店の奥の倉庫で、在庫チェックを行っているとき、店長バッジが赤く点滅しながら『ブー!ブー!』と鳴りはじめた(*1)。 私は、やれやれと思いながら店内に戻ると、辺り構わず怒鳴り散らす声が聞こえた。 「実装石がコンビニの店員なんぞやってんじゃねぇ!!」 「また、実装嫌いの客か・・・」 私はそんなことを呟き、レジの所であたふたしている店員石(*2)と先ほどから怒鳴っている客のところに向かった。 「お客様、いかがいたしましたか?」 「んー?お前が店長か? だったら、ちょうどいい。この店は何だ! 実装石にコンビニの店員をやらせるのか?ああん? 冗談にしても、たちが悪すぎだぞ。」 「お客様、入り口にある看板と注意書きを見ましたか? ここは実装石と人間の共有コンビニエンスストア<ジッソーマート>でございます。 あらかじめ実装石が店員として、働いていることも書いてあります。 店内に入るということは、それを御承知で入るということです。」 「むう。 だがなあ、<デーソン>のこと(*3)もあるし、俺としては実装石が働いていると、何か問題が起きてからでは遅いと思ってだなあ。」 「それに関しては、全く問題ありません。 現在展開している実装石のいるコンビニエンスストアでは、しっかりとした管理体制が敷かれているので、問題が起きることはございません。 もし、それでもお気に召さなければ、こういう店舗には、入らない方がよろしいかと。」 「ちっ、わかったよ。 二度とくるか、こんな店!」 そう文句をたれると、客は結局何も買わずに外を出た。 ちょうどその時、タイミング悪く近くの歩道を野良実装が歩いていた。 そして、機嫌の悪い客の目にとまり、その野良は駐車場の壁に思い切り叩き付けられ、絶命した。 「やれやれ、勘弁して欲しいね。 掃除するのは、こっちなんだから。」 私はそう言い、奥の事務室に行き、清掃用具を持ち店を出ようとした。 「て、店長さん。」 レジの所にいる店員石が、話しかけてきた。 「どうかしたのか?サン(*4)。」 「助けてくれて、ありがとうございますデス。」 「気にするな。ああいう客はお前達では、どうにもならんからな。 ああ、そうだ。私が外の清掃をしている間、休憩室にいるセブに在庫チェックをするようにいっておいてくれ。」 「わかりましたデス。」 そう言うと、私は外の生ゴミを片づけに外に出た。 おわり *1:店員石では対処しれない状況、且つ店長がいないとき、名札バッジにあるボタンを押すことで、店長を呼べる。 *2:コンビニで働いている実装石。 なお、店員石は首に、言語変換型リンガル(要は人間と同じ言葉がしゃべれる)を装着することを義務づけられている。 *3:<デーソン>は、実装石が経営する初めてのコンビニである。 ただ、働く店員石の質にかなりのばらつきがあり、店長石や、副店長石の中に狡賢い実装石がいたりと、様々な問題が発生。 わずか一年で消えることとなった。 *4:このコンビニにいる店員石は、<サン、セブ、ファミ、エイ、ロー>の5匹である。 あとがき 続き物だけど、一話完結型で読めるショートスクとして作成。 設定に関しては、他に書くことがあるけど、それはまた続きのスクで書く予定。
