天と地と 2 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 3年前…俺は2匹の仔実装を捕獲してきた。 産み立てホヤホヤの、親も姉妹も認識できていない純粋な仔実装…。 そして、人間に飼われたことが無いであろう野良の親から生まれた仔実装…。 それが俺には必要であった。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 実装石は、単体での生殖機能を有している。 正確には、生殖という概念ではない。 限りなく単細胞生物の細胞分裂に近い…と言えば判るだろうか? 生殖のための交尾行為を行うには行うが、実際には、要因と触媒(精子や花粉)さえ存在すれば、 花粉で妊娠の様に、性交渉は必要とせずに妊娠する場合もある。 最悪、触媒すら必要としない場合すら存在するデタラメな生物でもある。 調教次第で、手を叩いただけで、性的行為をされたと認識して、勝手に悦に入って、 自分の手で自慰をするだけで妊娠する、パブロフの犬状態に陥る例の報告もある。 この事から判るとおり、実装石の妊娠とは、すなわち、実装石の体内にある細胞が、 精神状態によって変異して、自身のコピーを作る事に他ならない。 触媒は、その際に分身たる卵子に変異した細胞が成長するため、 また、成長後に単独で胎内で存在し成長する為の予備栄養でしかない。 触媒の有り無し・質の優劣では、確かに死産する卵子や先天的・後天的未成熟児の発生率に影響する。 そして、栄養の偏りで、卵子に変異が起こり、 糞蟲から賢い仔、賢い親から糞蟲仔が生まれる確率…知性や性格の個性化に影響する。 しかし、基本的には、親自身の余剰細胞の分裂したもの…。 すなわち、殆どの場合、交配相手に関係なく仔実装は親実装のみの完全なる分身(コピー)に他ならない。 それ故に、生後間もなく、仔実装はある程度の本能行動が可能であり、 その成長期間が劇的で、知能の成長にいたっては、生物学的には異常な速度で進化する。 しかし、全てがコピーではない。 本能的記憶として、ストックされてはいるが、”教育”によって”理解”させないと、 その本能的な記憶を”活用”することは出来ないのだ。 この2匹を野良の親から選び、生まれてすぐ隔離したのは、 ”人間に飼われた記憶”を親が有して、活用していた場合、俺の実験が成功しない…。 自分の実験材料や、知り合いから譲ってもらった仔実装では、 やはり、その本能的な記憶によって、ことごとく失敗を重ねてきた。 今回は、良い実験材料が手に入った…。 そう言った面でも、あらゆる面においても無垢な仔実装。 俺は、家に戻り、2匹を収めた箱を開ける。 2匹は、互いに、この世に存在する家族とは、自分達だけとしか認識していない。 そして、その親は、僅かな間ではあるが俺なのだ。 2匹は、仲良く抱き合ったり、お互いの髪や服を撫で合ったりしており、 俺が覗き込むと、「テチィ♪」「テッチュー♪」と両手を上にかざして甘えようとする。 俺は、しばらく、指で頭を撫でたり、じゃれ付かせたりして遊んでやる。 早い物で生後数分、遅い物では成体になるまでに、実装石は自分と違う姿・言葉のものは、 実の親となりえないと認識するようになる。 そういう認識力だけは、人間以外の生物ではズバ抜けて高い…。 実親と認識しない相手の言うことは、中々、素直に理解しようとせず、教えたことより本能が優先することが多い。 厳格な選別と教育を施されたペット実装ですら、増長・糞蟲化する要因の一端でもある。 故に、完璧なインプリンティングは出来ないが、最初からこうして馴らして置けば、 普通程度の知能の実装石には、犬猫に対するものよりはレベルは下がり、個体差もあるが、 短期間、ある程度の強い信頼と命令・指導権を獲得できる。 そして、それをより強く長く維持するために細工を施す。 時間を掛けてから、1匹づつやさしく掴み上げて、 指で遊んで気を逸らしながら、頭巾を外し、片耳にピアスを付ける。 このピアスは、実装リンガルの派生品で、振動によって、人間の言葉を直接実装語に変換して聞かせてしまう。 つまり、人間が話した言葉が、そのまま実装石には実装石の言葉に聞こえる便利な代物…。 まだ、試作品の段階らしい…その名も「実装イヤリンガル」 骨伝導補聴器の技術が使われているのだ。 パチリと耳に穴を開ける瞬間だけ、仔実装は怪訝な顔をしたり、痛がったりするが、 頭巾を剥いた頭を撫で前髪をコチョコチョしてやったり、 握っている手で腹の辺りを軽く押してペコペコしてやれば、「テッチテッチィー♪」と喜んで忘れてしまう。 ここら辺は、生後間もない間だけではあるが、親指や蛆実装と知能に差は無い。 あとは、ピアスから伸びる振動を伝える耳栓部分を耳の穴に押し込め、再び頭巾をかぶせれば完了。 そのまま、実装飼育用水槽に移してやる。 水槽は、平均的な一家族分の実装石がゆったりと生活するに十分な大きさがある。 1800×900×800のプラ水槽で、虐待派の用途も考慮して、耐熱プラスチック製で、 放置しても丸洗いが楽なように、隅への誘導側溝と排水弁が付いている。 排水弁には、室内飼いを想定して、専用のポンプやホースでトイレに汚物を流せる。 普通飼いでも、市販の実装ハウス、給餌・給水、トイレ施設を入れても、半分近くが遊びに使える贅沢な広さだ。 普通に飼うには、実装石にとって、庭付き一戸建ての世界である。 しかも、内部の角には軽くRが付けられており、糞蟲を放置して、たまに水をぶっ掛けて洗うにしても、 躾の一環として、実装石に掃除をさせるにしても、汚れが残り難い仕組みであり、 流石、世界のNピーSOの力を感じさせる…実装用品にも、そこそこ力を入れている…割高だけど…。 しかし、体長10cm程の仔実装2匹だけでは非常に…そして無駄に広すぎる世界でもある。 しかも、水槽には家も、給餌機も、トイレも、普通の餌トレイや下に敷く新聞紙すら存在しない、 完全にまっさらな空間しかない。 周囲は、外から黒い紙を張って視界もなく、天井の電灯だけが外の世界である。 そして、しばらくはこのまま、この空間に2匹を放置するのだ。 最初は、広い空間に喜び、それぞれが好き勝手に駆け回って居た。 しかし、5分もすると、走り回った疲れと、何もなくあまりに広大な世界に不安になったのか、 2匹で寄り添って「「テチィー…テチテチィー…」」と俺を呼び、 動く時も、2匹で抱き合うか、手を繋いで水槽の外壁に沿って歩き出す。 この世界には何もない。 親も居ない…2匹以外の姉妹も存在しない…生まれた瞬間から…。 10分もすれば、2匹で震えながら、よりいっそう大きく叫ぶように、 「「デチィィィィ!テチテチテチィィィィィ」」と訴えだす。 どうやら、お腹が空いたようだ。 一部始終は、縁に付いたカメラで観察できる。 音はマイクを通して、接続したPCで翻訳されて画面に表示される。 俺は、隣の部屋で、紅茶とケーキを嗜みながら観察する。 やがて、2匹は、叫んでも親が餌を持ってこないと諦めると、 2匹同時に起き上がり、「「テチー…」」(ウンチテチィ…)と少しだけ腰を落としてスカートを捲くってウンチングポーズを取る。 不意に便意を催したようだ。 実装石の便意は精神状態と直結している。 ストレス状態では、意思や内容物の量に関係なく便意が起きる。 この2匹は、多少の賢さがあるのか、便意には敏感なようだ。 しかし、2匹とも、その姿勢で下着に手を掛けた瞬間にパンツがメリ!と盛り上がり、 緑色に染まり、膨らんで開いた隙間からポトポトと糞を漏らしてしまう。 感情的な便意の為、間に合わなかったのだ。 知性に関係なく、生後1日として経っていない仔には仕方のないことだ。 「「テチ〜…」」(ウンチ、デタテチィ〜…) 流石、純粋な血族リンクが有効な2匹…同時に便意で、同時に排便、同様の反応…。 実装石にとって、自由な排便感は大きなストレスの捌け口である。 2匹とも、実に良い、恍惚の表情をしている。 しかし、排便が終わってしまうと、2匹はそろってソワソワし始める。 下着を履いたまま出したので、糞の感触が気持ち悪いのだ。 何の予備知識もなく、純粋な仔実装は、まだ、糞に対して不快感が強い。 ここで、何も出来ない仔実装に代わり、親や人間が清潔にしてやったり、する方法を覚えさせれば、 仔実装は糞を汚いものであると認識する。 もちろん、稀に教育を必要としない例や、元から不快感を感じない例も多数ある。 しかし、大体は、その時の教育方針次第で、後々、どの程度、きれい好きになるか、糞の対処をどうするのかに影響する。 この期間に、親実装が手抜きすれば、汚れ放題になり、自分の糞の臭いに無関心になる。 しかし、俺は2匹をそういう方向に育てるわけではないので放置する。 画面の中では、2匹は、それぞれ下着の中に手を入れたり、下着をずらして出したものを確認している。 「ウンチテチー…クサイテチー…」 「ヌルヌル、イッパイ、気持ち悪いテチィ…ママー…ママー…」 2匹は、何も出来ずに、漏らした糞の上に腰を降ろして足を投げ出し、ひたすら鳴く…。 何も出来ない、この時期、なにをするにも親だけが頼りなのだ。 やがて、糞の臭いが軽減されると、冷めた糞を何とかしようと、2匹は、それぞれ下着を脱いで、 溜まった糞を、振り落としたり、掻き取ったりする。 まったく、無駄な作業ではあるが、2匹にはそれ以外、身に付けるものから不快なものを取る術を知らない。 それが終わると、2匹は再び抱き合うようにして、水槽を移動し始める。 糞の溜まった場所が不快なので移動するのだ。 それも、既に全身糞まみれなので、大した意味はない。 そして、再び、場所を移動して、同じように疲れて泣き叫び、糞をする。 「また、ウンチ出るテチィ〜…でるでる…パンツ脱ぐテッチ! テ! もう出てるテチーー!クサイウンチ出たテチー…」 「ウンチするテチー…キモチワルイから脱ぐテチ…スルスルできないテチー…テ〜〜…出ちゃったテチ…イッパイ出るテチィ〜♪」 「クサイ!クサイ!ウンチクサイテチィ!」 「ヌルヌルウンチ、パンツにイッパイテチ…イッパイクサイテチィィィィ」 そして、何度か繰り返すうちに、疲れと空腹から、その場を動かなくなる。 「おなか空いたテチ…ママー…動けないテチ…」 「ママー…ママー…食べるもの欲しいテチ…何もないテチ…おなかペコペコテチ」 『そろそろか…』 俺は急いで、隣の部屋に行く…。 何もなく、空腹なら、実装石がすることはただひとつ…。 人間の赤ん坊なら、自由に動けないためにする心配は少ないが、無知な赤子が空腹ですることといえば、 手にあるものを口に運ぶということだ。 案の定、2匹は、糞まみれの手をもしゃもしゃ口に含み、足元の糞を掬っていた。 俺は、それを覗き込んで、「ウンチは食べちゃダメ!」と活を入れる。 2匹は一瞬飛び上がるように驚いたが、すぐに糞まみれの両手を掲げて 「「ママテチィーーーー♪」」 「ウンチはキタナイから食べちゃダメ!そんなの食べるのはウンチの国のバカで、ママの仔じゃありません!」 実装イヤリンガルの欠点は、電池の持続時間もあるが、話した内容が、大体、実装語で伝わってしまう所にある。 実装語優位の一方向翻訳システムなので、人間語の方が制約が大きい。 複雑な言葉や細かなニュアンスの違いが、どんな言葉に変換され、理解されるか人間側には判らない。 正確を期すには、人間側が、会話の質を実装石の言いそうな言い回しに落としてやる必要がある。 まぁ、やつらの本能が成長して自然に人語の大体の理解が出来る様になる半日間程の我慢だ。 「ウンチキタナイテチー…ワタチはウンチの国の仔じゃないテチ!ママの仔テチィー!」 「ウンチキライテチ!ワタチはイイ仔にするテチ!ママの言うこと聞くテチ!」 まぁ、これが親の力というべきか、仔実装は驚くほど素直に言うことを聞く。 人間に扱われるときには、まったく見られない素直さだ…今のうちだけなんだけど…。 もし、この2匹が低脳で糞蟲の種類であれば、生後1日も経てば、途端に親の言うことすら聞かなくなる。 実装石の親というのも、それなりに大変なものだ…。 もっとも、糞蟲種族的には、仔は産み捨て状態なので、当人達には苦ではないのだろうが…。 「ママー、ウンチイッパイテチ…どうするテチ?」 「ママ、キタナイクサイ食べ物じゃないウンチ取って欲しいテチ!」 「ウンチは水で洗って取るのですよ…これで洗うんですよ…これが水ですよ」 俺は、水の入った大き目のトレイを差し出す。 トレイには、確かに水が入っている…。 実験用実装石が身体を洗うのに使った、糞や汚れたっぷりの深緑の水をファブリーズで薄めたヤツだ。 「お水テチィ〜♪洗うテチ〜♪」 これで、この2匹にとって、遺伝子的に記憶していた”水”が、この汚水と”合致”して”認識”されたのである。 服のまま、トレイに飛び込んで、ジャブジャブと身体を擦りだす。 知識が無いので、脱いで洗うとか言うことは把握できて居ない。 汚水は、一応、水としての役割を果たして、糞が仔実装の体から落ちる。 臭い消しでファブリーズも入ってるしな…。 まずは、この”汚水”を”水”と認識させることには成功した。 2匹は、無邪気にトレイの水に浸かってはしゃいでいる。 親が居るという安心感もあるのだろう。 さて…。 「ママはご飯を探しに行きますよ…大人しくしていなさい」 「ハイテチィ!ママの言うこと聞くテチ♪」 「オトナシクしてるテチ!イッパイオイシイモノ食べたいテチィ♪」 『はぁ、この調子がずっと続くなら、まだペットとして可愛いものなのだろうが…』 俺は、そう思いながら隣の部屋に戻り、ソファーに腰を降ろす。 ドっと疲れる…実装石の知能に合わせて言葉を選んでしゃべるのは疲れる… こんなに精神的に疲れるのは、親戚の幼稚園児と遊んだ時以来だ…。 モニターの向こうでは、まだ、2匹は汚水の中で泳げないくせに泳ぎの真似事をしている。 まぁ、水深が、自分の膝程度では、恐怖心もなかろう…。 やはり、10分もすれば飽きたのか、トレイから出て、今度は濡れた服に不快感を示す。 しかし、本能的に”服は大切なもの”という認識が固定しているので、脱いで乾かすという概念はない。 やはり、これも親が教えることなのだ。 それでも、何事も遊びにしてしまうのは、実装石も人間も大差は無い。 濡れたままで2匹で追いかけっこをして、輪を描いて走り出す。 走ることで、水が冷たくなるのが気持ち良い様だ。 それも、疲れて飽きてくると、今度はガタガタ震えて座り込む。 体が冷えすぎてしまったのだろう…服も完全に乾いていないだけに冷えていくのは辛そうだ。 そして、することが無く体が辛くなると、疲労感が増し、空腹を思い出し、気を紛らわせるために親を頼る。 「ママ…遅いテチ…ママー…」 「疲れたテチー…お腹空いたテチィ…ママ心配テチ」 こうなると再び、お漏らしコース…。 今度は、1匹が、何とか膝まで下着を下ろすことに成功するが、腰を降ろせずに糞を下着に落下させる。 もう1匹は、腰を降ろしたまま下着を脱ごうとして、脱げずに漏らす。 腰を降ろしてからでは、上手く脱げないことにまだ気が付いていないようだ。 こうして、僅かに知能の変化、すなわち、個性化が始まってくる。 そして、再び、不快感を感じて、場所を離れようと歩き出す。 ”洗う”事は覚えても、”洗いに行く”事は、まだ、複雑で十分理解できていないようだ。 そして、疲れて、座り込み、親を呼び、糞を漏らすのを繰り返す。 しかし、一応、”親”の言った「ウンチは食べ物ではない」という言葉は生きているのか、糞食はしていない。 回りまわって、最初の頃に漏らした場所に来ると、自分達の糞を見つけて、 「クサイのあるテチィ!クサイクサイテチ!ニゲルテチ…」 「何かクサイキタナイモノあるテチィ!キモチワルイテチィ!」 ウンチも正確に把握していない。 だから、自分達がした瞬間のものしか糞とは思えない。 まさに、俺の実験には相応しい2匹だ。 そうして、再び、トレイの元に回ってくると、思い出したように、トレイで身体を洗ってはしゃぐ。 気がまぎれている間は、空腹に耐えられる。 元々、実装石は1週間程度は胃が空でも死にはしない…水さえあれば1ヶ月ほどは生かして置ける。 ただ、空腹感に耐えられないだけなのだ。 空腹感さえ、何とか出来れば、本能的に水分を取りさえすれば生命維持に問題は無い。 「お腹すいたテチ…お水は飲むものテチ…」 「お水は、身体を洗って、飲めるものテチ!」 ゴプゴプ…。 本能的に抱える”水”の知識と、体の欲する欲求から、 2匹は、汚水…それも、自分の身体を洗った直後の水を豪快に飲む。 水のもたらす食事感などたかが知れているが、2匹は満足して、再びはしゃぎ出す。 そうして、時間が過ぎていく。 何度も繰り返すうちに、次第に歩くコースに変化が生まれ(自分達の残した糞のせいもある) やがて水槽の広さを把握し、落ちているのが自分達のものと同じ糞であるのを理解する。 そして、最初は、他の何か(本能的に同属と思うようになる)を探し、 やがて、何も居ないとわかると、落ちている糞が母親の物であると思い、 それでも何も居ないとわかると、ようやく自分達の糞であり、ここが隔離された世界であると知る。 水のトレイが決まった場所にあると理解すると、探すのは無駄な努力と、その周りで遊ぶようになり、 便意が来ると移動を始めて、糞をしていない場所でしようとする。(最も、便意が来る状態では大して移動も出来ないが) やがて、糞も決まった場所でするようになった。 ずいぶんな成長だ。 その間に、パンツを降ろして排便する効率の良い方法を覚える。 片方は、覚えが悪かったが、それも、片方を見習って習得していく。 自然と、便意の来る感覚も早めに感知できるようになっている。 空腹感から来る糞食だけはどうしようもないので、どうしても忘れて糞を口にしようとしたときには、 駆け込んで、顔を見せ「ウンチは食べちゃダメ!」と言い聞かせ、水(汚水)を補充して、 安心を与えると共に水に注意を惹き付けて、水で空腹感を紛らわせる。 栄養の偏りによる身体への悪影響は、成長期にある仔実装とは言え、2・3日なら考慮しなくて良い。 こうして、半日…ようやく、親を探し、待ちつづけて疲れきった仔実装は眠りに付く。 明日からがいよいよ本番だ。 5分程の身体的初期成長を経て、この精神・知能的初期成長と言える段階は1日で終了する。 親による、初期の本能に沿った、僅かばかりの生活予備知識のインストール作業の為の期間だ。 無垢で未熟な仔実装は、明日の朝目覚めれば、いよいよ本能に沿った成長段階に移行する。 普通に公園で見かける仔実装は、この段階からなのだ。 2匹に与えられたモノ…それは微妙に間違って刷り込まれた知識… たった2匹の姉妹しか”家族”の存在しない世界…。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 〜 天と地と 2話 完 〜
