「おい、王様!美しく強いワタシが来てやったデスゥ!おもてなしとしてコンペイトウを用意するデスゥ!」 「…よりにもよって実装石か、世界はもう終りかもしれんの…」 実装石「ミドリ」はラダトームの城の玉座の前に居た。 「ひかりの玉を封じた竜王を倒した者、望みは思いのまま」というおふれを見て城までやってきたのである。 「本当にやってくれるのか?竜王じゃぞ?勝てるのか?」 「ワタシの美しさに竜王もメロメロに決まってるデスゥ!もし抵抗したとしてもワタシの一撃であの世行きデスゥ!」 「…まあ、期待しないで待っておるぞ、無駄になると思うがわしからの贈り物じゃ、そこの宝箱を開けるがよい」 「デププ、なかなか気が利いてるデスゥ、褒めてやるデスゥ、仕方ないので貰ってやるデスゥ」 「…この部屋にいる者に旅の心得を教えてもらうがよい、そなたでは無駄だと思うが…」 「賢いワタシにそんなものは必要ないデスゥ!すぐに帰って来るからたくさんのコンペイトウを用意しておくデスゥ!」 「さっさと行け!糞蟲ミドリよ」 「デッスゥ♪」 ミドリは宝箱を開け中から金、たいまつ、魔法の鍵を手に入れる。 「デェ?何デスゥ?この薄汚い棒は?こんなもの美しいワタシには必要ないデスゥ」 ミドリはたいまつを投げ捨てた! 「デェ?何の鍵デスゥ?」 ミドリは魔法の鍵を投げ捨てた! しかし… ビシィ 「デェ!?」 投げ捨てたはずの魔法の鍵が戻ってきてミドリの顔面に直撃した! そしてどこからともなく「それを捨てるなんてとんでもない!」と声がした。 「一体今のはなんデスゥ!?おい!王様!これはどういうことデスゥ!?」 「…だから話を聞けと言ったんじゃ、それはこの部屋の扉を開ける鍵じゃ、さっさと鍵を開けて冒険に行けぃ!」 「う…うるさいデスゥ!言われなくてもそんなこと分かっていたデスゥ!お前を試してみただけデスゥ!」 ミドリは捨てセリフを吐いて出て行った。 「…他に竜王を倒すと申すものはおらんのか?大臣よ」 「はい、今のところは…」 「…」 その頃ミドリは城の中をウロウロしていた。 「デーーーッス!この扉を開けるデーーーッス!」 ミドリは宝物がありそうな部屋の扉をポフポフ叩いていた。 扉を開けるには鍵が必要だがミドリは鍵を持っていない。 鍵は一度使うと壊れてしまうらしく先ほど手に入れた鍵はコナゴナに砕け散ってしまった。 「デ!もういいデスゥ!どうせろくでもないものしか無いに決まってるデスゥ!」 ミドリは最後に扉に蹴りを入れてようやく城から出た。 「デ?隣に町があるデスゥ、あそこで装備を整えるデッスーン」 しかし 「デーーーーーーッス!何で美しく強いワタシで装備出来ないんデスゥ!?」 武器屋で品を手にとって装備しようとしてみたが何一つとして装備出来るものは無かった。 元々人間用に作られた武器防具では貧弱で小さな実装石にとっては重すぎるものばかりだったのだ。 「大体美しく強いワタシに武器なんて必要無いデスゥ!このまま竜王もボコボコにしてやるデスゥ!」 こうしてミドリは薬草などの回復アイテムすら持たずに無謀極まりない冒険を開始した。 そんなミドリの前にさっそくモンスターが立ちはだかる。 スライムだ! 「デププ、雑魚デスゥ♪」 余裕のミドリに怒ったのかスライムがいきなり襲い掛かってきた! 「デッギャアアアアアアアアアアアアアア!!!」 「おお!ミドリよ!死んでしまうとは何事だ!」 「デェ!?ここは…!?」 ミドリが気づいた時、何故か王様の前に立っていた。 どうやらスライムに殺されてしまったらしい。 そして殺されると王様の前に強制的に戻されてしまうようだ。 「冒険開始早々死んでしまうとはな、まあ予想通りではあったが…で、どんなモンスターにやられたのじゃ?」 「ド…ドラゴンデスゥ!」 「嘘付くでない!おおかたスライムかスライムベスじゃろ?」 「デ…!」 「図星か…やれやれ…」 「さ、さっきはちょっと油断しただけデスゥ!今度こそは大丈夫デスゥ!」 「だといいがな」 「今に見てるデスゥ!スライムの屍を持ってきてやるデスゥ!」 ミドリはプンスカと足を踏み鳴らしながら出て行った。 「…大臣よ、おぬしスライム倒せるか?」 「はい、スライム程度なら…」 「じゃろうな、ワシだって楽勝じゃ」 「恐らく子供でも倒せるかと…」 「ならば奴は子供以下という事か…」 「…」 その頃ミドリはスライムと激しいバトルを繰り広げていた。 「強い!強すぎるデスゥ!コイツは強敵デスゥ!」 ミドリは全身ボロボロになりながらもファイティングポーズを取る。 「この勝負は負けられないデスゥ!」 ミドリの全身全霊を込めた一撃! それは奇跡的にスライムに当たり、ついにスライムを倒した! 「勝ったデスゥーーーーー!!!」 勝利の雄たけびを上げるミドリ!しかしそこへ新たなモンスターが立ちはだかった! スライムベスである! 「デェ!?今の死闘でワタシはもう闘えないデスゥ!ここは逃げるデスゥ!」 ダダダダ!! ミドリは逃げ出した! …しかし回り込まれてしまった! 「デェ!?」 スライムベスの攻撃! 「デッギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」 「おお!ミドリよ!また死んでしまうとは何事だ!」 「デェ!?」 気づいた時にはまた王様の前に立っていた。 「こ…今度はちゃんと勝ったデス!そしたら卑怯極まりないモンスターが新たに襲い掛かってきたデスゥ!」 「言い訳するでない!バカ者が!」 「デ…デェェェ…」 「もう諦めたらどうじゃ?おぬしでは無理じゃよ」 「さっきはちょっと油断しただけデスゥ!今度こそは…!」 「さっきも同じ事言っておったのぅ」 「デ…」 「まあ無駄だと思うが頑張るんじゃな」 「バカにするなデスゥ!すぐにでも竜王の首を持ってきてやるデスゥ!」 ミドリは再び冒険に出発する。 しかしこのままではちっとも先へ進まない、そこでミドリは考えた。 「攻略本読んで最強の武具をゲットするデスゥ!」 何処から入手したのか不明だが攻略本を読むミドリ、一応文字は読めるらしい。 「伝説の勇者が使っていたといわれる鎧があるみたいデスゥ、それさえあればへっちゃらデスゥ」 ミドリはその鎧が魔物によって滅ぼされたドムドーラという町にあることを突き止めた。 「さっそくゲットしに行くデスゥ!」 意気揚々と目的地へ向かうミドリであったが… 「デッギャアアアアアアアアアアアアアアア!!!」 途中で遭遇するモンスターにやられまくりスタート地点に戻されることを繰り返したミドリ。 「だいたい雑魚なんか相手にしたって仕方ないデスゥ!全て逃げて戦闘を回避するデスゥ!」 しかし逃げられない、回り込まれ殺される。 それでもミドリは諦めない。 殺されること999回、ついにドムドーラへと辿り着く。 ちなみにここまで遭遇した敵はどうやって回避したかと言うと… 「デププ、やっぱりワタシの糞は最強デスゥ」 ミドリは自分の糞をモンスターに投げつけ追っ払った。 実装石の糞は凄まじく臭い、そして汚染されている。 そのあまりの不潔さにモンスターでさえ逃げてしまうほどだった。 「えーと、攻略本によると…ここデス、この地面の下に埋まってるはずデスゥ」 ミドリはその場所を掘り始めた瞬間 ドスゥゥゥゥゥゥゥン!! 「デ!?」 背後で凄まじい音がして振り返るとそこには巨大な斧を持った鎧の化け物が立っていた。 そう、これは勇者の鎧を守る「あくまの騎士」である。 「お前は何デス?邪魔だから消えるデス!」 ブン! ベチャ! あくまの騎士に糞を投げつけるミドリ。 しかしあくまの騎士は糞の直撃を受けても微動だにしない。 「デェ!?」 「…」 ブオン!!! あくまの騎士の巨大な斧がミドリに振り落とされた! 「デギャボォ!?」 地面の染みと化し、そして再び王様の前に戻される。 「これで1000回目の死じゃな」 「うるさいデスゥ!」 「それで記念すべき1000匹目の死は誰にやられたんじゃ?」 「大きな斧を持った鎧の化け物デスゥ」 「…おぬし何処へ行ってきたんじゃ?」 「ドムドーラデスゥ」 「あそこの敵はかなり強いはずじゃ、レベル1のお前では勝てるはずもないんじゃぞ?分かっておるのか?」 「でもあそこには最強の武具があるんデスゥ!それさえあれば…!」 「なるほど、じゃが無駄じゃ、死ぬだけじゃ」 「そんなことは無いデスゥ!さっきはちょっと油断しただけで…」 「それを聞くのも1000回目じゃなー」 「デ…」 「それじゃいってらっしゃい、早い帰りを期待しておるぞ」 「完全にバカにしてるデスゥ…」 そして再びドムドーラへ。 「おい!鎧の化け物!そこをどくデスゥ!ワタシはお前に用は無いんデスゥ!」 「…」 あくまの騎士は無言で斧を振り上げた。 「ちょっと待つデ…」 ブオン!!! 「デッギャアアアアアアアアアアア!!!」 あっけなく斧に粉砕されるミドリだが復活し再びあくまの騎士の前へ。 「お前!ワタシに恨みでもあるんデスゥ!?」 あくまの騎士はゆっくり斧を振り上げる。 「ちょっと待つデスゥ!ワタシは…!」 ブオン!! 「デッギャアアアアアアアアアアア!!!」 死亡、そしてあくまの騎士と再会。 「ワタシの話を聞くデスゥ!お願いデスゥ!」 ブオン!!! 「デッギャアアアアアアアアアアアアアア!!!」 死亡→再会。 「ここまで歩いてくるだけでもどれだけ大変かお前には分かってるデスゥ!?すこしは休ませろデスゥ!」 あくまの騎士はミドリの要求を受け入れ睡眠呪文「ラリホー」を唱えた! 「デェ…ススス…」 ミドリは眠ってしまった! ブオン!!! ミドリは眠ったまま、痛みを感じる前に死んだ。 そして再びあくまの騎士の前へ。 「…デッスーン♪」 ミドリは媚びた! ブオン!! 「デッギャアアアアアアアアアアア!!!」 復活したミドリの次の作戦は… 「お前に可愛いワタシを飼わせてやるデス!」 ブオン!! 「デッギャアアアアアアアアアアア!!!!」 ミドリは王様の前で意識を取り戻した。 「デ…デェェェェェェン!デェェェェェェェェン!」 「ようやく己の愚かさに気づいたか?」 「もう死ぬのは嫌デスゥ!」 「ちなみにお前の魂も限界らしい、今度死ねば二度と復活できまい」 「デェ!?」 「たった一つの命、無駄に捨てるのはどうかと思うが…」 「当たり前デスゥ!美しく賢いワタシが死ぬ事はあってはならないんデスゥ!」 「ならさっさと帰るがよい」 「そのつもりデスゥ!デフン!」 ミドリは鼻息を荒くしながら去っていった。 「ふぅ…」 「王様に申し上げます!勇者ロトの子孫と申すものが謁見を申し出ております!」 「おお!ついに来たか!よし!すぐ通せ!」 「は!」 ミドリは広い荒野をトボトボ歩いていた。 「デェ…何でみんなワタシをいじめるデス?世の中間違ってるデスゥ…」 城をあとにしたミドリは町で人々に媚びた。 しかし誰一人としてミドリを飼おうとするものは居なかった。 当然だ。 デスデスうるさく喚き強烈な臭さを誇る糞を大量に生産する実装石など誰も飼うわけがない。 皆はしつこいミドリを捕らえ過酷な虐待を繰り返した。 命の危険を察知したミドリは一瞬の隙を突いて町から脱走したのである。 脱走に成功したとはいえミドリは禿裸であった。 これではモンスターと何ら変わりない。 髪や服があってもモンスターとなんら変わらないが。 そして最後の時を迎える。 「む!モンスターか!」 「デェ!?」 ミドリの前に一人の剣士が現れた。 この剣士こそ勇者ロトの末裔であり、やがて竜王を倒すことになる勇者であった。 「デ…デッスーーーーーン♪」 ミドリは媚びた! もはやミドリに残されたのは媚びだけであった。 「これは俺のMPを奪う踊りか!?ならば受けてみろ!先程覚えた呪文を!!!」 勇者はベギラマを唱えた! 「デッギャアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」 ミドリはあっという間に炎に包まれた! 「デッガァァァァ!!ゴォォォォォ!!デギギギギギギ!!!」 手足が焼け落ち地面に倒れるミドリ、炎に包まれながらミドリは思った。 「やっぱり…レベル上げ…やっておけば…よかった…デスゥ…」 そう言い残しミドリは死んだ。 「ん?随分弱いモンスターだったな、この辺のモンスターは平均して強いはずだが…」 勇者は不思議に思いながらもミドリから経験値と金をゲットした。 「経験値1、ゴールドは0!?ス…スライムよりも少ないぞ…これは一体…」 疑問符を頭に浮べる勇者であったがやがて次なる目的地へ向け歩き出した。 後に残されたのは灰となったモンスター・ミドリの亡骸だけであった。 あとがきのようなもの 昔の記憶を頼りに書いたのでゲームと相違があるかもしれませんがご容赦を。 中途半端に終わってしまいましたがこの先の展開覚えてないだけです。
