タイトル:【虐】 黒い塊 5 / 今日中に続きあります
ファイル:黒い塊 5.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:2201 レス数:0
初投稿日時:2007/02/17-09:28:52修正日時:2007/02/17-09:28:52
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                                       「黒い塊5」




ベンチに座る僕は大原さんの事を思い、何となく座っていた。
手に入れた筈の硫酸にもなぜか心踊らず、大原さんの指の感触を何度も反芻しては溜息を付いた。

『本当にキレイな指だったな、僕の指とさっき触れ合ったんだよな』

自分の手を眺めて見ては、大原さんの指を思い浮かべ比べてみたりした。

「デスゥ・・」

ふと前を見ると、いつもの様に野良実装達が集まっている。
何だか乗り気ではないが取り合えず一匹見繕って、持ち帰る事にしよう。

金平糖をばら撒くと実装石達は我先に拾い出した、僕はそこから離れると草むらに隠れて様子を見ていた。
暫くすると全て拾い終わったのか、実装石達はきょろきょろと辺りを見渡し僕を捜し始める。
僕がいない事が分かると一匹また一匹そこから離れていく。
最後に残った一匹が離れる時に、足元で転がっている石ころを実装石に投げた。
実装石の足元に石ころが転がると、実装石は僕の方へ顔を向けた。

僕が手招きをすると実装石は慌てて僕のほうへ走ってくる。

『やぁ君にだけ特別な話があるんだよ』

「デッ・・特別デス、デプッ高貴な私だけに特別な話デス?」

『あぁ特別だよ、君にだけだこんな事を言うのは』

「 ムフー何でも言ってみるが良いです、美しい私が聞いてやるデス」

『いやぁ君みたいな可愛い実装石を、僕の家に連れて行きたくなってね』
『ぶっちゃけて言うと、僕の飼い実装になってくれないかな』
 
飼い実装と言う言葉を聞いて、実装石の目の色が変わった。

「フ、フフンデス、まぁお前がそこまで言うなら、飼い実装になってやらんでも無いデス」
「ただし毎日ステーキと寿司は当たり前デス、食後は金平糖一個じゃないデス、一袋デス」

最近捕獲した中でも、この個体はかなりの糞蟲振りだ。
だが今回の拷問方法はバカな個体でも良いからこれにするか。

『毎日ステーキとお寿司は約束するよ、金平糖も一袋と言わず好きなだけ食べさせてあげる』

「デデッ・・デピャピャピャピャピャ、分かれば良いデス分かれば」
「そんなに言うなら、お前の家に行ってやっても良いデス」
「ただしご主人様は私デス、下僕は黙って私の言う事を聞けばいいデス」

『じゃ行こうか』

「いくデス、早く行くデス、何やってるデス、お前は本当にのろまで使えない奴デス」

やれやれ、こいつは甚振りがいがありそうだ。








家に着くと僕は実装石を玄関に招きいれた、実装石は家の中をじろじろと眺めると驚いている。
まぁ普段はダンボールハウスにいるんじゃ、普通の大きさの家もさぞ巨大に見えるだろう。

「ファァー、なんデス?ここは何処かのお城デスゥ?」
「今日からここが私のハウスデスゥ・・夢のようデ−ス」


実装石は歩き出し廊下へ昇ろうとしたので、髪の毛を掴み上に持ち上げた。
いきなり体が浮いたので実装石は驚くと、僕に向かって暴言を吐き出した。

「な、なんデスッオマエ!」
「放せデス、いい加減にしないと許さないデスッ!」

『汚れたまんまで家に上がられちゃ堪らないだろ』
『それから君の部屋は別に取ってあるから』

髪の毛を掴まれ宙ぶらりんの実装石は、盛んに喚き散らしている。
風呂場に入ると浴槽に叩きつけた。

「グベェッ!」

頭から浴槽の底に叩き付けられた実装石は、首の骨を違えたのか頭を左に傾けたままだ。

「ど、奴隷の分際で、オ、オマエェー・・オマエはー#&*%!!」

浴槽では実装石が飛び跳ね僕に罵倒を繰り返している、もはや怒りで言葉にもなっていなかった。
うるさいので浴槽の蓋をすると、実装石を置き去りにそのまま風呂場を出た。




風呂場を出ると僕はいつもの様に、カタワのいる居間へ向かった。
ゲージでは僕が帰った事が分かっている様で、裸のまま金網に手を掛けてゲージの扉が開くのを待っていた。
カタワの手足は焼き潰した右手を除いてほぼ生え揃ってきた、もうそろそろ服を返してやっても良い頃か。
ゲージの扉は外からだと取っ手が付いているのでカタワでも開けられるが、
中からは掴む所が何も無いので開ける事は出来ない、人間ならば指が付いているので工夫をすれば開けられる。
だが知能や器用さにおいては人間より大幅に落ちる実装石では、まず不可能な事だろう。

『ただいまカタワ、今ゲージから出してあげるよ』

ゲージの扉を上にスライドして開けると、カタワが笑顔で飛び出してきた。

「お帰りテチッご主人様、カタワずっとご主人様まってたテチィ」

僕は実装フードの箱を取ると、畳みに座りカタワを手招きした。
箱からフードを一つまみ取ると、小皿に移しカタワの前に置いた。

裸で正座をして待つカタワは僕の動きを見つめる。
差し出された小皿にカタワは咽を鳴らし、唾液で溢れた口からは時折ジュルッと唾を飲み込む音がする。

僕はカタワに今日あった事を話し始めた、その間カタワの餌はお預けになる。

『今日は僕にとって大事な日になるかもしれないんだ』
『カタワにだけは話して置こうと思ってね』

カタワは目の前の小皿が気になるだろうが、目もくれず僕の話を聞き漏らさまいと真剣な顔になる。
それもその筈、少しでも僕の話している最中に小皿へ目が行こうものなら、
容赦の無いビンタや鉄拳が待っている、そして今までもカタワは何度もそれを味わっている。

最初はいきなり餌に手を付けたので、押さえつけて何度もビンタを喰らわせた。
カタワは一所懸命謝っていたが、あの時は何で殴られているのか分かっていなかった様だ。

その後の躾も大変だった、どうしても目の前の小皿に目が行くカタワに対して、
最初はビンタですんでいたが、しまいには鉄拳制裁へと変わって行った。
カタワは顔中を紫色に腫らし口や鼻から血を流し、泣きながら僕と話す時のルールを覚えて行った。


「嬉しいテチご主人様、カタワご主人様の話を聞くのが大好きテチ」

カタワの言葉には嘘は無い、僕がいない間は狭いゲージですごし。
僕が帰って来ても、僕といる間しかゲージの外へは出さない。
外部からの情報や話をする事は、ここにいる間僕と話す以外は得られない。

たまに痛い目に会おうがこの時間カタワにとっては、大事な時間になっているんだろう。

『今日はね、僕にも恋人となる人が出来たんだ』
『名前は大原小夜子って言うんだ』

「ご主人様の恋人ってなんテチィ?」

『あぁ実装石にはそう言う間柄って存在しないんだっけ』
『簡単に言えば僕とカタワの関係みたいなもんさ』

「えっカタワ以外にも同じ実装石がいるテチ!」
「早く会いたいテチ、いつ会えるテチ」

もしかしたらカタワは僕以外の人間には、会った事が無いのかも知れない。
僕以外の人間の話をすると、決まって実装石と間違える発言をする。

『実装石じゃない人間の事だよ、今度ここに連れてくるかもしれない』
『とても指のキレイな優しい女の子なんだよ』

「でも・・なんでカタワと同じテチ?」

『小夜子もカタワも、死ぬまでずっと僕の物だからさ』

『カタワ・・お前は僕にとっても特別な存在なんだ』
『僕の期待を裏切るような真似は、これからもしない様にね』

「は、はいテチ!カタワこれからもご主人様の為に生きていくテチ」

カタワの返答はとても心地良く、僕を良い気分にさせてくれる。


『よし!餌を食べても良いぞカタワ』







カタワを後にして僕は鞄の中の硫酸瓶を取り出し、ラベルに書いてある説明書を読んだ。
ラベルには濃度90%以上、濃硫酸と書いてある、意味は分からないが硫酸である事は間違いない。

取り合えず瓶を片手に風呂場に入ると、風呂桶の中の実装石が喚きたてた。
喚く実装石を無視して、僕は風呂桶の脇に置いてあるガラス製の水槽を取り出す。
いつもはカタワを入れる為の水槽だが、今回は捕まえた実装石用の硫酸プールにする為だ。
盗んできた硫酸瓶の口を空けると、水槽に瓶の中身を半分注いだ。

水槽の五分の一程入れた所で硫酸瓶は空になってしまい、僕は少しがっかりしてしまう。
どうせなら原液をそのまま使いたかったが、さすがに1リットル瓶一本で全てを行う事には無理があった。
一気に溶かし殺す気は無かったので、最初から希釈するつもりだったが、原液で一気に溶かしたいとも思っていた。
硫酸を入れた水槽からは、かなりきつい刺激臭が鼻を突く。
ビデオで見た目にくる様な刺激も、満更嘘ではない事が分かった。

水槽の中に水を継ぎ足すと白い煙が一瞬だが立ち昇り、更に鼻を突く刺激が目にも伝わり涙が出てきた。

『糞!そうか・・ビデオの反応も何らかの化学反応を起こしたからか』

僕は窓を明け部屋の換気をすると、目を擦りながら風呂場を出た。
ついでに軟質ビニールで出来た水槽の蓋も持ってきた。
廊下に出ると2分〜3分で目の痛みも消えたので、僕は早速蓋の改造を始めた。

手に持っている蓋を眺め大体のめぼしを付けると、マジックで印をつけカッターナイフを道具箱から取り出した。
柔らかい蓋の網目にカッターの刃を当てると、マジックの線に沿ってプチプチと網目を切っていく。
切れ目をぐるりと一周させると、蓋の端っこの方にポッカリと丸い穴が開いた。
更にのこぎりを取り出すと、蓋をザックリ真っ二つにした。

網目の切れ目が弱そうなので布製ガムテープでぐるりと補強すると、二枚に分かれた改造蓋は完成した。
30分ほどで作業を終えると、蓋と道具箱を持って再度風呂場へ戻った。

臭いをかいで確かめると風呂場の刺激臭はすっかり消えており、窓からは外の風が風呂場へ入ってくる。

『もう大丈夫みたいだ、硫酸って水と反応するのか・・』

桶では相変わらず実装石が喚いている、僕は壁に吊るしてある通販で買った三段式鋼鉄製警棒を掴んだ。

『ちょっと五月蝿いんだよ君は』

ブン・・シャキキン!

警棒を一回振ると滑らかで小気味良い音と共に、特殊警棒はロックの掛かる場所まで伸びきった。
その音を聞くと実装石はとたんに桶の端により震えだした、本能で痛い事をされると分かっているようだ。

「デジャァ!!」
「ジャァッッジャッジャッ!」

実装石は盛んに歯茎を剥き出しにして威嚇を繰り返す。
僕はバスタブに片手をかけると、実装石目掛けて特殊警棒を振り下ろした。


「デジッ!」

振り下ろされた特殊警棒は、実装石の後頭部へ巻き込む様にグチャッと音を立てて入っていった。
短い叫び声を上げると実装石は、前のめりに叩き下ろされる様に勢い良く倒れた。
一発で気絶した実装石は、殴られた箇所が警棒と同じ形にベッコリと凹んでいる。
パンツには殴られた衝撃で出た糞が、コンモリと緑色の染みになる山を作っていた。

僕は気絶した実装石を桶から出すと、床に置いて服を脱がした。
頭の凹みは頭蓋骨が砕けたようだ、紫色に変色した後そこから血が滲み出してきた。

裸に剥いた実装石を抱え上げると、いつもの様に天井から垂れているフックに背中から吊るした。
ガチャン!と勢いの良い音と共に、すぐに実装石の悲鳴がこだました。

「ギャァァァァァァスッ!」
「ガッガガッ・・デギャァァァァッ」

実装石はいきなりの痛みに頭の凹みも忘れて声をあげた。
背中に届く筈の無い手を一生懸命伸ばし、痛みの正体を知ろうとした。
僕は手に持った警棒で実装石の左頬を軽くはたいた。

ヒュンと風を切る音がすると、ガキンッと音がして実装石の顔が歪む。
頬の肉越しに奥歯に当たる感触が伝わると、実装石の口から血まみれの歯が2〜3本床に転がった。
実装石は口からドロリと血を流すと、僕の顔を見上げ大人しくなった。

「デベベベッ!デベェェェ、デスデス、デスゥゥ!」

実装石は僕に命乞いの声を上げたが、生憎リンガルのスイッチは入れていない。

『おいっこれ以上痛い目にあいたく無いだろう』
『僕の言う事を聞けば、これ以上の暴力はやめてあげるよ』

「デス、デス、デスス、デェス」

僕の言葉が分かったのか、実装石は頭を上下に激しく振った。

『ははは・・君の体が汚れているからお風呂に入れるだけさ』

「デスゥゥ?」

実装石は首を傾け僕の言葉を理解しようとするが、どうやら意味は分かっていない様だ。
僕は実装石から脱がした服を手に取ると、目の前の実装石の前にちらつかせた。

「デーー!デスデッス、デスゥッ!」

それを自分の服だと認識すると実装石は、返せと言わんばかりに手を前に出し必死な形相になる。
その服を水槽の上まで持って行き実装石に散々見せ付けると、少しづつ水槽に沈めた。
入れてすぐには溶け出す事も無く、見ている実装石も不思議な顔をしている。

五分ほどが経ちリンガルのスイッチを入れ、持っている警棒で水槽を描き混ぜてみた。
すると見る見る内に緑の服や頭巾はバラバラになって行き、
水に溶かしたトイレットペーパーの様に原型を留めず、液体に浮かぶ緑の布端になって行った。

「デ、デ、デッ・・・デズゥゥゥゥゥゥゥァアアア!!」
「酷い・・酷いデズ!私の服がぁぁ・・もう二度と戻らないデスゥゥゥン・・」


様子を見ていた実装石はよほどショックなのだろう、涙をボロボロ流し泣き出した。

『ハハハ、君の服はご覧の通りさ、これは君の為に僕が特別に作った硫酸風呂だよ』
『安心しても良いよ、硫酸って言っても大分薄めてあるからすぐに溶ける事は無いから』
『さぁ・・・次は君の番だ』

実装石に手を掛けると声をあげ暴れだし、吊られたままの姿勢で糞をビチャビチャと床に撒き散らした。

ブバァッ!ブリョブリョブリョ!ブッバァァァァァァ!!

床に落ちた糞の飛沫が僕のズボンに飛び散る、しまった糞抜きをしっかりして置けば良かった。
一度大量に糞を漏らしたから油断してしまった、まさかこんなに残っているとは・・

風呂場の排水溝の網蓋を取ると、僕はシャワーで糞を流した。
大量の糞もシャワーに流されて行き、少しづつ量が減っていく。
全て流し終えると僕はズボンを脱いで、下半身はパンツ一丁になった。

実装石にシャワーを当て体に付いた糞を落とすと、僕は改めて実装石を両手で掴んだ。

ジャボッ・・

暴れる実装石を押さえつつ水槽に入れると、素早く改造した蓋で実装石の頭だけ出すようにした。
ガムテープで蓋のふちをグルグル巻きにすると、実装石の首回りもガムテープで固定した。

『熱っ』

作業中に暴れた実装石で硫酸が僕の手の甲に飛んだのか、数箇所赤くなると火傷の様な熱さと痛みを覚えた。
水道水で洗い流したが、赤い痕は小さな水ぶくれになり火傷と同じ症状を僕の手につくった。

手の甲の水ぶくれを自分の舌で舐めながら僕は嬉しくなってきた、この程度で火傷が出来るなんて・・
そう思うと目の前の実装石の痛みや熱さも、手に取るように分かる気がした。

「ガァァッ!ギャバッ・・デジャァァァ!」

水槽の実装石はバシャバシャと水槽内で暴れているが、首を蓋でガッチリと固定されて逃げる事は出来ない。
見た目には溶けている訳では無いので、それ程深刻な状況では無い様な気がした。


『おい・・おいってば!少しは落ち着けよ』

「熱っ熱っ、痛い・・痛い、ダズゲデデズゥゥ・・熱っぅぅぅ・・あっつぅぅぅいっデズゥゥ」

熱さで暴れ狂う実装石の頭を鷲掴みに掴むと耳元に囁いた。

『助けてやってもいいんだよ」

「デッ」

僕の声に実装石は反応すると、首だけを僕の方に向けた。

『僕の質問に答えられたら、助けてやっても良い』
『それには君が落ち着いて、僕の言う事をちゃんと聞かなきゃ無利だろ』

「落ち着けって・・無理デスッ、体中が熱くて死ぬ・・死んじゃうデズゥゥァァァ!!」
「早く早く、なんとかしてデスゥ・・もう耐えられない・・・ギョバァァァァァ!!」


凄いな・・これ程の反応とは。

全身をじわじわ溶かされるって、それほどまでに熱いんだ。
しかし困ったなこれじゃ話も出来ない。

僕は実装石の頭に残った前髪を掴むと、思いっきり引っこ抜いた。

ブチチッィ!!

「アバババババ、髪がぁぁぁぁあ!私の美しい前髪がなくなったデズゥゥッ!」

僕は再度実装石の頭を鷲掴みにすると、強い口調で命令をした。

『オイィ!僕の質問に答えるんだ!』
『答えたらすぐにでも助けてやる!』

鷲掴みにした頭をガクガク揺すると、実装石はやっと僕に向かって話し始めた。

「わ、わかったデス・・ぅぅ」

『熱いってどんな風にだい、見た所君の体は白っぽい程度で、
 どこもおかしくなっていないよ』

「体中に泡が・・泡がボコボコしてる・・デス」
「痛みがその度に・・・デァぁあ・・全身を痛くするんデス・・」
「体中が熱い・・火の中みたいデス、もう・・もう・・ァァアア・・デジャァァァァァア!!」

僕は自分の手に付いた火傷を眺め考えていた、この火傷は酷く痛むそれが全身を覆うのか。
普通火傷は体の神経を焼ききり、それを超えると痛みは無くなる。
しかし硫酸で表面のみ、神経の一番痛い所をじわじわと焼き続けるんだから、
きっと地獄の様な痛みに違いない。

僕はポケットに入れてある、この実装石の偽石を取り出して具合を観察した。
偽石は既に色が褪せ始め、透明度が落ち始めている。
この実装石は身体的な破壊は少なくても、痛みによっての精神崩壊が考えられた。
ふむ今日はこれ位にして明日の楽しみにしよう、明日はどれ位溶解しているかな。

「ちょっと・・ちょっと待つデスッ」

『ん?・・なんだい』

「助けてくれるって・・助けるって言ったデス」

『あぁそうそう言ったっけ助けるよ・・・一週間後まで生きていたらの話だけどね』

「そんな、だま、騙して、騙したデスゥ!」

喚き散らす実装石を他所に、リンガルのスイッチを切ると僕は部屋を出て行った。
偽石を高級栄養ドリンクに漬け込み冷蔵庫にしまうと、また風呂場に戻りずっと硫酸風呂の様子を見ていた。



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2日目

体表面の皮が溶け始め、透明だった液体が濁り始める。
神経がむき出しになりだした肌は、幾つもの小さい血管が肉眼でも見えた。
血管や神経が体全体を覆う姿は、さながらSF映画やアニメの様だった 。
必死に僕へ助けを求める実装石は叫び声をあげる、水槽で暴れる度に皮膚組織が剥がれて行く。

バチャバチャと手足を動かす度に、蓋の網目の隙間からも液体は跳ね上げられ、
まだ無傷な実装石の顔にも飛沫は降り注ぎ、所々に水ぶくれの醜い跡を付けていた。




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実験室で小夜子と会って以来僕は、いつも小夜子の居場所や行動が気になる様になっていた。
クラスでの席位置は、僕より3列後ろ右に2列ずれた位置にある。
振り返り様子を見たいと思うのだが、他の者や小夜子にばれるのが怖くて出来なかった。

休み時間やお昼にはこっそりと小夜子の様子を伺った。
小夜子はいつもクラス外の二人と三人一緒で楽しそうだ。
一緒の二人は小夜子の友達なんだろう、学校では殆どこの三人で行動をしている。
小夜子は三人の中でも言葉が多く、いつも何かを話している。
特に気の強そうな人はいないが、眼鏡を掛けた長髪の人と髪の毛を後ろに束ねた人二人は大人しい感じがする。


放課後になりこの三人の後をついていくと、三人とも手芸部の部室へ入って行った。
どうやら三人は同じ部活仲間で、そこから友達になっていった様だ。

通り過ぎる振りをして窓から中を覗き込むと、部員は20人程でやはりここでも三人は一緒でいた。
どうやら今度の文化祭用のパッチワークを、部員全員で作っている様だ。

笑顔で部員達と話す小夜子は本当に楽しそうだ。
僕と違い小夜子の学校生活はとても有意義なんだろう。






3日目

この日は風呂場へカタワも連れて行き、実装石の様子を観察させる事にした。
実装石の体表面は完全に溶けてしまい、皮下脂肪なのか白い油が浮いている。
油は溶解と言うより燃焼しているのか、白っぽい煙を時折出してジュワッと音をたてた。
窓を開けてはいるのだが、脂肪を溶かす時に発する生臭く鼻を突くにおいは、僕でも耐えられないほどだ。
今日はカタワもいるので、リンガルのスイッチは入っている。

「ご主人様・・なんだか臭いテチ・・」

カタワは右手で鼻を押さえつつ、目をしばしばさせて不安そうに僕を見上げた。

『今日はカタワにも、色々と話をしてもらおうと思ってね』
『臭いは慣れれば気にならなくなるよ』

とは言った物の僕も刺激臭が鼻所か目にまで突いてきて、瞬きを何度も繰り返すと涙混じりになる。
当の実装石は神経を超えて溶けてしまい、もはや痛みも感じないようだ。
僕の入って来た事も分からず、デーデーと声を出し呆けた顔で天井を見つめていた。

『おい・・気分はどうだい』

「デェー・・デフン」

声を掛けたがもはや実装石の意識はここには無い様だ。
顔には何箇所もの水ぶくれが破裂してそこから膿がわき、とてもじゃ無いが触る気になれなかった。

『はぁ・・こりゃ駄目かな』

精神崩壊したのだろうか、この結果は僕にはとてもがっかりしてしまった。
せめてカタワニにこの様子でも眺めさせて、カタワの苦しむ様でも見るとしよう。
僕はカタワを抱えると、水槽の蓋の上に置いた。

『臭いの原因は彼女から出ている臭いさ』

「はわわ・・首だけテチィ、どうなってるテチ」

『体はカタワの乗っている蓋の下にあるんだ、もっとも徐々に溶けて無くなってしまうんだけどね』

「無くなるテチ?」

『あぁ水槽の中は実装石を溶かしてしまう水が入っている、
下から煙が出てるだろ溶けている証拠さ』

カタワは蓋の隙間を何度も覗き込み必死に下を見ている、驚きで口を半開きにしたまま僕に話しかけた。

「どど、どうなっちゃうテチ、オバチャンどうなっちゃうテチィ」

『さあねぇ・・僕にも分からない、このまま全部無くなってしまうのか、生き残るのか』
『一応約束はしてるんだよ、今日は三日目だが一週間生き残れば助けるって』

僕の言葉を聞くとカタワは、首だけを出した実装石に近づいて行く。


「オバチャン、オバチャン、返事をするテチ」

カタワの呼びかけも虚しく、実装石はただ天井を見つめているだけだ。
反応の無い実装石に、何を思ったのかカタワが抱きついて行った。

『コラ!汚れるから離れるんだカタワ』

実装石の顔にすがりつくカタワは、実装石に何かを懸命に話をしている。
どうやらカタワはこの実装石に、一週間生き残れば助かる類の事を訴えている。
リンガルには途切れ途切れだが言葉が写る、言葉の端から何となく理解が出来た。

「テチィ、頑張るテチ!我慢したらご主人様がきっと助けてくれるテチ」

まったく困ったもんだ服が汚れて洗うのが面倒だろう。
大体この実装石を助ける気持ちなんか、僕にはこれっぽっちも無い。

『カタワッ!僕の言う事が聞けないのかい』

少し語気を強めて言うと、カタワの動きが止まった。
実装石を前に興奮していたのが冷めてしまった様だ、背中を小刻みに震わせゆっくり僕の方へ振り返った。
僕は大して怒っている訳ではないが、わざと怒ったような顔をして見せた。

「テェェ・・ご主人様、怒ってるテチ」

僕の顔を見たカタワの脅えようは相当な物だった、そう言えば最近あまり怒っていなかった。
良い機会なのでここは一つ罰を与えておくとしよう。

『勿論だ、カタワは僕の言う事を聞かなかったんだからね』

「ち、違うテチ、ご主人様の言葉をこのオバチャンに話してただけテチ」

『ふーんカタワがねぇ、一体何を言いたかったんだい』

「ご主人様は約束を必ず守るニンゲンさんテチ」
「だから頑張ればカタワみたいに助けてくれるテチ」

カタワは僕に助けられたと勘違いしているのか、それとも脳内でそうでありたいと変換されているのか。
何にしろ僕を仇として見てはいないようだ、まぁそうでなければ僕との生活もままなら無い。
カタワにとって僕は唯一の理解者で、生きて行く為の全てである。そう思ってしまうのもしょうがないのだろう。

カタワの自我を僕は歓迎したくは無いが、信じられていると言うのも悪い気分ではない。
考えた末いつもの様に条件を出す事にした。

『助けてやるってのは本当だ、ただし一週間の間この実装石が意識を持っていたらだ』
『今この実装石は意識所か、僕の受け答えも満足に出来ない』
『カタワはこの実装石の意識を戻して、僕と話が出来るようにするんだ』

僕はカタワに絶望的と言う位の事を約束させようとしている。
不思議な事に僕はある程度の言い分が無いと、カタワに躾をしたく無い様な感情があった。
今回の件で更に躾を行い、カタワの自我を僕だけに向けさせたかった。

『言いかいカタワ、君に任すからには責任の一端を君にも持って貰う』
『出来なければ君には痛い躾が待っている、分かったね憶えておくように』

カタワは僕の言葉が分かったのか、一度頷くと首だけの実装石に話し始めた。

「オバチャンこっちを見るテチ、ワタシはオバチャンと同じ実装石テチ」
「ご主人様が助けてくれるって言ったテチ!オバチャン助かるテチィ!!」

カタワは必死に実装石に声を掛けたが、実装石は何の反応も無い。
ただこのままじゃ面白くないので、僕が少し手助けをする事にした。

近くにある道具箱からアイスピックを取り出すと、カタワに僕は話しかけた。

『もう無理なんじゃ無いのか?』

「待ってテチ、あと少し時間が欲しいテチッ」

カタワに話しかける振りをして、実装石の後ろから首筋にアイスピックを突き刺した。
今まで無反応だった実装石は、首の神経帯をいきなり鋭い先で突き刺され、ビクリと体を震わせると声を上げた。

「ピギャッ」

一瞬声を上げた実装石にカタワが振り向くと、実装石は震えた声でカタワに向かった喋りだした。

「オ、オマエはなんデス・・」

実装石の問いにカタワは僕の方を向いて指を刺し、懸命に訴えてきた。

「見てテチ、見てテチ、オバチャン気が付いたテチ」
「これでオバチャン死ななくて済むテチ」

得意満面な笑顔で僕に話すカタワだが、意識を戻したのは僕だとは気付くまい。
それに今正気になったとしても、四日後まで正気かどうかは分からない。
それどころか生きてるかどうかすら疑わしい。

カタワは正気が戻った実装石へ、盛んに声を掛けて何かを話していた。






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日が経つにつれ小夜子への関心はエスカレートするばかりだ。
自分でも抑えなければ行けないと思っているのだが、そう思えば思うほど頭に小夜子の顔が浮かんだ。

今では小夜子の使う筆記用具の種類や、着ている服の細かな所までチェックが及ぶようになった。

小夜子が席から立つ、小夜子が誰かと話す、小夜子が授業で答える。
そして小夜子の細かな指使いを、四六時中そ知らぬ顔をして除き見ていた。


放課後になり手芸部から帰って行く小夜子を、僕は付けていく事にした。
相変わらず三人組は行動が一緒だ、学校を出ると小夜子だけは違う方向に帰り始めた。
変える方向は僕と一緒なので丁度良い、暫く歩くと近くの駅へ向かいそこから電車に乗った。
この電車は僕と同じ帰り道だ偶然とは言え、今まで会わなかったのが不思議に感じた。

ほどなくすると僕の降りる駅の二つ前で小夜子は電車を降りた。
僕も慌てて電車を降りて小夜子の後を付ける、小夜子は早足でどんどんと住宅街の方へ歩いて行った。

僕はてっきり家に帰る物だと思っていたのだが、コンビニの前まで行くとなぜか裏側の入口へ向かった。
小夜子はコンビニの裏口から中に入っていった、どうやら彼女はここでアルバイトをしているらしい。
駐車場から中を覗き込むと、小夜子が慌てたような感じで、商品を並べる別のアルバイトに声を掛けた。
声を掛けられたアルバイトは小夜子に二言三言声を返すと、店の奥へ向かったどうやら交代の時間らしい。

確かアルバイトは校則で禁止の筈だ、小夜子は校則を破っている事になる。
この事がばれれば最低でも停学処分だ、僕は小夜子の弱みを握った事になる。
小夜子の秘密と弱みを知った僕は、ニヤリと口元を曲げるとコンビニを後にした。






4日目

水槽の様子が紫色や油混じりの緑色で、なんだか凄い色になっている。
透明度が0に近い為、中の様子をうかがい知る事も出来なくなってしまった。

連れて来たカタワも実装石の事が心配らしく、顔を揺すったりして話し掛けている。
実装石の意識は薄いが、カタワとの会話が出来る程度はあるようだ。

中の様子が気になるが、下手に動かすと死んでしまうのは確実だろう。

今度硫酸が手に入ったら実装石に直接飲ませたり、部分的に溶解させてみよう。
色々と思いを巡らせると、カタワをつまみ上げ風呂場を出た。








続く







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