タイトル:【馬】 変身しても、いいですか? PART-3(LAST)
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初投稿日時:2006/10/18-19:59:18修正日時:2006/10/18-19:59:18
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変身しても、いいですか?PART-3


 ここは、銀河太陽系第三番惑星。
 「地球」と呼ばれ、過去多くの怪獣や異星人からの侵略行為を受けてきた、本来ならば悲劇に
満ちた筈の星。
 しかし、いまだかつて一度たりとも、この星が異星人に占領された事はない。

 なぜか。
 それは、我々一族が守り続けてきたからだ。


 ——デッスゥ♪






第6話 【恐怖のルゥト28】


「——ご臨終です」

 医師の、冷静な一言が、場の空気を一変させる。
 微かな、ほんの微かな希望にすらすがりたいと願っていた家族の思いが、粉々に打ち砕かれた。
 心電図が、白い一本の線を記す。
 ほんの今まで、僅かではあるが、山と谷を…命の軌跡を描いていたのに。

 ベッドの上で眠る少女は、全身を包帯で包まれたまま、二度と笑わなくなった。

「———美穂おぉぉぉっっっっ!!!」
「美穂、ミホぉぉぉっっっ!! うわあぁぁぁぁぁっっっ!!!」

 父親と母親の、身を裂くような泣き声が、病室に響き渡る。



「ルト?」

 とある一軒の家。
 その一室に置かれた鳥かごの中で、一匹の仔実装燈が、何かに気付く。

 そして…突然泣き出した。

 遠く離れた病院で、今、ご主人様が——死んだ。
 なぜか、彼女にそれがわかったのだ。

「ルト……ルト、ルト、ル……ルトオォォォッッッッ!!!!」

 実装燈は、泣いた。
 生まれて初めて、心の底から泣いた。

 死に掛けていた自分を、必死になって治療し、育ててくれたご主人様。
 優しく、暖かく、そして厳しく大切に躾けてくれた…大切なご主人様。
 実装燈は、ご主人様を…たった今、天に召した少女・美穂を、心の底から尊敬し、愛していた。

 美穂の魂が、天に昇っていく。
 実装燈は、それを窓から見つめていた。
 否、本当にそんなものが見えたのかはわからない。
 だが実装燈は、そう信じた。


 美穂との散歩中に、突然車が飛び込んできた。
 美穂は、とっさに実装燈を空に飛ばしたが、自分は逃げられなかった。
 車に激しく跳ね飛ばされ、沢山血を流して、血に伏せた。
 実装燈は、それを一部始終見ていた。

 ——轢き逃げだった。
 
 美穂は、それ以来意識を取り戻す事はなかった。

「ル…ト…」

 実装燈の中に、何か例えようのない、強い感情が生まれた。


 許せない…許せない…許せない!!!




  絶 対 に 、 許 せ な い !




「ル、ルトオォォッッッ!!!!」


 ガシャアン!!

 窓を突き破る。
 ご主人様と、その家族と楽しく過ごした家を飛び出し、実装燈は、闇夜に舞った。

 ——復讐

 そのためだけに。


 彼女の感情は、一色に染まっていた。
 怒り・悲しみ・苦しみのすべてが、復讐の原動力へと変化する。
 そしてそれは、実装燈である彼女に、本来ありえない筈の力を授けた。


 ル゛ドオ゛オ゛ォォォォォッッッッ!!!


 体長60メートル、重量三万トン。
 巨大な翼を持つ怪獣・ルドラに転じた実装燈は、憎しみを晴らすためだけに、活動を開始した。



      *      *      *



 まったく、世知辛い世の中だ。
 ワタシはウルト○マンデェス。
 遠い所からやって来た宇宙人で、普段は実装石の姿を借り、いざとなったら変身して怪獣を倒す
事が目的だ。

 ワタシは先日飼い主の家から追い出されてしまい、再び野良の戻ってしまった。
 まったく、ただ冷蔵庫の残り物を片付けて、棚の裏にあったヘソクリを引っ張り出してドリキャスを
買ってきて、それでシェンムーをやっていただけではないか。
 ただそれだけなのに、飼い主はブチ切れてドリキャスを破壊してしまった。
 まったくもぅ、たかがその程度でキれる飼い主など、こちらから願い下げだ。
 しかもあれ、MILCD非対応版じゃないかったんだぞ!
 奴隷の分際で立場をわきまえないものだから、ワタシは家の中にパンコニウム光線を叩き込んで
飛び出して来たわけだ。
 ちょっと本気を出しすぎて、マンション街の半分ほどが燃えてしまったが、これも自業自得という
ものだ。
 まあこれに懲りず、素敵な人生を見つけて過ごすが良かろう。

 おお、まだ黒い煙が上がっている。
 消防隊の諸君、周辺住民のためにも、とっとと消化沈災してくれたまいよ。


「初めましてデス。外から来たお客様デスか?」
「デ?」

 初めて行く公園に出向くと、そこに住む野良実装共が、丁寧な挨拶をしてくる。
 どうやらここは、なかなか賢く礼儀正しい者達が集まったコミュニティのようだ。
 これは好都合だ。せっかくだから、色々と世間話をさせてもらおう。
 ワタシは、親実装達の井戸端会議に混ぜてもらい、最近変わった事がなかったか、情報収集を
試みる事にした。


「デジャアァッッッッ!!! か、髪が! 髪がぁぁっっっ!!!」

「な、何をするデスゥッ!! ノロマ、大丈夫デスかぁっ?! ——ゲベシッ!?」

「ママー、ママー、タチュケテテチュー!! ……テブシ!」

「デギャアァァッッ!! こ、子供が食われたデスぅぅぅっ!!!」


 平和なコミュニティと言っても、野良実装が相手だ。
 初顔合わせで舐められないように、軽く挨拶をかましておかねばならない。
 あっという間に、その場に居た実装石が半分くらいに減ってしまったが、構わず話しかける。

「お前達、最近何か変わった事はなかったデスか?」

「い、いいい、今あんたが来た事が一番変わってるデスゥ」

「くだらない事言ってると、ここにいる貴様とは何の関係もない蛆ちゃんを食い千切るデス!」

「レフーレフー♪ …レピャッ!」

 がぶりっ

「レチャアァァッッ!! 蛆チャーン!」

 賢いと言っても、所詮は根元的知能レベルの差なのか。
 なかなか話が合わないので、ワタシは仕方なく、公園のコミュニティをほぼ壊滅状態に追い込み、
奴隷として生き残らせた数匹の仔実装からじっくり話を聞く事にした。
 まったく、ワタシはただ話を聞きたいだけなのに、どうしてこんな手間をかけさせるのか。
 禿頭にされ偽石を取り除かれた仔実装の一匹が、弱々しい声でワタシに話しかけた。

「そういえば、昨日ママが話していたテチ。とっても大きな実装燈が、お空を飛んでたみたいテチ」
「ワタチも聞きましたテチ! お空が見えなくなっちゃうくらいおっきな実装燈テチ!」
「お顔がとっても怖いんテチュ。手にジドーシャを持ってるんテチュ」

 巨大な実装燈?
 いつぞやの禿蒼野郎みたいに、おかしな放射能物質でも食ったのか?
 しかし実装燈は、確か乳酸菌しか摂取出来ない生き物だと聞いている。
 乳酸菌に放射能でも混じってたのか?

「それを観たという実装石を今すぐここに連れて来いデス」
「テ? テ…テチュ…」
「どうしたデス? 早く連れて来いデス」
「そ、その人は…ママは、ボスがさっき殺して食べちゃったテチュ」

 ボスとは、つい先ほど就任したワタシのことだ。

「なんだと! では、どうしてもっと早くその話をしないデスか、この役立たずめが!」
「テチャ〜〜〜っ!!!」

 ガブリ、ガブリ、ガブリ…ゴクン

 反抗的な仔実装奴隷は、瞬時にワタシの胃袋へと消えた。

 巨大な実装燈ねえ。
 どこに出るのかもわからず、めんどくさくなってきたので、ワタシはせっかく出来た我が王国で
しばらくのんべんだらりとする事を決めた。
 一番大きなダンボールハウスを陣取り、一匹の仔実装を枕に改造してごろりと横になる。
 他の仔実装共には、食料を探しに行かせた。
 もちろん、探して来れなかったらお前等が餌だと伝えて。


 数時間後、生ゴミばかり集めてきた奴等はワタシの怒りを買い、すべて胃袋の中に収められた。
 まったく、どこもかしこも役立たずばかりだ。
 公園の王国は、一日にして奴隷を使い切ってしまい、崩壊した。
 でも、あと数ヶ月放置しておけば、ここに新しいコミュニティが生まれるだろう。
 最近、賢くて優秀な実装石食いというコアな趣味に目覚めたワタシは、いずれここに、さらに高度
なコミュニティ(自分専用の餌場)が形成される事を祈った。



      *      *      *



 ——その頃、ルドラはあらゆる所に出現し、次々に自動車を襲っていた。

 狙われるのは、主人を轢き殺したクルーザータイプの大型の車。
 特徴的なカンガルーバンパーを記憶していたルドラは、似たようなものが付いている車を無差別
に襲い、捕まえ、握り潰し、或いは上空から叩き落した。
 被害は甚大で、すでに数百台もの車と千人近い人間の命が奪われていた。
 しかし、地球防衛軍DESHARが駆けつける頃には、忽然と姿を消している。
 無駄足を踏まされたDESHARのクルーは行き場のない怒りに包まれた。

 まったく、ウルト○マンデェスは何をしてやがるんだ!
 ただでさえ、最近はろくに出てこなくなったってのに!
 出てくる度に被害広げやがってるくせに、大事な時にはてんで役立たず!
 あいつの方が怪獣みてぇじゃねーか!

 DESHARクルーのボヤきは、いまや組織全体の総意となりつつあった。


 と、そんな事を思いながら基地目指して飛んでいたデッシャーホーク2号が、突然、空中で停止
した。
「?!」
 思わずムチウチになる所だったクルーが、何事かと思って見回すと…


 デスッ!!

 突然出現したウルト○マンデェスに、機体を捕まえられていた!
 

「な、なんだぁ?! 何しに出てきやがった?!」


 デスッ! デスデス、デスっ!!


「おい隊員B、あいつ、なんて言ってるんだ?」
「はい…えーと、翻訳しますと。“お前等、でっかい実装燈見なかったデスか?”との事です」
「今更おせーよ! もうとっくに消えちまった!」


 デス? デスデス、デッス〜。デプププフ


「隊員B、今度はなんだって?」
「“つまりおまいら、実装燈如きに逃げられてむざむざ逃げ帰る所だったんデスね?
 デプププ、情けない役立たずデス、これはお笑いデス〜”だそうです」
「な、な、なんだとぉ〜!!!」


 デッス〜♪ プゲラッチョ


「“だったら奥の手を使うから、お前等はもう用済みデス。とっととケツまくって帰りやがれデス”
 だそうです」
「なんて事いいやがるんだウルト○マンのくせしやがって! …それにしてもスゲーな
 デッシャーホークって。いつのまにウルト○マンの言葉の翻訳装置なんか付けたんだ?」
「いえ、ハナマルキ隊員、これは…」
「どうした?」

「今のは、私のケータイの実装リンガルのアプリで…」




      *      *      *



 
「——ご臨終です」

 ベッドの上で眠る少女は、全身を包帯で包まれたまま、二度と笑わなくなった。

「———佳奈美いぃぃぃぃっっっっ!!!」

 両親の、身を裂くような泣き声が、病室に響き渡る。


「ルト……ルト、ルト、ル……ルトオォォォッッッッ!!!!」

 実装燈は、泣いた。
 生まれて初めて、心の底から泣いた。

 佳奈美の魂が、天に昇っていく。
 実装燈は、それを窓から見つめていた。

 数日前。
 佳奈美との散歩中に、突然車が飛び込んできた。

 ——轢き逃げだった。
 
 許せない…許せない…許せない!!!


「ル、ルトオォォッッッ!!!!」


 ガシャアン!!


 ル゛ドオ゛オ゛ォォォォォッッッッ!!!


 体長60メートル、重量三万トン。
 巨大な翼を持つ怪獣・ルドラに転じた実装燈は、憎しみを晴らすために活動を開始した。




      *      *      *





「——残念ですが…手遅れでした」

 ベッドの上で眠る少女は、全身を包帯で包まれたまま、二度と笑わなくなった。

「———良子おぉぉぉっっっっ!!!」

 両親の、身を裂くような泣き声が、病室に響き渡る。


「ルト……ルト、ルト、ル……ルトオォォォッッッッ!!!!」

 実装燈は、泣いた。
 生まれて初めて、心の底から泣いた。

 良子の魂が、天に昇っていく。
 実装燈は、それを窓から見つめていた。

 ——轢き逃げだった。
 
 許せない…許せない…許せない!!!


「ル、ルトオォォッッッ!!!!」


 ガシャアン!!


 ル゛ドオ゛オ゛ォォォォォッッッッ!!!


 巨大な翼を持つ怪獣・ルドラに転じた実装燈は、憎しみを晴らすために活動を開始した。




      *      *      *




 ワタシは、ここに来る前に手近の乳酸菌飲料製造工場を襲い、巨大なタンクを運んできた。
 そしてこれを、甲州街道から環八にかけて、どべばとぶっかける。

 ドボドボドボドボ

 キキーッ!
 ドカアァァン!!!

 キャアァァァッッ

 大量の液体が、周囲を甘酸っぱく染めていく。
 みるみるうちに、人間や建物、車が流されていく。
 乳酸菌飲料に流されて死ぬなんて、滅多に出来ない経験だ、せいぜい堪能してくれたまい。

 やがて…


 ル゛ドオ゛オ゛ォォォォォッッッッ!!!

 ルドラがやって来た。
 おお、確かに、ただデカイだけの実装燈。
 よしよし、ここまでは計算通りだ。

 実装燈のルドラは、ただでさえ栄養摂取方法が限られているのに巨大化したものだから、色々
と厳しい状況に追い込まれている筈。
 だから、このように大量の乳酸菌飲料をバラ撒かれると、匂いに抵抗出来ずに、思わず姿を
現してしまうのだ。
 フフフ、こんな単純かつ効果的な作戦を、なぜDESHARは行わなかったのだろうか。

 ル゛ドオ゛オ゛ォォォォォッッッッ!!!

 ド・ズゥゥゥン!!

 ルドラが着地し、どんどん流れていく乳酸菌飲料に目を奪われている。
 よし、一気に決めるぞ。

 パンコニウム光線!

 デジャビイィィィィム!!!

 スカッ

 ドドオォォォォン!!!

 ルドラは、光線を軽やかにかわした。
 外れた光線が遥か彼方で着弾し、爆炎を上げる。
 消防隊の諸君以下略。

 デスゥッ?!

 飛び上がったルドラは、なんと真上から落下してワタシを押さえ込む!

 デジャアアッッ!!!

 ル゛ドオ゛オ゛ォォォォォッッッッ!!!

 ワタシは、背面からマウントポジションを取られた形になった。
 あーあ、何台もの車が押しつぶされちゃったよ。
 保険屋さんの敵、ルドラめ。許さないぞ!


 デスンデスンデスンデスンデスン


 ところが、その時突然カラータイマーが鳴り始めた。
 まずい、もう時間がない!
 しかし、意外に…というかベラボーに重いルドラは、非力なワタシをガッシリと押さえ込み、ビク
ともしない。
 なんでこいつ、こんなに重いのに飛べるんだよ!
 やがて、なにやら怪しげな動きを始める。
 ワタシは、首の辺りに妙な痛みを感じた。

 デスッ?! デッ、デッ、デッ、デッ!!

 ——何だろう?
 ワタシが肉体を完全に乗っ取った筈の実装石が、心の中で何かを必死に唱えている。
 ワタシは、彼女の意識にシンクロした。


 どうしたデス? 何をそんなに慌てているデス?

「デェス大変デス! あいつは、ワタシ達の身体に幼生を産みつけやがったデス!」

 幼生? どうしてそんなことを?

「アイツは実装石の身体に幼生を産んで増える寄生虫なんデス! このまま放っておいたら、
 ワタシ達は共倒れデス!」

 ……なるほど、そう来たデスか。

「何落ち着いてやがるデスこの役立たず! とっととアイツを始末して脱出するデス!」

 いや、その必要はないデスから。

「デ…?」


 シュワッ!


 状況を理解した以上、こんな状態で長居は無用。
 ワタシは、初めて地球に来た時と同じエネルギー球状態になり、元の実装石の身体から離れた。

「デ、デシュ〜〜?!」

 そこに残ったのは、元ウルト○マンデェスだった巨大な肉塊…今は単なる「死にかけた超巨大
実装石」になってしまった者と、それにまたがるルドラのみ。

 緊急脱出に成功したワタシは、エネルギー体の状態で周囲を観察する。
 すると、少し離れた所にあるマンションの窓際に、飼い仔実装の姿を確認する。
 ワタシはその肉体を強引に乗っ取り、間髪いれずに再変身した。

「テチッ?! ———テチュワァァッッッ!!!」

 この間、なんとわずか30秒!
 仔実装と飼い主には大変気の毒だが、地球のためだ、この際人生すべてを諦めてくれ。

 テチュワッッ!!!

 ギュウィィィィィィン!!!!


 ドガアァァン、ガラガラガラ…!

 ウルト○マンデェス、登場!

 マンションを粉々に破壊して、仕切り直し変身!
 今度は、ルドラの裏側に回る事が出来た。


 ル゛ドオ゛ォッ!

 こちらに完全に振り向く前に、パンコニウム光線を食らわしてくれる!

 デジャビィィィィィィムッ!!

 ドガアァァンン!!!

 ル゛ドオ゛ア゛ァァァァァァッッッッ!!!


 ズドボオォォォン!!!


 パンコニウム光線は、見事にルドラの頭部を吹き飛ばした。
 ま、身体と、以前のワタシの身体が残ってしまったが、ほっときゃDESHARが片付けてくれる
だろう。
 ワタシはとっとと空へ飛び上がり、新しい姿・仔実装に戻…ろうとした。



 ル゛ドオ゛オ゛ォォォォォッッッッ!!!


 聞き覚えのある声が、上空が聞こえてくる。
 振り返ると、なんと! さっき倒した筈のルドラが、こちらに向かって襲い掛かってくるではないか!

 ル゛ドオ゛オ゛ォォォォォッッッッ!!!


 飛び上がったルドラは、なんと真上から落下してワタシを押さえ込む!

 テチュワアアッッ!!!

 ル゛ドオ゛オ゛ォォォォォッッッッ!!!

 ワタシは、背面からマウントポジションを取られた形になった。
 あーあ、またまた何台もの車が押しつぶされちゃったよ。
 保険屋さん以下略


 デスンデスンデスンデスンデスン

 ところが、その時突然カラータイマーが鳴り始めた。
 まずい、もう時間がない!
 ワタシは、またまた首筋に痛みを感じた。

「デェス大変テチ! あいつは、ワタチ達の身体に赤ちゃん産みつけたテチ!」

 エエ〜、またぁ?

 ワタシは、再度エネルギー球状態になり、元の仔実装の身体から離れた。

「テ、テシュ〜〜?!」

 そこに残ったのは、元ウルト○マンデェスだった巨大な肉塊…今は単なる「死にかけた超巨大
仔実装」と、それにまたがるルドラのみ。

 近くの公園で、呑気に餌探しに出ているおマヌケさんの実装親子を発見する。
 ワタシはその親実装の肉体を強引に乗っ取り、仔実装をすべて食い尽すと再変身した。

 デシュワッッ!!!

 ギュウィィィィィィン!!!!


 ウルト○マンデェス、またまた登場!

 それ食らえ、パンコニウム光線!

 デジャビィィィィィィムッ!!

 ドガアァァンン!!!

 ル゛ドオ゛ア゛ァァァァァァッッッッ!!!


 ズドボオォォォン!!!


 パンコニウム光線は、見事にルドラの左半身を吹き飛ばした。



 ル゛ドオ゛オ゛ォォォォォッッッッ!!!


 聞き覚えのある声が、またまたまたまた上空が聞こえてくる。
 振り返ると、なんと! もう三匹も倒した筈のルドラが、懲りもせずこちらに向かって襲い掛かって
くる。

 ル゛ドオ゛オ゛ォォォォォッッッッ!!!


 飛び上がったルドラは…はいはい、マウントポジションね。
 今度は仰向けで待機する。

 デシュワアアッッ!!!

 ル゛ドオ゛オ゛ォォォォォッッッッ!!!


 デスンデスンデスンデスンデスン

 カラータイマーが鳴り始めた。
 おい、なんかだんだんいい加減になってくるな。

「デェス大変デッスゥ! あいつは、ワタシ達の身体に…」
 いや、もうわかってるから説明はいいデス。

 ワタシはエネルギー球状態になり、元の親実装の身体から離れた。

「デ、デッシュ〜〜?!」


 近くのビルの隙間で、貧しくも健気に生きている実装石の家族を発見。

 デシュワッッ!!!

 ギュウィィィィィィン!!!!


 ウルト○マンデェス、ビルをまとめて突き崩してまたまた登場!

 うりゃっ、パンコニウム光線!

 ドガアァァンン!!!

 ル゛ドオ゛ア゛ァァァァァァッッッッ!!!



 聞き覚えのある声が、またまたまたまた上空が聞こえてくる。
 振り返ると…あ〜めんどくせ。

 ル゛ドオ゛オ゛ォォォォォッッッッ!!!


 はいはい、ここにまたがってね。面倒は嫌いだぜ。

 デシュワアアッッ!!!

 ル゛ドオ゛オ゛ォォォォォッッッッ!!!


 デスンデスンデスンデスンデスン

 カラータイマーね、はいはい。
 
「デェス大変デシャアァッッ! ……」


 結局、なんと合計28匹ものルドラがこの場所に襲来し、ワタシはその都度近くの実装石の助力
を得て倒し続けた。
 時々、マラ実装と合体してしまいパンコニウム光線じゃなくて「大マラダイナマイト」を使って
しまったり、間違えて実蒼石に合体して「八つ裂き光輪」を出したりしてしまったが、なんとか任務
は果たした。
 周辺はもはや原型を留めないくらいぐしゃぐしゃになったが、これも平和を守るための少々の
犠牲と諦めてもらうしかない。

 どうやら、実装燈がルドラ化したのと同じプロセスを踏んだ奴が、たまたま大量発生していたらしい。
 そこに、こんな餌撒きをしたものだから、そりゃみんな寄ってくるわな。
 まー、世の中アンバランスゾーンって事で。


 いつも来るのが超遅いデッシャーバルチャーが現場に辿り着く前に、私はとっととトンズラこく事
にした。



 それにしても、意外に便利だな、この緊急脱出法。
 今度から、やばくなったらこれ使おうっと。
 まー、以前にもこれと似たような事やってるウルト○マンが居たからな、気にしない気にしない。

 ちなみに、ルドラは結局、仇の車を見つけられませんでしたとさ。




「テッチテッチテッチ♪」


 なんとなく仔実装化した時の感覚が気に入り、ワタシは次の肉体も仔実装にした。
 テチテチと近所の公園に出向き、そこで早速新しいドレイニンゲンを確保する。
 何度目にあたるかもうわからない新居にやって来ると、テレビを付ける。


「現在東京では、実装燈の異常発生が確認されています。
 先日、ウルト○マンデェスの死体に産み付けられた、怪獣ルドラの卵が一斉に孵化し、広まった
模様です。
 その数は推定二十万匹と見られ…」

 うわー、DESHARのバカ共め。
 とっととワタシ達の死体を処分しないもんだから、エラい事になってるではないか!
 ふと窓を見ると、無数の実装燈が飛んでいる。

 ルトールトー、ルトールトー

 
 ルトールトー、ルトールトー ルトールトー、ルトールトー ルトールトー、ルトールトー ルトールトー、ルトールトー ルトールトー、ルトー

 ルトールトー、ルトールトー ルトールトー、ルトールトー ルトールトー、ルトールトー ルトールトー、ルトールトー ルトールトー、ルトールトー
 ルトールトー、ルトールトー ルトールトー、ルトールトー ルトールトー、ルトールトー ルトールトー、ルトールトー ルトールトー、ルトールトー
 ルトールトー、ルトールトー ルトールトー、ルトールトー ルトールトー、ルトールトー ルトールトー、ルトールトー ルトールトー、ルトールトー
 ルトールトー、ルトールトー ルトールトー、ルトールトー ルトールトー、ルトールトー ルトールトー、ルトールトー ルトールトー、ルトールトー
 ルトールトー、ルトールトー ルトールトー、ルトールトー ルトールトー、ルトールトー ルトールトー、ルトールトー ルトールトー、ルトールトー
 ルトールトー、ルトールトー ルトールトー、ルトールトー ルトールトー、ルトールトー ルトールトー、ルトールトー ルトールトー、ルトールトー

 この異常発生のおかげで、都内の実装石は飼い・野良問わず壊滅的ダメージを受けるのだが、
安全圏を確保したワタシには無関係の話だった。


 次のニュースは、大量発生した実装燈にフロントガラスを覆われ、カンガルーバンパーを付けた
ランクルが立て続けに事故りまくり、それぞれの運転手が全員死んでしまったという痛ましい内容
だった。

 運が悪いってのは、実装石だけの特権じゃないんだねー。

 ワタシはそう思いながら、ドレイニンゲンが差し出した実装フードなるものを口に運んだ。


「テチッ! テチテチテチ! テッチャ———ッ!!」

 なんだこのまずいものは!
 金平糖とステーキを持ってこい、この役立たずの糞人間め!
 誰がこの地球を守ってやってると思ってるんだ!

 
 ワタシは、そっと片手を天に向けた。



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第7話 【さらばウルト○マンデェス】(最終回)


 
『デェス! 出てきやがれ!! もう許しちゃおけねぇ!!』
『まったくだわ! あいつのせいで、いつもうちが迷惑被るんだから!』
『今度出てきやがったら、新開発のデェスコロリビームをお見舞いしてやる!』
『地上は、超巨大ドドンパドリルミサイル射出準備が整ってるぜ!』

 物騒な発言をわざわざスピーカーでがなり立てながら、デッシャーホーク達が今日も飛んでいく。
 まったく、失敬な。
 ワタシがいったい何をしたというのだ。


 ワタシの名はウルト○マンデェス。
 地球においしい物を食べに来たついでに、暇潰しで怪獣や他実装を虐待するためにやって来た。
 しかし、ワタシの活躍でニンゲン共の平和と安全は副産的に守られている筈なのに。
 まったく、地球防衛軍という輩は恩知らずな奴だな。


 ワタシは、これまで大変多くの戦いを勝ち抜いてきた。
 二代目ナノチャワ星人、六足二頭実装金、クジラの死体、ツインテール、超獣ドリームギラス
(顔が実装石そっくり)、U-40星人、東京タワー、怪獣ヨンガリ、ダイボイジャー、ミクラス、
ウインダム等…実に多くの死闘を繰り広げた。
 それなのに、ニンゲンのこの態度はなんだというのか。

 許せん。
 前から思っていたが、そろそろ奴等に身の程というものを教えてやる必要がありそうだ。
 ワタシは、あえてデッシャーホークの挑発に乗ってやることにした。


 テチュワッ!

 
 ギュウィィィィィィン!!!!


 ウルト○マンデェス、登場!

 奴がこっちに気付くよりも先に、パンコニウム光線発射だ!


 デジャビィィィィム!!!


「うわーっ! いきなり卑怯なぁぁっっっ?!?!」


 チュドボオォォォォン!


 テシャシャシャシャ♪

 無様に砕け散るデッシャーホーク。もちろん、脱出した隊員は即座に捕まえ、口の中に放り込む。

「ぐわぁ———っ!」

 ぱくっ、ぺろり。

 え、ウルト○マンのくせに食うなって?
 何を言うか、初代ウルト○マンだって、良く見ると口の中にちゃんと歯が生えているんだぞ。

 続けて、DESHARの戦闘機と母艦が次々にやって来る。

「デェスを倒せ! ハナマルキ隊員の仇を討つんだ!」
「よし、実装フードばら撒き作戦!」
「次は、偽石栄養剤漬け作戦!」
「トドメは、四肢切断両目赤色化強制出産作戦だーっ!!」


 テチュワッ!!

 デジャビィィィィィム!

 ——チュド・ボオォォォォン


 勇敢な戦士達は、夕陽の空に散り、消えた。


 プゲラッシャッシャッシャッシャッシャッ♪

 さ〜て、次はDESHARの本部を叩き潰しに行くかな。
 そうすれば、もはやこの地球でワタシに逆らう奴などいない!
 地球のあらゆる食べ物を、生き物を食い尽してくれる!

 ワタシは無敵の、ウルト○マンデェスだぁっ♪






 「デッス——ン」 ピポポポポポポポ







 「デッス——ン」 ピポポポポポポポ






 「デッス——ン」 ピポポポポポポポ







 奇怪な泣き声が聞こえる。

 ふと見ると、夕陽を背に佇む、一匹の巨大怪獣の姿があった。
 ふっふっふ、何者か知らないが、調子付くワタシの前に出てくるなんてなんというおろかな!

 テチャッ!

 デジャビィィィィム!!!

 パンコニウム光線を炸裂させる!
 こんな雑魚に、いちいち構っている時間などないわっ!


 ——しかし。


 ビィィィィン

 バチバチバチ!

 何? バリヤー?!
 パンコニウム光線が、ワタシに跳ね返ってきた! 


 デジャビィィィィィム!!!

 テチャッ?!

 ドガァァァン!

 テチュワァァッッ?!!?



 「デッス——ン」 ピポポポポポポポ



 なぜだ? なぜだ?
 混乱したワタシは、もう一度パンコニウム光線を放ってみた。

 デジャビィィィム!

 ビィィィィン

 デジャビィィィム!

 ドガァァァァン!!

 今度は、咄嗟に近くの高層マンションを盾にして、防ぎ切った。
 ダメだ、奴にはパンコニウム光線が効かない!
 バリアで完全に跳ね返されてしまう。


 「デッス——ン」 ピポポポポポポポ


 と、突然、奴の鳴き声がワタシの足下から聞こえてきた。
 なんと、ついさっきまで遥か彼方にいたあいつは、今轟々と燃えている高層マンションの中に
すっぽり入り込み、緑と赤の目でワタシを見つめていた!


 テチュワッ?!

 「デッス——ン」 ピポポポポポポポ


 にゅるっ。
 にゅるるるるるるるるるるっ。

 デ?



 「デッス——ン」 ピポポポポポポポ


 全身を薄い布のように変えて、奴はマンションの中からぬるりと抜け出してきた。
 そして、ワタシの目の前に立ちはだかる。
 なんだ、なんだ、なんなんだこいつは?!
 こんな奴は、初めてだぞ!



 「デッス——ン」 ピポポポポポポポ
 「デッス——ン」 ピポポポポポポポ
 「デッス——ン」 ピポポポポポポポ
 「デッス——ン」 ピポポポポポポポ


 テチュンテチュンテチュンテチュンテチュンテチュン

 カラータイマーが鳴り始めてしまう。
 だがワタシは、地球に来てから初めて味わう絶対的な恐怖に凍り付き、それどころではなかった。

 ——八つ裂き光輪!

 「デッス——ン」 ピポポポポポポポ

 バキッ!

 ——バーチカルギロチン!

 「デッス——ン」 ピポポポポポポポ

 スカッ

 ——実はこっそり盗み出しておいた、キングブレスレット!

 「デッス——ン」 ピポポポポポポポ

 ぱくっ、ゴクン

 「デッス——ン♪」 ピポポポポポポポ

 ——流星キック!

 「デッス——ン」 ピポポポポポポポ

 上段当て身投げ! ブンッ!!

 テチュワァッ!

 「ハッハ——ン♪」 ピポポポポポポポ


 ——初公開! 本編中たった一回しか使わないレア技・ウジプニレピャピャストリーム!!

 レピャピャピャピャ!

 つるん

 「デッス——ン」 ピポポポポポポポ

 こ、光線が滑っただと?!

 ——ウルトラダイナマイトっっっ!!

 チュ・ドオォォォォォン!!!!

 「デッス——ン」 ピポポポポポポポ

 ああっ、ワタシの散らばった身体を食うなっっ!!!

 ——最終奥義っ!! シルバーブルーメ召喚!

 「デッス——ン」 ピポポポポポポポ

 うわっ、水晶玉まで食べられてしまった!


 テチテチテチテチテチテチテチテチ

 いよいよ、カラータイマーが限界を訴え始める。
 こうなったら、この身体を捨てて別な実装石の身体を乗っ取ってやればいい。

 いや、待てよ?
 そういえば、こいつも緑と赤の目を持ち、緑の頭巾と服、前掛けをはおり、靴を履いている。
 なんだ、ただ巨大化しただけの実装石じゃないか!
 だったら、こいつの身体を乗っ取ってしまえばいいだけの話だ。
 頭巾の所々に、おかしな模様があるが、そんなの大して影響はない。
 これだけ大きな実装石の身体を乗っ取れば………模様?

 ——模様だと?


 「デッス——ン」 ピポポポポポポポ

 「デッス——ン」 ピポポポポポポポ

 「デッス——ン」 ピポポポポポポポ


 思わず硬直してしまったワタシに向かって、奴は、様々な技を繰り出し始めた。

 
 ——八つ裂き光輪!

 ズバァァッッ!

 テチャアァァァッ!!!

 り、両腕が切り落とされたテチィ!


 ——バーチカルギロチン!

 ザクゥッ!!

 テ、テチイィィィィッッ!!!

 り、両脚がなくなったテチぃ〜〜!! 

 あまりに痛くて混乱して、仔実装の言葉が混じってしまってるテチィ!!

 つか、ワタシが使った技をパクるなテチィィィィッッ!!!


 ——キングブレスレット!

 カポッ、バシャアッ!

 ムググ、ムグゥッ!

 バケツに変わったブレスレットを被せられたテチ!!
 しかも、中に水が入ってたから冷たいテチ!


 ——流星キック!

 ——下段当て身投げ! ブンッ!!

 ——レイジング・ストーム!!

 スドバァァァァン!!

 ありえない連続技はタメなしサマソより反則テチィィィィッッ!!


 ——ウジプニレピャピャストリーム!!

 レピャピャピャピャ!

 急にお腹プニプニして欲しくなってきたレフ〜〜♪


 ——実装ダイナマイトっっっ!!

 チュ・ドオォォォォォン!!!!

 テチャアァァァッッッ!!! 吹っ飛ばされるテチィィィィィ!!!


 ——最終奥義っ!! 地球防衛軍全滅!

 「デッス——ン」 ピポポポポポポポ


 ドドドドオオォォォォォン!!!

 うわっ、遥か彼方のDESHAR基地が、円盤生物に飲み込まれたテチ!



 「デッス——ン」 ピポポポポポポポ

 「デッス——ン」 ピポポポポポポポ

 「デッス——ン」 ピポポポポポポポ


 こいつは…こいつはとてもじゃないが、ワタシでは勝てないテチ…!
 すっかり忘れていたテチ…
 地球には、こんなカオス極まりない、怪獣なんかより遥かに恐ろしい奴が居た事を!!



 こいつは…… 初 期 実 装 !



 「デッス——ン」 ピポポポポポポポ

 「デッス——ン」 ピポポポポポポポ

 「デッス——ン」 ピポポポポポポポ

 「デッス——ン」 ピポポポポポポポ

 「デッス——ン」 ピポポポポポポポ


 クパッ!

 穴の開いたバケツから、初期実装の様子を窺う。
 奴は、口を大きく開き、巨大な火球を吐き出そうとしていた。

 まさかあれは! 伝説の! 一 兆 度 火 炎 ?!?!


 「デッス——ン」 ピポポポポポポポ


 テ ポ ド オ ォ ォ ォ ォ ォ ン !!!



 テチュワァァァッッッッッ!



 テチテチテチテチ……………


 カラータイマーが、消えた。

 ………

 ……

 …



      *      *      *




「目覚めよ、ウルト○マンデェス」

 何者かが、なれなれしく私に声をかける。
 不思議な空間の中、見覚えのある姿が浮かぶ。
 ——あれは宇宙警備隊隊長・ゾ○ィ。

「デェスよ、お前は任務を果たせなかった。我々がなぜ実装石ではなく人間の姿を選んでいたか、
これでわかったか」

「ゾ○ィ、そんな事より早くワタシに“持ってきた命”を寄越すデス。二人分寄越すデス。同化して
 いた仔実装の分も全部ワタシに寄越すデス。とっとと寄越さないと食っちまうデス」

「…誰が、命を持ってきた、などと言った?」

「デ?」

「デェスよ。宇宙警備隊の面汚しよ。お前はもうウルト○マンではない、宇宙警備隊員でもない」

「な、何を言いやがるデスこの全身イボイボ男! しょっちゅうコーヒー飲んでるクセしやがって、
 サリーゴーなんてかっこつけるんじゃないデス! お前なんかベロクロンのミサイルでとっとと
 殺られていれば良かったデス!」

「…もし全然違う展開になったら、どう責任とるつもりなんだ?」

「いいからとっととワタシを生き返らせるデス! そしてワタシの代わりにあの初期実装ぶっ倒す
 デス! ゼットンの時も、ホントはお前が倒す予定だった筈デス! あの時サボったツケを
 今ここで払うデス!」

「すっかり実装石そのものになってしまったな、デェスよ」

「……ハッ?! わ、ワタシは今何を…?」

「お前は、実装石と一体化したがために実装脳に冒され、地球文明に多大な迷惑をかけて人々
 と自然を苦しめた。しかるべき罰を受けてもらわなければならん」

「…ちょっと待つデス。ゾ○ィ、お前が手に持っているそのタッパの中身はなんデス!
 ものすっごく嫌な予感がするデス!」



「デェスよ、お前が意識を取り戻す前に、偽石を取り出してコーティングを施し、ウルトラ活性剤の
 原液に漬けておいた。これでもう、お前は逃げられない」

「デェ?!」

「望み通り死ねない身体になったのだ。良かったな。なお、もうこれで他の実装石に乗り移る事は
 出来なくなったからな」

「ま、待てデス! 宇宙警備隊長ともあろう者が、そんな事していいと思ってるデス?!」

「伏字で名前隠してるから、本人である保証はどこにもない。さらばだデェス、永遠に暗い闇の中
 を彷徨うがいい」

「待てデスウゥゥゥッ!! そんな結末、冗談ジャナイデスゥゥゥゥッッッ!!!!」




 デシュワッ?!


 急激に、意識が戻る。
 ワタシは、なぜか息を吹き返したようだ。
 だが、四肢を切断されている上、頭にはバケツが被さっているため、まったく身動きが取れない。
 目の前では、夜の帳が降りた空をバックに、初期実装が相変わらず佇んでいた。


 「デッス——ン」 ピポポポポポポポ


 何かを手に持って、こちらに向けている。
 あの形には、見覚えがある。
 確かあれは、初代マンがSSSPに尻拭いしてもらった時に使われたという、あの——



  ペ ン シ ル 爆 弾 ?!



 「 デ ッ ス —— ン 」 ピポポポポポポポ


 シュボッ

 デシャァァァッッッッ!!!!


 ペンシル爆弾が発射され、ワタシに命中する!

 やめて、やめて、やめてやめてタスケテタスケテコワイコワイコワイコワイ!
 地球の平和を守りに来た者への仕打ちがこれかぁぁっっっっ?!?!

 ワタシの身体は巨大な風船に包まれ、そして空高く上って行き……


 チベッ!


 パチン!


 爆ぜた。


 「デッス——ン」 ピポポポポポポポ


 最期に耳にしたのは、所期実装の耳障りな泣き声だった。



 ああ、もっと
 金平糖とステーキ食べたかったなあ。

 でも本当は、うなぎの方が好きなんだよなあ。
 浅草の老舗の店を襲撃して食った「うまき」と「肝吸い」、美味かったなぁ…




      *      *      *




 ——デェスの脅威は去り、初期実装も、いつの間にか姿を消した。

 地球に、平和が戻った。


 一方、その頃。

 ……ここは、裏宇宙



      *      *      *



 ワタシの名前は、ウルト○マンデェス。

 地球上の生物の頂点に立ち、あらゆる物を食い尽すために、某78星雲からやって来た
宇宙警備隊隊員だ。
 必殺技はパンコニウム光線と、ニンゲン奴隷化。

 それにしても、ここはどこだ?
 宇宙空間のようだが、なんだか様子が変だ。
 辺りには、様々な怪獣の死体が浮いている。
 つか、第一なんでワタシがここに居るのだ?
 ワタシはペンシル爆弾で爆ぜた筈だったのでは?

 ふと横を向くと、骨だけしかないような怪獣が、ロケットにしがみついているのが見える。
 ワタシは、その怪獣に尋ねてみた。

デェス「おいお前、ここはいったいどこデス?」

シー某ズ「ここは………怪獣墓場……」


デェス「かいじゅ……デ、デェェェェッッ?!?!」



 ワタシは、ウルト○マンデェス!
 怪獣じゃないデス! 宇宙警備隊員デス!
 こんな展開、ワタシは望んでいないデス!
 最終回は涙の別れ演出で、もうストーリーも考えてたデス!
 夕陽の海にヨットで旅立って、ほとぼりが冷めたら大場久美子に見送ってもらって故郷に帰る
デス!
 メ○ウスにもゲスト参戦したかったデス!
 まだ出演料もらってないデスゥゥゥゥッッ!!!


 おのれぇぇぇ、いつか必ず蘇り、地球を必ず支配してくれるデスウゥゥッッッ!!!!
 



 ワタシの名前は、ウルト○マンデェス。
 地球の平和を守るためにやって来た、某78星雲光の国の使者……だった。



 でも今は、ヤプールの気持ちがものすごく理解できるようになった。



(完)


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 とりあえずキチンと終わらせておこうかなと思って、速攻で仕上げてしまいました。
 頭の悪そうなバカスクってのも、なかなか難しいものでありますな、ニントモカントモ。

 初期実装については、色々と間違ってるかもしれませんがご容赦ください。w

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