タイトル:【馬観察】 敷金・礼金無料 14(LAST)
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初投稿日時:2006/11/10-01:40:57修正日時:2006/11/10-01:40:57
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敷金・礼金無料 14


 俺の名はやおあき。
 自らは手を下さない、観察型の虐待派だ。
 俺は友達のにじあきと協力して、賢い実装石一家をさらって来て古い木造アパートの中に住まわせる
実験を行った。
 そして、そのレポートを自分の実装アイテム通販サイト内ブログに掲載した。

 大好評を得たこの実験。
 しかし、それももうすぐ終わろうとしている。
 


●アカ組:親×1、仔×1

●キイロ組:親×1、仔×1、蛆×1

●ミドリ組:仔×1

●ムラサキ組:親×1、親指×1


 以上四家族、親3匹、仔3匹、親指1匹、蛆1匹…合計8匹。

 アパートの構造と部屋割りは、以下の通り。

■1階

 部屋番号は、左上→右下の順で、101〜103、105〜107(104はない)。

 (入り口)
   _
  ||
 □||□
 □||□
 □||□
 ■||▲
  | → 二階へ
 ‾‾‾‾

 □は空き部屋、▲はトイレ、■は風呂場。
 廊下の奥、トイレの脇には、二階へ昇る階段がある。


■2階  
 部屋番号は、左上→右下の順で、201、202、203〜206(204はない)
 
____
ミ||脱
□||□
■||□
 | → 一階へ
‾‾‾‾
 □空き部屋 ■は洗面所 「ミ」はミイラ実装占拠中
 「脱」は、他家族が脱出通路として使用中。
 階段周辺は、ミイラ実装の糞トラップのせいで使用不能。

 三階や地下室はない。
 入り口には鍵がかけられていて、脱出は不可能。






■ 第十四話 「ラスト・エスケープ(後編)」 ■




 再び、201号室。

 帰還したアカ仔は部屋の隅でじっとうずくまり、ミイラ実装とムラサキ仔達の様子を見ている。

紫仔「このっ、このっ! 前から気に入らなかったテチ! お高くとまりやがって、エラソにしやがって!
 テチ、テチ!!」

 げし、げし!

黄仔「や、やめなさいテチ! 痛いテチ! こんな事しちゃいけないテチ!」
紫仔「ワタチよりちょっと大きいからって、大人ぶってるんじゃないテチ!」

 いや、そいつお前の母親より年上だから。大人だから。見た目ちっこいけど。
 狂気の表情で、ムラサキ仔がキイロ仔を甚振っている。
 キイロ仔はそんなにダメージを受けた様子はないが、とにかく攻撃を防いでじっとしているだけだ。
 よく見ると、さっき倒された押入の襖の脇には、四肢とマラを千切られ禿裸にされたキイロ親が
横たわっている。
 かろうじてまだ生きているようだが、その表情は絶望に満ちている。
 終わったかな、キイロ組も…

黄仔「わ、わかったテチ! ごめんなさいテチ! いいものあげるから許してくださいテチ!」
紫仔「いいもの?」
黄仔「ちょっと待ってるテチ…」

 キイロ仔は、さっきまでキイロ親が担いでいたカゴの中に戻ると、運んできたオモチャのミニカーを
取り出した。

黄仔「これをあげるから許して欲しいテチ」
紫仔「テチィッ♪ お前、なかなか見所ある奴テチ。お前はワタチの肉便器として生きる事を許すテチ!」
黄仔「ワタチは家畜人じゃないテチ…」

 ミニカーを軽く押し出し、ムラサキ仔に見せてやる。
 ムラサキ仔は、喜んでそれを転がすように命令する。
 と同時に、キイロ仔は鋭い眼差しで辺りを見回す。
 ミイラ実装がアカ仔の方を向いている事を確認すると、キイロ仔は、ミニカーを下に置いた。

黄仔「じゃあ…行くテチよッ!!」

 ズズズズ……バチイィィン!!

 えっ?
 俺がにじあきに話しかけようとした瞬間、ミニカーがものすごい勢いで走り出した。
 とても、20センチ程度の仔実装が押したとは思えないほどの速度で。
 ミニカーは、真っ直ぐにムラサキ仔に激突して、はじき飛ばした。

紫仔「チベッ?!」

 足元をすくわれた形になり、前のめりにぶっ倒れるムラサキ仔。
 そこに向かって、キイロ仔が走り出した。

黄仔「もう… 許 さ な い ド ス エ ェ ェ ェ ッ ッ ッ !!! 」


 ボ・ボ・ボ・ボッキーン!!

 おぎゃ〜〜ん!

 キイロ仔の股間から、ありえないものが飛び出してる!
 たった今、ミニカーを弾き飛ばした肉の凶器。
 それが、ムラサキ仔の口を瞬時に貫いた。
 その勢いでミニカーがさらに押され、ミイラ実装の方に走っていく。
 ミイラ実装が振り向いた時には、二匹の仔実装は一つに結ばれていた。

 って。
 待て、おい。

 コ イ ツ も か あ ぁ ぁ ぁ ぁ っ っ っ !!!


紫仔「おげ…ゲボ……デ……テヒ……!!!」
黄仔「姉妹を犯し殺して以来、パパとママに言われて封印していたけど、もう構わないドスエッ!
 お前も犯し殺してやるドスエッ!!」

 どす、どす、どす、どす

 強烈すぎるピストン運動のせいで、ムラサキ仔はあらゆる体液を目や鼻、総排泄口から吐き出して
悶絶している。
 そう、こいつは口から突き立てられているので、いつも?とは逆の体勢で持ち上げられているのだ。
 しかし、よく考えたらこいつも偽石を取り除かれているから、これでも死ぬ事はないんだな。
 それにしても、こいつは…そういう理由でペットショップの処分対象になっていたのかあ。
 つか、こんな奴とっとと潰せよ店員。


紫仔「テ……テテ……テチ……」
黄仔「フィニッシュ! ドスエッ!!」

 どぷっ…ドロドロドロ…ズポッ

 総排泄口まで突き抜けた先端から、大量の精液を吐き出すと、マラを激しく引っこ抜いてムラサキ仔
を床に叩き付ける。
 もはや、ムラサキ仔の姿はポロ雑巾のようである。
 それを見ていたミイラ実装は、とても嬉しそうに微笑んだ。

ミ「お前、ワタシの子供になるデスゥ」
黄仔「テ?」
ミ「お前は本当に強そうデスゥ。鍛えればもっと強くなれそうデスゥ。強くなって、いつかワタシと一緒に、
 この実験をやっているニンゲンを犯し殺すデスゥ♪」
黄仔「テ、テチィッ?!?!」

 ——なんだとえ?
 今、なんつった?

「うわ、マジ告白来ましたよ! どうしますやおあきさん?!」
「じ、じ、じ、冗談じゃねぇ! どうして実装石に俺の処女捧げなきゃならねぇんだ!」
「そうだよなあ、お前、結婚までバージン大事に取っておきたいって言ってたもんなあ」
「気色悪い事言うなっっ!!」

 俺は、思わず尻を手で隠しながら、モニターに見入った。
 あいつ、俺に復讐するつもりかよ。勘弁しろって!
 俺は、一瞬だけ80センチの巨根に犯し殺される場面を想像して、身震いした。


紫仔「マ、ママ…なんでテチ…」
ミ「デスゥ?」
紫仔「ワタチ…まだ生きてるテチ…。ワタチを見捨てないでテチ…こんな奴より…」
ミ「見捨てる? 最初からお前なんかどうでもいいデスゥ」
紫仔「テチ…た、助けてやったのに…そんな言い方…」
ミ「助けた分の礼はたっぷり返した筈デスゥ。仲間を痛めつけられスッキリしたデスゥ?」
紫仔「テ……テェェェ……」
ミ「元々お前はあいつらをおびき寄せるエサに過ぎなかったデスゥ。今まで生かしてやったデスけど、
 どっちみち食い殺すつもりだったデスゥ♪」

紫仔「テ…テチャアァァァッッッ!!!」

 ひょい…ぱく、ぽりぽり、ごくん。

 何のためらいもなく、ミイラ実装はムラサキ仔を摘み上げて、食い殺した。
 咀嚼していたようだから、もう完全にアウトだろう。
 ムラサキ仔、リタイア!
 なんつーか、こいつがある意味で一番不幸だったような気がする……

黄仔「テ…」
ミ「グフウ…さあ、お前もあいつと同じように……って、アレ?」

 おやっ。
 アカ仔が、いつのまにかキイロ親の傍に移動して来ている。
 キイロ親を抱きかかえるようにして、ミイラ実装に懇願している。

赤仔「ママ…お願いがありますデチ」
ミ「言ってみろデスゥ」
赤仔「こいつ、前から気に入らなかったデチ。食い殺したいデチ。ワタシにこいつをくださいデチ」
黄仔「テ! テチャアァァッッ!!!」
ミ「グフフ…面白い事を言う奴デスゥ」

黄親「デ……」
ミ「勝手にしろデスゥ。だが、おかしな真似はするなデスゥ。お前の母親がまだ生きている事を忘れるな
 デスゥ」
赤仔「わ、わかりましたデチ…。あっちで食べてくるデチ…。みんなに見られたくないデチ…」

 キイロ親を背負うと、アカ仔はとぼとぼと201号室を退出して、向かいの203号室へと入っていく。
 201号室には、ミイラ実装とキイロ仔、そして動けなくなって押入の下段に押し込められているアカ親
が残った。





 ■■■



 203号室に戻ったアカ仔は、押入に入ると、木の蓋を開けた。

黄親「何をするつもりデス…」
赤仔「あんたのとこの蛆ちゃんが、頭の中で話しかけてるデチ。ここからミドリさん達が逃げたデチ。
 あんたも行くデチ」
黄親「む、無理言うなデス! それに、そんな事したらあんたが…」
赤仔「髪の毛を治す約束をしてもらったデチ。だから今だけ助けるデチ。でも、キイロ仔だけはもうワタシ
 ではどうしようもないデチ…」
黄親「デ…それでも、充分感謝するデス」
赤仔「蛆ちゃんは、ちゃんと生きてるデチ。でも、まだしばらくワタシと一緒に行動すると言ってるデチ」
黄親「わかったデス…どうか、無理をしないで欲しいデス…」

 それだけ言うと、アカ仔はキイロ親をゆっくり穴の中に入れた。
 しばらくして、下の方で誰かが受け止めたようだ。
 落下する事なく、キイロ親の身体はするすると穴に潜っていった。

赤仔「時間を潰すデチ」

 アカ仔は、さっきキイロ親を運んだ時に付着した血を口元になすりつけた。




 ■■■



 さて、床下。
 ここには、退避したミドリ姉とムラサキ親、そしてムラサキ親指と、今降ろされたキイロ親が居る。

「おい、ちょっと待て! なんでここだけカメラで見られるんだよ!」
 突然、にじあきがツッコミをかましてきた。
「ああ、ここにはアオ組観察の時に使ってた、暗視カメラがあるから」
「そーいう事じゃなくて! 天井裏にはカメラはないんじゃなかったのか?!」
「それは二階の天井裏の話。第一、あんな穴を用意しておいたのに、その下に何の仕掛けもしない訳
 ないだろ」
「…そ、そういうもんか?」

 と言っても、ここのカメラは穴から腕を伸ばして届く範囲にしか仕掛けられなかったんだけどね。
 ここは、緊急脱出用の穴。
 ミイラ実装覚醒時の退避用に準備したものだ。
 ここの存在は、ミイラ実装は知らない。
 そしてこれが、俺が準備した最後の救済措置。
 退避する事は出来ても、そこからどうやって脱出するのかは、こいつらがそこまで行ってきた下調べ
と準備にかかっている。
 最悪、ここで全滅してしまったとしても、それは仕方がないと思っている。
 さて、四匹はどうやってここから形成逆転するかな?


緑姉「キイロさん、酷いケガデス! 手足がないデス?」
黄親「あいつ…強すぎデス。今、うちの仔が一人で取り残されているデス。なんとか助けたいデスが…
 このままでは…」
紫親「なんとか下に降りられないデスか?」
紫親指「レェェェ…」
黄親「いける筈デス…。ここは、ワタシ達の部屋の真上にあたるデス。押入の真上まで移動できれば、
 そこから下に降りられるデス」
緑姉「でも、真っ暗でどっちだかわからないデス」
紫親「それに、辿り着いても押入の板がどれだかわからないデス」
黄親「それは問題ないデス…。ここに来る前に、押入の板をずらして来たデス。そこまで行ければ
 わかると思うデス…」
緑姉「じゃあ、移動しましょうデス。早くお部屋に行って、傷を治すデス」
紫親「アカさんの髪の毛も、治してあげる約束をしたデス!」
黄親「わかったデス……ん?」

 キイロ親が、身をよじっている。
 何かを下敷きにしたようだ。
 手探りで、ミドリ姉が「それ」を拾う。

緑姉「何か、棒みたいのがあるデス。……ギャッ!」
紫親・黄親「「デギャッ?!」」

 おっ!
 画面が真っ白になった!
 俺は、慌てて暗視モードを切り替えて通常モードに変更する。

「な、何があったんだ?」
「隠しアイテムゲットー…ってとこかな」
「え?」

 ミドリ姉が取り出したのは、このアパート内で唯一の人工光源。
 長さ7センチ程度の大きさの、LEDライトだ。
 ディスカウントショップのレジ横で、300円程度で売られているキーホルダーの一種だ。
 軽く本体をねじれば点灯する仕組みになっているので、こっそりここに置いておいたのだ。

緑姉「…明るくなったデス! すごいデス!」

 キーホルダーとはいえ、白色LEDライトだから光量は相当なものだ。しかも、かなり長持ちする。
 メンバーは、これで天井裏を照らしながら移動を開始しようとする。
 その時、自分達の背後にもう一つ、別なものがあるのに気付いた。

 ——高さ10センチ程度の、不透明の小瓶。

緑姉「これは何デス? 持っていくデスか?」
紫親「中で何かたぷんたぷんって言ってるデス。水みたいなのが入ってるデス」
黄親「なんデスかね………デデ?!」


 チュー、チュー……

 チューチュー……

 周囲から、何やら嫌な鳴き声が聞こえてきた。
 今までずっとなりを潜めていた、ネズミ達のようだ。
 突然光源が発生したことで、反応したのだろうか?
 どちらにしろ、ぐずぐずしてはいられなくなった。

緑姉「い、急ぐデスっ!」
紫親「ヒ、ヒエエェッ!」
黄親「あっちデス! ミドリちゃん、右の方へ進むデス!」
緑姉「お箸を持つ方デスね!」

 持った事あるのかよ、お前?
 キイロ親を背中に必死で抱えながら、ミドリ姉はムラサキ親の持つライトの光を頼りに、前方を見た。
 さすがに小瓶まで抱えて移動しているゆとりも時間もないため、四匹は大慌てで移動を開始した。

 だがこの時、四匹はペンチや竹串なども置き去りにしてしまった事を、忘れていたようだ。
  
   



 ■■■



 201号室では、惨劇が発生していた。
 戻ってきたアカ仔は、あっさりと嘘を見抜かれ、ミイラ実装にボコボコに甚振られていた。
 抵抗しようにも、体力と腕力が違いすぎる。
 あげくには総排泄口に80センチ級をぶち込まれて串刺しにされていた。
 その光景は、ほとんど食人族のアレである。
 実際は自転車のサドルに座ってただけっていう、アレね。

 一方、キイロ仔も只では済まなかった。
 アカ親を食うように命じられたらしいが、どうやら徹底的に反抗したためミイラ実装の怒りを買ったようだ。
 こちらもボコボコに甚振られ、マラも食い千切られ、反抗手段を奪われた上にアカ親とまとめて
放り出されていた。
 やがて、アカ仔を犯すのに飽きたミイラ実装は、マラを引き抜くとアカ親・キイロ仔の元へやって来た。

ミ「もう、お前等もいらないデスゥ」

黄仔「テ…」

ミ「だから、ここから逃がしてやるデスよ♪」

赤親「デ…ほ、本当デ…テか…?」

ミ「嘘は付かないデスゥ。だからせめて、 最 期 は 外 で 迎えるがいいデスゥ」

赤親・黄仔「「デ…デェッッ!!」」
 

 ガラガラ……

 窓を開ける。
 キイロ仔の身体を掴み上げ、アカ親の口の中に頭から突っ込む。

赤親・黄仔「「ム、ムガァァァッッ!!」」

ミ「ふぁいとー、いっぱーつ、だったデスか? 聴こえてたデスよ!」

 アカ親の身体を掴み上げると、それをぶんぶん振り回して……窓の外に放り出した!!

 うそっ!

赤親・黄仔「「ンゴォォォ〜〜〜ッッ………」」


 ——べちっ


 201号室の窓から投げ捨てられたアカ親とキイロ仔の身体は、遥か彼方へ飛ばされた。
 まずい、これはまずい!
 くそ、あの時窓の鍵を閉めなかったのが、こんな結果になるとは!

「見てきてやる!」
「頼む!」

 にじあきが席を立ち、部屋を出た。
 時間は、午前三時半。
 うまくすれば、誰にも気付かれない筈だが…もし前回のように誰かに見られていたら、もうごまかしは
効かない!

 いずれにせよ、これではもう、アカ親とキイロ仔は助からないだろう。
 ムラサキ仔に続き、二匹がリタイアした。


ミ「抵抗しなくなった奴を叩き潰すのは、最高の遊びデスゥ〜〜♪」

赤仔「デ…デデ……デヒャ……ヒャアァァ……」

 総排泄口から液糞を撒き散らし、アカ仔が怯えている。
 腰が完全に抜けたようで、立ち上がろうともしない。
 
ミ「今度こそあいつらを捕まえて、ここに連れ戻すデスゥ。お前は、戻ってきたら親達と同じようにして
 やるデスゥ。ゲフフフフ……」

 ミイラ実装が、廊下に出た。
 ノシノシと、階段に向かって歩いていく。
 糞の海は……あああ、もう、好きなように汚してくれよ、もう!
 201号室にたった一匹…いや、二匹残されたアカ仔とキイロ蛆は…まだ動き出せずにいた。

赤仔「…デ…む、無理デチ…もう足が動かないデチ…」

赤仔「それはわかってるデチけど…もう、どうしようもないデチ…デェェェ…」

 どうやら、頭の中のキイロ蛆と会話しているらしい。
 キイロ蛆の声が拾えないため、どういう会話内容なのかわからないのがもどかしいが、どうやら何か
しろと懸命に呼びかけているらしい。

赤仔「…わ、わかったデチ…。やってみるデチ…」

 どうやら、話がまとまったらしい。
 アカ仔は、さっき自分が脱いだ服のところまではいずり手に取ると、テーブルを支えにして立ち上がった。
 そして廊下の様子を窺い、こっそりと203号室へと向かう。
 どうやら、押入の穴に入ろうとしているようだ。
 こいつも、意外に根性あるよなぁ。





 ■■■



 その頃、ミドリ姉達はなんとか目的地に辿り付き、押入からの脱出に成功していた。
 天井裏から、飛び降りる。
 105号室の押入上段には、以前発見された毛布がそのまま残されているので、これがクッションに
なって無事着地できた。
 四匹全員が押入から脱出でき、室内に降り立つ。
 先ほどムラサキ親が漬けられていた水桶が残っているのでそこに活性剤をつぎ足し、キイロ親と
ムラサキ親指を浸らせる。
 すぐに傷の再生が始まる。

黄親「ありがとうございますデス。二人とも、別の部屋に置いてきたワリバシを取ってくるデス」
緑姉「わかりましたデス! キイロさんは?」
黄親「どっちにしろ、ワタシはまだ当分動けないデス。今はあなた達が頼りデス」
紫親指「レェェェ…ママァ…」
紫親「親指ちゃん、戻ってきたら、髪の毛を戻してあげますから、我慢するデス」
紫親指「レェ…?」
黄親「さ、早く。このルートを気付かれる前に」
緑姉「わかりましたデス!」

 竹串とペンチがなくなった事をようやく思い出したミドリ姉達は、あらたな武器を取りに102号室へ
向かう。
 ワリバシ槍は、三本あった。
 すぐ取れるように、あらかじめドアのすぐ脇に置いておいたのだ。
 それぞれ手に取り、廊下に出ようとした時…

 ガチャ…キィィィィ…

 別の部屋のドアが開かれる音が聞こえた。
 …ミイラ実装が、すでに降りてきている!

 どうやら、まだミドリ姉達の存在には気付いてないらしい。
 107号室のドアが揺れているのを確認すると、ミドリ姉達は、急いで105号室へと戻った。

緑姉「あいつが降りてきているデス!」
黄親「もう来たデスか…ワタシの回復が間に合うといいデスが…」
紫親「デ、デェ…」
黄親「いいデスか? よく聞いて欲しいデス。あいつは、これはニンゲンの行っている実験だと言った
 デス。それなら確かに辻褄が合う事も一杯あるデス。パパも、同じような事を考えていたみたいデス」
紫親「実験デス? なんのために…?」
黄親「わからないデス。でも、今までどんな事があっても必ずどこかに問題を解決する方法があったデス。
 ひょっとしたら、あいつをなんとかする方法もあるかもしれないデス。それを探して欲しいデス」
紫親「そ、そんな都合良く見つかるデスか…?」
黄親「もし見つかりそうになかったら、その時は、すぐに自分達が逃げ切るための方法を探すデス」
緑姉「そ、そんな事を言われても…!」

 ギィィィ、バタン…

 また、別の部屋のドアが開けられたようだ。
 廊下を確認すると、103号室の中を見ているらしい。
 ミイラ実装は、窓際に干されっ放しになっている親指サイズのパンツを手に取り、小首を傾げている。





 ■■□



 と、その時やっとにじあきが戻ってきた。

「やべえぞやおあき、アカ親の死体、道路のド真ん中に落ちてた!」
「うそっ! アパートの敷地内じゃなかったのかよ!」
「それだけじゃねえ、俺が始末しに行こうとしたら、それより先に野良実装が何匹かやって来ていて、
 死体を食い荒らしてやがったんだ」

 くそ、まだこの辺を徘徊している奴等がいたのか!
 保健所め、全然駆除徹底できてないじゃないか!

「なんとかそいつらを蹴り飛ばして、死体は回収して来たんだけどな…どうもあのアパート、さっきので
 野良に目を付けられたらしいぞ」

 にじあきの話だと、アカ親遠投の現場は野良実装達に見られていたようで、すでに何匹かの野良実装
が、アパート侵入を試みて集まってきているらしい。
 まだ少数なのでにじあきが蹴散らしてきたらしいが、その時の悲鳴に誰かが気付いた可能性は高い
かもしれないという。

「すまん、コロリスプレー持っていれば良かったんだが…」
「いや、どちらにしろもう関係ないよ。生きてても死んでても、野良実装がたかってるってだけで同じ事さ」

 恐らく、明日の朝にはまた周辺住民達が大騒ぎするだろうし、俺も実験をやめなければならなくなる
だろう。
 ここで、俺は実験終了のタイミングをはっきりと見定めた。

 時計を見たら、すでに午前四時過ぎだ。空もうっすらと白み始めている。
 あと1〜2時間以内で決着が着かないと、どちらにしろこいつらは全滅かもしれない。
 決着の結果、双方共倒れというなら仕方ないが、実験中断のために全員抹殺、となっては、
あまりにも面白くない。
 ここはなんとしても、誰かに生き延びて欲しいものだ。

 …ミイラ実装だけは例外だが。

 俺は、自分の貞操を守りたい一心で、いつしかミドリ姉達を本気で応援していた。





 □■■



 こちらが慌てている間に、変化があったようだ。

?「レピャァァァァァッッ!!!」

 いきなり、泣き声が響いた。
 106号室に入っていたミイラ実装が、廊下に出てくる。
 
?「レピィィィィ、イタイ、イタイ、イタイレチィィィィ!!!」

 ——ムラサキ親指?

 105号室を見てみると、なんと、キイロ親がムラサキ親指の頭を齧っていた。
 額と後頭部から、出血している。
 それを受け取り、桶の中に沈めると、ムラサキ親は真剣な表情でドアの方を見つめた。

紫親「ゲボガボゴボゲボ…」

ミ「自分の子供を虐待しては、いけないデスゥ♪」


 ついに、来た。
 ヘタしたら俺の初めての人になるかもしれない強敵…俺が想定していた以上に凶悪さを増していた、
前回実験の生き残り…ミイラ実装!
 それが、一階の端の部屋で、キイロやムラサキ達と対峙していた。

 親指を桶から掬い、抱き上げるムラサキ親。
 苦しげに泣き喚く親指を抱き締め、片手に持ったワリバシ槍を構える。
 だが、ムラサキは所詮被虐待実装石。
 ここまではよくやったが、すでに限界が来ている。
 足はガクガク震え、ワリバシ槍もずり落ちそうだ。
 多分本人は気付いてないだろうが、血涙もドバドバ流れている。
 とてもじゃないが、ミイラ実装に立ち向かえる状態じゃあない。

黄親「来ると思ってたデス…」
ミ「そんな所でお風呂デスゥ? ちゃんとお風呂場で入らないとダメデスゥ♪」

 その言葉に、なぜかムラサキ親はハッとして目を剥いた。
 そして、急に表情を引き締める。
 何か思いついたようだが、それより今はこの状況だ。

ミ「お前達は思ってたよりもしぶといデスゥ。とても追い詰め甲斐があるデスゥ。でも、すぐに全員
 まとめて食い尽くしてやるから、安心しろデスゥ♪」
黄親「じ、冗談じゃないデス!」
ミ「遠慮はいらないデスゥ、みんな仲良く、ワタシのお腹の中で一つになるデスゥ!」

 そういえばこいつ、前回もそんな事言って最後の生き残り連中をまとめ食いしたんだったな。
 もっとも、あの時より追い詰め方が狡猾になってるけど。

 ようやくある程度回復したのか、キイロ親が、まだ生っ白い手足を使って桶から出てくる。
 そして、さっきミドリ姉が運んできたワリバシ槍を取り、ムラサキ親と並んで構えた。

ミ「おや、手足が治ってるデスゥ。不思議な事もあるものデスゥ。そのお風呂のせいデスね?」

黄親「親指ちゃん、さっきはごめんなさいデス。でも、髪の毛が戻ってるデスよ」
紫親指「レチ? レチィッ♪ ほ、本当レチィッ♪」

 見れば、確かに髪の毛がどんどん伸びている。
 恐らく、本来の状態と同じくらいの長さになったのだろう。
 ムラサキ親指は、こんな事態にも関わらず感激して、大きな声でうれし泣きをした。

ミイラ実装も、つい釣られてその様子に見入っている。

 その瞬間!


緑姉「 ど っ せ い ! 」 


 ズ ブ シ ュ ゥ ゥ ゥ ッ ッ !!


ミ「ギ? ギャ?」

 続けて…

黄親「 往 生 す る ダ ギ ャ ア !!! 」

 ズ ブ シ ュ ゥ ゥ ゥ ッ ッ !!

ミ「ゲヒ……?」

紫親「 デ、 デ ェ ェ ェ ェ ェ ッ ッ !!! 」

 ズ ブ シ ュ ゥ ゥ ゥ ッ ッ !!

ミ「グオ……デ、デズゥゥゥッ?!?!」


 三本のワリバシ槍が、ミイラ実装の胴体に突き刺さった!
 背中からは、101号室より突進してきたミドリ姉の槍、左脇腹にはキイロ親、右脇腹にはムラサキ親。
 三方向からの攻撃は、すべてミイラ実装の腹を貫通し、胴体の動きをロックした。

ミ「グ、グギギギ…!」

黄親「今デス! ミドリちゃん!」

緑姉「はいデス! 続けてどっせいっ!!」

 ザクッ!

ミ「ゲヒャッ?!」

 今度は、後頭部に四本目のワリバシ槍が刺さる。
 101号室内にストックされていた、さらに別の武器だ。

ミ「グ…おの…れ…エェェ……!」

 ミドリ姉は、何度も101号室と105号室を往復し、ありったけのワリバシ槍を突き刺していく。
 最終的に、ミイラ実装は腹に二本、背中に二本、頭に二本の計六本の槍を受けて、ようやく沈黙した。


緑姉「は、はあ〜…」
紫親「か、勝った…デスゥ……」
黄親「なんという強い奴だったデス……デ?」


 ——デヒャアァァ………


 お、なんか聞こえた。
 悲鳴のようだが…

 と、その時。
 全然別な方向からも、奇妙な音が聞こえてきた。


 ドンドン、ドンドン!

 ——ここから出てきたデス! 見たデス!
 ——この中にエサが一杯あるデス?
 ——クソニンゲンが起きる前に中に入るデスゥ!

 ドンドン、ドンドン!!

 最初は何かわからなかったが、どうやらアパートの外をうろついていた野良実装のようだ。
 前に補修した玄関の木の板を、石などで叩いているようだ。
 そんな事をしてももう侵入できっこないのだが、その騒音は、中の連中におかしな危機感を与える
のに充分だったようだ。

 ドンドン、ドンドン!!

 デスーデスー!
 デスーデスー!!

緑姉「こ、今度は何が起こったデス?!」
紫親「まだ仲間が隠れていたデス?!」
紫親指「レェェェ…せっかく治ったのに死にたくないレチィィィ…」
黄親「大丈夫デス皆さん、これは外からデス。中には……」

 ズ ブ シ ュ ゥ ゥ ゥ ッ ッ !!


 キイロ親の声が、不自然に止まる。

 俺達も、玄関と105号室の映像をカチカチ切り替えていたせいで、気付かなかった。
 
 キイロ親の胸からは、赤と緑に染まった何かが飛び出していた。
 信じられないといった顔で、それを眺めるキイロ親。

 背中側から突き立てられたワリバシ槍が貫通したのだと気付くのに、しばしの時間が必要だった。

緑姉「デェェェェッッッ!!!」
紫親「デギャァァァッッッッ!!!」
紫親指「レチィィィッッ!!!」

黄親「デ……なん…で……デス?」

ミ「グベェヘヘヘヘヘ……ゲヒャヒャヒャヒャ♪」

 ミイラ実装は、発狂していた。
 恐らく、仮死状態から復活したのだろうが、全身に食い込んだ槍の激痛が何かを狂わせたようだ
 その目には、もはや先ほどまでの狡猾で残虐な知性の色は宿っていない。
 淀み濁った、欲望丸出しの醜い輝きが宿っている。
 恐らく、自分の身体から引き抜いたワリバシ槍を使ったのだろう。
 そしてそれが、キイロ親の偽石を激しく損傷させたのは一目でわかった。
 キイロ親の両目はもはや色を失っており、がっくりと力無く崩れ落ちたからだ。

 キイロ親、リタイア。
 残りは、僅か5匹!

 急展開の連続に、俺達はもう、モニターの前から動けなかった。
 アパートにたむろする野良実装達を追い払いに行くのも忘れて。





 ■■■



緑姉「デギャァァァッ!!! も、もう武器がないデスゥゥゥゥ!!!」
紫親「た、助けてデスゥゥッッ!!!」
紫親指「レピ、レピッ、レピッ!!」

 三匹は、必死で逃走していた。
 廊下を、走る走る!
 後ろからは、全身にワリバシ槍を突き立てた状態のミイラ実装が、じわりじわりと迫ってくる。
 槍が邪魔なのか、ダメージのせいか、奴は走れないようだ。
 だから、走れる三匹との距離が縮まる事はない。
 だが、恐らくこの四匹全員が気付いているだろう。
 たとえどこに逃げても、いずれは追い詰められるという事に。
 つまり、今この瞬間だけ有利なだけで、ミドリ姉達の絶望的状況は変わらないのだ。

緑姉「な、なんで死なないんデスゥゥゥッ?!?!」
紫親「わ、わからないデスゥゥッッ!!」
紫親指「レピャァァァッ!! こ、怖いレチィィィィ!」

 ドンドン、ドンドン!!

 デスーデスー!
 デスーデスー!!

 玄関からの音も、相変わらず響いている。
 それが、益々彼女達の恐怖心を煽っているみたいだ。


「やおあき、白状しろ」
「え、何が?」 
「あのミイラ実装、偽石ないだろ?」
「あっ、やっぱりわかるぅ?」
「なんてめんどくさい事しちまったんだよ、お前!」
「そ、そんな事言ったって、まさかこいつがここまで大暴れするとは思わなかったんだもん!
 こいつ、明らかに前回以上に悪質化してるんだよ!」
「どうやって終わらせるつもりなんだよ? このままだと…」
「まー、そりゃ偽石を砕くしかないわな」
「えっ、まさかお前、こんな最後の最後で手を貸すつもり? それって…」
「いや、俺がするべき事はもうすべて終わってるから」
「…は?」





 画面を切り替える。
 203号室の床下だ。

 案の定、アカ仔は全身をネズミに食いつかれ、半死半生の状態になっていた。
 さっきの悲鳴は、こいつのものだったようだ。
 それでも、必死になって105号室の方へ向かっている。
 片手にはペンチ、そしてもう片方の手には、例の小瓶を抱えている。
 どうやったのかネズミはなんとか追い払えたようだが、それでも何匹かは距離を置いて様子を窺って
いる。
 隙を見て飛びかかるつもりなのだろうか?

 やがて、105号室の押入上に辿り着く。
 一匹のネズミが飛びかかろうとする瞬間、アカ仔は、天板の隙間から身を躍らせた。
 否、というより…落ちただけだ。

 ぼすっ!

 アカ仔は、毛布の上に落下した。





ミ「グビッ?!?!」


 突然、ミイラ実装が苦しげな叫び声を上げてもだえる。

紫親「ミドリさん、こっちへ!」
緑姉「は、はいデス!」

 二匹が逃げたのは、なんと風呂場だった。
 風呂場には、当然ながら逃げ場はない。
 窓も、実装石では絶対に届かない高さになるし、しかもそこは錆び付いてガチガチに硬くなっている
鍵が掛かっている。
 まして出られたとしても、そこからは下に落ちるしかなく、確実に死亡する。
 俺だって、これ以上何も用意はしていない。
 では、ムラサキ親はなぜここを選んだのか…

紫親「これを開けるデス!」
緑姉「デッ?!」
紫親「ぐずぐずしているヒマはないデス! 手伝って欲しいデス!」
緑姉「わ、わかりましたデスっ!」

 ムラサキ親が指したのは、風呂桶の上にどっかと乗っている、木の板だった。
 そう、仮に実装石が上に乗っても落ちたりしないようにと、わざわざ分厚い板を選んで乗せておいた
もの。
 以前、ムラサキ親はここに注目していた事がある。
 土壇場で、ここを避難場所にする事を選んだのだろう。

緑姉・紫親「「せ〜〜のっ……デ、デデデェェェッッ!」」

 ググッ…

 三枚の板の端を、二匹で協力して持ち上げる。
 かなり、苦しい。
 なんとか少しだけ持ち上げる事は出来るのだが、身長が足りなくて木の板を横にずらせないのだ。
 このままでは、中に逃げ込む事は出来ない。何か足場が必要になる。
 ミドリ姉は、周囲を見回してもう一つの桶を発見した。
 複数の家族が同時に風呂を使う時に用いる、予備浴槽代わりのものだ。

緑姉「これを使うデスっ!」

 桶をひっくり返し、土台にしてもう一度木の板を持ち上げる。

緑姉・紫親「「ぐぐ〜〜っ…… ど っ せ い ! 」」


 ガラン、ガラン!!

 木の板が、開いた!
 ようやく、中に入れるようになった。
 風呂場の窓から、外の光が差し込んでる。
 すでに、外は明るくなり始めていた。
 その光が、中をぼんやりと照らす。

緑姉「デ…こ、これは…」
紫親「どうしたデ……デデェッ?!」
紫親指「ママァ、どうしたレチ? 早くしないとおっかないのが来るレチ」

 二匹は、木の板の下を見て硬直していた。
 そりや、そうだろうな。


 なんせこの風呂桶、 浴 槽 が な い ん だ も ん 。

 木の板の下には、虚無の暗黒空間が広がっていた。



「ど、どうなってるの? これ」
「説明しよう…」

 実はこの浴槽、最後の住人が使用した際、老朽化によって割れてしまったのだ。
 風呂桶自体はタイル作りのガッシリしたものだが、その内側には別の浴槽をはめ込まなければ
ならないタイプなのだ。
 うちのじいさんは、新しい店子が入る事が決まったらその時交換しようと考えていたが、結局誰も
来なかったため、数年前に取り外し作業だけ行ったわけだ。
 そんな訳で、現在浴槽があるべき場所には大穴が開いている。
 そういう危険な状態だったから、わざわざ木の板を買って来て塞いでたのだ。


ミ「 グ ゲ エ ェ ェ ッ ッ !!! 」

 ミイラ実装の声が、近くから聞こえてくる。
 もう、躊躇っている時間はない。

緑姉「こうなったら、飛び込む、デス!」
紫親「で、デェッ!?」
緑姉「あいつに捕まったら最期デス! ここなら、ひょっとしたら助かるかもしれないデスっ!」

ミ「 聞 こ え た デ ズ ゥ ゥ ゥ ゥ ッ ッ !!! 」

紫親指「レチャアァァッ!!! き、来たレチィィッッ!!」

紫親・緑姉「「 デヒャアァァァッッッッッ————— 」」


 ひゅうぅぅぅぅぅん………


 三匹は、木の板の隙間から身を躍らせた。
 暗闇に吸い込まれ、カメラは完全に、追跡不能となった。
 遅れて風呂場に到着したミイラ実装が、ずれた木の板の隙間から中を覗く。

ミ「ゲフフフ…ゲヒャヒャヒャヒャ!」

 板の隙間から手を伸ばし、上体を無理矢理ねじ込もうとする。
 こいつ、まだミドリ姉達を凹つもりだ。
 このままだと、こいつまで穴に落下してしまうだろう。
 そうなってしまったら、もはや逃げた三匹には絶望しかない。
 最後に逃げ場所に選んだところが、墓場になってしまう。

ミ「今イグデズゥゥゥゥッッッ!!!」

 ニヤリと笑い、木の板をどかして穴に降りようと身構えた次の瞬間——



 バキッ!



ミ「グゲ…? ゲェェェッ?!?!」

 ドサァッ!


 突然、ミイラ実装が短く呻いて、倒れた。
 口から大量の血泡を吹き、目の色は灰色に濁っている。
 ミイラ実装は、突然死んだ。
 そして、俺の貞操も守られた。


「え…なんで? なんで突然死ぬんだよ、こいつ?」
「多分、理由はこういう事だ」

 俺は、画面を105号室に切り替える。





赤仔「ハアハア…こ、これで良かったデチ…か?」
黄蛆「はいレフー。よくやってくれましたレフー♪」

 105号室の押入の中。
 アカ仔と、やっと出て来たキイロ蛆の傍には、口を開けられた小瓶と、そこからどくどくと零れている
茶色の液体があった。
 そして、ペンチによって粉々に砕かれた、偽石の破片も。

赤仔「なんで…これがあいつの偽石だとわかったデチ?」
黄蛆「普通の実装石なら、あんな所に閉じ込められていたら死んでしまうレフ。だから、絶対別な所に
 偽石が保管されていると思ったレフ。で、あんな不自然なところに置いてあったら、もう確定みたいな
 ものレフー」
赤仔「蛆ちゃんは…頭がいいデチ…」
黄蛆「それより、早くケガを治すレフ。まだお薬の水が、下にあるレフー」
赤仔「下に降りられればいいデチが…傷が痛むデチ…」
黄蛆「ここまで来たら、あと少しだけ頑張るレフー!」

 やはり、アカ仔達の仕業だったか。
 アカ仔は、押入の上段で体力の限界に達したのか、いつしか動かなくなった。
 死んだかどうかはわからない。
 ただ、キイロ蛆が一生懸命に声を掛け続けている。


 だがやがて、その声も静かになった。





 ■■□



「…行くか?」
「行こう」



 俺達は、早朝にも関わらずアパート内に入り込んだ。
 もちろん、途中にいたのや玄関前で喚いていた野良実装達は、すべてコロリスプレーであの世に
旅立っていただいた。
 でも殺ったのはにじあきだぞ、俺じゃないからな!
 スプレー提供したのは俺だけどね。

 裏口を開けて、中に入る。
 途端に、ものすごい吐き気を催す悪臭が飛び込んできた。
 ミイラ実装が、あの糞の海を歩いて越えてきたため、そこら中に汚れが広がったのだ。
 俺達は、泣きながら土足で入り込む。

 まず、風呂場だ。
 ミイラ実装は、モニターで見た状態のまま倒れており、すでに冷たくなっていた。
 今度こそ、起き上がってくる様子はない。
 風呂桶の木の板は、ずらされたままになっている。
 LEDライトで中を照らしてみるが、なぜか、ミドリ姉の姿もムラサキ親子の姿も見られない。

 え、どうして「なぜか」などと言うのかって?

 実は、この底には万が一の事を考えて小さなビーズクッションを落としてあり、誰かが落下しても
(親指や蛆でない限り)死なないように工夫されていたのだ。
 だから俺は、ここから落ちたミドリ姉達の生死は心配していなかった。
 しかし、不思議な事にクッションの上や周囲は無人だ。
 他に行き場はない筈なのに、なぜ?



 次に、105号室。
 ここに来るまでも泣きたくなる様な惨状だったが、室内は、俺達が想像していた以上に酷い有様
だった。
 床は糞や血で汚れ、栄養剤の水も激しく飛び散っている。
 ビニールシートを敷いておいて、本当に良かったと実感する。
 キイロ親も倒れており、念のため確認したがやはり完全にこと切れていた。

 押入の中には、アカ仔とキイロ蛆が静かに横たわっていた。
 だが、死んだわけではないらしい。
 どうやら、単に疲れ果てて眠っているだけのようだ。
 アカ仔の奴、てっきりすでに手放したと思っていた実装服を最後までしっかり握っていやがった。
 俺は二匹を下に降ろしてやると、アカ仔を活性剤液の桶の中に入れてやった。
 性格こそ悪かったものの、こいつはこいつなりによく頑張ったと思う。
 だから、せめてもの褒美のつもりだった。
 にじあきは「やっぱりお前は甘い」と行っていたが、どうせ実験はこれで終わりだ、これくらいは
いいだろう。
 よく見たら、アカ仔の頭の所々に擦り傷や噛み傷がある。
 ひょっとしたら、ここに活性剤を塗ったら髪が生えるかもな。
 そういえば、ミドリ姉達はまだこいつとの約束を果たしてないな。
 面白いから、俺が代わりに果たしておいてやろう。
 原液をそのまま傷口に塗りたくってやった。

 キイロ蛆にも、オマケで活性剤水を塗りたくってやる。
 全身薄汚れて顔も少し潰れているが、すぐ治るだろう。

 二匹とも、本当によくやった。
 なんか色々言いたい事もあるんだけど、こいつらなりに、俺達の予想を大きく裏切る活躍を見せて
くれたのだから、ここは素直に感謝しておこう。


 しばらくして、あらかた傷が塞がった事を確認すると、俺は用意しておいたケージに二匹を仕舞い
こんだ。
 それにしても、ミドリ姉とムラサキ組は、どこへ行ったのだろう?


 時計は、もうすぐ午前7時になろうとしている。
 時間が経つのは、早いものだ。



 ——実験は、ここで終了だ。




 ■ 最終状況 □

 最終生存数:5匹

 
●アカ組:生き残り1名(仔)

●キイロ組:生き残り1名(蛆)

●ミドリ組:生き残り1名(仔)

●ムラサキ組:生き残り2名(親、親指)

 ただし、実験主催・やおあきによる生存確認は、アカ仔とキイロ蛆のみ。
 その他三匹は、現状行方不明。



 これまでの犠牲者:全28匹

・モモ仔1、2、蛆 …エレベーター実験の犠牲になり死亡
・アカ仔2 …206号室で、ゴキブリに襲われて死亡
・アオ親指2 …206号室でアオ仔4に首を落とされて死亡(事故)
・アオ仔2、4 …206号室でネズミに襲われて死亡
・アオ親指1 …アオ親に壁に叩きつけられて死亡(事故)
・アオ仔1、3 …激昂したアオ親に踏み潰されて死亡(事故)
・アオ親 …子供全滅のショックで、偽石崩壊
・モモ新仔1、2、3 …出生直後、キイロ親2に間引かれる
・モモ親 …子供をほとんど失い、ショックで自壊&偽石崩壊
・糞蟲仔1、2 …トイレ拷問中、糞蟲親に偽石を破壊され死亡
・糞蟲仔3 …糞蟲親に蹴飛ばされて死亡
・糞蟲親 …キイロ親2の必殺技を受けて自壊・死亡
・キイロ親1 …糞蟲親によるダメージと精神的ショックのダブルパンチで自壊・死亡
・モモ親指 …ミドリ姉に抱き締められて圧死
・ミドリ親指 …201号室の実装石に捕食されて死亡
・ミドリ仔 …同じく、201号室の実装石に断頭され死亡

・アカ親 …ミイラ実装に201号室の窓から投げ落とされて死亡
・キイロ仔 …上同・アカ親と共に死亡
・ムラサキ仔 …キイロ仔に犯された後、ミイラ実装に食われて死亡
・キイロ親2 …ミイラ実装に刺され、偽石を損傷して死亡
★ミイラ実装 …アカ仔に偽石を破壊されて死亡











              ■□ EPILOGUE □■








 実験終了から三日後。

 
「じゃあ、ちょっと行ってくるわ」

赤仔「バカニンゲン、しっかり確認してきやがれデチ!」
黄蛆「レフレフ、その前に、何か忘れているんじゃないレフ?」

「あ? なんだっけ?」

赤仔「そうデチ! ご飯がまだだったデチ!」
黄蛆「それと、朝のお腹プニプニがまだレフー!」

「ちっ、調子にのりやがってもう」

 俺は、実験の残りの実装フードを皿に盛り、さらに右の人差し指をビッと伸ばすと、キイロ蛆の腹に
向かって高橋名人直伝の「一秒間に十回レイプ発言」を叩き込む。

黄蛆「レピャピャピャピャピャピャピャピャピャピャ♪」

 …何か間違えてないかって?
 まあ、細かい事は気にしないように。


 あれから、二匹は俺が預かる事になった。
 と言っても、別に飼い実装にしようと思っているわけではない。
 それどころか、すでに行き先は決定していたりする。
 あいつらは、引き取られるまで一時的に面倒を見ているに過ぎないのだ。
 いくら実験で生き残ったからと言って、飼い実装にしてやるほど俺は甘くはない。
 だが、ここに居る間くらいは、勝利者気分を味わわせてやってもいいだろうとは思う。

「じゃあ、今度こそ行ってくる」

赤仔「ちゃんと見つけてくるデチよ!」
黄蛆「ニンゲンさん、ガンガるレフー♪」

「おう、まかせろ」

 俺は、二匹の住む水槽に手を振ると、そそくさと部屋を飛び出した。

 なんだか平和な会話だが、決して俺達は仲良くなったわけではない。
 それどころか、あいつらは激しく俺の事を憎んでいるだろう。
 なにせ、俺のせいで家族が沢山死んでいるのだから。
 賢い分、俺への恨みは忘れる事はないだろうな。
 だが、それでいい。馴れ合いはいらないから。
 今、あいつらは他に生き残った三匹にとても会いたがっている。
 それが叶うまで、表向き友好的な態度を取っているに過ぎない。
 
  
 実験終了告知の数時間後。

 やはりというか、アパートの大騒ぎが周辺住民のほぼすべてにバレてしまった。
 もちろん、両親も激怒り。
 俺が実装石の実験をやっていた事だけはなんとか隠し通せたが、このアパートが野良実装達に
目を付けられ、人間の知らないルートで出入りできるようになっていると解釈されてしまい、ついに、
保健所による徹底駆除作業再開が決定した。
 さらに加えて、アパートの取り壊しも。
 解体業者は、今日の昼過ぎにやって来て見積もりを始める。
 保健所の連中は、それより早くやってくる。
 室内の仕掛けや実装石達が使い作ったアイテム類は、昨日までにすべて撤去し終えたが、いまだに
ミドリ姉達は見つかっていない。
 たとえ死んでいたとしても、せめて死体くらいは回収してやろうと思った。
 だから俺は、まだ両親が起きてもいない早朝からアパートを抜け出し、捜索を行うわけだ。
 というか、これで見つけられなかったらもう後はない。


 ちなみに、昨日の朝付けでブログ内に告知した「生き残り実装石の引き取り手募集」には、想像を
絶する数の問合せが来た。
 さすがに俺一人では対応に限界があるので、今もにじあきやばらあき、ひろあきや腐女子あき、
自炊あきやショタあき、百合あき達に手伝ってもらっている。
 俺は、奴等への報酬…当面の飯代で、これからいくら消費することになるんだろうか…

 だが、全員の引き取り交渉自体は、告知一時間後に速攻で決まった。
 というか、本当は「買取打診」なのだが。
 生き残り全部をまとめて二百数十万で買い取りたいという、とあるお金持ちからの問合せがあり、
俺はそれに即決を出したのだ。
 だからこそ、是が非でもミドリ姉達を回収しなければいけない。
 正直な話、その件が決まるまでは、もう半分捜すのは諦めていたのだ。

 俺は人間用の縄ばしごを用意し、アパートの風呂場にやってくる。
 この風呂桶の下は、浴槽を取り除いた際に排水管の工事か何かをやったらしく、大の大人がすっぽり
入れるくらいの深さの穴が開いている。
 もちろん、工事は途中で止まってしまったので、俺も詳しい状況まではわからない。
 下に降り、ビーズクッション回収を兼ねてライトで確認してみるが、やはり死体も何もない。
 それにしても、えらく狭い!
 俺ですら、とても足下をじっくり観察出来ないほどだ。
 こんな所に成体実装が二匹も落ちたなら、絶対わかる筈なんだけどなあ…

 おや?
 底の方に、大きな横穴が開いているのに気付く。
 よくわからないが、排水管を除去した跡か何かだろうか?
 ひょっとしたら…

 俺は一旦上がり、桶に水を足すと、それを穴の中に流し込んだ。

 デチャアァッ!

 悲鳴が聞こえた。
 やっぱりあの中か!
 …もっと早くやれば良かった。どうして俺って、いっつもツメが甘いのかな。

 俺は実装リンガルを取り出して、穴に向かって呼びかけた。

「おおーい、その中に誰かいるかーっ! 助けに来たゾーッ!」


 デ、デスゥゥ……


 か細い声が聞こえる。
 俺は何度か呼びかけ、奥にロープを突っ込むと、それにつかまって這い出して来いと命令する。
 紆余曲折を経て三十分ほどかかったが、実装達は、なんとか外に出る事が出来た。





 まったく、賢いのかバカなのか、よくわからん。
 ミドリ姉とムラサキ親は、下に落下後、天井から光が差し込んでいるためこちらの姿も見えてしまう
だろうと考え、慌てて横穴に飛び込んだのだそうな。
 最初の方はスルスルと入ったのだが、途中から急に狭くなっていたようで、それ以上動けなくなった
そうだ。
 そして、そのまま三日間。
 少しずつ這い出そうと努力して、なんとか頭と足の位置を反転させたはいいが、自力では出られない
ため、半ば諦めかけていたという。
 親指も含めて、なんとか生きてはいた。
 疲労と空腹、そして地下から僅かに吹きつけて来る空気の冷たさに必死で耐え続けていたのだ。
 どうやって脱出するつもりだったのかはしらないが…最後の最後に無計画なんだからなあ。
 俺が助けなかったら、あれだけ苦労して逃げ延びたのが全部水の泡じゃないか。

 俺は三匹を回収し、自宅で暖かなシャワーと風呂を与え全身を洗浄しまくり、ついでに服も洗って
やった。
 なにせ、二百数十万だ。
 そのためになら、俺は世界最高の愛護派になってやるさ!
 少しの間だけだけどな(笑)。


緑姉「ニンゲンさんありがとうデス。一時はどうなるかと思ったデス」
紫親「デデ…ワタシ達、またギャクタイされるデスか?」
紫親指「レチィィ…それだけは嫌レチィィィ!!」

 俺は、心配するムラサキ親に虐待の心配はない事と、もうあのアパートからは解放された事、
ミイラ実装は死んだ事を伝えて安心させる。

 そして、食事を与えすっかり落ち着いたところで、アカ仔やキイロ蛆達とも再会させた。

緑姉「蛆ちゃん! アカちゃん!」
紫親「お二人とも、ご無事でしたかデスーッ!」
紫親指「レチャー♪」
黄蛆「レフレフ、ミンナー♪」
アカ仔「良かったデチ! なんだか…とっても嬉しいデチ! で…デェェェェン!」

「おい、あんまり泣くな。俺の親がうとましがる」

「「「「「デ…」」」」」

 うちの親は、最初実装石を家に入れる事を反対したが、これが高額で取引される商品だと説明して
渋々許可をくれた。
 でも、逆鱗に触れないに越した事はない。
 俺は、しばらく五匹を大型水槽内で放置し、早速引き取り先に連絡を行う。
 早速、今日の夕方辺りに引き取りに来るという返事を貰った。
 代金はそれより先に振り込んでおくという事だから、こちらはウハハ☆だ。


 さて…と。

「お前達には、本当に稼がせてもらったよ」

「「「「「デ?」」」」」

 突然話しかけられて、五匹は戸惑っている。

「お前達をアパートに入れて生活させる実験のおかげで、俺はお前達から一杯アイデアをもらって、
 それで沢山稼がせてもらったんだ。実験準備に使った金なんか、数倍単位で取り返せるほどにな。
 ホント、心から感謝しているよ」

赤仔「デチ! だったらとっとと分け前よこせデチ!」
紫親「ワタシ達にも、少し何か還元して欲しいデス…」
黄蛆「せめて何かおいしいものを食べさせて欲しいレフー」
緑姉「…早く解放して欲しいデスゥ」
紫親指「ワタチはお服が欲しいレチィ…」

「わかってるわかってる。だが、こうして風呂に入れてやって、食事をふんだんに与えていたのも、
 その還元の一部なんだよ?」

「「「「「デゲッ! そ、そんなのないデスっ!」」」」」

 あらあら、賢い連中の筈なのに、今の環境は与えられて当然だと思ったのか。
 そんなわけないだろう?
 俺はニヤリと笑うと、憤る五匹をなだめた。

「今夜、お前達は新しい引き取り手の所に行く。だからそれまでに、せめて美味いものを食わせて
 やるよ。もちろん、毒が入ってるとかいうオチはないからな」

「「「「「デ…本当デス?」」」」」

「本当だよ。実はもうお前達用の豪華料理が届いているんだ。待ってろ、今暖めて持ってきてやるから」

赤仔「山盛りのステーキがいいデスぅ」

「正解、そのものズバリだ!」

赤仔「デ、デチィィッッ?!?! 本当デチ!?」

「本当だ。正真正銘の山盛りステーキだぞ。楽しみにしてろ!」

「「「「「テッチュ〜ン♪♪」」」」」




 十分後。
 俺は、実装用の大皿にたんと山盛りにした、本物のサイコロステーキを持ってきた。
 たっぷりの和風ソースがかけられたもので、湯気をたっぷり漂わせジュワジュワと実に美味そうな音を
立てている。
 もちろん、匂いも最高だ。
 だが、俺はつまみ食いなどしない。これはこいつらが得るべき報酬なのだから。
 こいつらが努力した結果、手に入れたものなんだからな。
 それを横からかすめちゃいけないよ♪

赤仔「ほ、本当にステーキデチ! こんなに一杯デチ!」

「な、本当だったろ? 多分お前等が全員腹一杯食えるだけの量はあると思うよ」

黄蛆「みんなにも食べさせて上げたかったレフー」
緑姉「それは確かに…デスぅ」
紫親「で、では、亡くなった皆さんの分も、ワタシ達で食べて差し上げて供養にするデス♪」
紫親指「レッチュー♪」


 五匹は、ご丁寧に「いただきます!」と声を上げてから、ステーキにかじりついた。
 いずれも、幸せそうな顔をしている。
 これは、実装料理専門店に勤める知り合い・料理あきに頼んで特別に調理してもらったものだから、
味わいは絶品の筈だ。
 五匹は、恐らく生まれて初めて味わうだろう至福の味覚に、心の底から酔いしれていた。


 料理あきの話では、一度乾燥させて戻した肉を使うと、旨味が増加するものらしい。
 

 良かったなミイラ実装、最後に皆の役に立てて。

 俺は、思わずデプププと笑ってしまった。


緑姉「デ? ニンゲンさん、何かおかしいデス?」

「いや、お前等が本当に幸せそうだなあと思って。遠慮しないで一杯食えよ、まだお代わりあるからな」


「「「「「 ♪テッチュ〜〜〜ン♪ 」」」」」


 一時間以上もかけた食事会は、五匹揃っての「ご馳走様でした」の声で終了した。
 はい、お粗末さま。
 




 俺の名はやおあき。
 自らは手を下さない、観察型の虐待派だ。
 俺は友達のにじあきと協力して、賢い実装石一家をさらって、古い木造アパートの中で実験を行った。

 見込みより早い終結だったが、彼女達は、俺に素晴らしいものを与えてくれた。


 ありがとう、全33匹の実装石達!
 君達の事は、しばらくは忘れない!


 これで、短いようで長い、長いようで長かった実装石家族アパート実験は、本当に終了。
 まだ色々事後処理が大変だが、俺は、素晴らしい満足感を覚えていた。





















 ——しかし、後日。

 せっかく手にした二百数十万の報酬は、両親の厳命によりアパート解体の費用の一部に当てられて
しまう事になった。
 アパートを管理していたと言うなら、それなりの責任を取れ! という事だ。
 アパート解体を決めたのはあんた達だろ! どうして俺が! …という反論は、親父のゲンコツ一発で
消滅させられた。
 それだけ、今回の一件は両親を怒らせていたらしい…トホホホ…
 昔っから、オレってこうなんだよな…
 お騒がせ代にしては、あまりにも大きすぎるマイナスじゃないかぁぁぁっ!
 そんなの、そんなのアリかよっ!?





 俺の名は……や、やおあき……

 今度はどうやったら、成功する実験ができますか?
 教えてください、閲覧者の皆さん! 後生だからっっっ!!!




 (完)

-----------------------------------------------------------------------------

 皆さん、本当にお疲れ様でした。

 なお、本編中に出てきた「風呂桶の穴」ですが、これは昔自分が某所で本当に見た記憶を参考に
書いてますが、実際の細かい構造までは調べきれなかったもので、かなり適当です。
 申し訳ないですが、その点のツッコミはご容赦ください。


 お目汚し失礼しました…しばらくは自サイト運営に集中して身を隠すデスゥ♪


                                           無知


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