僕は家では一切明かりを付けない時がある。 別に電気代が勿体無いからではない、真っ暗な中でじっとしていると神経が研ぎ澄まされるからだ。 僅かな音や風や温度や光り、色んな物に反応出来る様になる。 そして暗闇の中では現実と夢の区別が付かなくなる感覚に陥る。 研ぎ澄まされた脳裏に浮かぶ生々しい光景、記憶の中でしか会えないあの甘美な時間を反芻する。 僕も彼女達も同じ時間を同じ思いで共有した。 あの時間の間、僕は彼女達しか見えなかったし、彼女達も僕しか見えていなかった。 暗闇に写る彼女達の脅える目やあきらめの表情、そして僕だけに泣き叫び許しを請い絶叫する・・・ 僕はこのまま夢の中から覚めずに、この世を去ってしまうのではないか。 そう思った時、僕と彼女達の精神はここに留まり。 同じ時間を永劫に、この暗闇で僕と共に留まり続けているのかも知れないと思った。 僕は今眠っているのか起きているのか・・・それすら現実なんだろうか。 「黒い塊3」 片腕を失った仔実装に僕はカタワと名前を付け、今も一緒に暮らしている。 名前は見たまんまで芸は無いが、実装石のカタワにとっては大切な名前なんだろう。 僕が『カタワッ』と呼ぶと走って僕の前までやって来る。 意外と従順なので犬でも飼っている様な心境だ。 僕がいない時は風呂場へ閉じ込めている、出るには僕がドアを開けるまで待つしかない。 待つ間は僕の拷問で酷い目に会った実装石と一緒の場所なので嫌でも見る事になる。 カタワに実装石が呻いたり何を話しかけようが、届かない場所にいるのでどうしようもない。 僕が帰るまでカタワは母親と拷問された実装石を、ダブらせて思い出す事になるだろう。 僕は実装石の拷問時、必ずカタワを一緒に見学をさせカタワの様子を観察した。 肉が裂かれ骨が砕かれ断末魔の悲鳴をあげる実装石、カタワには一部始終見ている様に僕は命令をしている。 実装石とは言え意外と精神は人間と似ている、何十匹も拷問に掛け本音を聞いてきた僕にはそれが分かる。 実装石が体験している痛みや恐怖がカタワに伝わるのか、その間は自分の事のような表情を見せた。 カタワを叱る時や拷問を見せる時、相変わらず無くなった左腕の袖を握る仕草を繰り返す。 その行為は左腕を無くし自分だけが生き残っている贖罪のつもりなのか。 それとも左腕を無くした後悔からかは僕にも分からなかった。 本当は全ての元凶は僕なんだが、カタワにとって責めるべきは自分になっているんだろう。 カタワの表情は僕の心に一抹の哀しさと喜びを呼び起こし、自分でもなんとも複雑な気分だった。 次第にカタワと僕との距離は縮まり、よく一緒の部屋にいるようになる。 住処にハムスター用のゲージを買ってやり、そこに住まわせている。 僕は必ず食事中カタワをテーブルに立たせている。 食べている間カタワには何もあげる事は無い立っているだけだ、ただ僕が食べ終わるのを待たしているだけ・・ 涎を垂らし目線だけは料理を覗き込むが、何かを欲しがれば僕からの虐待が待っている。 最初に欲しがった時、カタワの右手を罰として鋸で引き落としている。 それ以来カタワは食べ物に限らず、何かを欲しがる事は無くなった。 食べ終わるとその残飯をカタワに差出し、僕から『食べても良いよ』と言う言葉を聞き慌てて残飯を食べ始めた。 残っている時は餌にありつけるが、たまに全て食べてしまい空の皿を差し出す時もある。 皿に顔を付け残った汁をぺろぺろと舐め取るカタワは、それでも文句一つ言う事は無い。 毎日僕の拷問を横から見ているカタワにとって、僕の存在はとても怖い物に写るだろう。 僕が話し掛けるとおどおどした表情になり、上目遣いに僕の顔色を伺う様になった。 テーブルの上で突っ立っているカタワに話しかけた。 『片腕には慣れたかいカタワ』 ニヤニヤとしながらカタワに話し掛けると、ぼそりぼそりと話し始める。 カタワが返答しないといきなり殴り倒した事があるので、どんな嫌な事でも返答する様になっている。 「は、はい慣れたテチ」 『そりゃそうだろうね、君の片腕はママを殺した君の罪の証なんだからね、一生背負って生きて行くんだよ』 『天国でママに会えたら謝れば良い、きっとママも許してくれるさ』 『所で天国のママには、なんて言って謝る気なんだい』 「わ、分からないテチ、でも・・とにかく謝るテチ」 「自分だけ生きてゴメンって土下座するテチ」 僕はこうしてカタワを苛めて楽しんでいる、話す言葉はカタワには辛い事が多い。 僕からの暴力と精神的な負い目は、カタワの全てを押さえつける様に僕が支配している。 そして僕はこの関係がとても気に入っている、 学校では何も話さない日はあるが、カタワと話さない日は無かった。 カタワと僕の関係は対等ではない全て自分が上なのだ、ペットでは味わえない優越感も楽しめた。 いつしか僕は命令や意地悪な言葉以外にも、身の上の話までカタワにする様になっていった。 ————————————————————————————————————————————————— 僕は傘立てに刺してある木製のバットを手に取ると、背中に隠し「」の後を一緒に歩いた。 玄関から廊下を歩くと先には左手にキッチンのドア、奥にリビングと居間のドアがある、 すぐ右には二階へ通じる階段が見える。 「」は振り返り僕を見下ろす様な目で見る・・・・(ばれたか・・) だが「」は僕を一瞥するとまた廊下の奥へ目をやった。 僕より少し背の高い「」の頭に目掛けてバットを振り下ろした。 ボグッッ! 『いってぇぇぇ!』 振り下ろしたバットは頭に当たらず首筋に当たった「」が前に歩いた為目標がそれてしまったからだ。 首を押さえ前のめりに倒れる「」は後ろへ視線を向けた、その視線は怒りと恐怖に満ち僕を睨みつけた。 一瞬怯んだがその頭目掛けてバットを振り下ろすと、 「ガッ」っと乾いた音がして「」の左側頭部へバットは当たった。 殴られて呻き声をあげる「」へさらに僕は無言でバットを振り下ろす。 思ったより打撃音はしなかった、ただ木と肉の当たる湿った感触がバットに伝わってくる。 もんどりうって倒れる「」は頭から血を流しそのまま気絶してしまった。 偉そうにしている「」にしては、意外と簡単だったので少し肩透かしを食らった気分だ。 倒れている「」を見下ろし不思議な気分だった、実装石も人間も意外と変わらないのではないか。 やろうと思えばこんなに簡単に出来てしまう、恐怖感や後悔は特に感じなかった。 倒れている「」の手をズルズルと廊下を引き摺ってキッチンに運んだ。 僕はキッチンに入ると、ダイニングテーブルに付属している丸い円柱の木製椅子を抱えあげた。 「」の前に椅子を置くと気絶している「」をそこに座らせた。 拷問道具の置いてある部屋から道具を箱ごと持ってくると、丈夫な麻製ロープを出した。 手を後ろ手に縛り椅子ごと体と腕をグルグル巻きにした。 足も椅子の足に縛りつける、これで完全に身動きが取れなくなった。 よく実装石相手に縛り付けたりしているから、この位は朝飯前だ。 コーナー掛けのフキンを取ると、グリグリと捻り捻り鉢巻の様にする。 それを「」の奥歯に当たる所まであてがうと、ギュッっと強めに猿ぐつわをかました。 更にその上から口を覆う様にタオルで二重に猿ぐつわをかませた。 これで完璧だな「」が起きたら見物だ、僕はニヤニヤしながら「」の状態を楽しんだ。 頭の傷の出血はもう止まっているが、血が首筋から背中まで垂れた後がある。 『うん・・*#$%&うぅぅぅぅ!!』 「」が目を覚ました、猿ぐつわと体を縛るロープで椅子から一歩も動く事が出来ない。 すぐには自体が飲み込めず盛んにうめき声を上げ、体を揺らし椅子がガタガタと音をたてる。 『あぁ起きたみたいだね・・驚いたかい』 「」の目の前に立ち見下ろすと、視線が僕を睨みつけた。 『知ってるかい、快楽殺人者って必ず相手を拘束するんだってね』 『動けない相手だと怖くも何とも無いし、全ての自由が無くなってしまうんだよ』 『全ての権利は加害者のみが持つ、被害者はただ殺されない様に懇願するしか出来ない』 『支配する側とされる側に分かれるんだよ』 僕の言葉を聞いて「」が青ざめて行くのが分かる。 唯一自由な目玉だけを見開き、自分の状況と僕の状況を確認する。 何も動かせず何も語れない、ここには僕しか住んでいない事を知っている。 そして僕を苛めて金をせびっていた、馬鹿な頭でもおおよその察しは付くだろう。 『そう言えばこんな状態の映画を見たな』 『椅子に縛り付けた相手の耳を切り取って、ガソリンをかけて燃やそうとしたっけ』 「」の恐怖は今最高潮なんだろうな、こんな異常な事態をどんな思いで感じているのだろう。 僕は道具箱から大き目のワイヤー用カッターペンチを出すと、「」の目の前で握り締めガチガチと刃を合わせた。 『こいつで君の指を一本一本ちょん切ろうと思うんだけど・・どう思う』 「」は盛んに首を振り拒絶反応を示した、顔は涙と涎でぐしゃぐしゃだ。 もう僕を苛めていた面影も糞も無い、僕はその姿と拷問で殺した実装石を重ね合わせている。 実は実装石なら簡単に拷問方法を思いつくのだが、人間となると僕も二の足を踏んでいた。 冷静に考えてみると僕は何をしているのだろうか、相手は実装石では無い人間なのだ。 「」を殺してしまえば僕は殺人者になってしまう、だが今から開放しても既に手遅れなのでは・・ それに・・やはり人間に対する興味が僕にはあった、せっかく捕獲したからには開放する気にはなれなかった。 縛り付けている「」の後ろに回ると、ありふれた普通のはさみを取り出した。 後ろからはさみで「」の指を軽く挟んで驚かすと「」は股間から小便を漏らし始めた。 小便はズボンを濡らし椅子を伝い床を濡らす、臭いが気になり僕は一気にやる気が失せてしまった。 『おい!カタワ』 僕に呼ばれるとカタワは居間から走ってきた。 「は、はいご主人様、何か用テチ」 傍らの「」はまだ小便を漏らし続けている、僕は雑巾を手に取るとカタワの前に投げた。 『この床と椅子に座ってる奴をきれい拭いて置くんだ』 『カタワでも届くように足場を作っておくから』 「」の座ってるお尻にタオルを置くとスロープ代わりにテーブルの足に挟んだ。 『いいかいカタワ、臭いが取れるまで完全に拭いて置くんだよ』 カタワにそう告げると、僕は自分の体を洗いに風呂場へ行った。 風呂場では昨日拷問され禿裸にされた実装石が、僕の姿に「デスゥッ」と驚き浴槽を逃げ惑っている。 狭い浴槽をぐるぐると走り回り、何とか僕より遠ざかろうとしていた。 実装石を無視して僕はシャワーを浴び、これからの事を考えていた。 殺すか逃がすか・・選択は二つしかない。 どちらにしても見つかれば大事になってしまう、特に殺した場合は少年だろうが罪に問われる。 逃がした場合でも「」が警察に行けば、軽いが何かしらの罪に問われるだろう。 いっそ殺してしまって見つからなければ良いのではないか、それなら拷問も出来るし恨みも晴らせる。 ・・・殺そう 見つからなければ良いんだ 処理は実装石と一緒だ 人間も実装石も変わらない いつもやっている事だ シャワーを止め浴槽に両手を付き、端っこで丸くなりガタガタと脅えている実装石を見つめた。 もう実装石では我慢が出来なくなっている、自分でもそれが分かってきた。 欲望はエスカレートして行き、自分でも押さえる事が出来ない。 「」の指を一本一本切り落として苦痛に歪む表情を見てみたい。 その傷口から流れる血や切断面組織・・・考えただけで僕のペニスは勃起を始めた。 傷に対してある程度の耐久性を持っている実装石とは違い、人間は普段得られない痛みに耐久性は無い。 ショック死や精神的に壊れてしまっては元も子もない、慎重にやらなければ。 今日はこの実装石で我慢をしよう、「」は明日どうするか決めれば良い、時間はたっぷりあるんだ。 自分を抑えなだめていた矢先。 バタンッ!・・ガチャガチャ・・ばたたたた・・ 『何だ!ドアの音が』 僕は裸のまま風呂場を出てキッチンへ急いだ。 キッチンのドアを開けると椅子の回りにはロープが散乱して「」の姿は無く、カタワだけがその場に立っていた。 慌てて玄関まで走ってドアを開けたが「」は既に遥か先を走って逃げていた。 僕は追うのを諦めると、玄関のドアを閉めため息を付いた。 『あぁ・・やばいなぁ僕はどうすれば良いんだ』 これからの事が僕の考えで予想される限り色々と頭の中を回り始める。 もしかしたら警察がすぐにここに来るかもしれない、いやまずは「」の親と一緒に来るかも。 それとも「」のグループ達で僕にお礼参り、学校に告げ口されて父親と一緒に警察へ行くのか。 心臓の鼓動が早くなり振動が体全体を包んだ、喉の奥からなにかもやもやした物が込み上げる。 僕は思わず吐きそうになるほど胸が締め付けられた、とにかく取り繕わなければ。 鉛のように重くなっている体を動かし、僕はキッチンへ入った。 キッチンではカタワがそのままの姿勢で立っている、よく見ると手にカッターナイフを抱えて。 「」はどうやらカタワが逃がしたらしい・・だがなぜだ・・ 『分かってるんだろうね・・カタワ』 僕の言葉にビクリと反応すると、カタワの手からガチャリと音をたててカッターナイフが落ちた。 「テチィ・・テチュテチ、テッチ」 カタワが僕に何かを話しているか、リンガルのスイッチを入れていないので分からない。 気になったが今はそれ所じゃない、部屋の証拠を隠さなければいけなかった。 『君への罰は後でたっぷり時間をかけてやるから、覚悟しておくんだね』 僕はキッチンの椅子を片付けると、床に散らばったロープや道具を道具箱に入れて庭に出た。 庭に出るとスコップで穴を掘り始める、ある程度の深さになると道具箱ごと穴に捨てた。 そして部屋に戻ると風呂場の実装石を捕まえて、また庭に戻ってきた。 道具箱のある穴に実装石を放り込むと、自分の未来が分かるのか実装石が泣いて手を合わせた。 僕はリンガルのスイッチを入れて、実装石が何を話しているのか確認した。 「死にたくないデスゥ!勘弁してデス!何でも言う事聞くデスゥ!!」 相変わらずの台詞に僕は嫌気がさして来た、殺す為のみに捕まえてきたのに馬鹿な奴だと思う。 そんな暇があれば逃げ出すなり反撃するなりした方が、まだ生き残る確率も上がるだろうに。 穴の中で命乞いをしている限り、この実装石には助かる確率は1%も無い。 『悪いなぁこっちも切羽詰っているんだ、本当は後2日〜3日は生かして置くつもりだったんだが』 『これも君の運命だ、そこで何もしない君が悪い、君の運命は君が決めた様な物だ』 僕の言葉を聞いていた実装石の顔が怒りに変わる。 「私は何も悪い事はしていないデスッ!無茶苦茶デスッ、酷いデスッ、お前は鬼デスゥッ!!」 穴の中で僕に悪口を言い始めたか、もうあきらめの境地なんだろう。 『鬼じゃない、僕は人間で君は実装石だ実装石は人間に殺されてもしょうがない存在、ただそれだけだよ』 『人間の僕は実装石の君より強く賢く権力もある』 『理不尽かもしれない、殺しても良い理由は無い、だけど君を殺しても誰も僕を裁けない』 『さぁもう良いだろう、こっちも忙しいんだよ』 実装石の怒りは頂点に達したのか、体をぶるぶると大きく震わせ僕を睨みつけた。 「恨んでやるデスッ、絶対・・絶対ぃ恨み殺してやるデスッ!!」 『あぁ分かっている・・僕はここにいるからいつでも待っているよ、どうせ君だけじゃないしね』 そう言うとスコップを実装石のお腹辺りに勢いをつけて突き出した。 ズブリッと言う音と共に、スコップの先が実装石の腹に食い込んでいく。 実装石は不意を喰らったのか、腹に突き刺さったスコップを食い入るように見ると、 その非力な手でスコップを押さえた。 「デギャァァァ・・ァァ・・ァァ」 指の無い手はスコップを押し戻そうと必死に掴もうとするが、泥の付いたスコップが滑って思うように掴めない。 次第にスコップにも自分の血が溢れ始め、その手も動かなくなっていく。 僕はスコップを立てるとそのまま地面に押し付けた。 そして足をスコップに掛け体重を乗せると、実装石の体は半分に千切れてしまった。 半分に千切れた自分の下半身を叫びながら実装石は見ている、下半身はだらしなく糞や小便を垂れ流れていた。 実装石の大腸だろうか臓器だけは千切れずに繋がっていた、腸で上半身と下半身を繋げていた。 動くと腸を伝い下半身から残りの臓器が引き摺り出され、臓器の切れた部分から黄色い消化液が溢れ出てくる。 やがて消化液に混じって中に溜まっていた糞が、どす黒い血に混じってデロリとまとめて出てきた。 その色は赤と緑と黄色で入り混じり、幻想的な色を見せてくれた。 「デジャァァ!助けてデスゥ!死ぬ・・死んじゃうデスゥゥ!!」 『分かった分かった、今楽にしてあげるから・・・よっと!』 僕は実装石の頭に狙いをつけてスコップを付きたてた、瞬間実装石は体をひねりスコップを避けてしまう。 突き刺さった場所は右肩から脇腹の辺りだ、脇腹の皮を残しかろうじてその身は繋がっていた。 「デァァァ!痛い!痛いデスッ!・・ゲハァァ」 実装石は体から外れようとする右手を左手で押さえるが、傷口からは止め処なく血が溢れている。 顔をのけぞり呻き声を上げ、ズリズリと上半身だけで穴の中を逃げようとする。 動くたびに上半身の臓器もこぼれて行き、穴の中は臓器まみれになっていった。 『おい動くなって、今は楽しんでる暇は無いんだよ』 「ゴフゥ・・ニンゲンさん・・お願い・・デス」 「殺さないで・・死にたく無い・・デ・・ス・・」 どうやら実装石の命も後僅かのようだ、僕はスコップを振りかぶり背中に抱え振り下ろした。 パカァァン! スコップの裏側がきれいに当たると、実装石は両の目玉を飛び出し頭を陥没させた。 それでもデッデッっと時折声を出してしぶとく生きていた。 もう一度振りかぶり振り下ろすと、実装石の頭は粉々に潰れてしまった。 実装石の左手が一瞬空を掴むとパタリと地面に落ちた。 僕はそのまま実装石ごと道具箱を埋めてしまうと、部屋に戻りカタワを捜した。 カタワは居間に正座をして土下座をしていた、どうやら自分のやった事が分かっているらしい。 『一体どういう真似だいカタワ』 「・・・・・・」 カタワは土下座をして頭を下ろしたまま上げ様としない。 僕は怒りよりも、なぜこんな事をしでかしたのかが気なっていた。 『答えるんだカタワッ・・死にたいのかい』 顔を上げたカタワの顔は後悔は感じられない、むしろ何かをやり遂げた清清しさが感じられた。 「可哀相だったテチ・・・人間さん泣いてたテチ」 あまりにもまともな意見に僕はカチンときた、これじゃカタワの方が人間的である。 今まで僕の為のみに生きてきたカタワが、僕以外の者の為に動いた事も気に入らない。 実装石は人間より下で無いといけない、自分の身を犠牲にして人間を助けるなんてあってはいけない。 カタワにはそれを身をもって教え込まなければ、これからの生活に支障がおきてしまう。 『良いかいカタワ、今日は躾はしない』 『落ち着いたら必ず身もって教え込む』 『今日はもう良いから自分の寝床に行ってるんだ』 酷い目に合うと思っていたカタワの顔が、パァっと明るくなるのが分かる。 忌々しいが今日はなにが起きるか分からないので、躾をやっている場合じゃない。 それに躾の場面を見られるかも知れない、とにかく今日は大人しくしているしかなかった。 「あ、ありがとうテチ、ご主人様」 『良いから早く行け!』 ニコリと顔をほころばせると、カタワは逃げるように走り出した。 居間の角に設けている金網ゲージの扉を自分で開けると、藁で出来たハムスター用の住処に飛び込んでいった。 僕はカタワの行動が気に入らない反面、「」が逃げた事にほっとしていた。 最後の線を超える事は未だに抵抗があったからだ、後の事は気になるがいつの間にか心のもやもやも取れていた。 結局その日はいつまで待っても何も無かった、翌日になっても警察所か当の「」も学校にやってこなかった。 後から分かった事だが「」がこの学校やめた事を知った。 「」はあの日以来僕の前に表れることも無く、いつしか僕の記憶からも消えていった。 暫く立ったある日僕はカタワの躾を始めた、主人である僕のいう事は絶対である事を教えなければいけない。 カタワの精神をロボットの様な、実装石に仕上げなければ行けない。 僕の命令には絶対服従、カタワは僕の為だけに生きていく様にする。 『あの時の続きだが、僕の命令を破った罪は大きい』 『カタワは僕が命を助けて、養ってあげている』 『僕に対しての恩を仇で返した事になる、それは僕への裏切りでもあるんだよ』 既に服は脱がされ裸のカタワを責め続ける僕の手には、刺身用の鋭い包丁が握られている。 僕がそれを振る度にカタワの視線も包丁を見つめる。 「ち・・ちがうテチィ・・あの時はお掃除を命令されただけテチィ」 「ご主人様を裏切ったりしないテチ」 『確かに命令はそうだったよ、だが人間を逃がせとは一言も言って無い』 『カタワは僕の命令以外の事をする時は、僕に伺いを立てろって言ったよね』 『勝手な事は何一つやっても良い権利は無いんだよ』 「ご、ごめんテチ・・もう二度と逆らわないテチ」 「だから・・テッテチィ・・痛い事はやめてテチィ」 カタワは跪くと僕に向かって土下座をして、何度も何度も頭を下げた。 『けじめは必要なんだよ、これは躾なんだ虐待じゃないからね』 そう言うと土下座しているカタワの耳を掴むと、いきなり上に引っ張りあげた。 カタワは既にパニック状態になりジタバタ暴れ、その目からは涙がボロボロとこぼれている。 「勘弁してぇぇぇごめんテチ、ごめんテチッ、もうしないテチ、テチャァァ!!」 そのまま台所のまな板に叩き付けると、カタワは丸まりどこも切られない様に防御をした。 「痛いのいやテチィ・・・勘弁してテチ・・グス・グス」 『何をやっても無駄だよ、実装石ごときの力じゃ無駄だってのは、カタワだって知っている筈だよ』 カタワの左耳を引っ張るとそこに包丁をあてがった。 カタワは冷たい感触に、体中から汗を噴出し叫び声をあげる。 「チャァァッ!!ダメェェやめるテチィ!!」 ブッ! 包丁を押し入れるとカタワの左耳は簡単に根元から切れた。 傷口から勢い良く血が吹き出る、そして左耳をカタワの前にベチャリと投げると、その耳をカタワが拾い上げた。 ブルブルとその耳を掴んだかと思うと、逃げ出そうと暴れ始める。 まな板で暴れるカタワを押さえつけると、右足に刃を押し付けた。 ゴリッっと骨に当たる感触が伝わると、徐々に力を入れていく。 ゴトリっと右足を落とした。 カタワは痛みのあまり口から血の泡をぶくぶくと立てて、仰向けに気絶して倒れている。 僕は包丁を振り上げるとスパンッと勢い良く左足も一気に落とした。 「テッチャチャァァァ!!ギャァァァァァァ!!」 気絶していたカタワが痛みで跳ね起きた、絶叫を上げ残った右手で切れた足を掴んで僕の方を見つめた。 「足が無くなったテチィ・・酷いテチィ・・酷いテチッ、ご主人様酷いテチッ」 『なんだいその態度は・・まだ足りない様だね』 僕は包丁の柄でカタワの頭を殴りつけ、倒れたカタワの右手を掴んだ。 カタワはもう抵抗しなかった、抵抗しても無駄な事が分かった様だ。 ザクリッ!! 続く
