タイトル:【企画】 こういうネタはどうでしょうか?
ファイル:ペットボトル(1).txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:3905 レス数:0
初投稿日時:2006/11/27-15:34:03修正日時:2006/11/27-15:34:03
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ペットボトル 


【勝手ですが、こういう企画はいかがでしょう?
 本文参照後、あとがきをご覧ください】








「オネエチャアァン!!」
「泣かないでレチュ! 声を聴かれるレチュ!」
「レェェェェン!! レェェェン!! ママァ〜〜!!」
「お願いだから、泣かないでレチュっ!!」

 その親指実装達は、必死で逃げ回っていた。

 ある日、突然ダンボールハウスが襲撃を受けたのだ。
 どこからやって来たのか、屈強で大きな飼い実装。
 それが、先日までの雨で柔らかくなっていたダンボールの外壁を破り、母を
嬲り殺し、姉達を次々に捕食した。
 一番下の妹達二匹は、そのどさくさに紛れて脱走する事ができたが、所詮は
親指。
 全力で逃げても、移動できる距離などたかが知れている。
 まして、末妹は家族の突然の不幸に泣きじゃくり、すでに逃亡する意志すら
失っている。
 姉の親指実装は、それでも必死になって妹の親指実装を引っ張り、近くの
木陰に隠れていた。

 親指実装にとって、ぶくぶくと太った成体実装は、もはや怪獣にしか見えない。
 身長が12倍も違うのだから、当然だろう。
 見つかったら最後だ。姉達のように、あっさり食われてお仕舞いだ。
 姉親指は、なんとかならないものかと周囲を必死で見回した。

「あっ、アレは!」

 姉親指は、ある物を発見してそこへ急いだ。
 一本のペットボトル。
 500ml入りのもので透明なもの。
 これは、生前親が雨水を貯めるために利用していたもので、今は横倒しに
なっている。
 なんとか無理をすれば、この中に避難する事が出来るかもしれない!
 幸いペットボトルの口はこちらに向いていて、しかも手前に小石がある。
 これなら、スピーディに中に入れるかもしれない。
 ペットボトルは、ゲータレードのようなスポーツドリンクタイプのもので、普通の物
より口が広かった。
 そのため色々活用が効いたのだが、今は姉妹が生き延びるために活かす時だ。
 
「こっちに来るレチュ!」
「レチャァァァッッ!!」

 妹の手を引き、急いで小石を昇り、ペットボトルの中に入る。
 姉に引っ張られて妹が中にすっぽり入ったのと、成体実装がそこに駆けつけた
のはほぼ同時だった。

「どこに逃げたデス〜?!」

 姉妹は、ちょうど上を向いていたラベルの真下まで逃げていたため、絶妙な
角度で成体実装の視界から外れていた。
 このまま静かにしていれば、やり過ごせる。
 そう確信した姉は、妹の口を手で塞ぎ、成体実装が通り過ぎるのをひたすら
待った。



 数分後。
 親指達にとってはとても長い時間が過ぎる。


 成体実装は、残念そうなため息を吐き出すと、のしのしと足音を立てて林の
向こうへと姿を消していった。

「た、助かったレチ〜」
「レ…レエェェェェン、レエェェェェェン! オネエチャンがいじめたレチイィィィ!! ママァ〜〜!!」
「妹チャン、もうママは死んじゃったレチ」
「レエェェェン!! ママァァァ!! ママァァァ〜!!」
「泣かないでレチ! また奴等の仲間に見つかったら大変レチ!」
「レェェェェェン!! レェェェェン!!!」
「……レチィ…」

 元々聞き分けがなく、母親や他の姉の言いつけをまったく守ろうとしなかった
妹は、ここでもワガママぶりを発揮して姉親指を困らせていた。
 そもそも、今回家族が襲われたのも、元はといえばこの妹が原因だった。
 朝食の配分が少ないとダダをこね、昼前まで大声で泣き喚いていたもの
だから、その声を聴きつけて奴等がやって来たのだ。
 この公園の周囲は最近ごみ管理が強化されたので、ただでさえ厳しい実装石
達の食料事情を益々困難なものにしていた。
 そんな中、苦労して家族全員分の食料をかき集めてきた親の愛情を、この
妹はワガママで踏みにじった。
 その上、いつまで経っても泣き止まないものだから親も昼食の確保になかなか
迎えず、まごついているうちに襲撃を受けてしまった。
 もし、いつものように親が昼食探しに出かけていれば、少なくとも今より被害は
少なかったかもしれない。
 そう思うと、普段温厚な姉の心中にも、ふつふつと怒りの感情が湧き上がって
来た。

「いつまで泣いてるレチ! オネエチャンはもう泣くなって言ったレチ! どうして
 言う事聞けないレチか!」

 ペチッ!

 妹の頬を叩く。
 それが、さらに泣き声をブーストアップさせた。

「レピャアァァァァァン!!! ぶったぁ、ぶったレチィィィィィッ!!! オネエチャンぶった
 レチィィッ!! ワタチ何も悪い事してないのに、ぶったレチィィィィッッ!!」
「まだ言うかレチ! 今日という今日は絶対許さないレチ!」

 ぺちっ、ぺちっ!
 ぱちん、ぱちん!

「レチャアァァァァッッ!!」

 親を殺された怒り、姉達を食われた恨みを、まとめて妹に叩き付ける姉親指。
 しかし、所詮は親指の力。
 ものの数分もしないうちに力尽き、やがて、へろへろになってペットボトルの
内壁にもたれかかった。
 妹は、いつのまにか気絶して倒れている。
 ようやく静かになった事に安堵した姉は、あらためてペットボトルの中の様子
を確認した。


 ペットボトルの中は、親指達にとってもかなり狭い。
 横幅はあるのだが、まっすぐ立つと頭が天井にこすりそうになる。
 横倒しになった状態の底面(従来の側面部)には、少しだけ水が残っている。
 自分達の服と靴の汚れで多少濁ってはいるが、これならなんとか飲めそうだ。
 ペットボトル自体はあれから動いてないので、小石を通じていつでも外に出る
事が出来る。
 ならば、ここに入っていれば当分は安全だろう。
 そう思い、姉はようやく落ち着いたため息を吐き出した。

 ぶりりりりりり…

 ぺちゃっ、べちゃっ

「レ?」

 ペットボトル内に、突然異臭が漂い始めた。
 失神していた妹が、時間差でパンコンしたようだ。
 妹の身体を中心に、水がどんどん緑色に汚れていく。
 限りなく密閉空間に近いこの状況下でのパンコンは、それまで比較的綺麗で
清潔な生活をしてきた姉にとって、耐え難いものがあった。

「く、クッちゃあ!! こ、これはたまらんレチ!」

 思わず出口の方へ逃げる。
 もうすぐ外に出られる、と思ったその時…


 ぐいっ

「レチ?」

 突然、身体が傾いて、ペットボトルの底の方へ滑っていった。

「レチ?! レチ?! レチイィィッッ?!?!」

 一瞬、何が起こったかわからなかった。
 水が、汚水が、妹の身体が、まとめて全部底の方にずり落ちる。

「レチャアァッ?!」

 じゃぼっ!
 どぷっ!

「レチャッ!!」

 妹の身体の上に落下してしまう。
 姉は、身体の半分以上が水に浸った状態で妹と積み重なっていた。

「ゴボゴボゴボゴボ」
「レチャッ?! い、妹チャン!」

 慌てて妹を救い出す。
 ペットボトルの底では、薄水色の水に身体を半分浸し、身を寄せ合って上を
眺めている親指姉妹の姿があった。


『よっ』

 上から、何者かが声をかけてきた。

「レチ?!」
「レ、レェェェェ…」

『面白いところに住んでるんだな、お前達』

 それは、人間の声だった。
 若い男の…
 ここからだと姿形はほとんどわからなかったが、どうやら、そいつが何か
したらしい事はすぐにわかった。

『君達の大切なおうちが倒れていたから、元に戻しておいてあげたよ♪
 よかったね』

「な、なんて事するレチ! これじゃ出られないレチ!!」
「レチャァァァッッ!!! お水クチャイレチ! お服ビシャビシャレチぃっ!」

 ぶりゅっ、ぶりゅぶりゅ…

「ああっ、妹チャン、益々ウンチしちゃダメレチィッ!!」

『姉妹仲良く、末永く元気でなっ! じゃあ♪』

 そんな声を最後に、足音が遠ざかっていく。
 さらに濁った汚水に身を浸しながら、益々強まった異臭に顔をしかめながら、
姉妹は呆然と天井を…遥か上空にあるペットボトルの口を見つめていた。


「レエェェェ……ど、どうしようレチィィィ……」
「お、オネエチャアアアン……」


 今は、8月初旬。
 過酷な季節が、本格的に始まったばかりである。
 
 

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注:これは、マラソンスクです。

 このスクの続きを、別な方にお願いします。
 20KB以内程度の文章量で、続きを書いてくれる方を求めます。

 私は、この時点でこのスクの著作権その他一切を放棄します。
 気が向いた方、是非好きなように続きを書いてください。
 状況解釈は引き継いだ方に一切お任せします。

 ジャンルも、虐待・愛護・馬鹿・観察その他、お好きなように変えちゃって結構
です。
 よろしくお願いします。


 …一週間放置されたら、このスクを削除しますw

 
 

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