タイトル:【設定・馬】 楽園追放※いろいろすみません
ファイル:楽園追放.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:3304 レス数:0
初投稿日時:2007/01/12-00:53:57修正日時:2007/01/12-00:53:57
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【楽園追放】



それはまだ、虐待派も愛護派もいない、遠い遠い昔の話。

人間と実装石は同じコロニーの中で、平和に暮らしていた。
実装石は今のようにゴミ漁りで口に糊する必要はなく、
豊かな山実装のように、どの木から果実をもぎ取り、食べることができた。

コロニーの管理者は、彼らに一つだけルールを課した。
中心にある木の実だけは食べないこと。
人間も実装石も、素直にそのルールに従った。



  ※



その頃の蛆実装は今より体が長く、今より速く這って進むことができた。
木の上に上ることもでき、泳ぐこともできた。
良いことづくめのようだが、困ったことも一つあった。
体が長いぶん、「ぷにぷに」の欲求も大きかった。
一日中、誰かに「ぷにぷに」してもらわなければ、体の疼きがとまらなかった。

「ニンゲンさん、お腹ぷにぷにして欲しいレフ」

蛆実装は女性を見つけ、そう懇願した。

「いやよ、忙しいんだから。
それにあなたの『ぷにぷに』は際限がないでしょ。
お姉ちゃんに頼みなさい」

「いやレフ。
ニンゲンさんの微妙な指使いがたまらんのレフ」

女性は無視して手近な木から果実をもぎ取る。
蛆実装はその木に体を巻きつけると、ひそひそと話しかける。

「お嬢さん、ここだけの話レフ。
そんな果実よりもっとすごい果実があるんレフ」

「すごい果実?」

「そうレフ。
一口齧れば、左右の鼻の穴から色違いの血が噴き出すほど刺激的な果実レフ。
ぷにぷにしてくれたら、その在り処を教えるレフ」

蛆実装は「ぷにぷに」して欲しさに適当なことを言った。
女性はそんなにすごいものならと、指を艶かしく動かしながら、
長い長い蛆実装の胴を揉みしだいた。



  ※



女性は蛆実装の案内で、コロニー中心へと向かう。

「蛆ちゃん、この木の実は食べちゃ駄目だって言われなかった?」

「大丈夫レフ。
あんな老い先短い老人の話なんか、無視すればいいレフ」

「蛆ちゃん、マジ外道ね」

そう言いながら、女性は禁断の果実に手を伸ばした。
一つをもぎ取り、そして齧る。

「何これ、美味しい」

「遠慮するなレフ。
おかわりもあるレフ」

その騒ぎを聞きつけたのか、男性と実装石もやってきた。

「何食べているデス?」

「蛆ちゃんが教えてくれたの。
この果実、最高に美味しいわよ」

「って、この木の実を食べちゃ駄目だって言われてたじゃないか」

「そうデス、怒られるデス」

「まあ、一口食べてみてよ」

女性は男性に果実を差し出す。
無視された実装石は腹を立て、両手を挙げてぴょんぴょん飛び跳ねる。

──これが人類史上最初の実装石に対するいじめであり、
実装石が食べ物に汚くなった理由だとする説もある。

「うめぇ! リンゴってレベルじゃねぇぞ」

「でしょ、アダム」

こうして二人は禁断の果実──知恵の実を食べてしまった。
アダムと女性は、実装石にこれ見よがしに美味しそうに食べる。
そのたびに実装石は地団駄を踏んだ。

「わかった、わかった。
食わしてやるからアーンして」

「アーン」

アダムは実装石の口の中に種を吐き出した。

「お前には種で十分」

さすがに実装石も怒りを爆発させた。

「蛆ちゃん、行くデス」

蛆実装を体に巻きつかせ、実装石はその場を離れた。



  ※



「あいつらだけ好きにさせないデス。
今まで禁じられていた、この木の実を食べるデス」

そう言って実装石が手に取ったのは、命の実だった。

「お姉ちゃん、蛆ちゃんも食べたいレフ。
お腹空いたレフ」

「うるさいデス、じゃあアーンするデス」

「アーン」

実装石は、ぷっと種を吐き出した。
自分が人間にされたのと同じ屈辱的なことを、
より弱い存在である蛆実装に対して行ったのだった。

命の実は知恵の実より食物繊維が豊富だった。
ものすごい勢いで実装石の腸内の宿便がかき出され、
通常の便とともに出口へ向かう。

「く、来るデス、すっごいのが来るデス。
糞便創生デス!」

実装石は緑色の便を噴出した。
楽園はたちまち、悪臭に包まれた。



  ※



この愚行はたちまち楽園の管理者、即ち神の知るところとなった。
知恵の実や命の実を食べたのはよしとしよう。
だが、楽園を糞だらけにされたのには我慢ならなかった。
神は楽園からその原因をつくったアダムと女性、実装石と蛆実装を追放した。

アダムと、後にイブと名づけられることになる女性は、
お互いが裸であることを恥ずかしいと感じるようになり、
急ぎイチジクの葉で股間を隠した。

知恵の実の種を食べさせられた実装石も、中途半端に羞恥心が目覚めた。
彼女たちもまた、禿裸が恥ずかしいものであると感じ、
体中を葉っぱで覆い隠したのだった。

その代わり、アダムと女性が知恵をつけたのに対し、
実装石は不滅の命を手に入れた。
それが彼女たちの再生能力である。

命の実の種を食べた蛆実装は、わずかながら再生能力を手に入れたが、
所詮はチリィ存在である。
「ぷにぷに」さえしてもらえれば、あとはどうでもいいという、
ある種の達観はこの時に養われたと言えるだろう。

楽園を追われたアダムと女性は原罪を背負った。
アダムは額に汗しなければ食糧を得られなくなり、女性は妊娠の苦痛が増した。

実装石たちも原罪を背負うこととなった。
蛆実装は体が短くなり、ずっと移動が困難になった。
実装石は永久に人間から疎まれる存在となった。
実装石が楽園で糞を漏らしたから神の逆鱗に触れ、
自分たちまでとばっちりを受けて楽園から追放されたと考えたのだ。

そのため、実装石を見た人間はわけもなく嗜虐性が高まるようになった。

そしてまた、ここに実装石が「楽園」を目指す理由を見出すことができる。
もしあの時、実装石が「種」ではなくちゃんと知恵の実を食べていれば──。
知恵の実と命の実の両方を食べれば、神に近い存在になれたはずなのだ。

そうすれば今この地球に君臨していたのは……。



(終)



※本当は、「ワタシはぱらいそさ行くデス」というネタをやりたかったんですが。
 キリスト教徒の方、ごめんなさい。

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