敷金・礼金無料 13 やおあきレポート。 私やおあきは、古いボロアパートの中に、賢い実装石の家族を数組住まわせてその様子を観察して いる。 この実験の当初の目的は、 ・賢い実装石家族を閉鎖空間内で同居させる事で、公園等でよく見られるものとは 違う形のコミュニティが形成される可能性はあるか ・本来実装石達が生活する際には必要とされない物品を与えた場合、それを利用して どこまで生活環境を拡張していけるか ・基本的に自己中心的な性質の実装石達の間に、「協調性」というものは形成されるか これらを確認・調査して、私の運営する実装用グッズ通販サイト内のブログで経過を発表していくという もの。 これにより通販サイト全体の注目度・閲覧頻度を高められれば、という希望的観測があった。 (もちろん、単なる個人的趣味の延長、という側面もある事を付記しておく) ところが、この企画が予想以上の大反響。 色々なところで話題になり、アクセス数はこれまでの倍以上に増え、それに伴って売り上げも順調に 伸びてきた。 そんな時、私はさらにある事に注目した。 「この実験観察内で実装石達が独自開発・活用したアイテム類は、商品化したら高い需要が見込める のではないだろうか?」 早速、いくつかの試作品を検討し、知り合いの業者に製作依頼を行った。 既に新しい実装ハウスの構造案や、仔実装運搬用背負いカゴの案は形になりつつあり、サイト上でも 予約が集中し始めている。 あるユーザーによると、飼い主ではなく飼い実装自身が欲しがるのだそうだ。 このペースで行ければ、実験のために費やした費用は簡単に回収できるだろう。 私はまもなく、この新しい実用製品の特許申請もしてみたいと考えている。 思わぬ見返りがあったものの、反面、当初の目的はあまり果たされたとは言い難い。 予想以上に実験期間が短縮化してしまったため、このままだと新コミュニティの形成は未確認で 終わってしまう事が予想される。 観察プログを閲覧している人達からも、「思ったより早く終わってしまうみたいで残念だ」という、手痛い ご意見を賜っている。 これら「実験期間の確実な確保」については、今後の大きな課題となるだろう。 なお、この実験に協力してくれた「にじあき」、一部物資供給援助をしてくれた「ひろあき」、そして サイト管理代行とブログの更新補助をしてくれた「ばらあき」「百合あき」の各氏には、厚い感謝の気持ち を述べさせていただきたい。 そしてまた、この冗長な記録に最後までお付き合いくださった、皆様にも—— ■ 第十三話 「ラストエスケープ(前編)」 ■ ■■■ 俺とにじあきは、大興奮に包まれていた。 眠気なんか、もう感じている暇はない。 モニターに映っているのは、201号室の中央に置かれたテーブルの様子。 今ここは、白熱のバトルステージになっていた。 …大変に一方的な。 ガシン、ガシン! ガシン、ガシン! 赤親「デヒィィ! デギャアァッッ!!」 赤仔「マ、ママァ! 落としちゃダメデチ! それ落としちゃダメデチィィッッ!」 必死になって実装石の攻撃を避けるアカ親と、それを盾にしているアカ仔。 アカ親が手にしているのは、テーブルに置かれていたアルミ製の灰皿。 振り回されるぶっとい腕が灰皿を叩き、アカ組達を追い詰めていく。 打撃による致命傷は受けないものの、テーブルから落下するのは時間の問題だ。 「なあやおあき、いつのまにあんなデッカい実装石を入れたんだ?」 不意に、にじあきが質問してくる。 あ、そうか。 そういえばまだ、まともな説明をしてなかったっけ。 俺は、にじあきに説明する。 あの実装石は、一年前に同じアパート内で行われた実験で最後まで生き残った個体だ。 とんでもない糞蟲の上、恵まれた身体能力と高い知能を併せ持っており、最終的には自分の家族を 含むすべての実装石達を食い尽してしまった。 そう、こいつは同族食いだって平気でやる。 エントリー当時はまだクリクリした仔実装だったのに、突然デッカくなったと思ったらもうやりたい放題。 結局、エントリーしていた実装石達は全滅させられてしまった。 当時の俺は、こいつのせいで実験が早期終了してしまったと考え、最後に直接ふん捕まえて思いつく 限りの過酷な虐待拷問を食らわせてやった。 思えば、俺が直接実装石に手を出した珍しい一件だったな、アレは。 最後に、俺は徹底的に糞抜きをした上で一切身動きが出来ない大きさの木箱に詰め込み、数ヶ月 放置した。 結果、そいつは身体の水分のほとんどを失ってミイラのようになりながらも生きていた。 自分で動く事はもう出来なくなっていたが、弱々しく声を上げていた。 処置を施したとはいえ、なかなか大した生命力だ。 ちょうどその頃、俺は次の実験の最後のイベントのネタが絞り切れず苦悩していた。 なら、いっそこいつを加えてみたらどうだろう? そう考え、俺はこいつを201号室の押入の奥に叩き込んだ。 そこから色々逆算し、俺は201号室を「ミイラ実装の寝室」と定め、ここを最終到達地点に設定した。 部屋の雰囲気を替え、ここだけドアを封印し、鍵は「単純だが、実装石にとっては判りづらいところ」に 配置。 もしここに賢い実装石達が辿り着き、ミイラ実装を発見したらどうするか? かなり高い確率でこれを助けようと行動するだろう。 だが、こいつはそんな恩義を感じるような生易しい奴じゃない。 なにせ、実装石はすべて殺して食ってやるという概念だけで生きているような凶暴な奴なのだから。 復活したら最後、アパート内を恐怖の坩堝に追い落とすだろう。 賢い実装石達は、そこまでで培ってきた協力体制と工夫・技能を活かさなければ、こいつの脅威から 逃れる事はできない。 いわばこいつを打倒できるかどうかが、実装石達の最終試験に相当するわけだ。 もちろん、救済措置は用意してある。 ただし、強い武器を置いておいたり罠を配備したりとか、そういった露骨でわかりやすすぎる手助けは しない。 知恵と発想力がないと、その存在すら気付かないまま終わるかもしれないというほど、判りづらいもの だ。 「へえ、まさかそんな仕掛けになっていたとはね」 にじあきは、上記の説明を聞きため息を漏らす。 そりゃそうだよ、一ヶ月もかけて考え抜いたものなんだから♪ だが俺達は、とうとう最後までミイラ実装の復活とムラサキ仔の脱出経緯を知る事は出来なかった。 我々は、再び画面に集中する。 赤親・仔「「テベッ!!」」 巨大実装石…以降はミイラ実装と呼称するが、こいつはもう、アカ組をテーブルから落脱させていた。 両者とも、背落ちしたため深刻なダメージは負っていないようだ。 そんなに背の高いテーブルでもないしな。 紫仔「チプププ。ワタチをこんな目に遭わせたからこうなるテチ。お前もあのミドリ達みたいに、ここでママに 殺されて死ぬテチ♪」 赤仔「何言ってるデチ? お前のママはあいつじゃないデチ! 向こうの部屋で眠ってるデチ!」 紫仔「あんなのはもう親じゃないテチ! ワタチに嘘ばかりついて不幸にし続けたテチ! ワタチはあの おっきな人を新しいママにして生きるテチ♪」 うわあ、唐突な絶縁宣言! ムラサキ仔、ムラサキ組より離反しようとしています! いったい、どーいう心境変化だよおい。 「えー、にじあきさん、コメントをどうぞ」 「あー、まーそのぅ、私もこれは想定外でしたね。仲だけは良かった家族なのですが。元飼い主としては、 誠に残念でなりません」 と、全然残念そうじゃない口ぶりで言い放つ。 紫仔「ママー! アカのガキが逃げようとしているテチよ!」 ミ「わかってるデスゥ。どうせすぐにやっつけるからほっておくデスゥ♪」 赤仔「ママ! 大丈夫デチ?」 赤親「は、早く逃げるデス! みんなに知らせるデス!」 赤仔「で、デチが…」 赤親「こんな奴がいたら、ここの食べ物はみんな奪われてしまうデス! そしたらワタシ達はもう生きて いけないデス! だから、他の奴等を起こしてこいつをなんとかさせるデスっ!」 …なんつー、自己中心的な言い分だろう! 赤仔「わ、わかったデチ、ママ!」 そう言うと、アカ仔は走り出した。 ドアに向かおうとするが、テーブルから飛び降りたミイラ実装が素早く回り込み、行く手を阻む。 ミ「グフフフフゥッ。お前は頭から食ってやろうかデスゥ♪」 赤仔「ひ、ヒイイッ!」 迫力に気圧されたアカ仔は、今度は振り返って窓に向かって走り出す。 ぴょんと窓枠に飛び乗って、窓の外に出る。 窓は少しだけ開けられている。 アカ仔はそれをさらに開き、窓の柵へ足を踏み出した。 ミ「そんな所へ逃げても行く先はないデスゥ」 紫仔「チプププ♪ バカな奴テチ!」 俺は、アカ仔の考えを察し、なるほどと呻いた。 にじあきが不思議そうに尋ねてくる。 「あいつ、あんなところで何する気だ?」 「ああ、見てろよ」 窓の柵の上に立つアカ仔と、それに向かってじりじりと近付いていくミイラ実装。 完全に追い詰めたつもりなんだろう。 だが… 赤親「 フ ァ イ ト ぉ —— ッ !! 」 赤仔「 い っ っ ぱ ——— つ っ !! 」 びょいん! 「うわっ、あいつ跳んだ!」 にじあきが驚くのも無理はない。 これが、鷲のマークの加護というものだ、よぉく覚えておきたまいよ。 アカ仔は脅威のスカイダイビングを敢行し、202号室の窓の柵に飛びついた。 ゴーゴータイガーゴー。 そして、その隙に… キイッ……バタン! 紫仔「アッ! あいつが逃げたテチ! 抜け目ないテチ!」 ミ「デスゥ?」 ミイラ実装達が窓の方に注目している隙に、アカ親はまんまとドアを開けて逃走してしまった。 さすがアカ組、自分の命が関わると大した活躍をするものだ。 だが部屋に取り残された二匹は、顔を見合わせるとニタリと笑った。 ミ「まあいいデスゥ。さあ、お前も降りてこいデスゥ。あそこのお菓子を食べながら待ってろデスゥ」 紫仔「ママはどうするテチ?」 ミ「この建物の中はよぉく知ってるデスゥ。だから、ちょっと散歩してくるデスぅ」 紫仔「わかったテチ。じゃあここでお留守番しているテチね♪」 ミイラ実装とムラサキ仔は、なぜか妙に仲が良いようだ。 紫仔「テチテチ♪ お菓子もっと食べるテチ! 食べて元気になるテチ♪」 ぱくぱく、ばくばく ぶりぶり、ぶりぶり 食べた端から、ウンチ漏らしまくりだ。 菓子箱の一部が、ムラサキ仔の糞で埋まっていく。 あーあ、こいつもあっという間に糞蟲化が始まってしまったな。 もはや、ありし日の面影はほとんど感じられなくなった。 「いやあ、愛情たっぷりに、そして充分な躾を行ったんですがねぇ、元飼い主としてはとっても残念です、 ハイ」 無理矢理高所恐怖症にするのが、お前の躾かよ! 俺のツッコミ平手が、にじあきの腹に炸裂する。 すべての攻撃を吸収する脂肪が、それを弾き返した。 ■■■ アカ親と、202号室から出て合流したアカ仔は、一階に降りて皆を叩き起こしまくった。 眠りが深すぎるミドリ姉に対しては、レッドストンピング(ゲージMAX時にレバー下溜め上+P全部)を かましてまで目覚めさせる。 そして、全員を101号室に集合させた。 早速、緊急事態を報告する。 そして、ミドリ姉妹がいきなり殺されてしまった事も。 さすがアカ親、他人の心情なんか考えない、容赦のない発言! 突然の妹達の訃報に、ミドリ姉は気絶する。 そこに、すかさずレッドストンピング(アカ仔バージョン)が炸裂する。 おい、血ヘド吐いてるぞミドリ姉? 黄親「なんでそんな奴がこの中に居るデス!?」 赤親「そんな事はどーでもいいデス! それより、なんとかしないといけないデス!」 緑姉「む、ムラサキさん達はどうして起こさないデス?」 赤仔「デ? なんであいつらまで起こす必要があるデチ?」 おいおい。 どうやらこいつら、部屋が近くて危険だからムラサキ組に近付かなかったわけではなく、はじめから 存在を度外視していたのかよ! さすが、どこまで行ってもアカ組だわこりゃ。 黄親「ムラサキさん達が大変デス! すぐに助けに行くデス!」 緑姉「アカさん達、力を貸してくださいデス!」 黄仔・蛆「「そうテチー!」」 赤親・仔「「デデッ! なんで、あんな危険な場所まで戻らなきゃならないデス?!」」 黄親「 一 緒 に 行 っ て く れ る ダ ギ ャ ? 」 おぎ〜ん! ビクン、ビクン… 赤親「デシャアァッッ!! い、行くデス行かせていただきますデスゥッ!!」 赤仔「デ、デェェッ?!」 黄蛆「さすが、ママの聖なる剣の威力は絶大レフー」 実にわかりやすい展開になった。 結局、一階勢は全員揃って二階へ渡った。 哀れなのはアカ組である。 すっかり恐怖が腰に来ている。 ミイラ実装だけでなく、ニガテなマラ実装にまで脅されているんだから、仕方ないか。 しばらくして。 メンバーは、何の問題もなく203号室に辿り着いた。 中を覗くと、ムラサキ組の段ボールハウスが見えてくる。 さて、しばらく様子を見てなかったけど、親達は無事かな? キイロ親が段ボールハウスに近付き、中の様子を窺おうとするが、誰も居ない。 では、押入に避難したのか? だが、画面を切り替えてもムラサキ組の姿はなく、キイロ親もそれを確認する。 黄親「どこへ行ったデス? まさか…」 ん? どこからか、嫌な音が聞こえてきたような…… ずり、ずり、ずり…… 何か大きなものが、這い回っている音がする。 黄蛆「何かが天井裏に隠れてるレフー!」 ド・バアァァァン!! 天井裏で、何かが激しく投げ飛ばされたような音が響いた。 埃がパラパラと落ちてきて、実装石達は退避する。 キイロ親は、慌てて押入の上段に上がると、天板を確認した。 カメラの設置角度のせいで、こちらはよく見えないが… 黄親「ここデス! ここから移動してたんデス!」 緑姉「どういう事デス?」 黄親「アカさんの言ってた奴は、天井裏を移動してるんデス。押入の上の板がずらされているデス」 赤親「って、ムラサキのママを運んで天井裏に上ったって言うんデスか?!」 黄仔「そうとしか考えられないテチ」 黄蛆「じゃあ……ママ! ムラサキさんが危ないレフー!」 やりやがった。 これは、ミイラ実装が以前の実験時にも多用していた奇襲戦法だ。 にじあきが、説明を求めている。 ミイラ実装は、どうしようもないほどの糞蟲だが、さっきも説明した通りバカではなくむしろ賢い。 恐らくここにいる連中にもひけを取らないほどだと思うが、その賢さは欲望の昇華にのみ向けられて いるため、始末が悪い。 前実験の時は、押入の角の面に両手足を突っ張らせて上までよじ登り天板を開けて天井裏に侵入。 各部屋に移動して押入から忍び込んで眠っている他家族を捕獲、その場で食い殺すか天井裏まで 連れて行って虐待するという荒技を繰り返した。 80センチという並外れた体格を誇るミイラ実装だと、押入の出入りは単独で自在に出来るし、天板に だって簡単に手が届くわけだ。 成体だろうが、他の実装石を持ち上げて連れ込む事など簡単だろう。 俺は、その事をすっかり失念していた。 もう随分昔の話だしなあ。べふー。 「天井裏の様子は、カメラじゃ見られないのか?」 「残念ながら、二階の天井裏は無理だ」 「ぐえ…じゃあ、せっかくのおいしい状況が見られないのかよ」 にじあきの言う通り。 でもこれは、仕方がない事でもあった。 第一、俺が入り込んでカメラ仕掛けるわけにはいかないんだし。ヘタしたら天井抜けるよ。 しばらくすると… ずるずる……ドサッ! 黄親「デスっ?!」 押入の上から、何か大きくて重たいものが落とされた。 と同時に、「グヒヒヒ…」という笑い声。 天井裏のヤツは、再び大きな足音を立てて移動して行った。 落ちてきたのは、ムラサキ親だった。 黄親「ムラサキさん! 大丈夫デス?!」 紫親「デ…お、親指ちゃんが……親指ちゃんが…」 ミドリ姉とアカ組の助力で、ムラサキ親が下に降ろされる。 かろうじて生きてはいるが、酷い状態だ。 両腕は千切られ、足は繋がっているが骨がぐしゃぐしゃに砕け、殴られたのか顔にも大きな裂傷が ある。 服が引き千切られていないのは幸いだが、かなりこっぴどくやられたようだ。 血涙を流し、ムラサキ親はただひたすら、ムラサキ親指の名を呼んでいた。 黄親「親指ちゃんの事は心配デスが、今はママさんを救うデス」 緑姉「どうすればいいデス?」 黄親「お薬がワタシ達の部屋にあるデスから、そこまで運ぶデス」 赤親「デエ…今度はまた下まで戻るデスゥ?」 赤仔「いちいちめんどくさ……」 おぎーん! ビクン、ビクン…… 黄親「 何 か 質 問 は あ る ダ ギ ャ ? 」 赤親・仔「「デ、デギャアァッッ!! な、ないデスゥ!」」 すっかりキイロ親に操られているアカ組哀れ。 メンバーは段ボールの板を器用に使い、協力してムラサキ親の身体を移動させる。 なるほど、そりの理屈か。 板の端は折り返され、ムラサキ親の身体は下にずり落ちない。 後は、その両端を成体実装達で支えながら、一段ずつゆっくりと引き降ろしていく。 下まで無事に運ぶと、風呂場から桶を持ち出して105号室まで移動する。 さすがに、一階までミイラ実装が追いかけてくる事はなかった。 キイロ親は、途中ミドリ姉と協力して102号室からペットボトルの水を取って来る。 さらに105号室の押入に上がると、天板をずらして天井裏から茶色い液体の入ったミニペットボトルを 取り出した。 以前107号室で発見したものだが、これの中身を桶の水に注ぎ入れる。 この中に、ムラサキ親の身体を浸からせた。 水に浸かれない部分には、タオルに水を含ませて何度も降り掛けてやる。 緑姉「これは何デス?」 黄親「昔パパに教わったデス。これは実装石活性剤といって、ワタシ達にとってのお薬デス。こうして おけば、ムラサキさんはすぐに回復する筈デス」 赤親「そんなものまであったデスか…」 やはり、キイロ組は気付いていたか。 あれは、活性剤を1/3程度に薄めたもので、かなりの高濃度のものだ。 原液のまま体内に注入したら新陳代謝機能が暴走し、焼却炉の中に放り込んでもしばらくは死ねない というほどの超絶回復力を発揮するという。 普通のケガなら100倍程度に薄めて使用するのだが、キイロ親は少し多めに投与しているようだ。 みるみるうちに、ムラサキ親の傷が塞がっていく。 黄親「いい機会デス」 キラリ…チャキ、チャキチャキチャキ… 突然、カッターを持ち出してくる。 赤親「デ!? な、何をするデス?!」 黄親「この機会に、もう二度とあんた達がムラサキさんをバカに出来なくなるようにしてやるデス」 赤仔「デ! デ! は、早まるなデチーッ!!」 カッターの刃を出し、アカ組を睨みつけるキイロ親と、ハラハラしながらそれを見守るミドリ姉。 だがキイロ親が切りつけたのは、アカ組ではなく…ムラサキ親だった! 頭巾を剥き、露出した頭部に刃を当てる。 サクッ 紫親「デギャァァァッッッ!!!」 サクッ、サクッ 紫親「デヒィィィッッ! い、痛いイタイデスゥゥッッッ!!!」 黄親「我慢するデス! ミドリちゃん、活性剤を傷口にたっぷり塗るデス!」 緑姉「デ? は、はいデスっ!」 キイロ親が切ったのは、ムラサキ親のおでこと後頭部二箇所。 そこをスライスし、円形の傷口を作り出すと、そこに活性剤を薄めないで塗らせる。 まるで早送り映像を見ているかのような速度で傷が塞がり、そして… ふさ…ふさふさ… 紫親「デ…?」 赤親「か、髪が…」 赤仔「生えてきたデチ!」 髪が再生していく。 みるみるうちに伸びていく髪は、まだ完全ではないものの、普通の実装石の半分越えくらいの長さに なった。 しかも、髪質はなめらかで美しく、はっきり言ってこの場の誰よりも綺麗に見える。 まるで魔法だな。 黄親「ごめんなさいデス、ムラサキさん。でももう、これでムラサキさんは禿裸ではなくなったデス。 アカさん達がのけ者にする理由はなくなったデス」 黄仔「さすがママテチ!」 黄蛆「レフレフ♪」 緑姉「良かったデスね、ムラサキさん!」 紫親「ありがとうございますデス! できれば、これをあの仔達にもしてあげて欲しいデス!」 赤親「あ、いや、その…ムラサキ…さんの子供なんデスが、実は…」 俯きながら、アカ親は201号室での出来事を説明する。 ミイラ実装の様子と、それをママと呼びムラサキ組に離反したムラサキ仔の事を。 皆は、目を剥いて驚いていた。 紫親「あの仔がそんな事言う筈ないデス!」 黄親「どうしてあの子は、そんなにひねくれてしまったデス?」 緑姉「そうデス。あの仔がムラサキさんを嫌う理由がわからないデス!」 赤親「そ、それは…デデ…」 赤仔「ママ、もう隠してても仕方ないデチ。洗いざらい吐くデチ」 赤親「な、何他人事みたいに言ってるデス! 元はといえば、お前達があのガキをさらって甚振ったのが 原因デ……!! ……ス……ぅ…? ウ?」 赤仔「デヒ! 言っちゃったデチ!」 アカ組に、五対の緑と赤の視線が集中する。 先ほどまでとは違う、あらたな恐怖がアカ組を襲う。 ぶりぶりぶりぶり 黄親「やっぱり、こいつらは 一 度 犯 し て お く 必 要 が あ る ダ ギ ャ ! 」 黄蛆「ママ、ヤッちゃってくださいレフ!」 黄仔「お〜し〜お〜き〜だ〜ベェ〜テチ!」 赤親・仔「「デ、デ、デ! デッギャアアァァッッッ!!!」」 ギュルギュルギュルギュルギュルギュルギュルギュルギュルギュルギュルギュル その後、少しの間ではあったが、アカ組は順番にキイロ親に犯された。 もう見たくなかった、あのグルグル回転技が炸裂する。 にじあきはその様子に笑い転げているが、俺は複雑な心境だった。 その後、アカ組が妙に大人しくなったのは、言うまでもない。 ■■■ 活性剤とは恐ろしいものだ。 ムラサキ親は一時間もしないうちに回復し、単独行動が取れるほどにまでなった。 まだ倦怠感が抜け切れていないように見受けられるが、今や文句なしの完璧な実装石の姿に戻った 彼女は、どことなく以前にはなかった力強さを感じさせる。 キイロ親の提案により、ミイラ実装撃退とムラサキ仔奪還のミッションが計画される。 もちろん、超絶遠心力のせいですっかり骨抜きにされたアカ組も、例外なく強制参加だ。 全員に、「武器」が配給される。 キイロ親はカッター、アカ親は鉄串、そしてミドリ姉とムラサキ親、アカ仔はそれぞれ竹串を持つ。 これは、それぞれの腕力・体力を計算した上での配分のようだ。 この他、キイロ親が有事の際にと予め準備しておいた「ワリバシをカッターで削って槍状にしたもの」 を一階各部屋に数本ずつ配置し、メイン武器喪失時の補助とする。 キイロ仔は、なぜかおもちゃのミニカーを持っていく。 本人曰く、これもあると便利なんだそうな。 こればかりは、さすがの俺達も理解が及ばない。 さすがにキイロ蛆だけはどうしようもないため、ミドリ姉の背負うカゴの中で行動指示に回る。 ミドリ姉は以前よりキイロ親達からレクチャーを受けているため、竹串の扱いはそれなりだ。 今は、ムラサキ親に使い方を教えている。 アカ親の持つ鉄串の末端にはタコ糸が巻かれ、手から滑り落ちにくくなるように加工されている。 次に、キイロ親は何重にも重ねた切りタオルを実装服の中に詰め、外側からタコ糸で縛る事で 「衝撃吸収装甲」まで準備した。 というか、これはキイロ蛆による土壇場の発想だった。 自分の部屋のクッションから発想していたらしい。 なんつー蛆実装だ、こいつ! やや着膨れしたような格好になった、三匹の成体実装と一匹の中実装。 キイロ親は、キイロ仔の乗ったカゴを背負うと、もう一つ、あるアイテムをミドリ姉のカゴに乗せた。 緑姉「これは何デス?」 黄親「ペンチというニンゲンの道具デス。これをミドリちゃんに預けておくデス」 緑姉「デ?」 黄親「ムラサキさん達のお部屋の押入に、針金の蓋で塞がれた穴があるデス。あそこはこれを使えば 開けられると思うデス。もし、いつかあそこを調べる時が来たら、これを使ってみるデスよ」 緑姉「わ、わかりましたデス…でも、どうしてこれを今渡すデス?」 黄蛆「ママはオネーチャンを乗せているし、おもちゃも積んでるから、もう重くて運べないんレフー♪」 緑姉「そういう事デスか、わかりましたデス」 なんだか、ものすごくシリアスな雰囲気になってきた。 いつしか俺達は、言葉も交わさず画面内の展開にのめりこんでいた。 ■■■ 風呂場の前で最終打ち合わせを済ませたメンバーは、二階へ進む。 廊下はすっかり静まり返っていて、動く者の気配を感じさせない。 胴体を縛る紐に固定しておいたそれぞれの武器を手に取ると、皆は廊下を睨みつけた。 打ち合わせによると、彼女達がやるべき事は三つ。 一つは、ムラサキ親指の生死の確認及び、生きていた場合の奪回。 もう一つは、ムラサキ仔の回収。 そして当然、最後の一つはミイラ実装の撃退である。 ところどころいびつではあるが、ここにアカ・キイロ・ミドリ・ムラサキ各組の協力体制が成立した。 全体にとっての脅威というものは、複数の者の意志を一つにまとめやすいようだ。 ひとまず、俺が求めていたものはここに形を成した。 問題は、これがどこまで持続するかだ。 これにより、実験の成否が決まる。 黄仔「なんかすごく臭うテチ」 黄蛆「あいつ、好き勝手なところでウンチしてるレフ?」 赤親「奥の部屋に行くデスか?」 黄親「いきなり突入は危険デス」 緑姉「なんとかおびき出す事は出来ないデスか?」 黄親「それは…ん?」 ドタ…ドタドタドタ…… メンバーの頭の上辺りから、音が聞こえたようだ。 赤親「デスっ?!」 黄親「しまった、待ち伏せされてたデス?!」 バスン! あ… 天井に穴が開いた。 そして… ぶりっ、ぶりっ……ぶりぶりぶりっ! ぼと、ぼとっ! 黄親「で、デギャアァッッ?!?!」 黄仔「う、ウンチが降ってきたテチィィッ?!」 緑姉「な、なんて事をするデスゥッ?!」 ミイラ実装のヤツ、階段前でずっと待機していて、天井の板を踏み抜いてから爆弾攻撃を仕掛けた らしい。 ゲフフフ、という醜い笑い声が聞こえる。 おい! 天井どうすんだよ! 弁償しろこの糞蟲ッ! バスン! ぶりぶりっ! 黄親「デシャァァッッ?!」 バスン! ぶりぶりっ! 緑姉「デヒィィッ! ば、バッチイデスゥッ!!」 バスン! ぶりゅりゅっ! 赤親「なんて事しやがるデスぅっ?!」 次々に行われる糞爆撃! いったい、どれだけの量たれれば気が済むんだ? 開けられた穴からは、様々な角度で糞爆弾が投下されていく。 階段前はあっという間に糞まみれにされ、階段や縄ばしごにまで付着してしまう。 その汚染面積は凄まじい。 なんとか直撃を回避したメンバーは、衣服や髪についた糞を洗い落とすため、二階の洗面所へと 向かった。 赤仔「ドヒィィ、酷いめに遭ったデ……デチィィィッ!!!」 赤親「ど、どうしたデス?!」 洗面台に上がったアカ仔が、悲鳴を上げて落下してくる。 なんと、彼女の両脚は糞まみれになっていた。 どうやら、洗面台の中にもたっぷりと糞を溜め込んでおいたらしい。 …勘弁してくれよ、もう〜…後始末誰がやると思ってるんだよぉぉぉ!! 洗面所から階段にかけてのエリアは、あっという間に糞の海で満たされた。 見事な分断作戦だ。 これでメンバーは、簡単には階段を下りられなくなった。 数分後… 205号室“技術と知恵の間”のドアが開いており、積み木が積み重ねられているのが見えた。 黄親「あれは…どういう事デス?」 赤親「誘っているみたいデス」 緑姉「ブ、ブルブル…ど、ど、どうしましょうデス〜?」 赤仔「とにかく行ってみるデチ!」 抜き足差し足忍び足…メンバーは、静かに205号室へ向かった。 今度は天井裏からの爆撃もなく、実に静かだ。 何の問題もなく、205号室に辿り着く。 しかし、そこには何もない。 ただ、窓が開いているだけだった。 って、いつの間に開けたんだ? 黄親「デ?」 緑姉「なんで開いてるデス? ここから外に逃げたデス?」 赤親「そんなの無理デス! 下に落ちて死んでしまうデス!」 紫仔「なんか…聴こえるデス…」 ……レェェェ……ン ……ママァ…… マイクが、微かな声を拾う。 これは、まさかムラサキ親指か? なんでこんな所に? 泣き声に気付いたムラサキ親は、慌てて窓際へ駆けていく。 カメラでは窓の外の様子は追えない。 紫親「デェェェッッ!!! お、親指チャンがっ!!」 黄親「どうしたデス?!」 キイロ親も窓際に駆け寄る。そしてミドリ姉も。 しばらくして、何かが窓の向こうから回収された。 それは、1.5リットルの円筒状ペットボトルの中に閉じ込められたムラサキ親指。 すでに底面の方には大量の糞が溜まっており、禿裸の親指は全身を緑色に染めて泣いていた。 口は閉じられていないが、ここから取り出すのは困難だ。 親指は無理矢理ねじ込まれたようで、両腕が骨折・損傷している。 それに、逆さまにして出そうとすると糞も一緒に落ちてきて、親指が窒息する危険もある。 単純だが効果的な拘束だ。 紫親指「レェェェン、ママァ、ママァ! ここから出してレチィィィ!!」 紫親「ま、待っていてデス! 今すぐ助けてあげるデス! キイロさん、なんとかしてあげられないデスか?」 黄親「カッターで切ってみるデス! 親指ちゃん、出来るだけ下がっているデス!」 緑姉「ワタシ、押えてるデス!」 ムラサキ親指救出作戦が始まった。 しかし…ここに実装石特有の欠点が見えた。 これが陽動作戦なのは、俺達にとってはモロバレだった。 ムラサキ親指救出に参加していないアカ組が、なにげなく入り口から廊下を見ると… 紫仔「テチ? テッチュ〜ン♪」 201号室のドアからムラサキ仔が顔を出し、媚びポーズで挑発していた。 赤仔「あ、あいつ! やっと出て来たデチ!」 赤親「お前のせいで! ワタシは大切な操を失ったデス! お嫁に行けなくなった乙女の恨み、今こそ その身に受けるデスゥゥッッ!!」 訳のわからない事を叫びながら、アカ組はムラサキ仔に向かって突進していく。 テチテチと鳴きながら、逃げていくムラサキ仔。 怒りに駆られた二匹は、迷わず201号室に飛び込んだ。 バタン! ガチャッ!! 赤親・仔「「 デ、デデッ?!?! 」」 飛びこんだ先があの忌まわしい部屋だという事を思い出すより先に、ドアが施錠される。 少し離れた所では、ムラサキ仔がチプププとあざ笑っている。 そして背後…ドアからは、ゲフフフ…という嫌らしい笑い声。 アカ組は、逃走する前とまったく同じ状況にされてしまった。 一方。 アカ組の叫び声で事態の変化に気付いたキイロ組他は、続けて聞こえたドアが閉じる音に驚愕した。 カッターは、まだやっとペットボトルの側面部に食い込んだ程度だ。 とてもじゃないが、簡単に切り裂けるものではない。 実際にやってみると判るが、市販の小さなカッターでペットボトルを輪切りにするのは意外に大変で、 結構コツが必要だ。 それなのに、ムラサキ親指救出に注意を向けてしまった事が、彼女達の第一の敗因だった。 黄親「アカさん、アカさんっ! 鍵が閉まっているデス!」 黄仔「ど、どうしようテチ?! ここの鍵は下にあるテチよ!」 黄親「でも、階段はあの有様デス…このままだと取りに行くのに時間がかかりすぎるデス」 黄仔「どうすればいいテチ?」 と、キイロ組が悩んでいると… 赤親『デ、デギャアァァッ!!』 凄まじい叫び声が、中から聞こえてきた。 カメラを切り替える。 なんと、鉄串をあっさりと掃われたアカ親は、張り飛ばされた上に片足を踏み潰され、無様に床に はいつくばっていた。 竹串を構えたアカ仔は、ただガタガタ震えているだけ。血涙もドバドバ流れている。 のたうち回るアカ親の潰れた片足を引き千切ると、ミイラ実装は、それをアカ仔の手前に投げつけた。 ミ「食え、デスゥ」 赤仔「デ…デエ?!」 ミ「それを食ったら、お前の命は助けてやるデスゥ」 赤仔「デ、デギャッ! そ、そんなの無理デチ! これはママの足デチ!」 ミ「それを食えたら、仲間に入れてやるデスゥ。——ただし、拒否したら即座にお前も食い殺すデスゥ」 紫仔「チプププ♪ 立場逆転テチね、アカのオネーチャン♪」 赤仔「デゲ…」 躊躇するアカ仔の喉元に、鉄串の先端が伸びる。 ミイラ実装、得物まで手に入れやがったよ、おい。 ミ「とっとと決めろデスゥ!」 赤仔「デ、デッヒャアァッ!!」 赤親「や、やめるデズゥゥゥ…ワタジは、お前をそんな風に育てた覚えはないデズゥゥゥ!」 紫仔「ママ、お願いがあるテチ。こいつらの髪の毛と服も毟り取って欲しいテチ!」 赤親・仔「「 デ、デギャッ?! 」」 ミ「面白いデスゥ。ヌッコロす前に、たっぷり恥をかかせてやるのもいいデスゥ♪」 うわお、鬼畜! 極悪! ミイラ実装とムラサキ仔、最凶コンビ! …なんてはしゃいでいたら… ガツガツ、むしゃむしゃ… 赤仔「グエ…ガブガフ…ウエッ、く、食うデフ…ゲッ」 アカ仔が、アカ親の足を泣きながら齧り出した。 アカ親が、それを見て絶望の涙を流している。 デェェェ…と、弱々しい声が響く。 この瞬間、アカ組はミイラ実装達の手に落ちた。 ミ「お前は今日からワタシをママと呼ぶデスゥ。この豚は手足を千切って、その辺に放り出しておく デスゥ」 赤親「デ、デェェェッ?!?!」 ミ「それからお前は、服従の証に自分で髪と服を取るデスゥ。それが出来たら、最底辺の下僕として ワタシに仕える事を許すデスゥ」 赤仔「ヒギャ……」 紫仔「テピャピャピャピャ♪ ママ最高テチ! 傑作テチ!」 糞蟲の姿、ここに極まれり? ミイラ実装は、情け無用でアカ親の手足を千切っていく。そして髪も毟る。 その様子をまざまざと見せ付けられたアカ仔は、観念して服を脱ぎ始めた。 それを見るムラサキ仔の顔は、とてつもなく邪悪な笑みに満ちている。 そして元飼い主は、満面の笑顔でそれを眺めている。 ケッ、これだから虐待派って奴は! ぴょーん♪ ■■■ さて、一方キイロ・ミドリ・ムラサキのメンバーは。 201号室の鍵を取りに下の階へ移動しようとしたが、階段周辺の糞の海が危険でどうしても降りられない。 どうやら、糞を踏んで階段を下りようとすると滑ってしまうらしい。 糞の海の上に段ボールを敷いてみようとしたりと色々試行錯誤を重ねたが、階段そのものにもべったり 液糞が零れているため、どうしようもない。 仮に降りられたとしても、再度上がる際に同様の危険が伴う。 キイロ親は、現状階段の使用禁止を主張した。 緑姉「じゃあ、どうするデス?」 紫親「このままだと、鍵が取りにいけないデス!」 黄親「わかっているデス…なら、試してみるデスか」 黄仔「それがいいテチ!」 緑姉「? どういう事デスか?」 キイロ組の発案は、こうだった。 鍵は、もう取りにはいかない。 鍵を使わずに、201号室に侵入するのだ。 ミイラ実装が天井裏を移動できるなら、我々も可能な筈だ。 この部屋からではなく、隣の202号室の押入天井から入り込めば、潜入できる筈。 こういう理屈だった。 ただし行ったら最後、今度は無事に出てこられる保証はない。 いわば決死隊ということになる。 黄親「もちろん、言いだしっぺデスからそれはワタシがやるデス」 緑姉・紫親「「キイロさん!」」 黄仔「他の人は、アカさん達が脱出出来たら保護してあげて欲しいテチ。お願いしますテチ」 黄蛆「ママ、オネエチャン、気をつけて行ってくるレフー」 反対意見はないようだ。 確かに、今の状態で201号室へ突入できるのはキイロ組しかいない。 キイロ親は、キイロ仔と装備を携えたまま、ミドリ姉の助けを得て押入侵入作戦を開始する。 203号室には、ムラサキ組とキイロ蛆が残った。 黄蛆「ムラサキママさん、ワタチをペットボトルの中に入れてレフ」 紫親「え?」 黄蛆「ワタチならムラサキの親指ちゃんの所に出入りできるレフ。寂しくないように慰めて来るレフ」 紫親「あ、ありがとうデス…では、お願いしますデス」 糞溜まりの中でグスグス泣きじゃくるムラサキ親指の元に、レフレフと入り込むキイロ蛆。 黄蛆「親指チャーン♪ 泣かないでレフー♪」 紫親指「レェ……?」 いきなりのお友達登場に、ムラサキ親指が泣き止む。 その様子を見て、ムラサキ親は少しだけ嬉しそうな表情を浮かべた。 黄蛆「みんなが親指チャンを助けるためにがんばってるレフ。親指チャンのママも、ホラ、見ていてくれてる レフよ?」 紫親指「レェェェ…ママ、どこに居るレチィ?」 黄蛆「ホラ、すぐそこに居るレフ。ワタチ達を見ているレフよ?」 紫親指「知らないオバチャンが見てるだけレチィィィ! こ、怖いレチィィィ!!!」 黄蛆「レフ?」 紫親指「ママは、ワタチと一緒にさらわれて一杯イタイ事されたレチィ! どっか行っちゃったレチィ!! この オバチャンみたいに髪の毛生えてないレチィ! ワタチとおんなじつるつるレチィィィ!!!」 黄蛆「レ……!!」 ムラサキ親指が、また泣き出す。 そして、その言葉にキイロ蛆とムラサキ親は、ショックを受けているようだ。 …さすが、親指。 まさか、そんな理由で泣いてたとは。 紫親「デ……」 ドタ、ドタ、ドタ…… 天井裏が、少し騒がしくなったようだ。 何かが、この部屋に近付いている。 ■■■ ミドリ姉の補助を得て天井裏に潜入したキイロ親は、背中のキイロ仔のナビを受けつつ暗闇を渡り 抜いたようだ。 なかなか大した方向感覚だな、キイロ仔は。 201号室の押入上段に辿り着く。 静かに下を覗きこむが、襖が閉められているので何も見えない。 キイロ親は自分の後ろ髪を下にたらし、それをつたわらせてキイロ仔を降ろす。 20センチ級サイズのキイロ仔は、かろうじて静かに着地出来たようだ。 襖の隙間を探し、覗こうとしている。 どうやら巧く覗く事が出来たようなので、視点を201号室に切り替えてみよう。 さて、あれからどうなったかな? ——おや? 誰もいない。 ミイラ実装はおろか、ムラサキ仔も、アカ仔も、そして達磨にされたアカ親も居ない。 どうしたことだ? 黄仔「ママ! 誰もいないテチ!」 黄親「デ? な、なんデスって?」 黄仔「ホントテチ! アカさん達も姿が見えないテチ!」 黄親「そんなバカな…まさか、ハメられたデス?!」 ドタドタドタドタ…… ドタドタドタドタ…… 201号室の天井裏から、複数の物音が聞こえる。 と、思った次の瞬間! 黄親「デギャッ?!」 黄仔「テチ?!」 ドカッ…ドサアッ!! げっ! キイロ親が、天井裏から突き落とされた! ミ「グフフフ、カギを閉めたら絶対こっちから入ってくると思ってたデスゥ♪」 天井裏から、ミイラ実装の声が聞こえる。 こいつ、また待ち伏せしてやがったのか。 紫仔「チプププ♪ キイロさん達無様テチ、惨めテチ♪ ママにかかればぜぇんぜん弱っちいテチ♪」 黄親「デ…む、ムラサキちゃん?」 黄仔「ムラサキちゃん、なんてこと言うテチ! ワタチ達は助けに来たテチよっ!」 紫仔「チプププ! 誰がお前達みたいな糞蟲連中の所に帰るものテチか!」 黄親・仔「「デ、デェェェッ?!?!」」 ミ「グフフ…この仔はもうワタシの仔デスゥ。ムラサキなんか関係ないデスゥ」 紫仔「こっちのママと一緒に居れば、何でも好きな事できるテッチューン♪」 黄親「デデ…そ、そんな…酷すぎるデス! ママは、ムラサキのママは心配しているのデスよ!」 紫仔「チプキャッハッハッハッ♪ あんな役立たずの糞ブタ親、こっちから願い下げテチ! それに、もうすぐ ワタチの“オネーチャン”が、トドメを刺しに行くから安心テチ!」 黄親・仔「デ? オネエチャン?!」 俺は、即座に画面を203号室に切り替えた。 にじあきもそうして欲しかったようで、無言で頷いている。 203号室には、あらたな刺客…かつてアカ仔と呼ばれていた、「禿裸下僕1号(笑)」が降臨していた。 ■■■ 赤仔「デ、デチィィィィッ!!!」 緑姉「や、やめるデス! アカさんなんデスよね?! 落ち着くデスゥッ!!」 ミドリ姉は、ムラサキ組達を守って必死で立ち塞がっていた。 ついさっきまで心強い味方の一人だった筈の、ほとんど成体の実装石… 今や立派な禿裸となり、血涙をダラダラ流しながら鉄串を剣のように構えたそいつ・アカ仔は、 じりじりとミドリ姉に迫っていた。 赤仔「あいつにはやっぱり勝てないデチ。みんな全滅デチ!」 緑姉・紫親「「 デ、デスッ?! 」」 赤仔「ママは手足をバラバラに食い千切られたデチ。ワタチもその肉を無理矢理食わせたデチ! もうワタシはおしまいデチ! 髪も服もなくしたデチ! それもこれも、みぃんなお前達に力を貸した せいデチィィィッッ!!!」 うわ、なんという責任転嫁! ついにむき出しになる、アカ組の糞蟲属性! この瞬間、俺はなんとなく思った。 ミイラ実装は、ひょっとしたら実装石に隠された糞蟲性質を引き出し、欲望むき出しの状態に仕立て 上げる天才なのかもしれない。 前回の実験の時も、そうだった。 いつのまにか仲間を増やして、そいつらを尖兵にして反逆体制を一掃したのだ。 まー、かっこいい表現をするなら、「悪のカリスマ」ってヤツ? だがこいつの場合は、ムラサキ仔の怒りを買ったせいでこんな風にされているだけなんだろうなあ。 緑姉「やめるデス…ワタシ達には、あなたを傷つける事なんかできないデス!」 赤仔「ウルシャアァァイ!! お前なんかに、ワタシの気持ちは絶対わからないデヂイィィィッ!!!」 アカ仔が、鉄串ソードを振り被る。 ミドリ姉が咄嗟に掲げたのは、ただの竹串。圧倒的に不利だ。 体格は両方ともあまり大差ないが、怒りにまかせて全力で振り下ろす鉄串に、ミドリ姉はなす術も ないだろう。 おお、ただ鉄串を振り下ろすだけの一瞬が、まるでスローモーションのように見える! 目に見えるスピード、越えてくモーション。 アドレナリンが出てるんだなあと自覚する俺。 紫親「勝手なことばっかり言うなデスゥゥッ!!」 バイン! 赤仔「デギャッ?!」 黄蛆・紫親指「「レピャアッ?!?!」」 突然、ムラサキ親がキレて、横からアカ仔に殴りかかる。 えっ? あの、ちょっと…待ってよ、ねえ! 紫親「今まで! お前達! ワタシ達に! あんな酷い事して! よくもぬけぬけと! そんな事を! 言えるデスッ!」 バイン! バイン! バイン! バイン! バイン! バイン! バイン! 黄蛆・紫親指「「レピャッ、レピャッ、レピャッ、レピャッ、レピャッ、レピャッ、レピャッ?!?!」」 緑姉「ち、ちょっと! ムラサキママさん、落ち着いてデスっ!!」 紫親「お前がっ! 泣くまで! 殴るのをやめないっっ!! デスゥッ!!」 バイン! バイン! バイン! バイン! 赤仔「デギャッ、デギャッ、デギャッ、デギャッ!!」 ムラサキ親は、手に持っていた得物を振りかざし、アカ仔に馬乗りになってひたすら叩いている。 …その中に、自分の子供とキイロ蛆が居ることも忘れて。 ってか、ペットボトルの中、すごい事になってるんですけど… 赤仔「デ、デエェェェェェン!!! イ、イタイデチィィィィィ!!!」 紫親「ハア、ハア、ハア、ハア…」 緑姉「蛆ちゃん! 親指ちゃん! 大丈夫デスゥッ?!」 紫親「デッ?」 透明だったペットボトルは、激しいシャッフルのせいですっかり真緑色に染まり、中が見えなくなって いた。 だが… 黄蛆「ヒ、ヒエェェェェ……世界が、世界が回るレピィィィィ…」 紫親指「ピ、ピャアアアアア……」 うげっ! こいつら、生きてやがる!! うっそお! 緑姉「ぶ、無事だったデス?」 黄蛆「み、身の濃いウンチがクッションになったみたいレフ〜〜…でも、じ、重傷レフ〜〜」 紫親指「レェェェ……やっぱりワタチは不幸レチィィィ……オネエチャァァン……」 紫親「わ、ワタシは…なんてことをしてしまったデス?!」 緑姉「それにしても、よく生きてたデスゥ…」 「にじあき、これが…アレの影響か?」 「すげーだろ、俺? あいつ、本当だったらとっくに死んでるぜ」 「いや、ホントたいしたもんだ」 俺は、にじあきの技術の高さに心底驚嘆した。 キイロ蛆はともかく、ムラサキ親指があんなシェイクの中で生きていられるのは、偽石が除去されて いるからだ。 しかし、親指から偽石を取り出すのは至難の業…チリィ親指は、普通は除去手術そのものに 耐えられないのだ。 でも、にじあきはそれをやってのけた。 俺が預かっているタッパには、きちんと親指の偽石も入っているのだ。 不幸中のナントカ。 さんざんシェイクされたおかげで、ムラサキ親指は全身ズダボロの状態となり、四肢すべてがほとんど 千切れかけていた。 そのせいで、ペットボトルの口からぬるりと取り出す事が出来た。 キイロ蛆は、見かけによらず頑丈のようだ。 さすが、年齢のサバ読みまくっているだけのことはある! せいぜい、耳が潰れて片目が打撲でへこんでいるだけだ。 何はともあれ、救出には成功してしまったのだ。 つか、キイロ蛆むちゃくちゃ。 蛆実装なら、もっとあっさりレピャッとイッてくれなくっちゃあ、ねえ皆さん? アカ仔は、まるでレイプされた後の被害者のように身体をよじってさめざめと泣いている。 だが、やがて起き上がると…… 赤仔「デッギャアァァァッ!!!」 緑姉・紫親「「デデ…デエェッ?!?!」」 黄蛆「レピャッ?!」 ガブッ! ——ごっくん。 あっ。 うそっ。 突然飛びかかってきたアカ仔は、ミドリ姉とムラサキ仔の間に居たキイロ蛆を鷲掴み、口に放り込んで… そのまま飲み込んでしまった! 緑姉「う、蛆チャアァァァン!!!」 紫親「ひ、ヒィィィィィ!!!」 赤仔「ゲブウゥゥ! お前達を少しでもヌッコロさないと、ママが殺されるデチ! 悪く思うなデチィィィッ!!!」 悪夢再び。 アカ仔は、もう一度二匹に襲い掛かった。 まったく、懲りないヤツだ。 つーか、ありし日の姿、まるで台無しだなこいつは。 緑姉「うわーっ! も、もうダメデスゥゥゥッ!」 紫親「デギャアァァッッ!」 紫親指「レピィィィ!!!」 バキッ! 何かが、アカ仔の胸にぶち当たった。 カウンターを食らった形になり、アカ仔は激しく後方に吹っ飛ばされる。 アカ仔の胸にめり込み、激しい損傷を与えたのは、小さな鉄の塊だった。 キイロ親が預けた、ペンチ! ミドリ姉は、咄嗟にそれを取り上げて前方に翳していたようだ。 哀れアカ仔は、死にはしなかったものの泡を吹いてぶっ倒れている。 しかも、ぶりぶりと脱糞までする始末だ。 緑姉「もうここはダメデス! ムラサキさん、逃げようデス!」 紫親「逃げるって、どこへデス?! 階段はもう…」 緑姉「て、天井裏は…ダメデス、廊下は…無理デス。うう〜んと…」 ふと、ミドリ姉の視線が手に持つペンチに向かう。 頭の上で、電球が浮かび上がって、パリンと割れた。 だからさ、普通光るんじゃないの、それ? 緑姉「ムラサキさん、こっちに来るデス!」 ペンチを携えて、押入の中に入っていくミドリ姉と、その後を追うムラサキ親。 どうやら、こいつらの次の行動は決まったようだ。 黄蛆「レフレフ、まったくびっくりさせるなレフー!」 ぷぴょろっ! と、アカ仔の総排泄口からキイロ蛆が飛び出した。 糞まみれにはなったが、まだ死んでなかったらしい。 なんつーしぶとさだ、こいつは。 つか、デタラメ過ぎだろお前っ!! 黄蛆「仕方ないレフー、こいつにはしばらく力を貸してもらうレフー」 もぞもぞ… あれ、キイロ蛆の奴、アカ仔の右耳の穴に潜り込んだぞ? 何するつもりだ? ■■■ 201号室では、襖を突き破って部屋内に脱出したキイロ親が、カッターを構えてミイラ実装と対峙して いた。 ああ〜…襖まで…あああ… カッターを見てもまったく動じないどころか、逆に笑みを浮かべるミイラ実装と、その頭の上でニタニタ するムラサキ仔。 なんだかすごいバトルの予感がするが、今回は糞蟲組の時以上の緊張感がみなぎっている。 なぜか? それは、キイロ親の顔が右半分潰されているためだ。 どうやら、うまく距離感がつかめないらしい。 ミイラ実装は、じわりじわりと距離を詰めていた。 ミ「今回の実験の奴等は弱すぎデスゥ。前の時の方がjq@歯ごたえがあったデスゥ」 黄親「実験? どういう事デス?!」 ミ「教えても意味はないデスゥ。お前はここで終わりデスゥ♪」 紫仔「ママー! やっちゃえ、ヤっちゃえテチー!」 黄親「デ……そうはいかない、ダ ギ ャ ア ァ ァ ァ ッ ッ !!! 」 ズモモモモモ……ボッキーン! 出た! キイロ親さんのデ○ペ○ス!! この状況に興奮なされているんだ! すげえ! 「なあやおあき、また始まるの? あのなんか勘違いしたバトル展開?」 「いや…それ、俺に言わないでくれる?」 さすがに二度目となると、もう驚きはしない。 自分の身長ほどの長さに怒張させたマラを激しく振り乱し、キイロ親はミイラ実装に踊りかかる。 だが…ミイラ実装は微動だにしないで微笑んでいる。 黄親「お前も串刺しダギャァァァッッ!!!」 ミ「串刺しがお望みデスゥ?」 紫仔「ママー! 殺っちゃえ、犯っちゃえテチー!」 ズブゥゥゥッ!!! 決まった…。 黄親「デ………ェェ? デェ、デェ? デエェェェェッッッ?!?!」 ミ「グフフフ、なかなかいい締りじゃわいデスゥ♪」 黄親「ワタシのマラが…おかしな方向を向いてるデス…お股も痛いデス…なんでデス?」 黄仔「ママー!! …ゲッ!」 押入の下段から顔を出したキイロ仔が、目を剥いて硬直している。 そして、俺の横のにじあきも。 ま、こうなるとは思ってたんだな、実は。 キイロ親のマラの根本のさらに下には、キイロ親以上にぶっとく長い肉棒がぶち込まれていた。 それだけではなく、キイロ親のマラは途中からポッキリ折れている。 身体はズブズブとめり込み、やがて、口の中から巨大なマラの先端部が見えてくる。 キイロ親の身体は、ミイラ実装の股間から伸びた超巨大マラによって、完全に串刺しにされていた。 80センチ近い巨根かよ…考えたくネェ!! ミ「なんだ、もうおしまいデスゥか? つまらんデス」 紫仔「あんなに威張ってるからもっと強いと思ったのに、全然ダメダメデチ♪」 まるで、自分が倒したかのように喜ぶムラサキ仔。 キイロ親は、身体からマラを抜かれて放り捨てられ、テーブルの端にぶつかった。 ミ「ふう、やっと勃起できるように回復したデスゥ。これも、みんなお前のおかげデスゥ」 紫仔「フフフ、ママー♪」 ミ「さて、押入のガキは…お前が直接いたぶり殺すデスゥ」 紫仔「わかりましたテチィ♪」 黄仔「テッ?!」 次に狙われたのは、キイロ仔だ。 するするとミイラ実装の身体から降り、ムラサキ仔は、キイロ仔へと歩み寄っていく。 もう、完全に暴力に陶酔しきった顔だ。何もかもが壊れているのがわかる。 それにしても、キイロ仔対ムラサキ仔なんて組み合わせ、想像だにしてなかったよ、もう。 と、その時、201号室のドアがノックされた。 赤仔『ワタシデスゥ、キイロの蛆ちゃんを食い殺して来たデスゥ…』 アカ仔が帰ってきたようだ。ミイラ実装が鍵を開けに向かう。 黄仔「テチャァッ!! う、蛆チャアァァァン!!!」 ぶりぶりぶりぶり あっ、キイロ組のパンコン初めて見たかも。 ■■■ さて、ちょっとだけ時間を戻して、203号室の様子。 押入に退避したミドリ姉は、例の針金で出来たシールドの傍まで来ていた。 徐にペンチを取り出し、針金を挟む。 グッ…と力を込めてアームを狭めると、予想外にスムーズに切断できた。 つか、そうなるようにちゃんと選んでるんだけどな、道具も針金の太さも。 紫親「どうするんデス?」 緑姉「ここを開けるデス。そうしたら、ここから下に避難できるデス!」 紫親「なるほどデス!」 パチン、パチン、パチン… ミドリ姉は、ペンチで針金の網を起用に切断していく。 よく使い方知ってたなあ。 つか、キイロ親に習ったのかな? しばらくして、網は完全に破られて大きな穴が口を開ける。 ここは元々、前回の実験で太った実装石が暴れて踏み破った所だったりする。 それを俺が加工修復して、こんな形に整えたのだ。 端の針金の切り欠きを丸め、出入りしやすくする。 これで、脱出路は確保された。 ミドリ姉がムラサキ親を避難させようとしたその時、何者かが、押入の入り口までやってきた。 緑姉・紫親「「デ、デヒッ?!」」 赤仔「デチィィィ…」 覗いているのは、気絶から覚めたアカ仔だった。 咄嗟に、ペンチを構えるミドリ姉。 だが、アカ仔は襲い掛かろうとはしなかった。 赤仔「髪を、元に戻してくれるデチ?」 緑姉「デ?」 赤仔「ワタシの髪を、ムラサキさんみたいに戻してくれるデチ?」 紫親「デ…?」 赤仔「頭の中で、キイロの蛆ちゃんがそう言ってるデチ…」 緑姉・紫親「「デ、デデッ?!」」 どうやら、アカ仔の耳に入ったキイロ蛆が、何かを吹き込んだらしい。 アカ仔はもう襲い掛かる様子は見せなかった。 さっきまでと同じように、協力的な態度を見せている。 緑姉「わかったデス! 下にあるお薬を使って必ず治してあげるデス! 約束するデス!」 赤仔「ありがとうデチ…」 紫親「あなたはどうするデス?」 赤仔「蛆ちゃんを飲み込んだ事をあいつに報告してくるデチ。あんた達は早く逃げるデチ」 緑姉「ありがとうデス! アカさんも、気をつけるデス!」 挨拶を交わし、ミドリ姉とムラサキ親は、ムラサキ親指を連れて穴に潜った。 それを確認すると、アカ仔は穴自体を塞いでいた木の蓋を閉じ、押入から出て行った。 赤仔「…わ、わかったデチ…。頭に響くから、あまりしゃべらないで欲しいデチ…」 おお、どうやらキイロ蛆と会話しているようだ。 なんだか、こっちはこっちで面白くなりそうだな。 (続) ----------------------------------------------------------------------------- 本当は前後編まとめて投下しようと思ったのですが、容量が膨大なのであえて分けました。 その結果、前回ラストの告知が嘘になってしまいましたが、ご容赦ください。 本最終回の前に。 本スクを「観察系」「研究系」だと思って読み始められた方、本当にごめんなさいデスゥ。
