タイトル:【馬】 やっぱ実装石って……面白ッ!
ファイル:ジ・エンターテイナー.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:3422 レス数:0
初投稿日時:2006/10/05-11:08:55修正日時:2006/10/05-11:08:55
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ボロアパートの一階に位置する部屋。
俺こと「」はそこで寝転がりながら「いいとも」を見ている。
え?仕事や学校はどうしたのかって?
……聞くなよ。

とにかく、そんなダメ人間な俺様は
こうしてポテチを貪りながら「いいとも」を視聴している訳だが。
そこへ予想外の珍客が転がり込むことになる。
これを読んでる諸君ならもうお分かりだろう?
そう、緑色の憎いアンチキショウ☆実装石だ!

「デッシャァァァァァァァァーーーーーッ!!!!!」

どうやら、俺がポテチを貪り食う様に反応しているらしい。
ま、なんせボロアパートの一階だからな。
いつかは来ると俺も思ってたんだ。
そして、入居してから約二年と半年。
ついにやってきました!実装ちゃん!
歓迎する気は微塵も無いけどな。

「デシャ! デシャァァァッデシャァァァァ!」

俺がポテチを口に放り入れるたびにエキサイトする実装ちゃん。
ん?チミも喰いたいのかね?ホレホレ。
俺はポテチを一つとって引き戸へと近づけた。
すると、実装ちゃんのビー玉みたいなおめめはそのポテチに釘付けとなり、
エキサイト度をヒートアップさせすぎて糞を漏らしながらジタバタと暴れている。

「デジァァァァァァァ! デジャァァァァァァァァ!!!!!」

顔を限界まで引き戸の硝子に押し付け、どうにかしてポテチにかじりつこうと必死な実装ちゃん。
まあ、なんて凶暴な面構えなのかしら。
お陰で、窓ガラスが涎となんだか良く分からない液体でべっとりだわ!
正直言って、その様子は百匹のナメクジが硝子を這いずり回る様の100倍はおぞましいね。
うん、俺が保障するよ。
ともかく、そのおぞましくも滑稽な様子を十分すぎるほど堪能した俺は
ポテチをひょいと口に放り込んだ。

「…………」

ぷっ……!
実装ちゃんは「何が起こったのか分からない」と言った表情で固まってしまった。
しかも顔を硝子に押し付け潰したたまま。
俺はその表情が滑稽を通り越して爆笑モノだったので、取り出した携帯で射メした。
そして、友人共に即・送・信。

ぷっ、くくくくくくく……くっ………ぶわははははははははははははっはっはっはっはっは!!!!!

だ、ダメだぁ!
これ以上我慢できねぇ!ぶっぐぐぐ……ぷはははははははははははは!!!!!
流石に耐えかねて吹き出してしまい、痛む腹を抱えて呵々大笑する俺様。
そして、それを相変わらずのアホ面(ぶっ……くくく……)で眺めている実装ちゃん。
アホ面……アホ面……ぶっ!

「デェ……
 デェジャァァァァァァァァァァァ!! ジャァァァァァァァァァァ!!!!!」

俺のその様子に、実装ちゃんもやっと自分がコケにされていることを悟ったのか。
おめめを吊り上げ、顔を梅干のように皺だらけにして、俺に対して威嚇を開始した。
……硝子に顔を張り付かせたまま。
ぷぐっ……ぐははははははははははははははは!!!!!
やべぇ、すげえ面白れぇ!
何だこの顔ーッ!!
先ほどから射メどころかムービー射メが止まんねぇーーーッ!!!
取り合えずパソコンのアドに送っとこ。

「デジャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーッ!!!!!」

そんな俺に対してひたすら威嚇を続ける実装ちゃん。
もちろんその結果は火に油を注ぐどころか、
ニトログリセリンを投入する結果にしかなっていない。
あーやべぇ、これマジやべぇよ、ぶっくくくくくくくくくく……
は、腹痛てぇ……!
最高だよ実装ちゃん!
あんた、世界一のエンターテイナーだよ!
世界中探してもあんたほど面白…い顔……は……ぶははははははははははははははは!!!!!
う…ぶっ…ダメだぁーッ!どうしても吹いちまう!
堪えらんねぇーッ!

「デェェェェェェェェェエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!!!!!」

と、相変わらず実装ちゃんを指差して笑い転げている俺に怒りがMAXに達したのか
実装ちゃんはまるで茹蛸のように顔を赤くした。
もちろん、俺はそれをリアルタイムで撮影している。
そして、そのおかしさに再び爆笑するのだ。
やがて、実装ちゃんが何かを見つけたのか、
一度引き戸の前から右側の方へと消えた。
そして、戻ってきたときに手に持っていたのは
掌の四分の一サイズの石ころ。
どうやら、その石ころで引き戸の硝子を割って侵入してくるつもりらしい。
おう、望むところだ!
やれるもんならやって見やがれってんだィ!
そして、実装ちゃんの第一投!

「デェェェ……」
構えて……

「スゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!」
投げたぁぁぁーッ!

投げられた石は、放物線を描いて硝子にぶつかり……!
———跳ね返った。

「デェェェェェェェ!!?」

まさか跳ね返るとは思ってなかったのか、
実装ちゃんは地面を転がる石ころを見つめ、素っ頓狂な声を上げた。

ぶわはははははははははははははは!
馬鹿だーッ!
こいつ馬鹿だぁぁぁぁーーーーッ!!!
なーにが「デェェェ……スゥゥゥゥゥ!!!」だ!
いっちょ前に気合入れてそれかよ!!
ぶわははははははははははははははっ!
もちろん撮影は続行中。
あとで編集してようつべにでも上げてやろう。
とっしー達がきっと喜ぶぞ……!

「デェ! デェ! デェッ!」

よほど悔しいのか、実装ちゃんは地団太を踏みながら石ころを拾い上げて……第二投!

「デェェェェェェェェ……ジャァァァァァァァ!!!」

おお、今度は気合の入り方が違う!!
これならいけるか!?

……と思ったら、力が入りすぎたのか
もともと手の構造的に物をつかむ力が非常に弱い実装石なので
投げようとした石ころが途中ですっぽ抜けて垂直に飛んでいってしまった。
そして、垂直と言うことは……石ころは必然的にまっすぐ落ちてくるわけで。

コツーン、と実装ちゃんの頭に直☆撃。

「デェェェェェェェェェァァァァァァァァァ!!!」

よほど痛いのか、たんこぶで膨れ上がった頭をおさえてのた打ち回る実装ちゃん。
そして、再び俺は吹く。
ぶわっはっはっはっはっはっはっははっはっはっはっはっは!!!!
ちなみに、もちろん撮影は続行中。
しかし、笑いすぎて手がぶれるまくる。
う、上手く撮れねぇ!
やべぇ!ゲロやべぇ!
家宝もんだよこの映像!
からくりに投稿しなくちゃ!
きっと食卓で吹く奴続出だぞ!
ぅわははははははははははははははははははははははは!!!!

「デェェ……」

ようやく痛みから立ち直った実装ちゃん。
立ったまま何かうなだれている。
だが、次の瞬間!
その赤と緑のおめめに、なんだか良く分からない決意を燃やし!
俺にその指(と言うか手というか)を突きつけた!

「デッスゥーーッ!!」

——————ッ!!?
その目に宿る炎! まなざしの輝き!
まさに覚悟を決めた漢の目ッッッ!!!
俺は思わず真顔になった。
よし、分かった。
こうなったら俺も見届けよう、お前の生き様を———ッ!!

……ぶッ!
わ、笑ってはいけないとは分かってるんだが……いや、しかしだな…………ぷぷっ!

そんな俺には構わず、実装石は
石ころを再び拾い上げた。
そして、瞳に炎を宿したまま振り被って……

「デェェェェェェァァァァスゥゥゥゥゥゥゥァァァァァァァ!!!!!!!!!!!」

裂帛の気合と供に投げたァーッ!
石ころは理想的な曲線を描いて引き戸へと迫った!
そして、硝子にぶち当たるッッ!

その瞬間!

……石ころはカァーンと言う音とともに跳ね返った。
それだけでなく、跳ね返った石ころは投げた主の方へと向かい。
実装石の額にぶち当たった。

「デデェッ!」

二つ目のたんこぶを額に膨らませ、実装ちゃんは悶絶して転げまわった。
まさかこうなるとは予想していなかったのか、
その時に発した声は更に素っ頓狂なものだった。

そして、その光景に俺は……
ぶっ、ぐふ……ぶははははははははははははははははははははははははははは!
ぅわははははははははははははははははははははははははははははははははは!
いひひひひひひひひひひひひひひ……ふっ……ぁはぁ!
ひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!
ひぃーっ!ひぃーっ!勘弁してくれぇーっ!
腹が…ッ!腹がよじれて……ッ!呼吸が……ッ!
ぷっ…く…ばははははははははははははははははははははははははははははは!
あばばばばばばばばばばばばぁぁぁぁーーーーっ!
あーッ!あああああーっ!
な、なーにが「デデェッ!」だこの野郎!
う…ぷっ!
結局ダメじゃねぇかああああああ!!!
ぶはははははははははははははははははははははははははははははははははは!
あーひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!
ひぃーっ!また呼吸が……っ!腹が!腹が…っ!

やがて、痛みから立ち直った実装ちゃんは、笑い転げる俺を見た。
もう怒る気力も失せたのか、
実装ちゃんは、たんこぶ二つを頭に引っ付けたまま、しばらくうなだれていた。
その赤緑の双眸から、それぞれ同じ色の涙がとめどなく流れだした。

漢泣き—————————ッ!?

と俺なら表現しそうな光景だが、
残念ながら俺は腹の痛みと呼吸困難と闘っており、
実装ちゃんのその様子に全く気付いていなかった。
そして実装ちゃんは、涙で濡れた双眸で何処までも突き抜けるような秋晴れの空を仰ぎ、
フ……と何かを悟ったように笑った。

パァン!

小さな破裂音が辺りに響いた。
俺がそれに気付き庭を見ると、そこにはあらゆる穴から赤緑の体液を溢れさせ
ハラワタが破裂し、辺りにぶちまけられた実装ちゃんが仰向けに倒れていた。
偽石が崩壊したのだ。
酸鼻極まりない死に様ながらも、その貌はなぜか満足そうで……
そして、何処か寂しげだった。

俺はその死に様に敬意を抱かずにはいられなかった。
実装ちゃん、アンタァホンマモンのエンターテイナーや。
いまの芸人でもアンタァほど体ァ張れる奴ァおらへんで。
下手糞な関西弁で俺はそう呟き、実装ちゃんの遺体を庭の隅にそっと埋めた。
そして、木の板切れに「伝説のエンターテイナー実装ここに眠る」と彫り、
そっとそこに立てかけた。
……ぷっ……
おっといけない、また吹きだすところだった。
ここは我慢我慢。

俺はそっと涙を拭い、未だに攣って痛い腹をさすった。
そうだ、俺にはやらなければならない事がある。
この動画は、俺が独り占めするにはもったいなさ過ぎる。
だから、この動画をあらゆる所にUP LOADしよう。
きっとこの動画は世界中の人々を楽しませ、幸せにするぞ。
そしてそれこそ、この稀代のエンターテイナー実装の願いでもあるはずだ。
俺はそう解釈し、動画を編集してあらゆる所にアップロードした。

やがて、この様子を撮影した動画はネットで話題となり、
テレビにも取り上げられ一躍有名となった。
それは、10年たった今でも引っ切り無しに
このエンターテイナー実装の墓を拝もうとする人々が訪れるほどだったとさ。
めでたしめでたし。














まあ、良く考えれば、水槽の壁をぶち割る事もできないような実装石が
あの小石しか掴めないような不器用で、貧弱で、なんだか良く分からない構造の手で石を投げたところで
筋力が足らず、石が硝子を割る事無く跳ね返るのがオチなんだよな。
奴の敗因はそこにあった。
食い物が絡めば硝子ぐらい割れるらしいが……まあいいか。
面白かったし、深く考えるのはよしとこ。




















 —終劇—






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