多少の手直しをしてみました
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煉獄の楽園 (2)
楽園の始まり
「石間市総合運動公園」
広大な土地を利用して出来たこの公園、
まず最初に公園内の実装達を隔離する為に外周すべてにフェンスを設置する、という案が出された
だがこれは設置費用が割安だが蛆や 親指実装には無力で経年劣化による維持管理にも出費が予想される為却下される
案としてコンクリート塀も出たが工事費用が高額になり工事期間も掛かる為却下となる。
最終的に公園の3分の2が2級河川に面している為 残りに水路を作り外界と遮断することになった
落下すれば死に繋がる事になる いわば見せしめ的効果も期待しつつ虐待派の進入も防ぐ事が出来るようにである
8メートル四方の橋梁建設用のケーソンを並べて埋設し川の水を引き込んだだけの簡単な堀が出来上がった
外界との遮断が完了し管理棟などが完成すると まずは実装達が住み着く巣の設置に取り掛かる
これは公園内に何箇所かある休憩所のうち奥の方の三箇所があてがわれた
コの字型にベンチがあり三角屋根が付き夏ともなれば決して健全とは言い難い少年少女が溜まり
名前を刻みこまれ スプレーで落書きされ 花火で焼かれ 挙句に焚き火までされるだけの建造物の
第二の人生のスタートであった ベンチの上と下にダンボールが並べられさながら実装団地という感じになる
そしてそのほかに 下層階級や禿裸用の土管を並べただけの場所も作る こうして実装達のコロニーが間隔を空けて三箇所設置された
同じ頃 実装達の移住作戦が展開されている 何台もの競走馬搬送用の特装車が市内を走り回り各公園の実装達を詰め込んで居る
車に乗せる時にブリーダーによって第一の間引きが行われる
賢い個体の選別には実装石ブリーダーが適切との市議会の判断から
まず市内の実装石訓練企業 個人経営の実装ショップや訓練所などで入札を行い 上位3団体に委託する事になった
コロニー一つに一団体が当てられ 一年間の契約期間内でコロニーの管理と躾けを施し
一番糞虫率の低いコロニーを担当した一団体に その後の公園全体の管理業務と躾けを委託する事になっていた
参加団体への最初の一年間の報酬は一人当たり市職員の平均給与が支払われる
その後の公園管理業務には市の公共事業費を団体当てに支出される事になってた
市から提示された契約内容は 契約期間内に糞虫率を全体の二割まで下げる事 であった
そこまで減らせば実装石社会内で親の間引きによって糞虫は淘汰されるであろうと言う統計学より出された数字であった
もちろん容易な事では無いが手段を選ばなければ達成出来ない数字ではない
契約書にも方法はブリーダーに一任すると明記されている
公共事業費の旨みを知る企業は挙って入札に参加し 上位3団体が決定した
ブリーダーによる選別が始まった
禿裸も例外無く特に賢いと見なされれば目印の赤い首輪が付けられた 飼い実装の象徴とも言うべき首輪を貰った個体は一応の落ち着きを取り戻す
一向に静まらない固体も居たが 音叉を見せると周りの実装達が慌てて静かにさせてくれた
もう喋る事も無いように
協力を依頼した団体のブリーダーが リンガルを使い家族単位で並ばせ再教育可能と判断してめでたく車に乗る事が出来る
ブリーダーがリンガルを使い簡単な質問をしていき そのまま車に乗る者や脇の仮設の囲いに入れられる者に分けていく
この時一匹の成体実装がブリーダーの目に留まった 後頭部と肩から背中を過ぎ腰の辺りまでの実装服の破損が酷かった
この同族からの虐待と思われた 背中の傷は治りかけだったが右耳は半分食い千切られていた
だが肘の辺りから先と体の正面には大きい傷や服の破損は無かった
自己防御の防御創とは少し違った 同族からの虐待から身を守ろうとすれば蹲り手で頭を保護するのが一般的だった
この時の傷は背面に集中する 頭を保護してる為後頭部の傷は少なく腕全体に傷を負う事になる
だがこの実装石 背中から後頭部迄傷だらけで片耳が無い 体正面には傷が無く腕にも傷が無い
仔を抱きかかえ守ろうとする時のみ出来る防御創だった 当然ブリーダーはそれに気が付いていた
その実装石は無反応だった 質問にも答えず心此処に在らずといった感じだったが首輪を付け乗車組みへ行かせる
中には危険を感じ植え込みなどに隠れて出てこない家族も居たが実蒼石がその能力で炙り出してゆく
実蒼石には従事の報酬として郊外の市民農園(移住先の公園に隣接)の永久使用権が与えられる
選別が終わり車は別の公園へ移動した 車が見えなくなった頃一人が囲いの前に立つ
手には音叉と叩き棒が握られている これから起こる事を理解した実装は必死の命乞いをしている
音叉を知らない実装達も周りの叫び声を聞き泣き叫び威嚇の声を上げる
血涙を流す者 盛大にパンコンする者 それに大股開きで総排泄口を曝け出す者や しきりに糞を投げつける者
中にはストレスによって自ら偽石を崩壊させる者 それでも目の前のニンゲンの表情は変わらない
優しげな笑顔を浮かべているだけである それが余計に実装達の恐怖心を煽りだす
ゆっくりと音叉を目の高さまで持ち上げていく 一際命乞いのシュプレッヒコールが高まった時優しげな笑顔のまま
「あの仔達も同じ様に助けを求めただろうに」
一人呟く手前の何匹かはその声が聞こえたらしく「!?」言葉の意味を必死に探ろうとしていたがその瞬間 破滅の音が鳴り響く
一度だけだが確実に破滅の音が広がる正に一撃である 音叉を叩いた人間は優しげで晴れやかな笑顔のままだった
そう あの時の愛護派である 市内の公園には久しぶりの静寂が訪れていた
第一陣の移住組が到着した公園では実装達が ブリーダーとその弟子の一団によって統率されていた
従わない者は容赦なく実蒼石が狩りたてていく 家族単位を優先的に団地に住まわせ残りをその外周に住まわせていく
片耳に家族は居なかったが団地に住まわせる事にした
禿裸だけは一箇所に集められていた 周りを実蒼石に見張られ逃げる事も出来ず
ただ一塊になり不安に震えて居るだけであった そこへ一台の軽トラックが到着し更に怯える禿裸
何個かの浅めの金ダライに水を張って行き 実装処理用の黒い厚手のビニール袋が登場する
袋の中身を禿裸の前にぶちまける 緑色のそれは体液に塗れた実装服であった
音叉を使ったので服自体にダメージは無かった ブリーダーは言う
「自分に合う服を着ろ」と
禿裸は最初意味が解らず呆然として居たが
「着ないならそのままで居ろ」のブリーダーの声に
一気に服の塊へ群がり われ先に片っ端から袖を通す禿裸達その中で 仔実装が一匹やっとの思いで自分に合うサイズを見つけて出てくる
きちんと頭巾とパンツに靴も忘れずに ブリーダーが黙って見ていると側にある浅い金ダライに行き洗濯を始める
何匹かは同じように洗ってから着るという知恵があるようだ だが所詮仔の力できちんと洗えるわけではないリンガルを使いブリーダーが話しかける
「誰に教えられた?」
「ママテチ! トイレも教えてくれたテチ!」
「おねぇちゃんテチ! おねぇちゃんもトイレ教えてくれたテチ!」
それぞれ教えてくれた 生後2〜3週間といった所だろうか それでこの姿では親はすでに居ないと思って間違い無い
ブリーダーは言う
「そうか それじゃちゃんと洗えてないだろう? 手伝ってやる」
「テテッ?」
「テチッ?」
ブリーダーは優しく服が破れない程度に強く洗って行く
「ついでだ、お前達も洗ってやる」
「テテッ?」
「お風呂テチッ?」
そばに居る仔実装達を手際良く洗っていく 本能的に危害を加える人間では無いと感じたのか 持ち前の幸せ回路全開なのか
されるがままになって居る 嬉しさのあまり泣き出す仔さえ居る
他に成体が十数匹中実装が8匹同じように洗いに来た 側に居る弟子に何かの指示を出す
禿裸達はどうやら服を選び終えたようだ、緑色の体液に濡れたままの服を着ている緑色の禿である
タライの水を側溝に流し片付けを始める弟子達 弟子の一人が大きめのタオルを持ってやってくる
洗い終えた仔をタオルにくるんでいく 洗い立てのタオルは気持ち良かったらしく寝息を立てる仔も居る
ブリーダーは苦笑いしながらも洗った服をタオルに挟み何度か叩く
何回か繰り返せばほとんど乾いていた 成体や中実装は自分で洗いそのまま絞っただけで服を着始めた
横を見ればすべての仔達がタオルに包まり寝息を立てていた おもむろにウエストポーチから薬瓶を取り出す
何種類かの薬品を注射器で吸い取り器用に調合してゆく 注射針を外しスポイト代わりにして禿頭に垂らしていく
全部の仔に垂らし終わったところで一匹が目を覚ますと慌てて注射器をしまう
起きた仔に周りの仔を起こさせ服を着るように言う綺麗になったあちこちに綻びのある実装服に身を包んで
はしゃぎまわる仔たち頭巾で隠れているが禿のままである 空になったタライにタオルを引き禿の仔実装達を入れる
それを台車に乗せ団地まで運ぶ 団地まで来たとき台車を止めブリーダーだけが中へ入る
他の実装達が波が引く様にダンボールに引きこもる
目当てのダンボールの前に行きふたを開けるとそこには来たときと同じ格好で呆けたように座る片耳が居た
「おまえは元飼いだろう?」
ブリーダーは見抜いていた
「・・・・・・・そうデスゥ・・・」
力なく答える
なぜ捨てられたかを尋ねると どうやら実装石飼育可能だったマンションが 実装石騒動が起こって以来飼育禁止になって捨てられたようである
飼い主を恨んでいるか?とブリーダーは質問した
「いいえデスゥ・・・ 泣きながら謝っていたデスゥ・・・」
「一緒にいっぱい食べ物もくれたデスゥ・・・」 「仔ども達と暫く暮らして行けるだけくれたデスゥ・・・」
「おうちも作ってくれたデスゥ・・・」
「仔ども達はどうした?」
「ある日外からいっぱいの野良実装が来て・・・・・・・何も無くなったデスゥゥゥゥウウ!!!」
「守れなかったデス〜〜〜!」
「オロロ〜〜〜〜ン!!!」
一気に感情が昂ぶったらしい、
「もう一度仔を育てる気はあるか?」
ブリーダーは問いかける
「オロロ〜〜〜ン!!!・・・・・・・・デデ!?」
「もう一度言う、仔を育てる気は有るか?」
「あ・あ・ああるデス! 今度こそきちんと育てるデス!」
「間引きは出来るか?」
「出来ればやりたくないデスゥ・・・ でも賢い仔を育てる為にやるデス!」
「でも仔どもを生む季節じゃないデスゥ・・・」
「とりあえず服と体を洗え そんなんじゃ母親の威厳なんてまるで無いぞ」
「デデ!?」
近くの水のみ場まで連れて来るどうやら自分で蛇口が捻れるようだ
弟子の持ってきたタオルを側に置く タオルは巣に持ち帰って良いと一言添えておく
「ありがとうデスゥ」
きちんと礼も言えるようだ母親候補としては上出来になるだろう
洗い終わったら巣で待っているように言いその場を立ち去る
タライの方へ戻ると仔実装達が空腹を訴えてきたが暫く待てとだけ言う
暫くすると一匹が暴れ始めるつられてもう一匹も派手にパンコンしながら暴れ出す
その二匹をそっと優しくつまみ上げ弟子に渡す
「残念だったな」
そう告げて二匹とも緑色に塗れた禿の中へ戻される
綺麗になった仔実装である あっというまに食われていく
残りは必死に空腹に耐えていたがもう少し待ってから
「今はこれしかないから我慢してくれ」
ブリーダーはそう言いながらウエストポーチから実装フードを取り出し一つづつ仔に渡す
幸い横取りや独り占めする仔は居ないようだ
ブリーダーは仔に向い
「食べながらで良い 聞いてくれ」
仔の一同が上を向く、
ブリーダーが質問する
「ママは欲しいか?」
「テ?」「欲しいテチ!」「でも動かなくなったテチ・・・」
ブリーダーは更に同じ質問を問いかける
「ママは欲しいか?と聞いている」
「欲しいテチ!」
すぐに仔は全員がそう答える、
その答えを聞いたブリーダーは
「そうか ならママを出してやろう」
「!?」
仔は意味が解らないようである 団地の入り口までタライを移動する
先ほどの親実装は巣に帰って居た 貰ったタオルを敷き少しでも環境を良くしようとしてるのが伺える
入り口に置いてあるタライに一匹の成体実装が近づく 実装フードの臭いにつられたようである
垢やフケでガビガビの前髪汚れて黒くなった頭巾 餌の匂いの為自分の意思と関係なく出てくる涎
仔に食べられると錯覚させるには十分であった 一気に悲鳴を上げる仔ども達ママに助けを求める叫び声
仔の悲鳴は片耳にも聞こえて居た
「ほら 守るんじゃなかったのか?」
ブリーダーのその一言のハッとする親実装、
「今行くデスゥ!!!」
巣から一気に駆け出し興味本位で覗いただけの哀れな成体実装を撃退する
仔ども達に守ってくれる存在と認識させるにはそれだけで良かった
最初の汚れきった実装 次に現れた一応洗って小綺麗になった実装
パンコンしながら泣く仔をしきりになだめているその姿は紛れもない親仔であった
親も仔は禿だったがそんなことはどうでも良かった
「禿でも大切にするデスゥ! 1・2・3・・・8匹も居るデス! 頑張るデスゥ!!!」
「ほう 数も数えられるのか?」
ブリーダーの問いに
「出来るデス! 50までなら分かるデスゥ」
改めてきちんと躾けられた実装だというのが判る 感心しながらもブリーダーは腕時計に目を移す
落ち着いた所で団地とその周辺の実装達に声をかけ 団地前の広場に集合させる
そこには実装石の体液や肉片に塗れた禿の集団が居た
少しして一匹の禿がもがき始める 連鎖的に次々とのた打ち回りだす 三分足らずですべての緑色の禿が絶命した
ブリーダーは全ての絶命を見届けてから残った実装石に向かって
「お前達は今日からここに住んで貰う 何をするのも自由だが仔の躾が出来ていないと判断した場合
家族そろって同じ運命になることを覚えておけ」
惨劇を目の当たりにした実装達は 震えながら無言で首を縦に振るしかできないようである
さっきの実装服にはちょっとした仕掛けが施されていた、遅効性のコロリが散布されており
タライの中の水には解毒剤が混ぜてあった 第二の間引きであった
「ほら ぼけっとしない! 仔がパンコンしているぞ、どうすれば良い?」
ブリーダーの声に実装達は我に帰る 今の惨劇を目の当たりにした結果である
真っ先に飛び出したのは片耳だった
仔ども達を巣に入れパンコンしている仔のパンツを脱がし 先ほどのタオルで綺麗にふき取っている
全てのパンコンをふき取ったあと 仔どもに巣から出ない様言い聞かせ
汚れたパンツとタオルを持ち水のみ場へ行きかけてブリーダーの所に戻って来る
片耳はブリーダーに向かって
「洗いたいデスゥが水のみ場があれではどうにもならないデスゥ」
水のみ場には実装達が群がり 蛇口を叩いたり かじったりしてる者
仔のパンツを脱がし尻に付いてる糞を舐め取って居る者
思い余ってパンコンしている仔にかぶりついて無かった事にしようとする者
どうやら蛇口を理解しているのはこの片耳だけのようである
ブリーダーは
「あぁ あれじゃ厳しいな ちょっと待ってろ」
ブリーダーが蛇口を捻ると水が勢い良く出て来る 我先にと仔を流れにかざす
さかさまにして総排泄口に水を当て 逆流して口から糞を流れ出している仔
顔から水を当て溺死させる親 口から水を飲ませ腹が破裂し下半身が無くなる仔
手を滑らせて仔を排水溝に流す親 騒ぎが落ち着く頃には仔の数は半分になっていた
片耳は騒ぎが落ち着くまで待ってから
「ありがとうデス これ使っても良いデスゥ?」
片耳はタライの使用をブリーダーに願い出た ブリーダーが許可するとタライを引きずり水のみ場へ向かう
タライを蛇口の下に置き溜めた水で洗濯を始めた 丁寧に洗濯していく
他の知恵ある実装達もそれに続く 洗濯が終わり落ち着きを取り戻した頃にはもう夕暮れであった
コロリで死んだ死骸は 弟子達に片付けられていた
またブリーダーが実装達を集合させる 団地横(休憩所横)へ移動していく
ここには雨水を流す為の側溝があり コンクリート製の蓋と鉄製の格子状の蓋が交互に並んでいる
「ここがトイレだ ここでトイレをするように」
我慢していた実装達は一斉に派手な音を立て始める
この側溝には一時間おきに川の水がくみ上げられ流される簡易水洗となっていた
団地の中央にステンレスの餌皿が置かれ実装フードで満たされる 同じく飲料水も用意された
「餌と水は三日おきに補充される 無くなれば補充するまで何も無くなる」
「ルールを守り言う事を良く聞かないと悪いことが起こるから覚えておけ」
それだけ言い残してブリーダーの一団は去っていった
今現在の実装石の数から換算しちょうど三日分が入っていたが 警戒してか暫く餌に手をつける者はいなかった
いや 一匹だけ居た 片耳である
「あのニンゲンさんは悪い人じゃないデスゥ、厳しいだけデス」
「ちゃんとルールを守れば、痛いことはしないデスゥ」
過去に高級飼い実装として躾けられた片耳の経験からくる自信だった
それでも餌場にきて実装フードを一口だけ齧り 自ら毒見をし安全が確認されると
その場で食べる事はせずその日食べる分だけ巣に持ち帰った 餌を均等に分け与え慎ましやかな食事が始まる
「いただきますデスゥ」
「いただきますテチ」
きちんと挨拶をしてから食べ始める
「あれ? ママ泣いてるテチ?」
片耳は自分が再びこんな幸せな食卓を囲むとは思って居なかった 親実装は気づかないうちに涙を流して居た
「なんでもないデスゥ さあご飯食べるデス」
久しぶりの満腹感 居心地の良い寝床 いくつかの巣からはデッデロゲー♪が聞こえていた
このように自分の巣に必要な分だけ持ち帰る実装達も居たが 本能に負けた実装達は餌場に群がり
今までの空腹を満たす様に暴食の限りを尽くす その行為が自分の運命を決定しているとも知らずに
その日のうちに餌箱の中身はほぼ空になったいた
次の日の朝 片耳は目を覚ますと辺りを見渡し昨日の仔が夢じゃない事に安堵する
仔が寝ている間に朝食の用意をしようと思い 巣を出ると異様な光景が目に飛び込んでくる
餌箱の周りに実装達が転がって居るのである 恐る恐る近づき寝ているだけと判ると緊張を解く
なぜ?と考えているうちに昨日のブリーダー達がやってくる
「よう 起きてたな」
片耳は一瞬身構えるがとりあえず挨拶をする
「おはようデスゥ」
三日後に来ると言っていたはずデスなんでみんな寝てるデス?
聞きたい事は色々あったが
「これはいったい・・・・どうなってるデスゥ?」
「こういうことさ」
ブリーダーは話ながら寝ている実装を掴み上げ後ろの弟子に手渡して行く
後ろでは手際良く服を全て脱がしていき次に渡す 次の弟子は毛を剃り落とす
バケツリレーの要領で次々と禿裸が出来上がる
「!?」
片耳は驚くばかりだった
巣の中まで確認して不自然に寝続ける実装を摘みだしてはそれも同じ運命を辿る
暫くすると寝ている禿裸の集団が出来上がる 主の居なくなった団地には土管組みが繰り上げであてがわれる
ブリーダーは不思議そうな顔で見ている片耳に向かって
「昨日の餌な、ネムリが振りかけてあったんだ」
「デデ?! ワタシ達も食べたデス!」
片耳は驚く
「必要な分しか食べなかっただろう? だから起きてる」
「お前達には悪いことが起きていない」
「ルールを守ったからだ」
必要以上に食えばそれだけネムリの効果が高まり朝になっても目を覚ますことが出来ない
そして目を覚ますと禿裸になっている これ以上の悪い事は無かった 第3の間引きだった
「何か用事があったんじゃないのか?」
ブリーダーに言われ出てきた理由を思い出す
「そうデス! 朝食を用意しようと思ったんデス!」
「箱の餌は中にまだ残っているだろう? 必要な分だけ食べるなら問題ない大丈夫だ」
「そろそろ仔が目を覚ましてるんじゃないか?」
「デ! 戻るデス!」
そう言って片耳はペコリと頭を下げ餌箱から食べる分だけを巣へ持ち帰った
巣では仔が目を覚ましていた 目覚めて親が居なくなった不安に泣いていた
「遅くなって済まなかったデスゥ」
帰ってきた親にみんなしがみつく パンコンしている仔も居る
「あらあら仕方のない仔デスゥ 綺麗にしてからみんなでご飯にするデスゥ」
パンツとタオルを洗い簡単な掃除をしてから仲良く朝食を取る 食事をしながら親はある異変に気づく
おでこの辺りに産毛が生えてるのだ
「デデ!? ちょっと見せるデスゥ!」
「テチッ!?」
間違い無い 毛が生え始めているのだ この仔もあっちの仔もみんな生え始めている
「お前達毛が生えてきてるデスゥ!」
「テテッ?」
「テチッ?」
仔は自分で確かめようとするが手が届かずもどかしい思いをしている
「ルールを守り言う事を良く聞かないと悪いことが起こる」
ブリーダーの言葉が頭を過ぎる
「ルールを守って、言う事を良く聞くと良いことがあるデスゥ?・・・」
幸せ回路によって導き出された結論であった 食事が終わり仔ども達が外で遊びたいと言い出す
初めての土地で何があるか判らなかったが 仔ども達に押し切られる格好となり一家揃って団地の外に出る
外に出て一家が固まる 改めて公園の広さを感じる 広すぎて不安に成る程だ連れてこられた時には周りを見る余裕など無かった
「昨日のニンゲンさんテチ!」
一仕事終わり休憩しているブリーダーをみつけ駆け寄る仔実装達
「おう 生えたようだな」
ブリーダーも仔のおでこの産毛に気が付く 昨日禿頭に塗っていた薬は実装石の毛髪成分を抽出した物に活性剤を混ぜた物だった
効果が安定せず、確実に生えるのだが元通りになるのは七割程度になる 後はおかっぱ程度しか伸びなかったり
伸びすぎたり頭全体に生えたりする不安定な物だったが
「ママの言うことをちゃんと聞いていれば髪が元に戻るぞ」
ブリーダーのその言葉に片耳は涙を流しただ頭を下げる事しか出来なかった
そのあと眠っていない実装達を団地前に呼び出す 緊張しながら実装達が集まるとブリーダーがその前に立ち
「改めてルールを説明する」
1・仔どもの躾けをする(当然トイレも含む)
2・糞虫は間引く (出来なければ一家揃って禿裸になる)
3・土管組みは使役しても良い(殺すのは不可)
4・食事と水は三日に一度配給される
「この四つだ、あとは自由にして構わない」
説明の間沈黙に耐え切れず不遜な言動を行う個体は 周りで監視している弟子(ヘッドホン型リンガル装備)
により排除され禿裸になり土管組みへ行く事になった(一家揃って)
そしてこの公園は広く簡単に迷う事 実装にとっての害獣である犬や猫 そして虐待派が居ない事 その他に同じ団地があと二つある事を聞かされる
そしてブリーダーが側に居た片耳を前に立たせ
「この赤い首輪は賢い個体にのみ与えられる この首輪があれば最低限生命が保証され
月に一度金平糖も配給される」
「デ!?コンペイトウくれるデス!?」
一気に実装石の集団が色めき立つ
「優秀と認められた首輪付きだけだ」
ブリーダーが付け加えると首輪無しの集団は一気に落胆した
「お前にこれを付けてやろう」
「デ!?」
前に出した片耳の首輪に金色のタグを付ける、タグには数字の3が書かれている
「お前は今日からサンという名前だ」
「デデ!?」
予想外の出来事に片耳は驚く
「なんだ嫌なのか?」
ブリーダーの意地悪な質問に片耳は思い切り首を横振り
「嬉しいデスゥ! また名前付けてもらえると思わなかったデスゥ」
「名前が付いたからって 俺の飼い実装になったわけじゃないぞ」
ブリーダーが釘を刺す
「分かってるデス ニンゲンサさんは先生さんデスゥ」
おそらく過去に躾けをしたブリーダーをそう呼んでいたのであろう
「それで良い」
時を同じくして他の団地でも同じ様な事が行われて居た 名前を付けたのはこのブリーダーのただの気まぐれだったが
寝て居た禿裸達が目を覚まし始める
「よし解散」
すぐに巣に戻る者や走り回る仔達 それを追いかける親達
サンと名付けられた実装石は仔に急かされるまま 軽く一礼してから家族揃っての散歩に出る
一方寝たままの禿裸の集団は弟子達が大きなポリバケツに詰め込んでいる それを軽トラックに載せ公園駐車場まで運ぶ
そこには4t車が待機していた 発電機が回り電力が供給されると荷台に積まれた巨大なミルが動き出す
投入口に眠ったままの禿裸を投入する 起きてる者や痛みに目を覚ます実装も居たが
順次上から投入される実装に下へ押しやられ挽肉となる 他の二箇所の団地からも次々と禿裸が運び込まれる
挽肉はそのまま周囲の堀へ流される
この堀には鯉やフナなどの川魚が大量に放流されている その魚の飼育と実装石の肉の味を覚えこませる目的もある
こうしておけば逃げ出そうと川に入った実装石は魚の餌になるだけである
昼には処理が終わっていた堀は緑色に染まっていた
その日は使わなくなった古着を切り開いた物を各家族に配給していた まだ昼間は暖かいとはいえ季節は初秋である夜は当然冷え込む
禿裸にして処理した実装達その脱がした服一式も着替えとして各家族に配る 当然土管組みに配給は無い
夕方には餌箱を整えて三日後にまた来ると言い残しブリーダー達は帰っていった
その日もサンとその家族は 必要な分だけを巣に持ち帰り食事をして眠りについた
朝また同じ様に目を覚ます 仔が起きないうちに朝食を取りに行く こんどは餌箱の中にはきちんと餌が残っていた
仔を起こし食事を取る 今日は朝から日差しが強く暖かい
「食事が終わったらお風呂にするデス」
本来実装石は綺麗好きであるが怠けやすいのも事実だった
一度怠けが出るとあとは坂道を転がるようにパンコンしても気にしなく成って行く
高級飼い実装ともなれば多少の汚れすら間引きの対象になる事を知っていた
実際綺麗にしていれば間引かれる事は無かった
「お前達はいつも綺麗にしておかなければ駄目デス」
巣の掃除の後仔ども達を連れ水のみ場へ移動し おきっぱなしにしてあるタライに水を出す
ある程度溜まったら水を止めてまず自分が服を脱ぎタライの中へ入る 思った通り水は冷たいが少しでも自分の体温で緩和しようとしていた
そして仔の服を脱がせタライの中へ入れる
「テチ〜!冷たいテチ!」
「でも気持ち良いテチ」
冷たい水でも元気にはしゃぎまわる仔を丁寧に洗って行く 全員洗い終わると持ってきたタオルで仔を拭き
持ってきた着替えを着せる 今度は今まで着ていた服を洗濯をする 改めて洗濯のやり方を教え仔も一緒に洗濯をする
団地近くの茂みの枝に洗濯物を掛けて干す 一家揃って側の草原でごろりと寝転がる
外敵も居ない 見境の無い野良の同族食いも居ない 食事の心配も無い 天然素材の実装服の替えも有る
こんなに日の光を浴びたのはどの位前だっただろうか? 仔はスヤスヤと寝息を立てている
ふと自分が幸せを感じている事に気付く
「ここは天国デス・・・・」
そう呟くと心地よい眠りに落ちていった
昼近くにサンはおなかを空かせた仔に起こされ全員で昼食を取った 午後からは躾けの時間となった
トイレのやり方から巣の掃除のしかた 側溝や水のみ場の排水口などの危険な場所
ある程度賢い個体を選び出した甲斐もあり一週間も経たないうちに覚えていく
それからのサンは一日のほとんどを教育に当てている
楽な生活は堕落を促す
これは人間も実装も同じであったサンと一部の家族は教育に熱心だったが 他の家族は食べて寝るだけの生活を続けていた
三日に一度弟子が餌場を整えに来るが その時も不遜な言葉を発する個体は容赦なく禿裸にされ土管組みに放り出される
それ以外人間は来ない この団地から脱出を試みた実装も居たが ほとんどが公園の広さに迷うだけだった
餌場となるごみ捨て場も食べられる木の実も無い 餓死寸前で戻って来た実装も居たが後の脱走した実装は土に還るだけだった、
一ヶ月が経った 北風が冷たさを増し朝晩の冷え込みが厳しくなってきてた
その日は朝から騒がしく大勢の人間が来て 休憩所の上半分をベニヤで囲い入り口もベニヤで塞いでいった
人間用の大きな扉とその足元に実装用の小さな扉が付いている 天井の蛍光灯は24時間点灯になり
団地中央には火傷防止の金網に囲われた電熱ヒーターが設置された事により 団地の中だけは寒さで生命の危機を感じる事は無くなった
団地外周部分の巣にはベニヤが斜めに立て掛けられ 風避けと雪避け程度で終わった
また土管組みは土管の両端にベニヤが立てられ 直接風が吹き込むのを防止するだけで終わった
この日はブリーダーが来ていた、団地の実装達に向かって
「お前達がここへ来て一ヵ月になるがきちんと躾けは出来てるだろうな?」
その次の言葉に親は青ざめる事になった
「端から順番に間引きを行う一番賢いと思う仔を出せ」
ブリーダーは一番最初の巣を見る 親子で何か話し合ってから仔が一匹出てくるが
仔はどうして良いか分からず
「テチュ〜ン」
本能的に媚を売るだけであった
ブリーダーは何も言わず一家全員のおでこに油性ペンで×を付けていく 何組目かで出された仔は怯えながらも挨拶をした
「ニンゲンさん こ こんにちはテチ」
そのあと簡単な質問をしたあと赤い首輪が付けられる
「よし まあ合格だな」
首輪を貰い家族全員に金平糖が渡される
「良かったデスゥ 一生懸命躾けしたデスゥ」
「!? 甘いテチ! おいしいテチ!」
「おまえたちこれからも一生懸命お勉強するデスゥ!」
「そうすればまた首輪とコンペイトウが貰えるデスゥ」
また何組かのおでこに×を書き込むと 今度は泣きながら三匹の仔が出てきた
よく見ると歩き方がおかしいし顔にも痣がある 服をめくるとおなかに派手な痣がある
だがこの仔らもきちんと挨拶をした また簡単な質問をしてからそのまま戻す
「デデ!?首輪は無いデスゥ? コンペイトウはくれないデスゥ?」
ブリーダーは親の質問を質問で返した
「この仔のパンツはどうした?」
「デデ!? それは・・・」
巣を覗き込むとたった今パンコンしましたと言わんばかりの糞まみれのパンツが三枚あった
「パンコン止めさせるのは大変だよなぁ」
「デ!? そ そうデス! だからパンコンする前に糞抜きを・・・デッ!ゴパッ!!!」
親実装はそこまで言うとブリーダーに踏みつけられ口と総排泄口からは糞と一緒に内臓も飛び出していた
「今躾けただろう? やりなおし」
ブリーダーはそれだけ言う
仔は割りと賢そうだったので仔に金平糖だけ渡しながら
「パンコンしなくなったらまた金平糖をやろう」
「ほんとテチ? 頑張るテチ!」
「おなか痛いテチ〜 でもおいしいテチ」
親は起き上がる事も出来ず声すら出せずに ただ滝のように涙を流し仔が食べているコンペイトウを見つめるだけであった
次は二匹の仔が出てきた二匹ともちゃんと挨拶をし質問にもすんなり答える
どうやらニンゲン慣れしているようだ 巣を見ると親の陰にもう二匹が居た
「そっちの仔はどうだ?」
ブリーダーの問いかけに狼狽する親
「デ! 駄目デス!無理デス!」
親が背中に隠した仔は平然としているが よく見るとパンコンしている
「なにやってるテチ? 早くパンツを綺麗にするテチ」
「おなか空いたテチ ご飯持ってくるテチ!」
仔の体長はもう30cmになろうとしている
「躾け失敗か・・・ 間引きしなかっただろう?」
ブリーダーの質問に力なくうなずくだけの親実装 ブリーダーは選択肢を出す
「その二匹を間引くか一家全員団地から出るか好きな方を選べ」
親は暫くの沈黙の後二匹の服を脱がせていく それでも仔は自分が置かれて居る状況が理解出来ていない
これから冬が来る 親は団地の外では全員生きて行けないと感じたのだろう
「なにやってるテチ! 早く洗った服を着せるテチ!」
「デ・・・デジャァアアアアアア!!!!」
仔の一言に何かが憑依したかのように雄叫びを上げ 一気に二匹の髪を毟り取り巣の外へ突き落とす
「テ? テ? テ? テ?」
落とされた仔は何が起こったか理解出来ていない親は茫然自失のようである、出来の良い二匹に首輪を付け金平糖を渡し巣へ戻す
「テ? テテ? テ〜?」
「それが答えだな」
ブリーダーはそれだけ言うとまだ理解出来て居ない仔のおでこに×を書き込む
そしてサンの所に来た ここでは仔が一度に伍匹出ていた これには周りの実装達も驚いたらしい
当然完璧に挨拶をし質問する前に自分が出来るようになった事を話し始める
「残りの仔はどうした?」
ブリーダーの問いにサンは
「まだデスゥ たまにパンコンするデス もう少し待ってほしいデスゥ」
「じゃあ次まで覚えさせておけ」
伍匹に首輪と金平糖を与える 仔はきちんと謝辞も唱える
こうして団地内のいわば知能テストとも言える個体確認が終わる頃には 団地内の全体数の3分の1のおでこに×が付いていた
次に団地外周部や土管組みでも同じことをした 賢い仔を育てた家族は団地内へ移される
×が付いた家族と入れ替わりとなる こうして野良実装としてはかなり優秀な家族で団地が占められる
禿裸でも賢い仔を出した家族は天然実装服と首輪 それに金平糖を与えられて団地住まいとなった
こうなるといくら鈍い実装石とは言え賢い仔を育てる事が自らの保身に繋がる事を悟る
そして四回目の間引きが終わった
「また一ヶ月後に来る」
そう言い残してブリーダーは去って行った この日を境に親実装達の態度が一変した
サンや日常的に教育や躾けをしている 知恵有る親ならば今までやってた事を続けるだけで良かった
何の問題も無い簡単な事だった 今までに糞虫が出て間引きしなければならない時もあった
他の仔を育て上げる為
同族食いを防ぐ為
仕方の無い事と割り切る様に
虐待派や同族の手に掛かる位ならばいっそこの手でと
だが出来るだけ苦しまない様に
育てていれば偽石の場所位は判る
一気に偽石を噛み砕く様に
偽石の場所が判らなければ一気に頭を噛み千切る
少しでも仔が苦痛の声を上げない様に
そして次は賢く生まれる様に
願う様に
詫びる様に
慈しむ様に
血の涙を流し間引きを行っていく
仔に非難される事になっても
親の勤めと自分に言い聞かせながら残された仔に精一杯の愛情を注いで
だが今まで何もして来なかった親にしてみれば死活問題である 仔の出来次第で自分が禿裸である土管組みに落とされるのである
暖かい団地も十分な餌も今の地位を仔の出来如何によっては無くしてしまう事になる 当然親は焦る事になる団地のあちこちから叱責の声が響く
だが今まで何もしていなかった親は どうすれば仔が理解出来るか?という事を知りえない
叱責で言うことを訊かそうとする 仔もなぜ叱責されているか理解出来ていない
また同じ過ちを繰り返す 最初の何日かは叱責の怒鳴り声が響く それから何日かすると叱責の声に仔の泣き声が加わる
叱責の声と仔の泣き声に打撃音が加わるまでそう時間は掛からなかった
それからまた数日後
「またパンコンしてるデスゥ!」
「何度言ったら分かるデス!!!」
「いいかげんにするデス! お前は糞虫デスゥ!!!」
その日の朝も親の怒鳴り声から始まった 憤怒の声が団地内に響き渡る その声にサンや他の実装達も目を覚ます
何事かと思い巣の外へ出てみる他の親も出てきたようだ どこからか仔の泣き声がするそして打撃音
一つの巣から仔が飛び出した 扉であるダンボールの蓋が開くのと同時に仔が空中に踊り出た
僅かばかりの距離と高さを放物線を描きながら 巣から少し離れた所に不自然な格好で着地し
そのまま僅かの距離を転がり止った それから親が出てきて仔の前に立ち
「糞虫 立つデス!」
冷たく言い放つ 仔は痛む体を起こし立とうとする しかし痛みと恐怖でその動きは緩慢である
左の左腕はおかしな方向に曲がっていた やっとの思いで四つん這いになり片足を立てようとしたその時
「遅いデスゥ!!!」
親の蹴りが入る 四つん這いだったので顔面を蹴り上げる格好だった そのまま仰け反る様に餌箱の側面に叩きつけられる
更にもう一撃脇腹に蹴りが入る 痛みで失いかけた意識を痛みによってまた現実に引き戻される
「早く立つデス!」
早く立たないともっと痛い事をされる そう思い仔は持てる気力全てでやっとの思いで立ちあがる
体から出せる液体を全て出しながら立ち上がる
「パンツと服を脱ぐデス!」
痛む腕をかばいながら服を脱いで行く、
「脱いだらそのパンツを被るデス!」
自分の糞がいっぱいに詰まったパンツに仔は一瞬躊躇した 再び打撃音
仔の顔面を平手が襲う 仔は反射的に糞の詰まったパンツを一気に被る
「反省するまでそうして居るデス!」
そう言い残すと親は餌箱から餌を取り巣に戻る 仔は自分の糞が詰まったパンツを被り餌箱の前に立たされて居る
痛みか恐怖かその体は小刻みに震えて居た
殴られた場所が痛い 蹴られた所が痛い 糞が目にしみて痛い 臭いで鼻の奥が痛い 全身が痛い
「い・・痛いテチ・・・どこが痛いか判らないけど痛いテチィ・・・」
仔はぶつぶつと何かを呟いて居た
この頃には日常的に団地内に打撃音と仔の泣き声や叫び声が響いていた
挨拶が出来ない殴られる
トイレが出来ない殴られる
掃除が出来ない殴られる
洗濯が手伝えない殴られる
妹達の面倒を見られない殴られる
妹に出来る事がなぜお前には出来ないとまた殴られ
食べてる餌の欠片ぽろぽろこぼす殴られる
隣の仔に出来てなぜお前は出来ないとまた殴られ
殴られて痛くてびっくりして咄嗟に謝罪の言葉が出ない更に殴られる
はっきり喋らない殴られる
泣き止まない更に殴られる
パンコンするもっと殴られる
こんな躾けと称する折檻が毎日繰り返されていた
更にエスカレートしていく折檻だった
パンコンする今度は腹を踏み付けられ強制糞抜きされる
時折内臓も出る仔は驚いてまた泣くまた殴られる
飛び出た内臓がまだちゃんと機能せず与えた餌を残すまた殴られる
残したら今度は餌を与えない空腹を訴える今度は餌を窒息するまで口に詰められる
当然吐くまた殴られる
吐いた物をまた口に詰め込まれ気絶する殴られて正気に戻される
失神していた時に話を聞いて居なかったとまた殴られる
体の不調を訴えるが煩いと殴られる
時折親は思い出した様に餌えを与えるが体力が落ち内蔵機能も低下している
また吐く殴られる
消化不良も併発しパンコンもするまた殴られる、
体力低下で起き上がる事も出来ない邪魔だとまた殴られる
同時に総排泄口の締まりも緩くなりパンコンするまた殴られる
顔を見るとイラつくまた殴られる
意識が混濁し殴っても無反応また殴られる
無意味な折檻が横行していた
知恵のある親達はいつもと変わらぬ生活を送っていた
サンは朝目覚めてから巣の掃除をし 朝食を取り仔と団地の外に出てそして洗濯をはじめる そばでは仔が遊びながら洗濯の手伝いをしている
水浴びには少々肌寒いので小さく千切った布をタオル代わりにして体を拭いている この頃は昼食を外で取る家族が出てきた
心地よい秋風の中食事中もサンは仔との会話を大切にしている
午後は散歩や遊びの中で一般教養を仔に教えて行く 昼寝などをしながらまたゆっくりと躾けをして行く
夕方には帰宅する途中で夕食の餌を巣へ持ち帰る
餌箱の周りには糞に塗れたパンツを被っている仔が増えていた
巣で夕食を取る時は飼い実装の素晴らしさを仔に教えて居る
寝る前には必ず全員でトイレを済ませてから就寝となる
デッデロゲーを歌いながら寝かしつけている
知恵のある親達の平均的な生活サイクルだった
夜 餌箱の前に立たされて居た仔実装がか細く鳴いて居る
「もうしないテチィ・・・目が痛いテチィ・・・
許してテチィ・・・鼻の奥が痛いテチィ・・・
寒いテチィ・・・体が痛いテチィ・・・
おなか空いたテチィ・・・腕が痛いテチィ・・・
ちゃんと言いつけ守るテチィ・・・もう何も出ないテチィ・・・
もう立って居られないテチィ・・・」
食事をしていないので出る糞は水みたいな物しか出ていない涙も枯れて居た
ガタッ ゴソッ
「デスデスデスデス」
「テ!?ママの声テチッ! 許してくれたテチッ! 迎えに来てくれたテチッ!」
親の声を聞いて安心したらしいその場に崩れ落ちそうになるその体を抱きとめる者が居た、
「テッ!? ママテチッ!」
触れただけで母親だと判る 糞塗れのパンツで顔は隠れているが仔はとても嬉しそうに穏やかな笑みを浮かべていた、
「ママごめんテチ もうしないからゆるsy・・・・・」
「うるさいデス!」
仔の謝罪の言葉の語尾は親実装の一言で遮られる
仔の体に冷たい外気が触れる 次の瞬間には体に激しい衝撃と浮遊感そしてまた衝撃
仔は親に団地の外へ蹴り出されていた 体を襲う激しい痛みの中扉の閉まる音を聞き仔は全てを理解した
「もう許してくれないテチィ・・・」
のろのろとパンツを取る 糞が目に入り炎症を起して前がよく見えない
外気に体温が奪われて行く ゆっくりと体を起しぼんやりとした視界で辺りを見る
団地の入り口横に肌色の塊が見えた ゆっくり近づきよく見ると裸の仔実装だった
服は着て居ないが髪があり頭は糞だらけだった 少しでも寒さを凌ごうと寄り添うように固まっていた
その仔もその集団に加わる事にした
「もういいテチ・・・」
そう呟くとそのままその仔の意識はブレーカーが落ちるように突然途絶えた
次の日 サンは違和感を覚えながら目を覚ます
「? 静かデス?」
いつもなら朝から怒鳴り声や仔の泣き声が聞こえるが今日は聞こえない
巣の外に出で見るが朝食の餌を取りに出てきた親実装が何匹か見える
「デ? 立たされてた仔が居ないデス?」
不思議に思いながらも朝食の餌を取りに行く 巣に戻りいつもの日常が始まる
掃除と食事を済ませ仔を連れて洗濯に出ると 入り口横の肌色の塊が目に飛び込んで来る
その瞬間全てを理解した
「酷いデスゥ・・・」
仔はサンの陰に隠れて震えて居る 躾けのせいかパンコンはしていない
「いくら躾けが出来ないからって これはあんまりデスゥ・・・」
だがサンは自分でどうする事も出来ない事を知っている
「そうデス! 今日はニンゲンサンの来る日デスゥ!」
今日は餌の配給日だった
「お昼にニンゲンサンが来るデス ニンゲンサンにお願いするデス」
昼近くになって弟子が餌場えを整えにきた仔を巣に戻し サンだけが出てきて弟子に向かってお辞儀をしてから
「ニンゲンサンお話聞いて欲しいデス」
サンは弟子達の中でも評価が高く 師匠であるブリーダーが名前を付けるだけの価値がある実装石として知られていた
「外の仔は見たデスゥ?」
「きちんとした躾けもしないであれでは仔が可愛そうデスゥ」
サンは正確に現状を訴えた 弟子が携帯電話を掛けるが僅かの会話で電話を切った
リンガルは切られているので会話内容は判らない
弟子がサンに向い
「社長・・・じゃなかった 先生からの話だ」
「確かに仔は可愛そうだが育てるのは親の責任だ 親が決めた事に口出しするつもりは無い」
落胆の色を見せるサン
「だが ちゃんと躾けしろと言った 出来ない親には罰が待っている」
「デ?」
「ルールを守らないと悪い事が起きる って事さ」
弟子が付け加える
「サンは自分に出来る事をしていれば良いと思うよ」
「それとまだ生きていた仔は土管組みに入れておいたからあとは自分次第だね」
「可愛そうだけど分かったデスゥ」
そしてまた一ヵ月が経った
また同じように朝ブリーダーが来ていた 同じように端から賢い仔を出させて行く
最初のは親が禿だった仔が出されるとブリーダーが簡単な質問をして行く
合格だった 首輪と金平糖が渡される親には育毛剤も塗られた
「頑張って良かったデスゥ! コンペイトウおいしいデスゥ」
「おいしいテチッ! 甘いテチ もっと頑張るテチッ!」
また何組かが終わったが次の親には仔が居なかった
「仔はどうした?」
ブリーダーの質問に親は
「あんな出来の悪い糞虫間引いてやったデスゥ!」
「とっとと首輪とコンペイトウ渡すデスゥ!」
「そうか」
ブリーダーは一言だけ言って首輪と金平糖を渡すとこれには周りの親も驚いた
「デデ?なんでコンペイトウ貰えるデスゥ?」
親は金平糖を一気に口にほおり込むと効果はすぐ表れた
くずれるようにその場に倒れ込む全身が痺れて居る親は何が起こったか理解出来ない声すら出せない
ブリーダーは首輪を取り上げながら
「金平糖を渡す とは言ってないぞ」
ここで初めて親が青ざめる 意識はあるのに動けない声も出ないまま手際良く服を脱がされていく
そして毛を一気に毟り取られる 他にも仔の居ない巣があった
「躾けをしろと言ったが間引けとは言っていない、仔の居ない親は禿裸決定だ」
ブリーダーの声が響く
次の瞬間その場にへたり込む親 団地から逃げ出そうとする親 巣に逃げ込む親
隣の家族から仔を奪おうとする親 尽く弟子に捕まり禿裸にされる
サンの所からは残っていた仔が全員合格した 他の賢い親たちもサンの完璧な子育てにはグウの音も出なかった
今月も間引きが終了した 団地はとても賢い親実装で埋まりその外周部は普通に賢い親実装 駄目な親は土管組みとなった
団地ではサンを親実装達が囲んでいた ブリーダーが帰り掛けにそろそろ代表を決めてはどうか?と言い残していた
サンは仔との時間が減るので嫌だったが みんなに押し切られる格好でサンが代表となりいくつかのルールを提示した
「仔は団地の全員が協力して育てる」
「仔のおかげで団地に住める事を忘れない」
「躾けは各家庭で行い、仔の教育は一箇所に全員まとめて交代で教師を務める」
元々賢い親達が揃って居た為、スムーズに実行されていった
一方土管組みになった親実装は何日か前にほおり出した仔と再会した
賢い仔を育てなければ暖かい寝床も十分な食事も無かった
「ママが悪かったデスゥ 戻ってくるデスゥ」
仔は他人を見るような目で親実装を見ていたそして別の成体実装にしがみつき
「ママ〜 変なオバサンが居るテチ」
「見ちゃいけませんデスゥ 糞虫が伝染るデスゥ」
驚く親 自分の仔なのに
知らない成体にママ?
知らないオバサン?
謝ったのに?
なんでデス?なんでデス?なんでデス?なんでデス?なんでデス?なんでデス?なんでデス?
なんでデス?なんでデス?なんでデス?なんでデス?なんでデス?なんでデス?なんでデス?
なんでデス?なんでデス?なんでデス?なんでデス?なんでデス?なんでデス?なんでデス?
なんでデス?なんでデス?なんでデス?なんでデス?なんでデス?なんでデス?なんでデス?
「デジャァァアアアアアア!!!!!!!」
突然威嚇の雄叫びを上げるがこれは自殺行為だった
威嚇の声を上げただけで周りで傍観していた禿裸の親実装達十数匹が一気に襲い掛かってきた、
「デギャァァアアアアアア!!!!!!!」
威嚇の声は苦痛を訴える叫びに変わった 何が起こったか理解出来ぬままボロ雑巾のようになった親実装は土管の外へ放り出された
この時土管組みでは土管組みのルールが出来つつあった 土管組みでも賢い仔を育てれば団地に入れる
事実禿裸でありながら賢い仔を育て団地に入った禿裸が居る これで土管組みにも賢い仔を育てるという使命感みたいな物が根付いた
賢い仔を育てるには日々の躾けと教育が大切という事も判った じゃあ賢い仔を多く育てるには?
沢山の仔を育て出来の良い仔を残すという答えにたどり着いた 土管組みでは仔の取り合いが起こり当然巻き添えで命を落とす仔も出てくる
更に仔の数が減りそして協定が結ばれた 仔は均等に分けて育てると 仔の数を減らされた親は当然怒ったが
民主主義的数の暴力にはなすすべも無く黙って受け入れるしか無かった
そこで威嚇の声を上げた親実装の結末は無残な物だった
翌朝 この親実装の魂は器から開放されていた
そうして雪が降る頃には団地と土管でそれぞれの自治がなされていた また何度かブリーダーの間引きが行われたが団地の住人に入れ替わりは無かった
安全な住まい 十分な食事 きちんとした教育 周りの親実装達も皆協力的だった
「ここは天国デスゥ」
サンは静かに呟く
土管組みもコンクリートの土管は冷たいがダンボールハウスのように雪で潰れる事も無く 雨漏りで睡眠を妨げられる事も無い
集団生活だったが土管の中に固まっているとなんとなく暖かい感じがする 人間の古着で寒さを凌ぎ最低現の餌はある
市街の公園のように外敵や虐待派が居ない
「ここは天国デスゥ」
土管組みの誰かが呟いた
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とりあえずですが手直ししてみました
初めてモニターでスクを見た時
自分でも酷いと思いました
至らないところも有ると思いますが
少しづつでも前進出来ればと思っています
改めて文章を書く難しさを感じています
とりあえず携帯のメール下書きに書き溜めた物を
携帯からいきなりアップするのはもうしません
一度パソコンに移してちゃんと読み返してから
アップしようと思います
拙い文章にご指摘有り難う御座います
最後になりますが
イメージ画を描いて下さった絵師様
有り難う御座いました
励みになります

| 1 Re: Name:匿名石 2016/11/02-03:13:54 No:00002678[申告] |
| このシステムによる平和はいつまで続くのか
と思ったけど旧作だから未完っぽいのが惜しい |