タイトル:【馬】 一人の勇敢な虐待派の物語デスゥ
ファイル:秘密のマラ園.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:3119 レス数:0
初投稿日時:2007/03/22-08:02:59修正日時:2007/03/22-08:02:59
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公園は膨大な数の実装石で溢れかえる。
オレンジ色の防護服を全身に包んだ俺はそこへ突貫する。
胸元まで押し寄せる実装石を泳ぐように掻き分けて進む俺。
一歩前へ進む度にデギャーテキャーレキャーと四方から奇声があがる。
俺の軌跡は液化した実装石の死骸が溢れる。
しかしそこへは生ある実装石がまた覆い被さる。
ふと振り返ると実装石の他に何も見えなかった。
まるで大海でさ迷う小舟でさ迷うような、心細さに捕われる。

やっと実装だかりから逃れて広場に逃れたと思ったら、そこはマラが生えていた。
それも、百本は下らない数のマラが地中から突き出してマラ園の様相を呈しているのだ。
マラ実装として生まれた子を殺すには忍びない親の手により生き埋めにされた場所なのだろうか。
目に見えるのはマラばかりなのでよくわからない。
地面に生えたマラは悪夢的な植物のようにビクビクと蠢いては白濁した粘液を吐き出す。
足元は厚いブーツ越しにもグチグチとした感触に悪寒の走るような精液のぬかるみだ。
実装石がここへ足を踏み入れたらば即妊娠即出産をマトリョーシカの如く繰り返すことだろう。
それどころかマラ園を源泉に氾濫した精液は、密集した実装石の間を砂地に伝う水の如く
公園中に伝播する事さえ考えられる。毛細管現象ってヤツだ。
なんてこったい。

そう、俺は実装石の波に逆らってここへ来た。
実装だかりの動的ベクトルは確実に公園の外へ逃れる方に働いている。
道理で台風の目のようにマラ園だけは両腕を伸ばせるだけの空間がある訳だ。
だがマラ園から吐き出される精液から逃れ切れるものではない。
実装石は例によって例の如く子を孕み子を産みまたその子が孕んで産んだ。
マラ園を中心に膨れあがる実装だかりは公園に留まらず街さえ覆いやがて
世界を飲み込むのではなかろうか。
ありうべからざることとは言い切れない、生まれ出でた子の中にはマラ実装もいることだろう。
それが実装だかりの中でもみくちゃにされて暴発しない訳がない。
ここでまた小さな実装石の源泉が生じ、その増殖は加速される。
また、マラ園がここの一箇所とは限らない。
点々としたマラ園から溢れた実装石が広がり続ければ線となり面となりやがて全てを覆うであろう。
そうなれば世界中の資源は全て実装石に食い尽くされて人間は愚かあらゆる生物が死に絶える。
そして残ったのが実装石だけという結末にもなりかねない。

さあ、躊躇っている時ではない、このマラ園へ無慈悲な鉄槌を下さねば。
バールをゴルフクラブを振るうようにして用い、次々とマラを刈る。
刈り取られたマラの断面から大量の精液が間欠泉のように噴出する。
これによりまた実装石の数は増すことだろう、だが、それも一時的なことだ。
元凶を断てばこの異常発生も沈静の一途を辿るのだ。
多量の精液が雨のように降り注ぐ中をバールを振るう俺は世界を救う闘士だ。
そうでも思わなければこんな悲惨な仕事やってられない。
好き好んで実装石に塗れその精液に浸かりバールを振るっている訳ではないのだ。




翌日、実装石のダミ声で最悪の目覚めを迎えた。
実装石と散々揉み合い疲れ果てて眠る夢の中でまた実装石と対面して、その起き抜けでこの有様だ。
声の元は勿論外だ、ウチの中でまで実装石と顔を突き合わそうとは思わない。
それにしてもうるさい、屋内でさえもウワンウワンと耳を聾するほどの大音声だ。
嫌な予感を覚えながらマンション四階のベランダへ出る。
道路は緑色の奔流と化してした。
驚いたことは驚いたが、心ならずもこの光景を覚悟していたらしく、自失するほどではない。
急いで新品の防護服を着込む。
昨日使った防護服はもちろん不燃ゴミとして四重に重ねた袋の中だ。
階段を使ってマンション一階の踊り場まで降りた。
そこは既に門の隙間から侵入した実装石で埋め尽くされていた。
実装石とは言っても、ほとんど手足さえ持たない蛆実装だ。
触れただけで四散するような脆い蛆実装の沼の中に腰まで浸かって進む。
一歩進むごとにレキャーレビャーレファーと最期の悲鳴が体を包む。
目指す先はもちろんマラ園、源泉はあそこしか考えられない、昨日の奮闘が空しい。
十分も経つと息が切れてきた。
蛆実装の奔流を流れていた立て看板に乗り、海へ漕ぎ出すサーファーのように
流れに逆らい腕を櫂に進む。

再度公園、そしてマラ園。
マラ園は見事に復活していた。
それどころか拡張されていさえいた。
庭園どころか、マラ畑とでも言うべき様相を呈していた。
それは俺の行為が水泡どころか苗床の拡張を助けていたことを明示していた。
なんてこったい。

原因はわからない、そもそも体を地下にマラだけ隆々と外界へと生やしている
ことさえ不可解なのだ。
そう、木を見て森を見ず、俺はマラを見てマラ実装そのものは見ていなかったのだ。
自らの愚かさを悔いるより、反省を活かすことがこれ以上の実装石の増殖を防ぐには
必要だった。

折りよく、今日の得物はバールよりも打撃力では劣るものの扱いやすく切れ味の良い折り畳みスコップだ。
今までその本来の用途に使ったことはなかったが、今こそそれを試す時だ、愛器の感慨もひとしおであろう。
切っ先を精液でぬかるんだ地面に突き立て、マラの傍を掘り進む。
湿っているおかげでスコップの通りは良かった。
だが、それもはじめのうちだけだ。
そのうち地面は黒く固くなり、スコップの侵入を拒みはじめる。

これは本格的なシャベルが必要かもしれない。
一息ついて掘った穴の縁に腰掛ける。
穴の中へ緩々と精液が流れ込み、底へ溜まる。
しかし、なんて長いマラだろう。
長芋を掘るのだってこんなに手間はかからぬだろう。
実装石の手でここまで深く仔マラ実装を埋めることができたとも思われない。
地面にマラだけ残して自らは深く蹲るとは、マラ実装の習性にもまだまだ謎が多いようだ。
いや、悠長に考察をしている場合ではない、どうにかマラの根元を断たねば。
だが、それも掘り進んだ先に枝分かれしたマラを見つけ、胸まで生ぬるい精液に浸かったところで諦めた。
一個の虐待家にこれ以上求められても無理な話だ。




三ヵ月後。
俺は田舎の土手を歩いていた。

実装石の氾濫した街は今では灰と瓦礫ばかりの広大な廃墟となっていた。
空撮された街の跡には焼夷弾による焼野原が広がり、クレーターのような爆撃跡がそこかしこに見られた。
見慣れた街の面影はどこにも見当たらなかった。
実装石に対して、人類がこれほどの戦禍を被るとは誰が予想できたであろうか。
だが、これも実装石による大災厄の先触れに過ぎないのかも知れない。

地中深くを抉るバンカーバスターを雨あられと降らして、マラ実装の本体は焼き尽くされたことだろう。
だが、実装石はどこにだっているし、その一部が依然マラ実装であることに違いない。
実装石がいるところ、またあのマラ園が再現されることは多分にあろう。
また、種としての新陳代謝の著しい実装石の突然変異が、異なる形でもって人類を脅かすこともあるだろう。
世界を実装石が覆い尽くすことさえまだ易しい、おぞましい悪夢がこの先には待ち構えてるのかも知れない。

草むらの中に実装石の親子を見つけた。
こちらの様子を覗うそいつらに、脅かすように手を広げて怒鳴ってみせた。
デギャ! テキャ! とそれぞれ悲鳴をあげて、親子は逃げていく。
その背を悠々と徒歩で追う。
仔実装の一匹が転んで、その場で泣きじゃくる。
親は目もくれず、トロくさくも必死で逃げていく。
ゴム長の底で仔実装を踏み潰し、足を止めることなく実装石を追いかけた。

大小三十匹程度の集落、一通り潰した後は川に死骸を捨てた。
実装石に対する、ささやかな人類の反抗。
そう自嘲するようになると、最早実装石を虐待することに何の喜びも感じなかった。
ただ、機械的に効率のよい殺戮を行う、それだけだ。
いっそ実装石など見て見ぬフリをしていたほうが楽なのだろう。
だが、毎晩のように夢に見る実装石の嘲り笑いに殺意だけは衰えない。
実装石の死骸に集まる魚たちが、川面にパチャパチャと飛沫を立てる。
ささやかな充足感に浸る。

仕事を終えて帰ろうと、川に背を向ける。
土手から河原に続く斜面を覗く。
ふと鮮やかな緑と枯草の交じる地面に目をやると、春の先触れか可愛らしいつくしの子が生えていた。
世界の終わりの先触れも、きっとこんな風に隠れるようにささやかに訪れることだろう。




                                      おわり








※「あい」「マラグルイ」に挿絵頂き、拙作に代えてお礼申し上げます
 ありがとうございました!



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