——— 第三次駆除当日 ——— 『 はぁ……!はぁ……! 』 見渡す限りの田園。 僅かな集落の家屋が立ち並ぶ田舎道を冬香は走っていた。 『 ふぅ…… 』 一旦立ち止まり、額から流れる汗を拭った。 腕時計を見れば午前11時を回っている。 昨日、地元の人間に保護された後、冬香は母親に引き渡された。 たった1人で危険な場所へ入っていった娘だが、母親は何も言わず迎えに来てくれた。 なぜなら、やはり母親自身もセキのことを案じていた。 短い間だったが、自分達とは家族のように暮らしていた。 だから、そんなセキを迎えに行った冬香を、責めることはできなかったのだ。 しかし母親とは違い、それでも冬香はセキをあきらめきれない。 思い立った冬香は、最後の手段を使うことにした。 母親から絶対に行ってはいけないと釘を指されていた場所。 この朝、冬香は母親が起きる前に家を抜け出した。 持っていた僅かなお小遣いを使って電車を乗り継いだ。 だが、目的地まであと2駅の所で所持金が切れてしまった。 目的地まで約10㎞。 まだ小学生でしかない冬香にとっては決して短くない距離である。 息を切らせ、土地勘の無い見知らぬ場所を走る。 時間が無かった。 心臓が破けそうになりながらも、冬香は胸を抑えて走り続けた。 『 つ……着いた… 』 太陽が真上に差し掛かろうとした時、冬香は一軒家に辿り着いた。 昔はよく親に連れられてきた懐かしい場所。 冬香は恐る恐る玄関の扉を叩いた。 『 お姉ちゃん……お姉ちゃん……? 』 だが、家の中から返事は無い。 玄関を開けようとしても、鍵がかかっていて開かない。 『 そ、そんな……お姉ちゃん……… 』 最後の望みが絶たれた冬香は、その場で崩れ落ちた。 玄関の前で座り込み、俯いて瞳を閉じた。 「 ……テェ? 」 ……ん? 「 ……テチュ? 」 ……なに? 瞳を開けると、座り込んだ自分の膝の近くに小さな実装石が居た。 仔実装は冬香の膝を、小さな手で揺すり、少女の顔を見上げている。 『 実装石……どうして? 』 「 テェ〜♪ 」 冬香が両手で優しく持ち上げると、仔実装は嬉しそうに鳴いた。 仔実装は両手を振り回し、冬香の顔を見て笑っている。 『 ……そうだ、リンガルが有ったんだ 』 思い出すと、冬香は持っていた実装リンガルを取り出し、電源を入れた。 『 …あなたは、どうしてこんな所にいるの? 』 「 テチュ…? 」 『 名前は、なんていうの? 』 「 チュチュ……? 」 仔実装は冬香の質問を理解できないのか、首をかしげた。 たとえ仔実装といえど、関係なく意思疎通は可能な実装リンガル。 『 壊れてるはず無いのに……どうしたんだろ………ん? 』 すると冬香は、仔実装の胸の所に名札が付いてるのを見つけた。 " コミドリ " 『 ふぅん、コミドリって名前なんだ……? 』 「 テェ〜〜♪ 」 冬香の腕に抱かれながら、コミドリという名の仔実装が元気に鳴いた。 言葉は理解できないものの、自分の名前は分かっているようだった。 『 …あれ? 』 更に冬香は仔実装の手が布で包まれているのに気が付いた。 まだ10月になったばかりだというのに手袋をしていた。 余程、裁縫が上手い人に作ってもらったのだろう。 ピンク色の小さな手袋が仔実装の手にすっぽりはまっていた。 「 ……どなたデス? 」 『 あ…… 』 冬香が振り向くと、一匹の実装石が立ってこちらを見ていた。 すると腕の中の仔実装が、鳴いた。 「 テェ〜!! 」 「 コミドリ、ここに帰っていたデスか! 」 実装石は、とたとたと走ってくると冬香の傍に来た。 「 すみません、ワタシはその仔の親なんデス……返してもらえないデスゥ…? 」 『 あ、そうなんだ……はいっ 』 冬香は仔実装を親実装に差出し…受け取ると親実装は仔を抱きしめた。 「 コミドリ……心配させては駄目デスよ… 」 「 テチュテチュ…♪ 」 抱きしめられた仔実装は、やはり嬉しそうに鳴いている。 どうやら仔実装は1人で出歩き、親実装は辺りを探し回っていたらしい。 その2匹を見て、なぜか冬香まで安心してしまう。 『 うん、良かったね………あれ? やっぱり、その仔だけリンガルが表示されない…… 』 親実装と会話が可能であるものの、なぜか仔実装の言葉を変換できない。 「 それは無理デス……この仔はまだ、お話ができないんデスゥ… 」 『 あ、そうなんだ………まだ仔供だからなんだね… 』 冬香と親実装の間で、暫く会話が交わされる。 だがその時、冬香の腕時計からアラームが鳴った。 『 あ……もう、こんな時間…… 』 時計の針は12時を差していた。 駆除開始までは残り僅か。 『 もう……間に合わない… 』 「 デス…? 」 冬香は肩を落とし、その場にへたり込んだ。 セキを助け出せないという絶望感と疲労感が、立ち上がる気力を無くした。 『 ……冬香? なんでアンタがここにいるのよ…? 』 ハッとして声のした方を振り返る。 その一軒屋の敷地へ入ろうとした所に女性が1人。 下はジーパン、上はシャツに会社の刺繍が入った上着といったラフな格好。 髪を肩まで切り揃えた女性が、玄関先で腰を下ろしている冬香を見下ろしていた。 「 お客サン…デスゥ? 」 「 見かけない人デスね…? 」 「 デスゥ…? 」 更にその後ろには実装石が3匹。 その先頭の実装石の髪の毛が真っ白なのが印象的だった。 『 お、お姉ちゃん……! 』 その女性の姿を見ると、冬香は急いで立ち上がり、その腕にすがりついた。 『 今日は休みじゃないでしょ…?学校はどうしたのよ……? 』 『 そ、そんなことはどうでもいいから…! お願いが有るの、お姉ちゃん! 』 『 駄目よ 』 女性は素っ気無く答えると冬香の前を通り過ぎて玄関へ……鍵穴に鍵を差し込んだ。 『 お前のお母さんからね、甘やかさないように言われてるんだから 冬香のためにならないってね 』 『 そ、そんな……! 』 『 どうせ、お母さんに内緒でここまでやって来たんでしょ? 後で連絡して、家まで送っていってあげるから……お昼ご飯、食べて行きなさい 』 冬香の願いも空しく、女性は玄関から家の中へ入っていこうとした。 「 …お姉サン、待ってくださいデス 」 『 なんだい? 』 「 この人は、コミドリを預かってくれてたデス… 」 『 …あぁ、冬香が見つけてくれたのかい? 』 「 ワタシ、とっても助かったデス デスから……話だけでも聞いてあげてはどうデス? 」 仔実装を地面に下ろすと、親実装が冬香に助け舟を出した。 『 それとこれと話は別! 前からね、冬香の母親からアタシが怒られてるんだよ 冬香は小さい頃から泣き出すと、直ぐにアタシのところに来て甘えてたからね… けど、もう甘やかさない これはね、冬香自身のためなんだ…… お願いすればどうにかなる、なんて思うようになったら、ろくな大人にならないからね 』 『 う…… 』 『 そうそう、何でもかんでもタダで他人がお願いを聞いてくれるなんて虫が良すぎるわよ 』 『 そ、それじゃ……!あのね、お姉ちゃん! それじゃ、私……もう絶対に泣かないって約束する! 』 『 ん? 』 『 それに今はまだ子供だから何もできないけど、大きくなったら絶対、お姉ちゃんに恩返しする! 』 『 ……ん〜 』 『 お願い、お姉ちゃん!! 』 冬香は女性に深々と頭を下げた。 その下げられた少女の頭を、女性は無言で見詰めていた。 今の冬香は、女性が頷いてくれるまで顔を上げそうに無かった。 「 …お姉サン、ワタシからもお願いデス 」 そして先ほどの親実装も女性に頭を下げた。 「 よく分からないデスけど、話も聞かずに断るのは可哀想デスよ 」 「 せめて事情くらいは聞いてあげるべきデスゥ 」 『 アンタ達まで… 』 女性の傍にいた2匹の実装石も冬香の肩を持ち始めた。 更に髪の白い実装石が口を開く。 「 なんなら、事務のお姉サンをここに連れて意見を聞くデス? 」 『 …ぐっ!アンタはね……! 』 「 デスス…♪ 」 女性は髪の白い実装石を軽く睨みつけた。 だが、睨みつけられた方の実装石は、そんな女性を面白そうに笑っている。 『 ったく……アンタ達は、飼い主を敬うって事を知らないようね… 』 頭を掻きつつ溜め息をついた女性を、4匹の実装石達は笑いながら見上げていた。 相手を見下す卑しい笑いでは無い。 実装石達は、女性がお人好しなのを知っていたのだから。 ただ、それが可笑しかっただけなのだから。 『 ……分かったよ、冬香 』 『 本当、お姉ちゃん!? 』 『 待った!まずは話を聞いてみるだけだよ?引き受けるかどうかは、その後! 』 『 うん、うん! 』 『 それにしても困ったものだね、ウチの弟達は……面倒ごとばっかり持ち込んで… 』 女性は降参すると、愚痴を零しながら腰を下ろし、冬香と同じ高さに目線を合わせた。 『 …それでアタシは何をすれば良いんだい? 』 彼女は冬香の父親の姉にあたる人物。 叔母と呼ぶにまだ若い女性は、少しだけ強くなった姪の頬に手を添えた。 「 この場所ともお別れデスね… 」 背中に荷物を、手に仔実装達を引いて実装石達が山を降りていく。 「 ママ… 」 手を引かれた仔実装が、不安な表情で親実装を見上げた。 「 大丈夫デス、これから新しい家に行くデスよ 」 「 そうなのテチュ…? 」 親実装は仔実装達を不安がらせないよう、笑って見せた。 その親実装自身さえ、これからどうなるのか考えると不安ではあったが、今は強がるしかない。 ホウの村の移住は、朝から始まっていた。 傷を負った獣装石達は満足に動けないものの、自力で歩行は可能にまで回復している。 人間の目を避けるため、移住組は3つに分けられた。 各組ごとに実装石と負傷した獣装石を均等に配分し、行進速度を出来得る限り同じにした。 先頭の実装石には既に地図を手渡されており、道中迷うことはないであろう。 「 これで最後デスね… 」 ホウは実装石達の背中を山頂から見送った。 これで山に居残ったのは戦闘可能な獣装石が20数匹のみである。 「 ホウ、こちらの指揮は頼んだデス 」 セキの言葉にホウ、チィ、そして2匹の獣装石が頷く。 この4匹の獣装石が移住組の最後尾であり、唯一の守備である。 山の陥落は時間の問題だった。 偵察獣装が発見した移住先まで実装石が辿り着く間、長旅が予想される。 それまで、何としても人間達の目を他に惹きつけなければいけない。 だが、セキも厳しい戦いだと分かっていた。 昨日の冬香から聞かされた本日の敵は100人以上。 動きの遅い実装石の足で逃げ切れるだろうか。 仔実装達を連れては尚更行進が遅れる。 ホウの作戦ではテン達率いる足の速い獣装石を囮とする。 だが、それでも移住する者達が気付かれないとは楽観視できない。 200近い数の実装石と獣装石の移住。 もし人間達に発見されれば、瞬時に駆除されるであろう。 「 …セキ、少し耳を貸すデス 」 最後尾として出発しようとしていたホウが、考えに耽るセキに声をかけてきた。 今この場で、2匹以外で会話を耳にできる者は居ない。 「 何デス? 」 「 もう、これで会えないかもしれないから言っておきたいことがあるのデスよ 」 「 …そんなことを言っては皆が不安になるデス 」 「 いや、言っておかなければならないデス ワシは……ここの皆、全員に謝らなければいけないデスから… 」 ホウの突然の謝罪に、セキが首をかしげた。 「 …何を謝るデス? 」 「 本当のことを言うと……ワシは、村の者達がどうなろうと構わないデス 」 「 な、何を…言ってるデスか? 」 「 前に、ワシが獣装石を集めたのはニンゲンと戦うためと言ったデスね? 」 「 …確かに言ったデスね 」 「 あの時、言った事は本当デス… ワシが獣装石達を集め、育て、訓練したのは……いつか特別な実装石を発見し、ニンゲンの手から守るためデス 」 「 デ…ェ……? 」 「 セキ、お前と2匹に命令するデス 」 そして言葉を理解し切れないセキに、ホウは言った。 「 ワシの今までの記録を持って、安全な場所に逃げるデス そしてそこで新しい村を作り、ワシの探していた実装石を見つけるデス 」 「 そ、それじゃ…ホウ達は……みんなはどうなるデス? 」 「 ワシ達は囮デス 」 「 ェ…? 」 「 セキ達3匹が無事脱出するまでの囮デスよ 」 「 囮って…テン達のことデス…? 」 「 …違うデス この村の獣装石から実装石、全てがお前達3匹を逃がすための囮デス 」 「 な、何を言うデス…? 」 「 ニンゲン達を甘く見ては駄目デス テン達は囮になるデスが、移住する者達もきっと見つかるデス そして、きっとワシ達は1匹残らず殺されるデス……けれど、その間にセキは逃げるデスよ 」 「 ホ、ホウ… 」 「 …結局、ワシはその実装石を見つけることができなかったデス この世に居るかどうかも分からない実装石のために… ワシは長い間、その実装石の盾を集めてきたのデスね おかしな話デス…… 」 老獣装は自嘲した……今まで自分の行ってきた事は意味が無かったと嘲笑った。 「 そ、それじゃ…ホウは…ホウは…… ワタシ達が…幸せに暮らせるために、村を守るために獣装石を集めたのではないデスか? 」 ホウはコクリと頷いた。 老獣装は村の行く末など、露ほども気にしてなかった。 この村の実装石も獣装石も、セキもテンもチィも、更にはホウ自身の命運すら意に介してなかった。 ホウは、ある目的のためだけに村を作ったのだから。 その目的のためなら、どんな犠牲をも厭わなかった。 「 ワシ達は、その実装石のための" 捨石 "デス その一匹の実装石を生かすためなら、ここの全ての獣装石達を死なせても構わないデス 」 「 な……なんデスか、それは…! 」 今まで一緒に戦ってきたテンとチィ、そして数多くの獣装石達。 皆、傷つき、強大な敵を迎えつつも仲間を守るため命がけで戦おうとしている。 それは全てホウへの信頼感があればこそである。 テンもチィも、ホウを親のように慕い、そして心から尊敬している。 他の獣装石達も同様、自分達を引き取ってくれたホウに対しては心から感謝している。 しかしホウは、育ててきた獣装石達を" 捨石 "と言い切った。 自分に付いてきてくれた獣装石達及び実装石達は目的のため、死んでも構わないと言った。 「 ホウは……場合によっては、皆を死なせるつもりだったデスか? 」 「 …… 」 「 ここにいる全ての仲間達よりも、その実装石1匹が大切なのデスか…? 」 「 …その通りデス 」 「 なぜデス…!? なぜ、そこまでしてホウは、その実装石にこだわるデス!? 」 「 …… 」 「 なぜデスか!!?? 」 「 …だからセキ、お前には教えておくデス たとえ、この群れが今日限りで全滅しても、お前だけは生き残って欲しいデス そしていつの日か、お前がその実装石を見つけ、守ってあげて欲しいデスよ… 」 ホウはセキの肩に手を置いた。 老獣装は若き隻眼の獣装石に願いを託そうとしていた。 「 まだ話してるデスか〜? ………デ?」 離れた場所に居たチィが、痺れを切らしたのか歩み寄ってきた。 ホウとセキの2匹の様子を目の当たりにし、その表情に不思議な顔をした。 「 ホウ……アナタのことは尊敬してるけど、今回ばかりは従えないデス 」 セキは自分の肩に置かれたホウの手を振り解くと、山頂にいた全ての獣装石に号令をかけた。 「 作戦を変更するデス! 移住最後尾はホウと獣装石2匹! 他、残り指揮獣装及び獣装石は、ここでニンゲン達を迎え撃つデス!! 」 「 セ、セキ…!それではオマエは…! 」 「 その実装石の話については、また後でゆっくり聞くデス ホウは最後尾の守備をお願いするデスよ 」 「 分かったデス…けれどもセキ?……オマエは死んでは駄目デスよ? 」 ホウは2匹の資料を背負った獣装石を連れて、移住組の後を追った。 今まで皆に嘘をついてきた老獣装。 だが、セキを気遣う言葉に嘘偽りは無かった。 「 …一体、何が有ったデス? 」 そのホウ達の後ろ姿を見ていたセキに、訳の分からないチィが尋ねてきた。 「 少し作戦の見直しをすることにしただけデスよ それよりテンはどこデス? 」 「 テンは6匹連れて中腹に先行してるデス これから他の獣装石を送り出して合流させるつもりだったデス 」 これで山に残ったのは指揮獣装3匹を含む22匹。 セキは作戦の最終打ち合わせをするため、この山頂に残った者達に説明を始めた。 「 昨日の作戦通り、今回はニンゲン達の間を中央突破し、敵の目をこちらに惹きつけるのが目的デス! 但し、作戦の指揮はテンでなく、ワタシが執るデス! そしてチィも参加、先頭に立って道を切り開くデス!! 」 「 任せろデス! 」 チィが自分の胸を叩き、セキが力強く頷いた。 だが、そこに居並ぶ者達の面持ちは暗い。 今まで二度の駆除を退けたものの、今回は凌ぎきれないだろう。 敗北を前提とした時間稼ぎが目的。 果たして、何匹か無事に生還できるだろうか。 そして中腹で待機しているテン達へ合流を果たすべく出発しようとした時、 慌しく獣装石が1匹駆け込んできた。 「 敵が来たデス! 」 その獣装石はテンに随伴させた1匹である。 報告から、遂に最後の時が来たと獣装石達に緊張が走る。 「 そ、それが…… 」 獣装石の声が荒い。 これまでに無いほど、動揺しているのが分かった。 「 どうなってるデス!? 」 「 テ……テン達がやられたデス! 」 「 デス!? 」 指揮獣装として、最も頼りになるテンが倒された。 既に戦力は半減しており、指揮獣装はセキとチィのみとなった。 しかし、不思議なのはテンの行動。 テンは、僅かな部下で大勢のニンゲン達と戦う無謀な獣装石では無かった。 進むべき時は進み、退くべき時は退く。 進退を見極めるのが可能な指揮獣装のはずだった。 「 そ、それが……テンも他の5匹もニンゲン1人にやられたデス! 」 「 デ…? 」 出撃前の獣装石達が、報告の意味を理解できない。 テンだけでも十分に人間と渡り合えるだけの強さを持っており、 付き従う5匹も今まで2度の駆除戦を戦い抜いてきた精鋭。 その指揮獣装を含む6匹が、たった1人の人間に倒されたという報告を咄嗟に理解できない。 「 テンも他の獣装石達も食い止めようとしたデスが、全く歯が立たないデス! それでワタシだけが報告のために逃げてきたデス! 」 「 本当に、本当に1人だけだったデスか…!? 」 テンに随伴していた獣装石は眼下の山の中腹を指差し、あらん限りの声で叫んだ。 「 敵はまさしく1人デス…!! ニンゲンの女が1人、凄い勢いで山を登ってくるデスッッッ!!! 」 < 付記 > 第三次駆除戦 詳細 10月1日 14時00分 開始 天候 小雨 温度 18℃ 獣装石側戦力 司令獣装 セキ 以下 獣装石 8匹 指揮獣装 テン ( 戦闘不能 ) 以下 獣装石 5匹 ( 戦闘不能 ) 指揮獣装 チィ 以下 獣装石 6匹 指揮獣装 ホウ ( 非戦闘実装守備 ) 以下 獣装石 2匹 ( 非戦闘実装守備 ) 人間側戦力 謎の女 1名 主要装備 鉄のコブシ
