タイトル:【虐】 後編デス…長い雨は少し反省しているんですけどそーいう作りなので
ファイル:やさしい群れ02.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:4383 レス数:0
初投稿日時:2006/12/31-14:20:55修正日時:2006/12/31-14:20:55
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やさしい群れ 後

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やがて、何匹かの実装石が集められると、
彼女は、ゴミの中から拾われた板に乗せられ慎重に運ばれた。

人間の捨てたゴミの山から少し離れた草むらに、小さな不燃ゴミの山があった。
それが、彼女を助けた実装石の群れが住む村であった。

彼らは1つの巨大建造物を作り上げ、その中を区分けして共同生活を営んでいるのだ。

正確には全てが彼らの作ったものではない。
積み上げられた不燃ゴミから、彼らの力で取り除けるものを取り除き、動かせるものを動かし、
持ってこれるものを持ってきて、工夫して雨風を凌いで中に住める”隙間”を作ったのだ。


それは、村と言う個々の家の集合体ではなく”砦”いや、”城”である。
テレビや洗濯機と言う、彼らには巨大な建造物で覆われた…。


そこに運び込まれた彼女は、沢山の実装石によって処置を受ける。


火傷自体は、全身の8割を焼いていたが、実装石には致命的ではない。
大半は皮膚が何層分か焼けている程度だ。

人間ならば、代謝や温度調節の機能を失い致命的…実装石にも似たような症状をもたらすが、
実装脳や心臓と同じく、その機能を本当に必要としている訳でもなければ、違う何かがその役割をしていたり、代替できたりする。
しかし、厄介なのは焼けとけて皮膚に癒着したビニールである。

3匹掛かりでコレをビリビリと剥がして行く。

最初、彼女はその姿と痛みに、”やはり食われるのでは…”と絶叫を上げた。

だが、群れの実装石達は、暴れる彼女に「しっかりするデス」「暴れてはいけないデス」とやさしく宥められた。

やがて彼女は、安心すると共に襲う痛みに、結局は暴れ疲れる形で大人しくなった。



「しっかりするデス…今、お薬を塗るデス
 とても染みるデスけど、とてもよく効くハズデス」

「デッデギュゥゥゥゥゥ…」

「ガマンデス…これはとてもクサイ草、とてもニガイ草などを集めて、ニガイ木の実の汁で混ぜたモノデス
 毒を食べても早く身体から出せるデス、切り傷も早く治るデス…きっと火傷も治るデス」


全身の殆どの皮をビニールと共に剥がれた彼女の全身に、緑のゲル状の液体を塗った布が貼られて行く。


彼らが用意したものは、只の草と木の実を混ぜ、丹念に擂っただけの代物で、薬でもなんでもない。
ただ、彼らは薬と信じる事で、傷が早く治ったと感じたり、何にでも効果があると期待をするのである。

プラナリアやヒドラの如き優れた肉体の再生能力を持つ実装石には、
逆に、栄養補助以外の薬品で治療効果は期待できない。

無駄に薬品の作用が強く出るため、むしろ副次作用で悪影響のほうが目立って身体を壊してしまう。
(風邪薬の睡眠薬が効きすぎて植物状態になったり、下痢止めで何日も糞が出なかったり…)
まして、彼ら程度が集められる草花に仮に薬事効果があっても、塗って”火傷”が治療できる薬は存在しない。


だが、逆に言えばその無知さが、薬の最大の効果”安心感”を与える。

ストレスが直接的に、目に見えるほど影響の大きい実装石には、その”安心感”が最大の治療効果となる。

彼女もまた、身体を動かす度に襲い続ける皮膚の痛みが、
薬を塗ってから時間の経過と共に痛みが和らぐ”気がした”

痛みを感じないだけで流石に物理的な損傷を直すには至らないのだが、
痛みを感じなくなっただけでも、彼女は手を動かせるほどになった。

「まだ、動いてはダメデス…沢山栄養をつけて早く治すデス。
 みんな、アナタを心配しているデス、はやく元気になってみんなで楽しく暮らすデス」

そう言うと、その実装石は果物や木の実を食べさせてくれた。


彼女は涙を流してそれを咀嚼した。


こんな姿になっても迎えてもらえるやさしい群れがある…
夢のような話だ…


禿裸にやさしいという彼女の基準は、無関心であるというのが常識だ。
勿論、自分がその立場になれば、それ以上の待遇を望んでしまうのだが、
常識内では無関心で居る事が、彼女の考えられ、見て知りうる最大の禿裸へのやさしさであり、
それは個体同士での話でしかない。

集団を形成すれば、無関心で見て見ぬ振りと言う事すら出来ない。
それが実装石の本能である。

まして、動けないものを助けるなど、お嬢様育ちの飼い実装でもやらないだろうし、
群れとしては何の役にも立たない以上、どんな理由がアレ面倒を見ることは、
目先の考えでも長期的視野でも、メリットなど存在しない。
放って置いても勝手に後継が育つのだから、食ってしまうかサンドバック以外の利用法など存在しない。

街の実装石などその程度のモノであり、同時に、実装石にしては合理的な”生態”でもある。


だが、この群れは、形だけでも薬が存在する事から、それをする習慣を持っているのだ。

まさに彼女から見れば夢のような環境なのだ。

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彼女は、毎日、代わる代わるで付きっ切りの看病を受けた。

処置の翌日から、衛生状態のためか、軽い感染症で熱を何日か出し続けた。
薬は結局、心理的効果しかもたらさないものであった。

だが、毎日、その状態でも介護により食事を与えられた彼女は、それにより回復し、
今では、完全ではないが、運び込まれた部屋を這って歩く事は出来るようになった。


毎日、薬を塗ってもらい、食事を貰えるだけでなく食べさせてもくれる。
寝たままでも糞の後始末すらしてもらえる。

街の野良では、ハーレムのボスの受けるような扱いだ。


だからといって、傷が軽減される事は無く、
普通なら、死ぬ事によって感じることは無かったであろう、治りが遅く刺す様に痛み続ける苦痛を感じ続け、
高慢な態度に変貌する暇も存在しない。
粛清な態度で、日々、献身的な看病を、感謝の涙を流して受け入れていた。


考える事は、わが身に降り注いだ不幸の数々と、この群れへの感謝の気持ちである。


その甲斐あってか、彼女は重度の火傷を負った箇所は無理だが、薄皮を焼かれたところの大半は元通りに再生していた。
皮を一旦剥いた事で、前髪の辺りには完全ではないが、疎らにうっすらと髪も生えてきている。
ただし、後頭部は重度なので、前髪が僅かに生えただけでは、むしろみすぼらしさが増すだけであるが…。

表面的にはだいぶ状態は良くなったが、精神的なショックと、
一応役割を果たす脊髄や頚椎に及んだ火傷が原因で、彼女の身体は完全な自由を失った。
特に下半身の動きは絶望的で、バランスの悪い体型を支える事が出来ず、
移動するにはハイハイの姿勢を取るしかなかった。

彼女は自由にならない身体を呪った。
この群れは自分の姿を受け入れてくれる…この世界ならもう一度仔を作り、幸せを再現できる。
そして、本当のこの群れの一員として生きて生きたい。
それが出来ない自分が…。


「何をあせっているデス?」


ある日、彼女は助けられた実装石にそう聞かれた。


「ワタシはお世話になってばかりデス…何か恩返しがしたいのに、ワタシは一向に傷が治らないデス。
 働けないデス」

やや間があって、その実装石が口を開く。

「ワタシ達は、ある日、気が付いたらココに居たのデス。
 他に群れは無くて、ジッソウセキはとても少ないデス。
 だから競争は殆ど無いデス…競争は無いけど、とても厳しい世界だったデス。
 だから、ワタシ達は身を守る為にお城を作ったデス…信頼できるナカマ達のお城は安心デス。
 ここは、ニンゲンさんのゴミを利用しているお城なのデス…。 
 でも、お家の材料は一杯あるデスけど、ニンゲンさんのゴミには食べ物が殆ど無いデス。
 だから、ワタシ達は数少ないナカマ達と協力し合って生きてきたデス。
 この群れに必要なのは、ナカマとの強い絆デス…だからナカマは見捨てないデス。
 ナカマ同士厳しい世界を生きるには沢山の信頼できるナカマが必要デス。
 アナタも一緒に働いてくれたらとても嬉しいデス、でも、無理はいけけないデス。
 動けなくてもワタシ達の為に働く方法ならあるデス…助けた分はちゃんと働いてもらうのがここの礼儀デス」

そうして、彼女は、その実装石に連れられて、お城の中を見て回った。

お城の中には、沢山の部屋があり、一家に1部屋が割り当てられていた。
雨水を貯めて置く容器もあり、また、城の隙間から入り込む雨水が巡りめぐって何箇所かの容器に溜まる仕組みにもなっている。
驚く事に、自分達が教育を受けていたときの事を応用して、仔を集めて教育する学校まで作られている。
さらに、複数が集まる集会所もあり、厳しい冬に備えた、暖を取る為の枯葉置き場や食糧倉庫なども説明され見せてもらった。
さらには、自分達の糞から堆肥を作り、キノコを育てる事まで説明されて目を丸くした。


全て説明されても彼女の理解を超えた世界があった。


「デデェ…ニンゲンみたいな生活デス!」

「ニンゲンの生活はこんなものではないデス…ワタシ達は、昔、ここに来る前には、
 ニンゲンさんのお手伝いをするように育てられていたデス。
 とても厳しくニンゲン達に苛められてお勉強されられていたデス。
 その時にニンゲンさんの生活を学んで、色んな事が出来るようになったお陰で、
 ここで、こんな生活が出来るようになったデス。
 ワタシ達がお勉強で賢くなって居なかったら、このお城があっても生きては行けないのデス」

そして、そこには、何匹もの禿裸の実装石も黙々と働いている姿が見られる。
お城の地下、穴が掘られたキノコ工場や堆肥工場で、汗して働く実装石のナカマを上から見学した。

「彼らも、アナタと同じく、安住の地を求めて彷徨っていたデス。
 だから黙って働いてもらっているデス。
 ここは、兎に角、食べるものが少ないデス…”彼ら”は色々な意味で役に立っているデス」

禿裸でもナカマとして労働しているのだ。

禿裸でも”大切なナカマ…”

でも、彼女は意欲はあっても、体が不自由なのだ。


彼女は思った…そして考えた。

動けない自分に出来て、この群れに貢献できる事…。

その答えはすぐに出た。
だが、彼女はそれを口にするのを躊躇った。



だが、さらに何日か世話になるうちに、再びあの実装石が心配してくれた。

「デスゥ?どうしたデス…最近食欲が無いデス…」

”またやってしまった…”彼女はそう思った。
命の恩人にして、やさしいナカマに、また、いらぬ心配をさせてしまった…と。
この禿裸の姿にされ、ニンゲンに焼かれて以降、自分が臆病すぎて逆に迷惑を掛けていると思った。

この足が2度と普通に歩けるまで回復しないのではないかと言う不安もあった。

だが、彼女は考えに考え続けていたのだ。
不自由な自分でも出来る仕事について。

「デッ…わ・笑わないで欲しいデス…。
 ワタシも皆のナカマとしてお役に立ちたいデス…それで、一生懸命考えたデス。
 動けないワタシには何も出来ないデス。
 でも、ワタシはみんなの為に仔共を産みたいデス…少しでもみんなの労働力に貢献したいデス。
 ワタシは、とってもとっても幸せで豪勢な生活をしていたのをニンゲンに踏みにじられ、
 仔達は焼かれてしまったデス…。
 ワタシは安住の地で、ひっそりと我が仔との生活を取り戻したいのが願いデス。
 それには、ここは理想郷…今のワタシには楽園に思えるデス。
 ワタシに仔を産ませて、ナカマのお役に立てて欲しいデス!!
 仔が生まれればナカマが増えて、みんなの為になると思ったデス。
 でも、こんな身体では、産んでも育てられないので、また迷惑を掛けてしまうデス…」

「そんな事なら心配する必要は無いデスゥ。
 ワタシ達は、アナタの心配どおり、少しでもナカマを必要としているデス。
 仔育ての事なら、ワタシ達には”学校”があるデス。
 アナタの方からそう言っていただけるなら大歓迎デス!
 きりきり産んで、産みまくって、ナカマを助けて欲しいデス」


翌日より、彼女の願いは聞き入れられた。

他の実装石に、機械的に花を突っ込まれるだけ…それを1日、食後に繰り返す。
何の情緒も存在しないのだが、彼女は幸せを実感していた。

この不自由な身体で、また、我が仔を生める…育てて貰える。

ワタシの仔が、このお城の学校で勉強すれば、きっと賢く愛情溢れた仔に育つだろう。
そうすれば、ワタシの身の回りの世話をしてくれるに違いない。
そして、群れに貢献し、ワタシはその親として賞賛を浴びることになる。

そう思い描けば、機械的な作業でも、忘れかけた快楽を思い出し「デッスゥゥゥン♪」と声を荒げ興奮して果てた。
そして、絶頂する事で見事に妊娠を果たした。

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妊娠を告げられ歓喜する彼女は、日々大きくなるお腹を抱え、
嬉し涙を流しながら、日々、胎教にいそしむ。

もう前の仔達のような悲劇には合わせない…丈夫で賢い仔に…その願いを込めて。

「デ〜デッデロゲー♪ワタシのワタシの賢い仔デス
 デ〜デッデロゲー♪ワタシのワタシの可愛い仔デス
 今度はウンチで育てないデスゥ〜♪お腹がすいたからって食べたりしないから〜デ〜ゲロッ♪
 今度は置いて逃げ出したりしないデスゥ〜♪デッデロゲー♪
 安心して大きくなるデスゥ〜♪丈夫に生まれてくるデス〜デ〜ゲロッ♪
 生まれてくればぁ〜ごはんがあたり♪キリキリ学んで、キリキリ働き、ママを助けるデッスゥ〜ン♪
 デ〜デッデロゲー♪ワタシのワタシの賢い仔デス
 デ〜デッデロゲー♪ワタシのワタシの可愛い仔デス」

そして、出産の時…動けない彼女の為に、仔受けの水まで用意してもらい出産が始まる。

ポチャ…「テッテレ〜ン♪」
ポチャ…「テッテレ〜ン♪」
ポチャ…「テッテレ〜ン♪」

…

次々と生れ落ちる仔を、膨らんだ腹越しに顔を起こして覗き込もうとする彼女。
その産声と後の甘える声に、再び、我が仔が踏まれた実感で幸せに包まれる。

「デェェェェェッ…ワタシの仔が…ワタシの仔が生まれているデス!」

「元気な仔達デス…あなたに似て丈夫そうな仔デス!これなら、立派に”ナカマの役に立つ”デスゥ♪」

「デデッ…はやく”膜”を取らなきゃデス…」

「心配はいらないデス、それはワタシ達がやってあげるデス…ほら聞こえるデス?」

「テチュ〜♪ママ ママ ナメナメ クスグッタイテチュ〜ン♪」
「テッチュー♪ソコ ヘンナカンジテチュー モットモット ナメルテチ!テッ!ワタチ トンジャウテッチィィィィ」
「ママァーママァー!ワタチ、おテテ伸びてきたテチィ♪見て見てテチュ♪」
「ママ〜ワタチがイチバンカワイイからおチチ貰うのイチバンテチュー!!」

姿は見えないが、楽しそうな仔達の声に安堵する彼女。

「デェェェェ(グスン…ズズズ)ワタシの仔デス…こんなワタシでも産んだデス…」

彼女の知識では、禿裸が健全な妊娠出産をした話は聞かない。
禿裸と化してから、そんなに長くまともな姿で生きている例を見た事が無いためだ。

「デズゥゥゥ…ワタシの仔…抱きたいデス…見せてくれるデス?お乳をあげたいデス…服はちゃんとしているか見たいデス」

当然、禿裸の仔がどんな姿かも知らない。
見たのは、親と仔ともども禿裸にされ公園に捨てられた姿で彷徨っているものぐらいである。
だから、彼女には禿裸の仔は禿裸で生まれてくるのではないか?という不安があった。

「ダメデス…アナタは怪我人デス…お乳も出せなくなっているデス。
 でも、心配ないデス…ワタシ達がしっかり学校に預けるデス。
 アナタには、もっと身体を休めてお仕事をしてもらうデス…ナカマの為デス」

彼女は、我が仔を見ることが出来ずに悲しくなった。
あの仔達は、ワタシをママと分かってくれるだろうか…いや、みんなと同じく学校で育ててもらうのだ。
ちゃんとワタシをママと分かってくれる賢い仔になって、
立派になってワタシの元に来て、ワタシに今と同じ楽な生活をもたらしてくれるハズだ。

そんな妄想に浸っていると、仔を産んだ直後で、まだ腸の機能が戻っていない排泄口に違和感がある。
出産の痛みの残る肉体に容赦なく何かが出入りしている。

「デッ!イタイデス!何をしているデス!?」

「お仕事に決まっているデス…何を言っているデス?
 アナタの願いを叶えてやっているデス…ガマンするデス
 ガンガン、キリキリ頑張って仔を産むデス…こんな木の枝を3本も咥え込んで汁をたらして何がイタイデス?」

いくら出産後にすぐ妊娠できるデタラメ生物とはいえ、
流石に、出産の為に腸が途中から閉塞され産道が強制的に繋がる肉体変化をする直後では、
内臓がメチャクチャになっている上に、神経も過敏で流石に痛いのだが、
自身で動きもせずに、オナらされていた彼女は、パブロフの犬状態で、そうされれば肉体は反応して達した。

今の彼女は、物さえ突っ込まれて弄られれば絶頂を感じ、絶頂とともに妊娠する体となっていた。
全てを他人に任せた結果である。


彼女は、この姿を見られなかったが、妊娠した事で、再び胎教にいそしんだ。
それが、彼女に残された生きる目標だったからだ。

「デ〜デッデロゲー♪ワタシのワタシの賢い仔デス
 デ〜デッデロゲー♪ワタシのワタシの可愛い仔デス
 前の仔はみんなと一緒で幸せデスゥ〜♪学校でお勉強デス〜デ〜ゲロッ♪
 きっと何不自由なくゴハンも当たっているデスゥ〜♪デッデロゲー♪
 安心して大きくなるデスゥ〜♪丈夫に生まれてくるデス〜デ〜ゲロッ♪
 生まれてくればぁ〜面倒見てもらえ〜♪この群れのリーダーになってママを女王にするデッスゥ〜ン♪
 デ〜デッデロゲー♪ワタシのワタシの賢い仔デス
 デ〜デッデロゲー♪ワタシのワタシの可愛い仔デス」

そうして、再び仔を生む彼女…だが、今度も我が事は対面できなかった。
「マラ付が生まれたデス…珍しいデス」

「デッ!マ・マラ…殺してしまうデス!?」

彼女の中では、マラ付は殺戮をもたらす危険なものという認識で、
周りがやっていることを聞いての知識なので、彼女程度の知能でも、生まれたら悲しい事をするのが常識であったが、
今の彼女には、我が仔はマラ付でもかけがえの無いものであった。

「心配しないデス…マラも貴重デス…お仕事があるデス。
 悲しい事はしないデス、教育して乱暴もしないように出来るデス」

マラ付ですら、やさしく迎えられるとは…

彼女はさらなる幸せを感じ、再び、妊娠させられた。

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そうして、半年近くが過ぎた。
だが、彼女は不安を覚えた。
もう、だいぶ月日が過ぎたというのに…その間、休み無く仔を産み続けたというのに、
我が仔はワタシに合いに来てもくれないし、何の音沙汰も無い。

彼女の待遇は相変わらず…
水も餌も自身は動かずにもらい、身体も清潔にされ、下の世話もしてもらっている。
この部屋を与えられ、草と葉っぱのフカフカベットも毎日変えてもらえる。

変わった事があるとすれば、出産後の妊娠にマラ付があてがわれている事ぐらいだ。
乱暴に扱われるわけでも無いので、むしろ、出産後の行為に慣れた彼女には太い肉棒でハメられるのはご褒美みたいな物だ。

マラ付との行為で、妊娠から出産までの期間が異常に促進され、また一度の産数が多くなっても、
毎日、働かずに十分食べている彼女には肉体的な負担は少ない。

それでも日々募る不安に、彼女はある日、ついに意を決して、不自由な身体で部屋の外に出た。
我が仔に逢って、その元気な姿を1度でよいから目にしておきたかった。


彼女は学校に向かった。
ワタシの仔は、タクサンの仔は、ここで勉強しているハズだ。

隙間からそっと様子を覗く…
沢山の、様々な大きさの仔実装が、彼女に理解出来ない事をなにやら学んでいた。

タクサン居る…みんな賢そうだ…あの中のどれかがワタシの仔…
と思って彼女は気がついた。

あんなに産んだハズなのに、ぜんぜん数が少ない…
確かに仔はタクサン居るけど、他ナカマの仔だって居るはずだ。
ワタシの仔だけだとしても、ゼンゼン、産んだ数とは合わない…
数は正確に分からないが、このタクサンではなく、タクサンのタクサン…休み無く産んだのだ。
これっぽっちでは無い。

彼女は、別のところにも教室があると思い直して、不自由な身体で歩き回った。

だが、学校はあの部屋しかない…

再び、学校を覗きに行く。

「さぁ、皆さん、お昼ご飯の時間デス…今日も立派な栄養になる生まれたて仔マラ実装の半殺し肉デス」

仔達が向かう先には、全身をぐずぐずになるまで殴打された、生まれて間もない仔マラが、
学ぶ仔の人数分用意されていた。

「テッ…テェェェェ…テチッ!デッヂャァァァァァ…おテテ…ワタチのおテテ…ママ…ママ」

「デッチュー…ワタシは服が食べにくくてニガテデチュー」

「テェェェェェ…オウタ…お歌とゼンゼン違うテチ…ママのお歌と違うテチ…ママァァァァァ」

「テッ!コイツ、まだウンチ垂らすテチ…クソムシの仔はクソムシテチュン!
 先生!コレはクソヌキが足りないテチィ!」

「好き嫌いは良くないデス!みんな少ない食べ物を工夫しているデス。
 お肉は食べる機会の少ない大切なモノデス!
 アナタ達は、群れの純粋な将来を繋ぐエリートデス。
 クズ蟲の産んだ仔は貴重な栄養デス!残さず食べて早く大きくなる為に特別なのデス…」

「イノチの石は美味しいテチュ〜♪おハダツルツル、快便快眠でまた美しくなっちゃうテチィーン♪
 毎日でも食べたいテッチュ〜♪」

「バカがおだてられてポロポロ産むデス…もうすぐ、バカの仔の仔も増産体制デス。
 すぐに毎日のちっちゃい蛆ちゃんだけじゃなく、週に1度のバカな仔も毎日食べられるようになるデス!
 これも、賢いリーダーの長女様が、あのクズハゲハダカを”拾ってきてくれた”お陰デス、感謝するデス」


彼女を激しい不安が襲った。
そ…そんなはずは無い。
ワタシはミンナのナカマだ…ワタシの仔もナカマだ。
ナカマは大切だといった。

彼女は、どこかに我が仔が居るはずだと駆け回った。

火傷で機能不全になったと”思い込んでいた”肉体を走らせて駆け回った。

デタラメな実装石は、確かに脊髄などを損傷すると”一時的に”その機能は失われる。
火傷のような再生不能の損傷でも、付近のその他大半の肉体が生きていれば、
脊髄などなくても時間の経過とともに代替で機能するようになる。


肉体の不自由さは、彼女の甘えが肉体をそうさせていただけであった。



ふと、迷ったのか城の下の層まで来ていた。

下で働く禿裸たちの様子が、前に見たときよりはっきり分かる。

苦しそうに呻きながらの労働…糞と草の腐敗した世界で、彼らは進んで労働をしているわけではなかった。

足元には「出すデス出すデス…クサイデス…お腹空いたデス…ヤクソク!ヤクソク!」と喚き壁にしがみつく者たちが居る。

狂ったように、それを掘ってはかき混ぜながら、時折、ソレを口に運んでは腹を満たしている。
堆肥を抱え、出入り口まで運んでは、堆肥を渡して、再び蹴り返されている者も居る。

「デェェェェッ…いつになったらココから出してもらえるデス…いつになったらナカマにしてくれるデズゥゥゥ…」


その中には、彼女が前に見た時には居なかった、何匹もの仔実装たちもまぎれていた。

「ママァ…ママはウソツキテッスゥ…なにが幸せテス…ウンチまみれで、ウンチしか食べられないテスゥ…」

「ワタシのママも、そう歌ったテチィ!なのに、イキナリこんな場所に叩き落されたテチュー…テェェェェェンテェェェェェン」

彼女はガクガク震えた…

アレが、我が仔達だ…そんな気がしてならない…と。



そして、ふと、音が気になって覗いた部屋では…。

禿裸の実装が足を開いた形で台に縛り付けられ、股の下には、ゴミの容器が用意されていた。

その手は何箇所も傷が付けられ、服を着た実装石が、その液体を掬って目に塗りつけている。

「ワタシは忙しいデス!さっさと腹を膨らませるデス!明日の給食に間に合わないデスゥー!」
どうやら、思いの色の体液が流れるまで傷つけ、その体液で妊娠と出産を強制しているようだ。

別の台では、ボトボトと容器に仔を落としているものが居る。
仔は生まれた喜びを表現する間も無く、一緒に落ちる他の仔や粘膜の海に次々と溺れていく。
強制妊娠・出産で生きてすら居ない未熟児も居るようだ。

「テスゥゥゥゥ!生まれるテス!ワタシの仔!ワタシの仔を食べないで欲しいテスゥ!」

「フン!まだ、親指か蛆しか産めないくせに態度のデカイヤツデス!
 食べられたくなかったら、早く普通の仔を産める様にするデス!
 そしたら、お前の姉達の仔のように、肥料やキノコ作りの小汚い重労働に壊れるまでコキ使ってやるデス。
 まったく、態度のデカイバカ親にそっくりデス!でも、いうとおりお役に立ててやっているからオマエタチも満足デス?
 バカでハゲハダカにされたカスの仔の癖に、何がお勉強デス?何が面倒見てもらえるデス?
 カンチガイハナハダシイとはコノ事デス!デピャピャ…思い出すとおかしすぎてオナラ出るデス〜」

別の場所では、禿裸仔マラが、禿裸仔実装を犯していた。
突然、仔マラの動きが止まって、泡を噴いて倒れた。

「デッ!コイツはアカダマ出して打ち止めデス!次のを連れてくるデス!
 しかし、長女様も流石デス…マラ付に犯させれば、マラ付がさらに何匹か混じるデス。
 そのマラ仔でさらに仔を襲わせて、マラ蛆を増やせば、マラの分食い応えが増えるデス。
 ワタシ達の食料・労働事情は一気に解決どころか大成功で、ワタシの仔もスクスク育っているデス」

「長女様と、一応は、あのバカ親にも感謝しておくデス…」

「本当デス!あのバカを飼ってやるなんて思い付きのお陰で、
 ワザワザ、醜いヤツラに、ワタシ達と同じ食い物を与えてまで働かせる必要も無くなったデス♪
 労働力は使い捨てデス…デプププ…この快感まで味わえるデスゥ〜
 さすが、あの長女様は群れイチバンの天才デスゥ」

ガクガク…彼女は震えを止められなかった。

そんなはずは無い…あんなにやさしく接して、介抱してくれたナカマ達が、
こんな事をするハズなど無い。

だが、彼女の思考でも不審な点は繋がった。
彼女は1度も我が仔の姿を見ていない…いくら何でも生まれた直後に妊娠させられるのもおかしな話だ。
幾ら、自分が産みたいと願っていたとしても、さすがに産みすぎていた事を、ようやく認識できたのだ。

彼女は震える身体で、元の部屋に戻ろうとした。
これは、自分の悪い夢だ…元通り、あの部屋に篭って、何もしないですむ生活に篭って…
眠りに付けば、目を覚まして…そこには立派になった仔達が…いるハズなんだ…。

そうやって、人目を避けるように再び彷徨う…

いや、外への出口でもいい…全てを捨てて、もう一度、逃げ出すんだ。

出口から出れば悪い夢から覚めるかもしれない…



がむしゃらに開けて飛び込んだ先は…

キノコ栽培場が見える部屋だった。

「レジァァァァァァァ…ダ…ダズ…ゲデ…」
「レペペペペペ…レピャピャピャピャ…」
「レヒィィィィィ…カラダ…カラダ…」

そこには、生きたままキノコの苗床にされている親指や蛆たちが、青白い顔で生きたまま肉体を侵食されて呻いていた。
前は、普通に堆肥と土の上で作られていたハズが、残虐な生き地獄の光景になっていた。

そして、そのキノコの大きいものから、別の禿裸仔実装が生きたままの肉体から毟りとって収穫する。
それは堆肥と同じく、出口まで運べば、服を着た中実装達に奪われて、部屋に蹴り返される。

身体を蝕んだキノコを剥ぎ取られた蛆や親指は、そのまま体液をぶちまけ、弱々しく呻いている。
すぐには死なないが、栄養を取られて再生も出来ずにゆっくりと死にいくのだ。

後には、すぐに達磨にされ、頭に菌を植えられた親指や蛆が据え置かれ、顔を残して周りを堆肥で埋められる。
動きを封じての脱出防止と、苗床として菌が身体の運動力を奪って育つまでの食料となる。


「ほら、キリキリ働くテス!お前達は群れの為に働く労働力テッスゥ!」

「テプププ…しかし、こいつらの肉は、早くキノコが育つテスゥー。
 お陰でママたちの時の様にクズどもと一緒に働く必要も無く、クズどもの監視だけでお仕事ラクチンテッスゥ〜♪」

「テプププ…それは、このぐらいしか使い道の無いクズどもだから当然テスゥ〜
 ヒドイ事はドレイ任せは常識テス、何にでも使えて使い捨てテス、エサも腐りウンコで十分テス。
 しかし、本当にバカテスゥ〜…
 信頼できるナカマたちに、おいそれと他の群れを追われた何の脳も無い飢えたヤツやハゲハダカなヤツが、
 簡単にナカマに入れると考えているとは、本当にお花畑テッスゥ〜ン♪テピャピャピャ…」


彼女は、その数バイトの脳味噌で理解した。

自分が都合よく飼われていた事を…自分の産んだ仔は、食われるか、働かされるか、
次の仔を、自分より酷い状態で産み落とすだけの機械にされ、その仔も食われるか、働かされるか…。

彼女は、自分達の身に起こった理不尽さを認めざる終えなかった。


彼女は慌てて逃げ出した。

ここは地獄だ…楽園なんかじゃない…


しかし、ようやく外への出口らしきものの見えたところで、

「大慌てで何処に行くデス!?」と呼び止められた。

声の主は、彼女を助けた、あの実装石であった。

「ウ・ウソを吐いたデス!お前はウソを吐いたデス!どうしてワタシにヒドイ事をしたデス!
 ワタシを助けてくれたデス!ナカマと言ったデス!ナカマは見捨てないと言ったデス!
 ワタシもワタシの仔も、この群れの為の大切な労働力と言ったデス!
 なのに、あの扱いは何デス!!」

その実装石は、キョトンとした顔で小首を傾げると、突然、腹を抱えて笑い出した。

「デヒャヒャヒャヒャ…デーッピャピャピャピャ〜
 可笑しいデス♪可笑しいデス♪面白すぎてウンチ漏れる程笑ってしまうデス♪」

「何が可笑しいデス!!」

「ワタシは確かにお前を助けてはやったデス…
 でも、お前みたいなのを”ナカマ”などとは言った事も思った事も、蛆ちゃんのおテテ程もないデス。
 この付近には実装石は少ないデス…だから助けてやったデス、そして、労働力なのも確かデス。
 だから、働かせてやったデス♪有限実行は天才の証デス。
 ナカマも見捨てはしないデス…同じニンゲンさんに飼われてお勉強したナカマは絶対に見捨てないデス。
 この群れはニンゲンさんの厳しいお勉強を生き抜いた者同士の強い絆によって作られたデス!
 オマエタチ、行くあても無いバカでどうしようもないクズどもがどうしてナカマになれるデス?
 オマエタチの様に、群れから追われたりニンゲンに簡単に捕まってしまうノロマな糞ブクロをナカマにしたら、
 ワタシ達の群れは、いずれ崩壊してしまうデス!!そんな事も分からなかったデス?
 大切なナカマもそうですが、労働力も希少で探していたというだけの話デス。
 ワタシはナカマの為に、お前を飼ってやって、労働力にしてやったデス。
 動けないムダ飯ぐらいの利用法といえば、コレがイチバンデス!!
 ナカマが少しでも楽になる為に代わりに働いたり、ナカマのこの厳しい食糧事情を解決する為デス。
 たっぷり見たデス?お前の仔も、立派にお仕事をしているデス♪喜ぶデス〜♪」

その実装石は、漏らして汚れた下着を脱いで、共の者に預けると、新しい下着を受け取って履き直す。
そして、絶望にナヨナヨと崩れる彼女に歩み寄る。

「ワタシはちゃんと色々と説明したデスが、それをお前が勝手に、その耳掻き脳味噌で解釈していただけデス。
 仔を産みたいといった願いもちゃんと叶えてやったデス!
 動けないからと、ずっとゼイタクな扱いをしてやったデス♪
 お前は、自分の仔の産んだ仔をおいしそうに毎日食べていたデス♪お陰でお前は次々と丈夫な仔を産めたデス♪
 食った分は働くのが世界の常識デス!
 クソにもならないお前にこんな扱いをしたデスから、感謝はされても、ウソツキ呼ばわりされる覚えなど無いデス!!」

「デェェェェェェッ…ワタシの仔は、一人もワタシの元に居ないデス!!ヤクソク!ヤクソク!」

「何を言っているデス…大きく育ったからちゃんと傍に居たデス…
 最初のマラ付は、立派になったから、ずっとお前を孕ませる腰振りマシーンをやっていたデス♪
 お前にそっくりで、やたらと丈夫に出来ているデス…毎日”家族”相手に腰を振るだけの底抜けお馬鹿な仔デスゥ〜ン♪
 お前はソイツと、お間抜けな顔で馬鍬っていたデス♪
 何デス?あのドヘタクソな歌は…この群れのリーダーになってママを女王にするデッスゥ〜ン?
 クズハゲハダカのバカ仔が、この賢い群れのリーダーになるなど一億万年早いデス!!
 デプププププ…笑いすぎてまた漏れちゃうデス!お前を見るとパンツが何枚あっても足りないデスゥ〜」

絶望に歪む彼女を、数匹の実装石が引き摺っていく。

その後ろを歩く群れの新しいリーダー…彼女が引くビニール紐には1匹のマラ実装がつながれ、
硬く巨大なマラから先走り汁をドクドクと垂らし、それを抱えながら、同様に涎を垂らして息を荒げていた。

「まぐわう相手さえやっていれば、こんなバカは扱いやすいものデス…
 禿裸のバカも、ちょっとやさしくすればイチコロデス…
 今日から、あのバカもクズ蟲部屋の方でコイツと一緒に死ぬまで産ませるデス」

この群れは、とてもやさしかった…自分達に。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

過疎にあえぐ農家に向けて、1つの試みが為されていた。

ペット実装の応用で、作業補佐をする農業実装を作ろうという試みであった。

軽作業の手伝い、田畑の見回り、雑草除去…果ては、簡単なキノコ類の栽培の知識まで与えてやったのだが、
結局、実装石の信用度から、後に開発された実装紅型の農業実装が高価でも飛ぶように売れた。

実装紅の方が、元から茶葉の栽培や管理などを本能として持っているだけに、
その応用で作業を覚えさせるだけで良く、
礼儀や人間への従順度なども実装石と比較すれば初期の調教はらくだと気が付いたからだ。

それにより、試験的に製作(調教)されていた農業実装石は、人目に付かないように捨てられた。
コレに携わった人間が、やる前から結果が見えているような実験をした事が、余程恥ずかしかったのか、
業者に処理を委託せず、しかも、自分達の手間も惜しんで、この違法産廃業者の敷地に放置する形となった。

彼らは産廃の山で、食べるものも少なく難儀したが、団結して生き延び、
やがて、安定した住居を得ると、学んだ知識を自分たちの都合に合わせて応用した。
他人のためには、人に寄りかかるほうを優先し、学んだ知識を役に立てない実装石でも、
状況に寄る所と自らが生き残るためには知恵と労力を惜しまなかったのだ。

だが、彼らは計算高いために、悪戯に増えることは出来なかった。
数が爆発的に増えれば教育の問題もあるし、群れの維持に欠かせない食糧の問題もある。
なにせ、掘り返された産廃の敷地では、彼らの日常行動範囲で得られる食べ物は少ない。

同時に労働力も足りなかった。

自分たちで物を育てるには、人手が足りないし、自身で重労働をするのに嫌気がさしてきていたのだ。

そこで、彼らは、食料調達に遠出をするたびに、群れから迫害されたり、人間に禿裸にされた者をスカウトして、
少ない食料で重労働を押し付けることを思いついた。

最初は、格差はあるが、それなりに待遇された作業補佐としてである。
自分たちの学んだ事を、自分達を人間の立場に置き換えて真似したのである。


そこに捨てられたのが、彼女である。
彼女の存在によって、群れのリーダーの後継者はひらめきを得たのである。

ナカマ以外の者に仔をドンドン産ませて、労働力も食糧事情も全て解決できると…。
そうなれば、ナカマとドレイの区分けもはっきりと線引きが出来、群れの秩序も保たれる。

コレを思いついて以降、スカウトされた他の禿裸たちの扱いは使い捨てとなった。

そして、彼女も、真実を知って使い捨てにされた。

彼女が居無くなっても、彼女の産んだ仔が立派に生かされて成長し、新しい彼女として仔を産み続けるのだ。



果たして、彼女は不幸だったのだろうか…


いや、彼女自身も、安楽な生活を享受したいがために、自身を怪我で動けない悲劇のヒロインと思い込む事で、
幸せを満喫したばかりか、上辺だけでも、”子孫を残す”という”我儘”さえ叶えて貰ったのだ。

野良の世界なら、奴隷として、苦痛を受けながら命をすり減らして消耗していくだけの、
ただの禿裸の実装石だったのにである。

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暗い、堆肥の臭いが充満する、年中蒸し風呂のような小さな部屋で、
彼女は、今日も我が仔に犯されては、腹を膨らませ、それを堕ろされる作業を続けていた。

もはや、壊れてしまった彼女は、群れの仔の給食用の1品に過ぎない堕胎蛆を作る事しか出来なくなった。

「デー…デー…ワタシの仔…丈夫に育つデス…幸せになれるデス…デー」


ガガガガガガガ…


地面が揺れ、建物が崩れ、上の方では健全な実装石達が右往左往しながら、崩れ去る建物に潰されていった。

違法業者の無許可投棄がバレ、強制代執行によってゴミの山は崩されて運び出されているのだ。


なまじ、丈夫な根城と高度な社会と、それに慣れきった彼らは、
建物を放棄して逃げるという計算だけは出来ずに、自分たちの”城”に固執して、
突然の状況変化に対応できずに滅び去ってしまった。

あの新しいリーダーは、一番上の部屋から外に身を乗り出して吠え続けた。

「デシャァァァァァァデシャァァァァァ!!デ!ベゴァ!!」

上から見下す事しかしなかったために、勝ち目の無い人間の重機に向かって無駄に威厳を誇って見せたのだが、
ユンボのバスケットが一気に建物ごと、リーダーの頭を1/4ほど引き千切っていった。

「デビッ!デヒッ!お目目…片目が見えな…デアッ!くくく・靴を舐めてやるから許すデス!
 デェェェェェッ!お股自由に弄らせてやってもイイデッ!デ!デ!タスペ!」

さらに、返しの一撃で脳味噌ごと口から上を持っていかれ、
立ったままバタバタ手を動かし、糞を漏らし続けるだけとなった。

最後には、建物を崩すために真上からバスケット突き立てられ、そのツメに身体を前後に割かれ、
死体はゴミとともにミンチとなっていった。


何匹か生き残っても、文明と地位に慣れた彼らが生き抜くには、この地は本当に何もなくなってしまうことになる。

彼らは、バカにした禿裸たちに等しく、生きる術を失った只の糞蟲として野に散るだけである。

「ママ…ママ…お城が無くなったテチュ…ワタシ達のお城が…」
「ママ…お外は寒いテチィ!これからどうするテチィ…こんなの耐えられないテチィィィィ!!はやくお城作り直すテチィ!」

「デ…デ…ワタシ達はこれから何処で過ごすデス…何を食べればいいのデス…
 おうちなんて一人で作れるハズなどないデス…キノコや親指の踊り食いなんてどうやってお外で拾うデス…」

彼らは、人間が文明を築いて生物としては退化したように、実装石としては退化していた。
しかも、その文明は依存と偶然によって得られたものであり、人間の様に積み重ねられた代物ではない。
彼らの文明は”命数”とやらを使い果たしたのだ。



すっかり静かになった中、苦労して掘られた糞蟲たちの居住区…堆肥やキノコ工場と餌出産場は無事だった。

無事ではあるが、そこは、既にゴミが取り払われ、土で埋められた下での空間としてであった。

何が起こったか判らず右往左往するものたち…臭いを逃がすためにあいていた天井が埋められて真っ暗となり、
やがてパニックで暴れまわり、奴隷身分も監視役も無く出口を求めて暴れ、
闇雲に壁を掻き土を掘り出すか、天井を見上げて叫ぶか、放心して動く事をやめていた。

「デー…デー…」

絶叫の中、彼女は、状況を理解する力も無く腰を振り続ける我が仔と馬鍬いながら歌い続けていた。

「デー…デー…イッパイ生まれるデス…この群れのリーダーになってママを女王にするデス…みんな幸せデス…」

酸素が無くなり、いずれ、この空間も自然と崩れて全てが土に埋もれるまで、
彼女は夢の中では幸せではあった。

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やさしい群れ … 終わり

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