タイトル:【虐】 時間と言葉
ファイル:時間と言葉.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:7068 レス数:0
初投稿日時:2007/02/24-02:27:46修正日時:2007/02/24-02:27:46
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ウィ〜ン

 歯車がゆっくりと回り出し、機械が動き出した。

「デッスーーン♪デッスー……デ?…デデ?デデヒィ!!デガァァァァァァァァ」

挽肉用の機械に入れられた禿で素っ裸の実装石の足は、歯車に挟まりみるみるは磨り潰されていく。
禿げ実装は両手で機械の両端を掴み、これ以上落ちないよう踏ん張りながら男の方を見て叫ぶ。
男は薄く笑うと面倒くさそうに実装リンガルに目をやる。

(も、もう悪い事しないデスゥゥゥ!!!良い子にするデズウゥゥゥ!!!)

決まりきったフレーズ。
 機械の横に立っているもう1人の男がリンガルを覗いている男に尋ねる。
「どうするT?生かしておくかい?」
「バカな実装はもういらないから頼みに来たんだ。「」のところの実装石達の餌にでもしてくれよ」
薄ら笑う男、Tは即答した。
 「」は「思ったとおり」と言わんばかりに笑みを浮かべると、禿実装の両手をムチでピシッピシッと
軽快な音を立てて叩く。禿実装は痛みから思わず手を離すとゆっくりを下に沈み始める。更に大きな
鳴き声をあげながら…

「デギャ!デジィィィィィィィィィ!デ!デジュアァァァァァァァァァァァア!!!」

機械の横下にある穴からは、汚らしい赤緑の肉と少し固そうな白色の骨の屑が絞り出る。
 大きかった鳴き声も徐々に小さく途切れ途切れになり、胸元あたりまで歯車に巻き込まれると
その声も消え、口から泡を吹いて気を失った。
「おっと、いけない」
Tは服のポケットからドス黒く変色した液体を機械の上から禿実装に降り掛ける。

カラン

乾いた音とともに歯車に石が巻き込まれる。偽石だ。それが歯車に消えた途端、禿実装は
大きくビクンと痙攣すると2度と動く事もなく、全てが機械に飲み込まれていった。



 「」とTの目の前には1匹の成体の実装と4匹の仔実装。「」はTに説明をする。
「うん、こいつらは成長が遅めになる栄養剤に偽石を漬け込んでいるから
子供達が成体になるまでに1ヶ月は掛かるんだ。その間にこの家族をどう育てるかは
T次第ってことだよ」
「」は含み笑うと実装石達にTを紹介する。
「この人が今日からお前達のご主人様になる人だ。キチンと言う事を聞くんだぞ」
実装石達は一斉に深くお辞儀をする。すると頭巾に「1−25」などと数字が見えた。
「この数字は?」
Tが「」に尋ねる。
「名前だよ。ウチみたいに実装石で商売をしてこいつらを沢山扱ってると、
いちいちタローだのキャサリンだの付けるのも面倒だからね。それじゃこのケージに入って……
よーし、良い子だ」
「」は実装石達をケージに入る様促す。
「悪いなぁ。なんか俺だけ楽しんでるみたいで…」
Tがそう呟くと「」が否定する。
「何言ってるんだよ、僕こそ前の会社で散々世話になったし、元は同期の同僚じゃないか。
何かあったら気軽に連絡してくれよ」
「しかし、お前が会社を辞めてこんな仕事してて綺麗な奥さんまでもらってなぁ…俺が盲腸で入院してて、お前の
奥さんが出産で病院に…こんな形でも巡り会わなかったら、あのバカの扱いに困ってどこかに捨ててたよ」
そんな会話を楽しみながらTはケージを助手席に置く。
「よっと…流石に5匹いるとちょっと重いな…それじゃまた連絡する」
「ああ、楽しみにしてるよ」
そう言いながらTは「」の館を後にした。


 Tのアパートに連れて来られた実装一家は早速バカ実装の使っていた水槽を掃除させられる。
しかし、動きはキビキビとし親の指示を元に5匹とも懸命に水槽を磨く。その姿にTは驚いた。
(賢いとは聞いていたけどここまでとは…)
親がバケツの雑巾を絞り

「デスデデス」

と言いながら仔らにその雑巾をを渡すと、仔らは頷いて

「テチュ」

そう返事をして水槽の中や外を磨くのだ。
 本来は高級ペットショップに卸す実装石を特別に譲って貰ったのだ。
バカで自分勝手な実装石しか扱ったことのないTには驚きの連続だ。

 実装親子達がT宅に来て、3日でトイレや水槽や部屋の掃除、ある程度の事は憶えた。
その様子に満足したTだったが、同時に物足りなさも感じていた。
 4日目の夜、Tが親子達の昼間の様子をモニターで再生して見ているとある事に気付いた。
時折、窓の外を見ながら溜息を吐く親子達の姿。あんぐりと間抜けな口を開けながら
窓を見て、視線を下に反らす。はじめTは不思議に思ったが、すぐ直感で分かった。

『こいつらはウチに来てから一度も外に出てない…外に出たいんだ』

Tは仕事上、朝早く家を出て、帰りは夜の8時頃になる。そうなると疲れで「ちょっと散歩に…」などと
したくもなかった。駄々を捏ねる仔実装をなだめる親実装の姿を見てTはある事を思いついた。




 休日の朝、Tは朝食を終えると後片付けを始める親実装に尋ねた。
「おい、外に出たいか?」
親実装の動作がピクリと反応する。親実装はTとは視線を合さずに身体を硬直させながらこう言った。

(……わ、私達は…ご主人様の…そ、そばにいられれば、そそ、それだけで……)

 明らかな嘘。しかし、それも賢い実装石な証拠だろう。普通の実装石ならこんな返事はしないのを、
Tは身を持って経験している。
 リンガルを見ながらTは言う。
「嘘はいい。ホントのことを言え」
Tの言葉にまたピクリと反応する親実装。おずおずと視線をTに向けると

(…は、はいデスゥ…たまには外に出てみたいデスゥ……)

そう正直に答える。Tはまた尋ねる。
「外に出て何がしたい?外に出るだけで満足なのか?」
親実装の顔面に汗が滲む。そこまで答えを考えていなかったのだろう。硬直していた身体が
時折ピクピクと痙攣し、親実装の顔は仔実装達のいる水槽を向いていた。
何が起きているかまだ理解出来ない仔実装達は、あどけない顔を親に見せ小首を傾けたりする。
「お前達ぐらい賢いなら、ちょっと山奥に連れて行って自由にしてやれば十分生きていける
だろう。…そこにいる子供達と一緒に自由になりたいか?」
Tの言葉が親実装の頭の中に乱反射する。

自由

生を受けてから、一度も味わった事のないもの。誰にも邪魔されずに、好きな時に好きな事が出来る。
それも子供達と……自分のご主人から言われるとは思いもよらなかった言葉…

(……ハイ…デス…)

 親実装はモジモジしながら消え入りそうな声でゆっくりと返事をする。
それでもその声はTの耳にハッキリと聞こえた。
「よし、わかった。但し条件がある。今日からお前達全員に、人間の発音で喋ってもらう」
 親実装はTの言ってる意味がよく分からないのか小首を傾げ
「デス?」
と言った瞬間、Tの張り手が右頬に飛んで来た。

ベシン!!「デヴ!?」

と音を立ててすっ飛び、顔面を壁に当て床にバウンドする親実装は、衝撃が収まると
震えながら痛みを堪え土下座する。
「その鬱陶しいダミ声で俺に喋り掛けるなってことだ。人間の喋る音を、声を、
その口から出すんだよ。いいか、今日から2週間の間にキチンと喋れる様にしろ。
それが出来なきゃ一生外には出れないと思え。声はこれからCDに録音してやる。
その間に壁と床を綺麗にしとけ」
Tがそう言い終えると親実装は震えながらゆっくりと立ち上がり、涙と体液で汚れた顔を袖で隠しながら
Tに深くお辞儀をすると小走りでバケツを取りに向かった。
 Tは水槽の仔実装達に視線をやる。
抱き合ったり、頭を抱えたり、下着をこんもりとさせながら震える仔実装達を見ながら
薄っぺらい笑みを浮かべ
「お前等もああなりたくなかったら、1つでも多く人間の言葉で喋れるよう
頑張るんだな」
そう言うと、仔実装達は涙を流しながら黙って震えるしかなす術はなかった。


「はい」
「いいえ」
「おはようございます ご主人様」
「こんにちは ご主人様」
「おかえりなさい ご主人様」
「おやすみなさい ご主人様」
「ごめんなさい ご主人様」
「ありがとうございます ご主人様」

 ラジカセからTの声と共に濁声が木霊する。

「デョーヨーデェジャージャス デシャーデシャ」
「「「「テチュゥーテチューチュゥ テチュチューチュン」」」」

バシバシバシバシ!!!!
「テヂ!」「チャヒ!?」「チー!!」「テピャ!」

バッシーーーン!「デヒィィィィィィィー!」

 次々とハエ叩きのビンタが飛び、すっ飛ぶ実装石達。仔実装にはある程度容赦はするが、
その分、親にはまるで容赦しない。まるで仔の分の罰まで込められた様に思い切り
張り倒される。
「なんだそりゃ?お前達まだその程度か。あれから5日経ってるのに
デーやテーしか言ってねーじゃねーか」
打たれた頬や頭を摩りながら起き上がる実装石達の目からは涙が、鼻からは体液垂れ流れ
床を汚し、仔実装達の居るところには糞尿溜まりも出来、顔は真っ赤にパンパンに腫れあがり、
頭の形が少し崩れているのも居て立っているのもやっとな状態の仔実装もいる。
 Tは親実装を見下ろすと、目がかち合い、泣き腫らし濁った両目を見開いて
必死に何度も頭を垂れ許しを請う。

 人間の言っている事は理解出来、それを返答する事も出来ても、それはあくまで
自分達実装語、若しくは鳴き声や動作などでしかない。インコなどに「オハヨー」などと憶えさせ
発音するのにも結構な日数が掛かるのに、いくら賢い実装石でも
5日では無理なのはTも「」との連絡で知っていた。ましてや実装石達は平日休日休み無く働きながら
なのだ。
 理解は簡単に出来るのに、それを伝える術の無さを、自由を手に入れる事の難しさを痛感する親子実装。
「俺は風呂に行って来るから、その間も休むなよクソ馬鹿共」
プライドを傷付ける言葉を放ちつつTが席を立つと、全員が怯えからか、屈辱からか分からないが震えながら
一礼すると、再び「テー」や「デー」と声が響く。Tは風呂に入る前に
冷蔵庫を開け実装石達の偽石を確認すると、全部のビンがストレスと恐怖からドス黒く変色し
濁っている。
「アレも兼ねて「」の所にお邪魔するかな」
Tは笑いつつ冷蔵庫の扉を閉じた。


 あれから2日後、ちょうど1週間目の日、Tは親実装を呼ぶときつく目隠しをしてケージに詰め込む。
「今日はお前に用事があるんでな。少しの間大人しくしてろ。わかったな?」

「ジャジャ、ジャイデス…ジョジュディンダダ…」

 親実装がそう返事をすると、Tは親の尻を蹴り上げる。

「デギャン!!」

「まだその程度か。このボンクラ!」

「ジョジョ!!ジョデェンダダィデスーーーー!!!」
 尻を押さえて向こうを向きながら土下座する親実装に向かって乱暴にケージの扉を閉める。
バッグを手にすると水槽の中の仔実装達に
「夜までには戻って来る。仕事も発声練習もサボるなよ」
と言い残しアパートを後にした。 
 
「うわー、こりゃあと1週間も持たなかったよ」
 「」がTのバッグから偽石の入ったびんを取り出し、液体を詰め替えながら
Tに答えると、頭を掻きながらTは照れながらそれに返答する。
「いやぁ、やっぱり前の奴が前の奴だったんで…その楽しみが忘れられないんだ(笑)」
「あはは、その気持ちはすごく良く分かるよ。こうされる為に生きてるようなモンだしね、こいつら」
足元のケージの中で四つん這いになり、ブルブルと震える親実装の耳にもその声は届いていたが
イマイチ会話の内容が理解出来ないでいた。

『…ごご、ご主人様達は一体何を話してるデスゥ?…わわ、私はこれから、ど、どうなるデスゥゥゥ…』

 怯える親実装を尻目に「」とTは素早く作業を進め、時折「」がTにアドバイスをする。
「…うん、この成長の遅くなる体液に浸けてると、どうしても再生も遅くなっちゃうんだ。
だからTが寝る時にこっちの普通の体液に浸しておけば、翌朝には手足や顔の腫れも引いてるよ。
でも、翌朝にはくれぐれも成長が遅くなる体液に戻すのを忘れないようにね。成長が普通になると
3日ぐらいで成体になって、4匹がいっぺんに「デーデー」と鳴いて近所から苦情が来るよ(笑)」
「うわ、そりゃたまんねーわ(笑)」
 そんな冗談を言いつつ、液体を詰め替えたびんと詰め替え用の液体の液体の入ったペットボトルを
バッグに入れると「」はTに言った。
「例のは準備出来てるよ」
 親実装の入ったケージをTが持上げると、中にいる親実装は大きくビクリと怯え「デス!?」と
思わず声を漏らした。
「悪いなぁ。ちょっと試してみたくなったんだ」
「いいって。僕もその実験には興味があるしね。さ、こっちだよ」
「」はTを案内しながら扉を開けた。

 換気扇の回る音と「デスデス」喚き散らす声と「デェェェー…」と力なく鳴く声の入り混じる部屋。
換気扇が回ってるというのにある種独特の臭いが鼻に付く。思わずTは鼻を押さえ「」に尋ねた。
「うわぁ、予想はしてたけど…「」、お前よくこんな所にいられるなぁ…」
「はは。慣れだよ、慣れ。商売だからね。臭いの汚いの言ってられないよ」
「」は軽く笑いながら答えて早速用意に掛かると、Tも顔をしかめながらケージの扉を開けて
怯えて蹲る親実装を掴み出すと、ポイっと床に放り投げた。一瞬身体がフワリと浮いたかと思うと、
お腹の方から落ち「ビタン!」と音を立てて床に叩きつけられ

「デボゥ!」

と声を漏らした。その痛みが引く間もなく「」が素早く親実装の四股に鎖を繋げる。

「デ、デヒィ!!デヤァァァァ!!」

 親実装は自分がどうなるのか、すぐに分かった。ここはかつて自分が働いていた場所。
実装石の種付け場だったからだ。賢い親実装はここの掃除を任されていた事もあり、当然
種付け時の悲惨さや出産に苦しみ、その苦しみから解放されるとまたすぐに種付けされ
壊れていく実装石達を幾多も見てきた。だが、何より一度自分自身経験済みなのだ。
あの恐怖と屈辱を……

「デ、デヒャ!!…ジョ!!ジョデェンダダィデス!ジョジュディンダダーーー!!」

「これ『ゴメンなさいデスご主人様』って言ってるの?へ〜、これぐらいは成体になっても
憶えられるんだ」
 感心しながらも手を休めることのない「」は親実装の股を大きく開かせ鎖を固定する。
「あぁ、『2週間で言葉を憶えたら自由にしてやる』って言ったら案の定のって来てさ。
でも1週間掛けてこんなモンだからなぁ…子供達はまだ分からないけど、コイツはもう
この辺が限界じゃないかと思ってね」
 嫌だ嫌だと頭を振りからだを捻る親実装を軽く体重を掛けて踏みつけ、大人しくさせるTが
そう答えてる間に、「」は1匹のマラ実装を連れて来てTに見せる。マラ実装はTを見ると
深くお辞儀をした後、無表情で突っ立っていた。もっと荒っぽい、公園によくいる野良の
ボスマラ実装みたいなのを想像していたTはいささか拍子抜けした。尻尾の様に垂れ下がった
マラがなければ普通の賢い実装石となんら変わらないからだ。
「コイツが今ウチで1番良い種を着けてくれる2−23号だよ。…なんか期待はずれって感じだね?
まぁ見ててよ」
「」がマラ実装を親実装の総排泄孔の目の前に近づけると、鼻と耳がピクピクと反応し
「デ、デ…」と声を漏らしたかと思うと瞬時にマラを怒張させ

「デッスーーーーーーーーーン!!」

と嘶いた。そこにはさっきまでの無表情さはなく、性欲のみに支配され目を異常なほど輝かせて
涎を垂らす。どこにでもいるあのマラ実装の姿があった。

「デ、デヒィィィィィィ!!!?ジョジュディンダダーーー!!ジョジュディンダダーーー!!!
ジョデェンダダィデス!!ジョデェンダダィデスゥゥゥゥゥゥ!!!」

 マラ実装の嘶きを聞いた親実装は必死でTに助けを請うが、それに答える訳が無く、

「ジョジュディンダダーーー!!!ジョジュディ…!デビャアアァァァァァァァァ!!」

親実装はマラ実装にあっという間に貫かれ、部屋に悲鳴が轟く。途端に親実装の身体から力が抜け、
頭や手足がダラリと垂れ下がった。
 マラ実装が挿入して、2、3回腰を前後させると

「デッフーーーン♪」

と満足気に大声で鳴く。すると親実装の総排泄孔から白濁した粘液が大量溢れ出した。
そして休む間もなく2回戦目が始まる…
 身体が前後に揺れ、目に力の無くなった親実装の鼻っ面に靴の先をねじ込み
吐き捨てるようにTが言う。
「初めてでもねーのにバカかお前は。あー、『ごめんなさい ご主人様』の一言も
満足に喋れない 大 バ カ だったな(笑)」
 力のない濁った眼球から涙を流し、鼻に靴をねじ込まれながらも親実装の口はモゴモゴと
動き続ける。

「ジョ…デェ…デ…ズ……ィン…ダダ……」

 その声も、親実装の両目が同色になる頃には消えていた。

 帰りの車の中、性も根も疲れ果て涙も枯れ果てた親実装は、
ケージの中でぼんやりと考えていた。

『…前のご主人様には「お前は賢い」と言われたデス……でも…今は…ご主人様を
怒らせてばかりの私は……バカ…デスゥ?』

 親実装の脳裏に「」宅で処分され殺された兄弟や仲間が浮かぶと、身体が
震えてきた。「自分も同じ?」悔しさと悲しさが入り混じりカタカタと身体が震えて止まらない。
「うるさい、この大バカ実装。分かってるのか?あと7日だぞ?このままなら
一生外出禁止どころか 処分 だ」
 処分の言葉が耳に届くと、親実装の震えは今度は別の意味で一層大きくなる。

『なんで…私はあの時……なんで…自由になりたかったん…デスゥ…?自由って
何…デスゥ…?』

 車がT宅に向けて走る。その間にも時間は過ぎていく。親実装がいくら
後悔しようとしても、全ては後の祭りだった。


 

 日に日に大きくなるお腹。

「オグェーイダダイデス ドシュデンジャダ」
バッシーーン!!
「デビォ!!」

 焦れば焦るほど上手く回らない口。叩かれば尚更の事だ。流石にTも子供の事を考えて
お腹は狙わないが、頬や手足は常に真っ赤に腫れている。
 一方子供達の方は

「オチャチョーチョチャイチャチュ チョチュチンチャチャ」
「チョンチチチャテチュ チョチュチンチャー」
「オチャチュミナチャイテチュ チョチュチンチャマ」
「アチチャチョーチョチャイマチュ チョチュチンチャマ」

意外と上手く喋っている。仔実装特有の口調や口周りの筋肉、頭も柔らかいからなのか、
4匹ともTから「まぁいいだろう」のレベルにまでは達していた。
後は自分だけ。時間は待ってはくれない。あれから5日が過ぎ、あと2日
しか残ってないのだ。焦る気持ちとお腹はますます大きく膨らんでいき、
親実装は時折嘔吐した。自分の招いた責任と親としての、「賢いと言われた」実装石のプライド。
それはTが寝る頃まで必死に声を上げ続く。

「ョエンナダィデス!ドシュジンダァ!」
パーーン!!
「デガァ!」


 

 そして当日の日、Tは実装石達に試験は外でやると伝えると、仔実装達は喜びに満ちた
笑顔でテチテチとはしゃぐが、親実装は1人青い顔色で大きなお腹を見つめ溜息を吐いた。
自分1人がまだ上手く喋れないことを自覚している為、とてもはしゃげる気分ではないのだ。
 Tは実装石達をケージに入れ、ちょっとした山奥にある人気のない公園に連れて行った。
 車から降りる時、Tは親実装に1本の注射をした。

「デシッ!?」

 怯えた眼でTを見上げる親実装に、Tが
「栄養剤だ。お前、顔色が悪いからな」
そう言うと、オドオドしながら親実装は答える。

「デ、デァ…ジャリガジョーゴジャイジャスデス…ドシュヒンサマ…」

 Tは苦笑しながら重そうにケージを車から取り出した。

 実装石達は横一列になって声を上げ始める。まずは本番前の口ならしをさせた。
各自が一斉にテチュだのデァだのと叫び出す。数分もすると親実装の顔色が先程よりも悪くなり
ダラダラと大粒の脂汗を掻き始めお腹を押さえ始めた。陣痛だ。
 先程Tが注射したのは陣痛促進剤だったのだ。仔実装達が親実装に近づこうとするのを
ハエ叩きで叩いて止める。

「テチャ!」
「テピャ!!」

「勝手に動くな。陣痛だ?それなら立ったまま産め。わかったか」
 Tは親実装に向かって言うと

「ハァハァ…ダァイ…デスゥ……」

と答えるのがやっとだった。

 仔実装達が心配そうに親実装を見守る中試験が始まる。
「朝になったら?」
Tが1匹の仔実装を指す。

「オ、オチャヨウーチョチャイチャス! チョチュチンチャマ!」

 ビクリとしながら答える仔実装達。
 かたや親実装は軽くウンチングスタイルになって

「デ、デ、スゥー…デ、デ!スゥーー」

実装石特有の出産の息遣いになっていた。そこにTのハエ叩きビンタが飛ぶ。

パッシーン!!
「デ!デフン!?」
ヌルン
「テ、テチィィ…」

 打たれたショックで仔実装が1匹この世に生を受けた。
 震えながらゆっくりと立ち上がる親実装にTの罵声が飛ぶ。
「デーデー五月蝿いんだよ。処分されたいか」
 顔に付いた土ぼこりも払おうとせず、首を左右に振りながら必死に立ち上がる。

「ハァハァ…デ、ディイエ…」

とだけ答える親実装の表情は、苦痛と怯えを隠そうともせず
涙を流して歪んでいた。Tは親実装を無視して質問を仔実装達に浴びせる。
 親実装は息を殺しながら、また例の軽いウンチングスタイルになると力み始め
仔を産み落とそうと頑張るが、いつ自分に質問が飛んでくるか分からず出産に
集中出来ずにいた。鼻から体液を、口からは涎を垂らし脂汗を掻きながら激痛に耐える
親実装の頭の中は完全にパニック状態に陥り、息づかいもバラバラになる。
 その様子を横目で見ながら、Tは親実装に突然質問する。
「お礼を言う時は?」

「デ、デニョンジジファ… …ドピュジンザア…?」

ろれつも回らずヘトヘトの限界状態の親実装にまともな答えが返ってくる筈がない。

パン!パァァーーン!!

「デヒョル!?」 パタリ
ブリブリリ…
「テフー」「テー」

 ハエ叩きの往復ビンタを食らった親実装後ろ向きに倒れると、
脱糞と同時に2匹を産み落とした。Tは親実装のお腹に足を乗せるとゆっくりと
力を入れていく。親実装は手足をバタつかせて暴れだすがTの力に敵うはずも無い。
「そんなに出産が大変なら手伝ってやるよ」

ジワ…ジワジワ…
「デピイウヒョヒャベンチャ!!??」
ブリブリョリョ!!
「テフー」「テー…」

豪快な脱糞音と共に生まれ落ちる仔実装。Tは一列に並んでいる仔実装達に命令する。
「おい、この生まれた糞塗れの子供達を舐めて綺麗にしろ。当然粘膜まで舐め落とせ」
 仔実装達は一瞬ひるむ。それも当然だろう。生まれてこの方出産シーンも、生れ落ちた
子供の状態もまだ見たことが無い連中だ。しかしTのハエ叩きがゆらりと動くのを見ると

「「「「チャイテチュー!!!!」」」」

一斉に駆け寄り自分達より2回りぐらい小さな子供達を舐めに掛かった。
しかめっ面っをして舐め嘔吐するもの、泣きながら目をつぶって懸命に舐めるもの。
4匹は忠実に主人の指示に従う。
「さてと、まだまだ生まれるかぁー?」
Tは再び足に力を込め親実装のお腹を圧迫しだす。

ブリョリョリョ!!ブボッ!!

大きな脱糞音だけが山あいの公園に木霊した。





 パチン!

「ンデ!?」

 親実装が頬を叩かれたショックで目を覚ました時、全てが終わっていた。
横たわる自分の目の前には無表情で、冷徹なオーラを醸し出す4匹の仔実装達が
立っている。

(お前達無事だ…デヒ)

 親実装が声を掛けた瞬間、1匹の仔実装が親に向かって小石を投げ付け、それが
顔面を直撃する。

(な、なにを…デベべ!!)

 今度の仔実装は親の鼻に思い切り噛み付き、もう1匹は眼球を蹴った。

「デギャァ!!」

 流石にこれは堪えたらしく、思わず親実装は飛び起きた。

フッ…

 今までに無い寒さと軽さを、親実装は感じ取った。

『ま、まさか…い、いや、それよりも子供!私の子供デス!』

 キョロキョロと見回すと、自分のところから少し離れたケージの中でスヤスヤと眠る7匹
の子供が目に映った。駆け寄ろうとする親実装の目の前に4匹目の仔実装が現れ、大の字で
立ち塞がるとこう言った。

(…ママのせいで……私達はもう一生あのお家から出ることは出来なくなったテチュ…
ママは……ママは私達よりあの仔達を産む事を選んだテチュ!!)

 その仔実装を良く見ると、後ろにあるはずの2本のおさげが綺麗に無くなってた。いや、
この仔だけでなく4匹全員、実装石自慢のあの綺麗なおさげが無くなっていたのだ。

 4匹の仔実装は親の前に集まると一斉に傍にある小石や糞を親実装に投げ付け叫ぶ。

「「「「テチュテチュー!!!!」」」」

 おそらく親に対しての、ありとあらゆる罵倒だろう。賢いとは言っても所詮はまだ幼い
仔実装達に、親としての苦しみが分かるはずも無い。
 親実装は戸惑いつつも自分の肌にそれらがダイレクトに当たる感触を憶え、真下を見下ろすと
弛んだ素肌が…恐る恐る頭に手をやると……ない。自分もおさげが無い。いや、おさげだけでなく
前髪も剃られ坊主頭で、頭巾も服も一切ない。

「…デ、……デエエエェェェェェ!!!」

 ボロボロ涙を流し仔実装達に糞塗れにされていく親実装の傍に、Tがやって来た。

ワナワナ…ブルブル…

 親実装が震えながら黙ってTを見上げると、Tは親実装の横にドス黒い塊を置き、
片手に持っていたケージを地面に置いて蓋を開ける。

「そこまでだ。お前達ケージに戻れ」
「「「「チャイテチュ」」」」

 仔実装達は一斉に投げるのを止め、小走りでケージに戻るとケージの蓋が閉じられ
持ち上げられる。仔実装達は改めて親実装を見下ろしていた。無表情だが見下ろす
その8つの瞳は、怒りに満ち溢れているのが親実装には分かった。
「試験は不合格だ。お前1匹のせいでな」
 親実装はすぐさま土下座して許しを請うが、Tは無視して話続ける。
「生まれてきた子供達にも良い胎教になったろうし、2週間楽しめたから
特別にお前だけは自由にしてやるよ。 賢 い お 前 な ら 
そのナリでも生きていけるだろ(笑)」
 親実装がゆっくり頭を上げると、Tの後方に何かが焼けた後…ほぼ全部が炭になっているが、
緑色の焼けた切れ端が涙に霞む親実装の目に映る。
 
「ディ…ディイエ……ディイエ!!」

 頭を左右に振りながら必死に否定するが、Tはクルリと背を向け
「偽石はそこに置いておいたから、あとは勝手にやれ。じゃーな」
そう言い残すと、足早に自分の車に向かう。公園の傍に置いてある車のエンジンは既に
掛かっていた。
 
「ヨエンナダィデス!ドシュジンダァ!ヨエンナダィデス!ドシュジンダァァァァァァ!!!」
 親実装は全速力でTに駆け寄ろうとするが、トテトテとしか走れない実装石が人間の足に
敵うはずも無い。

バタン

 車のドアの閉じる音が親実装の耳に聞こえる。Tの車にはまさに動こうとしていた。
が、その時車が止まり、Tが携帯を取り出し話し出したのが見えた。
 ありったけの力を振り絞り、なんとかTの車に追いついた親実装は、車のボディを
ペチペチと叩きながら叫ぶ。

「ヨエンナダィデス!ドシュジンダァァ!!」

 親実装は後ろに回ったり反対側に移動しては叫びながら車を叩く。Tはその様子を見ながら
携帯で話をしている。

「うん、じゃあまた伺うよ、それじゃ」
ピッ

 Tは携帯を服にしまい前方を見る。すると、丁度親実装が左前方で自分の存在を
アピールしている。Tは迷わず車を発進させた。

ドン!
「デグッ!」

 サッカーボールの様に弾き飛ばされる親実装の右手を、車の後輪が踏み潰す。

ペショ!
「デジャアァァアァァァ!!!!」

ピシリ

 偽石に表面に亀裂が走るが、致命傷ではなかった。親実装は痛みで身体を左右に捻って
蹲るしか出来なかった。

 車は軽やかな排気音と共に走り去った。暫くすると腹這い状態のまま、親実装は
大きな声で叫び出す

「ヨエンナダィデス!ドシュジンダァ!ドシュジンダァァァァァァ!!!」

 その悲しく恐怖の入り混じった叫び声は、暫くの間寂しい山あいに木霊した。


 
 あれから2時間程たったろうか。山あいの早い夕暮れが公園を覆う。
糞と体液と埃塗れになった汚らしい親実装は、鼻と口から体液を垂れ流しながらも
口を小さくモゴモゴと動かして、濁って光を失った眼球は、車の去った方向だけを
見つめていた。

「……ス……ェウ……デ………ア………」

 既に声帯も潰れたのだろう。だらしなく開いた口からは、もはや言葉と言える
ものは発せられていない。
 薄れゆく意識の中で、親実装はずっと考えていた。

『もう少し…時間が、あれば……私は…出来た、デスゥ……あの仔達にも…
私の行動が……理解して…もらえ…たデスゥゥゥ………そう…した…ら…ご……主人…』

 儚い音が、少し離れたところから聞こえた。
だがその音も、1羽のカラスの鳴き声にかき消されてしまった。

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