正月のある日。 田舎に帰っていた俺は、家で飼っている仔実装のミドリをつれて河川敷に来た。 理由は家の倉庫で、昔使っていた凧を見つけたからだ。 俺は久しぶりに凧揚げをしたくなったので、電線の無い広い敷地を探して彷徨っていると 河川敷を見つけたのである。 さすがに冬の水場の近くは冷える。 俺は家から途中で買ったホットの缶コーヒーをカイロ代わりに寒さをしのいでいた。 ミドリは普通の実装石の服だけしか着ていないので、寒いのか俺の横でガチガチと震えている。 そんなミドリを近くのベンチに置いて、俺は早速凧揚を開始することにした。 最初は何度か地面を引きずっていたが、しばらくすると昔の感覚を取り戻し 凧は大空高くに舞い上がった。 それを見たミドリは興味が沸いたのか、寒さも忘れて凧を見せて欲しいと言ってきた。 「どうだ?すごいだろ。50m程上昇しているんだぞ」 「すごいテチ。あんなに高くまで飛ぶなんてすごいテチ。 ワタチもあんなに高く飛びたいテチ!」 「ははは、じゃあ飛んでみるか?」 「テチッ!?」 「この凧に乗ればミドリくらいの重さなら浮かすことが出来ると思うよ?」 「やるテチ!お空を自由に飛びたいテチ!」 「わかったよ。じゃあ、ミドリを凧に縛り付けるね。」 そう言ってミドリを凧にバランスよく縛り付けた。 「ミドリ、余り動かないでね。動くとバランスが取れなくなるから。」 「ハイテチ。」 いよいよミドリが大空に舞う時が来た。 俺は風が来たと同時に駆け出した。 風が良かったおかげでミドリを載せた凧はふわりっと浮いて見る見るうちに大空に舞い上がった。 そして、糸が切れた。 ミドリはそのまま風に乗ってどこかに消えてしまった。 しばらく呆けていたが、『所詮野良だったし、別にいいか』と思いそのまま家に帰ることにした。
