タイトル:【馬】 久しぶりに手が空いたのでショート。
ファイル:因果応報.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:4168 レス数:0
初投稿日時:2006/09/27-00:59:26修正日時:2006/09/27-00:59:26
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ある一つの公園があった。
その公園にはご多分に漏れず実装石はいたのだが、
ある一匹の実装石によって平和に人間と共生していた。





    因  do  果  mi  応  no  報





『ほら、そっちいっちゃだめデス。』
その賢い個体は一回り大きい体にものを言わせ、いわゆる糞虫の徹底的な間引きを行っていた。
どんな境遇にあろうとも他人の子はきっちりと間引いていた。
そのおかげで確かに公園内は平和になった。
虐待派は寄りつかなくなり、代わりに愛護派の人間が定期的にエサをくれるまでになった。

『テッチ!ママのくせにうるさいテチ!』
だが、一つだけミスを犯した。
春先に不用意にできてしまった糞虫の子を間引きできなかったのだ。
周りにはただヤンチャなだけだと通している。
だが誰の目にも不公平なのは目に見えていた。

ここで場面は変わり公園の近所に住むトシアキ君9歳に移る。
「んじゃ帰ったらカバンおいて駅前集合な〜」
「おう!」
クラスメイトと遊ぶ約束を交わし、自宅へと駆け足で向かうトシアキ君。
自宅へ帰るとカバンを玄関に放り出し、そのまま遊びに出かける。
自宅から駅前へは公園を通るとかなりの近道になる。
早足で歩き、駅前へと急ぐトシアキ君。
ここでトシアキ君は奇妙な子実装とあった。
「テッチ1テチテチ!テチテチ!テチー!」
早足のトシアキ君を追いかけて必死に何かを要求している。
「気持ち悪いなぁ……」
トシアキ君は早足から駆け足に速度をあげる。
すると今度は緑色に染まったパンツから糞をすくい上げて投げつけてきたではないか!
だが幸い距離があったために糞はかからずにすんだ。
トシアキ君はそのまま駆け足で駅前まで走った。
そして駅前につくとそこには自慢のマウンテンバイクにまたがったクラスメイトのすがた。
「トシアキ〜、自転車まだ買ってもらえないのかよ〜。」
「そうだよ、一人だけ歩きってのはつまんねーぜ。」
そんなことをクラスメイトに言われたトシアキ君はこう決心した。
(今度こそ買ってもらおう。)



公園の中ではある不穏な動きも始まっていた。
『最近のボスの横暴ぶりにも困ったもんデス。』
『そうデス。自分ではゴハンをとりにもいかないのにワタシたちのゴハンを横取るデス。
 それもアマイものとかオイシイものばっかりねらってくるデス。』
『それもこれもあの糞虫が生まれてからデス。』
成体実装が3匹集まりなにやら話している。
『あれだけワタシたちの糞虫を殺しておいて自分のを殺せないのは許せないデス。』
『アナタもそうおもうデス?ワタシもそうおもうデス。
 あんまりにも不公平デス。』
『でもボスに逆らって今まで生き残ったやつなんていないデスゥ……』
話し込んでいた実装石たちはその紛れもない事実に全員落胆する。
1.5倍ほどもある体長、ひとかじりで頭を半分かじりとる口、体重を利用した踏みつけ。
今まで外からふらふらと入ってきた実装石は皆あのボスに食い殺されている。
反逆すれば同じ目に遭うのは目に見えていた。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


「遊びにいってきまーす!」
10日後の日曜、トシアキ君は勢いよく家を飛び出す。
クラスメイトと遊ぶためだ。
しかし、いつもなら歩いていくのだが今日は違う。
おもむろに車庫に入り青に白いラインの入った洗練されたマウンテンバイクの前に立つ。
「んふふふふ。」
押さえようとしてもどうしても笑いがこみ上げる。
おニューの自転車をついに買ってもらえたのだ。
そして今日は買ってから遊びにいく初日。
「あいつらのびっくりする顔が目にうかぶぜ!」
そういうと鍵を取り外し、少し高いサドルにまたがった。


『ママ!今日は下僕から貢ぎ物もらう日テチ!』
公園ではボスの子がはしゃいでいた。
日曜日は愛護派がきて金平糖をばらまいていくのだ。
ママであるボスの手を全身で引っ張り広場へと急ぐ。
垣根に隠した段ボールハウスから這い出て公園の入り口を横切ろうとしたそのとき。
『テェ?』
「うわっ」
『デェ!?!?』
トシアキ君が運転する自転車にその二匹は思いっきり轢かれた。
糞虫の子は左肩から右腰にかけてミンチに。
ボスは引かれていた右腕と右顔面の一部を粉々にされた。
「うわぁ……」
トシアキ君は幸いにも何ともなかった。
ただ轢いてしまった惨劇をまじまじとみていた。
「まぁいっか、集合に遅れる。」
トシアキ君はそのまま公園を走り去っていった。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


『オ……、オオ……、オロローン! オロローン!』
ボスが泣く。瀕死の重傷を負い息も絶え絶えでもう苦しむしかない我が子を抱きながら泣いていた。
そこへ3匹の実装石が訪ねてきた。
『ボス、なにか食べないと体に毒デスゥ。』
『昼間ボスの分もよけいにもらってきたデス。』
『たべて元気だしてくださいデスゥ。』
そういって赤や青の毒々しい色の金平糖を差し出す。
『オマエたち…… すまないデスゥ〜。 オロローン!』
突然の優しさに感謝感激でナミダナミダのボス。
涙や鼻水をまき散らしながら差し出された金平糖を一気にむさぼる。

『そういえばボス。虐待派は覚えてるデスゥ?』
『オロローン! オロロ…… デス?』
金平糖を飲み込んだのを確認してから金平糖を差し出した実装石が突然切り出す。
『あのころにばらまかれた金平糖は全部とても危険だったデス。』
腰が低かった実装石がすっと立ち上がると各々の手には石やガラス片が……
『その糞虫を殺さなかったボスが悪いんデス。』
『横暴なボスが悪いんデス。』
『悪いんデス。』
たとえ武器を持っていたとしても1.5倍の巨体はそれをもろともしない。
そう思いボスは体を持ち上げようとするがうまく動けない。
『さっき食べたのはコンペイトウじゃなくてシビレデスゥ。』
『こういうことがあるだろうとみんながちょっとずつためておいたんデス。』
『もう逃げられないデス。』

『デギャッ! デデ!! デッス! デッス!! デェッス!!!』
もはや言葉にならない命乞いをしながらその場でのたうち回るボス。
そこへ3匹の実装石は集まり顔に各々の武器を突き立てる。
『死ね!死ねデス!』
『これはミミの分デス! これはテテの分デス!』
『敵デス! やられた子供の敵デッス!!』

『ギャッ! デギャ!! ギャォッ!! デェ!! ッズ!!!』
真夜中の血に塗られた祭りを経て、
空が白み始めたころ、ようやくボスは事切れた。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


『次のボスはワタシデスー!!!』
『オマエなんか引っ込んでるデス!!!』
翌日、公園は大混乱に陥っていた。
ボスを倒した3匹は公園に平和が戻ったことを告げると真っ先におそわれて食われた。
その後は押さえ込まれていた欲求を実装石は思う存分発揮した。
共食い、媚び、そして権力闘争。
今までの平和がいかにボス一人という微妙なバランスの上に立っているということを
実装石たちは理解できなかった。
そして今、理不尽にかかってくる不幸が自らが起こしているということにも気がつかない。

「なんだこれ……」
公園の惨劇を目のあたりにする少年がいる。トシアキ君だ。
ところかまわず飛び交う糞や子実装をむさぼる親実装をみて吐き気を催す。
「じーちゃんにいって駆除してもらお…… じーちゃんは何たって市長だしな。」
また一つ、不幸が実装石に降りかかろうとしていた。

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