タイトル:【馬?】 もう一度、行きたい
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作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:2992 レス数:0
初投稿日時:2007/04/10-23:25:46修正日時:2007/04/10-23:25:46
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「んじゃさ。俺から質問のお返し。逆に、もう一度行きたいところってある?」
「ある。けど、さ。俺の都合で行ってもダメなんだよなぁ」

 男は腑に落ちない顔をして、俺を見ていた。
理由は、おいおい語るとして。彼から聞いた刑務所の話の変わりになるかは、分らないが
それでも、とっておきの話を聞かせてやろう。

 俺は酔いが回って働かない頭で、なるべく丁寧に、そして言葉を選びながら話し始めた。



 ■もう一度、行きたい■



「にいちゃん、どしたん?」

 不意にかけられた言葉で、俺は泣きそうになった。って言うか、泣いた。

「た、助けてください!」

 疲労困憊。足の痛み。後悔と、自責。そして空腹。限界だった。
やめときゃよかったんだ。自転車で、日本横断なんて!

「ほぉけ。そらぁ、災難やったのぉ〜」

 最初は順調だった。「まず、北海道へ向かおう」なんて調子で目的地セット。
後は道沿いに、北へ北へ。

 そして、県境の峠に差し掛かったところで、自転車が壊れた。
まさかと思ったが、チェーンが切れた。外れたとかじゃない、プッツリと切れたのだ。
パンクならともかく、修理道具なんて持ってない。

 薄暗くなって行く空。・・・・・・人影は無い。車も通らない。
・・・・・・てか、本当にこの峠に入ったとたん一台も見かけなくなったな。
何というか。人類が俺だけ残して、滅亡したのでは?と、錯覚する。

「はい。もう、ダメかと思いました」

 そんな時、白い軽トラックがやって来た。俺は、当たろうが引かれようが、
構わない決意を胸に、全力で止待ってくれと。助けてくれと訴えかけた。
渡りに船!それほど、追い詰められていたからだ。

「オニギリさぁあるで、喰ったらよか」

 軽トラの運転手は、気さくなおじさんだった。
おじさんの後ろに、後光が見えた気がする。実際、柔和そうな顔がしわくちゃでも
仏様に見えた。話を聞くと、街で資材調達をしてこの先にある村へ帰る途中だと言う。
俺は、ひたすら頭を下げてお願いし、何とか村へ連れて行ってもらうことにした。


「熊・・・・・・ですか?」
「あぁ、出よるさの〜。よぉ、食荒らすだでよわっとる」

 こんな話を聞けば、道端や、少し入った林の中で野宿なんかできない。怖すぎる。
色々と身の上を話していたが・・・・・・安心と、満腹感で眠ってしまっていたようだ。
俺が次に目覚めたところは村の中で、このおじさん宅の駐車場だった。

 ●

「あぁ、こりゃダメや・・・・・・接いだりするより、新しいチェーン買った方がええわ」
「そうですか・・・・・・」

 軽トラの荷台から自転車を下ろして。このおじさん、名前を武田さんと言うのだが、
状態を見てもらったが・・・・・・どうにもダメそうだ。
武田さんは、俺の表情を見てとって、「三日後でええなら、近くの街までおくったらい」と
言ってくれた。ま、当然交換条件があるのだが。

「わしのぉ、ちょうど人が欲しかったけん。手伝どぉて欲しいもんが、あるんじゃ」
「あ、はい。それはもう、お手伝いさせてください」

 で、その手伝いの説明をしてもらう。

「まぁ、の。簡単ちゃ簡単だで、今日はゆっくり寝て、明日からがんばってぇの」
「はい。頑張ります!」

 ●

「・・・・・・えぇ〜」

 すごい数だ。まったくもって、なんだこりゃ。ドッキリカメラ?

「デププププ!デ、デスデッスンデェ!」

 実装石が30匹。もっと驚く事は、その全てがマラ付だったのだ。
一匹一匹、小さな飼育小屋に入れられて、泣き声をあげていた。
武田さんは、このマラ実装の餌を街まで買いに行っていたそうだ。お手伝いは、
こいつらのお世話だろう。

「あ、違うけん。兄ちゃんは、こっちきてな、ほれここ」
「作業台っすか? ん、形が・・・・・・?」
「これぁな、実装石座らせてな、処理する台や」

 そういうと、一番近くの飼育小屋を開けて、マラ実装を一匹取り出した。
プゥ〜ンと、イカの匂い。もしくは、栗の花の匂い。マラ実装の箱からは、
濃厚な刺激臭が・・・・・・。

「ここ座らせてなぁ、兄ちゃんはこいつ動かんように押さえとってくれるか?」

 台の起伏にすっぽりと収まったマラ実装は、分娩を待つ妊婦のような格好で寝かさ
れている。少し違うのは、隆起した肉塊が見やすい位置に来るように角度が付いている事。

「暴れよるでの、一人では難儀やおもとったとこや。昔は息子がやってくれたんやがのぉ」
「こ、これで良いですか?」
「ん。もっと強よぉ、そうそう。んで、先にな両腕をやな・・・・・・ほい」

 ストン。いつの間にか持っていた鉈で、武田さんはマラ実装の両腕は付け根から切断
した。見事な、実に鮮やかな切断だった。

「デ、デジャァァァァァァァァァァァァァァ!!」
「あ、そうやった。口に、これ咬まさな。年やのぉすぐ忘れる、あぁ〜ん」
「デシィデシィ・・・・・・デ? デチュンゥン〜♪」

 「何を入れたんですか?」と聞くと、なんてこたぁない。金平糖だ。しかし、口の中で
拡がる甘さで頭が一杯になり、泣き叫ばなくなると言う。何ってこった。
実装石の事は、知っていたがここまで出鱈目だとは。

「まだ、終わりとちゃうよ、こっからが本番やてな」
「え、それって。あ・・・・・・」

 チョキン

 それはイカンだろ!だって、それさ、うわぁ。武田さんはマラ実装の先っぽ、
1センチくらいを、これまたいつの間に持ち替えたのか、ハサミでちょん切った。
それから、焼けて真っ赤になった鉄を、切り口に強く押し当てた。

 ジュウゥゥと肉の焼けた匂い。痛そう。っていうか、絶対痛いって。
自分が同じ立場だったらと、想像して迫り来る架空の痛みに眉をひそめた。

「ん、こな調子でなや、明日までに全部おわらせるで」
「このマラ実装全部ですか?」
「ん。やっときゃ、金平糖やって悲鳴出させんといてぇな?他のに聞かれんように」
「は、はぁ。」

 何というか、男?としこいつらに、同情する。
しかし、ボヤボヤしている暇はない。早く終わらせる事だけを考えて、俺は言われた通り
に黙々と作業に専念した。

「ラスト、終了〜」
「ん。お疲れさんやったの、後はこれを明日の朝神社の前に番号毎においてくけん」
「は、はい」

 気がつけば、17時だった。疲れた〜。今夜は風呂に入ってすぐ寝よう。
こんなにケースが有るのだから、明日の重労働は確実だな。
武田さんの好意で、一番風呂。ゆっくり湯に浸り今日の作業を思い出した。

 そういえば最後、武田さんは処理済みのマラ実装を、神社に持っていくと言った。
何故だ? ・・・・・・考えても分らない。ん。まぁ、良いだろう。
明日になれば、はっきりするだろうし・・・・・・。
そんな事を考えながら、俺は風呂から上がった。

 ●

「あーお祭りだったんですね?」
「いんやぁ、いうとらんかったけぇの?」
「はぁ」

 神社の周りに設営されていく提灯や、紅白の垂れ幕。巫女さんや、神主さんと思われる
人たちが、村役場の人たちとなにやら相談している。設置場所の確認だろうか。

「武田さん、こっちゃです。ここ右端にして、1列5箱。んで6列さ作ってもろたら」
「箱の間は50センチ、やったかいね?
「ほうやと、思とったがいの、神主はんに聞いてくるわ」

 位置と場所さえ決まれば、後は置いていくだけの単純作業。だが、それが重労働
となれば、楽ではない。綺麗に見えるように、慎重に箱を並べる。
これで、準備は終わったようだ。

「よう頑張ってくれたの、後は祭りさみてぇ旅の思い出にしたらよか」
「はい、結構楽しかったですよ」
「ほうけ、しかし。2年に一度の祭りに合わせてくるんじゃて、運がええのか悪いのか」

 武田さんは、苦笑して俺の背中を叩いた。俺もつられて苦笑い。
祭りが大好きな俺にとって、今までの苦労はこの時の代価だったのかもしれないな。
パンパンと、花火が鳴った。いつの間にやら、もう祭りは始まっていた様だ。

 ●

 ここ○○県と●●県の県境にある小さな村は、とあるお祭りで賑わっていた。
ちょっと変っているこの村のお祭り目的に、外人観光客もやってくるらしい。
その道ではワリと有名な、男根型道祖神を祭る「御年子祭」。
 子が沢山生まれますように、安産でありますようにの願いのせて、巨大マラ神輿が
村内をくまなく練り歩く祭りである。

 そして、ここからがこの神社でしか見られない行事である。手順はこうだ。
まず神主が、木箱の中に入った木札を5枚選ぶ。5枚の札には1から30の番号が書いてある。
神社の敷地に運び込まれた木箱の番号も、1から30。つまり、30箱の中から5箱、
木札と同じ番号の付いた物が選ばれる事になる。

 選ばれた木箱から、中に入れてあったマラ実装石が取り出された時、見物人らが
どよめいた。マラ実装のマラが、ありえないぐらいに膨張しているのだ。
先端を焼かれているので、再生した両手でいくらしごいても、精液が出せない。
溜まりに溜まった精液は蓄積される。そして、竿の膨張が起きるのである

 台に乗せられて、手足を聖人のように十字架に貼り付けにされる5匹。
抵抗すらできないのか、ぐったりうな垂れたまま拘束されるマラ実装。
マラの付け根に、細い糸がくるっと巻かれ、片方を巫女が、反対側を神主が持つ。

 鈴や太鼓が鳴り響き、別の巫女による神へささげる舞が踊られる。
それが終わると、ひときわ大きく太鼓が鳴らされ、神主と、巫女が糸をひっぱる!

ブシュゥゥゥゥ〜!!!

 マラが本体から切り離された為、逃げ道ができた精液は物凄い勢いで噴出した。
ロケット花火のようにマラが飛ぶ。1本の距離を測ったら次のマラが飛ぶ。
そして、全てのマラ中一番飛距離の出た番号が子宝日に決まるのである。

「すごい!! すっごい飛ぶんだぁ!」
「ほじゃろ、今年はわしがマラの当番やったでな。張り切って育てたけんの」

 武田さんが、俺に胸を張ってそう答えた。

 子宝日と言うのは、まぁなんだ。ぶっちゃけ、その日に夜の夫婦生活を頑張りなさい。
その日に種付けした子は、良い運勢の持ち主になれますよ、といった具合。
めでたく、今年は毎月6日に決定したようだ。今年も子沢山に恵まれるますようにと、
拍手喝采。こうして、お祭りは大盛況のうち幕を閉じた・・・・・・。

 ●

「とまぁ〜。こんな具合」
「なんだ、それすッげー面白そうじゃないか」
「だろ? でも、さ。すっごい前の話だからなぁ場所は探せても期日がなぁ」
「なるほどなぁ」

 俺は、喋り続けて渇いた喉を潤す為にバーのマスターにお代わりを注文した。
男はうんうん頷いて、俺の話を反芻しているようだった。

「ま、ダメモトでも良いからさ、今度いかね?」
「え、まじで?」

 マスターが新しいグラスを俺の前に置きながら、「もう、そろそろ」と
閉店を促す。俺たちは、それならばと互いの連絡先を教えあって、必ず
例の祭りへ行こうと約束して、別れた。

 翌朝、携帯の住所録に新しく登録された名前と、電話番号をみて昨日の事が
夢でないと分ると、物凄いニヤケた面で、会社へ行く準備を始めた。


−終-


「二度と行きたくない」の続編でした。

「二度と〜」、感想いただきまして、ありがとうございました。
励みになります。


初スク ある市の復興記
2作目  二度と行きたくない
3作目  もう一度、行きたい


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