タイトル:【虐】 愛護派に住みにくい街
ファイル:愛護派の住みにくい街.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:6852 レス数:1
初投稿日時:2006/07/07-15:48:58修正日時:2006/07/07-15:48:58
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この街は実装石の扱いに関して進歩的な街である。
こう書くと、住んでいる人間はすべて愛護派の中の愛護派で、公園に入りきらない実
装石が街中にあふれ、生ゴミは片付けられず糞の臭いはたちこめ実装石によるトラブ
ルは後を絶たず普通の人間はまったく住めないような地獄の街を思い浮かべるかもし
れないがさにあらず。
実際には街に実装石が溢れかえることなどなく、平均的な公園よりもずっと広い街の
自然公園には、平均的な公園よりもずっと実装石が少ない。しかも、そのほとんどが
賢く、実装石としての分をわきまえた個体ばかりで、人間の悪いところを煮詰めて溶
かしてこれでもかといわんばかりに凝縮したような実装社会とは無縁の公園生活を送
っていた。


もちろん、この奇跡には裏がある。
この公園には、だいたい20匹ほどの実蒼石が住んで居るのだ。
街の役場の職員によって連れてこられた彼女たちの努力と、草の根的な駆除活動によ
ってこの街から日ごろの行いの悪い実装石、いわゆる糞蟲的個体の全面的な排除に成
功した。残った賢い実装石には、公園の掃除(実装石でも出来るレベルのもの)の仕
事をさせ、代わりに食料である生ゴミなどを与えることを約束した。
当初の目的を果たした実蒼石たちは、そのまま公園に残った。自然公園に植えられて
いる草木の手入れや、場合によっては発生する糞蟲の間引き、あるいは駆除をしなが
ら生活をしていた。
ニンゲンが迷惑するようなことをしなければ、実蒼石が襲い掛かってくることはない
と実装石は理解し、実蒼石もまた実装石がつつましく暮らすのであれば、それを妨げ
る気はなかった。
はたから見れば異常ともいえる実装石と実蒼石の公園共同生活は、意外とうまくいっ
ていたのだった。




「畜生・・・、ハサミの化け物の分際で実装ちゃんたちを虐げやがって・・・」
これが気に食わない男が一人いた。
この男、愛護派である。その中でも一般の人間にひかれる位の溺愛派で、住んでいる
マンションの規約で実装石は飼えないが、毎日のように公園へ行き実装石たちにエサ
を与え(実蒼石には絶対与えない)、公園の実装社会の中ではちょっとした有名人だ
った。
その男は自分の部屋で一人悩んでいた。
(とにかくあのハサミを何とかしないと公園を実装ちゃんで一杯にすることは出来な
い。だが、ハサミは街の準職員扱いで、しかも条例で手出しは禁止されてる)
(そうなると実装ちゃん自身の手であのにっくきハサミをやっつけてもらうしかない
が、長年の奴隷生活のお陰でおそらく反抗心を刈り取られてしまっているだろう)
(ハサミめ・・・。血も涙もない実装虐殺魔め!!)
ゆがんだ目で見ると、穏やかな公園生活もこう見えるらしい。
自分で考えていて頭にきたのか、座布団代わりに尻に強いていた実蒼石等身大ぬいぐ
るみ(¥6800円)をサンドバック代わりにぼすぼすと殴りだした。
ちょっと疲れてきたところで、つけっぱなしのテレビからニュースが流れてくる。
『昨夜、実装石のものと思われる傷害事件が発生しました。被害者の容態からスタン
ガンのようなもので暴行されたと見られ、警察は一体の一斉駆除活動を開始しました。
次に、政府はニート対策について・・・』
「これだああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
男はマンションの薄い壁も近所迷惑も忘れて絶叫した。



男は次の日車で出かけた。高速に乗って二時間ほど行ったところが目的地である。
具体的にどういうところかというと、実装石規制に対して甘い街だ。
まずは、その街の実装ショップによる。調べた限り、もっともやばそうな店だ。そこ
で買い求めるものは唯一つ、ニュースからヒントを得た実蒼石への対抗手段である。
「まいどあり〜」と気のない挨拶を受けながら店を出る。その手には両手でギリギリ
もてるくらいの大きさのダンボールがあった。
「ククク、みてろよハサミめ糞蟲め・・・。こいつで蜂の巣にしてやる」
男が買い求めたものは、かつて一世を風靡した違法改造エアガン、デスゥンガンであ
る。実装石どころか人間にも怪我を負わせられる一品だ。これならば実蒼石とも渡り
合えるだろう。男の住んでいる街ではデスゥンガンどころか威力が規制値辺りまでさ
げられたデスゥタンガンも販売禁止だった。そのため、ここまで来る必要があったの
だ。ただ、問題があるとすれば、
「しかしあの店員ぼったくりすぎなんだよ・・・」
取り合えずデスゥンガン1ダースと弾、ボンベなどを買い求めると、禁制品であるこ
とも手伝って前のボーナス分が吹っ飛んだ。
「これも実装ちゃんたちのためだ、ガマンガマン・・・」
そう自分に言い聞かせると、ダンボールを車に積み、次なる目的地へと向かう。
デスゥンガンを扱う人材ならぬ石材のスカウトだ。

「うお、いるいる」
公園の前に車を止め、降りてみるとやかましくデスデスという鳴き声が聞こえてきた。
ついでに糞や汗、垢などの分泌物、体臭その他が混ぜ合わさった実装臭(一般人なら
ばただ臭いと思うだけ)が流れてきた。
この街の実装石は平均的な公園のそれよりも多く生息している。
多ければ多いほど食糧事情の問題で減りそうなものだが、定期的にエサを与える愛護
派の存在で緩やかなカーブを上下に描くのみである。
男は手持ちの金平糖をばら撒きながら、実装リンガルのスイッチを入れ実装石たちに
呼びかける。
「みんな、集まって〜〜〜〜」
もとよりエサをねだろうとしていた実装石たちは、金平糖が撒かれるのを見るや否や、
猛ダッシュ(亀の歩みだが)で男の周りの金平糖に殺到した。
「金平糖!金平糖デスゥ!!絶対渡さないデスゥ!!」
「おいニンゲン!この美しい私のためにもっと献上するデスゥ♪」
「この世で一番高貴な私を飼わせてやるデスゥ!感謝しろデスゥ♪」
「甘いテチィ♪金平糖おいしいテチィ♪テチャ、ワタシはおいしくないテチィ!チュボァ」
まさに実装石のダークサイドを披露している実装石たちに、
「みんな、聞いてくれ!!」
男はさらに呼びかけるが、実装石たちは男に媚びたりエサをせびったり、あるいは仔
実装をかじったりで忙しい。
男は気にせずに続ける。
「隣の街の、君たちの住みやすい公園に実蒼石が住み着いたんだ!!
僕はそいつらを追い出すに、一人でも多くの仲間が必要なんだ。
あのハサミの化け物をやっつけてやると思う子はいないかい?」
実蒼石・・・・・・。その言葉の効果は絶大だった。
「「「実蒼石!?デッギャアアアァァァァァ!!」」」
あれだけ男の周りを取り囲んでいた実装石たちは、蜘蛛の子を散らすように逃げ出し
た。実を言うとここの実装石も実蒼石の恐怖にさらされていたりする。
たま〜に虐待派が飼っている実蒼石をつれてきて、盛大にハサミを振るって挽肉を製
造するのだ。そんなことは露知らず、男は(やっぱりどんな実装ちゃんでもあのハサ
ミの化け物は怖いんだな)と納得するだけである。
「やっぱりか弱い実装ちゃんに無理をさせるのは良くないな・・・。
仕方ない、他の手を考えることに・・・。おや」
諦めかけたそのとき、男のもとには5匹の実装石が残っていた。
「実蒼石?ぶっ殺してやるデス!」
「そうデス。私たちにかかればイチコロデス!」
「どうでもいいからエサをよこすデスゥ♪」
「仔の仇デスゥ!許さんデジャァ!!」
「どこでもいいからここと別の場所に連れて行くデスゥ・・・」
男はこの言葉で涙に目が曇るのを実感した。
(実装ちゃんたちが虐げられた仲間のために立ち上がってくれた!!)
(あれだけいる中の5匹だけだけど、むしろ戦隊モノにあわせたような力強い数だ)
(これならばあのハサミをやっつけられるに違いない!!)
この5匹の中で、実際に命を引き換えにしても実蒼石を倒そうとする気概があるのは、
一匹だけというのは気にしない。
二匹はただの勘違いした糞蟲であるというのも気にしない。
一匹はただ媚びているだけというのも気にしない。
さらに一匹は禿裸で、単にこの公園から逃げ出したがっているだけというのも気にしない。
気にしてはいけないのだ!!
というよりも感動に目が曇った男には、そんな常識的な判断など出来ない。
「解った!君たちの覚悟は受け止めたよ。僕はそれを止めはしない。ただお手伝いをするだけさ!!」
男は5匹の実装石たちに金平糖を渡しながら、車まで誘導する。
これでまずは下地が整った。次はこの勇敢な実装ちゃんたちを戦士へと生まれ変わらせるのだ!!
男は使命感に燃えていた。


ちなみに、公園の前に止めていた車は駐禁シールが張られ、後に罰金を払うハメになった。






次の日、男は異臭の中で起きだした。
この臭いはなんだ?と一瞬考え、思い出す。
「・・・・・・ああ、実装ちゃんたちがいたんだった。」
部屋の臭いはところかまわずもらしていた糞の臭いだった。
彼の住んでいる部屋はペット禁止であるため、連れてきた実装石たちに静かにするよ
うお願いしたのだが、それで黙るのならば一般ブリーダーに躾の苦労はない。仕方が
ないのでエサを食べさせ、それで口をふさぐことにしたのだ。
そして食べたら出すのが実装石。食ったエサをそのまま糞に変換したんじゃないか?
と思うくらい大量に糞を撒き散らしたのだった。おかげでその処理に忙殺され、肝心
のデスゥンガンを撃たせる練習はまったくできなかった。
ちなみに、与えたエサは実装フードである。いつも公園でばら撒いているやつだ。
「実装ちゃんたち、さあ起きて起きて」
男は実装石たちを優しく揺り起こす。
「デアアァァ!実蒼石どこデシャァァァ!!」
五匹の中で一番に起きたのは、昨日1匹気を吐いていた実装石である。話を聞くと、
子供を実蒼石に殺されたらしい。それなりに仔に愛情を持っていたようで、それなら
ばあの根性の入りようもうなずけるものだ。
「ニンゲンはらへったデスゥ♪今度は味気ないエサじゃなくて、金平糖山盛りもって
くるデスゥーン♪」
次に起きたのは昨日媚びていた実装石である。この実装石、へたに命令せずに媚びて
いれば男がエサを持ってくることだけは理解し、今日もまた起きたすぐから媚びだし
ていた。
「何でご飯がないデスゥ?気が利かない下僕デスゥ!!」
「そうデスゥ!美しく高貴な私たちを待たせるなんて、おろかにもほどがあるデスゥ!!」
このテンプレートな糞蟲ぶりを発揮しているのが、昨日の勘違い二匹組みである。行
動パターンがやたらと似ている上に会話がリンクしているのは、実の姉妹だったりす
るからだ。
「デェェェェ・・・」
ゆすっても起きないのは禿裸。というよりも全身の酷い打撲で起きれないだけだ。
男が五匹の世話で疲労しきって爆睡しているころ、暇をもてあました糞蟲二匹にボコ
られ続けていたのだ。
取り合えず全員に朝食を与える。味気ないエサデスゥと文句をつけられるが、その割
には出した分は食い尽くされ、さらにおかわりまで要求された。
さんざエサを食い尽くしたあとはついにお待ちかねのデスゥンガンの射撃の練習をや
らせることにした。的は本番さながらの実蒼石等身大ぬいぐるみ(6800円)を使
用した。サンドバッグの次はガンターゲット代理である。
バスン!バスン!!バスン!!!
ぴゅんぴゅんぴゅん「うひゃぁ!?」「「デヒィィィ!?」」
意外とでかい発射音と、跳弾にびびる。
このお陰で男はおろか実装石たちも射撃には及び腰だったが、
「デッジャアアァァァ!!死ね糞アオォォォォォ!!!」
根性の入った一匹だけは腰だめに構えてフルオートで撃ちまくっていた。なんとなく
ランボーやコマンドーを髣髴とさせる姿と気迫に、さらにビビル男と実装石たち。
それでも全員の練習が終わるころ(飽きるとも言う)には、ぬいぐるみは原形をとど
めないまでに粉々になっていた。長らくサンドバックにしていただけに、その強度は
男には良く解っていた。恐るべしデスゥンガン。
そのきれっぱしを眺め、男は確信する。
「すごい・・・すごいぞデスゥンガン!これならあのハサミに勝てる!!」
あーっはっはっはと高笑いをあげる男。もちろん近所迷惑など考えるはずもない。
「うるさいデスゥクソニンゲン!!」
バスン!!
実装石のうちの一匹にデスゥンガンで撃たれ、男はひっくり返った。


実は、このほほえましいやり取りは昨日のうちからある人物にばれていたりする。






その日の夕方。公園にて。
一組の実装石親子が公園をのんびりと散歩していた。
親実装の手にはコンビニのビニール袋。落ちていたものを拾ったのだ。もちろん中身
は食料などではない。葉っぱだ。わずかに他のゴミも混じっている。
この親子は長く街の自然公園に住んでいる。いま散歩をしているのは、ニンゲンに与
えられた『ゴミ拾い』の仕事をすることも兼ねているのだ。
「おまえたち、そろそろ日が暮れるデス。お家に帰る時間デスよ」
「え〜〜、葉っぱ拾いもっとするテチィ!」
「そうテチ!あともうちょっとでおねえちゃんにおいつくテチィ!」
「はっぱひろうテチィ〜♪いっぱいテチィ〜♪」
遊びと混同しているとはいえ、ちゃんと仕事をしている子供たちをどう言い聞かせよ
うか、親実装は苦笑した。
平均的な実装石親子と比べれば、相当贅沢な悩みだが、かつての成体実装の徹底的な
選別と駆除、そして実蒼石も交えての間引きを行った結果ともいえよう。
「葉っぱ拾いは明日も出来るデスゥ。明日またいっぱい集めるデス!
・・・・・・・・・デスゥ?」
ふと、公園の入り口から影が伸びているのに気付いた。
夕日をバックに、5匹揃ってこちらに歩いてくる。なぜか一匹だけ禿裸で、頭に頭巾
の代わりなのかタオルを巻いていた。あと親実装はその五匹全員が右手に黒っぽい何
かを持っているのが見えた。
「デェェェェ・・・」
野良だ。しかもよそ者の野良だ。
この公園の実装石たちにとって外からやってきた同族はあまり歓迎されるものではな
い。高率で糞蟲である上に、確実に自分たちに災難をぶつけるためだ。
そんなよそ者を見つけたときに彼女たちが出来ることは一つ、はやくハサミを持った
公園の支配者、あるいは彼女たちの保護者が来ることを祈るだけだ。
だが、ここでこの親実装は要らぬ仏心を出してしまう。
「あなたたち、ここにはいっぱい実蒼石がいるデス。生まれたときからこの公園に住
んでるワタシたちは大丈夫デスが、多分あなたたちは殺されてしまうデスゥ。
だからはやく公園から出て、別の場所に・・・」
親実装が最後まで喋ることは出来なかった。
バスン!!
「デ」
五匹の真ん中にいた実装石(根性の入った奴)がデスゥンガンを発砲する。
BB弾は狙った額をちょっとずれて、左目の外側の肉を盛大に吹き飛ばした。
「デッギャアアァァァアッァアァ!!!」
突然の痛みに悶絶する親実装。偽石は体の中にあるため致命傷とはいいがたいが、そ
れでも痛いものは痛い。暴力とは縁遠い生活を送っていればなおさらだ。
「デププ、実蒼石なんかに媚びる糞蟲に天罰デスゥ♪」
続いて親実装の周りのテチテチとやかましい仔実装たちを撃ち出す。
バスン!バスン!!バスン!!!
「「「「テチャァァァァァ!!テッキャァァァァ!!」」」」
相当近づいて撃っているせいか、今度は頭よりもよっぽど狙いにくい仔実装の手足を
狙っても外れない。殺したり食ったりしていないのは、デスゥンガンを使ったこの遊
びがとても面白いことと、この五匹が公園に来る前に、出陣の祝いだと良く解らない
ことを言って男がたらふくエサを食わせたためだ。大喰らいで知られる実装石が根を
上げる量を実戦直前に食わせるのはどうなんだという突っ込みはあるが。実際まだこ
の五匹の腹はかなり膨れている。
仔の復讐のために参加した根性入り実装石は、他人の子供には愛情がまったく向かな
いようで嘲笑を浮かべながらバスバスと逃げ回る仔実装を弄っている。
「デプププププーーー!!」
この中でももっとも酷いのがタオル付の禿裸である。
ここに来てようやっと被害者の立場から加害者の立場にシフトできたのだ。これほど
うれしいことはないのか、親実装の四肢をデスゥンガンで吹き飛ばし、馬乗りになっ
て殴りつけている。ほっとくと自分がぶっ倒れるまで殴っていそうだ。
糞蟲二匹はデスゥンガンに飽きたのか、達磨にした仔実装をサッカーボールキックし
て遊んでいた。
公園の入り口近くに男によって連れてこられたとき、公園の実装石には手出しをしな
いようにと言い含められているはずだが、そんなことが実装石相手に約束事として通
用すると思うほうがおかしい。実際、この四匹の頭の中からは、そんな約束などすっ
かり忘れ去られていた。というよりも聞いたそばから反対側に抜けていったのだが。
一方媚びた実装石は、やる気がないのか地べたに根っころがって食後の昼寝を堪能し
ている。もちろん、こいつの頭の中にも約束事などかけらも残っていない。
「やめてデスゥゥゥゥゥ!!お願いデスゥゥゥゥゥウウウ!!
私たちは何も悪いことしてないデスゥゥゥゥゥ!!!
わ、私はどうなってもいいから、せめて子供たちだけは・・・・・・」
親実装の悲痛な叫び。が、糞蟲振りを遺憾なく発揮しているこの五匹にそんなものが
届くわけはない。
禿裸があたりでぴくぴくと痙攣している達磨仔実装を持ち上げ、起き上がれない親実
装に見えるようにもって来る。
「テァァァァァ・・・・・・」
「デェェェェェ・・・・・・」
もはや虫の息であるが、何とか生きている子供を見る事ができ、かすかに安堵する親
実装。
その仔実装の耳を、禿裸がかじる。
「チュウウウウウウウウウウ!!!」
「デギャアアアアア!!」
更なる痛みに仔実装が、子供の痛みに親実装が絶叫した。
にまぁぁぁ、といやらしい笑みを浮かべる禿裸。どうやら加虐の喜びを堪能している
ようだ。
「子供を殺されるのは嫌デス?ん?私もオニじゃないデスゥ。
オマエがこのガキを一回でもいいから、私から奪い返せば、もう虐めたりしないでや
るデスゥ♪
どうデス?この美しい私の寛大な処置に。感動の余りむせび泣くがいいデスゥ♪」
どう考えても無理な話である。親実装の腕は、先ほど禿裸自身の手によって吹き飛ば
されたのだ。
この趣向に興味を引かれたのか、残りの四匹が集まってはやしたてる。
親実装に大量の罵声が浴びせられ、禿裸は仔実装のもう片方の耳をかじる。
「ェェェェェェ・・・」
叫びすぎで喉がかれたのか、仔実装は苦痛にもうめきをもらすだけだ。
「やめてデスゥ・・・。お願いデスゥ・・・」
親実装の懇願、しかし聞きとどめるものはいない。むしろ糞蟲五匹の嘲笑を深めるだ
けだった。・・・いや、声の届くギリギリの範囲に、真面目に聞く奴が1匹いた。
「おまえら、なにやってるんだぁーー!!」
一匹の実蒼石が、実装石よりとは比べ物にならないくらい早い全力疾走で向かってき
たのだ。


「「「「「デデデ!!!」」」」」
流石にこの闖入者には五匹は驚く。が、これだけの乱痴気騒ぎをやっていれば、公園
を巡回する実蒼石の耳に入らないはずがない。
「なんてひどいことを・・・」
あたりの惨状を見渡し、うめき声を上げる実蒼石。
四肢がなく、頭も欠け、全身を紫色に腫れ上がらせてうめく親実装を皮切りに、同じ
く達磨にされた仔実装たちがあたりにうち捨てられ、ここの一角はこの親子の撒き散
らした体液と肉片ともらした糞、
「お願いデスゥ子供たちを助けて。。。。。。」
「テヒィィィィ・・・」
「チャァァァァァ・・・」
「・・・・・・・・・」
さらにうめき声でいっぱいだ。不幸中の幸いか、まだ死者は出ていないものの、この
ままではそれも危ないのは一目瞭然だ。
まごうことなき糞蟲の所業。駆除対象一直線だ。何も迷うことはない。
「おまえたち覚悟しろよ・・・。絶対にゆるさないからな」
静かな怒りを燃やす実蒼石。帽子から取り出した鋏を構え、シャキンシャキンと威嚇
する。
が、五匹の実装石たちはそれに恐れをなす様子はない。それどころか、デププと笑い
ながら、ゆっくりと手にしたデスゥンガンを構える。
「覚悟するのはオマエのほうデシャアアァァァァ!!」
「デププ♪えらそうなことをいえるのも今日までデスゥ♪」
「そうデスゥ♪這い蹲るのなら今のうちデスゥ♪」
「なんかもう疲れたデスゥ・・・」
「跪けデスゥ!命乞いしろデスゥ!そうしたら殺さずに奴隷にするだけで許してやるデザァ」
台詞は順番に根性、糞蟲二匹、媚び、禿裸である。
思い上がりもはなはだしいが、これを本気で心の底から信じているのだから実装石と
は度し難い生き物である。もっとも、今回に限ってはその自信を裏付ける道具が、ほ
んのちょっとだけ後押ししていたりするのだが。
「わけのわからないこと言うな!」
手持ちのデスゥンガンにわずかに不安を覚えながらも、雄たけびを上げて実蒼石は五
匹の実装石に突進していった。




話は少しさかのぼる。
夕暮れに染まる公園の中心部、林の中に実蒼石たちの住処はあった。
その中で集まった実蒼石たちは、一様に首をかしげている。
「これ、どうしようか」
彼女たちの視線の先には、よくわからないものがあった。
じつはこれ、今日の朝にニンゲンの男が担いできて、そのまま置いて行ったものなの
だ。ここは粗大ゴミ置き場じゃない、と実装リンガルを持って注意したものの、
「これは君たちの役に立つものだ」
といわれて逆に戸惑ってしまった。
そんな彼女たちを少し面白がりながら、
「近々ヘンなものを持った五匹の野良実装石が、この公園にやってくるだろう。
そのヘンなものは武器で、もしかしたら君たちでも苦戦するかもしれない。
でも、これさえあれば大丈夫。簡単にあいつらをやっつけられるよ」
とこうのたまった。
実蒼石が頭に”?”マークを浮かべているうちに、男はさっさとどこかにいってしま
った。探そうにも始めてみた顔だから、どうしていいかさっぱり解らなかった。
「やっぱり粗大ゴミだよね」
「邪魔だよこれ。妙に大きいし重いし」
「ヘンな五匹の野良実装ってなんなんだろうね・・・」
男の喋った言葉から、『ものを持った』が抜けていた。
リーダー格の一匹は、しばらく悩んだ末に、
「やっぱり今度職員さんが来たときに持っていてもらおう」
と結論を出した。
話し合いも終わり、さて晩御飯にしようかと思ったとき、一匹の実蒼石が駆け込んで
きた。公園を巡回していた二匹組みのうちの一匹だ。
「大変だー!ヘンなものを持った五匹の野良実装石が、うちの公園の実装石親子を虐
めてるよーー!!」
粗大ゴミを置いて行った男の予言通りになり、実蒼石たちは仰天した。
「え!?ほんとにきたの!?」
思わず報告に来た実蒼石ではなく、粗大ゴミ(仮)に全員の視線が向いた。


「デエェェェェ、こんなの嘘デスゥ・・・・・・」
実装石が絶望の声を漏らす。達磨にされた親実装である。
何しろ目の前の光景は到底信じられるものではない。
たかだか五匹の実装石相手に、実蒼石が膝をついているのだから。
そして五匹の野良実装たちは、未だに無傷。
(デスゥンガン・・・。噂には聞いていたけど、こんなに厄介だなんて!!)
始めは実装石とは比較にならない俊敏さでかき回してやろうと思った。しかし、たと
えデスゥンガンを持っていたとしても1匹相手なら何とかなるこの戦法も、五匹がか
りの弾幕の前には沈黙せざるをえない。
思い切り回り込んだり、助走をつけて飛び上がり上から攻めようとしたり、なかばや
けくその勢いで鋏を振り回して弾丸をはじこうとしたりしたが、どれも効果はなく、
そうこうしているうちに自分自身のスタミナが尽きてしまった。怪我はないものの、
息が詰まって動けないのだ。
「「デピャプアピャーー!!無様デスゥ!!たまらんデスゥ!!」」
ご満悦なのは野良実装たちである。
日ごろまったく歯が立たない実蒼石が、自分たちの前でひざまずいているのだ。これ
ほど面白いことはないだろう。
もっとも、これを堪能しているお陰でまだ実蒼石は生きていられるわけなのだが。
「デプー、もう飽きたデスゥ。早くニンゲンのところに帰ってご飯食べるデスゥ。
おいしいものいっぱい食べたいデスゥ」
媚びが不満を漏らす。もともと実蒼石退治など頭の片隅にも思ってない奴だ。デスゥ
ンガンでの遊びは楽しいが、面倒くさくなったのだ。
「なにいってるデスゥ!!こんなのほんの序の口デスゥ!!
こいつをぎったんぎったんのグチャグチャにして、そのあとはこの公園中の実蒼石を
皆殺しデスゥ!!それまで帰るわけないデジャアア!!!」
「そうデスゥ!!この高貴な私がクソアオどもにお仕置きしてやるんデスゥ!!
この程度で終わるわけないデスゥ!!」
これに反対するのが根性入りと禿裸である。元々やる気マンマンの根性入りはともか
く、禿裸はどうやらデスゥンガンを手に入れたことで、髪と服と一緒になくしていた
必要性のない自尊心も取り戻したようだ。つれて来られたときの消極性はどこえやら、
一転して武闘派となっていた。
そのまま糞蟲姉妹も交えて口論が始まった。
流石にデスゥンガンを突きつけてはいないが、下手をすれば同士討ちが起きかねない
口論に、実蒼石は体力回復のチャンスだ!と思うのも忘れて呆れた。
(ボクは何でこんな連中に苦戦しているんだろう)
ある意味実蒼石の存在意義を問われる対実装戦闘力にケチをつけられただけに、精神
的な苦痛もひとしおだ。実蒼石は頭を抱えた。
そのとき、本日二度目の乱入者が登場する。それも集団で。
「「「「「ボック、ボック、ボック、ボック」」」」」
複数の掛け声の方から近づいてきているものは・・・・・・。
「ボクゥ?」
ダンボールだ。一片を切って横に長い長方形にしたダンボール。高さは実装石や実蒼
石のつま先から頭まで(実蒼石は帽子がはみ出る)、横幅は成体7〜8匹が楽に隠れ
られるほど。これだけ大きいダンボールはさぞかし持ちにくいだろうが、これに限っ
ては後ろから見ればいくつもの取っ手がついていることを、疲れた実蒼石は知っていた。
これこそが今朝、謎の男が置いて行った粗大ゴミ(仮)である。
「や〜〜いノロマの実装石〜〜。お前が持ってるオモチャなんて、このダンボールに
は効かないぞ〜。悔しかったら撃ってみろ〜〜」
ダンボールの端から顔を覗かせている実蒼石の一匹が、さらに舌を出して挑発する。
やっている当人はかなり恥ずかしいが、糞蟲の暴走を狙うのならばこのような幼稚な
挑発が一番効果的なのだ。
予想通り、五匹の野良実装は今までの口論を忘れてデスゥンガンを構える・・・ダンボ
ールに。
「たかだか実蒼石の分際で、美しくて高貴でこの世で一番強い実装石たるこの私に無
礼を働くとは、万死に値するデス!!!
この女神の力で穴だらけにしてやるデスァ!!!」
驚異的な増長っぷりと不必要な語彙の豊富さを発揮しながら、野良たちがデスゥンガ
ンを構える。
野良実装たちが射撃を始める直前、疲れ果てて膝をついていた実蒼石は、いらぬやり
取りをしている間に回復した体力をもって、ダンボールの後ろに飛び込む。
「死ねデザァ!!!」
根性入りの号令と共に、横に並んだ五匹の野良実装が、腰だめに構えたデスゥンガン
をダンボールめがけて一斉発射した。
ズバババババババババ!!!!!!
いくらエアガンの改造品といっても、五丁ならべてのフルオート射撃は迫力満点だ。
あっという間にダンボールの盾を穴だらけにし、それた弾や狙いを外した弾が地面に
当たり、土をえぐって巻き上げる。
その状態のまま少し時間がたったとき、
「デェ、押しても押しても弾が出ないデスゥ!」
「こっちもデスゥ!!」
「このナマイキデスゥンガン!ご主人様のいうことを聞くデスゥ!!」
全自動で撃ちまくっていれば流石に弾も切れよう。普通の兵隊ならば、予備の弾を沢
山持つものだが、これを持たせた男も、これをもっていた野良実装たちも、そのこと
は思い浮かばなかったようだ。
なおも野良実装たちがデスゥンガン相手に悪戦苦闘していると、土煙の向こうからガ
ランガランという音がした。
土煙がはれたとき、そこに立っているのはまったく無傷の実蒼石と、地面に転がされ
た粗大ゴミ(仮)だった。
「「「「「デッギャアァァァァァ!!!なんでデスゥゥゥゥゥゥ!!!」」」」」
「残念だったね」
悲鳴を上げる五匹の野良実装と、にやりと笑う実蒼石。実蒼石はちょっとだけ転がさ
れた粗大ゴミ(仮)の裏側の、金属の輝きに目を向けた。
朝に謎の男が持ってきたこれの正体は、厚さ5mm以上の鉄板に、持ち運び用の取っ
手をつけた、対デスゥンガン用の盾だったのだ。それでは見た目がかなり目立つため、
公園においておいても多少は目立たないよう、ダンボール製の覆いがつけられていた
のだった。
このお陰で「やわなダンボール製の盾だ」と野良実装たちが早合点し、さらなる油断
を招かせたのだが。
盾の裏に隠れていた実蒼石たちは、シャキン!とととのった動作で鋏を構える。
「「「「「デ」」」」」
野良実装たちは公園の実装石親子のほうに視線を向ける。
そこにあったのは血溜りだけで、肝心の実装石親子はすでに他の実蒼石たちによって
安全なところまで運ばれていた。
「「「「「デデ」」」」」
次に後ろの公園の入り口に視線を向ける。
実装石の逃げ足では追いつかれることは間違いないが、だがそのわずかな可能性すら
入り口を封鎖した三匹の実蒼石に潰される。
この容赦のなさぶりが、実蒼石の実装ハンターたる所以だ。
前に並んでいる実蒼石たちのうち、一匹が前に出る。この五匹に辛酸をなめさせられ
た実蒼石だ。にっこりとかわいらしい笑顔を浮かべているが、ちっとも目は笑ってい
ない。
「よくもまあみんなの公園で好き勝手してくれたよね。覚悟はできてるよね?」
シャキン!
「「「「「デデデ」」」」」
「デスゥンガンの事は知っていたけど、まさか負けるとは思ってなかったよ。
プライドが傷つくっていうのかな?こういうのは」
シャキン!シャキン!!
「「「「「デデデデ」」」」」
「別にこんなこという必要ないんだけど、ちょっと言っておきたかったんだ。
————これで、最後だからね」
シャキンシャキンシャキン!!!
「「「「「デ——」」」」」
どんな低脳でも、これだけお膳立てが整えばこれからの運命がどうなるかわかろうと
いうもの。
ブバッブバッとパンコンを通り越してパンモレし、これでもかといわんばかりに体液
色の涙を垂れ流し、電動コケシのごとく体を震わせる。
実蒼石の顔から笑みが消えた。
「じゃあね。死ね糞蟲」
「「「「「デッギャアアァァァァァ!!!!!」」」」」




「そんな馬鹿な・・・・・・」
双眼鏡で1cm刻みで体をばらばらにするという絶技を披露している実蒼石を眺めな
がら、男はあんぐりと口をあけて呆けていた。
こんなことをしているのがばれると非常にまずいということだけは解ったのか、少し
はなれた物陰から双眼鏡で観戦していたのだ。
初めのころは優勢だっただけに、驚きもひとしおだ。
「畜生、残酷な糞蟲め!実装虐殺鬼め!!なんであんなのを街の準職員扱いしているんだ!!
こうなったらもっとすごいアイデアと、もっといっぱいの実装ちゃんたちであいつら
を・・・・・・」
そのままぶつぶつと独り言を言いながら次の戦いに向けての準備(思い付きだ)に集
中してしまっている。
普通、決定的な失敗があったのならば、その失敗の原因を吟味するものだが。
たとえば、実蒼石たちがなぜあんな盾を持っていたのかとか。




「まず予想どうりにいってよかったというべきか・・・」
かなりはなれた場所、愛護派の男のマンションの隣室から、望遠鏡で仲間に止められ
ながらもまだ暴れている実蒼石と、考える人のポーズを取ってピクリとも動かない愛
護派の男を交互に見ながら、その男は安堵のため息をついた。
この男、虐待派である。虐待派といっても実装石すべて憎しといった徹底的なもので
はなく、公園でのんびりしているときにいらんことを言いながらせまる糞蟲をバール
で叩きのめすという、趣味兼ストレス解消といった感じの、ライトな虐待派だ。
だが、そもそも駆除が徹底したこの街では実装石の糞蟲的個体がいない。仮に今残っ
ている実装石を虐待しようものならば、公園の掃除をするボランティアも、街の役所
の職員も、近所の人間もいい顔はしないだろう。
さらにこのマンションはペット禁止だ。ペットショップで飼ってくるわけにも行かな
い。これもばれると管理人はすごく怒るだろう。
この街は虐待派にも住みにくい街なのだ。
さてしかたがないから引退か、と考えていたときに、隣の男、愛護派の男の叫び声が
聞こえてきた。
その次の日、飼うことの禁止されている実装石の声と臭いが漂ってきたとき、隣の愛
護派はマジだということを知ったのだ。
それからの行動は早かった。
ホームセンターなどから鉄板と取っ手を手に入れてくっつけ、それをダンボールでお
おったものを公園の実蒼石たちに、含むようなことを言ってからわたし、隣の部屋に
聞き耳を立てる。
この安普請が声を良く通すというのに、隣の愛護派の声は大きいのだ。普段はムカつ
くが、今度ばかりはありがたい。
実装石たちの声が消えたのを見計らって、引っ張り出した望遠鏡で公園を観察。そし
て今に至るわけだ。
「しかしまあ、これは・・・・・」
これは最初、暇つぶしになればいいと思っていた。
無様に死んでいく実装石が見れれば、それで満足のはずだった。
それがどうだ。すべての情報を把握し、登場人物たちが自分の手のひらで踊る(とく
に愛護派の男と実装石)。簡単とはいえ自分の筋書き通りに動く。
ふつふつと沸いてくる快感。
しかもまた愛護派の男は、次の作戦を考えているらしい。
さらに愛護派の男の部屋は角部屋だから、窓を開けっ放しにしたりこれ以上声がでか
くならないと自分以外の人間には聞こえないだろう・・・多分。
つまりは、まだまだ楽しめそうだということ。
「ペットOKの部屋に引っ越したら、実装金でも飼おうかな・・・」
虐待派の男は、人知れずにやりと笑みを浮かべる。
策をもって実装石(とついでに愛護派)を操る、ライト虐待派から知能型虐待派へと
方向転換を決めたのだった。




今日もまた、外から来た実装石が公園の実蒼石に駆逐され、
それを見た愛護派の男が実蒼石と財布へのダメージに人目もはばからずに地団太を踏み、
それを見た虐待派の男が人知れず笑みを浮かべる。
そんなことを知らない街の住人たちは、今日もおとなしい公園の実装石たちに笑顔を
向けたり、手を振ったりしているのだった。
どうやらこの街は、愛護派だけに住みにくい街のようだ。

















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1 Re: Name:匿名石 2023/08/24-18:10:26 No:00007837[申告]
ひっでぇなろうみたい
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