〜〜〜〜大掃除〜〜〜〜 年末も押し迫って来たので日本人らしく大掃除をする事にした とは言っても去年は色々と忙しく何もせぬまま歳を越したので 今回は2年分のホコリを落とす事になった 部屋は独身の野郎な割りには頻繁に掃除をしているので 綿埃が散乱する状況ではないのだが、問題は空缶やガラクタなどの いわゆる燃えないゴミの処分だった コレを片付ければ大分スッキリするハズなので、思い切って片っ端から 明日の燃えないゴミの日に出す事を心に決めた 兎も角、全部ゴミ袋に詰め込んだ 捨てる雑誌に目を通したのが災いして予定より2時間以上オーバーしてしまった すでに外は暗くなってきた今日の終わりを告げるようで物悲しくなって来る 最後に押入れの中を整理して終わりだ、中から調子の悪くなったポータブルCDや もう何年も動かしてないゲーム機など目に入った物全てをゴミ袋に投げ込む。 更に中を覗くと古くカビが生えた皮ジャンバーが目に入った、手を伸ばし引っ張り出すと ゴトン!とジャンバーから何かが滑り落ちた 「!!?」その円形の何かを掴み出すと茶筒だった。 しかし本体とフタの繋ぎ目にグルグルにガムテープが巻かれていて マジックで日付が書いてあった、二年も前の日付だった 何も思い出せないのでガムテープを剥がし上蓋をポン!と引き抜く 瞬間、秋の終わりの銀杏並木と夏に数日放置した台所の三角コーナーを混ぜ合わせた様な 不快極まりない臭いが鼻を突いた。体が勝手にえずく、晩飯を食っていたら吐いていただろう。 訳が解らず、鼻を近づけない様に茶筒を覗くと透明な内フタの中に足の様な物が見えた ・・思い出した、二年前にコンビニから帰宅し袋を開けた時、勝手に潜り込んでいた仔実装石だ! オレのオニギリを顔を醜く皺くちゃにしながら犬食いしていた姿を状況が理解出来ず凝視していると コチラに気が付き一転、満面の笑みになり「テチィ♪」と鳴いた記憶がまざまざと思い出された 雪国育ちだったオレは当時「託児」と言われる実装石の習性を知らず 驚いて反射的に袋の取っ手を縛り、当時出来たばかりの大学の友達に電話をした 友達は「それは託児と呼ばれる行為で糞仔の臭いを頼りに糞親がドアの前までやって来るぞ」と 教えてくれ、ビビリまくっているオレに友達は冷静に「早くソイツを殺して外に捨てろ!」と アドバイスをくれた。「ただの害蟲だから何も感じる必要は無い!只々捻って殺せ!!」と 電話を切る間際まで忠告してくれたが、とは言え自分の素手で生き物を殺すのを躊躇ったオレは 便所掃除用のゴム手袋付けたまま呆然とガサゴソ動くコンビニ袋を眺めていたのが昨日の様に思えて来た。 結局殺すのを諦め とりあえず臭いを嗅いで居場所を突き止めコレより大きい成体実装石がウチに上がり込んで来るのを 防ぐ事を最優先にして丁度、茶葉が切れかけ底が見え隠れしていた茶筒が目に入ったので コレを使い仔実装石を一時的に閉じ込める事にしたんだ 「テェエ!」「チャアア!」「テッチィ!」と泣き叫び暴れ手足を茶筒に引っ掛け中に入るのを徹底的に抵抗する 仔実装に手を焼き仕方なく頭から茶筒に押し込んで内フタをし蓋を閉め継ぎ目をガムテープで何重にも巻き臭いを遮断 泣き叫ぶ声を何とかする為に手元に有った一番生地の厚い皮ジャンに包んで押入れの置くに押し込んだ事を完全に思い出した そういえば その後しばらく近所を「デェ〜!」「オロローン」「デッデロゲ〜♪」と鳴きながら親らしき野良成体実装が 昼夜問わずオロオロしながら徘徊していて、あんなヤツが玄関前に立っていたら・・と背筋が凍りついた事も思い出した その後、すぐに親実装は姿を消したが、その週の燃えるゴミの日に赤緑色のグチャグチャした物が捨てられていて 収集車の連中と自治会長さんが回収するしないを延々と口論していたのも何故か一緒に思い出した 当初はすぐに公園にでも仔実装を開放しようと思っていたのだが、あの醜い顔でオニギリを食べる姿を思い出し 中々茶筒に触れられず、その内忘れてしまい今日の今日まで茶筒の存在を完全に失念していた いや、無意識の内に茶筒の事を忘れようとしていたのかも知れない (処分したかと再三尋ねる友人の質問も生返事ばかりしていたし・・) 兎も角、この仔実装には悪い事をしたと申し訳ない気持ちで一杯になった きっと暗く狭い茶筒の中で暑く苦しい思いを何日もして死んで行ったのだろう 本当は缶から取り出して埋葬してあげたいが、内フタで密閉されていたハズなのに漏れてくる死臭から とても遺体を取り出せる状況とは思えないので、このまま公園で埋めようと判断した。 仕方無いが掃除は一時中断して、スコップを片手に茶筒をコンビニ袋に入れ外へ出た 完全に日が落ちた住宅街をコツコツ歩いているとコンビニ袋から「チィ・・」と音が聞こえた 最初は気のせいだと思ったが、次は茶筒が揺れだしコンビニ袋をガサゴソと鳴らした 恐る恐る缶を取り出し厳重に封印されたハズなのに嫌な臭いのする茶筒に耳を近づけると 中から「テェェ・・」「テッ・チュゥ・・」と力ない鳴き声が聞こえた 生きている?2年近く缶の閉じ込め放置されたハズなのに仔実装が生きている!? 恐怖に手がガタガタ震え握っていた茶筒もガタガタと揺れていた それに呼応してなのか、突然缶の中の仔実装は「テエエェエ〜ン!テエェーン!!」と 先程とは比較にならない大声の泣き声が茶筒の中から発せられた 驚いて缶を落とすと「チュベェ!」と悲鳴が聞こえ、一瞬間が空いた後に 今度は「テッチューン♪テッチュ〜ン♪」と発情期の動物の様な 媚びた鳴き声が閑静な住宅街に響き渡った 怖くなって、その場を逃げ去りアパートに駆け込むとガタガタと震えながらその晩は 一睡も出来ず夜を明かす事になった、相当離れた場所で茶筒を捨てたので 声は聞こえないハズなのに、あの胸糞が悪くなる様な「テッチューン♪」と鳴く声が 聞こえて来る様で友達が仕切りに糞蟲とか害虫、糞仔糞親と連呼していた訳が良く解った気がした 夜が明け光が差し込んだ頃、気持ちが落ち着いて来たのか気が付いたら眠っていた 目が醒めた時は思い切り昼過ぎだった、一瞬悪い夢を見たのか?と思ったが 部屋の隅に有るガラクタの詰まったゴミ袋を見て昨夜の出来事は現実だったと再認識させられた ゴミ収集車はウチの地区だと午後過ぎに回って来るので、まだギリギリで捨てられる 本当は一歩も外へ出たくないが、今日を逃すとゴミを来年まで持ち越す事になるし このゴミ袋を見ると、あの茶筒も連想するので重い腰を上げ残りのゴミを袋へ投げ込み 再び外へ出向いた 集積場は年末らしくゴミの山だった。自分のゴミを投げ捨て帰ろうと思ったが やはり茶筒が気になってしまうのか昨夜、缶を捨てた場所へ嫌々ながら足が向いてしまった しかし 現地へ近づくと例の気分の悪くなる鳴き声が一切聞こえない事に気が付いた 流石に十数時間も鳴き続けれなかったのか、それとも今度こそ死んでしまったのか 色々な考えが頭を過りつつ目的地に到着した、そこには予想に反して何も無かった 正確に言えばガムテープ片のみが丸め捨てられていた つまりココでガムテープを剥がし中身を確認した人間が居たと考えるのが自然だろう しかし中身を確認した後に、その茶筒を一体どうしたのだろう? 疑問が残るがアレがまだココで転がって神経に障る鳴き声が続いているより 何倍もマシだったので一応は胸を撫で下ろし、その場を後にした その後 無事に新年を迎え友人と初詣に向かった帰りに茶筒の話をした所 特に驚く素振りを見せず「糞蟲の生命力はハンパじゃないので不思議な話ではない」と 話を素直に受け入れ「蟲は極限状態に追い込まれると仮死状態になる」と説明を続け 「茶筒に残っていた僅かな茶葉でもエサにすれば仮死状態と合わせて数年は生きるだろう」 「大方、茶筒を開けた際に僅かに差し込んだ部屋の灯りの刺激で仮死状態から醒めだし 移動の最中、揺れの刺激で完全に覚醒、必死に母を求め叫び続け手を滑らせ落下した衝撃で 生命の危機を直感し今度は姿の見えないオマエに必死に命乞いの媚を売っていたのだろう」 と友人の考えを聞かせてもらい「新年早々に糞話なんて縁起が悪い」口にしながら苦笑いをし 「コレに懲りたら、託児されたら即殺処分。出来れば近所の害蟲も駆除しろ!!」 冗談で頭を小突かれながらもシッカリと叱られた。 今度託児なんて糞蟲のふざけた行為に巻き込まれたら仔蟲親蟲まとめて 最大限の苦痛をもって駆除してやると心に決めた瞬間だった。 こうして新年を迎えたのであった 後日 年が変わって一発目の燃えないゴミの日に集積場の前を通った時 流石に新年はゴミにすら福の神が宿ると言い伝えられる 日本の風習を守るかの様にゴミ置き場には点々としかゴミが置かれていなかった ・・が1つだけ異様な不燃物が捨ててあった。 それは ボコボコに凹み、全体にビッシリと釘やネジが刺さっていてコンセントと裸の銅線が巻かれ その上、焚き火にでも投げ込まれたのか真っ黒に焼け焦げた金属製の手で握れる程度の大きさの筒だった 随分昔だが生ゴミの日には正体不明の赤緑のグチャグチャした物が捨てて有ったし 変なゴミがよく捨てられる集積場所だなぁ そんな事を思いながら集積場所をあとにした ---大掃除--- 終わり 本当は年末に投稿したかったんですが 筆が遅れに遅れ今頃になってしまいました 時期外れで申し訳ありません 乱筆乱文失礼しましたm(_ _)m
