タイトル:【愛】 思春期 4
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初投稿日時:2006/12/27-00:23:14修正日時:2014/10/06-13:52:38
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                                     「思春期4」





「デギャァァ!」

『纏わり付いてくるんじゃねーよ!この馬鹿』

足に掴まろうとするミドリを蹴飛ばすと、敏明は部屋を出て行った。
あの一件以来ミドリに対して敏明は、事あるごとに暴力を振るうようになった。
ただ虐待されているはずのミドリは、そんな事すら意も解さず敏明にべたついて来ようとする。
暴力を受ければ受けるほど頭の中では、ドラマの一シーンを思い出し耐える女を演じていた。
ある意味ミドリにとって敏明からの暴力は、女としての喜びに脳内変換されていた。

部屋を出て行く敏明を片手で体を支えるポーズでしなを造り、敏明に手を伸ばしている。
傍から見れば滑稽な姿も自分で自分を見る事は出来ない、ミドリは悲劇のヒロインであった。

「どうしてデス・・あの日はあんなに愛してくれたデス」
「ミドリのなにが気に入らないデス、悪い所は直すデス」
「う・・うううご主人様・・・こんなにミドリはご主人様の事がぁ・・」

泣き崩れるミドリだったが、お腹を見つめると壁によっかかりお腹をさすった。

「ご主人様には内緒にしてるけど、お腹にはご主人様の仔が宿ってるデス」

ミドリはお腹を優しく撫でると、誰に教えられた訳ではないが胎教の歌を歌い始めた。

「デッデロゲー♪デッデロゲ〜♪」
「ご主人様に愛される良い仔に育つデス♪」
「デッデロゲ〜♪」
「ウフフご主人様がこの仔を知ったら驚くデス」
「お前にはきっと幸せが約束されてるデス」
「デッデロゲー♪デッデロゲ〜♪」

ミドリの歌う調子はずれの歌は、いつまでもこの部屋で鳴り響いていた。





敏明は母親から携帯(携帯は会社から仕事用に渡されている)に連絡があり実家に向かった。
内容は父親が病気で入院したとの事だ、電話口では普段気の強い母も弱気になっているのが伺えた。

『親父が病気とはね・・去年はあんなにピンピンしてたのに』

実家まで来ると何事も無かったかのように、普段どうりドアを開けて家に中に入っていく。

『ただいまー・・・母さん・・??』

久しぶりに息子が帰ったって言うのに、出迎えどころか誰もいない。
敏明は不安になり部屋を調べて回った。

一番奥の寝室を開けると、そこに母親が布団に入って眠っていた。
敏明が母親の顔を覗き込むと疲れからか生気がない、前よりしわと白髪も増えている。
気配に気付いたのか母親は目を覚ました、上半身を起こすと敏明に声をかける。

『あぁ敏明・・悪いけど明かりを付けて頂戴』

明かりを付けて母親の前に座ると、父の話を始めた。
病気だと分かったのは先月父の会社で健康診断した時だ。
病院で再検査をした所、胃ガンだと判明した。
初期ガンだったので手術すれば命に別状は無いそうで、敏明はホっとした。
特に仲が良いと言うわけでは無いが、やはり家族が死んでしまう事は悲しい事である。
敏明が仕事をしてる事は、仕事先の会社から連絡があり分かっていたので呼ばなかったそうだ。
母親なりに色々と考えての事だろうが、敏明にとっては休む口実が出来るのでいらないおせっかいに感じた。

父は会社を病気理由で自主退社した、平たく言えば首になったのだ。
元々資産家だった父の実家は貯えはかなりあった、生活に困ることは無いそうだ。

子供は敏明一人しかいないので今この家には母親しかいない。
敏明が実家を出ようと玄関で靴を履いていると、母親がやってきて話を始める。

『お前は父親が入院したってのに、驚かないんだね』

『いやーいきなりだったからさ・・実感って言うか信じられないって言うか・・』
『暇が出来たら、俺もお見舞いにいってくるよ』

『全く昔ッからお前は感情を、表に出さない子だったね』
『まぁ良いわ話があるのよ』

話と言うのは一度は追い出した敏明だったが、
この家に女一人だと何かと物騒なので、戻って来てはどうかというものだった。
仕事も見つけて真面目に働いている事だし、戻る条件は充分だった。
と言うのも実は言い訳で、母親もこの先病院に毎日の様に行かなければ行けない。
家を開けっ放しなのはどうかと思っていた。

申し出は断る理由は全くなかったが、敏明の頭には不安がよぎった。
ミドリの処分をどうするかだ、以前は実家に押し付けてやろうと思っていたが、
あの一件以来下手な事をするとベラベラと喋りかねない、いやミドリの事だ絶対に喋る。
これは敏明が人間としての尊厳に関わる事態だ。
実家に押し付ける事や捨てる事も、うっかり出来なくなってしまった。

処分・・・やはり殺してしまうしかないのか、絶対に実家には連れて来れない。
しかし虫一匹殺した事も無い自分が、ある程度の知能を持った生き物を殺せるだろうか。
しかもミドリは勘違いではあるが敏明を愛している、懐いている生き物を殺すなんて出来そうになかった。
少し考え込むと答えを出した。

『ウーン・・今はまだ無理だと思うけど、近い内に帰って来るよ。』

敏明の態度に母親は何か感じ取ったのか、少しからかってみる。

『ふーん・・あんたもしかして女でも出来たんじゃないの』

敏明はこの言葉にドキリとする、(女か・・それなら文句無いんだけどな)

『そ・そんな訳無いだろ!年内には戻ってくるからさ』

ばれないように取り繕うと敏明は実家を後にした。



そんな事があって一週間ほど過ぎた時、敏明はミドリの異変に気付いた。
オッドアイの筈だったミドリの目が、両方とも緑色になっている。
この時、敏明は最悪な事態になってしまった事が分かった。
ミドリが妊娠している、しかも父親は自分だという事実に目の前が真っ暗になってくる。

『ミ・・ミドリ・・もしかしてオマエ妊娠したのか?』

ミドリは顔を赤らめると両手で顔を覆った。

「はいデス・・・ご主人様とミドリの間にうま・・ゲッボォォ!!」

ミドリの返答を聞くまでも無く、いきなり敏明はミドリの腹を蹴り上げた。

「ゲロロォゲボアァ!」

腹を押さえて嘔吐しながらへたり込むミドリに目掛けて、上から連続で蹴りを落としていく。

『このっこのっこのぉぉぉぉ!!』
『何言ってやがる!!糞蟲がぁぁ!!死ねっ死ねッ死ねぇぇぇえ!!』

「ジャァァァ!!ジュァァァッ!!」

敏明はミドリの腹を中心に執拗に蹴り続ける、完全に腹の子供を殺す気だった。
ミドリもお腹の仔だけは守ろうと、うつ伏せになりお腹を抱え込んだ。

「お腹の仔だけはぁ!!お腹だけは蹴っちゃ駄目デス!!」

敏明は四つん這いにうずくまるミドリの頭巾を掴むと、勢い良く持ち上げ背中から床に叩き付けた。

ビタァァン!!
「デチャッ・・・ケハァァァ」

ミドリは痛みで背中を浮かせ海老ぞっている、そこへ思いっきり足で踏みつけた。
「グベッ」と言う声と共にブババッっと勢い良く糞をひりだし、パンツをこんもりとさせた。
そのままグリグリと踏みつけると、ミドリは手を伸ばし敏明の足を掴む。

「ど・ど・・うして・・デス」
「ご主人様優しかったデス、こんなのミドリのご主人様じゃ無いデス」
「仔が・・仔が死んじゃうデェェス・・」

そう言うと敏明の足をポフポフと力無く殴り始める。

『てめ〜ご主人様に向かってオラ!!』

蹴り上げるとミドリはロフトのはしごにぶつかり、何度かバウンドして落ちてきた、
落ちてくる時に顔面を強打したのか頭から血を吹き上げる。
顔中血だらけにするとその血がミドリの右目に入り、緑の両目がオッドアイに変わった。

『おっ目が・・ふぅ良かったぜ、どうなる事かと思ったよ』

ピクリとも動かなくなったミドリを置いて、敏明はタバコを買いに行った。
敏明は気付いていなかった、思い切りドアを閉めた拍子に閉まらずに開いていた事を。

ミドリが目を覚ますとお腹の仔を確認した。
お腹の中では、仔が脈打っている事が分かるとホッとする。

オッドアイに戻ったはずの両目も妊娠を示す緑に戻っていた。
受粉妊娠と違い直接精子で妊娠した場合は、目に血が付いた位では避妊は出来ない。
敏明の勘違いでミドリとその子供は命を拾った。

玄関に目をやると戸が開いている、体中の痛みに耐え立ち上がると、フラフラしながらも部屋を出た。
振り返り部屋を見つめると泣きそうになったが、自分のお腹を見つめなおし部屋を離れた。

「仔が・・仔が危ないデス」
「暫くは公園に隠れているデス」
「そしたらきっと・・・迎えに来てくれるデス」
「ご主人様・・・・・きっとデスゥ」








敏明が部屋に戻るとドアが開いているのを見つけた。
部屋に入るとミドリの姿は無く、嘔吐物、糞、血を残して部屋を去った後だった。
敏明はその瞬間小躍りをして喜ぶ。
人生最大の汚点である実装石との性交その後の妊娠。
このままずるずる行くと、ミドリと仲良く実装石の子供をあやす自分の姿まで思い浮かべていた。 
子供は殺したし厄介者は勝手に消えてくれた。
この忌々しい部屋もすぐに引き払ってしまおう。

敏明はその月のうちに部屋を出て実家に戻ってしまう。
勿論ミドリはそんな事を知る由もなかった。






ミドリが公園に付く頃には夕暮れ時になり、あたりも暗くなりかけていた。
人目の付かない草むらに潜り込むと、回復のためか倒れるように眠りに付いた。
夢の中では敏明が自分の子供ををあやし、その横には自分がいる。
これもドラマの一場面だが、ミドリはその夢が叶う物だと勝手に思っていた。
妄想がちのミドリの夢の中は、いつも幸せが一杯であった。

何日か経つと昔の勘も戻り野良生活にも慣れ始めた。
ゴミ箱を漁り食料を調達、仲間からの襲撃にはミカンのダンボールを見つけ葉っぱで偽装した。
お腹の子供の栄養の為か、食べられそうなものは全て口に入れる。
飼い実装だった頃の食事とは雲泥の差だが、上手い不味いは言っていられない。
残飯、昆虫、愛護派に媚びて餌を貰い、時には虐待派に殺された同属の死体をも喰らった。
そして三ヶ月が過ぎやっと両目が赤色に変わる、実装石にしては妊娠期間が異様に長かった。

真夜中、公園の実装石が全て眠ったのを感じると、ミドリは行動を起こした。
慎重に隠れながら、辺りを警戒してやっと公衆便所にたどり着いた。

「しめしめ誰もいないデス」
「今の内デス・・・」

そろりと入口から顔だけを入れ中を確認すると、早足で大便用のドアを開いて中に入った。
ドアを閉めると入口に石を置いて、ドアを固定した。

「これでよしデス」

ミドリは小一時間程その場所でその時が来るのを待っていた。
暫くすると陣痛が始まり、出産の時を迎える。

便器に体ごと入ると凍える寒さの中、下半身を水に沈めた。
出産はあっけなく終わり確認すると、生まれたのは一匹だけであった。
本来多産の実装石だが人間の精子自体が実装石に比べ弱く、
人間である敏明の精子が一匹でもミドリの卵子に到達出来ただけでも奇跡に近かった。

「??おかしいデス・・なんで一匹だけデス??」
「それに何だか随分とやせっぽちデス」

便器の水で仔の体を洗うと、その姿をまじまじと見つめる。
大きさは普通の仔実装と変わらなかったが、何かが変だった。

仔実装を抱え上げると仔実装の目が開いた、ちゃんとオッドアイの大きな目だ。

「テチュゥ・・テチュ!」

仔実装の言葉はミドリには分からなかった、どうやらまだ話もできない様だ。
だが仔実装の声を聞くとミドリの母性本能が大きくくすぐられ、思わず抱きしめて頬摺りして喜んだ。

「始めましてデスゥ、私がオマエのママデスッ」

仔実装も安心したのか笑顔になりミドリに抱きついてくる。
ミドリはスカートをたくし上げると、早速自分の乳房に仔実装を押し付けて乳を与えた。
仔実装は一心不乱に乳房にしゃぶりつく、ミドリは性的な快感と母親としての実感で涙を流していた。

「あっっあっ乳首かみかみしたら駄目デス」
「オマエは生まれついてのテクニシャンデス」
「きっとご主人様も喜んでくれるデス」

こうしてミドリとその仔の公園での生活が始まった。
拾って貰った公園・・ここで待っていればご主人様は迎えに来てくれる。
ミドリの心は一遍の疑いも無くご主人様を信じきっていた。











敏明が実家に戻ってからは母親は病院に通い詰めの毎日で、殆ど顔を合わすことも無い。
仕事から帰ると家には誰もおらず、食事も毎日コンビニ弁当で済ませていた。
朝起きると母親は眠ったままで、自分でパンを焼いて勝手に仕事に行った。

この家に来てから殆ど会話らしい会話も無く、ただ時だけが過ぎて行き、敏明も何かつまらなさを感じていた。
家を出てからのミドリとの暮らしは、今の暮らしより退屈はしなかった。
だからと言ってミドリから受けた屈辱を忘れた訳ではない、公園に迎えに行く気はこれっぽっちも無い。
記憶から早く抹消できれば、どんなに幸せだろうとも考えていた。


そんな日がそれから一年ほど続いた、父親の入院もあと数ヶ月となったある日。
暇を持て余した敏明は、よくミドリの事を考える様になっていた。
おかしな事にミドリとの性交以来、人間の女を見ても何もときめかなくなってしまっている。
実装石の特殊なウイルスでも貰ったのか、思い出したくも無いミドリの裸を思い浮かべるようになっていた。
何かもやもやした気持ちが敏明には気持ち悪く、公園へと自然に足が向いていた。


夕暮れの公園のベンチに座り目の前の実装石を眺めている。
やがて実装石達は敏明が何もくれない事が分かると、口々に憎まれ口を叩き敏明から離れていった。

タバコに火を点け周りを眺めていると、去年ここでミドリにあった頃の事を思い出していた。
視線を地面に向けて暫くじっとしていると、影が敏明に伸びて来た。
敏明はミドリが来たのかと思い顔を上げると、そのままタバコを落とし固まってしまう。


目の前の影は緑の服を着た少女だった・・・・いや目がオッドアイで手足は実装石のそれである。
ただ頭身が明らかに実装石とは違い、見た感じは十歳位の女の子そのものだった。
どことなく色っぽさを醸し出し見つめられると、敏明の鼓動が早くなってくる。
その実装石は固まった敏明を、見つめると声を掛けた。

「パパ・・」

リンガルを通さずに聞き取れるその言葉を聞いた瞬間、敏明は全てを理解した。
目の前の実装石はミドリと敏明の間に出来た子供だという事を。

固まったままの敏明にその実装石は、胸の涎掛けから一枚の破れた写真を差し出した。
その写真を手に取り見ると、かつて自分がミドリに渡しビリビリに破られた写真だった。
なぜか敏明が写っている所だけは破られてはいない、写真はゴミ箱に捨てた後ミドリが拾ったのだろう。
写真を持つ手から実装石は写真を取り上げると、大事そうにまた涎掛けにしまいこんだ。

敏明は目の前の存在を認めることが出来ない・・・いや絶対に認める訳にはいかなかった。
認めると実装石との子供を自分が作った事になる、人間としてのアイデンティティが崩れてしまう。
言葉に出たのは自分を守る為の言葉だった。

『ふ・・ふん!オマエが俺の子供?』
『笑わせるなって、俺には子供はいないんだ!』
『どうせオマエも人間に飼って貰いたいだけなんだろうがっ!!』

目の前の実装石は一瞬だが嫌そうな顔を見せると、敏明から少し離れて背筋を伸ばし両手を胸に当てた。
そして哀しそうに笑うと敏明に語った。

「私の姿を見てデス」

まじまじとその姿を見ると足は指が無く、手には親指の様な指がありミトンの様だった。
耳は実装石と一緒で、髪の毛は頭巾を被っているが禿では無いカールは掛かっておらずストレートだった。
驚く事に顔のパーツは殆ど人間と一緒である、口、瞼、眉毛、
目だけはオッドアイで、それが無ければ人間と見分けが付かない位だ。
人間と実装石の良い所が上手く融合して、その実装石の姿はとても神秘的で美しく見えた。
どちらかと言うと人間に近いように感じる。

良く見ると服は汚れやほつれが所々にあり、髪の毛はぼさぼさで露出する体にも汚れが見られた。
普通の実装石と一緒で公園での野良暮らしなんだろうか、実装石は話を続けた。

「私は人間じゃない・・・実装石デス」
「ミドリと言う名前とこの体はママから貰ったデス」
「だからミドリは実装石として生きて行くと決めたデス」
「パパは心配しないで良いデス、人間の世話にはならないデス」

流暢なその言葉を聞いて敏明はホッとすると同時に、自分のずるさに嫌気がしてしまう。
そして自分が飼っていた初代ミドリの事が急に気がかりになる。

『ミドリ・・いやオマエのママは何処にいるんだ』
『久しぶりに顔が見たくなったんだよ・・会えるかな?』

実装石はうつむくと初代ミドリの事を話し始めた。

「ママは死んだデス・・ミドリが仔実装の時に人間に殺されて・・」

そう言うとミドリの目に涙が浮かんだのが見て取れた。
敏明は暫く黙って考えていたが、一つの結論を出した。
この実装石を引き取ろう、自分の血を分けた子供である事は代わりが無い事実だ。
普通の実装石相手ならそうは思わないのだが、目の前の実装石はそれほど魅力的に見えた。
この実装石となら不快な思いもせず、一緒に暮らせるのではないか。
実に自分勝手だが、人間に対する実装石の考え方はこの程度である。

『ミドリだったね・・飼ってあげるから俺の家に来いよ』
『こんな所よりいい暮らしが待ってるぞ、餌だって毎日心配しなくて良い』
『命の危険も無くなる・・・なんだったら俺の事をパパと読んでも良いぞ』

ミドリは無言でくるりと細い腰を回すと、公園の奥へ歩いて行こうとする。
敏明は自分の言った事が不味かったのを感じると、ミドリを追いかけた。

『お・・おい!待ってくれよ言い方が悪かったなら謝るから』
『子供が一人でこんな所で・・待てって!!』

ミドリが立ち止まり振り返り敏明をを見た。
その目は鋭い目で睨みつけ怒りに満ちていた。

「ミドリはもう子供じゃないデス」
「立派な大人デス・・・子供だっているデス」

そう言うと走り出し草むらに飛び込んでしまった。
敏明はミドリをいつまでも捜していたが、やがて夜も更け見失ってしまう。
なぜあんな事を言ったのか自分を攻めてみたが、もはやどうにもならなかった。

敏明の脳裏にはミドリの悲しそうな笑顔が、いつまでも焼きついていた。









続く






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