タイトル:【蛆愛?】 蛆太郎.
ファイル:蛆太郎.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:4142 レス数:0
初投稿日時:2006/09/17-04:21:56修正日時:2006/09/17-04:21:56
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台風一過。

嵐の過ぎた爽やかな空の下、1人の男が散歩を楽しんでいた。

男は、澄み切った空気を味わいつつ、河川敷へと足を向ける。

昨夜の嵐は上流でも猛威を振るったらしく、様々な流出物が所狭しと流れ着いていた。

ふと男はあるものに目を留める。

実装石。

恐らくは上流で遭難し、此処まで流されてきたのだろう。

男は哀れに思い、ソレを引き上げ埋葬してやることにした。

ブヨブヨにふやけたソレを引き上げた時、股の間から何かが零れ落ちた。

テッテレー

蛆実装だった。

きっと妊婦だったのだろう。

生まれてくる仔を見ずに黄泉に旅立った親のことを思うとこのまま捨て置けるはずも無く、

男は親実装を埋葬すると蛆実装を連れて帰ることにした。

男は蛆実装に蛆太郎と名づけると、ささやかな共同生活を始める。

慎ましく、静かな生活であったが、男と蛆太郎は幸せだった。

しかし、その幸せも長くは続かなかった。

男が病に倒れたのだ。

必然的に収入が絶たれ、男と蛆太郎の生活は困窮していく。

最初の頃は、家賃の未納を待ってくれていた大家も1年、2年と続くとついに男に立ち退きを迫るようになる。

男は止む無く、借家を出ることになる。

家財を処分し、幾許かの金を作ると大家に手渡し、ふらつく身体を引き摺るようにして駅に向かう。

男は故郷に戻るつもりだった。

親は既に無く、兄弟も親類縁者も無かったが他に当ても無かった。

男の不安を察したのだろうか?

ポケットの中で蛆太郎がレフーと心配そうな声を出す。

男は軽く蛆太郎を撫ででやると、ポケットに戻し再び歩き出す。

男が路地から大通りへと出てきた時だった。

一台の車が蛇行しながら猛スピードで迫ってくるのが見えた。

男は逃げようとするものの終に間に合わず、その身は空に舞った。

そして地面に叩きつけられた男は走り去る車を赤い視野の中で見つめながら

意識を闇に沈めた。

その一部始終を目撃していた人間が救急車を呼んだものの、男は既に息絶えていた。

しかし、そのポケットの中の蛆太郎は奇跡的に無事だった。

蛆太郎は男が救急車に搬送される際、ポケットから零れ落ち、通りに置き去りにされた。

騒然とする辺りの空気にも関わらず暢気に眠っていた。

いや、気絶しているのかもしれない。

暫くは野次馬で賑わっていた現場も、通勤通学のために1人、また1人と散っていった。

レフー

蛆太郎が目を覚ました。

レフー

辺りを見回す。

レフ?

男が居ないことを不思議に思う。

レフー

空腹を感じたのだろうか?涎を流しつつ、周りを這い回る。

レフ?

蛆太郎は赤い水溜りを見つけた。

レフ・・・

恐る恐る舐めてみる蛆太郎。

レッフーン♪

美味かったのだろうか?一心不乱にそれを舐める蛆太郎。

顔中を真っ赤に染めて満足そうに地面に転がる。

レ?

身体に異変を感じる蛆太郎。

レレレ・・・?

腹中を異物が転がるような感覚。

レピャー!?レピャー!!

徐々に大きくなる異物感。

レ・・・レ・・・レビョッ!?

蛆太郎の腹を裂き、それは生まれ出る。

テッテレー♪

それは、そのまま赤い水溜りに落ちる。

レ?

間もなく赤く染まる、その仔。

繰り返される誕生と死。

5分もしないうちに、その水溜りは蛆で溢れる。

その現象は、水溜りが枯れるまで続き、現場検証に訪れた警官が驚愕の余り、嘔吐したほどだった。

親を殺しながら生まれ続けた蛆の最後の一匹。

仮に蛆太郎108世と名づけよう。

親蛆達の骸を喰らいに集まってきた実装石達。その中の一組の親子に拾われる。

我が仔である親指の玩具に丁度いいと思ったのだろう。

また、親指もそれを大いに気に入り、大層可愛がった。

親指と蛆は何時しか姉妹のようになり、仲良く成長して行った。


それは、とある秋の日のことだった。

親指は中実装サイズになり、蛆太郎は親指に成長していた。

何時ものように親実装は餌を探しに行き、蛆太郎達は段ボールハウスで遊びに興じていた。

加減を誤った中実装は玩具にしていたゴムボールをダンボールハウスの外に転がり出てしまった。

ボールを拾いに行こうとする中実装は、蛆太郎に止められる。

勝手に外に出てはいけない。

それが親実装の教えだった。

しかし、あのボールは大好きな玩具だった。

このまま放って置いたら他の仔に拾われてしまうかもしれない。

中実装は、蛆太郎の制止を振り切り外に飛び出した。

辺りを見渡しボールを捜す。

それは直ぐに見つかった。

それは一匹の実装石の足元に。

恐れることなく、ボールに近寄る中実装。

テチューン

両手を上げて愛嬌を振りまく。

・・・テチュ?

一瞬の出来事だった。

中実装は悲鳴を上げることも出来ず、上半身を食い千切られた。

残された下半身からは、盛大に糞を噴出しパタリと倒れた。

クッチャクッチャと咀嚼する音が響き渡り、中実装は断末の糞だけを残し消え去った。

レ・・・レチュ・・・

蛆太郎は、ただ見てるだけしか出来なかった。

ショックと恐怖のあまりパンコンしつつダンボールハウスの隅で震えていた。

やがて親実装が戻る。異変に気付くのにそう時間は掛からなかった。

オロローン

泣いても仔は帰らない。

たった一人の仔は失われたのだ。

そんな親実装を慰めようと蛆太郎はレリューンと鳴く。

デ?

蛆太郎を見る親実装。

レリューン

ママ、ワタシが居る。もう悲しまないで。

そういってるのだろうか?

デ・・・デズァーッ!!

親実装は蛆太郎を殴りつける。

レチュ・・・?

何故殴られたか理解できない蛆太郎。

親実装は更に蛆太郎を殴り、蹴る。

理不尽な暴力。

納得できない仕打ち。

仔を失った親実装のやり場の無い怒りの矛先が蛆太郎に向いた瞬間だった。

成体実装の容赦ない暴力の洗礼をうけ瀕死の蛆太郎。

だが、それだけでは済まなかった。

捕食者の目。

中実装を喰らった実装石の目。

その目を蛆太郎に向ける親実装。

蛆太郎は残された力を振り絞りダンボールハウスから逃げ出した。

どのくらい走り回ったのだろう?

蛆太郎は川原に立っていた。

体力は既に限界を超えていた。

体中は血に塗れ、もはや蛆太郎の命も時間の問題だった。

死期を察したのだろうか?

蛆太郎は、最後に水を飲もうと川面に近づく。

その時、蛆太郎は自分の顔を見た。

血で染まった己の顔を。

赤く染まった両の目を。

そして悟る。

仔を身ごもり生み出すことを。

だが蛆太郎の命もまた、尽きていた。

両の目から血涙を流しながら水面に突っ伏す蛆太郎。

その亡骸は川の流れに乗り、流されていった。



1人の男が河川敷を散歩していた。

男は岸に引っかかっていた物に気が付く。

実装石。

恐らくは上流で遭難し、此処まで流されてきたのだろう。

男は哀れに思い、それを引き上げ埋葬してやることにした。

ブヨブヨにふやけたそれを引き上げた時、股の間から何かが零れ落ちた。

テッテレー

蛆実装だった。



〜終〜

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