【プリンの代償】 男は一つため息をつくと、鞄をソファに放り投げ、キッチンの椅子に座り、 テーブルの上にビニール袋を置いた。 帰りがけ、駅前のコンビニエンス・ストアに立ち寄ったのだ。 残業で疲れ、それほど食欲はなかった。 しかし明日からの激務を思うと、何も口に入れないわけにはいかない。 そう思って牛乳と、手っ取り早くカロリーと糖分を取ろうとプリンを購入したのである。 両手で袋を開けた男はそのまま硬直した。 じわじわと眉間に皺が寄っていくのを意識した。 テチー、テチー! テテテテ、テッチューン!! (ニンゲンさんはじめまちテチ! ワタチお手伝いできるテチ! がんばるテチ! 黄色いのは食べちゃったけどよろしくおねがいしますテチ!) アルミ箔を破り、プリンカップの中に仔実装が鎮座していた。 中身はあらかた食い尽くされ、仔実装は顔や服、髪の毛をドロドロに汚している。 スカートの裾が黒ずんでいるのは、カラメルのせいだろう。 右手を口に添え、左手を精一杯伸ばし、男にアピールをしていた。 腹は、食べたプリンの量に比例して膨らんでいた。 男は、これが世に言う「託児」というやつかと納得した。 輸送中にプリンを食べてしまうとは、よほど腹を空かせていたのか。 もうすぐ冬が訪れる。 寒くなって身動きが取れなくならないうちに、せめて仔実装だけでもと、親実装は託児に賭けたのだろう。 ※※※※※※ 「そうか、それほどの覚悟で託児されたなら仕方がないな。 いいかい、君、君を飼ってあげてもいいが、それならいろんなことを学ばなくちゃいけない」 「何でも覚えるテチュ。ワタチは姉妹の中で一番賢かったテチ。 だからママも、いの一番で託児してくれたテチュ」 「うんうん、いい返事だ。 それならまず、プリンのカップから出て……そうそう。 このプリンは「プッチンプリン」って言ってね、お皿の上でひっくり返して、このピンをプッチンって折るんだ」 男はカップをひっくり返し、皿の上に置く。 仔実装は皿の縁に立ち、カップの底にそそり立つ、プラスチックのピンに注目する。 「プッチン♪ プッチン♪」 ピンを発見したのが嬉しいのか、男のほうを向いてピンを指差した。 「そのピンを『プッチン』ってするのがいいんだよ。 いい? 蓋をばりばり破って上から食べるなんて邪道なんだ。 その、絶対に守らなければいけないルールを、君は破った」 そう言って男は、仔実装の頭を掴んでカップの底に押し付ける。 「そーれ、プッチン、プッチン」 テチュアアアアアアーーーーーー!!! 仔実装の顔に、プラスチックのピンが突き刺さる。 刺さっては抜き、を何度か繰り返すうちにピンが折れた。 ピンは仔実装の鼻に突き刺さっている。 「ははは、そのピン、まるで鼻みたいだな。天狗の鼻だ。 よし決めた、お前の名前は『天狗』だ」 「テェ……」 仔実装の片鼻にピンが突き刺さっていた。 ピンで押しとどめられた鼻血が、行き場をなくして口中に溢れ出ていた。 「天狗って何テチ?」 ゲボゲボと、血を流しながら仔実装が問う。 「物の怪、君たち実装石と同じだね。 高い鼻が特徴で、高下駄を履き、葉っぱで空を飛ぶんだ。 あ、下駄を履かせてあげなきゃ」 そう言って男は、本来自分がプリンを食べるために使う筈だったプラスチック製のスプーンを二つに折り、 仔実装の足の裏に突き刺した。 「い、痛いテチュー、痛いテチュー」 「ほら天狗、それで歩くんだよ」 悶絶してのた打ち回る仔実装を、男がひょいとつまむ。 そしてバランスを見ながら、立たせようとする。 自分の体重が足裏の傷を圧迫し、激痛が走る。 テギュアアアアアアーーーーーー!!! バランスを失い、たちまち顔面から倒れ込む仔実装。 鼻──プラスチックのピンがテーブルを打ち、さらに鼻腔にめり込む。 片鼻から、脳髄と思しきドロリとした液体が流れ出した。 「おい、大丈夫か、天狗」 仔実装がごろりと転がり、顔を上に向ける。 涙と血と脳髄で顔はぐちゃぐちゃで、痛みに苦悶している筈なのに、恍惚の表情を浮かべていた。 「だ、大丈夫テチ。ワタチは姉妹で一番賢いテチ。ニンゲンさんのお手伝いもできるんテチ」 「そうか、じゃあテーブルから降りて、部屋の片付けを手伝ってくれないか」 テーブルの高さは一メートル以上もある。 仔実装は仰向けで両手を差し出している。 「何の真似だい?」 「こんな高いところ、降りられないテチュ。抱っこして下ろして欲しいテチュ」 「何言っているんだい? 君は天狗様だろ? 葉っぱでふわりと降りてみせてくれよ」 「無理テチュ! カラビナもハーネスもないテチュー!」 「わかった、わかった。葉っぱの代わりにほら」 そう言って男は、コンビニエンス・ストアで貰ったレシートを二つにちぎって渡した。 「これで飛んでみせてよ」 「無理テチュ、あらゆる物理法則を無視しているテチュー」 「あらゆる生物学を否定する君たち実装石に言われたくない台詞だね。 つべこべ言わずに、ほら」 そう言って男は無理矢理レシートの破片を手渡すと、胴を掴み、テーブルの高さから放った。 「お、落ちるテチュー」 チュベア!! 足から落ちたため、仔実装の両脚はスプーンによって付け根まで割けてしまった。 大量の体液と糞とが床に撒き散らかされた。 下半身を崩壊させながらも、仔実装は生きていた。 テチュアアア、テチュアアア 「天狗、君は本当に役立たないね」 「ご免なさいテチ、ご免なさいテチュゥゥゥ!」 「もういい。ママのところに帰りな」 「ママに会いたいテチィ……」 「でも、何もお手伝いしてくれなかったんだから、君が食べた『黄色いの』は返してもらうよ」 そう言って男は仔実装を掴むと、引き出物で貰ったが、 使い道がなく捨てるつもりだったフルーツ皮むき機「チョイむき」にセットした。 ハンドルを回転させると固定された仔実装が回り始め、鋭利な刃が髪の毛を、服を、そして皮膚を削いでいく。 テ? テェッ!? デッヂャアアアアアア!! たちまち禿裸となった仔実装。そして皮膚が剥かれ、黄色い脂肪が露出する。 「ほら、思った通り。汚い、ぶよぶよした黄色い脂肪が出てきた。これで許してあげよう」 「お前は鬼テチ、悪魔テチ。い、痛い痛い、やめるテチィ。テギャアーッ」 ※※※※※※ なんて、たかがプリン一つで小動物を虐待なんてできないよな。 妄想から醒めた男を、仔実装が不思議そうな顔で見つめていた。 テチテチィ? (ニンゲンさん、実はワタチは料理が得意なんテチ。いつも家族のためにご飯を作っているんテチ。 早速、お手伝いを始めるテチュ) カップの中の仔実装は、パンツをずり下ろすと、おもむろに排便を始めた。 便は大量で、仔実装の膝あたりまで達する。 立ち上がり、パンツを直すと片手で額の汗を拭う。 そしてプリンの残滓と出したての便とを、両脚を使って器用に混ぜ合わせた。 甘く、そして臭い臭いが立ち上る。 テチ、テッチューン♪ (うーん、この香りテチィ。ワタチ特製の抹茶プリン、召し上がれテチ) 仔実装はプリンと便とが交じり合った、世にもおぞましいペーストを両手ですくい、男に差し出した。 テチー、テチー、テチテチ、テッチィー!! (ニンゲンさんのところでは、いい仔にしていなさいってママに言われたテチ。 ママは、優しいママは、必死の思いでワタチを託児してくれたテチ。 ワタチ、頑張るからニンゲンさんに飼って欲しいテチ) テチテチ鳴きながら糞プリンを差し出す仔実装に眉をひそめた男だが、 やがてふっと鼻から息を出し、にやりと口だけで笑う。 実装リンガルを持たない男は、仔実装に伝わらないのも構わず語りかけた。 「そうか、それほどの覚悟で託児されたなら仕方がないな。 いいかい、君、君を飼ってあげてもいいが、それならいろんなことを学ばなくちゃいけない……」 (終)

| 1 Re: Name:デス嫌い 2016/03/01-19:31:33 No:00001906[申告] |
| 暫くして、託児された子実装石の一家か、のこのこ、来たので、親糞の総排泄口をガストーチで炙って子実装を産めなくして、 連れられて来た、子糞の全身をまんべんなく、炙り、住んでいたであろう公園に案内ささせ、そこに、巣くう実装石に、親糞が、子供を助けてと泣き叫ぶ前で、炙った子実装石をご馳走した。
親糞もすぐに食われるただろう。 託児された子実装石に、その惨劇の一部始終をみせリンガルを起動させると、 ワタチは、ただ幸せになりたかったのに、と呟いたので、公園にほおってかえったら、テッチャーと悲鳴がきこえた。めでたしめでたし すいません、オチをこんな感じで作ってしまいました、 |
| 2 Re: Name:匿名石 2016/03/02-02:16:23 No:00001907[申告] |
| ※1
読点の打ち方がキモい |
| 3 Re: Name:匿名石へ 2016/03/02-15:00:27 No:00001908[申告] |
| ほっとけ。
キモいなら読むな、! |
| 4 Re: Name:匿名石へ 2016/03/02-18:17:07 No:00001909[申告] |
| ほっとけ。
キモいなら読むな、! |
| 5 Re: Name:匿名石 2016/03/02-23:18:18 No:00001913[申告] |
| 一瞬、妄想オチでそんなことはできない気弱な男が託児に屈する糞オチかよと思ったが
同じかもっと酷い目にあわせる展開を予想させるオチだろ、これ まあ、そこで我慢しきれないからきっちり制裁されるのが確定したオチをつけるって行動力は評価する |