タイトル:花嫁実装 後編
ファイル:花嫁実装02.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:4962 レス数:1
初投稿日時:2006/12/18-02:49:32修正日時:2006/12/18-02:49:32
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道路をゆったりと走行する一台のベンツ。
そのフロントには様々な色彩の花々が束ねられた花輪。

減速するとマドカの見慣れぬ建物の前で止まった。
今までテレビや雑誌などに目を通して知識を蓄えたマドカだが、
車のウィンドウから覗く建物は今まで見たことが無い。
すると近くから頭に黒い帽子をかぶった白いシャツの男がベンツのドアを開けた。

『 いらっしゃいませ、本日は当ホテルを御使用頂きありがとうございます… 』

ボーイは恭しく頭を下げ、マドカを出迎えた。

「 デスゥ…… 」

車から降りたマドカの前に真っ白な建物……可愛らしいチャペルが存在した。
ロマネスク洋式の教会に高さ数メートルの煌びやかなステンドグラス。
そこはホテル御用達の挙式用施設だった。

「 そちらから階段をお昇りください… 」

チャペルの扉へ続く階段。
一歩一歩踏みしめるたびに、マドカの鼓動が高鳴っていく。

( こ、この向こうに…花婿サンがいるデス…? )

重々しい扉にマドカの手が触れる。

 ギギ…

重厚な色彩の外見とは裏腹に、実装石の…マドカの細腕が触れると易々と扉は開いた。
背後から正面へ……正面からマドカへ新たな視界が開ける。

「 デェ……! 」

目の前に広がったのはヨーロッパの大聖堂を思わせる壮麗な内部。
天使達が埋め込まれたステンドグラスやアンティークの調度品が堂内の重厚な雰囲気を高める。
見上げれば高い天井……響き渡るパイプオルガンの音色。

マドカの前に伸びるのは真紅のバージンロード。
その左右に参列者が居並び、新郎のマドカを出迎える。
そしてその先にある…真紅の絨毯の先には……。

『 ——やぁ、来たね。 』

白いタキシードに身を包んだ男が一人。
夢にまで見たマドカの視線の先には甘いマスクで出迎える新郎の姿があった。

( お、王子サマ……デスゥ… )

新郎が自分を見つめると、微笑みを一つ……それだけでマドカは顔が真っ赤に。

『 …それから、これをお持ちください。 』

脇に居た係員が、腰を低くして花束を差し出した。

「 これは…デス? 」
『 これはウェディングブーケです。 』

マドカは、あの部屋の中で見ていたテレビの一場面を思い出した。

教会から出た花嫁が、参列者に向かって花束を放り投げる。
参列者の女性達が先を争って、その花束を自分の物にしようと殺到した。
なぜ花束に群がるのか、その時のマドカには理解できなかった。
だが母親実装に、あの花束を受け取った人は次の花嫁になれると聞かされる。
花嫁のように幸せになれる花束…それがウェディングブーケ。

マドカの手に持たされたのは真っ赤な薔薇。

『 この薔薇は情熱的な赤です……お嬢様にはぴったりですね。 』
「 そ、そんな……デスゥ…♪ 」
『 次の花嫁に渡してくださいね。 』
「 分かったデス……ニンゲンさんもワタシの花束を取れるように頑張るデスゥ 」

係員は一礼して下がった。
そして背後の扉から、自分の母親が入ってきて、自分の腕を取った。

「 ママ…。 」
「 これがワタシの最後の仕事デス……マドカを新郎の元に連れていくデス… 」

マドカは母親実装の腕に手をかけてバージンロードを歩いていく。
参列者全員の視線がマドカに向けられる。
恥ずかしげに俯き、ウェディングベールに自分の顔を隠す。

おごそかに……ゆったりとマドカは新郎の元へ近寄り——。









「 ……デデッ!? 」

花婿の前を通り過ぎて祭壇の端に連れられた。
憧れの白馬の王子様から引き離され、辺りを見回して狼狽するマドカ。

 ……くすっ

「 デ…? 」

 くすくすっ

参列者の各所から噴き出す声が漏れる。
全員が祭壇の端のマドカを見つつ、必死で笑いを堪えているのが分かる。

『 くっ……くっく………。 』

見ると祭壇前の新郎まで自分の方を見て、口を抑えて笑っていた。

「 マ、ママ……これは一体…どういうことデス? 」
「 静かにするデス! 」

途端に母親から声を制せられ、マドカは何も喋ることができない。
おろおろして戸惑うマドカ……すると参列者が、新郎まで全て扉の方へ振り向いた。

『 新婦のご登場です。 』

そこにはウェディングドレスをまとった……マドカでは無い別の存在。
人間の女性が父親らしき人物に手を引かれてバージンロードを歩いていく。

「 デ……だ、誰デス、あのニンゲン………ギャア!! 」

母親実装の振り上げたコブシがマドカの脳天にクリーンヒットした。

「 静かにしてろというのが聞こえないデスか!? 」

脳天の痛みで目に涙を溜め、頭に手を抑える。
だが、涙混じりながらも視線は見知らぬニンゲンの女に向けられていた。

( なんで……これはなんデス…!? )

花嫁の父親は花嫁を手に引きつつ、バージンロードを通って新郎の元に……
その新郎の手に花嫁を引き渡した。

「 参列者の方々、全員ご起立ください。 」

それからマドカの目の前で式が厳かに進んでいった。

聖堂内に流れるパイプオルガンによって演奏された賛美歌312番「 What a Friend We Have in Jesus 」
参列者は静かに声を揃えて合唱し、祭壇上で仲睦まじく見詰め合う新たな夫婦を祝福する。
賛美歌を終えると参列者全員が再び着席。
祭壇の上で司式者が聖書を手に持ち、愛の教えを朗読して二人に祈りを捧げた。

そしてマドカも知っている誓いの言葉の段階に入る。

濃い紺の神父服を着た司式者が彼を見てたずねた。 

『 汝は夫・敏明を妻とし、健やかなる時も病める時も、彼女を愛すことを誓いますか? 』
『 誓います。 』

純白のドレスを身に着けた彼女は彼を見てにっこり微笑んだ。 

「 デ…ェ……!? 」

だが、祭壇外れの純白のドレスを着たマドカは愕然としていた。
なぜ自分の花婿が見ず知らずの女の、しかも人間を愛すことを誓うのか?
目の前の光景と花婿の誓いの言葉。
マドカには理解できない。

更に司式者は新婦の方を見てたずねた。

『 汝は妻・敏子を夫とし、健やかなる時も病める時も、彼を愛すことを誓いますか? 』
『 誓います。 』

「 ……ェ!!! 」

それを言うのは自分の役目だ、とマドカは叫びたいが余りの驚きと狼狽に声が出ない。

『 では、誓いの口づけを……。 』
『 敏明……。 』
『 敏子……。 』

神父の言葉に、新郎と新婦が向き合った。
新郎の青年は見下ろし、新婦が背を伸ばして2人の顔が近づく。
甘く微笑みかける新郎。
瞳を潤ませる新婦。
新郎は新婦の肩へ静かに手を置き…
ドレス越しに優しく腰へ手を回し…
両者は瞳を閉じた…

新郎の唇と新婦の唇がお互いに接近して——

「 ……ッ…………ギャアアアアア!! 」

やっとの想いで硬直が解けた途端、マドカの口から絶叫。
あらん限りに張り上げたダミ声で、聖堂内のステンドグラスが僅かに響いた。

その瞬間2人の動きが止まり、唇は寸前で停止する。

 フフッ……

だが2人が動じる気配は全く見られず…横目でマドカの姿を見ると鼻で笑った。

「 な、なぜデスゥ!ワタシの花婿!!誰か泥棒女を叩き出すデスゥゥゥ!!! 」

目から涙、鼻から鼻水、口から涎を聖なる場所で振りまきつつ、狂ったように騒ぐ。
更に新郎と新婦に掴みかかろうとしたマドカを、背後から何者かが取り押さえた。

『 ほら、新郎新婦の大事な場面だ。間近で遠慮なく見させて貰え。 』

係員がマドカの身体を持ち上げると、どうにもならない。
短い足は空しく宙に舞い、前に進むことも降りることもできない。

再び新郎と新婦は瞳を閉じ……唇が接近して——


 ———っ……


「 ○#×▼#*+{|$%&!!!! 」

マドカの泣き叫ぶ声が大聖堂の中全体に激しく響き渡った。
最早、マドカ自身すら自分が何を言ってるのか分かっていない。
ただ目に入るのは自分の花婿と泥棒女の口付け。

 この泥棒女!

 それはワタシの男だ!!

 口付けをするのはワタシだ!!!

既にマドカの目からは半分正気が失われていた。
血走った目は、揶揄すれば生ゴミを横取りされた餓えた野良犬のソレ。

「 デーッ!デーーッッ!! 」

鼻息を荒くしつつ、係員の腕に掴まれながらジタバタと暴れるマドカ。
決して離れない拘束にもかかわらずそれを理解することもできず、無駄な試みを止めようとはしない。

『 おい、最高だな…。 』
『 あぁ、胸がスカッとする…! 』

参列者達は新郎と新婦の誓いの口付けとマドカの醜態を、晴れ晴れとした笑顔で眺めていた。

更に指輪の交換を促され、新郎はペンを持たされて結婚証書に署名を。
新郎からペンを受け渡された新婦も同じく隣の欄に署名。
結婚証書を手に取り、司式者が2人の結婚の成立を認め、参列者に宣言した。

バックに流れ始める結婚行進曲。

『 行こうか。 』
『 えぇ…。 』

新郎が差し出した肘に、新婦が腕を組み…僅かにしな垂れかかる。
睦まじく寄り添う若き新郎新婦は腕を組みながらバージンロードに沿って退場。
その後に続く新郎新婦の両親。
参列者からは贈られるのは祝福に満ちた拍手。

そして…

「 デシャァアアァァァァァアア! 」

相変わらず係員に取り押さえられ、ドレスを振り乱して暴れる実装石の叫び声。

マドカの目に映る2人の後姿。
教会の扉が開き、光り溢れる外へ新たな生活の一歩を踏み出していった。

参列者もその後に続いて外へ。
最後に鳴き疲れたマドカと係員も外へ移動した。



『 おめでとう! 』
『 この幸せ者! 』
『 こんな綺麗な嫁さんを貰いやがって! 』

階段の上に新郎新婦、そして階下には参列者達。
先の格式ばった中での祝福とは正反対の砕けた親しい友人達からの声援。
花嫁の胸には真っ白なブーケが持たされていた。

『 …それっ! 』

花嫁がブーケを参列者の未婚女性の集まりへ投じた。
零れた花びらが一枚、二枚…宙に舞い落ちた。

『 ゃ……やった〜! 』

群がった女性の一人が、ブーケを手にして黄色い声を上げた。
他の女性達からはうらやましげな溜息。
次の花嫁であろう女性に参列者全員と新郎新婦から暖かい笑みが贈られる。


『 おら、今度はお前の番だよ! 』
「 デ、デ、何がデス!? 」

新郎新婦の横に、係員に持ち上げられたマドカ。

『 ブーケトスだ!ほら、お前のブーケを受け取って貰うんだよ! 』
「 ……! 」

マドカはビデオのワンシーンを思い出した。
花嫁から贈られたブーケをめぐって、幸せを奪い合う女達。

「 し……仕方ないデスね………ニンゲンの女達に、ワタシの幸せを分けてやるデス! 」

持ち上げられたマドカが、赤い薔薇のブーケを思い切り放り投げた。
放物線を描いて宙を飛んでいく小さな花束…。
赤い花びらが1枚、2枚…宙に舞って…。

『 キャア! 』
『 ヤだ! 』
『 キモッ! 』

辺りを埋め尽くしていた女性参列者から悲鳴が上がり、モーゼの奇跡の如く真っ二つに割れる。

 ……パサッ

地面に乾いた音を立てて落ちたウェディングブーケ。
花びらが一枚、更に零れた。

『 危なかったわね〜。 』
『 私、まだ全然あきらめてないからっ! 』
『 ハズレクジを引くところだったわね…。 』

マドカが投げたブーケを、まるで汚物でも見下ろすように冷たい視線を向けていた。
対して、自分のブーケに群がるとばかり思っていた女達の予想外の行動。
瞬時に再びマドカの怒りが沸騰した。

「 デ……!どうして!どうしてワタシのブーケを受け取らないデスゥゥゥ!!?? 」
『 オイオイ、暴れんなよ。持ってるオレも楽じゃねーんだからよ。 』

再び半狂乱になったマドカを面倒そうに持ち上げているのは係員。
その真空空間へ……中心のブーケへ、マドカに手渡した女係員が近づいてきた。

「 そこのニンゲン!ワタシのブーケを受け取るデス!! 」

だが女係員の左手には市指定ゴミ袋、右手には火バサミ。
マドカの言葉が分かるのか、こくこくと縦に頷いてブーケの傍で屈みこんだ。

『 はいは〜い、分かってます。ゴミを回収しますね。 』

手馴れた手つきで火バサミを使ってブーケを掴むとゴミ袋へ。
零れた花びらも器用に掴んでゴミ袋に入れれば口を締めた。

「 さて……燃えないゴミはいつでしたっけ…。 」

回収日を思い出そうとしながらマドカに背中を向けて去って行く女係員。
やがて興味は次のイベントに移ったか、他の参列者達も移動を始めた。

「 なんで!?なんでワタシのブーケを…ギャア!! 」


周りへの騒音を気にしてか、係員のゲンコツがマドカの脳天に再びヒットした。






披露宴は同じ敷地内に立地するホテル内の会場。

フランス南部の邸宅をイメージし、クリーム色を基調とした温かな雰囲気のバンケットルーム。
ポリフォンの時を越えた調べが優しく館内に響き、アットホームな空気に包みこむ。
既にテーブルに居並ぶ全ての参列者。
上座には新郎新婦と、その両親が席についていた。

「 これは一体、何の真似デスゥゥ!!?? 」

上座の隣で、高い場所に置かれた実装石用ケージ。
そこに入れられたマドカが吼えていた。
その直ぐ横には全ての参列者が閲覧可能な巨大液晶モニター。
ケージの柱を掴んでギシギシと空しく音を立てて揺れているが、決して外れるような強度では無い。

『 えぇ〜、それではまず開宴の言葉からですが…。 』

司会者がマイクに向かって全ての列席者へ挨拶。
続いて、主賓の祝辞が始まって乾杯。
新郎新婦のケーキ入刀を終えると食事が開始される。

すると司会者が立ち上がった。

『 皆さん、今回の式では新郎新婦の希望により趣向を凝らしたのはご存知かと思います!
  つきましては、こちらのマドカちゃんを御覧ください! 』
「 デデッ!? 」

ケージの中のマドカへ、眩しすぎるスポットライトが当てられる。
更に全ての列席者から突然の注目。

『 拍手を! 』

 パチパチパチパチ!

続いて、式場全体から割れんばかりの拍手がマドカに向けられた。

「 そ、そんなぁ〜、みんなワタシのことを分かってるデスゥ…♪ 」

己の吐瀉物や目鼻からの体液で汚れたドレスの裾を掴むと、クネクネと身を捩じらせる。
その姿が滑稽なのか、拍手と同時に噴き出す者の笑いも起こっていた。

『 では、続いて此方を御覧ください! 』

 パチッ…

マドカの入れられたケージの直ぐ横の液晶モニターに何かが映し出される。
砂の嵐からブラックアウト。
モニター画面に何処かの部屋の光景が映し出される。

そしてマドカには、その光景に心当たりがあった。

「 そ、そこは……! 」

自分が小さな頃から育ってきた、ママと一緒に住んでいた部屋。
テレビ、ベッド、家具、玩具、全てに見覚えが有る。
だが驚いたのはそれだけでは無かった。

映し出されたテレビの画面が拡大される。

《 どうしたんだい…? 》
〈 デ……デスゥ… 〉( 字幕:初めてデス…優しくしてほしいデスゥ… )
《 分かってるさ…ハニー…… 》

そのテレビには人間の男と実装石と愛の営み。
ベッドの上で濃厚な絡みが行われていた。

そして、そのテレビの画面へ食い入るように覗き込む実装石の後姿。

〈 デェ……デェ………! 〉

その赤と緑の瞳は大きく見開かれていた。
鼻の穴が大きく開かれ、テレビの音以上に大きな荒い鼻息が録音されていた。


『 本邦初公開!これがマドカちゃんの私生活でぇ〜す! 』


新郎新婦を含める参列者全員から、どっと笑いが起こった。

『 なによ、これ〜! 』
『 音声さん、鼻息!鼻息をなんとかして〜! 』
『 なんだよ、あの獲物を狙う目は〜! 』

会場内から沸き起こるマドカへの嘲笑。
参列者は全員手を叩き、お腹を抱えて笑い転げていた。

「 や、やめろデスゥゥ!!笑うなデスゥゥ!!! 」

台上に置かれたケージの中、マドカの声が空しく参列者の嘲笑にかき消される。
全員から嘲笑を受けたマドカが涙を流しながら柱を握って揺らした。

『 皆さん!ここからがご注目です!! 』

司会者の言葉に、モニターに注意が向けられる。


〈 だ…だめデスゥ……そんなに吸っちゃ……デスッ…! 〉

テレビに映し出された画像に興奮したマドカが、自分の胸へ手を伸ばし……愛撫を始めた。
ここでモニターがアップ!
大画面に自慰によって恍惚とした表情を浮かべるマドカの顔面が映し出された。

『 ブッ!!……げほっ!げほっ!ばっきゃろ!変なもん映すな!! 』

ビールをあおっていた参列者の一人が盛大に口から吹いた。

〈 デッ……くっ……ゃ………スゥ… 〉

更にモニターの中のマドカは自分の股間に指を伸ばし……息はますます荒くなる。
背中越しからでもマドカが股間を自らの指で弄っているのは明らか。
その小刻みな動きは徐々に……背中が震えるのが目に見えて…

身体をくねらせたマドカの口元から熱い息と共に、無意識に呟いた独り言が式場内に大音量で流れた!




〈 ああ、いけないデスゥ!……か、からだがしびれてぇ…!!……へ……変になりそうデスゥ……!!! 〉




二度目は大歓声が沸き上がった。
このホテル全体に響き渡るような大歓声。
やはり腹を抱え、手を叩き……それだけでは済まず、椅子から転げ落ちてカーペットの上で笑い転げる者も居る。
笑いの余り腹筋に痛みを訴える者、涙が目から止まらない者。
中には呼吸困難を起こして医者を要求する者も居た。


「 #*+{|$%&#*+{|$%&○#×▼#*+{|$%&!!!! 」


参列者全員からの惜しみない嘲笑に、マドカの声にならない叫びが消えた。
ケージの柱を掴んで揺り動かし、血走らせた目から涙を流しながら泣き叫んでいる。

暫くすると、モニターの向こうで異変が起こって行為は中断。
それと共に液晶モニターの電源はオフになるが、参列者の笑いは容易に終わりはしなかった。




『 はは……ふぅ……マドカ、さっきは最高だったね! 』

目を赤くし、まだ涙の跡が残る新郎がマドカのケージを覗き込んできた。

「 これは…!これは一体、どういうことなのデシャアアア!!?? 」

目から涙を流しながら、新郎の敏明に怒り混じりの叫びを向けた。

『 まぁ、そんな事を言わないでくれよ……だって次はね、君と僕で愛の結晶を作るんだから! 』
「 シャアアァァ………デ……あ、愛の結晶……デス? 」
『 そうさ……僕と一緒に作ってくれるかい…? 』
「 こ、こんな所で…デスゥ? 」
『 そうさ、ここに居る奴等に見せ付けてやりたいんだ。
  ……協力してくれるかい、マドカ………僕の花嫁………。 』
「 ……! 」

ケージの柱越しに白い歯を見せながら微笑む敏明。
更にケージの鍵を外されると、目の前に夢にまで見た新郎が立っていた。

「 ……わ、分かったデスゥ 」
『 いい子だ……さぁ、目を閉じて……。 』
「 デ…!こ、心の準備が……! 」
『 さぁ、いい子だ……。 』
「 デ…!デッ……! 」

瞳を閉じたままケージの中で立っているマドカに敏明の手が伸びる。
その手がマドカのスカートの中に潜り込んだ。

「 そ、そんな…!いきなりそんなところデス…!? 」

足に指が触れた瞬間、びくんっと大きく肩を震わせ白い顎を見せた。
敏明の両手の指はマドカの足を伝って上に昇り……そして…

「 デ……デェ……ッ!! 」

マドカはスカートの中が涼しくなるのを感じた。
新郎の指が自分の下着を股間から降ろしてしまったのだ。

火照る身体

吐き出される熱い息

抵抗する意思を持たぬ四肢

マドカの下着は秘密の部分をドレスの中で無防備に晒け出し……
頬を赤く染め、喜びに打ち震える身体を更に羞恥で震わせ…
次なる敏明の指先を待ち焦がれ…



マドカの左目に赤マジックが捻じ込まれた

「 ……ギャアアアアアアアア!!!! 」

油性塗料を強引に眼球に塗りこまれて、マドカは痛みに絶叫を上げた。

「 デッ!デッ!デデデッッ!!!??? 」

突如腹部の具合がおかしくなり、マドカの体内で何かが生成されていく。
ボコボコとウェディングドレス越しに波打つマドカのお腹。

その時、マドカへ強制出産の痛みが襲う。

「 う、産まれちゃうデス!!!産まれるデスゥゥゥゥ!!!! 」
『 よーし、任せろ。 』

敏明は係員からお湯の張られたタライを受け取ると、そこへマドカをまたがらせた。

『 おし、産んでいいぞ。 』
「 こ、こんな…!こんなところ産めないデ………シャアアアア!!!! 」

 ぽちゃっ

タライの中へ、マドカの股間から何かが落ちた。
その落ちた物を腕をまくった敏明が溺れる前に拾い上げる。

「 テッテレー♪ 」
『 一匹目〜。 』

 ぽちゃっ

「 テッテレー♪ 」
『 二匹目〜。 』

マドカは続々と念願の仔をタライの中へ産み落としていく。
最終的にマドカは披露宴式場で5匹の仔実装と1匹の親指実装を出産した。


『 どうだい、マドカ……僕と君の仔供達だよ? 』
「 デス…ワタシに似て、とっても賢い仔達デスゥ… 」

 ピシッ…

式場内に流されていたリンガル越しのマドカの声に、参列者の動きが一瞬止まった。

「 ママー♪ 」
「 テッチューン♪ 」
「 テチー♪ 」

仔実装達は敏明によって粘液をタライの中で流し落とされた。
産まれたばかりの仔実装達の一匹を胸に抱き、他の仔達をドレスの上に横たわらせている。

『 はは、可愛いねぇ…。 』
「 テチー♪ 」
「 当然可愛いデス……ニンゲンの赤ん坊と同じくらい可愛いデスゥ… 」

 ピシピシッ…!

再び参列者の動きが……今度は大きく止められる。
一匹の仔実装を肩を寄せ合って見つめる新郎・敏明と花嫁実装・マドカ。

「 パパー!テッチュー♪ 」

腕の中で仔実装は手をよたよたと振って、敏明に遊んでくれるようにせがんでいた。
まだ手も足も満足に形成されず、歩くことさえままならない。

「 …じゃなくて、ニンゲンの赤ん坊なんか目じゃないデス♪ 」

 ピシピシピシッ……!!

参列者達の手が小刻みに震えていた。

敏明と共に仔実装をあやすマドカが、ふと別の方向を見ると口を抑えて醜く笑いを込める。

「 デプ……♪ 」

その先にいるのは上座の新婦・敏子。
先ほどから、マドカ達親仔をじっと見つめる視線に気が付いたのだ。
その新婦からの視線の意味を察し、優越感に浸るマドカ。
花婿の敏明はこちら側。
産まれたばかりの6匹の可愛い仔供達。

女として全てに優れていると判断したマドカの口から、無意識に言葉が零れた。




「 勝ったデスゥ♪ 」




 ピシィィィ!!!!

参列者数人の手に持たれていたコップが割れた。
だが立ち上がったのは参列者の中の誰でも無い。

上座から立ち上がった新婦・敏子はケージで親仔の団欒を楽しむマドカ達の元へやってきた。

『 ペットの調子はどうかな、敏明? 』
『 んー、ちょっとなぁ…。 』

( ペ……ペット? )

『 コイツ、ちょっと頭の中がお花畑すぎない? 』
『 まぁ、それは仕方ないよ。 』

「 デ、デシャアアア!! 」

自らの花婿と馴れ馴れしく話す人間の女に、マドカが威嚇の声を上げた。

「 な…なんデス、この女は……!? 」

マドカが仔を胸に抱えたまま、敏明に詰め寄った。

「 ワタシという妻がいながら、この女は一体何者デス!? 」
『 お前の飼い主だよ。 』
「 デ……デェ? 」

敏明の素っ気無い返事に、マドカの動きが止まる。

『 俺もこの女性も……まぁ、俺の嫁だな。俺達はお前の飼い主だ。 』
「 デ……デププ……冗談は止めるデスゥ♪
  それに、その女はワタシの花婿と一緒になれないデス♪ 」
『 ふぅ〜ん……どうしてかしら? 』
「 それは、この仔達デス…! 」

マドカは胸を張って自らの周りの仔達を花嫁に見せ付ける。

「 ワタシとこの人の愛の結晶デスゥ……この絆は誰にも断ち切れないデス…♪ 」
「 テチテチー♪ 」

マドカの胸に抱かれた仔実装が元気に鳴いた。

「 だから観念して大人しく帰ればギャ!………な、何をするデス!!?? 」

新婦・敏子がマドカの手から強引に仔実装を奪い取った。
仔実装は不思議な表情を浮かべながら敏子の手に掴まれている。

「 チューー…? 」
『 へぇ、この仔が絆なんだ…。 』
「 返すデスゥ!その仔を返すデスゥゥ! 」
『 …ざけんじゃないわよ。 』

「 ……チベッ! 」

敏子が手に力を入れると、仔実装は一瞬のうちに握りつぶされ辺りに体液が飛び散る。
手を開けると、床に仔実装だった肉片がぽたぽたと落ちた。

既に原型は留めていない。

「 ェ……ワ!…ワタシの仔にぃ!……何てことをするデスゥゥゥゥゥ!!!!! 」
『 馬鹿!おい、敏子っ! 』

握りつぶした新婦に、敏明が怒りの表情を露わにして睨み付けた。
更にマドカは敏明をたき付けて敏子に向けた。

「 ワタシ達の仔を…!この女、殺してやれデスゥゥ!! 」
『 ったく……ドレスが汚れるじゃないか! 』
「 ……ェ? 」
『 あ…。 』
『 実装石の汚ねえ体液なんかついたら、簡単に落ちないんだぞ……どうすんだよ…!? 』
『 ごめん、私……ついカッとなっちゃって…。 』

赤と緑まみれの肉片と化した仔実装を、花婿は全く意に介すことなく…女のドレスの汚れしか見てない。
レンタル料やクリーニングの方法を相談する敏明の足が、意識せず肉片を踏みにじった。



『 なぁ、私達も良いかね? 』

何時の間にか、参列者達がケージの周りに集まってきた。

『 今日の出し物はソイツらなんだろ?だったら、早くこちらに分けてくれよ。 』
『 あ、そうでしたね!
  すみません、俺らはちょっとドレスのことで色々あるんで…司会さん、お願いします! 』

素早く一礼すると敏明は、花嫁を連れてケージを後に……式場の扉から出て行った。
取り残されるマドカと5匹の仔供達。
実装石達に参列者達の影が迫る。

『 では、新郎側で一つ…♪ 』
『 はい、新婦側で貰っておきますね。 』
『 こちらは職場の者です。 』
『 俺達は敏明の友人です! 』
『 私達は新婦側の友人っていうわけで♪ 』

「 デ、デ、デデェェェ!!!???ワ、ワタシの仔を返せデスゥゥ!!! 」

「 ママー! 」
「 タスケテテチー! 」

参列者の手が伸びると、思い思いに各代表がマドカの仔を掴んでいく。
動きの鈍いマドカでは全てを守ることなど叶わず……参列者の手に納まっていった。

『 ではマドカさん、各参列者へ挨拶回りに行きましょうか。 』

姿を現したのは例の係員。
再びマドカを持ち上げると、参列者のテーブルを一つ一つに足を運んだ。




「 アチュイテチュー!ママー!アチュイテチュウウウ!! 」

新郎側親類テーブルの斜めに傾けたキャンドルへ縛り付けられた仔実装。
その仔実装の頭へ、親類の一人が蝋燭の蝋をたらした。

 ぽたっ

「 アチュアアアアア!!! 」

蝋燭の熱は仔実装の柔肌を火傷させるに十分な温度である。

『 次は私ですよ。 』
『 ちょっと待ってくださいよ、私です! 』
『 はは、変な趣味に走りそうですな。 』

親類達が交互に蝋燭を持つと、仔実装の様々な身体の部位にたらされた。

「 テユアアア! 」
「 チヤアアア!! 」
「 アチャイアアア! 」

手、足、胴体…蝋を落とす場所によって仔実装は別の鳴き声で参列者を楽しませた。
その熱さで暴れる仔実装へ、更に上部の蝋が溢れて滴り落ちてくる。

「 テ…チャアアア!セナカアチュイイィイィィ!! 」
『 よし、次はココなんてどうだ〜? 』

列席者の一人が仔実装のスカートを捲り上げた。
更に、その捲り上げたスカートで見える下着をずり降ろす…。

『 当たれよ……ジャストポインツゥ! 』
「 チュ……アァァァアァァッァァァァッァァァァァ!!! 」

股間へ落とされた蝋燭の一滴。
それはまだ通常の排泄にさえ使われた事の無かった総排泄孔へ垂らされた。
仔実装とはいえ、最も神経の集まった場所に対する蝋燭責め。
更に味を占めた他の参列者も総排泄孔へ集中して責め始めた。

「 や、やめてデス!ワタシの仔にぃぃ! 」
『 蝋燭はもう少しで頭に到達する。そしたら綺麗な仔実装キャンドルが見れるな♪ 』
「 やめてデシャアア!! 」





新婦側親類テーブルでは、マドカがやってくると親類達全員が仔実装に手を伸ばした。

「 チャアア!! 」
『 ほぉら、捕まえるぞ〜? 』
『 こっちかな〜? 』
『 それそれぇ 』
「 に、逃げるデスゥゥ!! 」

親類達が本気を出せば、仔実装を捕らえるなど容易い。
だが、あえて後一歩のところで手を止めて故意に逃がし、
狭いテーブルの上でいつ終わるとも知れぬ仔実装の逃走劇を楽しんでいた。
必死になって逃げ回る仔実装に恐怖感を与えて弄んでいたのだ。

「 テェ、テェ………テェ、テェ……! 」

へとへとになりながらもテーブルやグラスの影へ動き回り、身を隠そうとする仔実装。
だが、既に体力の限界に達しようとしていた。

『 根性無い仔だな……ほうれっ♪ 』

止まりかけた仔実装のお尻にマチ針が突き刺された。

「 テッチャアアア!! 」

更にマチ針責めは続く。

『 ほら、止まるな! 』
「 チュアアアア! 」
『 次は右手か…。 』
「 テッチュアアアア! 」
『 よし、頭とか…。 』
「 テビャアアア! 」

終いには足が遅くなっただけでマチ針が各部位に突き刺される。
刺された場所から体液が流れ溢れ、真っ白なテーブルクロスに赤と緑の斑点が模様になった。

「 そんなことをしないでデスゥゥ!! 」

痛みは強引に身体を動かし、延々と追いかけっこを続けさせられる。
仔実装の疲労が限界の限界に達し、偽石が割れるまで終わることは無かった。






「 ヤメテテチュ!ワタチノカミヲトラナイデテチュー! 」

新郎・敏明の職場のテーブル席では、頭巾を外された仔実装の頭に、周りから手が伸びていた。

『 ほうれ、こっちだ! 』
「 チャア!! 」
『 と、思ったらこっち♪ 』
「 テチュアアア! 」
『 そいっ! 』
「 チャバッ! 」

参列者の指には栗色の髪の毛。
テーブルの真ん中に置かれた仔実装は、必死で髪の毛を抜かれぬよう避けていた。
頭に手を押さえ、後ろの髪の毛を守り、素早く移動する。
だが360度隙間無い攻撃に数本、あるいは数十本づつ無残に抜かれていく。

『 お、課長!けっこうやりますね。 』
『 当たり前だよ、年季が違う。 』
『 係長、仔実装に苦戦ですか? 』
『 これからだよ、これから! 』
「 チュッチュアアァァァ!! 」

「 ワタシの仔に酷いことしちゃダメデスゥゥ!! 」

係員に持ち上げられながら、マドカは我が仔の髪の毛が徐々に薄くなっていくのを見せられた。

『 はっはっは、いい気味だな〜! 』

頭部の髪がまだら模様で薄くなった社員が楽しそうに笑った。

『 あの仔は、あと少しで禿だな。まぁ、楽しみに待ってようぜ。 』
「 やめてデシャアアア!! 」






「 ヤ、ヤメエエエエ!!ソンナ、ダメテチュウウウウ!! 」

新郎側友人テーブルは他と全く違った雰囲気に包まれていた。

テーブルの真ん中に服を剥ぎ取られた仔実装が仰向けに寝かし付けられている。
手足の四肢は拘束され身動きが取れない。
その両足を広げさせ、股間の総排泄孔に敏明の友人の1人が綿棒を挿入して楽しんでいた。

「 な、何をしてるデスウゥゥゥ!!?? 」

『 うっせーな、黙ってろ。 』
『 俺達はババア実装に用は無えんだよ。 』
『 お、おいおい!早く代われよ! 』
『 まぁ、待てよ……この仔実装のポルチオは……。 』

「 チャア…ソ………ソコォ…ダ……ダメ!…チュアアア!……ヤ、ヤメテチュ……!チュアア…… 」

コンマミリ単位で動かされる男の綿棒。
総排泄孔の中を丹念に動かし……そのたびに仔実装が身をよじって熱い吐息を洩らす。

『 ……ここだっ! 』
「 ……ン……ッ…ダメテチュウウウウウウウウウ!!!! 」

ビクン!
仔実装の小さな身体が大きく痙攣すると背中を反らし……産まれて始めての絶頂感に達した。

「 テェ……テェー……テー……ッ… 」

身体の表面にしっとりと汗が滲み、押し寄せる快感を戸惑いつつも受け入れる仔実装。
息を吸っては吐き、呼吸を整えようとする健気な仔実装に次の責め苦が迫る。

『 だぁめ、だめ!お前ら、下手すぎ!
  よく見てろよ……仔実装を1000匹イかせてきたテクをな。 』

次の男は綿棒の持ち方からして常人とは異なっていた。
通常は上持ちに対し、この男はまるでワイングラスを支えるように下持ち。
尚且つ人差し指と中指で綿棒を挟み、絶頂に達したばかりで痙攣する総排泄孔へ挿入していく。
綿棒は仔実装の中へ……そして、とある部位に達した時

「 テェー……テェ…………………ッ!! 」

肩で息をしていた仔実装が、声も出せず身体を大きく跳ねた。

『 ……ここだな。よし、徹底的に開発してやるか…! 』
「 ヤ、ヤメ…!イッタバカリテチュウウウウ!!モウ…!チュ、チュゥゥゥ!!ソ、ソンナトコロバカリィィ……!!! 」

仔実装は首を左右に振ってイヤイヤするものの、それは男の嗜虐心を刺激するしかなかった。
明らかに他の者達と違う男の軽やかで手馴れた指の動き。
男が綿棒を僅かに動かすと、他の者達とは比べ物にならない程の反応を周りに見せる。
背中を反らし、身体を捻って綿棒の責めから逃れようとするものの四肢の拘束が外れる筈も無い。

「 ダ……ヤ、ヤメチュ!………ッ!………テチュウ!……………チュアアアアア!!! 」

仔実装は強引に何度も絶頂を迎えさせながらも、総排泄孔は容赦無く弄られ続けた…。

『 あの仔実装は、お客様方のオモチャだな……式が終わる頃にはどうなってることやら…。 』
「 やめるデスッ!ワタシの娘がお嫁に行けない身体になっちゃうデスゥゥゥ!! 」






最後のテーブルは新婦側友人達。

テーブルの真ん中に置かれ、ちょこんと座った親指実装を女達が冷ややかな視線で見下ろしている。

「 レ…レチィ… 」

回り3つのテーブルから聞こえる姉妹の苦痛に満ちた絶叫と1つの艶やかな嬌声。
親指実装も、本能的に今の自分の身が危険に晒されていることに感付いていた。

「 ま、まだ無事だったデス!! 」

他の姉妹達とは違い、今は無傷の末妹。
だが喜ぶマドカとは裏腹に、テーブルの女達の口元に怪しげな笑みを浮かぶ。

『 そこのお前。 』
「 デ……ギャアッ! 」
『 お客様から問われた場合は速やかに返事しろっ! 』

返事が遅れたためにマドカは後ろから係員に殴られる。

『 お前…さっき面白いことを言ってたね。
  なんか人間の赤ん坊よりも自分の仔が可愛いとか何とか。 』
「 そ、それがどうしたデス? 」
『 本当に可愛いか試してみようか。 』
「 デ… 」
『 これだけ小さいと、ちょっと乱暴しただけですぐに死んじゃうわ。
  …けど髪の毛も服を全部剥ぎ取るくらいでは死なないわよね。 』

マドカの顔が真っ青に蒼ざめる。
誰からも教わってはいないが、実装石にとって髪と服が大切であるのは本能的に悟っていた。

『 それ〜♪ 』
『 えい〜♪ 』
『 やっちゃえ〜♪ 』

「 レ…レ、レレチャアアアアアアアアア!! 」

細く長い女性達の指がテーブルの真ん中にいた親指に襲い掛かる。
手足を抑えられると服を脱がされ、頭巾を取られ、下着まで降ろされてあっという間に裸に。
一糸纏わぬ姿になった親指実装は純白のテーブルクロスの上で寒さと羞恥で震えていた。

『 誰か、アレ持ってる? 』
『 コレでしょ?そりゃ、持ってるわよ♪ 』

一人の女性がバッグから取り出したのは男性用髭剃り。

『 ちょっとそいつ抑えておいてね。 』
「 ヤメレチュアアア!ヤメテレチイィィィ!!! 」

手が伸び、あっという間に抑え付けられると髪に剃刀の刃が当てられる。

 ゾリ……ゾリ……

「 ヤメレヤア!レチャァァァア!! 」

時折、刃に髪が巻き込むと強引に剃って頭皮ごと磨り減った。
親指実装は頭を血だらけにしながら、命の次に大切な髪の毛をテーブルクロスに剃り落としていく。

『 キャ〜ッハッハッハ! 』
『 やぁ〜だ! 』
『 みっともなぁ〜い! 』

 ぽたっ……ぽたっ……

頭皮から頬を伝った体液がテーブルクロスを汚す。

「 レェ…… 」

産まれて1時間足らずで親指実装は最も大切な財産を失った。

『 よぉ〜し、この仔は後で公園に離しちゃいましょう! 』
『 それ賛成! 』
『 知ってる?禿で裸の実装石はね、他の実装石の奴隷になっちゃうんだって! 』

女達の喧騒を、親指実装は呆然としながら別世界の事のように見ていた。
本能的に失ってはならない物を失ってしまった喪失感。
頼りの母親は人間に拘束されて動けず。
姉妹達の悲痛な叫び声と嬌声が耳から直接響く。

そして目前に迫った絶望的な運命。


脆弱な親指実装の精神が耐え得る状況では無かった。


 パリンッ…


『 ……ん?コイツ、いきなり眠っちゃったよ? 』
『 あれ、電池でも切れたのかな〜。 』

女達が親指実装の身体を割り箸で仰向けに転がした。
力無く垂れ下がる腕と足…そして頭部。

その目には既に光りが消えていた。

「 ワ…ワタシの仔がぁあぁぁぁぁ!! 」

係員に持ち上げられながら、マドカがテーブルの上の親指実装に手を伸ばす。
これで二匹目の仔を失った。
そして、犠牲となる仔が増える運命は間違い無かった。





『 お〜い、こっちの実装石が動かなくなったぞ? 』
「 デェェ!? 」

新郎側テーブルの蝋燭責めを受けた実装石は股間に蝋燭を垂らし易いよう、上下逆さまに変えられていた。
総排泄孔へ集中的に垂らされた蝋は溢れ、仔実装の身体を伝い……絶望的な状況を浮かべたまま偽石が割れていた。


『 ……あ!ミスっちゃったよ。 』
「 デシャアア!? 」

新婦側テーブルのマチ針責めを受けていた実装石。
まだ多少体力の残っていた仔実装だが、調子に乗った参列者の一人が偽石にマチ針を突き刺してしまった。

「 テチャ……ッ! 」

仔実装の身体は100近いマチ針の穴で既に出血多量になっており、どちらにしろ先は長くなかった。


『 あら〜、もう毛が無いですな。 』
『 ですなぁ、一本もありません……。 』

職場側テーブルで禿になってしまった仔実装。
確かに禿になったが、それ以外は何も責められてはいない健康体である。

『 あ、そちらさん、生きているのなら此方で遊ばせてもらえません?
  このキャンドルを使ったサービス、中々ですよ。 』
『 それはどうもです……そうだ、敏明君には仕事で、いつも頼りにさせて貰っていますよ。 』
『 いえいえ、こちらこそ!
  あんなぐうたらな奴ですが、びしびし鍛えてやってください! 』 
『 すみません、我々も混ぜて頂けます…? 』
『 はい、勿論よろしいですよ。 』
『 娘が、お宅でこれからお世話になりますので…。 』
『 いえいえ、こちらこそ!あんな息子に、お宅のお嬢さんみたいな方が来てくださって…! 』

新郎側、新婦側、職員側の列席者が和やかに談笑しながら、禿仔実装は逆さに吊るされた。

「 テチャアァァァァァア!! 」

代わる代わる蝋燭責めと身体の部位へのマチ針責め。
髪の毛を失っただけで幸運と思っていた仔実装は自らの運命を呪った。
その偽石が砕け散るのはそう遠くない。

仔実装の悲鳴をバックミュージックにしながら、両親族と職場の者達の親交が進んでいった。



『 ……おい、お前……凄いな…。 』
『 あぁ、仔実装千人イきは伊達じゃないって言ったろ。 』

新郎・敏明のテーブルの仔実装は未だに身体的には無傷。
だが精神的に最も蝕まれた哀れな仔実装だった。

「 シ……シンジャウ……!コ……コレイジョウ!ッ……チュワァァァァァァアァッァ!!! 」

仔実装の身体が跳ね上がって浮いた。
もう何度絶頂に達したのか仔実装もテーブルの参列者達も覚えていない。


男の指先は仔実装の身体を知り尽くしていたのだ。


『 だがなぁ…俺はまだ本気になんかなっちゃいないぜ? 』
『 なにィ……まだ何か奥の手があるのかよ。 』
『 奥の手なんか無えよ。……だが、もう片方の手なら残ってるだろ! 』

男は左手を天井に向かって突き立てた。

『 ま、まさか…! 』

「 チュッ……チュッ…………チュワァァァァァァアッァッァァァァアン!!! 」

仔実装の排泄孔に沈みこんでゆく二本の綿棒。
耐え切れず、仔実装が一際大きく叫び声を上げた。

「 フ…フトスギルテチュ!!ソンナノイレチャ………イレチャ、ダメテチュウウゥゥゥッゥウゥウゥ!! 」

太くなっただけでは無かった。

人間の脳に備わった左脳と右脳。
男は各々の脳を独立して機能させ、左右両手はまるで別の生き物のように、
それでいて完璧なコンビネーションで総排泄孔の中の弱点をピンポイントで責め始めた。

「 ダメ!ダメ!ダメテチュウウウゥゥゥゥゥゥッゥゥゥゥゥ!!! 」

だが既に仔実装の身体に耐え得る限界以上の刺激がもたらされていた。
限界を超えた刺激はオーバーロードとなり、その偽石に大きな負荷を強いる。

「 チュアアァァァッァアァ!………アァァァッァァッァ……… 」

仔実装は本気を出した男のテクに耐え切れなかった。
最後の絶頂を迎えると同時に、仔実装の偽石は崩壊してしまった。
だが、この仔実装は幸運かもしれない。


他の五体に比べれば、余りにも苦痛とはかけ離れた最期だったのだから。






「 ワタシの……ワタシの仔供達が……… 」

係員に再びケージの方へ戻されたマドカは、中で手と膝を付いて項垂れた。

初めて出産したのは花婿との間に産まれた愛の結晶6匹。
けれども出産から僅か一時間足らずで全て死亡。
マドカは悲しみに打ちひしがれていた。



『 敏明さん、どうです?今回のウェディングプランは? 』
『 はい、最高だったですよ!
  嫁も今回のプランを選ぶことができて最高だったと言ってます! 』

係の者に敏明は感謝の念を込めて挨拶をした。

ニューホテル「HUTABA」のウェディングプランの一つ『 花嫁実装 』
ホテル側は産まれた直後から選別した仔を、幾つもの居住施設に成体実装と共に入居させる。
入居させられた仔実装は成体実装を親と信じ込まれ、花嫁修行をおこなわせる。
しかし花嫁修業といっても、従来の意味とは大きく異なる。
仔実装に与える教育は何も無い。
ただ、花嫁に対するプラスの印象だけに絞り込むのである。
「 花嫁は綺麗で美しい 」「 花婿と結婚する 」「 子供を産んで幸せになる 」
極端に言えば、仔実装に教育を施すのはこの三点のみ。

要するに、ここまでは「上げ」である。

完全に舞い上がった実装石を披露宴に招き入れて、その醜態を楽しむのは格好のエンターテイメント。
特に虐待派の人間にとっては最高のパフォーマンスである。
自分と一緒になると思っていた花婿には既に人間の花嫁がいたという事実。
そして披露宴から存分に虐待を始めて「落とす」

このプランは花嫁実装の育成に少なくない費用がかかるために決して安くはない。
だが、一生に一度の結婚式を印象深い物にしたいのは人の性であろう。
今では花嫁実装の育成が間に合わず、予約待ちという状況が続いていた。




『 …よしマドカ、行くぞ。 』
「 デ…? 」
『 そうね、こいつを連れてかないと。 』

披露宴も終わり間際、敏明と敏子はケージに入れられたマドカの姿を見ていた。

プラン申込者カップルには花嫁実装が引き渡される。
そして、この手のプランを申し込むカップルの場合、花嫁実装の最後の利用方法は一つしかない。

嫉妬に狂う花嫁実装……その最後の使い道は…。







窓から眼下に夜景が見える。

そこは柔らかな光に満ちたベッドルーム。
乾いた音を立て、部屋の扉が静かに開いた。
現れたのは腰にバスタオルを巻いただけの裸の青年。
青年に寄り添うのは身体にバスタオルを巻いただけの半裸の女性。

( これは何デシャアアアア!!! )

ベッドの隣に置かれたテーブルの上にマドカの入った実装石ケージ。
声を張り上げ表面の強化ガラスを叩いているものの、防音仕様となっているために外部へ音は漏れない。
また、ガラスによって覆われているために脱糞しても匂わず、最低限の生命維持装置で中の実装石は生かされる。

『 ふふ…。 』
『 くすっ…。 』

2人はマドカの姿を見て微笑むとベッドへ横たわった。



虐待カップル同士、特に夫婦ともなれば一風変わった性癖が多い。

その一つが実装石に対する露出プレイ。
この場合の実装石は、プランで引き渡された花嫁実装が非常に相応しい。
目の前で自分の物と思っていた花婿が別の人間の女に寝取られるのだ。
その嫉妬心は並大抵の物ではない。

花嫁実装の悶える様子は虐待派の2人を平常プレイより極めて興奮させる。


『 敏子… 』

『 敏明… 』


( デギャアアアアア! )




 2人と1匹の夜が静かに更けていく…











                                      < 花嫁実装 了 >





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1 Re: Name:匿名石 2017/07/27-01:40:43 No:00004802[申告]
そういう展開が来るとわかっていても上げられきった実装石の転落はいいものだ
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