ある公園に実装石の親子が居た。 全部で5匹構成のよく見かける家族だ。 親は実装石の中ではとても賢い部類に入る実装石だ。 だが生まれた仔実装達は今は皆、糞蟲と呼ばれる部類に入る実装石だ。 まだ生まれて5日しかたっていないし 親の教育も満足に出来ていないから当然といえば当然だろう。 そのため、仔実装達はよくトラブルを起こし日に日に数が減っていた。 最初は10匹居た仔実装が生まれて4日でこの数だ。 最初の1匹目は長女だった。 生まれてすぐに粘膜を舐め取ってやった後に「ジッとしているんですよ」 という言いつけを破ってトイレの外に出たため野良実装に食べられてしまった。 次に四女と末娘だ。彼女達はトイレからダンボールハウスに戻る際 いきなりの野良実装に襲撃されて四女を食われてしまった。 五女は自分だけは助かろうと末娘を野良のほうに押し出した。 皮肉にもそのおかげで野良実装に隙ができ、逃げることが出来た。 そして昨日、次女と八女と九女が死んでしまった。 留守番の言いつけを破り次女と五女が外に出て遊んでいる所を 人間の子供に襲われて次女が死んでしまった。 その際、五女は何とか生き延びてダンボールハウスまで帰ってきたが 人間にダンボールハウスまでつけられ、その時に四女と九女が殺されてしまった。 三女、五女、六女、七女が生き残っただけでも僥倖といえよう。 この4日間だけでも子供達の性格はよくわかった。 三女は姉妹思いの良いお姉さん 五女は自己中心的、乱暴者、 六女は怖がり、でも好奇心旺盛 七女は寂しがり屋で甘えん坊 この4匹に共通しているのが世の中の全てが「ママ>自分>他の実装石>>>ニンゲン」と考えている。 まさに糞蟲の典型だ。 -------------------------------------------------------------------------------------- 親は不安だった。このままでは近い将来、子供は全滅してしまうだろう。 何とかして生き延びて幸せに暮らす方法はないだろうか? そこで親は考えた。 『この子達は今はニンゲンさんの言う糞蟲だが 今からなら教育してニンゲンさんに気に入ってもらえば…』 つまり人間に飼ってもらえば安全に暮らせるという結論に至ったのだ。 親はまず子共達に名前を与えた。 三女は「ヒカリ」 五女は「アカリ」 六女は「ハナビ」 七女は「ホタル」 と名づけた。 実装石にとっては名前はステータスの1つである。 親も子供が生まれたら必ずつけてあげようと考えていた。 そのため子供達は非常に喜んでいた。 親は喜んでいる子供達に注意した。 親:「いいデスゥ?名前の事は絶対に他の実装石達に言ってはダメデスゥ。」 ヒ:「何でテチ?」 親:「他の実装石達はほとんどは名前を持ってないデスゥ。」 ア:「テププ♪無様な奴らテチ。今度、からかってやるテチ。」 バシッ! 親はアカリの頬を引っ叩いた。 アカリは何が起きたのかわからず呆然とした。 そして、頬が痛いことに気づき泣き出した。 ア:「テチェ〜ン」 親:「何を聞いていたデス!さっき言ってはダメといったデス。 いいデス?もし他の仲間に言ったらお前達は殺されて食べられるデス。」 ヒ&ホ&ハ:「「「テチィィィィ!」」」 親:「名前を言って良いのはママとお前達と良いニンゲンさんだけデスゥ。 それ以外は言ってはダメデスゥ。」 ア:「ワ、ワカッタテチ。」 『いつもはやさしいママがいきなりワタチを殴った』 その事実がアカリには信じられなかった。 『何でワタチが殴られなければならないのか』 アカリには理解できなかったが親の迫力に押されて空返事をした。 親はアカリのそんな考えが分かっていなかったが話を続ける。 ホ:「ところでママの名前はなんていうテチ?」 親:「…ママの名前は無いデスゥ。」 ヒ:「テチチ♪ママよりワタチ達のほうが優秀テチ」 ア:「テププ♪」 親:「・・・今日からはニンゲンさんに気に入られるような振る舞いを教えるデス。」 ハ:「そんなのいらないテチ。ニンゲンなんて私達にかかれば一発でメロメロテチ。」 ホ:「そうテチ。美しいワタチが一言言えばニンゲンなんてすぐに言うことを聞くテチ♪」 親:「・・・・・・お前達は何も分かって無いデスゥ。いいデス?ニンゲンさんはとても強くて怖いデスゥ。 そんなニンゲンさんを怒らしたら私達はすぐに殺されてしまうデスゥ。」 ア:「そんなことないテチ。人間なんてワタチにかかればボコボコテチ。 返り討ちにしてやるテチ!」 親:「・・・・・・・・・なら昨日、何故ニンゲンさんにやられた時、お前は返り討ちにしなかったデス? お前が返り討ちにしていれば子供達が死ぬことは無かったデスゥ。」 ア:「あ、あれはたまたま調子が悪かったテチ。今やればすぐにでもボロボロにしてやるテチ。」 親は軽い目眩を覚えながら考えた。 『アカリのこの考え方を直すにはどうすればいいのだろう?』 アカリは姉妹の仲でも特に物覚えが悪く自己中心的だった。 食事の時も妹達の御飯を横取りしたり、外で遊んでいるときも姉妹を虐めてよく泣かしていた。 そのため現在の間引きリストのTOPにいる。 だが初めての出産でこれだけ子供達が減ってしまった中では間引く行為はなかなか出来なかった。 かといって家を追い出す事も酷、と思って現在にいたっている。 親:「アカリはニンゲンに勝てるんデスゥ?」 ア:「もちろんテチ!あんなクズなんて楽勝テチ。」 親:「私は人間に勝て無いデスゥ。ならアカリは私に勝てるんデス?」 ア:「…テッ…」 アカリは押し黙る。 仔実装が成体の実装にどうやっても勝てないのは分かりきっている。 アカリの中での力関係は先程まではママ>自分>他の仔実装>>人間となっていたのであろう。 だが認めたくは無いが人間>ママ>自分という力関係を親に諭される。 親:「分かったデス?実装石はニンゲンさんにはどうやっても勝て無いデスゥ。 つらいことですけど現実を見て実装石の立場を良く認識して欲しいデスゥ。 お前達も良くわかって欲しいデス。」 仔:「「「テチィ〜…」」」 親:「分かってもらえてママはうれしいデスゥ♪」 そういって子供達を撫でてやる。子供達も嬉しそうに親に甘えた。 親:「これからお前達にニンゲンさんに飼われるにはどうすれば良いかを教えるデスゥ。 よく憶えておいて欲しいデスゥ。」 ホ:「ニンゲンに飼われると金平糖がいっぱい食べれるんテチ?」 ヒ:「フカフカのベッドでも寝れるテチ♪」 ハ:「毎日お風呂に入って髪の毛がサラサラになるテチ♪」 ア:「きっと綺麗な服もいっぱい着れるテチ♪」 仔実装!達は妄想を膨らませて魂がどこかに行っていた 涎を垂らしながら、ニタニタと笑っていた。 親はその様子を見て呆れている。 親:「みんな聞いてるデス?」 親のその一言で現実に戻される仔実装達。 仔実装達は皆そろって『早く人間に飼われたい』と合唱している。 親:「ちょっと待つデス。人間に飼われても必ず幸せになるとは限らないデス。」 仔:「「「「テェ?」」」」 親:「ニンゲンさんには私達を可愛がってくれる愛護派と呼ばれいるニンゲンさんと 私達に酷い事をする虐待派と呼ばれるニンゲンさんがいるデスゥ。 愛護派に飼われたら幸せになれるデス。 でも虐待派に飼われると実装石にとってはそれは死ぬ事と同じデス。」 仔:「「「「テェェェ!」」」」 親:「それ以外にも実装石に興味を持たないニンゲンさんもいるデス。 でも気をつけるデス。私達が粗相をしたら簡単に捨てられるデス。下手したら殺されるデスゥ。 でも逆を言えば粗相さえしなければちゃんと飼ってくれるデス♪だからこれからお前達に躾をするデス。」 ア:「そんなのしなくてもワタチは大丈夫テチ。ワタチの魅力でメロメロにして下僕にしてやるテチ♪」 ハ:「そうテチ。ワタチもそんなこと必要ないテチ。可愛いワタチを飼いたいってニンゲンは腐るほどいるテチ♪」 ヒ:「ママは物知りテチ。」 親は軽い目眩がした。 アカリとハナビは何も分かっていないようだ。 先程話したことをもう忘れている。こんなことでは先が思いやられる。 親:「……デスゥ。お前達、そんな態度ではすぐニンゲンさんに殺されるデスゥ。」 ハ:「そんなことないテチ。」 ア:「そうテチ。ハナビの言うとうりテチ。ワタチの魅力にニンゲンはそんな事出来ないテチ。」 親:「……それじゃあ今から見学に良くてデス。」 仔:「「「「テェッ?見学テチ?」」」」 そういって親はベンチのほうを指した。 ベンチには今まさに人が座ろうとしていた。 親はその顔に見覚えがある。虐待派の人間だ。 虐待派といっても自分によってくる糞蟲を潰す程度の軽めの虐待師だ。 この公園に虐待派は何人かきているが、そのほとんどが糞蟲専門のようだ。 そのおかげでこの公園では非常にバカな実装石は数が少ない。 親子はその人間の少し離れた木の影から人間を観察した。 親:「良いデス?あの人間は金平糖のような物をくれるデス。」 それを聴いた瞬間子供達は一斉に人間のそばに行こうとした。 親はそれを必死で食い止めながら話を続ける。 親:「デェッ!?お前達やめるデス!死にたいデス?アレを食べると死んじゃうデス!」 仔:「「「「テェ!?」」」」 そう聞いた瞬間仔実装達はピタッと動きを止めた。 ヒ:「何で死んじゃうテチ?金平糖は甘くておいしい食べ物のはずテチ。」 ホ:「そうテチ。ママがそう言ったテチ。」 ア:「こんなとこでのんびりとしていたら他の奴に金平糖を食べられちゃうテチ。」 ハ:「お腹いっぱい食べたいテチ!」 ア:「ママはきっと自分で独り占めする気テチ。騙されないテチ。」 親:「待つデスゥ。あのニンゲンさんは虐待派デスゥ。私は金平糖の『ような物』って言ったデス。 金平糖とは言っていないデスゥ。」 ハ:「じゃあ、今ニンゲンが撒いているのはなんテチ?」 親:「見ていればわかるデス。」 親にそう言われて仔実装達は涎を垂らし、腹を鳴らしながらその光景を見ていた。 次の瞬間、男の周りに集まっていた実装石がみんな一斉に泡を吹いて痙攣している。 しばらくして痙攣が止まると、傍目から見ても死んでいるのがわかった。 男が去った後、それらを見守っていた実装石が一斉に死体に群がり貪り始めた。 その惨状を見て仔実装達は青ざめた表情をし、パンコンしながら震えている。 ヒ:『もしママがあの時止めてくれていなければ、今頃は自分達も死んで食われていたテチ。』 ア:『あいつらは醜いからニンゲンに殺されたんテチ。高貴なワタチならそんなことないテチ♪』 ハ:『ニンゲンは怖いテチ。二度と近づかないテチ。』 ホ:『ママの言うことは正しかったテチ。』 皆そんなことを思いながらダンボールハウスに着いた。 親:「これでわかったデスゥ?ニンゲンさんの気分しだいで私達は殺されてしまうデス。」 ヒ:「そんなのってないテチ。あんまりテチ。」 ホ:「そうテチ。」 親:「…私もそう思うデスゥ。でも、このことはよく憶えていて欲しいデス。 私達はニンゲンさんに逆らったら絶対に生きていけないという事を忘れないで欲しいデス。」 仔:「「「わかったテチ。」」」 親:「それじゃあ、お昼御飯を取ってくるデス。みんなちゃんと家の中で待ってるデス。 もし約束を破ったら御飯抜きデス。」 そういって親は昼御飯を探しに出かけた。 -------------------------------------------------------------------------------------- 親が出て行った後、仔実装達は先程のことを思い出していた。 『ニンゲンに逆らってはダメだ。逆らえば容赦なく殺される。』 仔実装達は深く心に刻み付けた。 どうやら今までの糞蟲ぶりは単に教育を一切受けていなかったからだけのようだ。 親がここまで賢いと、ある程度子供にも賢さが遺伝するがどうやら皆、親の遺伝を受け継いだようだ。 たった一匹を除いて。 その一匹とは五女のアカリである。 他の姉妹は比較的大人しく、仲もよかったがアカリだけは違った。 アカリだけはいつ間引きされてもおかしくない糞蟲だった。 これまで仔実装達が死んだ原因は全てと言わないが五女が関係していることがほとんどだ。 だが親に甘さがあったため今もこうして生きている。 そんなアカリが姉妹達に話しかけてきた。 ア:「オイ、お前達。さっきのところに行ってみないテチ?」 ホ:「さっきのところテチ?」 ア:「そうテチ。大人達は、死んだ実装石を食べてたテチ。 きっとアレはとてもおいしいに違いないテチ♪」 ヒ:「でもママが家から出てはダメだって言っていたテチ。 約束を破ったら御飯抜きになってしまうテチ。」 ア:「テププ♪お前はバカテチ。さっきのところに行っていっぱい食べれば問題ないテチ。」 姉妹はしばし考える。 『約束を破ればママに怒られる。でも確かにさっきのはおいしそうだったテチ。いや、でも…』 姉妹達が頭を抱えて悩んでいるとそれに苛立ったのかアカリが ア:「さっさとするテチ!行かないならワタチ一人で全部食べてやるテチ。 せっかく、ワタチがうまい話を持ちかけてやったというのにお前達はバカテチ!」 そう言い放ってダンボールハウスを出るアカリ。 ハナビは迷いながらもアカリについて行くことを選んだ。 他の姉妹は親の言いつけを守り、家にいることを選んだ。 先程、母親に連れられてきたベンチの近くにはまだほんの少しだけ 実装石の死体が残っていた。どうやら他の実装石は皆帰ってしまったようだ。 アカリ達はチャンスとばかりに実装石の死体に食いつく。 そして驚いた。 とても美味しいのだ。今まで食べたどんな物よりも。 アカリ達は『此処に来て正解だった』と必死に死体を貪っていた。 そのため後ろから来る人間にまったく気づいていなかった。 -------------------------------------------------------------------------------------- 親は近くのゴミ置き場やコンビニのゴミ箱から昼御飯を確保してようやく家路に着く。 今日はパンの耳を大量に見つけたので大収穫だ。 親は早く帰って子供達に驚かせてやろうと満面の笑みだ。 その笑顔もダンボールハウスに入った瞬間に驚きの表情になった。 アカリとハナビがいないのである。 残っている子供達によると先程の場所に行った、ということのようだ。 親は悪い予感がして急いで現場に向かった。 -------------------------------------------------------------------------------------- お腹が満腹になり満足したハナビは自分の周りに影が出来ているのに気づいた。 空に雲が出てきたのだろうかと思い空を見ると、 そこにはニンゲンがいた。ニンゲンは手を伸ばしハナビを捕まえた。 ハナビは先程の親から教えてもらったことを忘れていなかった。 ハナビは泣きながら助けを叫んだ。 ハ:「ママー!オネエチャーン!助けてテチー!死ぬのは嫌テチ〜。」 が、当のアカリはすでに逃げ出していた。 近くの草むらにでも隠れたのか見当たらない。 本来アカリは食料があれば全部自分で独り占めしているはずである。 それが今回に限り姉妹を誘った本当の理由はこのためである。 つまりは生贄だ。生贄を用意すれば自分が襲われる確率が下がる。 そのためだけに姉妹を誘ったのである。 アカリは物覚えが悪いが非常に狡猾といえた。 ハナビが泣き叫んでいると上から声がした。 ?:「どうした?何でそんなに怖がっているんだ?」 ハナビは辺りを見回した。どこから聞こえるんだ? 誰でもいい。とにかく今はこの状況から助けて欲しい。 そう思いながら必死でその声の主を探す。が、どこにも実装石が見当たらない。 ハ:「誰テチ?どこにいるテチ?いるなら出てきて早く助けて欲しいテチ。」 ?:「ここにいるだろ。お前を掴んでいるし。」 ハ:「?…テェェェェ!?ニンゲンの言葉がわかるテチ!」 男:「ははは、リンガルを使っているから当たり前だろ」 どうやら仔実装に話しかけていたのは男だったようだ。 男は仔実装に質問した。 男:「お前、さっきの奴と姉妹か?見捨てられたのか?かわいそうな奴だな♪」 ハ:「テチェェェェン。テェェェン。」 男:「お前、服が綺麗だけど飼い実装か?名前なんていうんだ?」 ハ:「テチェェェェン。テェェェン。」 ハナビはあまりの恐怖で男の質問には答えずにひたすら泣くだけだった。 男は自分の質問が無視されたと思い苛立った。 男:「オイ!質問には答えろ!そうしないとすぐ殺すぞ!」 怒気の篭った声で仔実装脅す。 ハ:「ワ・・・ワ、ワタチは飼い実装じゃないテチ。で、でも名前はあるテチ。 ママから貰った大事な名前テチ。『ハナビ』って言うテチ。 とっても可愛い名前テチ♪」 男:「ハナビ?お前の親の名前は?」 ハ:「ママに名前はないテチ。」 男はしばし考える。 『名前が無いということはやっぱり野良か?だとしたら相当賢い部類に入るな。』 そんなことを考えているとき一匹の実装がこちらに向かって走ってくる。 仔実装がそれを見ると激しく喚きだしたのでおそらく親なのであろう。 男:「アレはお前の親か?」 ハ:「そうテチ。ママが来てくれたテチ。もう安心テチ。早く下ろすテチ。バカニンゲン!」 男は笑顔で親が此処にくるのを待った。 -------------------------------------------------------------------------------------- 親は必死で走った。とても悪い予感がしてならない。 子供達に何事もありませんようにと祈った。 が、現実はそんなに甘くはなかった。ハナビが男に捕まっているのである。 親はすぐさま人間の元に駆け寄り土下座をした。 親:「お願いデス。その仔を放して欲しいデス。もしその子が何か悪さをしたのなら私が謝りますデス。 だから許して欲しいデスゥ。」 ハ:「ママー、助けてテチ。怖いテチ!」 男:「何か勘違いをしているな。俺はこの仔実装に質問をしているだけだ。」 その言葉を聞き親は安堵した。 どうやらこのニンゲンさんは悪いニンゲンさんではないようだ。 後はなるべくニンゲンさんの機嫌を損ねないようにして、無事に子供を取り戻すだけだ。 親:「質問でしたら私が答えるデスゥ。何でも聞いて欲しいデスゥ。 その代わり子供は返して欲しいデスゥ。ハナビは大人しくしているデス。」 ハ:「わかったテチ。」 男:「いいだろう。それじゃあいくつか質問するぞ。お前は元飼い実装だったのか?」 親:「…ハイデスゥ。でも元は野良デス。ご主人様に拾ってもらって飼い実装になったデス。 でもある日ご主人様に粗相をしてご主人様を怒らせてしまったデス。だからこの公園に捨てられたデス。」 ハ:「テェ!?ママは飼い実装テチ!?すごいテチ。」 男:「なるほどな。元飼い実装か。通りで仔実装なんかに名前をつけているわけだ。」 親:「実装石にとって名前は特別なものデスゥ だから、子供が生まれたらつけてあげたかったデスゥ。」 男:「なるほど。ところで何でお前は名前が無いんだ?子供につけるくらいなんだから自分でつければいいだろ。」 親:「自分の名前はどうしてもご主人様につけてもらいたいデス。だから今はこれでいいんデス。」 男:「…それじゃあ次な。お前はこの仔実装を助けたいか?」 親:「もちろんデス。子供達は私の大切な宝物デス♪」 ハ:「ママ〜♪」 男:「なるほどな。お前はなかなか親子愛が強いな。少し実装石ってやつを見直したぞ。 それじゃあ最後の質問だ。俺は愛護派と虐待派、どっちだと思う?」 最後の質問を聞いた親は顔面が真っ青になった。 その様子を見て男は笑顔で 男:「お、察しがいいな。お前の想像通り俺は虐待派だ。」 男はどこから取り出したのかロケット花火を取り出し、ハナビの総排泄口へねじ込んだ。 ハ:「テチャァァァ!」 ハナビはいきなりの痛みに暴れたが所詮仔実装の力。 人間の力にかなうわけがない。ハナビは口からロケット花火の先端を除かせながら串刺し状態になっていた。 親は必死に男に許しを請う。色つき涙を流し、何度も額を地面に打ち付けて土下座をする。 ハナビはまだ意識があるのか手足をばたつかせて必死に親に助けを求めている。 男はその様子を楽しそうに笑いながらゆっくりと導火線に火を近づけた。 親:「やめてデスゥゥゥ〜!」 親は男に飛びつこうとしたその時 ヒュゥゥーーーーーーン…パンッ! ロケット花火は昼間の空に打ち上げられハナビもろとも一瞬で粉々に散った。 親は、固まったまま空を見上げていた。 男はその姿を携帯のカメラに収めて親に話しかけた。 男:「ハナビが花火で見事に散ったな。俺ってなかなかシャレてるだろ? お前なかなか面白いな。俺は仔実装専門の虐殺派だからお前は助けといてやる。 また子供を生んで教えてくれ。その頃にはまたここに来るから。 それとお前また人間に飼われると思っているようだけど此処の公園で実装石を拾って飼ったって話は 一度も聞いたこと無いから諦めたほうがいいぞ。」 そのまま男は去っていった。 親は悲しみのあまり呆然としてその場にへたり込み泣き出した。 親:「デェェェン!デェェェン!」 しばらくして草むらの影からアカリが出てきた。 親の元に駆け寄り親に抱きつく。 ア:「ママ、大丈夫テチ。あんなバカのことは忘れるテチ。 可愛いワタチがいれば十分テチ。 あんな不細工はどうせそのうち死んでいたテチ。テププ♪ それよりもお腹が減ったテチ。家に帰って御飯にするテチ。」 親:「…デ…、デ…」 ア:「テチ?」 親:「デシャァァァアアア!!!」 バシッ! 親はアカリを力いっぱい殴り飛ばした。 アカリは『何で?』という表情で涙を浮かべながら母親を見ている。 親はさらにアカリに飛び掛りマウントポジションのまま 力の限り殴りつけた。 親:「何で約束を守らなかったデス!」 バシッ! ア:「テチャァァァ!何するテチ!」 親:「何で大人しくしていなかったデス!」 バシッ! ア:「ママ、やめるテチ!」 親:「何でハナビを連れて行ったデス!」 ビシッ! ア:「痛いテチ、お願いだからやめてテチ」 親:「なんでハナビを助けようとしなかったデス」 バキッ! ア:「ゴ、ゴメンナサイテチ。」 親:「何でお前が生き残っているデス!」 バチッ! ア:「マ‥ママ。ユ‥ル‥テ‥ホシ……テ…チ。」 親:「何デ…。」 ポフッ ア:「……」 『ママ。何で…』 最後にはアカリは気絶していた。 親も自分が間引くことを躊躇ったばかりにこんな事になったので自分を責めた。 そして親は決意した。 『これからはちゃんとしないとこの糞蟲のおかげで私の可愛い子供達が全滅してしまう。 そこで親は今すぐにでも間引こうと思ったが、この糞蟲に罰を味合わせねば気がすまない。 そこで親はこの子を見せしめに他の子供を教育しようと考えた。 どうせ間引くのだからどんなに体罰を与えてもよい。 どうせなら「粗相をしたらこうなる」と教え込むためにむしろ死んでもらったほうが好都合だ。』 そう思い気絶したアカリを抱えて家路に着いた。
