山に眩しい光が差し込んできた。 「 おはようデス! 」 「 そっちもおはようデスゥ! 」 斜面に置かれたダンボールハウス群。 そのダンボールハウスの中から出てきた実装石の一匹が、通りがかった別の一匹に挨拶を交わす。 朝露によってダンボールは湿ってはいるものの、昼には乾くだろう。 他のダンボールからも続々と眠りから覚めた実装石達や獣装石達が姿を現してきた。 暫くすると辺りは一杯となり、各々が朝食の支度を始めた。 「 こんなにのんびりとした朝は久しぶりデス… 」 「 デスねぇ… 」 身体中を包帯で巻いたセキが隣に居たホウの呟きを返した。 昨夜遅く、トラックに揺れられて連れて来られたのは訪れたことのない山だった。 < ここがアンタ達の新しい住処だよ > 頭に包帯を巻いた女が山の麓で、皆を降ろすとそう告げられる。 更に各々へダンボールを渡し、仮の住居として使うよう言われた。 どうやらこの山の所有者とは知り合いらしい。 この一帯の山で村を作るに問題は無いと言った。 < ……話は付けてくれたんでしょ? > < はい、当然交換条件は有りますが > < そりゃ、そうよね……まぁ、とにかく今夜はゆっくり休みな > ホウは少し登ったところで開けた斜面の所にダンボールを密集させた。 近くには谷川も存在し、水場としても申し分無い。 朝食の後、山の中を探索してみると村を構えるのに相応しい開けた場所が有った。 日当たりも良く、近くには湧き水も見つかる。 ホウは村の全員にそこへ移動するように指示すると早速、新しい家作りが始まった。 木の枝を組み合わせ、屋根や壁を形成していく。 今は負傷している獣装石も多いために作業も遅れているが、当分はダンボールハウスで凌げるであろう。 「 問題は食料デスね 」 手持ちの食料は僅かしかなく、山菜や木の実を採り集めなくてはならない。 動けるようになった獣装石から辺りを調査に向かわせ、食料に関しての調べなくてはいけない。 まだ問題は山積みであった。 「 …セキ、お客さんデスよ 」 見ると、冬香が両手に荷物を一杯に持って登ってきた。 『 おはよう、セキ……おみやげ持ってきたよ? 』 「 おみやげデス? 」 冬香は持っていたカバンを地面に降ろすと、中からバッジを一つ取り出した。 『 はい、そのまま動かないでね 』 " 管 理 " 「 ……これは何デス? 」 『 今からセキ達はね、この山の管理人……じゃなくて管理実装なの 』 この山は私有林であるが、長い間手入れがされず放置されていた。 本来なら林床へ日光が届くように枯れ木などを撤去し、不要な常緑樹を間引かねばならない。 そこでこのホウの群れに仕事が割り当てられた。 実装石ゆえに、そこまで高度な作業はできぬが、簡単な仕事はこなせるであろう。 それが山の所有者からの条件だった。 「 ありがとうデス、冬香お姉チャン…… 」 セキはかつての飼い主に頭を下げて礼を言った。 『 うぅん……それより、お姉ちゃんが話有るから来てくれって。 』 「 …デ? 」 『 村の代表を何匹か連れてくるように言われたの。 それから、できるだけ力の有る子をね。 』 山から会社の事務所まで距離にして1キロ。 のどかな田舎道を女の子1人と獣装石達が歩いていく。 『 ただいま、連れてきたよ、お姉ちゃん! 』 事務所の扉が開き、冬香が入っていった。 その後ろに続くのは、ホウ、セキ、テン、チィといった4匹の獣装石達。 『 あぁ、お帰り……それでどうだいアンタ達、山の方は? 』 「 村の長としてお礼を言わせてもらうデス……おかげで、村の者達が助かったデスよ… 」 ホウが深々と女社長にお辞儀して礼を言うが、他の3匹は複雑な顔をしていた。 昨日、3匹は女社長と激戦を繰り広げ、まだ身体の傷が癒えてない。 一応、村は助かったものの、その事を思い出すと素直に頭を下げることはできない。 しかし、それは女社長も同様で頭に包帯を巻いて身体も無傷では無く、今日は現場に行けないのだが。 「 ……それでオレ達を呼び出して何の用デス? 」 怒りを隠すことなく、同行していたチィが不機嫌な表情を浮かべて女社長に聞いた。 『 アンタ達は仕事をしてもらうよ 』 「 仕事…デス? 」 『 それだけ立派な図体してんだ……これからはここで働いてもらうからね 』 「 デ…デェ……!? 」 獣装石達は女社長の命令に当然だが驚かざるを得ない。 「 ふざけるなデス!! 」 『 何がだい? 』 「 なんでオレ達がニンゲンの下で働かなくてはいけないデスか!? 」 『 …アンタは、あの子達が見えないのかい? 』 チィの怒号に、女社長は事務所の奥を目配せした。 「 事務サン、この書類はここで良いデス? 」 『 はい、そうです。今度は、こっちですね 』 「 コピー、取ってきたデスよ 」 『 次はそちらをお願いしますね 』 事務員の手足となって働く実装石が2匹。 「 デス、デス、デス…… 」 専用の小さなデスクでPCに向かい、キーボードを叩いて何やら作業をこなしている白髪の実装石。 「 お姉サン、お茶が入ったデスよ? 」 『 あぁ、ご苦労さん 』 更に応接用のデスクに湯飲みを置いて、お茶を淹れる実装石。 『 実装石を働かせておいて、獣装石を遊ばせておくわけにはいかないんでね まぁ、今すぐとは言わないから……怪我が治ったら働いてもらうよ 』 「 だ、誰が働くデスか…!!! 」 「 チィ、待つデス! 」 女社長に飛び掛ろうとしたチィの肩をテンが抑えた。 「 冷静になるデス、このニンゲンは、村のみんなを助けてくれたのデスよ…? 」 「 ……デスがッ! 」 「 それにワタシ達では、このニンゲンに勝てないデス! 」 テンとチィは改めて、目の前で腕を組んでいる女を見た。 昨日、指揮獣装3匹を含む20体近くの獣装石が敵わなかった人間。 その力は、直接戦った自分達が一番良く分かっていた。 『 ……力関係は理解できたようだね? それでアンタ達の仕事は……えっと…… 』 女社長は事務所の端に積んであった40㎝程の茶色の紙袋を片手で持ち上げ 『 …ほらよっ 』 チィの方へ軽々と放り投げた。 「 デ………………ギャァッ! 」 両手で受け止めたチィだったが、予想外の重さに膝を付いて必死に堪える。 辛うじて床に落とさなかったのは、チィだからであろうか。 『 アンタはモルタルの一つも満足に持てないのかい? これじゃ、先が思いやられるねぇ… 』 「 こ、この……バカニンゲン……………ギャ! 」 両手が塞がっていたチィの顔面に女社長の鉄拳がめり込んだ。 モルタルの重さにも耐えきれず、チィの巨体が背後に倒れこむ。 『 それからアンタ達に最初から言っておく……アタシの事はこれから社長と呼ぶように。 でないと、そこの馬鹿みたいになるからね? 』 「 デェ… 」 チィは倒れた拍子に頭を打って床に伸びていた。 「 社長サン、聞いて良いデスか? 」 『 ホウ……だったね。何を聞きたい? 』 「 ワシ達を連れてきて大丈夫デス? 」 『 何が? 』 「 ワシ達は、たくさんのニンゲン達と戦って怪我もさせたデス なのに、そんな村の者達を連れてきて……かくまっても大丈夫なのデスか? 」 『 ………ハッキリ言うと大丈夫じゃないね 』 「 デスよね… 」 『 一応、誰にも見られず……トラックは見られたけど、後ろの積荷がアンタ達だと思わなかったでしょうけどねぇ… 』 今頃、駆除員達は大騒ぎかもしれない。 大人数を集めて山を登っていったにもかかわらず、獣装石達の姿は影も形も無い。 人間の駆除の手を逃れるため、どこか遠くの山へ集団で走って逃げた……とでも判断して諦めて欲しい。 『 ……その代わり仕事をしっかりやりなさい、山の方もね? そうすればアンタ達が、危険な獣装石だなんて思う人は居ないから。 山の管理をしっかりやれば、誰も文句は言わないわよ……あとは黙って、ほとぼりが冷めるのを待つこと! 』 女社長は、人間なんて忘れやすいものだと言う。 あれだけ大騒ぎになった駆除戦でも、2,3年経てば人々の記憶から消え去るであろう。 それまでは人間に迷惑をかけず、与えられた仕事をしっかりすれば良いと言った。 「 それでは社長サン、次にワタシから聞きたいことが有るデス 」 『 何だい、セキ? 』 「 これからワタシ達、獣装石が働く代わりに食べ物をくれないデスか? 」 『 食べ物…? 』 「 はいデス……本当は冬に備えて食べ物を蓄えておかなくてはいけないのデスが、 今回の戦いで殆ど無くなってしまったデス… それで少しでも……どんな食べ物でも構わないデスから、村のみんなに分けて欲しいデスよ 仔供達を餓えさせたくないデス… 」 『 ん〜〜…… 』 テーブルに置かれた湯飲みを取ると、お茶をすすり……女社長は考え込んだ。 隻眼の獣装石は目の前で頭を下げ、自分にお願いしている。 話を聞いていたらしい事務員が一瞬こちらを向いた。 だが、口を出す必要が無いのを分かっているのか、直ぐに仕事へ戻った。 『 ……よし分かった、その辺は何とかするよ。 但し、それなら尚更キッチリと働いて貰うからね! 』 「 分かったデス! ホウ……これで村は冬を越せるデス…! 」 「 その通りデス…助かったデスね… 」 セキとホウは顔を見合わせ、頷いて喜んだ。 これで人間達から駆除されることもなく、冬を越せる見通しもついた。 村を率いる者として、問題を一つ解決できたのだから。 「 ま、待つデス……!村のために働くのは仕方ないデスけどね……! 」 チィが打ち付けた頭を抑えながら立ち上がり……女社長の方へ睨みつけた。 「 今は怪我で調子が出ないデスが……いつかオマエをブチのめしてやるデスゥゥ!!! 」 『 あぁ、いつでも挑戦受けてやるよ! 』 巨大獣装の咆哮を、女社長は笑いながら堂々と受け止めた。 数日後の朝。 その頃になると獣装石達の怪我も癒え、村の家屋もほぼ全て完成していた。 更に女社長からベニヤ板など余った資材を貰いうけ、前よりも丈夫な住処ができあがった。 広々とした空き地に実装石と獣装石の家が立ち並ぶ。 その真ん中に設けられた広場に、ホウは村に住む全ての者達に集合をかけた。 ホウの横に控えるのはセキ、テン、チィ、主な実装石達。 その前に、全ての実装石と獣装石が集まった。 「 これから話す事は、ワシの遺言だと思って聞いて欲しいデス 」 村の者達は物音を一切立てず、目の前の老獣装の言葉に耳を傾けた。 秋の風によって木の葉の揺れる音だけが辺りに残る。 そしてホウは居並んだ者達へ口を開いた。 「 話すのは二つデス… まず最初に、今からこの群れの長はセキとするデス 」 「 そ、そんな……ワタシでは無理デス… 」 「 いや、今のセキなら十分できるデス……それにテンやチィが補佐してくれるデスよ 」 「 それは良いデスが… 」 「 オレも構わないデスがね… 」 そのホウの言葉に完全に承服できないテンとチィ。 既に2匹はセキの力を認めてはいたものの、ホウの決定に納得がいかない。 「 …ホウは身体の調子がどこかおかしいのデス? 今でも十分に指揮は執れると思うデスが? 」 「 …ワシは他にやることがあるデス だから村のことはセキやお前達に任せて、ワシはそちらに専念するデスよ 」 「 何をやるデス? 」 「 この回りを調べるデス 」 「 デ…? 」 「 この近くに住んでいる実装石達の村を回って、獣装石の仔達を集めたいのデス… 」 それを聞いて村の者達は納得した。 前までホウは、皆の反対を押し切って仔獣装を引き取るため様々な場所を巡回していた。 そしてたくさんの実装石の仔を見て回っていた。 今回の件で、自分達はようやく安心して暮らせる目処が立った。 曲がりなりにも人間の庇護が得られ、村の者達の安全は保障されている。 おそらくホウも、これで肩の荷が降りたのだろう。 今まで長い間、村に尽くしてきたホウも、もう歳である。 これからはセキ達に全てを任せ、自分は引退してゆっくりと過ごしたいのであろう。 そういえばホウは仔供が大好きであった。 この土地の近くの公園などの仔実装達を見て歩きたいのであろうと、皆は思った。 「 …足りないからデス 」 「 何がデス? 」 「 獣装石達を、もっともっと集めないといけないデス 」 「 デェ…? 」 更にホウはテンの部下獣装に、同じく獣装石の仔を引き取りに行くよう命じた。 大半の者は今までと同じかと思ったが、セキとテンは違いに気付いた。 今のホウは、早急に獣装石を集めようとしている。 もう当分戦いは無い筈なのに、この老獣装は戦力を急いで整えようとしていた。 「 セキ、テン、チィ、お前達は集めてきた獣装石達を訓練するデス そしてこの村の獣装石達の傷が治り次第、いつでも戦えるように備えるデス これまでニンゲンと直に戦ってきたお前達なら、どう戦うべきか、どう訓練すべきか分かってるデスね? 」 3匹の指揮獣装はホウの真意が掴めない。 なぜ今、再び人間との戦いの準備をしなければいけないのか。 「 …またニンゲンと戦うデス? 」 聞いていた実装石が、ポツリと言葉を零した。 「 そのことなのデスが……それも含めて、もう一つ話すデス いや、これはワシから、みんなへのお願いデスね… 」 老獣装は居並ぶ村の者達に向かい、深々と頭を下げた。 「 社長サンの所にコミドリという仔がいるデス あの仔を命に変えても、みんなに護って欲しいデス…! 」 村の者達は今までホウに頭を下げられたことが無かった。 自分達が慕ってきた老獣装が今、初めて頭を下げ、見知らぬ仔を護るように頼んでいる。 「 なぜ、その仔を護らなくてはいけないのデス? 」 「 …あの仔は全ての実装石にとっての未来そのものデス 」 「 ェ…? 」 「 今はみんなに分かってもらえないかもしれないデス… けれどワシを信じて……ワシを信じて、あの仔を護ってあげて欲しいデス! 」 結局、そこに居た獣装石と実装石達にホウの考えは理解できない。 しかし今まで自分達を率いてきたホウに頭を下げられては断ることもできなかった。 そして3匹の指揮獣装に向かった。 「 セキ、テン、チィ! 」 「 デス! 」 「 はいデス! 」 「 デスッ! 」 「 全ての獣装石は、お前達も含めて、あの仔を護るデス! 絶対にあの仔を失ってはならないデス!! 」 やはり3匹もホウの真意を理解できない。 だが若き指揮獣装達は、群れの長として最後となる老獣装の命令に従うことを誓った。 緑は徐々に消え、紅葉が見えて秋も深まってきた。 ある暖かい日差しの午後。 「 テェー…テェー…! 」 『 ほらほら!こっちだよ、コミドリ! 』 青い空の下、空き地で一匹の仔実装が人間の女を追いかけている。 女は後ろ向きにゆっくり歩きながら手を叩き、それを仔実装が頼りない足取りで一生懸命追いかけていた。 手袋を着けた小さな両手を振り回し、か細い鳴き声を上げている。 「 オネエサン……チャッ……! 」 『 …っと、大丈夫かい? 』 仔実装が足を引っ掛けて転んだ。 女は後ずさりを止め、転んで倒れた仔実装の傍へ近寄る。 「 テェ……テェ〜〜ン!! 」 『 ほらほら、泣かない泣かない…… 』 声を上げて泣く仔実装に指が触れると、その幼い身体を起こして立たせた。 女性らしい細やかな指使いで、その服についた埃が丁寧に払われていく。 『 …ほら、綺麗になったろ? 』 「 テチュ……テェ〜♪ 」 つい今まで泣いていた仔実装が既に笑っていた。 自分を綺麗にしてくれた女を見上げて、元気一杯に笑っていた。 『 ははは… 』 その姿を見て、女も一緒に笑った。 広々とした空き地に、女1人と仔実装1匹の笑いが爽やかな秋風と共に吹き抜けてゆく。 「 それでワタシ達を呼び出して何の用デス? 」 「 デス… 」 同じ空き地の端にて。 遊んでいる女社長とコミドリの光景をミドリ、サト、セキの3匹が眺めていた。 ふとサトはミドリの横顔を見た。 女社長とコミドリを見ているミドリの表情が、とてつもなく悲しく見える。 ただ楽しく遊んでいるだけだというのに……。 辺りには3匹以外誰も居ない。 女社長とコミドリにも、こちらの声は届かない。 「 ……アナタ達に話しておかなければならないことが有るデス 」 ミドリは2匹に振り返る。 今、目の前にはサトとセキが並んでいる。 白髪の実装石と隻眼の獣装石が肩を並べ、ミドリの方を見ていた。 「 とうとう……揃ってしまったデスね 」 「 デ? 」 「 なんデス? 」 「 サト……ワタシとアナタが始めて会った時のこと、覚えてるデス? 」 「 ……! 」 サトにとっては忘れようの無い出会い。 初対面の自分を見た時のミドリの反応……サトは今でもハッキリと覚えていた。 「 セキ……お姉サンにアナタを殺すようお願いしたのはワタシデス 」 「 ……ェ!! 」 セキならず、サトもミドリの突然の言葉に驚いて言葉が出ない。 そしてそんな2匹に向かい、ミドリは許しを請うかのように俯き、頭を下げていた。 「 …ミドリサン、もう教えてくれても良いのでは無いデス? 」 サトが口を開く。 今まで、ずっと気になっていた初対面時のミドリの反応。 そして今回のセキに対する女社長への懇願。 「 それはワタシも教えて欲しいデス なぜ社長サンは、ワタシを殺そうと……殺すようにお願いしたデス? 」 当然だがセキも不思議で仕方なかった。 最初は群れの長と人間達に思われていたからこそ、狙われるのも仕方ないと思った。 しかし今思うとおかしい。 冬香が村を助けてもらうよう女社長にお願いしたのに、なぜ自分だけ殺されなければいけないのか? 2匹の疑問を受け、再びミドリが背後へ振り返った。 やはり空き地で女社長とコミドリが戯れる光景が目に映る。 「 …あの仔を身籠った夜のことデス 」 「 ……ッ! 」 またもやサトは驚き、ミドリの背中を見つめた。 自分が女社長に引き取られて始めてこちらに来た時、女社長は泥酔しながらサト、タロ、ジロに怒鳴りつけた。 そして自分達にミドリは花粉で妊娠したと口裏を合わせるように命令された。 そしてコミドリを身籠った夜の事を今までミドリは黙っていた。 何かを隠している素振りは見せたが、決して誰かに話そうとはしなかった。 「 あの夜、ワタシは不思議な夢を見たデスよ 」 「 夢デス…? 」 「 …そうデス その夢には、白髪の実装石と隻眼の獣装石が出てきて……夢の中で2匹は並んでいたデス 今のアナタ達みたいに… 」 サトとセキは顔を見合わせた。 この目の前の実装石は、自分達の存在を前から知っていたという。 俄かには信じられない……だが、今までのミドリの反応から冗談にも聞こえない。 「 け、けれど…… どうしてワタシを見て、あんなに驚いたデス? それに、どうしてセキを殺さなくてはいけないデス…!? 」 サトとセキがミドリに詰め寄り……見ると、ミドリが肩を震わせている。 「 なぜなら……セキを………セキを殺さないと………デス………! 」 ミドリは震える声でサトとセキに語り始めた。 コミドリを身籠ったあの日の夜 ミドリが見た遠くない未来の夢 それは激しい雨上がりの朝だった 強大な力を持った 2匹の個体が肩を並べる 左(サ)に白(ハク)髪の実装石 サト 右(ウ)に隻(セキ)眼の獣装石 セキ サトとセキは恭しく膝をついて頭を下げ 背後に タロ ジロ コタロ コジロ メイ テン チィ ショウ ホウ の9匹を従え 朝日に照らされた1匹の仔実装に平伏した 仔実装が背後を振り返る 平伏した11匹が顔を上げ 同じく振り返った先を見た 12匹の脳裏に過ぎ去りし日々が想い起こされる 夢のように楽しかった時間 大切だった者達とのかけがえの無い時間 何にも変え難い満たされた時間 自分達が幸せだった日々 思い出は全て眩しく輝いていた しかし この瞬間 12匹は過去を振り返るのを止めた 皆 これ以降決して泣く事は無いだろう なぜなら涙は流し尽くし 一滴たりとも残されておらず 理想の為に全ての感情を捨てたのだから 目指すは 既存する人間社会の殲滅 実装石による新たな世界の創造 それは 大切な者を奪い去った人類に対する復讐 全ての虐げられた同属達への救済 彼等は堅く誓った 亡き飼い主の墓標に向かって < サハクウセキ 了 > < 付 記 1 > ●主要実装石説明 ここでは本誌に登場する実装石及び獣装石を5項目6段階にて評価、概説を以下に示す 魅力 : 回りの個体を惹きつける力 知性 : 知能の高さの度合い 体力 : 体躯、肉体的戦闘力 統率力 : 集団を統べる能力 対人 : 対人感情。人間全体に対する嫌悪感の度合い 6段階( S,A,B,C,D,E で評価 ) 高 ← → 低 ○ミドリ 魅力:A 知性:B 体力:C 統率力:C 対人:D 概説 『 楽園 』より登場。 楽園杯史上初の完走実装石。 100万分の1とも言われる野生型仔実装の生存確率を生き残り、世間を大いに驚かせた。 その後、最高金額を賭けていた清掃局員(次男)に引き渡され、姉である女社長に飼われる経緯を辿る。 元々、親実装によって間引かれて残された最後の1匹だったためか、 平均的な飼い実装よりも1ランク上の知能を持ち、そして多くの実装石に愛される素質を有する。 だがミドリ自身は楽園杯で生き残ったのは自分の力で無く、回りの犠牲が有ってこそと自覚している。 だからこそ誰よりも心優しい実装石なのかもしれない。 女社長の下に来てからは会社の雑用をこなし、数ヵ月後に仔を産む事になる。 理想的な飼い主、自分の居場所、親しい友達、そして念願の仔。 全ての幸せを手に入れた時、ミドリは自分の周囲に、取り巻く世界の実情に気付く。 ○賢い親実装 魅力:B 知性:A 体力:B 統率力:C 対人:B 概説 『 楽園 』より登場。 ミドリの親。 代々受け継がれた名前から、前の代の『 ミドリ 』ともいえる。 野良実装としては非常に高い知能を持ち、極めて稀な個体であろう。 仔実装時から厳しい環境を生き抜いてきた能力は極めて高く、人間に対する警戒心も強い。 楽園杯では行動を共にした飼い実装と長期に渡って生存。 最終的には死亡するものの、先見の明によってミドリを生き延びさせることができた。 ミドリが賢い個体として育ったのは、この親実装の努力無くしては有り得なかった。 それはまた愛情の裏返しでも有る。 ○コミドリ 魅力:C 知性:D 体力:C 統率力:E 対人:E 概説 『 サハクウセキ 』より登場。 ミドリの仔。 ミドリが出産前から望んでいた、望んでいた通りの実装石。 三ヶ月という胎児期間の後、たった一匹だけ産まれた仔は身体の一部を除いて極めて平凡な個体だった。 同時期に産まれたコタロとコジロに比べ、トイレ等の物覚えは遅い。 知能についても平均以下であり、言語を解するまで多くの時間を要した。 そして産まれた環境のためか、人間に対する警戒心はゼロに近い。 ミドリは思う。 実装石の身に過ぎた知能など必要無い。 自分が実装石で有る事を自覚し、飼い主の後ろについて行く事さえできれば十分だと。 ○飼い親実装 魅力:C 知性:A 体力:B 統率力:B 対人:C 概説 『 楽園 』に登場。 第13回楽園杯で身を犠牲にしてミドリを助けた実装石。 飼い主であった賭け男は楽園杯へ送り込むためだけに素質の有る実装石を探していた。 目標とする完走を目指し、非常に希少で賢いこの個体を入手したのである。 産んだ仔は3匹で、飼い主の元へ2匹残し1匹を連れて楽園杯に参加。 その途中、知り合ったミドリ親仔と行動を共にして親交を深める。 飼い主から事前に学習を受けていたため、他の実装石に比べ長く生き残る事ができた。 だが開催6日目、連れていた仔と共に死亡。 瀕死の身体で有ったが、咄嗟の気転によって数十体以上の暴走した実装石の気を引き付けた。 その結果、貴重な時間を稼ぐのに成功し、ミドリ生還に繋がる。 ミドリ完走の要因から、この知恵と勇気を兼ね備えた実装石の存在は外せない。 ○タロ 魅力:C 知性:A 体力:C 統率力:D 対人:C ○ジロ 魅力:C 知性:A 体力:C 統率力:D 対人:C 概説 『 楽園 』より登場。 楽園杯にて身を挺してミドリを助けた飼い親実装の仔の2匹。 飼い親実装への恩を返すべく、ミドリが女社長に懇願して賭け男から助け出された。 初めてミドリと対面した時は衰弱していたが、その後の看病によって無事回復。 以来、ミドリの無二の友達となり、事務員の手足となって働く。 2匹は飼い親実装の知能を受け継いでおり、実装石としては非常に優秀。 幼少時は賭け男に飼われ虐待まがいの生活を強いられたが、 女社長と事務員によって人間に対する見方が氷解し、ミドリと共に幸せな日常を手に入れた。 飼い親実装の願いは叶ったのである。 ○コタロ 魅力:C 知性:S 体力:B 統率力:B 対人:B ○コジロ 魅力:C 知性:S 体力:B 統率力:B 対人:B 概説 『 サハクウセキ 』より登場。 タロとジロの産んだ仔実装達が里子に出された後、各々に残された仔。 知能は非常に高く、教育係のサトが共に麒麟児と評する程の個体。 誰が指示するまでもなく、人間達には決して自分の力を見せず擬態。 時にはサトさえも欺かれる程。 その知能ゆえに表面上はともかく、心の奥底からは人間に敬意を払ってはいない。 常に傲岸不遜、人間と実装石を区別無く見下しているが、特定の対象に対しては温和。 よって飼い主である女社長には大きく好意を抱いている。 物質的にはともかく、自分達飼い実装を精神的に、 これ以上無い程豊かにしてくれる女社長には尊敬の念すら抱き、 そして親達を助けてくれたミドリと共に、女社長と事務員には大きく感謝している。 だが好意を抱いている対象はあくまで女社長や事務員など周囲の人間達に対してであり、人類全般にではない。 ○サト 魅力:B 知性:S+ 体力:C 統率力:A 対人:C 概説 『 青い部屋の中で 』より登場。 女社長の弟(3男)が大学帰りに拾った仔実装。 知能は非常に高く、人間すらも凌駕する。 その原因は4代前の隔世遺伝で、高い知能を受け継いだためである。 そして知能だけでなく、優しさも受け継いでいた。 無惨に殺されていく同属と家族達を見て、悲嘆に暮れたサトは実装石の可能性の模索を始める。 だが全ての可能性が行き詰まり、絶望して白髪に。 未来永劫、虐げられる種族と判断したサトは実装石による世界創造の資料を抹消した。 残されたデータはサトの記憶のみである。 その知能と与えられた知識から国一つを滅す事も可能な個体。 しかし女社長の元で過ごす限り、そのような気は決して起こさないだろう。 何かの事情で女社長が世界に絶望し、サトに懇願しない限りは。 後に文官最高位として『 サハク 』の称号を与えられる。 ○初代実装 魅力:C 知性:S 体力:D 統率力:D 対人:C 概説 『 青い部屋の中で 』に登場。 サトの4代前の実装石。 遺伝子操作によって産み出された究極の知能を有する個体。 その知能の高さゆえに虐げられる同属を哀れみ、種族の可能性の模索を始めた。 だが、研究施設内にて閲覧できる資料では模索はこれ以上不可能と判断し、脱走。 その後、各地を転々と回るも探していたものは発見せず。 全てを子孫に託して生涯を終えた。 ○二代目実装 魅力:C 知性:S 体力:E 統率力:D 対人:C 概説 『 サハクウセキ 』に登場。 サトの3代前の実装石。 研究機関から逃げ出した初代実装石の仔にあたる。 旅の途中、当時コミュニティを作り上げていたホウと知り合う。 身体は弱かったものの、知能は高かったため、若き頃のホウに見込まれた。 そしてコミュニティへ参加するよう懇願されるものの、丁重に辞退。 連れていた仔と共に再び辛苦の旅を続けた。 ○メイ 魅力:C 知性:A+ 体力:D 統率力:D 対人:B 概説 『 青い部屋の中で 』より登場。 サトが研究施設から救い出した仔実装。 家族は全て実験によって殺され、残されたメイも精神的に疲労していた。 この個体もまた遺伝子操作によって産み出されたらしく、 サト程では無いが高い知能を持ち、記憶力に関しては特に秀でた素質を見せる。 その為、サトを姉と慕いつつ補佐役を担うことになる。 研究施設の経験のため、人間に対する嫌悪感は高い。 だが、助け出してくれた女社長と事務員に対しては心を開いているようだ。 名付け親は女社長。 その名の由来は4月に飼い始めた事が理由らしい。 4月なのに、である。 ○セキ 魅力:B 知性:B+ 体力:S 統率力:S+ 対人:C 概説 『 サハクウセキ 』より登場。 多くの獣装石と実装石の群れを束ねる隻眼の獣装石。 生後、獣装石だったため親に間引かれようとしたが、冬香によって助け出された。 冬香の手によって育てられ、小学生低学年並の体格まで成長する。 幼少時は疑問を生じなかったが、年月が経るに従い、己の身体に疑問を持つようになる。 そしてある事件をきっかけに生粋の獣装石として覚醒した。 その後、冬香の下を飛び出し、老獣装ホウと巡り合う。 ホウから獣装石としての戦い方、集団戦の手ほどきを受け成長。 また同じ獣装石のテン、チィと仲間になる。 群れの長であるホウの下、その統率力と部下の獣装石達の力によって2度に渡る人間側の駆除を退ける。 しかし3度目の駆除戦にて敗退。 数十人の人間達の駆除を退け続けたセキ達だったが、1人の女には敵わなかった。 後に武官最高位として『 ウセキ 』の称号を与えられる。 ○ホウ 魅力:C 知性:A 体力:A 統率力:A 対人:D 概説 『 サハクウセキ 』より登場。 10年近くの歳月を生きてきた老獣装。 この老獣装もまた、獣装石であるがゆえに幼い頃、親に捨てられた。 そのまま行き倒れになるところを天涯孤独の老人に拾われる。 体格的に秀でていたホウは、そのまま老人の稽古相手を務める事になる。 また老人の気紛れで、各兵法を習得する事に。 そして数年後、飼い主の最期を看取ったホウは、生まれ育った家を後にした。 その後、飼い主から教わった実装石を捜し求めつつ、コミュニティを形成。 更に己を磨き、仔獣装を引き取るために様々な場所を巡回している間、セキと知り合う。 師となり、飼い主から教わった事をセキに教え伝えた。 その後は群れを率いる身となったセキの相談相手として共に行動する。 ○テン 魅力:B 知性:B 体力:S 統率力:A 対人:C 概説 『 サハクウセキ 』より登場。 幼い頃、ホウに引き取られた獣装石の1匹である。 長年、チィと共に行動し、ホウの手助けをしてきた。 獣装石として恵まれた体格と類稀な知性を有しており、皆からの信頼は厚い。 俊足を誇る獣装石達を率い、自身も群れで一番の脚力を誇る。 戦闘のみならず様々な作業を幅広くこなす。 セキが群れの長となった後は、自身が片腕として最も信頼する優秀な個体。 ○チィ 魅力:C 知性:C 体力:S+ 統率力:B 対人:A 概説 『 サハクウセキ 』より登場。 長年、テンと一緒に育った獣装石。 産まれつきの巨躯と鍛え抜かれた筋力を有し、肉弾戦においては人間の成人さえ圧倒する。 幼少時、家族を目の前で虐待派に殺されたため、人間に対する憎しみは深い。 かなりの乱暴者だが仔供好きであり、見込んだ相手には情に熱い。 一対一ならば人間に負けないと絶対の自信を持っていたが、女社長に対決して敗れ去る。 それ以降、目の仇にして戦いを挑むことに。 ○ショウ 魅力:B 知性:A 体力:S 統率力:S 対人:B 概説 『 サハクウセキ 』より登場。 セキがホウと会う以前に世話になっていたコミュニティの生き残り獣装石。 他に産まれていた仔実装とは別の場所に置かれていたため、 人間の駆除の手を逃れて生き延びることができた。 その後、セキが自分の仔として引き取って育てることに。 その出生が原因により、やはり人間に対する嫌悪の度合いは高い。 成長後は非常に優秀な獣装石となり、恵まれた体格とセキから直々に指導を受け、指揮獣装に任命される。 また教育係のサトも一目置く程の知能を発揮し、次の世代の中心を担う。 以後、ホウの命令によりコミドリの護衛として傍に付く。 " サハクウセキ " 双方から指導を受けた唯一の個体である。 ○??? 魅力:S+ 知性:A 体力:A 統率力:A 対人:S+ 概説 化け物。 サトの家系が5代に渡って探し求めていた個体。 全ての実装石の頂点に立つ存在。 外見は実装石だが中身は全く別種。 その心を占めるのは人類に対する激しい憎悪。 全ての虐げられし同属達の救済。 他には何も無い。 『 楽園崩壊 』より登場。 < 付 記 2 > ( 以下、『 彼女が話を終えた時 』終盤より抜粋 ) 夜空に煌々と輝く満月。 そして空全体に散らばる星々。 国道から離れたこの場所に自動車の排気音も無い。 民家も遠く離れている。 ここは静かな廃校の敷地内。 俺達2人以外誰も居ない場所で……俺は口を開いた。 『 それで、二人だけで話って何? 』 『 私の魔法に気付いた春彦くんには贈り物が有ります。 』 『 贈り物……あぁ、そういえばアキラの奴が言ってたよ。 魔法を見た人には、金では買えないくらい大切な物が貰えるとかってね。 』 『 そうですね……後でどれだけお金を積んでも買えない物かもしれません。 』 『 いいよ、俺は別に。そんなの興味無いから。 』 『 そんな事を言わないでください…この贈り物をするのは春彦くんでようやく3人目なんですから。 』 『 ん? 』 『 皆、勇気が有って、優しい人達ばかりです。 ですから春彦くんにも伝えておきたいんです…いえ、聞いてもらいたいんですね。 』 『 何をさ? 』 『 私が、学校の先生になって遠くの場所へ赴任すると、さっき言いましたよね? 』 『 うん、確かに言ったね。それがどうしたの? 』 『 そこは海に浮かぶ島なんです。人口200人くらいの小さな島なんです。 』 『 …なんで、またそんな寂しい島へ行くの? 学校の先生なら、他に有るんじゃないの? 』 『 それはですね……私、前に小さな会社に勤めてたんです。 』 『 あれ…そうだったの? 』 『 小さな土建会社だったんですけどね……とても楽しい人や、楽しい実装石に囲まれて仕事をしてました。 』 『 実装石もいたの? 』 『 はい、みんな賢くて一緒に仕事をして楽しい子達でした。 けれど、その会社を辞めることになって………色々と事情が有って、その島へ行くことにしたんです。 』 『 それで先生になるんだ……けど、どうしてそんな小さな島へ? 』 『 そこは最後の場所なんです。 』 『 …どういうこと? 』 『 私はですね…こうして春彦くんのような人に、その島の存在を知って貰いたいんです。 ですから、夜中に一人で待ってるんですよ。 真夜中の建物に入ってくる程の勇気が有り、トリックを見破り、そして優しい人を探してるんですね。 そんな人達に島の存在を教える……言ってみれば、案内役です。 私は春彦くんのような人達に話を続けなければいけません。 これから、まだ何人も何人も話をして……その島の事を伝えなければいけません。 けれど私も新しい職のため、いつかはここを離れなくてはいけません。 そして私が皆さんに話を終えた時……私が、その島へ赴任して暫くしたら… 』 『 な、なに? 』 『 ……何かが起こります。 』 『 何か…? 』 『 春彦くんは最近、何かおかしいと気付きませんでした? 』 『 何がおかしいの? 』 『 電車が止まったり、停電が起きたり、電話が通じなかったり……です 』 『 うん、確かにそうだね。 学校の奴等も電車が止まって遅刻してたよ。 他にも携帯が繋がらなかったり……クラスの奴等も愚痴ってた。 』 『 ……おそらく、これからもっと多くなります。 』 『 多くなるって… 』 『 これから少しづつ……確実に、この世界は壊れていきます 』 『 こ、壊れるって……何が? 』 『 私にもよく分かりません……しかし、こうして普通に生活できなくなるような大変な事です。 その時、春彦くんは、その島へ来れば助かります。 他の人達も、その島へ辿り着ければ助かります。 それ以外の場所は……どこへ行っても助かりません。 この世界のどこへ行っても……どんな遠い場所に行っても…助かる事はできないと思います。 』 『 …じゃあ聞くけどさ、どうしてその島に行けば助かるの? なんで、他の場所は助からなくて、その島だけ助かるんだよ? 』 『 それは……その島は… 』 『 な、なんだよ!? 』 『 あの子達が……私達人間に残してくれた最後の楽園なのですから 』 △ 時系列 『 楽園 』 ( 0 〜 3ヶ月後 ) 『 青い部屋の中で 』 ( 4 〜 5ヵ月後 ) 『 楽園より二ヵ月後 』 ( 5ヵ月後周辺 ) 『 青い部屋の中でより二時間後 』 ( 5ヵ月後周辺 ) 『 サハクウセキ 』 ( 〜10ヵ月後 ) 『 楽園崩壊 』 ( 15ヵ月後周辺 ) 『 彼女が話を終えた時 』 ( 30ヵ月後 )
