タイトル:【虐】 「虐待」しているわけではないですが・・・実装石悲惨話?
ファイル:見捨てられた実装石.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:10039 レス数:2
初投稿日時:2006/10/01-22:45:59修正日時:2006/10/01-22:45:59
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深夜のコンビニ。

そこは住宅地から若干離れていたため、夜にもなると残業後のサラリーマンくらいしか利用していない。
そのコンビニのゴミ箱の影に、仔実装を抱えた一匹の実装石が居た。

『あの人がよさそうデス・・・。
 いいデスか、決してニンゲンさんに迷惑をかけちゃいけないデス。
 媚びず、ニンゲンさんを第一に考え、決して自分から欲求しない。忘れちゃダメデス。』
『はいテチ・・・。ママ、これまでありがとうテチ・・・。ずっと、ずっと大好きテチ・・・。』

その親実装石は、賢かった。
実装石駆除や同属食いから逃れ、人目につかないよう住処を作り、ひっそりと暮らしていた。
バカな仔や小賢しい仔は間引き、残った仔には愛情を持って育てていた。

しかし、最早それも限界であった。
ここのところの駆除作業は厳しさを増し、何度も危うく捕まりそうになった。
また、ゴミ捨て場も囲いが設置され、エサを取るのも難しくなってしまった。

今の主食は、昆虫や雑草、木の根であるが、これでは食い盛りの仔を育てることは出来ない。
自分だけが生きていくのが精一杯である。

だから、この親実装石は、託児を決意した。

確かに危険は多い。袋に入らなかったら……ヒドいニンゲンだったら……仔の命は無い。
しかし、自分では育てることが出来ないと判断した親が、
仔を生かすための手段として思い浮かぶのはニンゲンに頼ることの他に無かった。

そう決意した親実装は、仔を教育した。
自身が元飼い実装であった経験や、伝聞、彼女自身の考え、これまで見てきたニンゲンの行動。
それらから考えうることの全てを仔に教えた。

そして、それを身につけることが出来た始めの仔を、今、託児しようとしている。

『出てきたデス……。覚悟はいいデス……!?』
『はいテチ!』
『行くデスッ!!』

親はニンゲンに可能な限り近寄り、そして仔を投げ込んだ。

がさっ。

「……ん?」

運良く袋の口が開いていたため、容易に入れることが出来た。
さらに運のいいことに、その人間も一瞬気になったもののすぐに関心を失いそのまま去っていった。

『ニンゲンさん……どうかその仔をお願いしますデス……』

親実装は、遠ざかるニンゲンの背中を、視界から消えるまで見つめていた……。



◇



仔実装は袋の中で、元々入っていたおにぎりを凝視していた。
それは、仔実装がこれまで食べてきたものよりもいい匂いがし、非常に魅力的であった。
普通の仔実装ならば何も考えなしに既に飛びついているであろうが……

『(おいしそうテチュ……。でもこれはニンゲンさんのモノテチュ。ぜったいてをだしちゃダメテチュ……)』

この仔実装は、誘惑に負けず、母の教えを思い出していた。

『(もしウンチしたくなっても、ぜったいしちゃダメテチュ……。それは、ニンゲンさんがいちばんゆるさないコトテチュ……)』

託児された仔の殆どが、中の食料を貪り食い、そして同量の糞を撒き散らし、そしてニンゲンの怒りを買い、殺される。
しかし逆にそれをしなければ、賢い仔であると、糞蟲ではないと、ニンゲンに伝えることが出来るはずだ。

親実装はそう考え、この仔はそれを覚えた。

『(ニンゲンさんに、きがついてもらえたら、せいいっぱいアピールするテチュ。
 ニンゲンさんにきにいってもらって、いっぱいいっぱいおてつだいするテチ。ママのためにも、ワタチはがんばるテチ!)』

そう袋の中で決意しながら、仔は親から教わったことを頭の中で反復していた。



◇



あ、ニンゲンさんがワタチにきがついた!

ニンゲンさん、こんにちわテチュ!どうかワタチをかってほしいテチ!
ニンゲンさんのいうことはぜったいまもるテチ!ニンゲンさんのためにいっぱいおてつだいするテチ!
だからどうかよろしくおねがいしますテチィ!

あれ、ニンゲンさん、どうしてそんなつめたいめでみるテチ?
どうしてワタチをいれたままふくろのくちをしめちゃうテチ?
どうしてタカイタカイするテチ?
どうし……

アレ、ナニコレ、ナンデ、アカトミドリシカミエナイテチ。
アレ、ナンカカラダガヘンテチ。
アレ、マックラニナルテチ、
テチ、テチ、テチ、テ……
テ……
……
・・
・


◇



「テッチュゥ。テチテチ!」
「くそ……やられた……。」

男がコンビニの袋を覗き込むと、そこには仔実装が入っていた。

仔実装は、男に向かって手を挙げ、必死にアピールする。媚びず、お辞儀をしたり。
よく見ると、コンビニ袋に入っていたおにぎりには手をつけておらず、糞も漏らしていない。

実装石の託児といえば、中身の食料を全て食われ、その代わりに糞が鎮座している、というのが常である。
その点を考えれば、この仔実装は賢いのだろう。

しかし。

男は、おにぎりを取り出さないまま袋をしっかりと閉じて

ぶんっ!

ぐしゃっ「チベッ」

おもいっきり、床に叩き付けた。

「はぁ。また買いなおしに行くのも面倒だな……。今日はシリアルで我慢するか……。」

そして、内側が緑と赤で染められた袋をゴミ箱へと投げ捨てた。

「ったく、残業で疲れてるってのにさぁ……」





親実装の願いも仔の訴えも無価値だった。

男にとって、仔実装が賢いかバカかなんてどうでもよかった。
ただ、コンビニ袋に汚らしい害虫が紛れ込んで食べ物が汚された。ただそれだけだった。



◇



害虫、害獣。
まさに今の世の中の実装石の見方はそれである。

一時期は、ブームまで引き起こした実装石。

しかし、

生息地域付近の糞害、子供への傷害、それに伴う感染症。
同種食いや仔食いを積極的に行い、欲望のままに行動する。
そして何より自分以外はニンゲンですら下僕、という高慢な思考。
etc。

研究が進み実装石の真実の姿が市民に知れ渡るにつれて、
人気が失われたばかりか、もはや害をなすだけの存在と捉えられてしまっている。

今では、人の住む場所に居る実装石は駆除対象となり、
届け出をしない限り飼うことも出来なくなっている。

こうなるまでには、愛護派の反対もあった。
しかし、実装石に代わるブーム……実蒼石ブームの到来により、愛護派からすらも実装石は見捨てられた。

愛護派というものは、流行に敏感で、そして飽きやすい。
元々凄まじく手がかかり、衛生的に好ましくない実装石とは異なり、
手がかからないばかりか色んな手伝いすらしてくれる実蒼石にすぐに興味が移ってしまうのは当然といえた。

もはや、実装石は人間に拒絶された。
今人間に関わっていられるのは、厳しい躾をされた飼育用実装石と、食肉用に加工された無菌実装石だけである。
……それすら、下火であるが。



◇



数日後の夜。親実装は再びコンビニに訪れていた。

2番目の仔を、託児するためである。

最初の仔のことが心配であったが、かといって託したニンゲンの住処まで行くことはなかった。
ニンゲンの住処までの道のりは長く、無事行き来できると思えなかったから。
なにより、自分が飼い実装になるために託児したと思われてはならないから。

だから、親実装は仔の無事を、幸せを願うしかなかった。

……始めの仔は既に汚らしい液体と化し、ゴミ処理場で焼却されていることも知らず。

『オマエのお姉ちゃんは、ワタシの言いつけを守ってニンゲンさんの元で幸せに生きているはずデス。
 オマエもワタシが教えたことを忘れないで、ニンゲンさんに受け入れてもらうデス。』
『はいテチ。がんばるテチィ……』

そして、例によってゴミ箱の影に隠れてチャンスを伺う。

シャキン。



金属音がすると同時に、親実装と抱えていた仔実装の意識が途絶えた。



◇



「ボク〜。」
「お、仕留めたか、ご苦労さん。」
「店長〜、託児してたヤツを処理しましたよ〜。」
「ああ、ありがとう。君が、狩りも出来る実蒼石を飼っていてよかったよ。店先を汚すわけにもいかんしね。」
「愛玩用実蒼石だと、実装石を殺すのは容易いですが、体液とか飛び散りますもんねぇ。」
「ああ、ウチの子は愛玩用でね、助かったよ。
 ……お客さんからクレームがついちまったし、実装石っていうのは害虫だな、ホントに。」
「まったくですね。」

店の前に転がっていた、成体実装石と仔実装石の死体が、ゴミ箱に投げ捨てられた。

仔を愛し、幸せを願った親実装の想いは、無残にも踏み潰されたのだった。

この親実装は、大きな間違いを犯していた。

親実装は仔に常々ニンゲンに迷惑をかけてはいけないと教えていた。
しかし、託児すること自体が、コンビニに近寄ること自体が、ニンゲンに依存すること自体が、
ニンゲンにとって迷惑であること。
それが、最期まで理解することは出来なかった。

唯一の救いは、「実装石をきれいに殺せる」実蒼石により殺されたため、
苦しみも無く自分が死んだことも気が付かぬまま死ねたことだろうか……。



◇



『ママ、ずっとかえってこないテチ……』

町外れの公園の茂みの中。ダンボールの中に一匹の仔実装が居た。
あの親実装の最後の仔である。

『ママ、しんじゃったテチ……?』

この仔もまた、賢かった。
数日間帰ってこない親の運命も、うっすらと感じつつあった。
それゆえ、己の未来も。

『このままここにいても、ママはきっと来ないテチ……。もう、おなかもペコペコテチュ……』

何かを飲食しなければ、もう身動きすら取れなくなるだろう。
そう思い、仔は行動を起こした。

『おそとはきけんがいっぱいテチ……。でも、このままだとしぬだけテチ……』

意を決して、外の世界へ飛び出た仔実装。
当ても無い、ただ、生き延びるための道を探し出すために。



◇



ぐちゃっ



◇



食住を人間に依存していた実装石にとって、今の世の中は地獄である。
なにより、人間が実装石に対して無関心になってしまったことは、なにより致命的であった。



実装石は、人間に見捨てられた。

自然に適応した山実装などを除き、全滅するのももはや時間の問題である。





END

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1 Re: Name:匿名石 2017/02/10-21:14:58 No:00004253[申告]
頼ること自体が迷惑、関わってくること自体が害悪
そうと気づけなかった実装石の末路は悲惨なり
2 Re: Name:匿名石 2023/08/06-17:49:13 No:00007726[申告]
蒼いのが邪魔
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