タイトル:【虐】 軍事ネタが含まれております。
ファイル:自爆実装.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:3784 レス数:0
初投稿日時:2007/01/04-07:49:58修正日時:2007/01/04-07:49:58
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【自爆実装石】

砂まじりの風が吹きすさぶ中、俺が乗ったハンヴィーは悪路を突っ走っていた。
座り心地の悪い椅子の上で収まりの悪いケツを浮かしたその時。
車体の下から実装石の絶叫が聞こえた。

「デデッ!!…デギャーーーーッ!!」

ドライバーが『Shit!』と吐き捨てる。
ガクン!と激しく車体が揺れると、水風船が割れた様な派手な音が後ろに通り過ぎた。
また一匹、実装石を轢き殺したようだ。
車体が揺れた拍子に、俺はしたたかに頭を打ち付けた。
ヘルメットを被っていなければ、怪我の一つもしたかもしれない。
ドライバーは巧みに車体をコントロールし、一切スピードを落とさず走り続ける。
こんな事でいちいち止まっていては、いつ待ち伏せたテロリストが撃つRPGの標的になるかわからないからだ。
実装石など何匹轢いても、俺達の命に比べれば石ころと同じ。
この砂漠の国ではそれが生き延びるためのルールなのだ。

『ファック! まったく、世界中どこででも糞蟲に悩まされるとはな…』
俺は取っ手にしがみつき、ひとしきり悪態をついた。
それが俺の最悪な一日の始まりだった。

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不意打ちのテロをきっかけに起こった戦争に、俺の国は電撃的に勝利した。
だが、戦争は終わってもすぐに祖国に凱旋できるわけではないのだ。
敗残兵やテロリストの掃討が完了し、敗戦国の自治が回復するまで占領地から撤退するわけにはいかなかった。
俺の所属する歩兵師団はまだ決められた任期が残っていたので、この砂漠の国で引き続き治安任務に当たる事になった。

そして全く予想外な事に、こんな砂漠の国にも実装石は暮らしていた。
テレビで見ていただけでは伝わらない事もあるのだ。
さすがにこの過酷な環境では実装石とて爆発的に増えることは無いようだが、人の暮らす所どこでも奴らは沸いてくるらしい。
残飯を喰らい、少ない水を奪い合い、ラクダに喧嘩を売っては踏みつぶされ、砂漠で干涸び、雨が降るとまた復活する。
全く、ゴキブリも裸足で逃げ出す生命力だ。
もともとはそんなに生息していたわけではなかったらしい。
俺たちがここに駐留する事でゴミが大幅に増え、それにつれて実装石の数もえらく増えたって話だ。
駐屯地を管理するお偉いさんにとっても、実装対策はさぞ頭の痛い問題だろう。
さっき轢き殺した実装石も、きっとそんな中の一匹だったに違いない。

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パトロール地区に到着したハンヴィーの足回りには、轢き殺した実装石の赤緑の体液がベットリ着いていた。
帰ったらすぐ洗車しなければ、実装石の血は一旦こびりつくと臭う上になかなか落ちないのだ。
『全くツイてねぇ…』
俺はため息をついて装備と弾薬を点検し、受持ち地域のパトロールを開始した。

兵士達の姿を見て、子供たちが食べ物を求め赤茶けた建物の間からわらわらと近寄って来る。
占領地にはよくある光景だ。
俺はポケットから配給のチョコレートを取り出すと、顔に笑いを作って子供たちに手渡した。
もちろんサングラスの奥の目は油断無く周囲を警戒している。
戦場ではいつ何が起きるか、誰にも分からないからだ。

チョコレートが無くなっても、子供たちは俺の周りから離れようとしない。
はしゃぐ子供たちの頭をなでながら、国に残した家族の事を考えていた。
ここの所、テロ組織の大規模な反撃は少なくなっていたので、任務も多少楽になっていた。
そんな状況もあってか、ちょっと油断していたかのもしれない。

ふと足下を見た。
そこに実装石が一匹いるのに気が付いた。
何か、違和感を感じた。
俺は一気に現実に引き戻された。

「みんな、家に入れ!」
叫んで子供たちを追い払う。
急いでM16A2を肩に構え直し、親指でセイフティが外れているのを確認する。

その身長50cmほどの不細工な生き物は、何やらデスデスと喚きながら俺をポフポフと蹴飛ばしていた。
首輪をしているので、どうやら誰か地元民の飼い実装のようだ。
糞蟲など今すぐ始末したい所だったが、飼い実装ではそうもいかない。
昔のイスラムでは、他人の所有物を盗むとそいつは罰として手首を切り落とされたと聞く。
今ではそんな風習は無くなったらしいが、こいつを殺せば飼い主と揉めそうだ。
地元民と面倒を起こすなと軍令でキツく言われているだけに、そいつは願い下げだ。

俺はゆっくり後ずさりしながら、ライフルの照準を実装石の頭にピタリと合わせる。
そして、実装リンガルの組み込まれたコミュニケーターのスイッチを入れると、その実装石に向かって叫んだ。

「動くな!両手を頭の後ろに当ててひざまづけ!」

俺の制止命令に、実装石が両手を振り回し血相を変えてデスデスと食い物を要求する。

「オイ、バカニンゲン! 高貴なワタチにも最高級の金平糖をよこせデスゥ!!」

どういうことだ?
糞蟲が兵隊に食い物をねだりに来た、というのか…?
ここの所そんな場面に出くわさなかった俺は、目の前の実装石にさらなる違和感を憶えた。

俺たち駐留兵は、任務の中で、そして溜まったストレスを解消するため、よく実装石を憂さ晴らしも兼ねて虐待していた。
訓練で銃の的にしたり、地雷を処理するため地雷原に放り込んだり、そして理由も無くただストレス解消のためだけに。
あまりに増えすぎてくると、大量に狩った実装石を積み上げガソリンをかけて燃やした事もあった。
だが煙があまりに糞臭く、装備に臭いが付くとかなり不評で結局燃やさず砂漠に埋める事になったのだが。

そんないきさつもあって、実装石の方でも次第に俺たち兵士を避けるようになった。
初めて俺たちが戦地に来て奴らに出会った頃に比べれば、兵隊は実装石を殺す危険なニンゲンだという認識が実装石達の間でもできているようだった。
最近では、俺たち兵隊に全く無警戒な実装石が近寄ってくる事はほとんどなかった。
ま、よっぽど知能の低い糞蟲でない限りは、だが。

しかし、こいつは間違いなくそのバカで身の程知らずの糞蟲のようだ。
さっきから食い物を寄越せと、頭から湯気を立てて俺に要求していた。
見た所、ただの実装石のようだが…?
だが、戦地では些細な事を見落とせば大きな危険を招く。
違和感の原因は…よくよく観察して、俺はその原因に気が付いた。
糞蟲の実装服はあちこちが不自然に盛り上がっていた。
まるで服の下に何かを隠しているかのように…。

修羅場をくぐった経験からくる勘が俺に危険を知らせた。
畜生、間違いない。
こいつはトラップだ…。

「動くなと言っている! 従わないと即刻射殺するぞ!!」

俺を見下し傲慢な態度で餌を要求していた実装石の顔が、引き金に掛かった指を見て一気に青ざめる。

「デェーーッ!? 撃つなデスゥ! ワタチを撃つとご主人様がオマエを許さんデスゥ!」

糞蟲の言う事を鵜呑みにするつもりはない。
こいつの背後関係を確かめねば。

「手を降ろし、ゆっくり服を脱げ! ちょっとでもおかしなマネをしたら撃つからな」

「デデ!? こんな所で服を脱げとは、なんてイヤらしい人間デスゥ!!
  だけど、お前がワタチを飼ってくれれば、このカラダは好きにさせてやってもいいデスゥ!!」

あまりの言い分に怒りで頭がクラクラしてきた。
頭が悪いにも程がある。
この糞蟲は自分の立場が分かっていないのだろうか?

「いいか、10秒以内に脱がなければ射殺する!10・9・8…」

「デ、デェーー!? わかったデスゥ、 脱ぐデスゥ! まったくせっかちな人間デスゥ〜!!!」

服を脱ぎ始めた実装石。
俺はその醜い光景に吐き気がしてきた。
こんな不細工な生き物のストリップショーなど見たくもない。
妙にセクシーなポーズで服を脱いだ実装石は、あろうことか興奮している様子で、緑色に汚れた下着の中にたんまりとパンコンしていた。
しかし、そんなものより実装服の下から現れた物を見て、俺の顔から一気に血の気が引いた。

実装石の身体に縛り付けられた、2KgはあろうかというC4爆薬と埋め込まれたネジ釘、そして配線で繋がれた携帯電話。
間違いない。
こいつは俺たち駐留兵士を殺すために仕掛けられた、テロ用の自爆実装だ…。

視界がきゅうっと狭くなり、恐怖で喉が干上がる。
爆弾を背負った実装石が爆発し、兵士が死亡する。
いつかブリーフィングで聞いた他人事が今、俺の目の前で起きていた。
畜生、なんで俺がこんな目に…全くつツイてねぇ…。

だがこんなときでも、訓練講習で叩き込まれた知識が自動的に反芻される。
このタイプの仕掛け爆弾は、起爆操作が携帯電話へのコールで行われる。
この爆薬の量からして、爆発したら恐らく半径50mは殺傷域に入るだろう。
俺や近くの民間人は間違いなく五体満足ではいられない。

今すぐに仕掛けた奴を見つけ出して無力化したい所だったが、こういう時焦ってはいけない。
テロリストは爆弾を最高のタイミングで爆発させるために、必ずこのやり取りをどこかで見ているはずだ。
しかし、今日はあいにく砂嵐のせいであまり視界が利かなかった。
でなければ、とっくに俺は黒ヒゲ危機一髪よろしく吹き飛ばされてヴァルハラ行きだろう。
幸運の女神はまだ俺の手元から逃げてはいないようだ。
まずは時間をかせがなければ…。

俺はバカ面をして立っている実装石に話しかけた。

「お前、自分が身につけているのが何なのか知ってるのか?」

「ご主人様は、高貴なワタチのために作った特注のハイテク下着だと言っていたデス〜。
 ちょっと重いけど、電話も付いてとっても便利デスゥ。二人の愛の証デスゥ!!」

「い、今電話はしなくていいぞ。それよりお前、食い物が欲しかったんじゃないのか?」

「ハッ、そうデス!早く金平糖をよこしやがれデス!!
 ご主人様が、兵隊は高貴で美しい実装石にはいくらでも金平糖をくれると教えてくれたデスゥ!
だから早くよこせデスこのバカニンゲン!!」

ふざけた物言いだ。
俺の怒りにも限度って物がある。
しかし、この状況では無闇に虐待をするわけにはいかなかった。
とりあえず俺はポケットを探って、MREレーションに含まれていたゼリービーンズを取り出すと奴に投げ与えた。
だが実装石は拾ったゼリービーンズを口に入れるなり激怒して、

「デシャーー!? こんな甘いもん食わせてワタチを糖尿病にするつもりデスか!!
まったくお前ら毛唐はよくこんな物食えるデス!! コレじゃなくて金平糖を寄越せデス今すぐデス!!」

とクチャクチャ言いながら口からビーンズのかけらを飛ばして俺に文句を言った。

『こいつ、ぜいたく言いやがって…んな事言ってしっかり食ってるじゃねえか!! 
金平糖だって? そういえば支給品があったか…』

レーションと一緒に、実装石避けに支給されていた金平糖があったのを俺は思い出した。
国では滅多に見ない甘味だが、実装石は特にこの金平糖という物に目がないという話だ。
『ばらおとめ堂の金平糖』と書かれた袋から金平糖をひとつかみ取り出すと、俺は自爆実装に投げ与えた。
実装石は礼も言わず地面に落ちた金平糖を引っ掴むと、俺を威嚇しながらボリボリむさぼり食い始めた。

『なんて浅ましい生き物なんだ。誰もお前から金平糖を盗りゃしないって言うのに…』

ああ、そんな事より起爆を阻止する方法は無いだろうか。
俺は必死に頭を回転させて考えた。
まず、今自分で爆弾処理するのは無理だ。
かといって爆弾処理班を呼ぶことは出来ない。
仲間が集まった所で起爆させるのが、最も効率よく兵隊を殺せる方法だからだ。
そして俺が逃げれば周りの人間が巻き添えを食って死ぬ。
何とかしなければ…。

こういう場合の対処法はいくつかあるが、まず一つは周辺の基地局への電源を遮断することだ。
だが通信インフラを止めてしまうのは地元の反対もあってなかなか難しいのが現状だ。
もしくは最近配備された車載式電波ジャマー(妨害装置)があれば爆弾へのコールが不可能になるかもしれない。
テロリストにバレずに爆弾を無力化するにはそれを呼ぶしか無いだろう。

俺は近くで巡回していた仲間に、ハンドサインで中隊本部への緊急連絡を要請した。
ただならぬ様子に相棒は状況を察知してくれたようだ。
あとは中隊が迅速に事態に対処してくれる事を祈るしかない。
おれが路上のシミになる前に間に合えばいいが…。

そんな俺の焦りをよそに、実装石は地べたに座り込んで意地汚く金平糖をむさぼり食っていた。

「ガリガリ、まったく、人間は馬鹿な生き物デスゥ。ボリボリ、私に貢ぐために、ガリッ、生まれてきた生き物に違いないデスゥ!!
あー美味い!! この金平糖は美味いデスゥ!! ニンゲン!! もっと持ってこいデス!!」

あり得ないくらい自己中心的な実装石を見つめる俺の心に怒りの炎が燃え上がる。
今の俺の窮地はすべてこのファックな糞蟲のせいなのだ。
もしこの場にハートマン軍曹がおられたら、この両生類のクソをかき集めた価値もない地球上で最下等の生命体を
考えうる限りの残酷な方法で地獄送りにする事を許して下さるだろう。
だが、とりあえずそれは爆弾を解除した後の楽しみだ。
俺は怒りを抑えて、時間稼ぎに自爆実装に尋ねた。

「おいお前、家族はいるのか? 」

「当たり前デス!! ワタチの可愛い仔実装ちゃん達が、ご主人様と一緒に帰りを待っているデス!!」

「なんだと? お前の主人はどこにいる? いったいどうやってここまで来た?」

「ワタチのために用意させた高級車に乗って来たデス!! 高貴なワタチが足で歩くわけないデス!! 当然デス!!」

「(ふざけやがって何が高貴だ!)…その車、まだこの近くにいるのか?」

「それは教えられないデス! オマエみたいな虐待派の兵隊にワタチの可愛い子供達を会わせるわけにはいかんデス!!」

こいつは糞蟲だが子供には愛情深いタイプか。
子供には可哀想だが、お前はもう二度と可愛い子供達とは生きて逢えないだろう。
もちろん俺はそんな事おくびにも出さない。

「だったら子供のために、俺のあげた金平糖をお土産に持って帰ってやれよ」

「そうデス、これっぽっちじゃ全く足らんデス!! もっと金平糖寄越せったら寄越せデスゥ!! 
ホントにオマエは気が利かんデス!!」

俺の我慢にも限度がある。
爆弾が爆発するより先にこっちの怒りが起爆しそうだ。
ライフルの引き金にかかった指が思わず動きそうになった。

気が付くと街頭に喧しく流れていたコーランの詠唱が止んでいた。
路上からはいつの間にか人影が無くなっている。
周囲の状況を確認する。
仲間のハンドサインが、俺に爆弾への対処が終わったと教えてくれた。
反撃のチャンスだった。

俺は糞蟲の首根っこをつかんで吊るし上げた。
糞蟲は首を絞められ、顔を赤緑にしてもがきながら恐怖でブリブリと脱糞した。

「デシャー!! グ、グルジイデズー!! ゴシュジンザマに言いつけてオマエを痛めつけてもらうデズ…ゴホ、ゲフォ!!」

実装石の身体にくくり付けてある携帯電話の表示を急いで確認する。
携帯電話の電波強度を示すインジケーターが、『圏外』を表す記号になっていた。
どうやら、通話を遮断する事に成功したらしい。
これでテロリスト側から爆弾を起爆させる事は不可能になったのだ。

もう情けは無用だ。
俺は吊るし上げた実装石を地面に叩き付けた。
奴はデギャ!と叫び、血を吐きながらゴロゴロと転がった。
実装石をブーツで手荒く踏みつけると、実装石はもがきながら俺を威嚇した。

「なんて事するデス!! ワタチにヒドい事するとご主人様がタタじゃおかんデス!! オマエなんぞ即死亡デス!! ワタチに土下座して詫びるデスー!!」

こいつはまだ自分が俺より立場が上だと思い込んでいるようだ。
俺は踏みつけたブーツにさらに圧力を加えた。
実装石の顔に血管が浮かび、顔全体がふくれて緑黒くなり、口から舌をはみ出させてヒィヒィ喘ぎ始めた。

「や、止めるデス…止めて下さいデス!! このままでは死んでしまうデス〜お願いデス!!…デェェーン!!」

テロリストが降伏してくれば、事情によっては逮捕とかそういう対処もあり得るかもしれない。
だが、実装石が泣くとかそういう命乞いは人間相手には何の意味も持たない。
ゴキブリが命乞いをしたからといって相手に情けをかけるか?
立場の異なる生き物がお互いの生きる領分を侵した報いは受けねばならないだろう。

俺はグレネードポーチから手榴弾を取り出すと、実装石の頭に拘束用ナイロンコードで外れないように縛り付けた。
そしてグリップ状のセフティレバーにワイヤーを巻いて通すと、実装石の両手を上にあげワイヤーの両端をそれぞれの手に縛り付けた。
説明すると、手榴弾はセフティピンを抜き、セフティレバーが外れないと、投擲手の安全のために信管が作動しないようになっているのだ。
もうお分かりだろう。
俺は、テロリストを見習って実装石を逆にブービートラップに利用するつもりなのだ。

実装石は、自分が殺されるかもしれないと気付いたのか全力で俺に媚びている。
先ほどまでの態度とは大違いだ。
俺は現実を宣告してやった。
手榴弾のセフティピンに指を掛け引き抜く。

「お前の頭に縛り付けたのは手榴弾だ。ちょっとでも手を動かしてレバーが緩めば信管が作動してドカン!だ」

「デェェ!!デッス〜ン、命だけは助けてクダサイデスゥ〜!! お願いデス〜」

「いくら媚びてもお前を許す事はありえない、あきらめろ。」

「ワタチには可愛い子供達がいるんデス〜!! ワタチが蛆ちゃん達を育てなきゃ死んでしまうデス!! だから殺さないでほしいデス!!」

「…そうか、ならばお前のご主人に助けてもらえばいい。この近くにいるんだろ? ご主人様の所に行って頭の手榴弾を外してもらえ。さぁ、行け!!」

「デェ、ホントデスか!? アリガトウデス〜感謝するデスあなたは命の恩人デス〜!!」

俺が押さえつけていた足を緩めてやると、実装石は一目散に走って逃げて行った。
だが10mほど行って止まると、俺の方を振り向いてニターっと邪悪な笑みを浮かべて、

「デシャー、この糞人間が!! オマエは絶対に許さんデス!! ご主人様に言いつけて地獄を味あわせてやるデス!! そこで首を洗って待っていろデス!!」

と捨て台詞を残し、両手を上げた無様な格好で走り去った。
全く最後まで糞蟲らしいふざけた態度だ。
俺は急いで遮蔽物に隠れると、実装石の行方を追った。
恐らく、テロリストは携帯電話から信号を送っても爆弾が点火しないのに焦っている事だろう。
こちらが妨害手段を使用したのに気付いたなら即座に状況を放棄して逃亡するはずだ。
動け。
そのときがテロリストの最後だ。

俺は実装石の懸命な、しかしなかなか前に進まない逃走を眺めていた。
それはまるで時間が止まったかのような感覚だった。
実装石は何度も何度も転び体中キズだらけになり、その度に血と涙と体液を垂れ流しデェェンと泣き喚きながら逃げ続けている。
生き延びるための希望を求めながら。
だが、主人の元に辿り着いたときが実装石の人生の幕切れなのだ。

と、50mほど先の白いBMWのウインドウが開き、中からAKと思しき銃口が顔を出すや実装石に向けて火を噴いた。
とうとう追いつめられたテロリストがしっぽを出したのだ。
実装石はギャッ!と短く叫ぶと宙を舞い、地面に倒れ込んだ。
どうやら腕と足を撃たれたようで、無惨に右足が弾け飛び、そこから血が流れて地面に血溜まりを作っている。

「痛いデス…ご主人様…何でワタチを撃つデス…ワタチは生きなければいけないデス…沢山子供を育ててシアワセになるデス…デェェーン」

だが腕が撃たれた時、頭の上の手榴弾のセフティレバーがピン!と音を立てて外れていた。
レバーで押さえつけられていたストライカーが弾けて叩かれた信管が発火する。

ワンサウザンド・ワン、ワンサウザンド・ツー、ワンサウザンド・スリー…

血の跡を引いて泣きながら主人の元に這いずっていた実装石が閃光に包まれるや、爆発してバラバラに弾け飛んだ。
辺り一面に手榴弾の破片痕が穿たれ、元実装石だった身体の一部が赤緑の汁をまき散らしながら道路や車にビチャビチャと音を立てて張付いた。

白いBMWが窓から銃を乱射しながら急にバックするや、後ろに停まっていた車に激突した。
そして、ホイールをスピンさせながら急いでその場から逃亡しようとしたが、包囲していた友軍の猛烈な射撃の弾幕に包まれた。
あっという間に車両は全面穴だらけになった。
俺も手元のM16A2を構えるや、BMWの足回りに向けてバースト射撃で何発も5.56mmを叩き込む。
タイヤに弾を受け動けなくなったBMWに、分隊のハンヴィーが搭載していたTOW対戦車ミサイルが撃ち込まれた。
白い尾を引きながらTOWは車体に吸い込まれ、車は盛大に炎を上げて四方に爆散した。
乗っていたテロリストも、そしてさっき死んだ実装石の子供達が車内にいたとしても、間違いなくあの世行きだ。
そして俺はなんとか生き延びる事が出来たのだった…。

周囲に人の姿が戻り、コーランの詠唱が再び鳴り響き始めた。
俺はタバコに手をやろうとして禁煙していたのを思い出し、懐を探った。
まだ金平糖が残っていた。
一粒口に含むと、疲れた身体に甘さが心地よかった。
実装石がこれに執着するのも分かる気がする。

俺は銃のマガジンを交換し、仲間達の元へと走って戻っていった。
長い1日はまだ終わっていない…。



<終>

=====================

このスクの軍事描写には正確性を期待しないで下さい。
いろいろ分かんない事も多いもので…。
文章に対するご指摘がありましたら遠慮なくお願いいたします。
では。

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