タイトル:【馬】 ウチの馬鹿
ファイル:ウチの馬鹿.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:4636 レス数:0
初投稿日時:2006/12/21-03:49:19修正日時:2006/12/21-03:49:19
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「デスー!デッスー!」

居間でウチの糞実装がなにやらけたたましく鳴いているので様子を見に行くと、
TVに向かってなにやらしきりに鳴いていた。
無闇に鳴くなといってるのに、この馬鹿は。

「何を騒いでるんだお前は」
「デギャ!」

頭に拳骨を落としながら言うと、馬鹿は届かない頭に片手を伸ばし、
残りの方の手でTV画面を指しながらなにやらデスデス鳴いている。
TVは通販番組をしていたようで、どうやらシャンプーとリンスの
販売をしているようだった。

「なんだお前?シャンプーが欲しいのか?」
「デッス!」

うっすら頬を染めながら興奮気味に鳴く馬鹿。

「お前専用のシャンプーがあるだろ、これは人間用のだ」

そういうと俺はくるりと背を向けその場を離れようとした。

「デス〜!デススウウウ〜〜〜!」

だが、そんな俺のズボンの裾を掴み、必死になって引きとめようとする。
が、しょせん実装の力。そんなものを無視して歩を進める。

ドカッ!  「デギャ!」
バコッ!  「デベェ!」
ガシャン! 「デピャア!!」

「……あのなぁ、しつこいぞ」

俺は溜息をつきながら、ずっとズボンの裾に張り付いている、体中痣だらけで
しかも頭にはガラス片が刺さって血がピュ〜と噴出しているウチの馬鹿に言う。

「デズゥウウウウウン」

しかし鼻水をたらしながらみすぼらしく哀願する馬鹿。
ふーむ、いつもならとっくに諦めるのに今日のしつこさは何なんだ?
しつこくグイグイと居間の方に引っ張る馬鹿に根負けして、俺は再び居間に戻った。

「デスゥン♪」

TVを指しながら自分の髪の毛を触ってくねくねと変な踊りを踊るうちの馬鹿。

「……タコ?」
「デスー!!!」

……どうやら違ったらしい。
今度は髪の毛を自分の体の前に垂らすと、それを両手で一気に後ろに流し、
しかも俺に対して斜に構えて流し目をくれる。

「デッス〜ン♪——デギャ!」
「キモイことすんな」

そんな馬鹿に殴りつけながらいう。

「デエエエン!デッスー!デスデスー!」

地団太を踏みながら悔しがる馬鹿。
と、そこでTVが再び先ほどの商品を映し、女優が髪の毛を手櫛で
さらさらと後ろに流しているシーンがテロップとともに流れる。

『どんな癖っ毛もさらさらのストレートへアに!』

「……お前、ひょっとしてその巻き髪をストレートに直したいのか?」
「デッスー!!デッススー!」

目を剥いて嬉パンコンしながら大喜びの馬鹿。

「うーむ……なんでそんなことをしたいんだ?」

普通実装といえば髪の毛は命。
よほどのことがない限り、洗う以外に髪の毛に手を入れることを
極端に嫌うナマモノだ。
それが髪型に変化を求めるとは……。

「デスゥン♪」

だが、理由を問いただすと頬を染めてモジモジと
わけの分からない仕草をするキモ生物。
なんかムカつくので拳で顔面を陥没させるものの、俺自身
ストレートヘアの実装がどうなるのか興味があったので
こいつの願いをかなえてやることにした。



「デッス〜〜〜ン!」

鏡の前で髪の毛をバッサバッサさせながらたこ踊りを踊る馬鹿。
そしてあの巻き髪は、一昔前のワンレンを思い出させるほど綺麗な
ストレートヘアになっていた。

「……キモッ」

だが、俺の感想はこの一言に尽きた。
巻き髪のおかげで地面にかろうじて擦れなかった髪の毛は、
ストレートにしたおかげで完全に引きずってしまっていた。
その姿はまるで袴を引きずって歩く大名そのもの。殿中松の廊下状態である。
そしてただ長い髪の毛は非常に不気味だった。
前髪も目を隠すほどまで長く垂れ下がってしまい、某貞子のような有様。
髪の間から光るオッドアイがキモさを当社比2割増しにしてしまっている。
どうみても失敗にしか思えないこの変身に、当の馬鹿はすっかりご満悦のようで、
そのまま外に出せとドアの前でデスデスと鳴きはじめた。

「ホントにいいのか?」
「デッスー!デスデッスー!」

早くしろといわんばかりに鼻息荒くして言う馬鹿に拳骨一つお見舞いした後
俺は部屋の戸をあけてやった。

「デッスン♪デッスン♪」

あるのかないのか分からない鼻で鼻歌を歌いながら、跳ねてんだか歩いてんだか
分からないようなスキップでどこかに向かう馬鹿。
あれほどストレートヘアを懇願した理由がそこにあると思った俺は、
そのまま後をつけてみることにした。



「デッスン♪デッスン♪デッススン♪」

ズリズリと髪の毛を引き摺りながら馬鹿がやってきたのは近所の公園だった。
普段散歩をさせるときにもよくやってくる公園だが、ここに何があるのだろうか?

「デスゥ〜?」

公園に入るなり、キョロキョロとしだす馬鹿。
髪の毛は相変わらずバッサバッサとまるでホウキのように地面を掃いている。

「デデッ!?」

やがて何かを発見したようで、馬鹿は一目散に駆け出した。

「あ〜あ、そんなに走ったら……」
「——デベッ!」

案の定転んだ。
元々運痴な実装石が、髪の毛の形を変えるという荒業を行えば、
自然と体のバランス感覚が狂い、よけいに転びやすくなるというもの。
目的と思しき場所に向かうまでに何度も転びながら馬鹿は駆けて行った。

「デッス〜ン♪デスス〜ン♪」

遠くに目をやると、公園の遊具の陰で例のタコ躍りをしている馬鹿の後姿が見えた。
何をしてるんだと思い、そっと回り込んでみてみると、馬鹿の目の前に
野良の実装石が何匹かたむろっていた。
よく見るとたむろしている野良実装の中心にいる一匹が
どうやらマラ実装のようで、他のは普通の実装のようだった。
ただ、どの実装も服が着崩れていて、
中の一匹など明らかに交尾をしていたというのが分かる様子だった
しかし今はその全匹がウチの馬鹿の奇怪な姿とタコ躍りに魅せられて、
というよりも驚いて硬直してしまっている。
どうやら実装から見ても不気味だったようだな……。
しかしそんな周囲の空気に全く気がつかず、踊りはさらに激しさを増す。

「デデェエッス〜ン♪デデエ♪デッスンデスススウウウン♪」

目を剥いて髪を振り乱し、涎と汗を撒き散らすその姿は鬼気迫るものがあった。
いいぞ!その汗!といってやりたくなるほどに。
だが、そんな馬鹿にも終焉のときが訪れる。

「デズァアア!!」

集団の中心にいたマラ実装が突然一喝するかのように鳴いた。
ウチの馬鹿もさすがにビクッ!と身を震わせると踊りを止める。
だが、何を思ったのか今度はしなをつくりながらマラ実装に向かってゆく。

「デッスゥン……デスデスゥン……」

そしてマラ実装にしなだれかかると勃ちっぱなしのマラに
のの字を描き始めるウチの馬鹿。

ここでようやく俺はこれまでのこいつの奇行の原因がなんとなく分かった。
ウチの馬鹿はどうやらこのマラ実装に惚れているらしい。
だが、当のマラ実装は普段からいろんな野良実装に囲まれており、
ウチの馬鹿など眼中にないのか、あるいは取り巻きの野良たちに邪魔をされて
ウチの馬鹿がマラ実装にお近づきになることが出来なかったのか、
その辺の事情はよく分からないが、まぁ、とにかく愛しのマラ様と
ステディな関係を築けずにいたのだろう。
——じゃあどうすればいいか?
マラ実装の気を惹けば、愛しのマラ様の方からこちらに来てくれる、
とウチの馬鹿は思ったんだろう。
そのためには他の野良よりも目立たなければならない。
そこで馬鹿は馬鹿なりに色々と考えたんだろう。
その結論があのヘアースタイルだったというわけだ。
そして今、こいつはある意味自分の目的を達成した。
他の野良に邪魔されず、愛しのマラ実装の気を惹くことに成功したのだから。
ただし——、

「デザァアアア!」
「デベェエ!?」

マラ実装の拳が一閃。
ウチの馬鹿は殴られた勢いでトリプルアクセルと見まごうほど回転しながら
華麗に宙を舞った。鼻と口から撒き散らされた血がキラキラと輝いている。
だが、もんどりうって頭から着氷したので大幅な減点だ。残念。

「デ!?デデェエ!?」

恋焦がれた相手からの突然の暴力に、張り飛ばされたほっぺたを押さえて
驚きの表情を浮かべるウチの馬鹿。

「デズッ!」

そんな馬鹿にマラ実装はあっちへ行けといわんばかりに
手を振りながら背中を向ける。

「デスゥウン!デスゥウウン!」

しかしめげないウチの馬鹿はそれでも這いずってマラ実装にすがり付く。

「デスゥウウン!デスァァアアン!!」
「デザァ!デギャギャア!」

そんな馬鹿を振りほどこうと足で蹴りつけ殴るマラ実装。
これだけを見ると金色夜叉かといった風情でなかなか趣深いが、
実際のところは勘違いした不快生物に諸々の怒りのこもった鉄槌が下っているだけである。

「デッスー!デスァアア!!」
「デスデス!デッス!」
「デッシャアア!!!」

そして、ようやく呆けていた他の取り巻き野良実装達が我に返り、
マラ実装に加勢する形でウチの馬鹿に殴る蹴るの暴行を加えはじめた。

「デギャア!デギャアアア!デギャアアア!!」
「デスゥ!デギャギャア!」
「デプッ!デプッ!デプププッ!」
「デェエエン!デェエエエエッス!デェエエエエェェェェェェェェェ……」

こうなるとただの集団リンチだ。
ウチの馬鹿にはもうどうしようもない。
こっちからみていると既にその姿はその他大勢の野良実装に埋没してしまって
確認することさえ出来ない。
野良実装の醜悪な鳴き声の狭間から助けを請うかのような
細く弱々しい鳴き声が時折聞こえてくるだけだったが、
やがてその鳴き声も聞こえなくなっていった。





——ペスペス……ペスペス……

夕方——玄関のドアが弱々しくノックされるのが聞こえたので
ドアを開けてみると、そこにはすっかり変わり果てた姿の馬鹿が立っていた。
髪の毛も服もすべて剥ぎ取られていわゆる禿裸。
体中に痣や擦り傷、そして歯型がついており、ついでに総排泄口に木の枝が
二三本突っ込まれている。
うーん、いっちゃなんだが出かける前よりある意味面白くてナイス感じだな。

「デェェェェ……デェェェェ……デェエエエエエエエエエエエン!!」

俺がその姿をしげしげと眺めていると、馬鹿は二三度しゃくりを上げると
俺の足にすがり付いて大声で泣き始めた。
そんな馬鹿に俺は優しく言ってやる。

「よかったな、このスクが馬鹿スクで。そうじゃなきゃ死んでたぞ」
「デェエエエエエエエエン!!!!!!」


——おはり


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元々髪の毛をネタにしたショートスクを書いて
スレに投下しようと思って書きはじめたのですが
途中から馬鹿話になってしまった上に
長くなったのでこちらに落とさせていただきました

前作便器仔実装の感想を下さった方、ありがとうございました

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