タイトル:【ホラー?】 最初の方に少しだけ虐待はあります
ファイル:実装サーカス.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:2014 レス数:0
初投稿日時:2007/03/16-11:32:36修正日時:2007/03/16-11:32:36
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特に実装石に興味が無かった僕がその見世物小屋に入ったことに、とくに理由らしい理由は無かった。
しいて言うならば、客引きの呼び口上がとてもなめらかだったということだろうか。

「さぁさぁ、御用とお急ぎで無い方はお立ち寄りを
 世にも稀なる実装石のサーカスだよ
 おとなの方は500円、お子様方は300円
 これを逃すと一生の損だ
 世にも不思議な実装サーカス
 ぜひ一度ご高覧を」

その見世物小屋は近所にある神社の夏祭りに出ていた。
古びたベニア板で覆われた100平米もないようなトタン屋根の小さな小屋に
毒々しい色使いで描かれた『実装サーカス』という看板がかけられていた。

入り口で受付の人に五百円玉を渡して中に入ってみると
内装も外とは大差のない造りだった。
奥には幅が2メートルほどの舞台があり、
舞台の手前側にはパイプ椅子が20個ほど置かれているだけの簡単な空間
中に入った途端、蒸し暑い空気に包まれた。
開演にはまだ時間があるらしく、自分以外の客は2〜3人しか入っていなかったように思う。

しばらくして座席が半分ほど埋まった頃、皺だらけの燕尾服に蝶ネクタイをした男が壇上に現れた。
「本日は遠路よりお越しいただき、まことにありがとうございます
 只今より実装サーカスを始めさせていただきます
 申し送れましたが、ワタクシは当サーカスの座長をしております「」というものでございます
 それでは、しばしのあいだお付き合いのほどをよろしくお願い致します」
客からはまばらな拍手が起こった。

「まずお目にお掛け致しますのは神変不思議の大魔術
 実装石の獄門にございます」
男が口上を区切ると、舞台袖から一匹の実装石が台車を押しながら出てきた。
「ここにおりまする実装石の身体を四方八方より田楽刺しにいたします
 ただ、それだけではお慰みが薄いようですのでその首を皆様にご覧頂いた後に
 首をつなげてお見せ致します」
口上が終わると男は実装石の襟元を摘まみ上げ、台車に乗せられていた箱の中に押し込んだ。
男が錠前を降ろし箱を床に降ろすと長い鉄串を抱えた実蒼石が現れた。
実蒼石が箱に鉄串を突き立てるたびに凄まじい絶叫が小屋の中に轟いた。
だが、その絶叫も箱に刺さる串の数が増えるにしたがって段々と弱弱しいものへと変化し、
抱えてきた鉄串を全て刺し終わる頃には、ヒィヒィという吐息のようなものがかすかに聞こえるだけであった。
串を全て刺し終えると錠前が外され、箱の蓋が開かれた。
残念ながら客席から箱の中は見えなかった。
実蒼石が帽子の中から巨大なハサミを取り出し箱の中に入れると、
「ボクゥ」
という声とともに一息で何かを切り落とした。

男が箱の中から恐怖の表情が張り付いた実装石の頭部を取り出すと僕の後ろの客席から小さな悲鳴があがった。
完全に生命が失われた濁った瞳で客席を見つめる実装の頭部。
いや、実装石だった物の一部と表現する方が今の場合は適切だろうか。
一通り客席に向けて実装石だった物の一部を見せ終わると男はそれを箱の中に戻した。
実蒼石が一本ずつゆっくりと鉄串を抜いていく。
すべて抜き終わると男は箱の上に黒い布をかぶせた。
「さて、お客様方の目の前で無残な骸と成り果てた哀れな実装石が
 見事に復活を果たすかどうか、とくとご覧あれ」
言い終わるのと同時に男が布を引き剥がすと、
「テッテレ〜」
という間の抜けた声と共に箱の中から実装石が現れ、客席へ向けてペコリと頭を下げた。
しばらくの沈黙の後、客席から拍手が湧き起こった。
客席に向けて手を振りながら実装石と実蒼石は舞台袖へと引き返していった。

その後も舞台では、実装紅のダンスや実装金の綱渡りなどが行われた。
壇上の実装たちは十分に可愛らしく特に不満な点は無かったが、これといって面白くは無かった。
最初の演目に興奮しすぎたせいだろうか?

「さて、最後にお目にかけますのは当サーカスの目玉
人語を理解し操ることの出来る実装石でございます」
客席がどよめいた。
実装石が人の言葉を理解することは別に不思議ではない。
ただ、しゃべるとなると話は別だ。
どうせ腹話術か何かだと思っていた僕はそんな周りの反応に苦笑しつつも舞台を見つめていた。

「それでは、一座の看板女優をご覧下さいませ」
舞台袖から大量のフリルが縫い付けられた服を着た実装石がゆっくりとした歩調で出てきた。
客席の視線が全て自分に向けられていることが恥ずかしいのか、顔を赤くして下を向きながら
「本日はようこそおいでくださいました」
と実装石がしゃべった。
たぶんこの時、僕は莫迦のような顔をしていたと思う。
自分が見ているものがいったい何なのか、必死になって考えていた。
これは腹話術なんかじゃない。
客席からは呼吸音すら聞こえてはこなかった。
「みなさんはワタシが腹話術かなにかでしゃべっているとお思いになられているかもしれませんが、
 この声はワタシの声なんですよ
 ワタシがなぜニンゲンさんの言葉をしゃべることが出来るのかはわかりませんが
 どうしてここにいるのかならお話できます」

その後しばらくは実装石の昔語りを聞いていた。
彼女は公園で生まれたが、実装語ではなく人語をしゃべっていたため、実装石からは迫害され
人間からは化け物扱いされていたそうだ。
マラ実装に襲われていたところを座長に助けられ、それが縁でこの一座にやってきたらしい。

思い出話が終わると舞台の照明が落とされ、スポットライトの中に座長が現れた。
「以上を持ちまして、当サーカスの演目は終了とさせていただきます
 皆様方、御観覧まことにありがとうございました」
再び壇上に照明が灯されると実装たちがずらりと並び、座長が頭を下げるのと同時に頭を下げた。
客席からは惜しみない拍手が送られるなか、
僕はただ一匹の実装石を見つめていた。

その日の夜はなかなか寝付けなかった。
それが暑さによるものなのか、それともあのサーカスに言ったせいなのか僕にはわからなかった。
布団に横になってかなりの時間が過ぎたように感じる。
時計を見ると午前3時
日の出にはまだ時間がある。
ふと、あの実装のことが頭の隅をよぎった。
あの小屋に残されているのか、それとも別の場所で眠りに堕ちているのか。
一度考え出してしまうと、気になって余計に眠れなくなってしまった。
どうせ眠れないんならと僕は神社まで散歩にでかけることにした。

昼間とは違う世界のような誰もいない道。
虫の声すらも聞こえない静寂の世界。
街灯と街灯のあいだは暗闇が支配している。
いつもならば出歩くことの無い時間にもかかわらず、僕は歩き続けた。
長い長い石段を登り、灯りの無い神社の境内で月明かりだけを頼りに小屋の前へとたどりついた。
明かりの消えたサーカス小屋はほんの半日前にみた印象とはかなり違うものに感じた。
正面の入り口は閉まっていたので、裏へとまわってみると関係者以外立ち入り禁止と書かれた小さなドアがあった。
ドアノブを回してみると、すんなりと回転した。
どうやら鍵をかけていないようだ。
音を立てないように慎重にドアを開けて中へと入ると、むせ返るような湿気と独特の実装臭が僕の肌にまとわりついてきた。

1分ほどが過ぎて暗闇に目がなれてくると、周りの景色がおぼろげにわかってきた。
片側の壁には実装たちの入った檻が天井近くまで積み上げられている。
狭い通路を挟んだ反対側には実装たちの衣装や舞台で使う小道具などが置いてあった。
僕は眠っている実装たちを起こさないように注意しながらあの人語を話す実装石を探した。
檻を半分ほど覗き込んだ時、
「誰?」
というか細い声が聞こえた。
声のする辺りを見てみると、通路の奥の一回り大きい檻の中に実装石が立っていた。
「誰なの?
 座長さん?
 それとも受付のおにいさん?」
僕は小声で君に会いに来たんだと言った。
「ワタシに会いに?
 貴方はいったい誰なの?」

僕は今日、このサーカスの舞台で君を見た。
君を見る前は、本当は君がしゃべっているんじゃなくてなにか仕掛けがあるんだと考えていたんだ。
でも君がしゃべっているところを見て、そんな考えはどこかへと消えてしまった。
舞台が終わってからも、ずっと君の事を考えていた。
そして今ここにいる時もそのことが頭から離れない。
だから、ここに忍び込んで君に会いに来たんだ。

「フフフ、貴方は面白い人ですね
 ワタシでよければ少しのあいだ、話し相手になっていただけませんか?」

それから1時間程、彼女とはなした。
彼女はサーカス以外の場所に行ったことがないらしくとても楽しそうに僕の話を聴いていた。
別れ際に、
「もしよろしければ
 明日も来ていただけませんか?」
と彼女が聞いてきた。
明日の午前0時に彼女と再会する約束をして、僕は家へと帰った。


次の日、約束の時間に少し遅れてサーカス小屋に着いた。
裏口の鍵はやはり開いていた。
「こんばんは」
彼女は昨日と同じ様に檻の中に立っていた。
30分ほど話をしていると、急に彼女が
「ワタシと貴方は世間から見たらいったいどんな関係に映るんでしょうか」
と聞いてきた。
しばらく考えた後で、友達だろうねと答えると
彼女は下を向いて黙り込んでしまった。
どうしたのかと聞いてみてもただ下を向いているだけだ。
何か気に障るようなことでも言ってしまったのかと不安にあってきた時、彼女がつぶやいた。
「・・・明日になんかならなければいいのに」

明日?
明日になったら何かあるの?

「明日になったら・・・このサーカスは違う町に行ってしまうのです」
・・・そうなのだ
「ワタシはずっとひとりぼっちで生きてきた
 やっとできたトモダチとはなればなれになりたくない
 そんなのは嫌だ。ワタシはこの町から離れたくない」

周りのことなど気にせずに大声で叫ぶ彼女を見ていると、僕までもが悲しくなってきた。
大丈夫、僕らは友達なんだろ?
だったら、どんなに遠く離れていたって心配はいらないよ。
僕は君の事を忘れたりなんかしないし、君も僕の事を忘れなければいい。
そうすれば僕らは一緒にいることとかわりはないよ。

「・・・ありがとう
 貴方に会えて、本当に良かった
 たった二日間だけでも、貴方と話が出来てうれしかった
 こんな姿になってから、誰もワタシに話しかけてくれる人はいなかった」

こんな姿?
どういうこと?

「じつはワタシ、本当は実装石じゃないの」
「ワタシも貴方と同じようにこのサーカス小屋に忍び込んだの
 その時に座長にみつかって・・・」
いったいどういうことなんだ
と聞こうとしたその時、僕の頭に衝撃が走った。
薄れゆく意識の中で、彼女の悲鳴と背筋が凍りつくような笑顔を僕に向ける座長の姿がみえた。


気が付くと、僕は縛り上げられて床の上に転がされていた。
「やっとお目覚めか
 人の小屋に勝手に忍び込んでいったい何をやっていたんだ?」
口に猿轡を嵌められているせいで何もしゃべることができない僕に向かって
嘲りと憐憫のこもった視線を投げかけながら、男は続ける。
「どうせお前はあいつに会いに来たのだろ?
 客席からあいつのことをじぃっと見つめていたからな
 まったく、あんな物のどこがいいのだか俺にはまったくわからんよ
 まぁ、あいつからどこまで聞いているかは知らんが
 このまま帰れるなんて思っちゃいないよな?」
そう言いながら男はポケットから注射器と緑色の液体が入った小瓶を取り出した。
「これがなんだかわかるか?
 お前にだけ教えてやるよ
 人間を実装石にする魔法の薬だ」
!!
「そうか、お前ぐらいの年のヤツは実装病も知らないのだな
 教えてやろう
 俺がまだお前ぐらいの頃に流行った実装石の唾液によって感染する非致死性の奇病だよ
 この病に侵されると身体が実装石に変化していくのだ
 ワクチンの開発と行政による実装石の駆除のおかげで今じゃぁ根絶されたけどな」

いったい何が言いたいんだ?

「その頃の俺は大学院を卒業したばかりの若造で、親父の研究所で研究員をしていた
 俺の研究で世界中の人間を救えるかもしれないと青臭い情熱を持って頑張っていたのさ
 だが、俺よりも先にワクチンを開発したヤツがいた
 そのことについては何も文句は無かったよ
 誰が開発しようが、その薬のおかげでたくさんの命が救われるんだからな」

そう言うと男は自嘲気味の薄笑いをした。

「その時点で研究を止めておけばよかったのだ
 だが、俺は研究を止めようとはしなかった
 何故嘗て?
 研究っていう物はな、一つのことがわかると謎が二つ出てくるものなんだよ
 確かにワクチンの開発は成功した
 だが、どういうメカニズムで発病するのかはまだわかりきってはいなかった
 それをつきとめればワクチン開発は飛躍的に進むと思っていたんだ
 周りの奴らはもういい加減に他の研究に移れとか言っていたよ
 その頃の俺には着実に研究が進んでいる俺への嫌味にしか聞こえなかったがな
 寝食を忘れて研究に励んだおかげで、ついに研究は完了した
 だが、それを証明するためには実験データが必要だった
 学会に提出した論文は机上の空論じゃあ話にならんと却下されたよ」

男は話ながら注射器で小瓶の中の液体を吸い上げた

「実験データと簡単に言ってくれたが、この国で合法的な人体実験なんてものが出来るはずは無い
 遠まわしに諦めろと言われたことに気付くのに、そんなに時間はかからなかったよ
 だが、俺は諦めなかった
 合法的にできないんなら非合法のやり方ですれば良いだけだと考えを改めたんだ」

こいつ、狂ってるのか?

「実験にはまず材料が必要だ
 実装石や実験器具なんかは簡単に手に入るんだが、肝心の検体がどうしても手に入らない
 そんな日が何年も続いた
 親父も死に、遺産も使い果たしているというのに時間だけが無駄に過ぎていった
 そんなある日、夜中に警報ベルが鳴り響いた
 あわてて研究室に行ってみるとあいつがいたんだ
 いや、性格にはあいつらと表現するべきだな
 たしか男が4人に女が2人だったように記憶している
 他人の家に勝手に入り込んでくるようなヤツにまともな常識が通用するとは思っていなかったから
 怒鳴りつけるより先に薬瓶の中の氷酢酸をかけてやったよ
 一番手前にいた男を狙ったんだが、うまくよけられてしまった
まぁ、後ろにいた女の顔にはかかったから別に問題は無かったんだがな
 顔面に氷酢酸を浴びたヤツは悶絶して床を転がりまわっていたな
 それを見た他のガキどもは怯えて腰が抜けていたよ
 完全に抵抗の意志が無くなっていたようだから
 此処で何をしているのかと尋ねたら、あいつらがなんて言ったと思う?
 肝試しだとぬかしやがったんだ
 まったく、失礼だとは思わないか?
 他人の家を勝手に廃墟だと決め付けた挙句に鍵を壊して不法侵入だ
 どうしたものかと考えていたら、あいつはこういったんだ
 『なんでもしますからどうか見逃してください』とな
 聴いてみればそいつらは受験生だそうじゃないか
 ストレス発散とやらのためにちょっとした冒険をしてみたくなったとかいっていたかな
 なんでもします、その言葉に嘘は無いのかと聞き返したら『そうだ』と肯定してきた
 だから実験の材料になってもらったんだ
 自分の言った言葉は責任を持って果たすのが当然だからな」


彼女の言っていたことは嘘や冗談じゃなかったのか?

「残念なことに6人いたうちの5人は死んでしまったよ
 やはり机上の空論では駄目だったようだ
 だが、6回目にしてようやく失敗の原因がわかった
 実装石の性別と検体の性別が違っていたんだ
 男にメスの実装石の成分を使うことはあるとしても
 女にマラ実装の成分を使うなんてことは確率的に見てもかなり稀なケースだとしか言いようがない
 まったく、運が悪かったよ。
 まぁ、あいつの時はちゃんと実装石の成分を使ってみた
 するとどうだ、日に日に身体が縮んでいくじゃないか
 俺は踊りだしそうになる身体を抑え付けることでせいいっぱいだったよ
 投与から1週間後には、どこから見ても完璧な実装石になっていたよ
 ただ一点、いつまで経っても人語をしゃべることを除いてな
 しかし、これで実験は終わりにはできない
 もっとサンプルを集めないと比較できないからな」

ということは、サーカスに出ていた他の実装たちも・・・

「まぁ、そんな嬉しい偶然はそうそう起こらないもので、それから後はまた以前と同じような状態が続いた
 だが俺は、以前のように焦ってはいなかった
 望んでいた物がもうすぐ手に入るんだからな
 しかし、そんな安穏な日々はそう長く続かなかった
 研究費用だけでなく、そろそろ生活費にも困るような状況になっていたからだった
 こう言っちゃなんだが、俺には研究以外の取柄が無かった
 どうしたものかと考えていると、ふと思いついたんだ
 俺の手元には世にも稀なる実装石がいるじゃないかとな」

それはつまり・・・

「それから俺は迅速に行動したよ
 全国各地に出向いてはあいつを見世物にした
 最初の頃、あいつはとても嫌がっていたよ
 壇上でもこんなところで見世物にされるぐらいなら死んだ方がましだと言っていた
 あらかじめ抜いてコーティングしておいた偽石を目の前で床に数回落としてやったら
 そんな抵抗もすぐにしなくなったよ」

「興行をする人間の言うことじゃないが、あまり目立ちたくは無かった
だから一箇所で長く続けるような事はせずに2,3日で場所を変えるようにこころがけた
 それでも反響はすごかった
 愛護派も虐待派も関係なく客が入ってきた
 そして、行く先々であいつを譲ってくれと言ってくる奴がいたよ
 愛護派は着飾らせて他人に自慢するために
虐待派は・・・説明する必要はないな
 まぁ、すべて断ったがね
 1年も興行をすれば金は十分に貯まったし、その金でアシスタントも雇えるまでになった
 しかし、検体の方はまったくもって駄目だった
 むしろ、以前よりも入手が困難になった
 あまりにも目立ち過ぎたんだ
 だが俺は執念深く待ち続けた千載一遇のチャンスを逃さないようにな
 そんなある日、ついにその時は訪れた
 舞台裏に仕掛けた監視カメラに侵入者が映っていたんだ」

最初からバレていたのか

「そいつは何を盗むでもなく檻を一つずつ覗き込み始めた
 しばらくして、そいつはある物に気が付いたようだった
 ここから先はもう何も言う必要は無いよな?」

そう言うと男は手に持った注射器を僕の首筋に近づけてきた。

「なに、心配することはない
 これはちゃんとマラ実装の成分だけで作ってある
 ほんの一瞬チクリとするだけだ」

楽しそうにそう言うと男は注射器を僕の皮膚を突き刺し、液体を注入した。
次の瞬間、これまで経験したことが無いような感覚が僕を襲った
注射針を刺された部分がまるで火を直接当てられているかのように熱い
しかし、身体の中心からは急速に熱が奪われていくような
なんとも言いがたい感覚だった
10分ぐらい苦しんだ後で、ようやく僕の意識は慈悲深い闇の中へと堕ちていった





以上で僕の手記を終わる。
この手記を読んでいる人は、この文章を小説だとおもうだろう。
それでも僕はかまわない。
僕と彼女の存在を記憶の片隅に留めておいてくれるだけで十分だ。
奇しくも僕が彼女に向けて言った慰めの言葉は本当になった。
これからは何時までもふたりは一緒にいられるのだから。
そろそろ僕らの出番だ。
もしもこれを読んでいる貴方の町へ実装サーカスが来たら、ぜひ見に来て欲しい。
きっと貴方を満足させてあげられるから・・・




【完】




まだまだ初心者なんでいたらない点は多いと思いますが、どうかご容赦ください。
自分はサーカスにも見世物小屋にも行ったことが無いので、本棚の本とイメージだけで書いてしまいました。
このスクにご感想をいただけたら嬉しいです。
駄文に最後までお付き合いいただきまことにありがとうございました。

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