タイトル:【虐】 逢いに行っても、いいですか? 3
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作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:3070 レス数:0
初投稿日時:2007/06/06-19:42:41修正日時:2007/06/06-19:42:41
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逢いに行っても、いいですか? 3


●としあき:
 通勤路の途中の河川で、仔実装と親指実装の姉妹を発見した会社員。
 姉妹を気に入り、食事などを提供する。

●姉仔実装/親指実装:
 橋桁と堤防の間に出来る隙間を住処にしている、実装石の姉妹。
 人なつっこくて大人しく、姉はそこそこ賢いが妹は物忘れが激しい。

●ひろあき:
 虐待派のフリーター。
 最近、河川敷で実装石を見かけなくなりストレスを溜めていたところに
 仔実装姉妹を発見し、虐待魂燃焼中。




       ※           ※           ※


 午後七時半。

 ひろあきは、バイトに出かける途中でまた河川敷にやって来た。
 …が、堤防を降りる途中で足を止めた。

 誰かが、あの姉妹実装の巣の辺りに居る。
 こちらからははっきり姿が見えないが、話し声が聞こえてくる。
 ひょっとしたら、また別な奴に見つかったのか…と考え、ひろあきは足音を忍ばせて降りていった。


 ハヒィ、ハヒィ、ハヒィ……

 レヒ…レヒ…レヒィ……

「酷い…いったい、誰がこんな酷い事をしたんだ!」

 怒りのこもった呟きが、耳に届く。
 あれが例の援助者だという事を、ひろあきは瞬時に理解した。

 なんかいつもと来るパターンが違うけど、こんなに早く「愛護者が苦悩する場面」を目の当たりにできるなんて!

 飼い実装虐待を長年夢見ていたひろあきの究極の夢は、ボロボロになるまで痛めつけた飼い実装を目の
当たりにした飼い主が、どれほど驚き、悔しがり、悲しむかを見る事だった。
 勿論、それはれっきとした犯罪だから、実際にやれる訳がない。
 だが、誰に飼われているわけでもないこの姉妹なら、話は別だ。
 ひろあきは姉妹を甚振りながら、いつかはその様子を援助者に見せ、怒り心頭に追い込んでやりたいと
願っていたのだ。
 歪み切ったアブノーマルな嗜好感覚だが、ひろあきのドス黒い欲望は、この状況下で少しずつ満たされ
始めている。
 今すぐにでも名乗り出て、援助者の苦悶の表情を眺めて嘲り笑ってやりたい、殴りかかって来たら「たかが
野良相手に何マジになってんの?」と、罵声を浴びせてやりたいという心境に駆られるが、先の展開を考えて、
ここはあえて耐え忍ぶ事にした。

 
       ※           ※           ※


 一方としあきは、姉妹の状況に愕然とさせられていた。
 誰かが、この姉妹を捕らえて悪質ないたずらを施したようだ。
 裸にされた上にリードで身体をぐるぐる巻きにされた姉仔実装と、箱に閉じ込められ、さらに外側をワイヤー
で巻かれた親指の姿は、痛々しいなどというレベルではない。
 姉仔実装は、いつまで経っても親指を発見出来ず泣き続け、親指は箱の中で圧死しかけていた。
 自壊していないのが奇跡のようだ。
 いや、としあきがここに来なければ、二匹は間違いなく死んでいただろう。
 しかも、二匹とも極端な脱水状態に陥っており、舌を伸ばしてヒィヒィあえいでいる。
 傍には空になったペットボトルが放り出されているから、もうずっと水を飲んでいないに違いない。
 二匹を解放したとしあきは、すぐにペットボトルに水を満たし、姉妹に与えようとする。
 だが、二匹はペットボトルの口を見ると、顔色を替えて後ずさった。

 テ、テチィッ!!

 レ、レ、レチャアッ!!

 仕舞いには、限りなく水に近い水便をちょろちょろとしたたらせる始末。
 やむを得ず、いつものように吸い飲みをくっ付け、脇に置いてやると、ようやく安心して口をつけ始める。
 チュウチュウという可愛らしい音が響くが、今回だけは、姉仔実装も親指に順番を譲りはせず、真っ先に水を
吸い始める。

 レェェェェン、レェェェェン!!

「う〜ん…まいったな。こんな調子じゃ、明日から二日間心配だよ」

 手の中にくぼみを作り、その中に水を貯めて親指に飲ませ始める。
 としあきは、多分聞いてはいないだろうと理解しつつも、二匹に向かって話しかけた。

「実はな、僕は明日からしばらくここに来られなくなったんだ」

 レェ?

 手の中で、親指が反応する。

「うん、出張って行ってね。少しの間遠くへ行かなきゃならなくなったんだよ。だから今日は早く帰れたん
 だけどね。…って言っても、わかんないよな」

 レチィ?

 小首を傾げる親指の頭を撫でながら、ため息交じりで呟く。
 姉仔実装は、そんなとしあきの言葉に耳を貸そうともせず、いまだ吸い飲みを吸い続けていた。
 総排泄孔から、飲んだ水がにじみ出ているにも関わらず……

 あっという間にペットボトルの2/3を空にした姉仔実装は、お腹を擦りながらとしあきに擦り寄ってきた。
 色々言いたい事もあったが、としあきは新しい実装フードの袋を取り出し、姉妹に与えた。
 だが、相変わらず味はお気に召さないようで、相当空腹である筈なのに、どこか遠慮がちに齧っている。
 特に姉仔実装は、一口齧る度に首をかしげ、何か言いたそうにとしあきを見つめてくる。
 としあきは、そんな彼女達に「ちょっと待ってろよ」と声をかけ、急いで堤防を駆け上って行った。

 
       ※           ※           ※


 突然男性が駆け上って来たため、慌てて橋の上まで逃げたひろあきは、ようやく男性の姿を直接確認出来た。
 ビジネススーツを着こなした、いかにもやり手のビジネスマンという印象だ。
 そして、ひろあきが最も嫌悪するタイプの人種だという事もわかった。
 以前就職活動をしていた時、自分を軽蔑の眼差しで見つめて来た憎らしい面接官の顔を思い出す。
 あいつのせいで自分は就職する気が失せてしまい、フリーターに甘んじているのだ…と。
 軽く舌打ちをしてペッと唾を吐き捨てると、ひろあきはあの男をもっともっと苦しめてやりたい心境に駆られ
始めた。

 小走りでどこかに走っていったが、どこへ行ったのだろう?

 ひろあきは、男性がいなくなった隙を突いて河川敷に降りると、いまだ首を傾げながら実装フードを齧って
いる姉妹に迫った。

 テ、テチィッ?!

 レ、レチャアッ?!

「美味そうなもの食ってるな。
 今日は、お前達にお詫びしに来たんだ」

 テ?
 レチュ?

 怯えた顔で硬直する姉妹の前に、ひろあきはポケットから半透明の小箱を取り出す。
 蓋を開け、その中身を指先でつまむと、姉仔実装の前に差し出した。

「さあ、食ってくれ。とっても美味いぞ♪」

 レフ〜ン♪


 テ、テェ?!

 レチュ?!

 それは、禿裸に剥かれた小さな蛆実装。
 あれからアパートに帰る前にたまたま見つけた野良仔実装を取り押さえ、強制出産させて手に入れたものだ。
 丁寧に洗浄し、生食も可能なように整えてある。
 それが、10匹。
 目を剥いて驚く姉仔実装の口の中に、蛆実装を頭から押し込む。
 ムグッという苦しげな悲鳴が聞こえたが、かまわずグイグイ押し込む。
 もう絶対吐き出せないという所まで押し込むと、今度は親指の前に別な蛆実装を置いてやる。

「さあ、ご馳走だぞ。一杯食べなさい」

 レチュレチュ!! レッチュ!!
 フルフル

 必死で首を横に振る親指。
 バカでアホでも、どうやら蛆実装は餌ではないと理解出来ているらしい。
 反抗するように実装フードを手に取り齧ろうとするので、それを指で弾き飛ばす。
 実装フードの皿を遠ざけると、ひろあきは、蛆実装を再度親指に押し付けた。

「食え、って言ってるんだよ。さもないと潰すぞ」

 レチュレチュレチュ!! レチュ!!
 フルフル

「ふーん、あっそ。どーしても食わないと。じゃあ、ムカつくからこの髪の毛もらうよ」

 親指の前髪を掴み、ぐいっと強く引っ張る。
 ぷちぷちと音を立て、数本抜け落ちる。

 レチャァァァッッ!!!

 突然の激痛に暴れる親指に向かって、もう一度蛆実装の笑顔を近づけてやる。

 レッフ〜ン♪

 プニフー、プニフー♪

 先程より僅かに力を強めて髪を引っ張りながら、更に押し付ける。

「食わねーなら、禿裸にすっぞオラ!」

 レ、レキュ……レキュ……レギュウゥゥ……ガリッ

 レフー? ……レピャッ?!

 蛆実装の鳴き声が変わった。
 親指の口元から、血のようなものが垂れ始める。
 蛆実装の尾が、助けを求めるように激しく揺れ動く。
 水のような透明な便が、蛆実装の総排泄孔から垂れ始める。

 レキュ…モグモグモグ…モグモグ…

 レピュ…! レヒ……!!

 レギュ……レェ、レェェェン……

「よぉぉし、いいぞ、その調子で全部食えよ。……ん?」

 ゲ、ゲロゲロゲェェェ〜〜〜!!

 突然、姉仔実装が激しく嘔吐した。
 喉の奥に詰め込まれた蛆実装に、むせたようだ。
 頭から半分ほど押し込まれていた蛆実装は、とっくに窒息死している。
 さっき食べていた実装フードまで全部吐き出し、姉仔実装は苦しそうに胸を押さえている。
 その様子にカチンと来たひろあきは、新しい蛆実装を取り出すと、間髪入れずに姉仔実装の喉奥まで押し
込めた。
 今度は、絶対吐き戻せない位置まで突っ込む。

「誰が、吐いて良いって、言ったよ、アァ?!」

 テギュ……!!!!

 完全に飲み下すまで口を押さえ、ゴクンという音を確認する。
 苦しげに身もだえする姉仔実装をさらに捕まえ、二匹目を投入する。
 それを飲み込ませたら、さらにもう一匹…
 最終的に、四匹もの蛆実装を生きたまま飲み込ませた。
 腹の中から、苦しそうな蛆実装の泣き声が微かに聞こえてきた。

 ゲボ…デゲボ…ゲェェ……

「今度吐き出したら、その瞬間に妹をブッ潰すぞ」

 デゲ?!

 レブ…レブ…クチャクチャ、クチャクチャ……

 懸命に蛆実装を食み始めている親指と、それを見て絶望の表情を浮かべる姉仔実装。
 ひろあきは、最初の蛆実装の死体と吐瀉物をティッシュで拭い取ると、実装フードの皿を戻し、何事も
なかったかのようにしてその場から離れた。
 ひょっとしたら、あの男性が戻ってくるかもしれないと考えたのだ。
 既にバイトに入る時間はとっくに過ぎていたが、ひろあきはそんな事をすっかり忘れ、ただこの後の変化に
期待していた。

 その時、不意におかしな臭いが鼻を突いた。
 さっき蛆実装の死体と吐瀉物を拭ったティッシュから漂っているようだ。
 気色悪いので捨てようとするが、その臭いに何かを感じる。

 甘い匂い。
 しかも、今度はバニラのようなものではない。
 以前よく嗅いでいたような、妙に記憶に引っかかる人工的な香り。
 無意識にティッシュを鼻に近づけようとして我に返ったひろあきは、反射的にそれを遠くへ投げ捨てた。
 今度は、自分が吐きそうになった。


 約十分後、予想通りあの男性が再びやって来た。
 ラフな格好に着替え、肩から何かを詰めたバッグを提げている。
 姉妹の許へ駆け寄り何か話しかけているようだが、生憎この位置では聞こえない。
 もうしばらく様子を見ようか…と考えたところで、ようやくバイトの事を思い出したひろあきは、真っ青になって
堤防を駆け上っていった。

 
       ※           ※           ※


 テェェ……

 レチュ……

 激しく苛められたショックで食欲がないのか、二匹は実装フードにほとんど手を付けていなかった。
 姉仔実装は吐き戻してしまったようで、前掛けが少し汚れている。
 としあきは残念そうにため息を吐くと、また風呂の用意を始める。
 裸にした姉妹を暖かな湯に浸してやり、その間に、川辺で実装服を洗濯してやる。
 ここだと乾燥機を使えないので、自然乾燥に任せるしかない。
 としあきは、服は巣の中に干しておいてやるからと丁寧に説明し、二匹の身体を洗ってやった。

 テチテチ、テッチュ〜ン☆

 レチュレッチュ、レッチュ〜ン♪


 二匹の顔に、ようやくいつもの笑顔が戻る。
 だがとしあきは、これから二日間ここに来られないという事を、ひたすら気に病んでいた。

 その後、としあきは2リットルの大型ペットボトル入りミネラルウォーターに吸い飲みを付け替え、新しい転倒
防止スタンドを巣の奥に設置してやった。
 安売りが買って来た飼い実装用のものだが、これなら充分役立ちそうだし、二日間くらいは充分持つだろう
と考えた。
 今回買って来た実装フードは徳用で、普通に食べれば仔実装二匹でも一週間は充分持つだけの量がある。
 取り出しやすいように横置きにして、一度に全部食べないようにと何度も念を押す。
 姉仔実装も、親指も真剣な顔付きで何度も大きく頷く。
 どうやらわかってくれたようなので、としあきは少し安堵した。
 念の為、タオルの予備と新しいティッシュ、ごみやウンチをまとめられる袋を置き、大切に使うように言い
聞かせる。
 一通り教え込まれた姉仔実装は、一つひとつの備品を丁寧に確認し、その都度としあきを見上げてくる。
 その顔は、なぜかいつも以上に悲しそうだった。
 きっと、苛められた事で心細くなっているのだろう。
 手を伸ばし、頭を撫でてやると、としあきは腰を上げた。
 そろそろ戻って出張の準備をしなければならない。
 そして、妻に…その、色々と。
 いつも以上に後ろ髪を引かれる思いだったが、としあきは我慢してその場から立ち去ることにした。

 レチィ!! レチャア!! レチャア!! レエェェェェン!!

 テチィ! テチテチテチ、テチィッ!! テェェェェン、テェェェェン!!

 珍しく、姉仔実装まで親指と一緒に泣き叫んでいる。
 いつもなら必死で耐えているのに。
 その態度の変化が凄く気になったが、今のとしあきには別に大切な事がある。
 一回だけ振り返ると、としあきは振り切るように走り出した。


 レェェェェェン、レェェェェェン、レェェェェェェン……

 テェェェェェン、テェェェェェン、テェェェェェン……

 
       ※           ※           ※


 としあきが立ち去って、二時間ほど。
 姉仔実装と親指は、凄まじい空腹感に突き動かされて目覚めた。
 
 腹がはちきれるほど蛆実装を詰め込まれた筈なのに、異常なほど腹が減る。
 同時に、身体が震えるほどの便意も。

 テチャアッ!!

 レチレチ、レチィッ!!

 としあきが用意してくれたビニール袋を引き寄せ、その中に潜り共に脱糞する。
 ブリブリブリブリブリ…と、耳障りな排泄音が響く。
 この短時間で見事に消化された「かつて蛆実装だったもの」が、ほぼ完全に体内から出尽くした。

 レチィ…

 チュルチュルチュル〜

 テェェ……

 キュルキュルキュル〜

 不思議な空腹感は、腹の中を空にした姉妹に激しい眩暈を覚えさせる。
 生まれて初めて味わう奇妙な感覚に、二匹は大きく戸惑っていた。
 ふと目に止まった実装フードに手を伸ばそうとするが、姉仔実装は思いとどまり、親指をぎゅっと抱きしめて
耐えた。
 夢遊病者のように袋へ接近していた親指は、姉の抱擁に驚き、声を上げた。

 朝と昼、夜寝る前以外には、絶対食べてはいけないもの

 姉仔実装は、としあきから教わった事を懸命に守ろうとした。
 だが、親指は既にそんな事を忘れているようで、必死になって実装フードの袋を開けたがる。
 その必死の抵抗に、姉仔実装もだんだん耐えられなくなる。
 妹に一粒だけなら…と思い、解放しようとするが、以前袋の中身が空だと知った時のとしあきの顔が思い
出され、踏みとどまる。
 他に何かないか…と思い、辺りを見回すと、巨大なペットボトルが目に付いた。

 そうだ、水を飲んでお腹を満たせば耐えられるかもしれない!

 そう考えた姉仔実装は、親指を連れてペットボトルに近づいた。

 テチテチ、テチテチ

 レ、レェェ…

 今まで見た事もないほど巨大なペットボトルの前に立ち、その下に付いた見慣れた吸い飲みに親指を近づける。
 泣きながら口を付け、チュウチュウと吸い出す親指。
 二段階に水を下ろし、一旦吸い飲み内部に貯める事で、実装石の口中に大量の水が流れ込まないように
工夫された吸い飲み。
 実は見た目に反して結構な高額品なのだが、そのありがたみを理解できない姉妹は、泣きそうな気持ちで
それを見つめていた。

 水を飲み終えた親指を降ろし、今度は自分が…と思って屈んだ時、姉仔実装はスタンドの向こう側に何か
おかしな物がある事に気付いた。

 裏側に、大きなソーセージが一本置かれている。

 以前から、気が付くといつの間にか巣の中に出現する、とてもおいしい「お肉の塊」。
 誰が置いてくれるのかわからないけど、いつも夜中に見つけるものだ。

 テチィ! テチテチ、テチ!!

 レェ? …レチィ♪

 親指も大好きなソーセージ。
 姉妹は、これはきっととしあきが寝ている間に置いてくれた物なのだと信じ込み、心の中でお礼を述べると、
迷わずかぶりついた。

 ……テ?

 ……レチ?

 口の中に広がる濃厚な脂と、弾ける新鮮な肉の歯ごたえ。
 それはわかるのだが…味が全然しない。
 歯ごたえだけで、塩辛いのか甘いのか、苦いのかすっぱいのか、まったくわからない。
 前に食べた時は舌がとろけるほどおいしかった筈なのに、全然食べ応えがない。

 テェ

 レチィ

 それでも、堂々と空腹感を癒せるソーセージのありがたさは変わらなかった。
 姉妹は小首を傾げながらも懸命にソーセージを齧り、水を飲み、また齧った。
 食べれば食べるほど、喉が渇いていく。
 飲めば飲むほど、また食べたくなるし、飲みたくなる。
 姉妹は、いつしかパンツを水便でびしょびしょにしている事にも気付かず、必死になって水を吸い始めていた。

 テプ…ケプゥ

 レップ…

 ソーセージは、あっという間に食い尽くされた。
 姉妹の腹も充分膨れ、更にペットボトルの水も上の方に空間が出来るほど減ってしまった。
 自分達のパンツがずぶ濡れな事に気付いた姉仔実装は、慌ててパンツを回収し、絞った。
 本当なら川まで行って洗濯をしなければならないのだが、ひろあきから受けた水攻めの恐怖が蘇り、
どうしても近づけない。
 諦めた姉仔実装は、濡れたパンツをそのままダンボールマットの上に敷いて乾かす事にした。

 レチュレチュ♪ レッチュゥ

 テェェ

 タオル布団の中で、思い切り甘えてくる親指を抱き締めながら、姉仔実装はゆっくり目を閉じた。
 朝になれば、きっとまたあのニンゲンさんが来てパンツを綺麗にしてくれる筈……と考えながら。

 
       ※           ※           ※


 午前四時。
 バイト先で散々怒鳴られまくったひろあきは、イライラをつのらせたまま帰路に着いていた。
 遅刻の原因を追究され、それを最後まで黙っていたため、店長からたっぷり30分もお説教を食らったのだ。
 クビにされなかっただけでも良かったが、何故そこで怒鳴られなければならないのか、ひろあきには理解
出来なかった。
 このまま帰っても、腹の虫が収まらなくて寝られたものじゃない。
 ここは、あの姉妹を甚振って鬱憤を晴らす事にしよう…と考え、河川敷を降りていった。


 巣の中で眠っている姉妹を確認し、ライトで中を照らしたひろあきは、またも目を疑った。
 一見綺麗に整えられているのに、よく見ると床面には大量の糞便が垂れ流されている。
 しかも、いつのまにかバージョンアップされているペットボトルの中身が、既にかなり減っている。
 この惨状の原因は、恐らく水を飲んだ端から排泄した結果なのだろうと分析する。
 なぜ、この姉妹はここまで大量に水を欲するのか、さすがのひろあきも理解出来なかった。

 幸い寝床は汚れていなかったが、姉妹はすぐ枕元まで糞便が迫っているにも関わらず、その汚臭を気に
する事なくスヤスヤ眠っている。
 ここまで無神経な糞蟲に、敬意すら抱きそうになる。
 ひろあきは、姉妹を引きずり出して何かしてやろうと思っていたが、急に意欲を失った。
 そしてなぜか、姉妹を布団ごと丁寧に巣から取り出し、手持ちのポケットティッシュで糞便を拭き取り始めた。

「か、勘違いしないでよねっ! 別に、あんた達の事を思ってやってるんじゃないんだからねっ! …ってか」

 訳のわからない独り言を言いながら、汚れたティッシュを手近のビニール袋に放り込む。
 だが、その中にも山盛りの糞便がある事に気付き、思わず声を上げそうになる。
 ビニールごとティッシュと糞を川へ投棄すると、ひろあきは手を洗い、姉妹を巣に戻そうとする。
 また、甘い臭いが漂っている事に気付いた。

『なんだこれ……さっきのとは違うな』

 ひろあきは、バイトに行く前に嗅いだあの甘い臭いが、何に似ているか偶然気付く事が出来た。
 休み時間、バイト仲間がおごってくれたカルピ○ウォーターを飲んだ時に、これと似たものを感じたのだ。
 あのスーツ姿の男性は、そんな変わったものを姉妹に飲ませていたのか…と不思議な気持ちに捉われる。
 だが、今感じる匂いはそれともまた違う。
 もっと甘ったるく、もっと毒々しく、それでいて妙に親しみを覚える。
 我慢して姉仔実装に鼻を近付け、クンカクンカ嗅いでみると、その匂いは口の中から漂っている事がわかった。
 巣の中を調べてみるが、出てくる食べ物・飲み物は実装フードと水しかない。
 まして、甘いものなど何もない。

『……?』

 何かすごく引っかかるものを感じたが、これ以上調べても何も発見できそうにないので、ひろあきは
とりあえず実装フードの袋の中身を川に捨てて、アパートに戻る事にした。


 
       ※           ※           ※


 家に戻ったひろあきは、パソコンを立ち上げると実装石の病気・症状について検索した。
 異常に水を欲する場合、口の中から甘い匂いがする場合…これに合致する条件を知りたかった。
 三十分ほど調べた結果、出てきたのはいずれも考えたくないものばかりだった。
 水を飲みすぎるのは、極度の脱水症状を経験してその時の記憶をフラッシュバックさせてしまう「精神病」の
可能性や、または内臓疾患、贅沢な食事に慣れた結果の「糖尿病」などがあるようだ。
 だが仔実装以下の者が糖尿病になる事はまずありえず、また発症するまでにいくらかの兆候が出るらしい
が、あの姉妹はそのどれにも当てはまらなかった。

 甘い匂いについては、一番知りたくなかった結果が出た。
 体内に入れた物が腐敗して、甘い臭いの口臭として発せられるケースがあるという。
 この場合、内臓の消化器官が著しく損傷していたり、内臓が充分な消化機能を発揮できなくなっている場合
が考えられるという。
 激しい虐待を受けた実装石がこうなるパターンがある、という記述を読んで、一瞬ギクッとする。

 これ以外に考えられる事は、単なる塩分過多や甘い物の摂り過ぎという、ありふれたものばかりだ。
 だが、いずれも長年間違った食生活を経験してきた成体クラスの実装石がなりやすい症状で、仔実装が
こんな状態になったとしたら、それは別な意味で過酷な環境下にあるという事になる。

 これらの結果から、ひろあきは、あのスーツ姿の男がこれまで姉妹に与えていた食料等が原因なのでは
ないかと推察した。
 実装フードを与え始めた事から、途中で正しい知識を仕入れたらしいが、既に手遅れだったという事なの
だろう。
 これだから、バカな愛護派は……と、舌打ちをする。
 好き勝手に甘やかし過ぎて、病気にしてしまったのでは逆効果ではないか。
 そんな事で、せっかく久々に見つけた大事なオモチャを壊されたくはない。

「仕方ねぇな。どうやらあいつらの食事は、俺が面倒を見た方がよさそうだな」

 昔つけていた「虐待の記録」ファイルを開き、あの姉妹に適した餌を選別しようとする。
 過度の水分摂取治療も兼ねなければならないから、なかなか難しい。
 数分で根を上げたひろあきは、気分直しにメールチェックをしてみた。
 また、コミュニティの投稿報告が届いている。
 だがその中に、自分宛にメールが届いている報告が含まれていた。
 差出人は、以前コミュの中でもっとも話が盛り上がった人物「にじあき」だ。
 とりあえず、それだけ確認しようとコミュにアクセスする。
 マイページからメールを開く。


 その内容は、「今、コミュの新しいトピックが盛り上がっている、凄く参考になるから是非見に来てくれ。熱く
語ろうぜ」というものだった。
 気になってコミュのトップページを覗きに行くと、新しいトピックスが立ち上がり投稿数が3ケタ近くにも及んで
いた。
 また、しばらく姿を見せなかった参加者も戻って来ているようだ。

 トピックのタイトルは「実装石の毒殺を考える」というものだった。

 毒——ひろあきの表情が歪む。

 以前、「実装石には人間で言うところの毒は効かない」という定説があった。
 だが、これは所謂都市伝説であり、一部例外を除いてたいがいのものは効果があるという事が立証された。
 とはいえ、毒に対する抵抗力自体は確かに強いので、服毒致死量が他生物のそれと大きく異なるのは事実
のようだ。
 なんでも、スプーン一杯のテトロドトキシンでも生き残る個体が居るほどらしい。
 そのため、薬品による一斉駆除は大変効率が悪くなるらしく、そのため毒を用いることは虐待派にとって
「鬼門」的に扱われ、あまり語られる事はなかった。

 ところが最近、某大規模画像掲示板上において「実は市販の薬品でも毒としての効果が出る」との情報が
入り、虐待派の一部が活性化した。

 例外的に効果のあるものの摸索や、肉体を直接冒す危険物を投与するなど、様々な報告レポートが語られ、
相当数の情報が集まった。

 しかし一方、そのほとんどが信憑性に乏しかったり、「そりゃ硫酸かけりゃなんだって溶けるわな」といった
ような、無意味極まりないものばかりだった。
 また効果が期待出来そうなものでも、結局は実装石を“即死”させてしまうようなものばかりで、それなら
既存のコロリを使った方がまだ良いという本末転倒ぶりだ。

 そんな感じで、これまでの「毒情報」は、ひろあきのような「精神的苦痛を味わわせる」タイプの虐待派には
まったく見向きもされなかった。
 それどころか、ひろあきには何故こんなに盛り上がれるのかすら、理解が及ばなかった。

 ひろあきは、結局そのトピックを開く事なく、いつもの巡回ルートを辿り始めた。 

 
       ※           ※           ※


 翌朝。

 テ……?

 姉仔実装は、かなり早い時間に目覚めた。
 喉が渇く、異常に乾く。
 まるで何日も水を飲んでいないような、身を焼くような枯渇感。
 鳴き声すらまともに上げられないほど、その渇きは深刻だった。
 這うようにペットボトルまで辿り着き、吸い飲みを口に含もうとする。

 レ……

 ふと見ると、同じく渇きで目覚めた親指も、よろよろとこちらを目指して動いていた。
 姉仔実装は、一瞬吸い飲みから離れて先に妹に飲ませようとしたが、すぐにまた吸い飲みを口に含んだ。
 大切な妹を無視して、ごくごくと水を飲み始める。

 レェ……

 親指を連れて来れば、彼女の渇きが癒されるまで耐えなければならないが、今なら親指がここに辿り着く
までの間、飲んでいられる!
 
 賢く妹に優しい筈の姉仔実装ですら、そんな身勝手な思考に陥ってしまうほど、喉の渇きは辛かった。
 親指がこちらに辿り着くまでの時間が、異常に掛かりすぎているという現実に気付く頃、2リットルのペット
ボトルはついに半分以下に減った。

 もし、姉仔実装がとしあきに逢ったばかりの頃の冷静さと賢さ、感覚を維持出来ていたなら。
 ペットボトルの水の色が、昨日よりやや薄緑がかっている事に気付いただろう。
 また、本来よりも微妙に甘い味がしている事もわかった筈だ。

 だが、今や味覚も嗅覚も完全に狂ってしまった……否、狂わされてしまった彼女には、もはやそんな変化
には気付く術もない。
 喉を潤した姉仔実装が、いつの間にか昏倒している親指の様子に気付いたのは、それから数分後の事
だった。


 二匹はまだ、実装フードの中身が空になっている事、そして今日から二日間としあきがここへ来ないという
事に、まだ気付いていない。

       ※           ※           ※


 その朝、いつもより一時間近くも早い時刻、としあきは沢山の荷物を抱えて、駅へと急いでいた。
 双葉川堤防沿いの舗装道路を歩きながら、見慣れた橋桁の辺りに視線を向ける。
 本当なら少し様子を見に行きたい所だが、今日はそんな時間的ゆとりもないし、ましてこの時間なら姉妹
もまだ眠っている筈だった。
 先日姉妹が受けていた虐待行為が気にはなったが、としあきは、あれを近所の子供が気まぐれで行った
程度と考え、継続性はないだろうと判断した。
 一瞬立ち止まりはしたが、結局河川敷へは降りず、そのまま通り過ぎる事にした。

 そんな事よりも、今日から二日間の出張で行う、大規模プロジェクトのプロモーションの事を優先的に
考えなければならない。
 ここしばらく続いたハードな業務・残業の報われるチャンスが、ようやく到来したのだ。
 いつしかとしあきは、仔実装姉妹の事を二の次に考え始めていた。
 勿論、本人にその自覚はまったくなかったが。


 だが、この時。
 橋桁の隙間にある巣の中では、としあきの想像を絶する惨状が展開していた。
 としあきは、この時河川敷に降りていくべきだった。
 それにより、この姉妹は相当救われていた筈なのだ。

 姉妹は、この朝も、優しいとしあきの到来を心の底から待ち望んでいたのだ。



       ※           ※           ※


 約三十分後。
 いつもなら、としあきが河川敷に降りていく筈の時間。
 姉妹の巣に顔を見せたのは、ひろあきだった。
 眠たそうな目をこすり、巣を覗き込んだひろあきは、あまりの異常な光景に思わずのけぞりそうになった。


 テェェ……テチ……チュウチュウ

 レ……レチ……ペロ……ペロ……


 巣の中は一面水びだしで、巣の外側まで水が漏れている。
 最初はペットボトルの水が漏れたのかと思ったが、そうではなかった。
 うつろな目で吸い飲みに食らい付き、必死でチュウチュウと吸い続ける姉仔実装。
 その総排泄孔からは大量の水便が流れ出て、巣を汚染していたのだ。
 ペットボトルの水は、とっくの昔に枯渇していた。

 一方親指は、姉仔実装から排出された水便の中に身を浸し、弱々しくそれを舐め取り続けていた。
 既に、その表情に生気は宿っていない。
 まるでゾンビのような惨たらしさだ。
 しかも、気のせいか妙に太ってきているようだ。
 顎や脇腹の辺りに、以前は確認出来なかった贅肉のたるみが見て取れる。
 身体に変な水分が溜まっているのだろうか?

 布団も、ビニール袋も、ダンボールのマットもすっかり濡れてしまっている。
 ダンボールマットなどは中央部がへこみ、既に家財?を充分に支えきれなくなっている。

 だが、実装フードの空袋だけは、開け口を上に向けたまま夕べの位置をキープしている。
 ひろあきは、姉妹がまだフードに手を付けようとすらしていない事を理解した。

 テェェェ……テェェェ……

 レェェ……

 排水量の方が、排便のそれより遥かに多いらしく、思ったより便臭はしない。
 代わりに、血と思われる濁りが混じっている。

 これは…違う
 よく理解出来なかったが、単なる体調不良や病気ではない。
 心の中に、確信が生まれた。

 ひろあきは、姉妹を無理矢理巣の外に引きずり出すと、万が一のために持ってきた実装石活性剤の水溶液
を服用させ、服と下着を脱がせた。
 安静にして回復を待ち、その間にペットボトルの水を詰め替えてやる。
 布団やビニール、ダンボールなども全て廃棄して、巣の中を一旦綺麗に片付ける。
 舌打ちを何度も繰り返しながら、携帯のメモ帳に必要な物をメモしていく。

 ひろあきは、この時小さな黒い塊が巣の奥に転がっていた事に、まったく気付かなかった。


 薬が効いてきたのか、姉妹は徐々に血色を取り戻し、荒れていた呼吸も戻ってくる。
 ひろあきは、自分用のミニペットボトルに吸い飲みを付け替えると、姉仔実装の身体を抱いて、少しだけ水を
口に含ませた。

 テェェェ……テチュ…ン…

「こんな時にまで、媚びるなバカ」

 続けて、親指にも水を飲ませる。
 ようやく落ち着きを取り戻したので、ひろあきは持ってきた蛆実装の服と首を引き千切り、胴体部分だけを
細かく割いて姉妹の口に含ませる。

 レピャ…!

 レヂ……!!


 テチ…クッチャ、クッチャ……

 レェェ……モグモグ……

 本来は無理矢理丸呑みさせるつもりだったが、こういう事態ならやむをえない。
 虐待を抜きにしても、弱った実装石にてっとり早く栄養補給させるには、生まれたての蛆実装を食べさせる
のが一番だ。
 肉が新鮮で柔らかいため消化が良く、しかも栄養価も高い。
 元々実装石の肉は実装フードの材料にも使われているものだから、原型を意識させなければどんな個体
でも平気で食べる。
 姉妹は、目を閉じたまま口の中の肉を咀嚼し、飲み込んでいく。
 このままもう少し安静にしていればきっと大丈夫だなと、安堵の息を吐いた時点で、ひろあきは我に返った。

 ——なんで俺が、こいつらを看護してやらなきゃならないんだ?!


 クー、クー……

 レピー、レピー……ムニャムニャ


 相当疲労していたのか、姉妹はすぐに軽やかな寝息を立て始めた。
 なんとなく手持ちぶたさになったひろあきは、釈然としない気持ちのまま二匹の服と下着を川で洗濯し、
巣の脇のコンクリートの上で干し始めた。
 その間、頭の中では「畜生、なんで俺がこんな事…」という言葉がリフレインしている。
 イライラが、どんどん溜まっていく。 

 
「あ〜〜……やっぱ、こういうのは俺の性に合わねー!!」


 ひろあきは一声叫ぶと、実装ゲロリを取り出して石で砕き、その破片を姉妹の開けっ放しの口中に放り
込んだ。
 それは何の意味もなく、単なる発作的な行動に過ぎなかった。


 …テェ……テゲッ?!?! ゲ、ゲロゲロ……ゲボオォォォッッッ?!?!

 レピョッ?! レゲ…ゲロゲロゲロゲロ!!!


 さっき口に入れた蛆実装の肉、水、胃液が、寝た姿勢のままで排出される。
 噴水状態で、あっという間におぞましい色のゲロまみれになる姉妹。
 幸い、吐き戻した量はさほど多くなかったが、この状態での嘔吐は相当きつかったようだ。
 先程以上に弱ったか細い声が、カサカサになった二匹の口から漏れる。


 テェ……テェ……テェ………

 レ……レチ………


「さあ、お腹の中を綺麗にしたら、もう一度食事をしようね♪」


 ひろあきは、バッグの中から平底のプラ容器を取り出し、その中にある物を置くと、その中心部をプラスチック
のスプーンで抉り取って捨てた。

 レチャッ?!

 スプーンで開けた穴の中に、親指を降ろす。
 自分の身長とほぼ同じ深さの穴に閉じ込められ、不安そうに見上げる親指と、ようやく事態に気付いて駆け
寄ろうとする姉仔実装。

 親指が閉じ込められているのは、一丁の「木綿豆腐」。
 しかも、賞味期限切れのものだ。

 テチャァァァ!!

 レチャァァッ!! レェェェン、レェェェン!!

「おい泣くなよ。その白いのは全部食べられるんだぞ? お前らが沢山食べれば簡単に脱出できるって」

 テ、テェ?!

 レチュ?!

「お腹空いてるんだろ? だったら二人とも遠慮なく食えよ。毒なんか入ってないから安心しろ」

 テ、テ…テチャアッ!!

 レチャアッ!!

 ひろあきに向かって一声吠えると、姉妹は巨大な木綿豆腐にかじりつき、食べ始めた。
 外側と内側から食べ始めるのはいいが、それぞれまったく反対の方向に食べ進めている様子を見て、
ひろあきは爆笑した。

 だが、突然その笑いが止まる。
 自分の言った言葉に、何か妙な引っかかりを覚えた。


 それから一時間かけて必死に食べ続けても、姉妹は感動の再会を果たせずにいた。
 というより、弱った身体ではただでさえ多い木綿豆腐を食い進められないのだ。
 姉仔実装は、豆腐を手で削って捨てるという発想が浮かばないらしく、わざわざ律儀に全部食べようとする。
 そして、ある程度飲み込むとすぐに吐いてしまい、しばらく休んでから、また取り掛かる。
 救出の手が弱まると、親指はそれに連動するように泣くため、姉仔実装は相当焦っている様子だ。
 肝心の親指は、自力脱出を早々に諦め、ただ泣き叫んで一方的に姉の救出を待っているだけになった。

 テェ……ゲロゲロ……テェェエ…テチィ

 レチャアァァァッ!! レェェェェェン、レェェェェェン!!!

 そんな調子で、姉仔実装の頭が豆腐に埋まる程度に食い進むまで、たっぷり三十分以上もかかった。
 これでは、何時間かかるかわかったものではない。
 ひろあきは、そんな哀れで滑稽な姉妹を笑い飛ばすと、豆腐を放置して堤防を昇っていった。
 さすがに、そろそろ寝ておかないとヤバイと感じたのだ。


(続く)

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