郊外にある大きめな公園。平日の為か人は少なめだが思い思いにくつろぎ、 中にはペットと戯れる人もいた。 「デスデデーーーーーッス!!デーーーーッス」 綺麗な身形の割には躾のよろしくない実装石がドテドテと飛び跳ね、視線の先と 飼い主であろう方を交互に見て叫ぶ。 「どうしたの椿?」 飼い主であろう女性がしゃがみ込んでデスデスと騒ぐ実装石「椿」と 視線を合わせる。椿の視線の先には普通の飼い実装と、素っ裸の姿をし 四本足で地面を這い蹲る犬実装の姿があった。 女性は実装リンガルを取り出し表示された文字を見ると (あれデス!!!すぐ欲しいデエェッス!!あれがすぐ欲しいデェェェェェッス!!!) そう現れていた。涎を垂らし、爛々とした眼をしてピョンピョンと飛び跳ねていた 椿は我慢できなくなったのかその実装石に走り寄ろうとする。 「あ、ダメよ!」 椿の胴に結ばれたペット用の紐がピーンと伸び、椿はその場でジタバタと足踏みをし 暴れる。 (離すデーーーーーッス!!!我慢出来ないデーーーーッス!!!私の言う事が聞けない デーーーーーーーッス!?) 涎と汗を飛び散らせながら首を女性の方を向けて叫ぶ椿。 その様子を見ていた普通の実装石と犬実装の飼い主であろう女性が近づいてきた。 「あ、あの!すみません!!離れてください!この子今興奮してるんで!」 女性が紐をしっかりと握り締めなんとか椿を落ち着かせようとなだめる。 「ね!?落ち着いて!あれは他の人の物なの!!」 犬実装の飼い主は2匹を引き連れ微笑みを浮かべつつ、そのまま暴れる椿に近づく。 先頭の犬実装が怯えながら椿に近寄った時だ。 ベチン!! 「ンフィ!?」 椿は主人の手を振り解き犬実装を打ったのだ。 ベチッと音を立てて顔面を地面に打ちつける犬実装はプルプルと震えると 身体を起そうと奇妙な形をした両手を踏ん張る。そこにまた ベチン! 「フェ!」 椿は再び犬実装の頭を叩きつけた。その様子をじっと見ていた普通の飼い実装石は少し 顔を背けると 「デプププ」 と小声で笑う。 「やめなさい!椿!す、すみません!!あ、こら!!」 必死で椿を取り押さえる主人の手の隙間から手を伸ばし、犬実装の頭を バスケットボールの様に叩く椿。 「エフゥ!…フヒィィ!!フエェ!!」 犬実装の顔面が少しずつ崩れ、鼻や口から体液が滲み出し、顎の辺りからは肉片も飛び散り出した。 それでも女性は止めもしない。それどころかにこやか微笑み、その行為を見つめつつ 本来の持ち主の実装石が「デププ〜♪」と笑うのも叱りもしない。 「元気な実装ちゃんですね♪良いんですよ、この子は。こうされるのも 犬実装の役目なんですから」 女性はそう言うと椿の主人に微笑んだ。 犬実装。普通の実装石が人間のペットといえるのなら、飼い実装達のペットといえるもの、 それが犬実装。素っ裸の丸坊主、手足をオットセイの様に捻られ、ペタペタと間抜けな 音を立てながら飼い実装に引きずられ、殴られ、蹴られ踏み潰されオモチャにされる・・・ 野良実装よりも惨めな生き物。犬実装に与えられた幸せとは、飼い実装や人間に飽きられない 限りの命の保障と、野良実装よりは多少まともな残飯が食べられる事……だが平穏無事な時は 夜、飼い実装が寝静まった時ぐらいだ。 「で、でも…人様のものを…あ、コラ!」 椿は主人の手を振り解くと、今度は犬実装の頭をサッカーボールの如く蹴った 「デェープッ!」 ドカ! 「フング!?」 ゴン!! 椿の脚が犬実装の赤い目玉を直撃し、目玉の破片を撒き散らしながら犬実装は吹っ飛び、 傍にあったベンチの支柱に頭をぶつけピクピクと失神し糞尿を漏らした。 椿はその姿を見て胸を張り 「デッスーーーン♪」 と威張った。一方椿の飼い主は慌てて犬実装に駆け寄り犬実装の状態を見る。 地面にしこたま打ち付けた顎からは支柱にぶつかったのだろう。頭部の4分の1砕け、 赤色の眼球はなくなり穴が開き傷口からは気色の悪い体液を垂れ流し、他の手足も 擦り傷だらけだ。 椿の飼い主は震えながら手を口にやり 「……ご、ごめんなさい……あ…あの、何とお詫びして良いか…」 そう言うのがやっとだった。 椿の飼い主も実装石関係の雑誌「実と装」などを読んでいる。そこで犬実装の存在は知っていた。 誌面のコピーには 『御宅の実装石のステイタスアップとストレス解消に!』 などと謳っていたのを憶えている。実際ここ最近、ここの公園でも身形の良い御婦人が 実装石には勿体無い洋服を着せてブクブクと太った自慢の実装石と犬実装を散歩している姿を目にする。 人間は実装石に首輪をつけて、飼い実装石は犬実装に首輪をつけ闊歩し、最後に 「フェェェェェエエ!!」と泣き叫びながらペタペタと奇妙な形の4本足で引きずられる犬実装。 椿もその姿を目の当たりにしてるので当然主人にねだったが、最近現れて流行り出した犬実装は ちょとっとした血統書付きの犬や猫並の値段がする。おいそれと買えるものではなかった。 しかもこの犬実装、メーカーもピンキリで、キチンと躾けてはあるが 中には少しきつく虐められると精神が壊れて使い物にならない犬実装も居る。その辺りは 犬実装を交配し、育てるブリーダーの腕によるのだろう。 (…どうしよう…もし、高いのだったら……) 椿の主人の脳裏にそんな下世話な事が過ぎる。しかし、椿の世話で手が一杯で主人には 当然のことだった。 「ホント元気な実装ちゃんですねー。ここまでやる子は初めてみましたよ♪」 気が付けば犬実装の持ち主が目の前に佇んでいた。 「初めまして。わたし『』と言います。」 犬実装の飼い主が自己紹介をする。てっきり怒られることを想像していた椿の主人は あっけにとられてしまう。ポカンと『』を見つめてから慌ててお辞儀をして 「あ、あの、初めまして。わ、私Eと言います。今回はウチの椿が…本当に申し訳ありま…」 「良いんですよ。気にしないで下さい。「実装石」は「偽石」が壊れない限り 死ぬことなく再生されるんですから」 Eが謝ろうと言い掛けたところで『』がそれを遮った。『』がバッグからドロリとした液体の中に浸かった 緑色の石が入ったケースを見せる。 「……これが「偽石」…ですか……本物ははじめて見ました…」 Eは珍しそうにそのケースを覗き込む。まるで実装石が初めてコンペイトウを手にした様な表情で。 「Eさん…と呼んでいいかしら?貴方偽石を見るの…」 「はい、初めてなんです。雑誌とかでは「偽石は早く取り出して溶液に漬けること」とか 書いてありますけど…怖いし、気持ち悪いんで……だから椿にはまだ偽石が入ったままなんです」 『』は頷きながらEの話を聞いて思う。 『このひとはまだ初心者なのだ』と。そして『自分と似た経験をしてる』と。 「Eさん、少しお時間あるかしら?良ければお話でもしません?」 「あ、は、はい。喜んで」 「デーーーーッス!!デスデデーーーッス!!!」 「デププ♪」 ピク…ピクピク…… そいつをよこせ!とリンガルを見なくても分かるような行動を取る椿と 手を出せない椿と犬実装が無残な姿にされて喜ぶ『』の飼い実装。 椿は2匹から少し離れた木に繋がれ1人暴れていた。 「…そう…お子さんが大学で上京して…でも、ご主人は椿ちゃんがあんなに暴れると 怒りません?」 「え、えぇ…椿は専用の部屋がありますし……私、離婚して一人身なんで…」 Eの横顔に影が掛かる。Eを見つめながら話していた『』は目を慌てて反らした。 「ご、ごめんなさい!変なことまで聞いて…ま、まだ若いんだから大丈夫よ! ……でも、わたしのところも一緒なの」 「え?」 「…主人が亡くなって、子供が育って家を出て一人ぼっちになって、寂しさから 実装石を飼いだして………Eさん、ほんとのこといって椿ちゃんをどう思う?」 唐突な質問に戸惑いつつもEは答えた。 「……正直…困ってます。でも…寂しくなるのは嫌ですし、雑誌に載ってるような 再教育が出来ればと思うんですが…」 しかし、Eも分かっていた。雑誌で躾や再教育などを行っている会社や ブリーダーの広告が載っているが、どれも「テチュー」と鳴く仔実装、若しくは 「テスー」と鳴く子実装までなら再教育が可能だが「デスー」と鳴く成体になってしまうと 不可能な事を強調していることを。 沈んだ表情になるEに『』は声を掛ける。 「あの笑ってる実装石「34号」って言うんだけど、あの子、私が躾けたの。 バカでずる賢い奴だけど、公園に居る野良達よりはマシだと思うの。 あの子には「犬実装には手を出すな」って徹底的に教え込んだわ。だから 椿ちゃんが犬実装を襲ってる時も怒りもしなかったでしょ?」 Eはハッと思い出した。普通実装石は自分の物を取られたら激怒するはずだということを。 ところがその34号は笑って見てるだけだったのだ。 「Eさん、これ」 『』は犬実装の偽石の入ったケースと、電話番号が書かれたメモをEの手に乗せる。訳が分からず 戸惑うEをよそに『』はベンチから立ち上がった。 「Eさん、あの犬実装は貴方にあげる。何かあったら電話して♪」 『』は微笑み会釈をすると34号に向かって歩き出した。 「ふう…この子が失神してるおかげでなんとかなったけど……」 公園からの帰り道、Eは失神してる犬実装を片手に抱え、もう片手には椿のロープと、 かなりな重労働だった。暴れる椿は吠え立てる。 (デーーーーッス!!そいつを殴らせるデーーーッス!!蹴らせるデーーーーッス!!!) 抱かれている犬実装を攻撃したいのに飽きると疲れたのか (疲れたデス!!そんな奴さっさと捨てて私を抱くデーーーーッス!!) と我がままを言い出す始末。それをなだめ、あやしつつ家まで帰ってきたのだ。 高級マンションの1室がEの自宅だった。数部屋ある内の一部屋が椿専用の 部屋で、お菓子の袋や玩具が散乱していた。壁には自分の糞で書いたのか 訳の分からぬ絵か文字みたいなものが書かれていた。 「デーーーーーーーーッス!!!」 部屋に入ると椿は一目散に食べかけのお菓子の袋を食い漁り出した。 食いカスが飛び散るのも構わず、大急ぎで袋に手を突っ込んでは 口に放り込む。身体が再生し始めた犬実装を床に置きながら、椿の姿を 見て溜息を吐く 「……ふぅ…昨日掃除したばかりなのに……」 嫌いなものは一切口にしない。機嫌が悪ければそれを壁に投げ付ける事さえあった。 本当は別々の部屋で飼いたかったが、まだ生態も良く分からない犬実装とも、まして 椿と一緒の部屋で寝たりしたくは無かった。 そんな椿と犬実装が同じ部屋にいてはどうなるか容易に想像できたEは仕切りを作った。 昔、子供が小さい頃ストーブなどに近寄らないようステンレス製の赤ちゃん用の仕切り。 それを少し弄って椿が犬実装に襲い掛からないように部屋を仕切った。その作業を しながら、Eは昔を思い出していた。子供が出来た事。家族団らんで楽しかった事。 夫の帰りが遅くなった事。泣きながら書類にサインした事。そして、初めて椿がここに やってきた時の事…… 作業を終える頃、椿が叫び出した (ゴハン!!!!お腹ペコペコデーーーーッス!!早くゴハン持って来るデーーッス!) それが今ではこの態度だ。たまに甘えた声を出す時はおやつをおねだりするか、部屋で悪さをして 障子などに穴を開けた時。 『そういえば、ここ最近甘えた声なんで聞いてもいない…』 ぼんやりと考えていると突然「ガシャン!」と音がする。椿が 仕切りのフェンスを蹴飛ばしたのだ。 (デーーーーーッス!?これは何デス!!私の部屋が狭くなるデーーーーーーッス!!) 「貴方あの子に悪さしちゃうでしょ?だから少しがまんして。ね?良い子だか…」 Eが言い終える前にまた「ガシャン!」と金属音が響く。 (五月蝿いデーーーーーーッス!!お前は私が可愛くないデスゥゥゥゥ!?) ブリ!ブリリ!!!ブリュ!! 興奮のあまり脱糞し、フェンスを蹴ったり引っ張ったりする椿に戸惑いながら、Eはどうにかして なだめ様と試みる。 「ね?今日はハンバーグにしましょう?付け合せの野菜なんて着けないで大きなハンバーグを焼いて あげ」 ベショ! Eの右頬に生暖かい感触と、鼻を突く悪臭。Eはそれに手をやると恐る恐る目で確かめる。 緑色の半液体状のモノ。今までにされた事の無い行為。椿に糞を投げ付けられたのだ。 今まで壁に向かって投げたり落書きをしたりすることはあった。でも、人間、Eに向かって した事は一度も無かった。 Eは慌てて洗面所に向かいそれを洗い落とす。何度も何度も顔を擦ると、今度は涙が 溢れてきた。傍にあったタオルで顔を覆うと、あの部屋から 「デプププー♪」 と声が聞こえた。 「デェェェェスゥゥー…デェェェェェェスゥゥゥーー…」 夕刻時、騒ぎ疲れた椿が寝ているのを確認して部屋に入る。 既に再生を終えた犬実装は怯え、震えながら椿の方を見ていた。 Eは小声で問いかける。 『おはよう』 「エフ!?」 ビクンと身体が反応し、犬実装はゆっくりと声の方を向く。 コトリ 目の前に置かれたお皿には餌、と言ってもゴハンとちょっとしたおかずが入っている。 「フェ?フェ?」 犬実装は餌とEを交互に見る。「これを食べて良いの?」とでも言いたげに。 犬実装は小型の笛みたいな物を声帯近くに着けられていて 実装リンガルはもちろん、実装石達でも何を言っているのか分からない。 でも人間が、他の実装石達が何を言っているかは分かる… コミュニケーションの取れないもどかしさと寂しさ。見かけもみすぼらしい犬実装の 惨めさに輪をかける。そのことをEは『』から教えてもらっていた。 『食べて良いのよ。お腹空いたでしょう?』 Eの言葉を聞いた犬実装は目に涙を一杯に溜めると何度も何度も お辞儀をした。そして餌を食べ出した。がっついてはいるが何処となく 落ち着いた食べ方。先程の行為といい食べ方といい、賢い犬実装 なのかも知れない。 Eは思わず犬実装の頭を撫でた。犬実装は食べるのを止めて Eを見上げペコペコと何度もお辞儀をすると、それからまた餌を食べ始めた。 Eは、そんな犬実装がとても愛しく思え抱きしめたい衝動に駆られるが我慢をし、 懸命に餌を食べる犬実装を見守り続けた。すると、前足内側に何か数字が書いてあるのが見えた。 1−16 いや、書いてあるのではない。刻印だ。 (ブリーダーの人が点けたのかしら・・・?) そんなことを考えて犬実装を見ていると餌を食べ終えた犬実装はペチャペチャとお皿を舐めたかと 思うと自分のおでこでお皿を磨き出した。動きずらそうにしなからも懸命に… 「フェフ…フェフ…」 それが終わるとEを見上げて深く頭を下げた。 けして綺麗になったとは言えないが、一連の行為でEは確信した。この子は賢い子だと。 床にへばり付けた犬実装の頭をEは優しく何度も撫でた。 「クチャクチャ…デフ、デッフ…クチャクチャ」 晩御飯の時、大きなハンバーグを貪る椿は嫌な音を立てながら 以前にEが教えたフォークをナイフも使わずに犬の様にして食べる。これでは どちらが犬実装か分からない。 「デーーーーーーーップ♪」 椿が満足気にお腹を摩りゲップをした時、Eが犬実装の餌を持って部屋に入ってきた。 コトリ 餌が置かれると、またペコペコと頭を下げてから落ち着いて頂き始めた。 Eはなぜだか犬実装の頭を無意識の内に撫でていた。 ガシャーン!!! 「デーーーーーーーーーーーーーーーーッス!!!!」 部屋におおきな物音と椿の叫び声が木霊する。フェンスにへばり付いてデスデスと叫ぶ 椿。 (そんなバケモノに何してるデス!!なぜ私以外を可愛がるデス!!) プルプルと震えながら絶叫する。 (お!おお、お前はバカデス!!!大バカデス!!そのバケモノに負けないくらいの 大バカデーーーーーーッス!!) Eがリンガルで確認するとあらゆる罵声がEと犬実装に向けられ発せられていた。 その姿を見た犬実装は食事を止めブルブルと怯え出しEの方を見上げる。 Eは犬実装の前にしゃがみ犬実装の視界から椿を見えなくすると、再び頭を撫で始め 「大丈夫。安心してお食べ」 そう囁いた。その言葉を聞いた犬実装は震えながらもEが守ってくれるのを信じて食事を 続けた。 『フェンスには鍵が掛かっているから椿がこちらにやってくる事は無いし、この部屋の防音は しっかりしている。一晩中椿が騒ぎ立てようが大丈夫。私が我慢さえすれば…』 そう考え、優しく犬実装を撫でながら食事が終わるまで守り続ける。 金属音と罵声は暫く止む事がなかった。 次に日の朝、椿の部屋を開けると、物凄い異臭と、散乱した玩具、一部が外れたフェンスが 目に映った。 「!?」 慌てて部屋の隅を見ると、手足を折られ既に虫の息、傷だらけで糞塗れの犬実装と、 そばで大イビキを掻く椿の姿があった。 Eは慌ててフェンスを確認すると、自分の子供の時に使っていた古い物だった為か ネジの一部が腐食して壊れていた。椿の力にも耐えられなかったのだ。 Eに今までに無い感情が沸き立つ。 「椿!!!起きなさい!!!」 「!?…デェ!?」 大声で呼ばれた椿は飛び起きて目を擦る。 まだ眠いまなこで大きな影を見上げると、見たことの無い表情のEが立っていた。 しかし、椿は臆することなくこう言った。 (…デェェェ…!?五月蝿いデス!バカニンゲン!!さっさとゴハンを持ってくるデス!!) その台詞にEの感情が高ぶる。 「何をしたの!?この子が貴方に何をしたの!!まだここに来たばかりでしょ!!」 ベチャ!!ベチョ! Eのお腹や胸に、続けざまに糞が投げ付けられ、Eの服に悪臭を放つ緑色の染みを作った。 椿はEに向かって胸を張って言う。 (お前が幸せなのは誰のお陰デスゥ!?可愛私がここに居るからデスゥ! そんなことも分からないバカニンゲンにはこれがお似合いデーーーーッス!!) ベチョ!! Eの服にまた染みが出来る。椿の台詞をリンガルで確認したEは固まり震えた。 『お前達が幸せなのは誰のお陰だ!?俺が働いているお陰だろ!!』 『だからって浮気して良い理由にはならないでしょ!!あっ!』 『父さんも母さんもいい加減にしてよ!!』 脳裏に浮かぶ台詞と、頬を打たれた時の痛み。Eは震えながら、 いつの間にか拳を握っていた。 (お前は可愛い私にゴハンを寄越せば良いだけデーース!!) 椿はそう叫ぶと犬実装の頭部を思い切り踏み付けた。 ビクン!! パタ… 頭部を踏み潰された犬実装は大きく身体を反らしたあと、 口からダラリと薄汚い体液と舌をだし仮死した。その姿を見て椿は 「デプ、デププププ♪」 と笑い出す。Eは呆然と見つめていた。犬実装?いや、椿を。 『お前は飯だけ作ってれば良いんだよ!』 浮気をして帰りの遅くなったた夫に言われた捨て台詞を実装石にまで 言われてしまったのだ。 バン! 思い切り扉を閉め鍵を掛ける。中からは椿の叫び声が聞こえるが知った事ではない。 Eは電話のある部屋へと向かった。 「はーい、椿ちゃん。ごはんよー♪」 「デスウゥゥゥゥゥ〜ン♪」 椿に御飯を与えているのは『』。 いつもとは違う人間には一応媚を売り自分の可愛らしさをアピールする椿。 その姿を、Eは扉の隙間から覗いていた。なぜだか涙が頬を伝う。 悔しさや悲しさや惨めさと、過去、椿がここに来た時の事。それらが一緒になって 何ともいえない感情に陥っていたのだ。 「Eさん…大丈夫?」 椿に御飯をやり終えた『』がEの肩を抱く。 「…う…ご、ごめんなさい…みっともないところをお見せして……」 「…ちょっと散歩でもしましょうか?」 『』がEの手を取るが、Eは心配事があった。犬実装の事だ。 『』が来て、すぐに浴槽のシャワーで洗われたあと、その場に放置 されているのが気になったのだ。 「流石にすぐには再生しないから大丈夫。さ、外の空気を吸いに行きましょう」 『』とEは2人が出会った公園へと向かった。 ベンチに腰掛けると、Eはポツリ、ポツリと自分の過去を話し出した。 離婚し、ある程度まとまったお金が手に入り、子供が巣立ったとき、ぽっかりと 心に穴が開いてしまった。そんな時よく散歩する公園で見かける実装石。 木の木陰から顔を覗き「デス?デスゥゥ〜ン♪」と声を掛けてきた小汚い実装石。 それが椿だった。 雑誌などを見ながら躾けたつもりだった。でも、きつく躾ける事が出来なかった。 『この子が居なくなってしまったらどうしよう・・・』 そんな恐怖感があったのだ。それほどEは寂しかった。 そんな話を『』にするとこう言った。 「私の時と一緒ね」 『』も自分の経験を語り出した。Eはあまりに自分をそっくりなので 驚くと『』は言い切った。 「実装石が自分から家を出て行くことはないわ。だって出て行ったら 御飯が食べられなくなるし、暖かいベッドで寝れなくなる。我が侭が言えなくなるしね。 Eさん、あれは犬や猫と違うの。所詮は実装石は実装石でしかないの。自分の事を王様と 勘違いする生き物…常に人間が躾け続けなければ悪さしかしない。 厳しく躾けられた賢い一部の実装石は人の心を癒し、人間のパートナーとなりえるかも 知れないけどね」 Eは目頭を時折押さえながら『』の話を聞いていた。だが、1つ腑に落ちない点があった。 犬実装の事。食事の時何度もお辞儀をし、お皿まで綺麗にする行為…その事をEは 『』に尋ねると、『』の答えは簡単だった。 「だって、あの子1−16は元々賢い実装石だもの」 笑いながら答える『』にEは驚いた。 「賢く躾けられた実装石はかなり高価なはずですよね?それを犬実装にして しまうブリーダーは一体何を……」 口元を押さえ考え込むEに向かって『』が尋ねる。 「…Eさん。貴方は椿ちゃんと1−16…どちらを飼いたい?」 「犬実…1−16ちゃんです。過去を思い出させた椿を、逆に 犬実装にしたいくらいです」 Eは即答した。 「じゃあしちゃいましょう。やり方は教えてあげる」 『』の答えは明確だった。Eは(椿を…)と答えたものの、『』の言葉に戸惑う。 「え、あ、で、でも2匹を犬実装を飼うなんて……」 「ふふ、1−16は普通の2足歩行の実装石に変えるの。実装石の構造なんて 出鱈目もいいところなんだから。プラモデルでも作る方が難しいわよ。 それじゃ、戻りましょうか。犬実装の作り方を教えてあげる」 『』がそう言って立ち上がり歩き出すと、Eはその後を慌てて追った。 グチャ… ボキ… ポキ、グチャ! 「…う、こ、こうですか?……なんか理科の授業を思い出しますね…」 まだ再生途中で仮死状態の犬実装1−16を一度解体し、紐などで縛り 身体を元に戻していく工程はカエルの解剖を思い起こさせた。 「Eさん、上手い事いうわね」 笑いながら作業の指示をする『』。『』は口で教えるだけで作業を行うのは E本人だ。 「ここを…こう……これでいいですか?」 両手を体液塗れにしながらEは『』に尋ねる。 「ん、結構よ」 浴槽の床に寝そべる1−16は元のたちの実装石に姿を変えていた。 「こちらはこれで終わり。ね、簡単でしょ?」 「あ、はい」 Eは満足気に答える。自分でもやれたという自信と、この子を救えたという気持ち がEの表情に表れていた。それを見て『』は微笑むと少し気合の入った声でEに尋ねる。 「Eさん、なるべく大きなビニールシートあるかしら?それを床と壁に貼り付けて 下さる?さーて、こちらの方が大変よー」 『』の妖しげな表情に少し戸惑いつつもEはシートを探しにおしいれの戸を開けた。 「デーースゥゥゥーーー…デーースゥゥー…ムニャ……」 餌に混ぜられた睡眠薬が効いて惰眠を貪る椿。その椿の頬に向かって Eはハエ叩きを叩きつける パシーーーーン!!! 「デヒ!!!!???」 『え?椿は生かしたまま犬実装にするんですか!?』 ビニールシートを広げながら『』に問うE。 『ええ、その方が面白いわよ。実装石の本性が見れるから。 なにより、貴方を散々困らせた子なんでしょ?それぐらいしないと 気が晴れないんじゃない?』 Eは少し考えあぐねる。ここに来た当初は自分を和ませてくれた椿…… 『今の貴方にとって大切なのはどっち?』 この『』の言葉でEの気持ちは決まった。 頬を押さえながらデヒデヒとのたうつ椿。今度は無防備な尻に向かって振りかぶるE。 パッシーーーーーーーーン!!!! 「デジャァァァァァァァァァァァァァァーーーーー!!!??」 ブリブリュリュ!!! パンツがこんもりとして、大きな染みが広がる。 (ななな何デス!!何するデスゥーーーーーーーーーー!!??) 椿は尻を押さえつつ叩かれた方角を見ると、そこにはEが立っていた。 (こ、こん…バ!バカニンゲーー、デビュ!!) パーン!と気持ちの良い音を立てて叩かれる椿の右頬 続いて左。 パーン! 「デジュ!!」 Eは無表情で、しかし内心はまだどこかで戸惑っていた。無邪気で可愛い頃の 椿の姿がダブって見えるからだ。しかし、その想いも椿の行動で無残にも打ち砕かれた。 ベチャ!! 椿はパンツから糞を取り出すと思い切りEに投げ付け、それがEの胸に直撃したのだ。 Eは胸元の染みを見つめてから椿を見ると 「デププ♪」 と笑い、またパンツにてを突っ込み糞を掴もうとしていた。 その姿を見たEに迷いは無かった。思い切りハエ叩きを振り上げたかと思うと ムチを振り下ろすかの如く椿を叩き始めた。 パーン!ベシ!!バチン!ビシィ…… 「デヒ!デア!デヒュ!デジャ!!」 打たれるたびに間抜けな叫び声を上げ、右に左にとフラついてた椿はついには蹲り、 丸まって成すがままになっていた。 どれだけ打っただろうか?椿の服や頭巾は破け、髪の毛も床に散乱している。 「ハァハァ……」 肩で息をしているEは打つのを止めた。その様子を『』は腕を組んで見ている。 蹲っていた椿はチラリと『』の方を見ると声を上げた 「…デ、デスーン…デスゥゥゥゥゥゥゥゥ〜ン!デスーゥゥゥゥゥゥゥン…」 助けを求める声。甘ったるく吐気を催し、それでいて神経を逆撫でする様な声。 『』はリンガルを見て苦笑すると、それをEに見せる。 (デス〜ン…こ、このバカニンゲンに虐められてるデスゥゥゥ!ニンゲンさんは 可愛い私にゴハンをくれた人デスゥ。私を可愛がらせてあげるから、そのバカニンゲンに 私を虐めるのを止めさせてそいつをぶん殴って欲しいデスゥゥゥ) Eの髪の毛が一瞬逆立つ。『』の言っていた実装石の、椿の本性…… こんなものを可愛がっていた自分に腹が立ち、情けなかった。 Eは椿の背中を脚で踏みつけた。 「デゲエエ!!!」 「バカ人間ってだれのことかしら?」 踏まれた椿は短い手足をバタつかせて答える (お!お前にき、デボォ!) 椿の横っ腹に蹴りが入り、椿は壁に叩きつけられた。 「デガァ!………デ、デデデ…デヒィ……」 「だ れ の こ と か し ら ? 」 仰向けになった椿のお腹に足を乗せると、椿が更に脱糞しブルブル震える感触が良く分かった。 Eは再度椿に尋ねる。 (デ、デヒィィィ…ごごごめんなさいデスご主人様……あ、あの腕を組んでる 人間の事デスゥ!…) 今度はEが『』にリンガルを見せると、『』は妖しい笑みを浮かべながら 椿に尋ねる。 「椿ちゃ〜〜ん…バカニンゲンって私の事だったの〜?へぇ〜……」 『』が椿ににじり寄ってきた。 ブルブルブル……ガクガク……デ、デデ……ブルブル…… 俯く椿に写る大きな2つの影。恐怖に青ざめ言い訳の出来ない椿に もう逃げ場はなかった。 (デ、デスゥ…ご主人様…これから何処へ行くデスゥ?) 声帯に着けられていた笛を取り外され普通に喋れるようになった1−16は、 まだ上手くバランスが取れずにヨチヨチと歩きながらEに尋ねる。 「ん?公園よ。…大丈夫、あんな馬鹿みたいにならなければキチンと守ってあげるから」 公園と言う言葉にピクリと反応した1−16はそれでも不安そうにしていた。 手足は治り、服も立派な物を着せられているが、実装石にとって大切なもの、 髪の毛が剃られてツルツルなのを知っているからだ。 「大丈夫よ、ほら」 Eは1−16に鏡で自分の姿を見せると、1−16の表情が驚きに変わった。 (か、髪の毛が有るデスゥ!!) もちろん再生させた訳ではない。実装石は一度切られたり剃られた髪の毛は2度と 再生はされることはない。『』は1−16が再生中に頭にフック状のものを付けた。 そして、そこにはEが椿から剃り上げ洗髪し、乾かして束ねた髪の毛を付けた。 いわば実装石のカツラだ。頭巾をしていれば見た目は普通の実装石となんら変わりは無い。 そのことをEが説明すると酷くガッカリとした。しかし、 「また、犬実装になりたい?」 と尋ねると真っ青な表情で首を横に振りまくった。 「そういえば貴方の名前を決めてなかったわね…んー1−16、「16」じゃなんだし… ロクでいいかしら?」 (ロク……はいデス、私はロクデス。ご主人様、ありがとうデス) ロクは深く頭を下げる。普通の実装石ならしない行為。Eはロクの頭を撫でながら 微笑んで服を着せる。 「さて、椿ちゃんも再生完了したし、早速公園デビューと行きましょうか」 『』がロクに服を着せているEに声を掛ける。 「はい、行きましょう!」 公園までは、まだ身体が慣れていないロクのペースでゆっくり歩き、再生し終わっても尚 のびている椿はEがリュックに背負って行った。 公園に着くなり、Eは背負っていたリュックを下ろすと椿を取り出し首輪にロープを着け、 そのロープをロクの腰に巻いた。 「さ、これを引いて歩く練習をしなさい」 ロクは最初戸惑ったが、 (はいデス、ご主人様) ペコリと一礼すると主人の命令に忠実に従った。 ズリ…ズリズリ……ズリ… まだ足腰が弱い為と椿が伸びてる為か、ゆっくりとしか進まない。それでも少しずつ 前に進み出す。 「……ン……ンフェ?……フ、フエエエエエエェェェェェェェェェ!!??」 引きずられた痛みで正気を取り戻した椿は自分の手足を見て、自分を引きずる相手を見て驚く。 「フェエエエ!!!フェ!エエエエエエェェェェェ!!!!」 どうやら自分がどうなったか分かったらしい。「引きずるのを止めろ!」とでも 叫んでいるのだろう。そんな椿を見てEは声を上げる。 「ほらほら、頑張りなさい!!」 Eの声を聞いて歯を食い縛りながら前に進むロク。一方、引きずられアスファルトに 汚い体液と肉片をこびり付かせながらEの声を聞いた椿はEの方を見ながら「エフエフ!!」 喚き続ける。引きずられ始めた場所では椿の肉片やアスファルトにこびり付いた体液を舐める 野良実装達の姿…その姿を見たEは少しだけ気持ちが楽になった。 それまでの行動を見ていた『』がEの元にやって来た。 「貴方調教上手ねぇ…もしかしてそっちの気でもあるの?」 『』の言葉に顔を真っ赤にさせながら 「な、なに言ってるんですか!?ありませんよ!」 慌てて答えるE。そして2人はクスクスと笑い出した。 笑い声が収まると、Eは『』に対して深く頭を下げる。 「今回は本当にありがとうございました…なんとお礼してよいか…」 Eがそう言うと、『』は首をゆっくり横に振った。 「お礼なんていいの。ただ私と同じ様な人を見捨てて置けなかったのよ」 「でも、それじゃ…」 どうしてもお礼がしたいEに、『』は提案した。 「それじゃ私のお仕事手伝ってくれる?」 「はい!なんでもします!どうせ暇を持て余してる身ですから。 どういったお仕事なんですか?」 そう尋ねてきたEに『』は答える。 「仕事といってもパートみたいなものよ。じつはね、実装石関係の仕事なの。 息子が『面白いからやってみないか』って言ってきてね。」 「それは良かったですわ。、筋の良い方がみつかったんですか…そう、 やはり似たような体験をされた方は飲み込みも早いんでしょうね……」 薄暗い地下室で電話をする女性。室内が明るく大きな部屋と、暗く、成体の実装石が2匹入れるぐらいの、まるで 牛舎のようなつくりの部屋と別れている。明るい部屋の実装石達は思い思いに遊び、餌を食らい 楽しんでいた。一方の牛舎の造りの部屋は5つに分かれていて喘ぎ声と苦しみを堪える声に 満ちていた。体力を使い果たし気を失っているもの、されたくもない交尾に絶望の声を上げるもの。 やせ細った割りには大きなお腹を摩り、これから更に起きる苦しみを覚悟するもの… その通路を忙しそうに行き来し、掃除に勤しむ頭の頭巾に番号が書かれた無表情な実装石達。 「えぇ、忙しいので本当に助かります。ウチの犬実装がこんなに当たるとは思って いなかったので……それじゃ新しく成体とマラを2匹ずつ送りますね。…「」さんですか? 今配達中で…もうそろそろ帰ってくると思うんですけど……いえ、そんな。私こそこんな オバサンなのに結婚を許していただいて……今8ヶ月です。あ、そういえば、聞きましたよぉ。 随分と凄かったそうで(笑)……そんなことないです。「男も女も灰になるまで」と言いますから」 女性の足元には、やせ細った身体には不釣合いな大きなお腹をした犬実装が居る。 出産間近かなのか 「…デエェェェ…デエェェェ…」 弱々しく鳴いている。 「そうですか。その人も私より若いのに一人身の方で……そうですね、是非誘ってみてください(笑 仕事より嵌ってしまったら困りますけど、ンフフフ♪それじゃ今度は私も若い人を連れて行きましょうか? 飛び切りの人を…ンフフフ♪…」 「デェッデェッスゥゥゥ……デェッデェッスゥゥゥゥゥ……」 話を弾ませる女性の横で実装石が出産特有の呼吸方に入った。傍で掃除をしていた実装石が掃除道具を片付けて 上の階に走る。 「あ、そろそろみたいです。またきっと良い仔を産んでくれますよ。…はい、はい…それでは失礼します」 電子音がして電話が切れる。女性は出産間近の犬実装に声を掛ける 「頑張ってね、ですって。今度も期待してるそうよ…」 そういいながら、女性は実装石の傍にあるラジカセのスイッチを入れるとその実装石には 聞きなれた声が聞こえてきた。 『頑張って沢山良い仔を産んでね1号ちゃん♪』 やせ細った体がピクッと反応する。 女性は1号のお腹に足を乗せると軽く力を入れると、 「デゲェェェ…」 と舌を出し曇った眼球を見開く。女性は自分のお腹に手を当てる。 「ンフフフ…他の子の時はあまり反応しないくせに、お姉さんには良く反応すること」 女性が更に力を入れると、女性のお腹はビクビク反応する。その反応を女性は楽しむ様に 足の力に強弱を付ける。 「もう自力で出産出来る力もないのに頑張るわねぇ…まぁ私達は助かるけども。 貴方の仔は賢くて人気があるから♪」 トテトテトテ 洗面を持った実装石がやって来たのを確認すると女性は足に力を込めた 「ブバッ!ブボォ!…ボッ!!」 汚らしい排泄音と共に仔実装が出産される。薄汚い粘膜の中でウネウネと動くもの。ピクピクと 痙攣するもの…姿形があるものは幸いである。普通実装石の出産数は5〜8匹 この時仔実装の形で生まれたのは3匹だけで、あとは奇形やパーツだけだ。 洗面器を持ってきた実装石はその3匹を急いで入れるとまた上に戻っていった。風呂場で粘膜を取り除く為だ。 出産と同時に女性のお腹の動きも止まった。 「ホント、元気な子……」 女性はその場を離れ奥でへばっているマラ実装石を掴み上げる。この実装石も1号同様痩せこけていた。 女性は実装石に声を掛ける。 「1−13、貴方のママの出産が終わったわよ。さ、また頑張りなさい」 (…デェェェ……ま、まってデスゥゥゥ…今、20号…に6回……ングッ!?) 女性は20号の口に実装丸と言われる強壮剤を突っ込み無理矢理飲み込ませる。 すると、2分もしないうちに 「デ、デデ…デスウウウゥゥゥゥ〜ン……」 と弱々しい鳴き声ながらもマラを立派に勃起させて1号の総排泄孔に突っ込んでいった。 ガクガクと揺れる1号の身体。ここに連れて来られて、すぐに繁殖専用の為犬実装に改造され 交尾と出産を繰り返すだけの日々。それでもあのラジカセの声を聞けば何とか凌げた。 だが、その声も、だんだんと聞き取りにくい身体になってきている… 「デ、デエエェェ…デェェェェェ!……」 1号の総排泄孔から収まりきらなかった20号の精液が溢れ出る。しかし、もはやその感覚も感じはしない。 (…デェェ…が、がん…るデスゥゥ…良…い仔……産んで… また……ご主人…様と……いっし……) 右頬に「1」と大きく刻印された跡を伝う涙の筋は、実装石にしては極僅かな筋だった。
