逢いに行っても、いいですか? 2 ●としあき: 通勤路の途中の河川で、仔実装と親指実装の姉妹を発見した会社員。 姉妹を気に入り、食事などを提供する。 ●姉仔実装/親指実装: 橋桁と堤防の間に出来る隙間を住処にしている、実装石の姉妹。 人なつっこくて大人しく、姉はそこそこ賢いが妹は物忘れが激しい。 ●ひろあき: 虐待派のフリーター。 最近、河川敷で実装石を見かけなくなりストレスを溜めていたところに 仔実装姉妹を発見し、虐待魂燃焼中。 ※ ※ ※ 翌朝・午前6時。 としあきは、いつもよりさらに三十分も早く家を出た。 家族に一体何事かと詰め寄られたが、言い訳もそこそこに飛び出した。 夕べは急な大仕事が入り、日付が変わってからやっと帰宅したのだ。 さすがに姉妹はもう眠っているだろうと考え、顔は出さなかった。 だからこそ、今朝は少しでも長く一緒に居てやろうと思い、夕食の残り物の肉じゃがと少し暖めた冷やご飯 まで用意した。 さぞやお腹を空かしているだろうと心配し、足を速める。 河川敷へ降り、姉妹の巣を覗き込み、としあきはようやくほっと息を吐いた。 姉妹は、まだタオル布団の中で抱き合って眠っていた。 クークー寝息を立てているから、死んでしまったという事はない。 見ると、ペットボトルの水が半分以下にまで減っている。 としあきは、姉妹を起こさないようにペットボトルを回収すると、川の水を汲み取り補充した。 しばらくすると、姉仔実装が目を覚ます。 一瞬ギョッとした顔をするが、としあきの笑顔を見て安堵する。 そして、ボロボロと涙をこぼしながら、手に抱きついてきた。 テェェェン、テェェェェン、テェェェン!! 「おいおい、どうしたんだいきなり? ごめんな、夕べは来られなくって」 テェェェン、テェェェェン、テェェェン!! テチャァァァッッ!! 「お詫びに、今日は特別おいしい朝ごはんを持ってきたよ。二人で食べなさい」 テェェェン、テェェ……テ、テチ? 小さなタッパの中に詰められた、美味しそうな肉じゃが。 その香りに、姉仔実装はヒクヒク鼻を動かして反応する。 やがて、親指も目を覚ました。 レチャア…レェェン、レェェ……レチ? 姉仔実装とほとんど同じリアクションに、としあきは思わず吹き出してしまった。 肉じゃがとご飯をたっぷり食べ、汲んだばかりの水をガブガブと飲んだ姉妹は、満足した笑顔でとしあきに 頭を下げてきた。 満足はしたようだが、どうやら塩分が濃すぎたようで、水を飲む量がいつもより多い。 昨日同僚から、仔実装の塩分過多には注意しろというアドバイスを貰い、今日の肉じゃがも随分味を薄めた つもりだったが、まだダメなようだ。 としあきは「今度はもう少し辛くない奴にするからな」と謝りながら、タッパ類を片付ける。 姉妹は、小首を傾げて「テチ?」と鳴いた。 空いた時間で巣の中を掃除してやり、湿り気を帯びた布団を干してやる。 姉仔実装に、「乾いたら回収するように」と言い聞かせると、笑顔で頷きを返してきた。 巣の周りを片付けていると、親指が遊んで欲しいとまとわりついてくる。 としあきは、うっかり踏み潰さないように細心の注意を払いながら、先にゴミを片付けた。 一通りの世話を済ませると、今度は姉妹とのスキンシップだ。 同僚のアドバイスには、「本気で懐いている仔実装なら、適度にかまってやらないと寂しがってしまい体調に 変化を来す」というものもあった。 親指などは、時にはそれだけで偽石を自壊させてしまう事もあるらしい。 見たところ、姉仔実装はまだ分別をわきまえているようだが、親指は際限ない甘えん坊で、とにかく隙がある と引っ付いてきて甘えまくる。 懐かれるのは悪い気がしないが、どうしても気を遣いすぎてしまう。 いつものように、手の中ですりすり頬擦りをしてくる親指を尻目に、としあきは少し困った顔で姉仔実装を見る。 姉仔実装は、いつも以上にせつなそうな表情で、としあきを見つめ返していた。 ※ ※ ※ その日の、夕方午後4時。 再び、ひろあきが河川敷へやって来た。 レッチレッチ♪ レッチレッチ♪ テッチテッチ♪ テッチテッチ♪ 姉妹は、仲良く巣の中で遊んでいる。 ピンポン玉を転がしてキャッチボールをしているようだ。 ひろあきは、すっと手を伸ばしてそのピンポン玉を遠くへ弾き飛ばした。 テチッ?! レェ? レチ、レチ? 突然の事態に警戒する姉仔実装と、いきなりピンポン玉が消えた事に理解が及ばない親指。 「やぁ♪」 そんな二匹に、ひろあきは優しく声をかけた。 テ、テチャアァァ!! レチ? レチュウ、レチュウ♪ なぜか笑顔でひろあきに駆け寄ろうとする親指を、姉仔実装が必死の形相で引きとめる。 どうやら、親指は昨日の事をすっかり忘れているらしい。 親指を抱き締めながら、じりじりとひろあきとの距離を開こうとする姉仔実装。 だがひろあきは、容赦なく二匹をまとめて鷲掴むと、問答無用で外へ引っ張り出した。 テ、テギャァァァ!! レチィ、レチャァァァッッ!! 手持ちのコンビニ袋の中に二匹を詰め込むと、ひろあきはそれを全力でぶんぶんと振り回した。 テ、テ、テ、テ、テピョピョピョピョピョピョ?!?!?!?! レ、レ、レ、レ、レピョピョピョピョピョピョ?!?!?!!? まるで電子玩具の音みたいな声を上げて、みるみるうちに袋の中を濃緑色で満たしていく姉妹。 半透明の袋の内側が完全に不透明になるまで遠心力攻撃を加えてやると、ひろあきは全身くまなく 糞まみれになった姉妹をコンクリートの上に転がし、巣の中を確認した。 「これでしばらくは動けまい、と…さて」 ひろあきは、巣の様子が昨日と微妙に変わっている事に気付いていた。 所々に溜まっていたゴミが綺麗に掃除されており、布団もすっかり乾き切っている。 ペットボトルの水は半分以下にまで減っていたので、川の水を汲んで満たしてやった。 結構な量の水分を摂っている筈なのに、巣内で脱糞した痕跡がまったくない事に、ひろあきは感心した。 ひろあきは、先のとはまた別な袋を取り出しすと、その中に川の水を満たして姉妹を放り込む。 手袋代わりの糞まみれコンビニ袋を川に捨てると、ようやく事態の変化に気付いた姉妹の慌て具合を観察 する。 勿論、二匹の足は下に届かない。 二匹は、みるみるうちに水を緑色に染めて、袋の底へ沈んで行った。 テボボボボ…… レピョピョピョ…… 袋越しに身体を適当にしごいた後、姉妹が激突して潰れないように細心の注意を払いながら、水ごと コンクリートの上にぶちまける。 テ…ケホンケホン、ケホン…… レ、レ、レピョン! ようやく解放された姉妹は、またまたずぶ濡れになった身体を抱き合わせて、ブルブル震えている。 二匹が、既に逃走する気力すら失っている事を確認すると、ひろあきはポケットから小さなスコップ(100円 ショップ調達の園芸用)を取り出し、徐に地面を掘り始めた。 テェ? レェ… あれからひろあきは、二匹を攻めるプログラムを脳内で沢山構築した。 片腕、片足をへし折る、四肢切断、強制妊娠、タバコで焼印押し、禿裸化、総排泄孔溶接…真っ先に考えた のは、身体に跡の残るものばかり。 これらの手法は刺激的ではあるが、過去何度も試してもので、今更新鮮味を感じない。 そこでひろあきは、今後も姉妹には跡の残るような負傷はなるべく負わせず、代わりに生死に関わるような ギリギリの攻めを加え、精神的に追い詰めていく事を決めた。 だがひろあきは、もう一人の「姉妹に援助している者」に、なんとか彼女達の真の境遇を伝えたいとも願う ようになっていた。 本来なら、それは自分の首を絞めかねない危険な発想だ。 だがひろあきは、自分はピンチに陥る事はないという、絶対的な自信を持っていた。 実はひろあきは、あの後バイト明けにもう一度ここに立ち寄っていた。 その時は姉妹に何も手を出さなかったが、冷たく湿った布団に無理矢理包って眠っている姉妹の様子と、 先程よりも減っていたペットボトルの水の量から、その後誰も援助に来ていないと判断した。 という事は、援助者は自分がここに来られない時間帯にやってきている可能性が高い。 夜の8時から明け方4時までバイトに入り、夕方3時頃まで眠っている自分とずれた活動パターンを持って いるとしたなら、常に援助者の裏を掻き続ける事が可能な筈だ。 もちろん、それは更に充分な確認をしておく必要があるが… その「確認」のために、ひろあきはある賭けに出る事にした。 「これで良し、と。おいお前、風呂に入れてやるよ」 テ、テェ? 指差された姉仔実装が、キョトンとする。 「風呂に入れてもらえるってのは、飼い実装の特権の一つなんだぜ。お前、飼い実装になりたいって思った事 ないか?」 テ、テェッ!! トテトテトテ…… レ、レチィ?! ひろあきの呼びかけに反応した姉仔実装は、突然親指を置いて走り寄ってきた。 あれだけ警戒していたひろあきに、何故こんなに無防備に寄ってくるのか。 ちょっと意外な反応だったが、ひろあきはいきなり無抵抗になった姉仔実装を掴み上げた。 テェェ、テチィ、テチィ!! テチィィィッッ!! 両手を振り、何かを必死で主張している。 しばらくその顔を見つめていたひろあきは、ふと興味を抱き、携帯を取り出した。 実装リンガルのアプリケーションを立ち上げて、マイク部分を姉仔実装に向ける。 「おい、さっき言った事、もう一度言ってみな?」 テェ、テチィ、テチィ!! テチィ!! 『ニンゲンさん、ワタチ、飼い実装になりたいテチ! どうしても飼い実装になりたいテチ!!』 翻訳された言語が、液晶モニターに表示される。 それを見たひろあきは、眉間にシワを寄せた。 「本気か?」 テッチテッチ、テッチーッ 『いつもご飯をわけてくれるニンゲンさんのペットになりたいテチ! ワタチと親指チャンは、ずっとそう思ってるテチ!』 ご飯を…という時点で、ひろあきはピンと来た。 どうやらこいつらは、風呂に入る事で「飼い実装になるための資格」を得られると勘違いしているようだ。 援助者が最後に訪れてから、恐らく数時間は経っているだろうに、なおも拘っているところをみると、この 仔実装は相当その者に思い入れているらしい。 ひろあきは、邪悪な笑みを浮かべた。 テー、テチテチ、テッチ、テッチー 『ニンゲンさん、ワタチにお風呂を教えて欲しいテチ。 教えてくれたら、イタイ事したのを忘れてあげてもいいテチ』 ひろあきは、姉仔実装の「忘れてあげてもいい」という部分を読み、カチンと来た。 こいつ、何様のつもり? 携帯を素早くしまうと、ひろあきは姉仔実装をさっき掘った穴の中に押し込めた。 「テェ?」と不思議そうにしている姉仔実装の身体を、土でどんどん埋めていく。 あっという間に、姉仔実装は首だけを外に出した状態で生き埋めにされた。 テ、テ、テチャア? テ、テテェ〜 レチャレチャ♪ レッチャア! いまだ事態を理解していない姉仔実装と、なぜか喜んでいる親指。 恐らく、「これがお風呂なんテチ?」とか「オネーチャンお風呂入ってるレチュ♪」とか勝手な事を言っているのだろう と判断する。 ひろあきは、姉仔実装の頭を優しく撫でてやりながら、声をかけた。 「それは土風呂と言ってな、お肌がすべすべになる効果があるんだぞ」 テチ!! レェェ!! 「これに入っていれば、もうバッチリ飼い実装になれるさ。だから頑張れよ」 テチ…テチ!! レェェェ、レチィレチィ!! どうやら、姉仔実装はしきりに礼を述べているつもりらしく、必死で頷こうとしている。 対して親指は、自分も土風呂に浸かりたくなったのか、ひろあきの足許にすがりついて懸命にお願いをして いる。 だがひろあきは、親指はそのまま放置する事にした。 テ? テェェェ、テチィ、テチィ?!?! レ、レチャアッ!! ひろあきが河川敷から立ち去ろうとすると、背後で姉妹が必死な声を上げ始める。 さすがに、あのままで放置されるとまずいという事を直感したのだろうか。 だがひろあきは、姉仔実装をすぐに救い上げてやるつもりはまったくなかった。 次にここへやって来るのは、バイトに行く時…午後7時半頃。 その間に、他の実装石や野良犬などに襲われたら、その時はその時。 もし解放されていたら、その時間帯に援助者がやって来るらしいと判断できる。 そうなら、今後バイトの行きがけ時間帯を避ければいい。 虐待されている事がバレたとしても、おそらく援助者は具体的な対策を練る事はできないだろう。 何故なら、もしその気があれば、この二匹はとっくにここには居ない筈だからだ。 ひろあきは、そんな事を考えながら堤防を駆け上った。 ※ ※ ※ 午後七時半。 ひろあきは、再び河川敷へやって来た。 姉仔実装は、相変わらずの状態だったが、一応無事だった。 泣き疲れたのか、そのままの格好でうたた寝しており、頭の脇には、これまた涙で頬を塗らした親指が寄り 添って眠っている。 どうやら、本当に他の野良実装が来なかったようだ。 少し違和感を覚えたが、少なくとも、これで夕方から夕食時までの間に「援助者」が来ない可能性が高まった。 ひろあきは、親指を起こさないように持ち上げ巣に戻すと、姉仔実装を丁寧に掘り出し、服と髪に付いた土を ざっと払った。 服が湿っているため、汚れは全然取れていないが、そんな事はどうでもいい。 汚れている事を確信した援助者が、後で洗浄するだろうからだ。 ひろあきは、姉仔実装を抱き上げると、起こさないように巣へと連れて行こうとした。 「あれっ?」 ふと、良い匂いが鼻腔をくすぐった。 甘く豊潤な、よく知っている香り。 これは、バニラの匂いだ。 何事かと周囲を見回してみるが、匂いの発生源らしき物は特に見当たらない。 誰かが食べかけのバニラアイスでも捨てたのだろうかと考え、巣へと歩いていく。 布団の上に汚れきった身体を横たえてやると、ひろあきはバイトへ向かおうとする。 バニラの不思議な香りは、巣の中にも充満していた。 「なんか、変だな……」 妙な違和感を覚えたが、昨日に引き続いて遅刻するわけにはいかなかったので、ひろあきは急いで堤防を 上がって行った。 バニラの香りが自分の手の中にも残っている事に気付いたのは、彼が仕事場に入って三十分後、バイト 仲間から指摘されてからだった。 ※ ※ ※ 午後9時半頃。 河川敷にやってきたとしあきは、巣の中から聞こえてくる仔実装達の泣き声を耳にした。 二匹は、身体中を泥だらけにして、わんわん泣いていた。 実装服や髪、頭巾、手足だけでなく、マット代わりのダンボールもタオルの布団も、みんな真っ黒だ。 どうやら派手に泥遊びをしたようだが、部屋の中が汚れてしまって泣いているようだ。 としあきは呆れたため息を吐き出すと、姉妹を巣から運び出した。 「コラお前達。なんでそんなになるまで遊んでるんだ。綺麗にしないとダメじゃないか」 テチィ! テチ、テチ、テチィ!! レチャレチャ、レチィ!! 「言い訳はいいから。さあ、身体を洗おうね」 身振り手振りで、必死に説明しようとする姉妹を無視して、としあきは二匹を川辺に連れて行った。 ワイシャツの袖をまくって、姉妹の実装服を脱がせてやると、まず服を水洗いする。 しかし、相当しつこく汚れがこびりついているようで、なかなか綺麗にならない。 途中で諦めたとしあきは、今度は姉仔実装の身体を洗ってやろうとしする。 水面に浸そうとするが…… テェ……テ、テチャァァァァッッッ!!! 突然、四肢を震わせ、泣き叫び始めた。 テチャァァァッッ!! テギャァァァッッッ!! レ、レチャァァァァッッ!! レギャアァァァッッ!! まだ水に浸けてもいない親指まで、連動して悲鳴を上げる。 どうやら水が怖いらしく、必死で避けようとしている。 血涙を流し、歯を食い縛り、あれだけなついていたとしあきの手の中から脱出しようとあがく。 テチャァァッ!! テヒ、テビャァッ!! レ、レチャァァァァッッ!! レエェェェン!! 「こ、こらっ! 暴れるなって!!」 それでも無理矢理押さえつけて、身体を水に浸す。 すると悲鳴はピークに達し、仕舞いには泡を吹いて気絶してしまった。 テギュ……キュウ ブリブリブリブリ レチャァァァァッッ!! レ、レエェェェェン、レエェェェェェン!! プリプリプリプリ さらに加え、姉妹揃って脱糞までする始末だ。 としあきの手が、姉仔実装の糞で汚されていく。 事態をまったく把握出来ないとしあきは、やむなく川での洗浄を諦める事にした。 ひょっとしたらこの二匹は、以前に川で恐ろしい目に遭ったのかもしれない。 この嫌がり方だと、無理をすれば親指は自壊してしまいかねないし、姉仔実装も川に落ちて沈むか流されて しまいそうだ。 としあきは裸の姉妹を巣に戻してやると、実装服を持ったまま「ちょっと待ってろよ」と声をかけた。 さすがの親指も、服を奪われた事で激しく抗議するが、としあきが金平糖を与えると途端に笑顔になり、 ペロペロと舐め始める。 としあきは急いで自宅へ戻り、二匹のために新しい援助を施してやる事にした。 『確か、うちに使ってないポットがあったよな——』 ※ ※ ※ 三十分ほどして河川敷に戻ってくると、さっきのように姉妹が巣の中で泣き喚いていた。 としあきは彼女達を巣から出してやると、バッグから魔法瓶と使い古しの洗面器を取り出し、中に湯を注ぎ こんだ。 少々温めに調整した湯を張り、姉妹をそっと浸してやる。 最初はビクッと身を縮めていたが、やがて安全であるという事を理解したのか、二匹は温かさに身を委ね 始めた。 テッチュ〜ン♪ レッチュ〜ン♪ 「ようやく気に入ってくれたか」 やれやれ、と額の汗を拭うと、としあきは更に石鹸と小さなスポンジを取り出して、姉仔実装の身体を擦り 始めた。 テチャ?! テチテチ…テニャ〜ン♪ レェェ? レチュレチュ、レチュ! 優しく身体を洗われ、かなり気持ち良いらしい。 姉仔実装は、満面の笑顔でとしあきのなすがままになっている。 そして親指は、それを羨ましそうに眺めていた。 全身アワアワになり、あらかた汚れを落とした姉仔実装を湯の中に戻すと、今度は親指を手の中で洗って やる。 親指にスポンジだと肌が傷つくかもしれないので、今度は指先で丁寧に擦ってやる。 レ、レ、レ、レチャア♪ プリプリプリ 「おいおい、洗ってる最中なのにそれはないだろ」 レェェ? レッチュ〜ン☆ 気持ちよさの余り、手の中で脱糞してしまう親指。 幸い湯の中に落ちなかったが、としあきは少し閉口させられた。 ふと、奇妙な臭いを感じる。 先程もかすかに感じていた「バニラのような匂い」が、更に強まった。 「お前達、何か食べたのか?」 レェ? テチテチ〜♪ テッチテチ〜♪ 小首を傾げる親指と、としあきの呼びかけに気付かず湯と戯れる姉仔実装。 今は話しかけるだけ無駄と理解したとしあきは、親指の糞まみれの尻と総排泄孔を洗浄し、手についた糞を 洗い流すと、もう一度湯に戻す。 ぬるくなったら湯を入れ替えながら、たっぷり15分ほどくつろがせてやった。 充分に温まった身体を、真新しいタオルで丁寧に拭き、髪の水気も取ってやる。 すっかりご機嫌になった姉妹に、としあきは、自宅で洗濯乾燥させてきた実装服とパンツを返してやった。 「ほら、綺麗にしてきてやったぞ」 テチャ!! テェェ…テチテチ、テチ!! レチュレチュ♪ レッチュウ♪ としあきの意図をようやく理解したようで、姉妹は深々と頭を下げて礼をした。 次は、お楽しみの食事だ。 昼休みに買っておいた「実装フード」の袋を取り出し、皿に盛り付けてやる。 そして、姉仔実装に袋を丸ごと手渡し、自分がいない時はこれを少しずつ食べなさいと説明する。 姉妹は、皿から実装フードを取り上げると、クンクン匂いを嗅ぎ始める。 テェ? レェ? 「どうした? それは餌だよ。食べられるんだよ」 クンクンクン……テェ 初めて見るせいなのか、四角い固形物の実装フードがどういうものなのか理解できないようだ。 としあきは、一粒つまんで歯でかむ真似をしてみせると、ようやく角をカリカリ齧り始めた。 テェ…テチ レチュ…レチュ 反応が乏しい。 どうも、あまりおいしく感じないようだ。 数口齧った後、姉妹はやや困惑気味の表情でとしあきを見上げてくる。 としあきは二匹の頭を撫でながら、「これからはそれを食べるんだよ」と説明した。 テェ…テチュ レチュレチュ… カリカリ…カリカリ… カリカリ…… しばらく実装フードを齧り続けていた姉妹だったが、一粒の半分も食べないうちに、親指がフードを放り捨てた。 何やら怒り顔で抗議し始める。 レチュレチュ! レチューッ!! テ、テ、テチィ!! 両手を振り上げて怒る親指と、それを諌めようと慌てる姉仔実装。 それを見たとしあきは、同僚の更なるアドバイスを思い出した。 『実装石には、やっぱり実装フードが一番良い。 基本的に雑食だから何でも食べるけど、ヘタにおいしい物や肉類、飲み物、甘い物ばかり与えていると、 その味に慣れてしまってそれ以外の食べ物が口に合わなくなる。 そうすると、そいつは嫌いな物を死ぬまで食べなくなるか、下手をすると共食いに走るようになるんだ』 今まで焼き鳥やプリンばかり与え続けていた事に対する指摘だったのだが、としあきはその助言の大切さを ようやく実感した。 こういう場合は、少しきつ過ぎると思えるほどの仕置きをしなければならない。 同僚から教わったお仕置きの方法を思い出すが、としあきには、とても実行に移せそうにない。 いくらなんでも、こんな小さな親指の腕を引き千切るなんて、悪魔の所業にしか思えなかった。 レチュレチュ! レチューッ!! テチィ!! テチィ!! メッ! ペチン! レチャッ! と、としあきが悩んでいる間に、姉仔実装が親指を叩いた。 しばしの間を置き、親指の泣き声が響く。 レ……レ…レ、レエェェェェン、レエェェェェェン!! テチテチ、テチ としあきに向かって、申し訳なさそうに頭を下げる姉仔実装。 まさか、姉が率先してお仕置きをするとは思わなかった。 思ったよりしっかりした姉のようで、一先ず安心させられる。 としあきは、少し強ばった笑顔で姉仔実装の頭を撫でてやると、気分を変えるつもりで、巣に置かれた吸い 飲み付きのペットボトルを確認した。 水が、半分以下に減っている。 新しく水を入れ替えて姉妹の脇に置いてやると、ついでに布団とマット代わりのダンボールも交換する。 これで、巣の中はなんとか元通りになった。 姉妹は、その後抗議もせず、反発もなく静かに実装フードを食べた。 思ったより少量しか食べなかったが、代わりに二匹は水をガブガブ飲んだ。 親指などは、なぜかパンツを脱いで飲み口に吸い付いた。 何事かと見ていると、やがて飲んだ水が総排泄孔から水便となってダラダラ流れ始めた。 ペットボトルの水も、親指が一回に飲むにしては異常な減り方だ。 あっという間に1/5ほども水を飲んだ親指は、姉仔実装に股を拭いてもらってから、パンツを履き直した。 姉仔実装も、パンツこそ脱がないまでも少し飲み過ぎと思えるほどガブ飲みしている。 よく見ると、下腹がぷっくりと膨らむほど飲んでいるではないか。 としあきは、こんな飲み方でよくペットボトルに水が残っていたものだと、逆に感心した。 食事が終わる頃には、既に午後11時を回っていた。 としあきは姉妹におやすみの挨拶をして、堤防を駆け上っていく。 いつものように、泣きながら見送る親指と、悲しげな顔でそれを抱き締める姉仔実装。 また、数時間の寂しい時間がやって来る。 ※ ※ ※ 明け方の午前五時。 仕事帰りのひろあきは、また河川敷にやって来た。 巣の中を覗き込み、姉妹が無事な事に安堵するも、あれだけの惨状が完全に元通りになっている事に吃驚 した。 どうやら援助者は、相当この姉妹に思い入れているらしい。 ここまで丁寧に掃除をするとは思っていなかったのだ。 姉妹の匂いを嗅いでみるが、ほのかな石鹸の香りがするだけで、先程のような甘ったるいバニラの香りは しない。 不思議に思っていると、巣の奥に新しい実装フードの袋が置かれている事に気付いた。 更に、半分ほど中身の減ったペットボトルの脇に、何かが置かれているのを発見した。 手を伸ばして確認すると、それは「肉の塊」のようだ。 怖気が走り、思わず手を退いてしまったが、ライトを当てて落ち着いて観察すると、これは加工肉のようだ。 ——ソーセージの破片。 恐らく、ポークビッツのような小さなものだろう。 それの末端部分だけが、なぜか食い残されていたのだ。 卑しい実装石が食べ残しをするなんて珍しい事もあるのだなと思いながら、ひろあきはその肉片と実装フード の袋を取り上げる。 そして、外袋以外のすべてを川へ捨ててしまった。 「食べ残しをするような悪い子には、もうご飯あげません! って、よく言われたもんだっけな☆」 フードの破片や粉すらも残さず、見事に空になった袋を元に戻すと、ひろあきはあくびをしながら堤防を昇って いった。 ペットボトルの水は、この様子なら補給してやる必要はないと判断した。 ※ ※ ※ アパートに戻ったひろあきは、半分眠りかけた頭でパソコンの画面を眺めていた。 いつもの巡回ルートで、何か変化がないかをチェックしないと、すっきり眠れないのだ。 某大規模掲示板、某大規模画像掲示板の各板を巡り、見慣れたスレッドに大きな変化が見られない事を 知る。 ついでにメールをチェックすると、着信がある。 ひろあきが随分前に登録した「実装石・虐待紳士社交コミュニティ」からのものだ。 これは、虐待紳士の虐待紳士による虐待紳士のための情報交換コミュニティで、各参加者が実際に実装石 を虐待した経験を持っており、その実績やテクニックを披露し、互いを刺激し合って更なる高みを目指そうという 目的で運営されていた。 ところが、ここしばらくは提供情報や意見交換内容もマンネリ化を始め、「以前どこかで見たような情報の 焼き直し」や「明らかに脳内で考えただけの机上理論テク」ばかりが占めるようになってしまった。 挙句に、実装石虐待とは何の関係もない雑談・馴れ合いまで始まってしまい、そういった事にまったく興味 のないひろあきは、いつしか足が遠のいていた。 ここ数週間はほとんど新規投降もなかった筈なのだが、ここに来ていきなり活性化を始めたようだ。 だが眠気が先に立ってしまい、ひろあきは覗きに行くのを諦めて、そのまま寝てしまう事にした。 どうせ見に行っても、大して面白い話題もないだろう、と高をくくっていたというのもあるが。 ※ ※ ※ 翌朝、としあきがいつものように河川敷に行くと、珍しく既に姉妹が起きていた。 巣を覗くと、実装フードの袋を挟んで、なにやら言い争いをしているようだ。 ペットボトルの水は、既にカラになっている。 としあきは二匹に声をかけ、実装フードを皿に盛りつけてやろうとしたが、袋が異様に軽い。 「あれ? まさか全部食べちゃったのか?!」 テ、テチィ!! フルフル レチャア!! レチャア!! レェェェェン!! お互いを指差し合い、何かをしきりに訴えている。 その態度から、それぞれに罪をなすりつけているのだと判断する。 今まで温厚に接していたとしあきも、この態度にはさすがに呆れてしまった。 いくら賢いと言っても、やっぱり所詮は野良なのか…と。 与えられた分を全て一度に食べてしまうようでは、今後も食料の保管・管理は難しそうだ。 テェェ… レェェ… もの欲しそうな視線を投げてくる姉妹に、首を振る。 今朝は家族に捕まって半ば強制的に朝食を摂らされたため、としあきは何一つ餌になりそうな物を持って いない。 丁度良い機会だから、ここで少し厳しく接してみることにした。 「何回にも分けて食べなさいと言っただろ。それなのに全部食べちゃうから悪いんだぞ。罰として、夜まで ご飯はなしだ!」 テェェェッ?!?! レ、レチャァァァッッ!! キュウ〜〜…グルグルグル チュルチュルチュル〜 悲鳴と同時に、二匹の腹の虫が鳴る。 可哀想ではあったが、いつでも人間から餌がもらえると思わせるのはまずいというアドバイスも同僚から 貰っている。 としあきは、ペットボトルの水だけ取り替えてやると、今朝は姉妹と一切遊ばずに堤防を駆け上っていった。 テチャァァァ!! レェェェン、レェェェェン!! キュウ〜〜…グルグルグル チュルチュルチュル〜 いつもと少し違う泣き声が、としあきの背後から響いてきた。 ※ ※ ※ 午後四時。 またまた河川敷にやってきたひろあきは、そっと巣の中を覗き込み、呆気にとられた。 くしゃくしゃになり、所々汚れが不着したタオル布団、空になって倒れているペットボトル、表面がボロボロに 荒れているダンボールのマット、べっとりと付着した糞の跡、そして前面部をドロドロに汚した姉妹の様相… テェェ!! レチャアッ!! ワンテンポ遅れて、姉妹がひろあきの存在に気付く。 ひろあき自身、姉妹のリアクションが脳に浸透するまで、しばしの時間がかかった。 それほど、巣の中は荒れまくっていたのだ。 「お前等…餌、貰えなかったのか?」 テチテチ、テチィッ!! レチレチ、レチィッ!! しきりに何かを訴えている。 実装リンガルを起動させようとポケットに手を伸ばした時点で、独特の臭みと、甘ったるいバニラの香りが 混じった汚臭を強く嗅いでしまい、ひろあきは思わずもんどりうった。 「う、うげぇぇぇっ!! な、なんだこの臭い!! は、吐きそうになったじゃねぇか!」 テ、テチィッ?! レチャアッ!! 「お前らぁ〜〜。よくもこんなくせぇ臭い嗅がせてくれやがったなぁ〜〜〜」 頭に血が上ったひろあきは、手が汚れるのも構わずに姉妹を鷲掴むと、川辺に強制連行する。 「よぉし、もう一度キレイキレイしてやっからな〜♪」 顔色を変えて必死で暴れる姉妹には構わず、また以前のように容赦なく水の中に叩き込んだ。 テボボボ…テボボボボ……テチャッ!! ケホッ、ケホッ…テェェ……テボオッ?!?! ……レピョピョピョピョ……レピャッ!! レピョン、レピョン……レ…レチャボッ?!! 「いい感じだぞぉ、よし、もうちょっとやろうね〜」 水攻め・引き揚げ・呼吸が整う直前にまた水攻め、のコンボを執拗に繰り返す。 その上服を引き剥がし裸にすると、ペットボトルに水を入れて姉妹の口の中へ流水をぶち込む。 ゴホゴボゴボゴボゴボゴボ……… ゴホゴボゴボゴボゴボゴボ……… 「おお〜、出るわ出るわ。すげーすげー」 総排泄孔から、大量の液便が流れ出る。 涙を流して必死で抵抗するが、ひろあきは手加減する気はまったくない。 強制体内洗浄、しかもそれぞれに数回繰り返す。 総排泄孔からの排水が完全に透明になるまで繰り返すと、ひろあきは足許に溜まった液便を遠目から観察 した。 布の繊維のようなものや、ダンボールの紙片らしきものがいくらか混じっているようだが、ほとんどが糞便 のみ。 どうやら、飢餓感から糞食に走ったらしい。 何かの理由で、今朝だけ援助者は何もしなかったようだ。 それにしても、たった一食抜かれただけでここまで飢えるというのも、少々腑に落ちない。 かつて賢い仔実装に強制断食をさせた事があるが、糞食に走ったのは早くてもせいぜい二日目を過ぎた 辺りからだ。 まして姉妹は、夕べはそれなりに食事をしている筈だ。 今までの経験が、微妙な「奇異」を感じさせる。 瀕死の状態でずぶ濡れの身体をひくつかせている姉妹を見つめ、ひろあきはしばし考え込んだ。 だが、やがて面倒臭くなり、当初の予定通りの虐待を加える事にした。 今日は姉妹を裸に剥き、首にリードを着けてどこかに固定して自由を奪ってやろうと考えたのだかそれだけ では生温いような気がする。 嘔吐しそうなほどの汚臭を人間様に嗅がせ、あまつさえ手に糞までなすりつけた罰は、あまりにも重過ぎる。 一部責任転嫁な罪状もあるが、ひろあきはもっと苦痛を伴う責めを熟考する事にした。 リュックの中に入っているリードの箱を見て、新しいアイデアがひらめいた。 ひろあきは、姉仔実装の服をすべて剥ぎ取り、それで親指の身体を包み込むと、リードを取り出した空箱の 中に無理矢理詰め込んだ。 レチ?! 圧迫感で親指が意識を取り戻したようだが、完全無視。 さらに箱をリードの紐でグルグル巻きにして固定すると、リードの首輪部分を姉仔実装にはめた。 テ…? 姉仔実装は、裸の状態でリードだけ着けさせられ、その末端部には愛する妹と実装服・パンツが詰め 込まれた箱をぶら下げているという、なんとも言い難い滑稽な姿になった。 レェェェン、レェェェェン!! テ、テチ?! テチテチ、テチィッ?! 「早く妹を助けてやれよ。飢え死にしちゃうかもしれないぞ」 テェェェッ?!?! テチテチ、テチィッ!! キュウ〜〜…グルグルグル レェェェン、レェェェェン!! チュルチュルチュル〜 泣き声と腹の虫の鳴き声が、重なって聞こえる。 ただでさえ空腹な所を体内洗浄されたため、二匹が味わっている飢餓感は尋常なものではない筈だ。 その上、姉は衣服と妹を奪われ、妹は服ごと狭い箱に閉じ込められ身体を圧迫されている。 姉仔実装は、自分の首から伸びているリードの紐を解き、箱を解放しない限り妹と服を救い出せない。 しかし、箱はひろあきの手によって固く閉められており、実装石の不器用な手では絶対に開けない。 この惨めな状態のままで、姉妹には夜まで泣き叫び続けてもらうつもりだった。 「ほぉらほら、妹はどこだぁ? 助けてやれよ、お姉ちゃんなんだろ〜?」 一通りの作業を終えると、ひろあきは川で手を洗い、携帯の実装リンガルを起動させた。 姉妹の必死の声が、次々に変換されていく。 『テェェェーン!! 親指チャンどこにいるテチーッ?! お姉ちゃんが悪かったテチ、出てきて欲しいテチーッ!!』 『レェェン! オネーチャアン!! 狭いレチュ、暗いレチュ、怖いレチュ、くるちいレチュ、臭いレチュ、揺れるレチュー!!』 『何処にいるテチ?! 親指チャン教えるテチーッ!!』 『オネェチャアン!! ここに居るレチィーッ!! 早く助けてレチィーッ!!』 あまりの無様さに、ひろあきは腹を抱えて爆笑した。 姉仔実装は、どうやら親指の居場所に気付いてないらしい。 さすがは糞蟲、さすがは実装石! ミジンコ並の認知力というのは、本当のようだ。 自分のすぐ脇にぶら下がっている箱には気にも留めず、姉仔実装はグルグル回りながら必死で周囲の様子 を窺っている。 あの様子では、自分が裸だという事にすら気付いてないかもしれない。 ひろあきは、バイト前にまた来てやろうと考え、一先ずこの場は退散する事にした。 (続く)
