「おーーい、居る?」ガンガンと無遠慮にドアを叩く音に男は目を覚ました。 「・・夕べは徹夜だったんだ、静かにしてくれ。」 「納期は今日だよ。ちゃんと出来てるの?」寝ぼけ眼でドアを開ける男に、女は少 しむっとしたように言いながら、その脇を抜け部屋に入り込む。 「相変わらず、散らかった部屋だねぇ?」女は各種の工作機械が並ぶ部屋を見回す。 「余計なお世話だ・・依頼の物なら、そこにおいてあるぞ。」男はあごで部屋の中 央に鎮座する工作台を指す。その一角だけが綺麗に整理され、一つのアルミケース が鎮座していた。 「どれどれ、おわぁ!」女はいそいそとケースを開き中身を確認すると歓声を上げ た。 男の名は「」野利明。エアガンのカスタムを生業にしており、この部屋も廃工場を 改造した、彼の住まい兼工房である。 女の名は「」原敏子。本職はスポーツインストラクターをしており、鍛えた身体と 整った顔立ちは町を歩けばよくスカウトにあうほどであった。 「と、いうわけで、今回はこの公園の駆除をお願いされました。」妙に嬉しそうに、 敏子は公園を指し示す。 「ちなみに、自治会の皆さんが公園の周囲を封鎖してくれているのはいつもの通り、 ヤツらは、おおよそ200匹。その中でちょいとやっかいなヤツが仕切ってる。っ てことでアタシ達にお鉢が回ってきた、って訳。質問は?」 「捕獲とかはいいのか?」駆除の際に頭の良いヤツだけ選別し、ショップ等へ卸す こともあるので、利明が聞く。 「自治会からの依頼(オーダー)は『見敵必殺』(サーチアンドデストロイ)だ。」 心底嬉しそうな歪んだ笑顔を浮かべる敏子に『葉巻咥えたら、英国の誰かさんみた いだな。』とべたな感想を思った。 「お〜い、糞蟲ちゃんたち、寄っておいで〜一緒に遊ぼう〜」気色の悪い猫撫で声 でヤツらを呼びながら、手にした袋から金平糖をばらまく敏子。 『何デスゥ?』敏子の声と、漂う甘い香りに、見る見るうちにヤツらが敏子の周り を十重二十重に囲んでいく。 ぬいぐるみのように小さな体躯、緑と赤のオッドアイ、公園生活で汚れきった緑の 服。 この公園に巣くう実装石の群れに、敏子はすっかり取り囲まれていた。 『バカニンゲン!もっと、たくさん美味いものよこすデスゥ!』 『裸にひん剥いて、この高貴なマラで犯してやるデスゥ!』 金平糖を食べ尽くし、もっとよこせと喚くもの、敏子の姿にマラをおっ立て、脚に すり寄ってくるもの、集団効果で興奮が盛り上がっていく。 「そうか、そんなにアタシに遊んで欲しいのか?」敏子の目が目の前でデスデス騒 ぐ集団に注がれる。身勝手な要求に盛り上がっている実装石たちは、彼女の目つき が凶悪な光を湛えていくことに気がつかない。 「じゃあ、遊んでやるよ!」敏子の足が素早く振り上げられ、一匹の実装石が宙を 舞う。 「デ?!」蹴り上げる、というより掬い上げる様に放りあげられた実装石は、一瞬 にして高くなった視点と、自由落下の感覚に自分が特別に選ばれたと考え違いを起 こす。 『高いデスゥ!オイ、馬鹿おんな!もっと遊ぶデスゥ!』3メートルの高さからの 自由落下の最終工程で、実装石は敏子と視線が合い、更なる要求を口にする。 『そうすれば、高貴な私を飼わせてやることを許可する…デ!!』実装石は最後ま で言葉を発せられなかった。 「ブゥッ!」短い、何かが吐き出されるような音ともに、実装石は一瞬で肉塊と化 し、そのほとんど液状化した肉体は2メートルほど離れた敏子を取り巻く円の外周 部にいた実装石たちに降り注いだ。 『何デスゥ?あいつが消えたデスゥ?』 『おい、おまえ、何で美味そうなものかぶってるデス?』 『本当デスゥ!ワタシにもよこすデスゥ!』外周部で敏子の行為がよく見えなかっ た連中は、まさしく降ってわいた肉塊に色めき立った。 しかし、敏子の近くで彼女の行為を目の当たりにした実装石たちは違った。 「「デェ・・」」敏子は同じ場所に立っていた。しかしその両手には黒い塊が握ら れている。そこから何かが出て、蹴り上げられた実装石を一瞬で肉塊に変えたのを 彼女たちは見ていた。 「アタシと遊んでくれるんだろう?じゃあ、鬼ごっこでもするか!」そう言って実 装石の群れに両手を向ける。 「「デ・デェエエエ!」」一瞬にしてパニックに陥り、敏子の足下から逃げ出す実 装石たち。しかし、事態が飲み込めない外周部の実装石たちとすぐに衝突する。 『お前たち、何するデスゥ!』抗議の声も空しく、パニックに陥った実装石たちに 押し倒されていく。親指や、蛆たちはその波の中で儚くその命を閉じた。 「本当に、1秒で全弾撃ち尽くしか・・とっしーもいい仕事をしてくれる。」敏子 はそう言って、指先でイジェクトボタンを押す。重い金属音が二つ実装石のパニッ クの起きた公園に響いた。 敏子の両手に持つのは、利明の最新作。東京○ルイの電動G18をベースに極限ま で発射サイクルを高めたもの。エアガンの規制が施行されたご時世では、一発ずつ の威力を高めることはできない。そこで、発射サイクルを高めることで破壊力を上 げたのだった。ちなみにその発射サイクルは毎秒30発を優に超え、拳銃としては 規格外の威力を秘めている。無論、その代償はあり、グリップは大型モーターを納 めるため膨らみ、グリップエンドからはカールされたケーブルが敏子の腰に装着さ れた大型バッテリーに繋がっている。 この化け物を敏子は抜く手もみせず、最初の犠牲石にノーマルマガジン30発×2の 全弾を叩き込んだのだった。犠牲石は一瞬で肉塊となり、与えられた運動エネルギ ーは、そのなれの果てを外周部まで跳ばしたのだった。 敏子は、腰に装着した予備弾倉を装填する。先ほどまでのノーマルマガジンとは違 うさらに凶悪な面持ちの2000発入りのドラムマガジン。これを装着するために G18自体もフレームを強化し、重量がかなり嵩んでいるが、敏子は全く気にせず 軽々と振り回す。 「さあ!糞蟲ども!たっぷり遊ぼうぜ!」そう叫んで敏子は逃げまどう実装石たち に銃口を向ける。 「おお、やってるやってる。」敏子の活躍をスコープ越しに眺めながら、利明は呟 く。 「作動も良好のようだし、まずは一安心と・・」 「それじゃあ、俺の方も・・」利明はそう呟くと、スコープの中で獲物を探した。 「おらおら、早く逃げないと。怖い鬼に捕まるぞ!」 「「テチャー!」」実装石たちは敏子から逃れようと必死に走るが、如何せんその 短い足では人の足に勝てるはずもない。 「テギャ!」「デェ!」「デジャ!」「テェ!」 二丁拳銃を無造作に振り回しているように見えて敏子の狙いは正確である。G18 が短く唸るたび、実装石が肉塊になっていく。 『早く茂みの中に隠れるデスゥ!』少しは賢い個体なのだろうか、自己中の権化で あるはずの中から、先頭を切って同族を誘導するものが一匹いる。 『ここに入れば!』その実装石の目の前にはかなり濃いめの茂み。その中に逃げ込 めば確かに体格のある人間は追っていけないだろう。 しかし、茂みまで後1メートルというところまできて、その実装石の身体がびくり と跳ねる。そしてゆっくりと後ろ向きに倒れる。 『テェ?ママ?』すぐ後ろにいたその実装石の子供は母親が突然倒れかかってきた ことに驚く。 「テッキャー!!」しかし、自分の母の頭が半分無くなり、そこから血が噴き出し て自分の身体を濡らしていることに気がつき、悲鳴を上げる。 『ママ!ママ!しっかりするテチィ!』仔実装は動かない母親を揺する。しかし、 『テ?』突然視界が回転し、自分も地面に倒れてしまった。すぐに起き上がらなけ れば、ママを助けて、逃げないと。仔実装は健気にもそう考え起き上がろうとする が身体が言うことを聞かない。自分の身体はどうしてしまったのか?そう思って仔 実装は自分の身体を見下ろす。 『無い!無いテチィ!ワタチの身体が!』仔実装の見下ろした先には紅と緑の混じ った液体が地面にシミを作っているだけだった。 「テ・・」パキッと何かが割れる音が響き、頭だけになった仔実装はそれきり動か なかった。 『こっちは危ないデスゥ!』 先頭を逃げていた親子の惨劇を目にして、群れは流れの向きを変える。しかし、新 たな安全地帯に飛び込む前にその先頭が同様の運命を辿った。 「とっしー、ナイスアシスト。」 『どういたしまして。』敏子のイヤホンから利明の声がする。 「しかし、そっちのもえげつないねぇ。」 『褒められてると思っておこうか。』戦闘モードになっているらしい利明の言葉は 素っ気ない。 「じゃあ、後も頼むね、とっしー。」 『了解』相棒の声を聞き敏子はさらに群れを追いかける。 「了解」利明は公園の入り口の茂みに身を潜めていた。ストロークの長いボルトを 引き、次弾を装填する。テコの原理で強力なバネが圧縮される。利明は冷徹な目で 群れの先頭に狙いをつけ、引き金を絞り込む。 「バス!」軽い衝撃とともにスコープの中で親実装の頭が砕けた。 「こっちもまずまずだな。」再び重いボルトを引き利明は一人呟く。 利明の手にしてるのは、彼の設計による自作銃「対実装石用狙撃銃」だった。 『バレットみたいな対物狙撃銃って作れないかな?』仲間内での与太話がきっかけ となり、一撃で目標を問答無用に破壊できる銃を目指し、利明がたどり着いた結論 がここにあった。 8ミリBB弾を使用し、6本の銃身と、同じく6本のシリンダーをひとつに束ね、 一本一本の銃身毎に射撃精度を高めたその銃は、50メートル先の標的に、銃口と 同じ6角形の弾痕を作ることができる。 その一撃は、成体実装であれば頭を半分吹き飛ばし、仔実装であれば、その半身を 丸ごと消し去ってしまう。威力が高すぎるのと弾がもったいないので、利明は親指 や、蛆を狙っていない。 加えて、利明のスコープには偽石サーチャーが内蔵されており、成体実装の偽石を その周りごと正確に破壊することができた。 公園のあちこちで、二人の振りまく死が実装石達を覆っていった… 『ママー!ママー!テチャ!』頭を吹き飛ばされた親の死体にすがりついていた仔実装 が、暴徒に踏みつぶされ、母親ごと地面の染みとなる。 『デシャーー!ワタシの腕が!腕が!』片腕をその根本からごっそり引き飛ばされた 実装が、駄々をこねるように地面を転がる。 『チププ、お前は可愛くないからそんな目にあうテ…』撃たれて転がる仲間を見下 したように笑った仔実装の頭も一瞬後には掻き消されるように吹き飛ぶ。 『ママ〜、待ってテチ〜』 『早く!早く来るデスゥ!』泣きながら追いかけて来るわが子を叱咤する母親の目 の前で、仔実装の頭部がかき消えた。頭部の無くなった身体は、2〜3歩進むとパ タリと倒れる。 『オロロ〜〜ン!ワタシの子が!ワタシの子が!オロロ〜〜デギャ!』頭のない子の 遺体を抱え、天を仰ぐように泣く母親の首元が吹き飛ばされ、支えを失った母親の 頭部はそのまま後ろに落ち、湿った音を立て、半分潰れた。 『レフ〜、レフ〜…お腹…プニプニして…プニプニ…デギャ!』いたぶるように四 肢を吹き飛ばされ、蛆実装まで精神が退行し、地面に転がっていた成体実装が暴徒 に踏みつぶされる。 『ワタシのマラが…マラが…』下半身を吹き飛ばされ、ちぎれ飛んだ自らのマラに 腕だけで這い寄ったマラ実装の目の前で、マラが暴徒に踏みつぶされる。 『マラ…ワタシの…』己の象徴であるマラが目の前で挽肉になり、マラ実装の偽石 は割れ、その骸も暴徒に踏みつぶされ、他の実装同様地面の染みと化した。 『デガァア!こうなりゃ、やけデスゥ!そいつを喰わせるデスゥ!』 『イヤーー!蛆ちゃん?蛆ちゃーーん!』仔実装の抱えた蛆実装を半狂乱になった 母親が奪い取り、口に放り込む。 『デップ〜ン、やっぱりワタシの娘だけあって、美味しいデ…デギャ!』蛆を租借 し、嚥下しようとした刹那、親実装の口は蛆ごと吹き飛ばされ、顔面の真ん中に大 穴があいた。 『ママ?ママー!』蛆を奪われた仔実装は、それでも母親が倒れたのは心配なのか その身体に縋り付く。 『ゴ・ゴポッ…』母親はまだ絶命して居らず、何かを言っているようだが、風穴に なった口では、逆流する血の音にしかならない。 『何?ママ、何テチ?』縋り付く仔実装の身体を母親の手が抱き上げ、顔の前まで 持って行く。 『ママ…?』母親の目を見たとき仔実装はいい知れない恐怖を覚えた。母親は仔実 装が今まで見たことのない様な目で笑っていたから。そして、母親の手が仔実装の 身体を口であった風穴に持って行く。 『厭テチー!ママやめるテチー!食べちゃ厭テチー!』仔実装は暴れるが母親の力には 叶わない。 『ママ…やめ…テチ……』仔実装の頭が風穴につっこまれると同時に、乾いた音が 響いて、仔実装の動きが止まった。『母親に喰われる』という行為のショックに偽 石が耐えられなかったのだろう。母親もそこで力尽きたのか、それとも、僅かに開 いていた気道に仔実装が詰まったのか、動きを止めていた。 『お前たち、ここから出ちゃダメデスゥ。』僅かに知恵が回るらしい母親は、自分 の仔達を茂みの中に隠していた。 『厭テチ!あそこにたくさん美味しいものが落ちてるテチ!』 『そうテチ!ママは、あれを独り占めするつもりテチ!』 『今出て行ったらニンゲン達に殺されるデスゥ!』 『チプププ!ニンゲンなんてワタチの魅力でメロメロにしてやるから、大丈夫テ チ!』 『そうテチ!早くしないと他のヤツらに美味しいものがとられるテチ!』仔実装達 は、惨劇の中、隠れている草むらに飛び込んできた同族の肉片を喰らい、その味を 占めていた。原形を留めないその肉片を同族のものと認識できないようである。母 親は僅かに知恵があるようだが、その子達は典型的な糞蟲だったようだ。 『行くテチ!臆病者のママはそこで這いつくばっていろテチ!』 『続くテチ!みんなも行くテチ!』一番大きな2匹の先導で、仔実装達は安全地帯 から飛び出していく。 『テチャー!肉!肉テチ!』 『これが酒池肉林テチ!』意味もわからず微妙に状況にあっている言葉を口にしな がら仔実装は公園を駆ける。 『お前たち!、待つデスゥ!デギャ!』子供達を追って飛び出した母親の頭が数歩 行かないうちに、はじけ飛び、その身体は倒れ伏す。 『あれ?ママ何処行ったテチ?』母親の悲鳴に振り向いた仔実装の目の前には変わ り果てた母の骸が転がっているが、愚かな仔実装にはそれが母親と認識できない。 『あんな、腰抜けババアより、この目の前の肉を食うテチ!』そう言って仔実装達 は目の前の母親の骸に喰らい付く。 『美味いテチ!ママはバカテチ!こんな美味いものを食べないなんてテチ!』 『そうテチ!きっとこの肉も、可愛いワタチ達のためにニンゲンが献上したに違い ないテチ!』目の前の肉が、母の身体とも理解せず仔実装達は夢中で喰らっている が、彼女らの上を、大きな影が覆った。 『『『テッチュ〜ン』』』今自分たちに突きつけられているものも理解せず、媚び る仔実装達は一瞬後には、母親の肉体と区別が付かないほどのミンチになっていた。 敏子と利明の連携により、公園の実装石たちはみるみる数を減らしていく。 『此処は地獄デスゥ…』実装石の頭では数え切れない程居た仲間達が、今や数える ほどになっていた。混乱の中、何とか茂みに逃げ込んだ実装石達は、声を潜めるよ うに話し合っていた。 『ボスはどうしたデスゥ?』 『そうデス!ボスを呼ぶデス!ボスにかかればあんなニンゲンイチコロデス!』生 き残り達は、未だ姿を見せない頼みの綱を呼ぶために、走り出した。 「だいぶ少なくなったねぇ…」目に付く範囲で動く物が少なくなり、敏子は一人呟 いた。 『デス〜〜ン!!』そんな敏子の油断を見透かすように、緊張感のない、実装石の鳴き 声の様な銃声が響き、敏子が左手を押さえて蹲る。 『そこまでデスゥ!』片手に銃のような物を持ち、裸の肥え太った実装石が草むら をかき分け現れた 「親玉の登場ってところか?」撃たれた左手を押さえながら敏子が言う。 『よくも私の王国をこんなにしてくれたデスね!たっぷりとお仕置きして、奴隷に してやるデスゥ!』そう言って力の象徴であろうデスゥンガンを振り回す実装石、 いや、その肥え太った巨体は国宝石に分類できるだろう。 その巨体と手にした武器で公園を支配していた国宝石は、二人の乱入者のせいで自 分の王国が崩壊していく様を見せられ、重い腰を上げたのだった。 『這いつくばって命乞いをするデスゥ!』 「は、お断りだね!」対峙した二人、いや一人と一匹の銃が吠える。 敏子の放った銃弾は国宝石をかすめ、その後ろに付き従った実装石をミンチにする。 一方、国宝石の放った銃弾も敏子にはかすりもせず、その後ろにいた実装石にめり 込む。 不意を突かれ左手に銃弾を受けた敏子だが、元々動きの鈍い実装石が相手なら、玉 を避けるのは造作もない。 しかし、敏子の放った銃弾さえ当たらないのはどういう訳か?その答えはすぐに出 た。 『ちょこまかと動き回りやがってデスゥ、やっとで弾切れデスか?、デ?』敏子の 銃が弾丸を吐き出さなくなったことに気がついた国宝石だが、周りの様子に気がつ いた。 「ようやっと気がついたか?」敏子と国宝石の周りには実装石たちの死体が転がり、 公園の中で動いている者はすでにいなかった。 敏子は、国宝石を狙うと見せて、その周りの実装石を撃ち、また巧みに動き回り、 避けた銃弾が後ろの実装石に当たるように仕向けていたのだった。 『殺してやるデスゥ!いやその前に裸にひん剥いて、糞を塗りたくってやるデス ゥ!』敏子が弾切れになったことにいい気になって国宝石が吠える。しかし・・ 「デガァ!」国宝石の手の中で、いや、国宝石の手首ごとデスゥンガンがはじき飛 ばされる。 その機を逃さず、敏子の回し蹴りが国宝石の頭にヒットする。独楽のように回転し ながら吹き飛ばされた国宝石の腹を敏子は踏みつける。 『今なら許すデスゥ!這いつくばって許しを請うなら奴隷にしてやるデスゥ!』完 全に負けが決定しているのに、この態度。さすが糞蟲の頂点に立つ国宝石だ。利明 はそんなことを考えながら、射撃位置から身を起こし、敏子に近寄る。 その足音に気づき、敏子は利明を見る。その瞳にはまだ燃えさかる狂気があった。 「とっしー!そいつを!よこせーー!」どこかのアニメの主人公のような台詞を叫 ぶ敏子に利明は愛銃を渡す。 敏子は国宝石を踏みつけたまま零距離で狙撃銃をぶっ放す。 「バス!」「デェ!」国宝石の右腕がミンチになる。 「ジャキ!」「バス!」「デェ!」装填音、発射音、国宝石の悲鳴が妙なリズムで 公園に響き渡る。 「凄いぞ!さすが国宝石だ!こんなになってもまだ生きてる!そら!そら!」敏子 は興奮したように何発も国宝石の身体に打ち込んでいく。零距離で放たれる銃撃に 返り血が敏子を染めていく。 敏子の射撃ですでに国宝石の四肢は無く、腹部にも複数銃撃され、ミンチ状になっ ている。頭も四分の一が砕けているが、デェデェ鳴く声にはまだ力がある。 『デェ…ニンゲン…何でこんなことするデス・・私たちが何をしたというデス・・』 「……お前、自分の巣に他の糞蟲が入りこんで来たら、どうする?」 『??決まってるデスゥ!そんな糞蟲、たたき殺して喰ってやるデスゥ!』 「なんだ、解ってるじゃないか?」 『デェ?』 「お前らは人間のために作られた公園を占拠した。それが理由の一つ。」 『デェ!?』 「もう一つ質問。お前、自分の子の餌を他の糞蟲に奪われたらどうする?」 『決まってるデスゥ!そんな糞蟲たたき殺して、ワタシの子の餌にしてやるデス ゥ!』 「やっぱり解ってるじゃないか?」 『デェ?』 「お前たちは公園で遊んでいる人間の子供らを襲って、そのおやつのお菓子を奪っ って喰った。それが理由の2。」 『デデェ?!?』 「まぁ、そんなことはアタシにはあんまり関係がないんだ…要は…」敏子が銃をコ ッキングし、国宝石の口に銃口を押しつける。 「お前たちが糞蟲だからだよ!ヒャハハハハハハハハハ!」狂った様な笑い声とと もに引き金を絞り、国宝石は顔面の中心に大穴を開けられ絶命した。 「ヒャハハハハハハハハハハ!」国宝石が絶命して尚、敏子はその骸に弾丸を撃ち 込み続けた。 全弾を撃ち尽くして尚、数回空撃ちをして、やっと敏子の狂気は収束していった。 その足下には国宝石の巨体にふさわしい量の挽肉… 「終わったな・・」利明の呼びかけに敏子は振り返る。 「とっしー・・」敏子は気怠げな声で利明に近寄ってくる。その目は興奮で潤み、 息も荒い。 「敏子・・」利明は身の危険を感じた。この状態の敏子は危ない。そう経験が教え、 生存本能が逃げることを要求するが、蛇ににらまれた蛙のごとく動くことができな い。 「とっしー・・」 「ぅああああーー!」利明の魂切る叫びが公園に響き渡った。 「ああ、またやっちまった・・」朝日の差し込むベッドの上で、利明は後悔の言葉 を漏らす。 利明の横にはシーツに身をくるむ敏子。 「そりゃ、敏子のおかげで魔法使いにならないですんでるけどさ・・」20歳の頃、 サバゲーチームで一緒になり、実装駆除を始めて以来、かれこれ6年のつきあいに なる。 「もうちょっと色っぽくいかないもんかね?」敏子は実装石駆除の作戦を終えると いつもその興奮のまま利明を「喰らう」のだ。それは男と女の交わりなどではなく、 まさに「捕食」に近かった。(細部略) この行為のせいで利明は敏子に恋愛感情を持てずにいた。しかし、そのおかげで男 女のどろどろとした関係にならずにすんでいるともいえるが、敏子以外の女性経験 のない利明に解ろうはずもない。 「まぁ、いいか。」満足そうな寝顔の敏子を見て、利明はそう呟く。 「次は、どんな銃を作ろうかな・・」 調子に乗って3作目を投下 国宝石でSACごっこがしたくて書いた厨スク お目汚し失礼
