロな状態なのに、更に活性剤の原液なんか飲ませちまったら、
ヒビ割れた偽石なんか限界突破で一気でパキンすると思う
 そういう意味じゃないか?



・ピザあきさんの投稿:

 ああやっとわかった
 すごいピザ


・すれあきさんの投稿:

>にじあき
 フォロートンクス
 理屈はそんな感じwww
 そうなるまで毒で追い詰めなきゃならないから簡単じゃないけどね

 実はおいら自身はまだそれ試してないのよ
 だけどおいらが痛めつけてた野良の仔実装は偽石ボロボロだったから
誰かが活性剤少しでも飲ませたらそこで終わりwwwww
 つか実際誰かが飲ませちゃってもう死んじまったのを見たけどwwwwww

 でさwwww
 これで思いついたんだけどゲロリやコロリの粉を苦しむ程度に与えておいて
その後に活性剤飲ませたらどうなるかな?
 理屈だと偽石に無理がかかりすぎてパキンしちゃうと思うんだけどwwww


・にじあきさんの投稿:

>すれあき
>ゲロリやコロリと活性剤

 理屈の上ではそうかもしれないね
 コロリもゲロリも、偽石に誤情報を与えて負担かける毒だから
 そんな状態で原液なんか飲ませたら、健康な偽石でも負荷に耐えられない
かもね

 そうなると、ゲロリと活性剤二つ同時に与えたらどうなるかってのも気になる
 気が向いたらいつか実験してみてくれよ、すれあき



       ※           ※           ※



 ——それから約一ヶ月。

 としあきには傷害罪が適応され、書類審査の略式裁判を経て罰金支払いを命じられた。
 ひろあきの傷が殴られた数の割に軽かった上、本人がめんどくさがって告訴しなかったため、比較的軽い
処罰で済んだようだ。
 それでも罰金は五十万単位に上るため、としあきが受けた痛手は相当なものとなった。
 
 一方のひろあきは、意外にも無罪で片付けられた。
 実装石は動物愛護法で保護対象とされる動物に含まれていなかった上、仔実装姉妹が何者かの所有管理
下にあったと認められなかったためだ。
 また、巣の状況からひろあき自身も何度か援助を行っていた事が認知されたのも幸いだった。

 しかし、法律的には無罪だったというだけで、ひろあきが受けた社会的ダメージは大きかった。
 近所住民に実装石虐待趣味がばれ、バイトはクビになり、アパートの住み心地も悪くなったため、なるべく
早いうちに引越しをしなければならない。
 最近ではドアに罵詈雑言の落書きや張り紙をされたり、イタズラ電話が頻繁にかかってくるようになり、街を
歩くと、すれ違う人々からまるで重犯罪者を見るような態度を取られるようになった。
 そんな状況なので、新しいバイト先を早急に見つけて、引越し代を稼がなければならない。
 バイトの申し込みを門前払いされる事も増えたため、ひろあきはかなり焦りを覚え始めていた。


 次のバイトの面接に向かう途中、ひろあきは、あの忌々しい双葉川堤防道路を通りかかった。
 ただ通り過ぎるだけのつもりだったが、河川敷で見知らぬ男性が多数の実装石達に取り囲まれている様子
を見て、なんとなく興味を覚える。
 「見るだけ」と心に決めて、河川敷へ降りていった。


 深くワッチキャップを被った細身の男は、野良実装達に餌付けをしているようだ。
 クッキーやチョコレート、スポンジケーキや飴などを、一つずつ手渡している。
 デスデス、テチテチと煩く鳴き喚く野良実装の群れに、嫌な顔一つせず接している。
 野良実装達の一部は我先にと近付こうとするが、その都度男は丁寧に整列を命じ、混乱する事なく確実に
全部へ餌が渡るようにしている。
 また奪い合いが発生すると、「もう持って来てあげないよ」と話しかけ、他の実装石達に止めさせる。
 まるでブリーダーのように手馴れた扱いに、ひろあきは思わず感心した。
 
 十分ほどで全体に行き渡り、推定数十匹の実装石達は、それぞれのスタイルでおいしい餌を頬張った。

 デスデスゥ♪ デッスン☆

 テチテチ♪ テッチュ〜ン!

 何匹かの実装石達が、男に礼を述べにやって来る。
 男は、そんな彼女達の頭を撫で、優しく接している。
 実装石達は、先程までは少し荒れた雰囲気だったが、すぐに和やかな雰囲気になり、楽しくやっている。
 ひろあきは、「愛護派って迷惑な奴ばかりだけど、こういう奴ならいいかもな」と思わされた。

 不意に、男がひろあきの方を向いた。
 優しそうな笑顔に、反射的に会釈を返す。
 やがて、ご機嫌になった実装石達が楽しそうに遊び始める。
 小さな子供達の何匹かが、男やひろあきの足許にやって来て、構って欲しそうに両手を伸ばしてテチテチと
鳴き、はしゃぐ。
 ひろあきは少し躊躇ったが、ふとあの姉妹の事を思い出して、仔実装達の頭を軽く撫でてやった。

「実装石は、可愛いですよね」

 突然、男が話し掛けて来た。
 無難に「そうですね」と返答する。

「バカで汚くて、クズで性格が腐っていて、おまけに醜い。
 与えれば疑いもせず何でも食べるし、酷い目に遭ってもすぐ忘れてしまう。
 そんなどうしようもない所が、僕はすごく好きなんですよ」

「——えっ?」

 独り言のような言葉を吐くと、男は静かに立ち上がり、ひろあきの脇を通り過ぎようとする。
 その時、ひろあきの耳元にふっと鼻で笑う声が届いた。


「逆に、一番嫌いなのは。
 虐待派気取ってる癖に、なんだかんだで実装石を助けちゃうような、中途半端で甘っちょろい奴なんですよ」


 男の囁きにハッとさせられた次の瞬間、突然、ひろあきの足許に居た仔実装の一匹が、苦しそうに身悶え
し始めた。

 テェェ…?! テ、テ、テ、テ……テゲ……チィィィ!!!!
 ブクブクブク

 大量の泡を吹き、血涙を流し、パンコンし始める。
 背中から倒れ、ジタバタと四肢を振るい、やがて動かなくなった。
 忘れたくても忘れられない、見覚えのありすぎる異様な光景がそこに展開している。

 パキン!!

 聞き慣れた、乾いた破砕音が耳に届いた。


 デ? デ、デ!! デ、ゲエェェェッッ!!!!
 
 テチャ…!! テ、テチュボッ!!!

 デギャア……ッッ!!

 レチャァァァ!!!


 パキン!

 パキン

 パキン

 バキン!

 パキン
 

 それに続くように、次々に実装石達が苦しみ出し、悶えながら体液を撒き散らして自壊する。
 噴き乱れる大量の体液、吐瀉物、血涙、そして糞便。
 周囲は、あっという間に阿鼻叫喚の坩堝と化した。
 ひろあきは、その凄絶な光景を、ただ呆然と眺めているしかなかった。

「——何をやったんだ、一体?!」

 慌てて振り返るが、男は既に居なくなっていた。
 ひろあきの足許には、無数の実装石の死体が散らばっている。
 生き残っている者は、一匹もいない。
 完璧なまでに全滅していた。


 気がつくと、ひろあきのお気に入りのデニムパンツには、実装石達が死の間際に吐き出した大量の血糊や
吐瀉物、糞便がべっとりと付着していた。
 それは偶然にも、としあきのスラックスに付いた姉仔実装の血糊と、だいたい同じような位置だった。


 バイトの面接開始時間は、もうすぐだ——





(終わり)
 
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 普通マウントで十発以上も殴られれば、充分正式起訴→裁判になる材料が揃うと思われますが、
その辺は適当で流してください。


 おつき合いありがとうございました。


 敷金

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1 Re: Name:匿名石 2023/07/15-19:56:58 No:00007526[申告]
としあきダッッサ…ひろあき完全敗北…
人間虐待が見事でした
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