タイトル:【虐】 替えても、いいですか?1回目
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作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:4606 レス数:1
初投稿日時:2007/01/31-09:44:39修正日時:2007/01/31-09:44:39
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替えても、いいですか? 1回目



□□□

 俺の名はとしあき。
 俺は、今はごく普通の会社にごく普通に勤める会社員。

 そして、公私共に認める、実装石愛護派だ。

 中学生の頃に初めて実装石を育ててから、これまで何世代も育ててきた。
 今は家で一人暮らしという寂しい立場だが、こいつらが居ると寂しくない。
 今飼っている実装石は、そうだな、えーと、確か…何世代目だったか、もう忘れた。
 とにかく、最初に飼っていた奴の直系の子孫にあたるのだ。

 振り返れば、もう実装石育ても15年目になる。
 この話をすると、たいがいの人は驚く。

 どんなに実装石好きな人でも、五世代も育てればかなりのものらしくて、それ以上になると様々な要因で
世代が途切れてしまうのだそうだ。
 さすがに、ギネスブックに掲載されている記録には遠く及ばないものの、だとすると、俺の実装石育ての
腕前も、なかなかのものなのかな。
 別に自慢するつもりはないが、とにかく実装石育てには自信がある。
 今日も急いで帰宅すると、うちで待っている実装石達の世話をする。

「ご主人様、お帰りなさいませデス」
「「「お帰りなさいませテチー♪」」」
「レフー♪」

 玄関に入ると、うちの可愛い実装石達が出迎えてくれる。
 母実装・ルミを筆頭に、仔実装三匹、蛆ちゃん一匹だ。
 子供は、それぞれラミ・リミ・レミと名付け、蛆ちゃんはロミだ。
 自分でもものすごく単純極まりない名前だと思うが、本人達は気に入ってくれているので、全然構わない。
 いずれも、代々伝えられてきた躾が行き届いていて、どこに出しても恥ずかしくない自慢の子。
 俺にとって、かけがえのない家族だ。
 だから、寝床兼本居住地の水槽から自由に出ていい事にしている。
 蛆実装のロミも含め、誰一人粗相なんかしないから、それでも大丈夫だ。


 とはいえ、今までこの血族内に糞蟲が生まれなかったわけではない。
 そういう場合、俺が自ら間引いている。
 今の家族も、過去に三匹ほど間引いている。
 無論、その時はとてもきつい、身を切るような辛さがある。
 ルミにも説明して、納得させた上での処置だが、それでもお互いに大泣きだ。
 でも、その涙の決断があればこそ、今の幸せがある。
 それに俺も、今まで何度もそんな事を繰り返してきた。
 いつまで経っても慣れるものでないが、それは必然だと割り切ろうとしている。
 

「ご主人様、レミ、お腹空きましたテチ」
「ロミもレフー」
「ワタチ、ご飯食べたいテチ」
「ホラホラみんな、ご主人様を急かしたらいけないテチ」
「ラミは偉いデス、もうすっかりみんなのお姉さんデス」
 姉妹達に注意を促す、長女のラミを褒めるルミ。
 ラミはもう成人になりかけている、かなり大きな体格の仔実装だ。
 でも、母親と同じく、妹達に対する大きな愛情と包容力を持っている。
 俺にとってもルミにとっても、そして姉妹達にとっても、自慢の存在だ。

『遅くなってすまなかったね。でも、新しい実装フードの箱用意しておいたんだから、先に食べててもよかった
のに』

「とんでもありませんデス。ご主人様がお帰りになるまで我慢するのが、私達の礼儀デス」
「「「テチ」」」
「レフー。でもやっぱりお腹空いたレフー」

 さすがに、一番小さいロミだけは、不満を口にしてしまう。
 これは仕方ないかなと、俺もルミ達も、少しだけ笑う。

『そうか、さすがだな。じゃあ、一緒にご飯食べような。さーみんな、食堂へ行くぞ』

「「「テチー♪」」」
「レフー♪」

 さあ、これから楽しい夕食タイムだ。
 食卓で、それぞれの配分の食事を摂りながら、楽しい団欒の時を過ごそう。

 今日、どんな話をしたか、どんな躾をしたかを実装石達から聞いて、アドバイスをする。
 こちらも、会社の事を色々話す。
 時々愚痴混じりになるし、正直この子達には理解できない事だらけだと思うが、皆は…特にルミは、真剣
に聞いて、時には励まし、時には同情してくれる。
 それが、すごくありがたい。
 そして、何より明日の生活の励みになる。

 俺は、この子達が大好きだ。
 心の底から愛している。
 この子達を愛し、育て、そしてやがて生まれる次の世代の子達も、精一杯の愛情を注ぐ。
 皆で、幸せになろうね。
 いつも、笑顔で話し、食べ、そして笑えるように。

 この子達が居てくれる限り、俺は——





■■■


 オレの名はひろあき。
 としあきの幼馴染で、あいつほど長くはないが、実装石を飼っている。
 だが、諸事情あって、飼っている事は誰にも秘密なのだ。

 オレの所の奴等は、まだ四世代目。
 気がつくと、もうこんなに世代が代わってしまった。
 ま、つっても別に、としあきに挑戦しているわけじゃないんだけどね。

 オレは、実装石が大好きだ。
 とっても大好きで、こいつらが居ないと人生の張り合いがない。
 実装石は、俺の生活を支える大事な大事な存在なのだ。
 だから、何よりも大事にしている。


 仕事が終わり、家に帰ってくると、早速実装石達の様子を見に行く。
 そろそろ夕食時だ。

『よう、ただいま』

「ご主人様、お帰りなさいませデス」
「「「お帰りなさいませテチー」」」
「レフー」

 紹介しておこう。
 この一家の名前は、まず親がルミ、三匹の子供が、上から順番にラミ、リミ、レミという。
 一番下の妹で、唯一の蛆実装の名前が、ロミだ。
 体格が大きい長女のラミは、わざわざ成長促進剤を投与して、成体実装に近い体格に育てた。
 ロミは、生まれた時に粘膜除去をわざと行わせなかったため、いつまでも蛆実装のままだ。
 いずれも利口で賢く、躾が行き届いている。
 もっとも、躾と言っても「ひろあき流の」と付くわけだが。

 彼女達は、大型の水槽の中で育てられている。
 水槽は最高級のもので、単にデカいだけではなく丈夫で長持ち、表面は汚れの付着を防止する
コーティングが施され、さらに抗菌処理も行き届いている。
 もちろん、下には実装石用のカーペットが敷き詰められ、トイレも完備、自動給水器も取り付けてあって、
こちらが何もしなくても彼女達だけで水が飲めるようになっている。
 彼女達の服や髪は常に清潔。
 オレが毎日洗って手入れしてやっているし、母親のルミも、何かあると水を張った皿を使って自主的に
洗濯をする。
 どこに出しても恥ずかしくない、オレの自慢の立派な実装石達だ。

 ただし、彼女達にはたった一つだけ、とても自慢できないところがある。
 それは…

「ご主人様、レミ、お腹空きましたテチ」
「ロミもレフー」
「ワタチ、ご飯食べたいテチ」
「ホラホラみんな、ご主人様を急かしたらいけないテチ」
「ラミは偉いデス、もうすっかりお姉さんデス」

 実はこいつらには、生まれてこの方一度も実装フードやその類を与えていない。
 加えて、オレがいないところでは、何一つ食べ物を口にできない状態にされている。
 そう、一見万全に見える生活環境には、「食事の供給」というもっとも大事なポイントが意図的に取り除かれ
ているわけだ。
 普通なら、そんな状態で長時間放置されていたら飢餓感に突き動かされて食糞行為に走るか、共食いが
発生する。
 だが、こいつらはそれをしない。
 ただひたすら、オレが戻ってくるのを待ち続けている。

 そのように訓練するのに、とてつもなく長い時間が必要だったけどな。

 こいつら以前の代の奴等は、みんな失敗だった。
 四代目にして、ようやく調教に成功したってわけさ。

 もちろん、こいつらはただ躾という束縛によってのみ、我慢し続けているわけではない。
 我慢の果てに、どのような特典が得られるか。
 そして、それがどれだけ甘美で素晴らしいものなのかを、充分に理解している。
 厳しい忍耐の果てに、それに見合うほど素敵な褒美をいただける。
 その期待感が功を奏し、実装石にとってはほとんど実現不能とも言える「飢餓への忍耐力」が生まれる。
 つか、わざわざそういう認識を、俺が刷り込んだわけ。

『そうか。じゃあ、早速ご飯にしような。今、準備してやるからな。少し待ってろよ』

「デスー♪」
「「「テチー♪」」」
「レフー♪」

 オレは、ルミ一家の笑顔に微笑みを返すと、三重にして口を閉じたコンビニ袋を取り出す。
 袋の中では、あるものがジタバタと暴れている。
 オレは、袋に向かってニ・三発パンチをかます。

 バキッ、グキッ!
「!! …! …!!」

 今回のヤツは、なかなかしぶとい。
 まあ、それはしょうがないな、活きの良いのを選んできたんだし。
 身体もデカいから、さぞや食い応えもあるだろう。
 オレは、コンビニ袋にさらに数発パンチをかまし、中のヤツを弱らせると、それをそのまま風呂場に運ぶ。
 袋の口を開き、その中に、水道から直接水を流し込む。
 もちろん、蛇口は一杯に開いて。
 糞の嫌な臭いが鼻を突く。

「デジャアァッッ!! ゴボコボコボ……ゲボッ、ゲジャッ、デシャァッ!!!」

『静かにしろよ、近所迷惑だろ』


 袋の中に詰められていたのは、公園でさらってきた野良の成体実装だ。
 大量の水にむせ返り、苦しみながら、必死で水面から顔を出そうとあがく。
 そりゃ、苦しいだろうなあ、水はダイレクトに、顔に叩きつけられているから、ろくに呼吸もできないだろうし。
 おまけに、袋の中は水だけじゃなくて、さっき拉致った時に噴出した糞や、殴られた時の血や体液が溶け
出して、地獄の溶液となっているのだから。
 もっとも、このまま水を出し続けていれば、どんどん澄んでくるけどね。
 オレは、袋の持ち手を掴み、野良実装の顔に直接水流が当たるように動かす。
 服と髪を毟り取られている、哀れな野良実装は、懇願するような目でオレを見つめる。
 だが、膨大な水流に翻弄され、何も訴えることができない。
 オレは無言で、この哀れな野良実装を見つめながら、水流による洗浄を強引に続けた。

 やがて、抵抗力をなくした成体実装は、ぐったりとして袋の中に沈む。
 おっと、そろそろ限界だ。
 死なすわけにはいかないんだよね。
 オレは水を止め、袋から野良実装を救い出すと、腹を押さえて強引に水を吐き出させる。
 もっとも、水だけでなく体内に残った糞まで飛び出してくるが。


 しばらくして、意識を取り戻した野良実装に、リンガルで呼びかける。

『よう、エサ』

「デ……デデ?」

『お前は、これからオレの飼ってる実装石のエサになる』

「デ…デ?! え、エサデスか?! エサ、ご飯! よこすデス! 腹減ったデス!」

『えーと、お前がエサなんだけど』

「デスーデスー!! グダグダ言わずにとっととエサを持ってくるデスクソニンゲン!! 今日はステーキと金平糖が
 食べたいデス! ワタシの鍛え抜かれたグルメの舌をとろかす、最高級の近江牛のサーロインを要求するデス!
 さっさと腰を上げるですこの役立たず!」

 「エサ」という単語に無条件で反応してしまって、こちらの言葉の意味をまったく理解していないようだ。
 おかしいな、結構賢そうなのを選んで拉致ってきたつもりだったが。
 所詮、躾の成されていない野良などこの程度か。
 まあいっか、どっちにしろ、まともに会話する気など毛頭ないしな。
 オレは、まだ身体に活力の戻りきらない野良実装を鷲掴みにすると、ルミ達の居る部屋に戻った。

「エサ、エサデスー♪ 熱々の霜降りステーキがワタシを待っているデスー♪ ちょっと乱暴な扱いだったけど、
これでワタシも念願の飼い実装になれるデスー♪」
 
 さっきまで死に掛けていたのに、なんだろねこの変わり身の早さは。
 オレは部屋に戻ると、じっと待ち続けていたルミ達の前に、禿裸の野良実装を晒す。
 ルミ達は、ヨダレをダラダラと垂らしながら、今夜のごちそうをじっと見つめている。
 状況をまったく理解していない野良実装は、自分を見つめる五匹の異様に鋭い視線に気付き、強い危機感
を覚えたようだ。
 突然、ジタバタと暴れだす。

「こ、こいつらは何デスか! もう飼い実装がいやがるデスか! 生意気デス、悔しいデス! こらお前等、
そこは高貴なるワタシの居城になるデス!! とっととそこから出やがれデス! 野良に戻るデス!! さもないと
ワタシが食っちまうデス!!」

 野良実装のわけのわからない叫びには耳も貸さず、オレは、野良実装の左腕を掴み、思い切り背中側に
捻った。
 グキッ、という、鈍い感触と音が聞こえる。

「デ………デシャアァァッッッッッ!!! う、腕があっ!! ワタシの腕があっ!!!」

『ほいもういっちょ』

 グキィッ!

 今度は右腕。
「ジャアァァッッッッ!!! イタイデス、イタイデスぅっっ!!! 腕が変な方向に曲がったデスぅ!!! クソニンゲン、
何しやがるデスぅっ!!」

『あとはお前等が好きにしろ。でも、もうちょっとだけ待てよ。今、リミとロミの食事も用意する』

「デスー♪」

 水槽の中からは、ルミの嬉しそうな声が聞こえる。
 オレは、もう一つの空の水槽の中に野良実装を落とすと、あらかじめ用意しておいたタバスコのキャップを
取り、それを左目に注ぐ。

「ギャァァァッッッッ!!!!」

 うおお、相当しみるんだろうな、コレ。
 両目を赤く染めて、強制妊娠。
 みるみるうちに野良実装の腹が膨らんでいく。
 いつ見ても、このシステムは不思議でならない。
 固く丸めた新聞紙を口の中に押し込み、怒涛の悲鳴を押さえ込んだところで、野良の総排泄口から小さな
実装石が、ポロポロと飛び出してくる。
「レフー♪」
「テッテレー♪」「テッテレー♪」「テッテレー♪」
 おっ、ほとんどが蛆実装だ。
 こりゃ好都合。
 オレは、出産を確認すると、ようやくルミ達を手に乗せ、野良実装の水槽へと運ぶ。
 ショータイムって奴だ。

『待たせたな、さあ、たっぷり食ってくれ』

「これはご馳走デス! ありがたくいただきますデス!」
「「「テチー♪ ご主人様ありがとうテチ!!」」」
「レフー♪」

 そう言うが早いか、ルミは、猛烈な勢いで野良実装の足にかぶりつき、恐ろしい力で一気に引き千切る。
 水槽の中が、瞬時に緑と赤の体液で染まる。
「……!!! ……!!!」
 野良実装の悲鳴は、声にならない。
 ルミは、そんな事に構わず足をかじり、咀嚼する。

『じっくり、味わって食えよ』

 事態を理解できず、野良実装の足元でピクついている蛆実装達は、次々にラミとレミの口に運ばれる。
 リミは、一匹一匹蛆実装を掴み、粘膜を舐め取ると、それをロミの口に運ぶ。
「レピャアァァァッッッ!!!」
「モグモグ…オネエチャンオイシイレフー♪」
「良かったテチ♪ こいつらの粘膜も格別においしいテチ♪」
「レヒ、レヒ、レヒ、レ………」
 哀れな蛆実装は、尻尾側をロミに、頭側をリミにかじられ、どんどん短くなっていく。
 見ると、ラミはほとんど頭からの踊り食いだ。
 もう成体に近いだけあって、食い方も豪快だ。
 母親のルミは、野良実装の足を食べ終わると、次は両腕に取り掛かる。
 達磨状態になった野良実装は、大量の涙を流しながら、ただ呆然とオレの顔を見つめていた。

『仕方ないよ。お前は、こいつらの今日のエサになるためだけに生まれてきたんだからさ』

 優しいオレは、最期に、そんな暖かい言葉をかけてやる。
 30分もしないうちに、産み落とされた九匹の蛆実装は食い尽くされ、野良実装も頭と脊髄を残し、食べられる
所はほとんど失われた。
 その頭も、食い足りないらしいラミによってガリガリかじられている。
 すごい大食漢だな、こいつらは。
 さっきまで頬をこけさせていた五匹は、すっかり満足したようで、血色の良い顔付きになっている。

『よし、食べ終わったら今度は風呂だな。しっかり洗ってやるぞ』

「デスー♪ 食事の後の風呂は最高デス!」
「「「テチテチー♪ みんなでお風呂テチー」」」
「レフレフレフー♪」

 さっきまで飢餓感に支配されていたくせに…まあ、多分もうそんな事忘れているのだろうが。
 オレは、五匹を風呂場に運ぶと、お風呂の用意を始めた。


 こいつらは、生まれた直後から今まで、ずっと他の実装石の肉だけを与えられて生きてきた。
 それ以外の食料は、まったく口に入れさせない。
 しかし、どんなに飢えても家族にだけは手を出さないように、苦労して仕込んだ。
 以前躾に失敗した奴等は、この境界を守れなかったのだ。
 身内には絶対に手を出さず、あくまで血縁のない実装石だけを食べる。
 こんな異色の性質にするのには、本当に苦労させられた。


 この様子なら、そろそろ、例の計画が実行できるかもしれない。
 オレが長年抱えている、最大の疑問の答えが解る時が来る…。
 こいつらは、そのためだけに、オレに育てられてきた。

 オレは、わざわざとしあきの飼い実装達と同じ名前を付けた、可愛いペット共に微笑む。

 オレはひろあき。
 愛護派を装う虐待派。
 だが、自分の飼う実装石を甚振るような、単純で解りやすいタイプじゃない。

 オレは本当は、飼い実装専門の虐待派なのだ。





□□□

 
 ある日、ひろあきから久しぶりに連絡が入った。
 携帯には、「久しぶりに、お前んトコの実装石拝ませろよ!」と書かれている。

 まったく、あいつも本当に好きなんだな、実装石。

 前に遊びに来た時なんか、ラミやレミとたっぷり遊んでいったっけな。
 あんなに可愛がるなら、あいつも実装石飼えばいいのに、といつも思う。
 俺は、週末が空いている事を頭の中で確認すると、すぐに返信を送った。


「お客様デスか?」

『そうなんだ。土曜日にひろあきが来るんだよ。ホラ、前にも何度か来ただろ?』

「ひょっとして、ワタチ達と一杯遊んでくれたニンゲンさんテチ?」

『そうそう。またお前達と遊びたいってさ』

「レフー♪」
「テチテチー♪ ヤッター、楽しみテチー♪」
「お客様嬉しいデス。みんなでいい子にしてお迎えするデス」

 ルミとラミ、レミ、ロミは、とても嬉しそうに反応する。
 だが、なぜかリミだけはうかない顔だ。

『どうしたんだ、リミ?』

「あの人、よく覚えているテチ。ちょっとニガテテチ」

『なんで? お前の事だって、あんなに可愛がっていたじゃないか』

「そうテチけど…なんとなく、怖いテチ」
「なんでデスか、リミ?」
「目が怖いテチ。あの人、きっと本当はとっても怖い人テチ。ワタチにはわかるテチ!」

 そこまで言った瞬間、ルミのビンタがリミに炸裂した。
「テチィッ?! い、イタイテチ、ママ?!」
「ニンゲンさんに対して、なんて失礼な事を言うデス! しかも、ご主人様の大事なお友達に対して!
 いつからそんな口の悪い子になったデスか!!」
 物凄い剣幕で、リミを叱る。
 あまりに突然の事だったので、リミも反省するより先に、怯えてしまったようだ。
 全身を震わせ、今にも泣きそうになっている。
 だが、ルミだけじゃなく、他の姉妹もリミに対して怒っているようだ。
「オネエチャン! あのニンゲンさんはとっても優しいレフ!! ロミタンにも一杯お菓子食べさせてくれたレフ!」
「リミオネエチャンは、恥ずかしがり屋さん過ぎテチ!」
「あのニンゲンさんは、ご主人様の次に優しくていい人テチ! 悪い人なんていうとバチが当たるテチ!!」
 俺が注意するより先に、家族が全員で戒める。
 この結束力と、間違いは徹底的に正すという姿勢が、これまで長く続いてきたこいつらの血族の秘訣だ。
 かなり厳しいやり方だが、ルミも姉妹も、決してリミを攻撃しているわけではない。
 間違った認識を持ち続けていると、いつか人間との関係がこじれる原因を生み出し、大変な事に
なりかねないという事を、本能で知っているのだ。

 この一族は、一度もマラ実装との交配を行っていない。
 すべて花粉による受胎で生まれている。
 つまり、他の遺伝子が入っていない、純粋な血族なのだ。
 他の遺伝子がないという事は、これは初代実装石の遺伝子を延々とコピーし続けてきたものだ。
 つまり彼女達には、過去先祖達が躾けられてきたノウハウの全てが、生まれながらに刻み込まれている
事になる。

 これが、「どこに出しても恥ずかしくない」と言わしめる、最大の理由だ。

 どんな高級な躾済み実装石でも、彼女達が積み重ねてきた歴史には、到底及ばない。
 その証明が、今リミに行っている教育なのだ。
 俺は、何も口を挟まずに、一家のやりとりを見つめ続けた。

「わかりましたかリミ? ニンゲンさんは、ワタシ達を大切に育てて、守ってくださる、とてもありがたい存在
なのデス。そんな人達に、悪い事を言ってはいけないデス」
「テチ…でも…」
「もう! オネエチャンはいつからそんなわからず屋さんになったテチ?!」
「リミ、お客様が来ればすぐわかるテチ。お前の勘違いだったってわかる筈テチ」
「ラミオネエチャンの言う通りレフ! みんなで仲良く遊ぶレフー♪」

『そうだよリミ。あいつも、リミがとても可愛いって言ってくれたんだからね』

「…わかりましたテチ。ごめんなさいテチ。リミ、あのニンゲンさんを誤解していたテチ」
「わかればいいのデス。さあ、お食事の時間デスよ。みんな、おトイレは大丈夫デス?」
「アーッ、ママー、ウンチ出るレフー」
「ワタチもテチー」
「あらあらまあまあ。じゃあ、ロミからおトイレするデス。レミは、お姉ちゃんだからちょっとだけ待ってるデスよ」
「ハーイテチ」

『だったら、予備のトイレで俺が手伝ってやるよ。おいでレミ』

「ハーイ、ご主人様ー♪」

 伸ばした手に、思い切り飛び込んで甘えてくる。
 なんて可愛らしいんだ、みんな。
 俺は、やっぱり幸せだ。
 ひろあきも、こんな素敵な一家を見たくて、わざわざうちに遊びに来る。
 ホント、あいつも飼えばいいのに。
 そしたら、いくらでもアドバイスしてやるんだけどなあ。





■■■


 約束の日になった。
 オレは、としあきの家に行く前に、リミだけを水槽から取り出した。

「デス? ご主人様、リミをどうするデス?」

『ちょっと用事があってね、今日一日こいつを借りるよ。夜には戻すから』

「デス?! リミだけ特別な事するデス?! 羨ましいデス!!」
「テチーテチー!! リミー」
「オネーチャーン」

『おいおい、俺が一人だけ特別扱いする筈ないだろう?』

 一応諌めておくが、四匹は納得していないらしい。
 うーん、なんつーか、こいつらも今ひとつ躾が充分じゃないっぽいな。

「ご主人様、リミをどうするテチ?」

『心配ないよ、変な事をするわけじゃない。オレが、お前に酷いことするわけないだろ♪』

 そう言いながら、コロコロと顎を撫でてやる。
 リミが大好きな…そして、としあきのリミも大好きな行為だ。


 おっと、そろそろややこしくなってくるので、こちらの一家の名前の前には「偽」と付けようか。


 そう、元々こいつらは、としあきの飼っている実装石のニセモノになるため教育されてきたのだから。

 というわけで。
 偽リミは、すぐに上機嫌になって、オレの手にスリスリしている。
 いまだ不満タラタラの他の一家には、あらかじめ用意しておいたものを与える。
 ちょっとした口封じだ。

「これは何デスか?」

 偽ルミは、目の前に山と詰まれた不思議な形状の物体に見入る。

『これが金平糖。お前達実装石の大好物だよ』

「デデッ?! こ、これが金平糖?!」
「いっぱいあるテチー!」
「レフレフ、これ食べてもいいんレフか? ご主人様ー」

『もちろん、これからオレとリミがやる事には、お前達にも協力してもらう必要があるからな。これは報酬の
前払いだ』

「デスー♪」
「「テチー♪」」
「レフー♪」

 初めて味わう「甘味」の素晴らしさに、四匹は身もだえして喜ぶ。
 実装石の肉しか食った事のない奴等が金平糖に難色を示さないか心配したが、どうやら大丈夫だったようだ。
 どうやらこれで、こいつらの頭の中から、リミが連れ去られる危機感は消滅したようだ。

 所詮は実装石、なんて扱いやすいものか。

 オレは、うらやましげに家族を見つめる偽リミの口にも金平糖を放り込んでやる。
 偽リミに強く言い聞かせ、胸ポケットの中で静かに待機するように命じると、オレは車に乗り込み、としあきの
家を目指して出発した。





□□□


 ひろあきが、やって来た。
 あいつ、沢山のお土産を抱えてきやがった。
 まったく、なんて実装好きだろう。
 なんと、俺の好きな銘柄の酒まで持ってきてくれた。
 さすが幼馴染み、よくわかってくれる。

 実装石用のおもちゃから珍しいお菓子、それにうちで使ってるのと同じ銘柄の実装フードまでわざわざ
買い足してくれた。
 ちょうど買出しに行こうと思っていたところだったから、すごく助かる。
 俺は、ルミ達一家と一緒に出迎え、リビングに案内すると、早速実装談義に入る。
 大きなリビングテーブルの上には、今日だけ特別に上がる事を許されたルミとその子供達が居る。
 とても珍しそうに、そして嬉しそうに、ひろあきを見つめている。
 ひろあきは、一匹ずつ手に取り、俺からリンガルを借りて丁寧に挨拶すると、優しく頭を撫でてやっている。
 ルミも子供達も、とても満足しているようだ。
 最初は警戒していたリミも、手の上のご挨拶を経たら、緊張が解けたようで、ようやく笑顔を浮かべるように
なった。

 良かった、一安心だ。
 俺は紅茶とクッキーを勧めながら、いつ実装石を飼うんだ? と、少しからかい気味に繰り出してみる。
 ひろあきは少し困った顔をして、「そりゃ、できるものならとっくに飼ってるよ」と返してきた。
 こいつも、どうやら色々複雑な事情があるようだ。
 なら、せめて気軽に遊びに来て、ルミ達と触れ合ってやってほしいな。
 


■■■


 ここの家での、実装石の飼い方は、以前からよく知っている。
 つーか、このときのために、僅かな情報も見逃さず頭に叩き込んである。

 俺は、ある程度皆とおしゃべりを楽しんだ後、トイレと称して席を立つ。
 そして、以前見た水槽のある部屋に駆けつける。
 あった。
 水槽を確認し、胸ポケットの中で眠っている偽リミを起こす。
 そして、偽リミを水槽の中にそっと下ろした。

「ここはどこテチ?」

『リミ、よく聞くんだ。ここは、新しいおうちだ』

「テチッ?!」

『大丈夫、すぐにママやお姉ちゃん達が帰ってくるからね。それまで、大人しくじっとしているんだよ』

「テチ…寂しいテチ」

『お前は強い子だから、我慢できる筈だろう。じゃあ、みんなが戻るまで我慢するんだよ』

「はいテチ、ご主人様」

 我慢という言葉は、こいつらにとって特別な意味を持つ。
 それが出来なかった姉妹が、目の前でバラバラにされる所を、こいつらは何度も見ている。
 我慢しろという命令は、こいつらにとって命がけで守らなければならない絶対の盟約だ。
 振り返ると、偽リミは水槽の中央にちょこんと座り、微動だにせずじっとしている。
 さすがだ、苦労して躾けただけのことはある。
 オレは、自分の躾が巧く行っていた事を実感し、心の底から喜んだ。


 だが、リミよ。
 今日限りで、オレとお前は永遠にお別れだ。


 今日から、お前のご主人様は変わる。

 いや、「 替 わ る 」と言った方がいいかな。


 本当のリミとは微妙に異なる躾を受けて成長して来たお前は、この家で無事に生き続ける事が出来るかな?

 自分の家族以外の実装石は、すべてエサだと教え続けられたお前は、としあきの家のルミ一家の中に
溶け込めるかな?
 ニセモノとはいえ、お前も「リミ」として育てられた。
 だからリミであることには、変わりない。
 さて…せいぜいがんばってもらいましょっか。

 オレは、としあきの待つリビングへと戻った。




□□□


「今日はありがとう。楽しかったよ。また是非遊びに来させてくれ」
「ああ、こちろこそ、いつでも遊びに来てくれ。色々ありがとうな」
「とんでもない! じゃあ、またな。今度はまた別な酒でも持ってくるよ」
「あいよ、でもその時は車で来るなよ?!」
「あ、そうだな! じゃあ、また!!」

 ひろあきが帰っていく。
 皆で夕食を摂り、たっぷりおしゃべりをして、遊んで…
 とても充実した一日だった。
 途中、リミがおねむになってしまったが、ひろあきはわざわざリミを水槽まで運んでくれた。
 あの二人、いつのまにか、すっかり打ち解けてしまったようだ。
 まさか、ひろあきの手の中で眠るほどになるとは思わなかった。
 前回と違って、一番仲良くしてたもんな。

 さて、水槽のリミはそろそろ目を覚ましているかな?
 俺は、ルミ達を連れて、水槽のある寝室へと急いだ。




■■■


 大成功だ!
 オレは、小躍りしそうな身体を必死で押さえ、帰路を急いでいた。

 今、オレが持っている小型のケースの中には、睡眠薬で眠らされている本物のリミが居る。
 あいつらの目を盗んで仕込み針を刺すのは、少し骨の折れる仕事だったが、まあいい、結果オーライだ。
 これで、オレの偽リミと、としあきの本物リミは入れ替わった。
 前回来た時、リミに目を付け、少しだけ怖がらせておいたのがうまくいった。
 としあきは、リミがオレを警戒しているのを申し訳なさそうに話していた。

 そこに、隙が生まれた。

 オレはリミに打ち解けてもらおうと、今回はスキンシップを入念に行った。
 だからこそ、摩り替えるタイミングも作り出す事が出来た。
 ここに居るリミは、ルミという母親実装に躾けられた経験を持つ、純粋な飼い実装。
 だが入れ替わった偽リミも、同じ名前の母親を持ち特殊な躾を受けた、これまた純粋な飼い実装。

 しかし、偽リミはあいつらとは血縁のない、赤の他人なのだ。


 としあきが自慢する実装石親子は、偽リミの正体に気付き、異分子を排除する事が出来るか?
 それとも、無理矢理自分達の中に組み込んでしまえるか?

 偽リミは、実装石の肉を食べ続けて育った存在だ。

 偽リミが、本物ルミ一家を「自分達と違うもの」と認識して襲い掛かるより先に、奴等はリミを取り込めるか?


 オレが長年知りたかったのは、これだった。

 長い歴史を持つ純潔の飼い実装一族の中に、違う者が入り込んだ時の反応。

 しかし、代々飼い実装として育ってきた奴等には、「自分達と違う者を敵として認知する」能力がなく、
また「それを排除しよう」とする発想すらもないらしい。
 平和と安息、幸福が約束された環境に居れば居るほど、その傾向は強くなる。
 まして、今回入り込んだ者は、決してなりすましじゃない。
 ちょっと育成環境が異なるが、リミという名前を授かって生きてきた、正真正銘の本物だ。
 本物だけど偽物、ニセモノだけどホンモノ。

 さあ、としあきの飼い実装達は、偽リミにどう反応する?
 
 オレの仮説が正しければ、今回のすり替えは、きっと面白い結果を呼ぶ筈だ。

 言うまでもないが、としあき個人には、何の恨みもない。
 だが、あいつ自慢の実装石はオレにとって、長年のつき合いを秤にかけるだけの価値のある、これ以上
ないほど魅力的なオモチャでもあるのだ。 

 すまないな、としあき。
 最悪の場合、お前の自慢の実装石達は、取り返しのつかない事になるが、まあ許して欲しい。
 どっちにしろ、お前にはいい経験になる筈だ。
 今後の実装石育成の参考にもなるだろうしな。
 今回持っていった酒は、詫びの前払いってことにしといてくれや。


 出来ることなら、隠しカメラとマイクも仕掛けてきたかったが、これは仕方ない。
 こちらの本物リミが、我が家の偽ルミ一家の中でどこまで生き延びられるかを観察したいという願望もある。

 さあ、楽しくなってきた!




□□□


 なんだか、リミの様子がおかしい。
 ただ無言で、じっと水槽の中で座り込んでいる。
 俺が話しかけても、ルミ達が話しかけても、はっきりと反応しない。
 まるで、何かをじっと待っているようだ。

「リミ、どうしたデス? 具合でも悪いデスか?」
「…おばちゃん、誰テチ?」
「デ?」
「ワタチは、ご主人様がお戻りになるのを待っているテチ」

『おーい、俺ならここに居るよ。どうしたんだい、リミ?』

 水槽の上から覗き込み、声を掛けてみる。
 だがリミは、首を傾げて不安そうな表情を浮かべる。

「見た事のないニンゲンさんが居るテチ。怖いテチ。ママ、どこに居るんテチ?」
「ママならここに居るデスよ、リミ。どうしたんデスか?」
 そういって、リミを抱き寄せ、膝の上に乗せる。
 ルミの、いつものあやし方だ。
 だが、リミは身体を揺すってそれを嫌がっている。
「イヤイヤ!! ママの抱っこがいいテチ! おばちゃんなんか知らないテチ!」
「ど、どうしたんデスか、本当に?!」
「オネエチャン、どうしたレフ?」
「ママ、リミはきっとお腹が空いてダダこねているテチ。リミはまだご飯食べてないテチ。ご飯を食べたらきっと
機嫌が直るテチ」

『あ、そうか』

 そういえば、リミがおねむになったのは、皆で食事をする前だった。
 さすがは長女ラミ、いいところに気付く。
 次女のくせに、まだまだ甘えん坊のリミの事だ、それは充分に考えられる。

『待ってろ、今すぐ用意する』

「申し訳ありませんデス、ご主人様」
 水槽の中で、ルミがぺこぺこと頭を下げている。
 俺は、いつも使っている餌用の皿に、実装フードを盛り、すぐに戻ってきた。

『さあ、リミ。一杯お食べ』

「…?」
 皿の前に導かれたリミは、実装フードを不思議そうに見つめている。
 手で突いたり、両手で掴んで振ったりしている。
 なかなか口に運ぼうとしない。
 見かねたルミが、リミに話しかける。
「リミ、食べ物で遊んだらいけませんデス。さあ、早く食べなさいデス」

「これ…食べ物テチ?」

 リミは、キョトンとした顔でルミを見返している。
 なんだろう、何かがおかしい。
 でも、リミ自身には、特に変わったところはみられない。

「そうデス。リミの大好きな実装フードかつお味デス」
「ワタチ、こんな物食べた事ないテチ。ちゃんとしたご飯が食べたいテチ」
「何を言うデス! これは私たちがいつも食べているご飯じゃないデスか!」
「違う違うテチ! こんなのご飯じゃないテチ! ご飯は、まだ生きてる奴じゃないとダメテチ!」
「な、何を言ってるデス?!」

 リミは実装フードを放り出し、辺りをキョロキョロと見回している。
 ふと、ロミに目が止まる。
 リミは、ロミのところにヨチヨチと近寄ると、ロミを優しく抱き上げた。
「あらあら、仲良しのロミと遊ぶデスか?」
「オネエチャーン♪ レフーレフー」
 抱き抱えられたロミは、とても嬉しそうだ。
 リミは、末妹のロミとウマが合うらしく、いつも専属で面倒を見ている。
 ロミはうっとりして、リミに頬を擦り付けている。
「オネーチャーン♪」

「なれなれしくするなテチ。お前なんか、ワタチの妹じゃないテチ!」

 ガリッ!

「レピャアァッッ!!!」

 次の瞬間、俺達は……今まで見た事もないような、信じられない事態を目にした。






■■■



「ここはどこテチ? あなた達はどちら様テチ?」

 本物リミが、水槽の中で怯えている。
 やっと戻ってきた娘の不可思議な態度に、偽ルミ達は、不思議そうな顔をしている。
「お前、リミデスか?」
「なんか違うような気がするテチ」
「ワタチも激しい違和感が迸るテチ」
「リミオネエチャン、こんな人だったレフ?」

 いかん、どうやら早速気付いたようだ。
 これでは面白くない。
 オレは、偽ルミ一家にフォローを入れた。

『匂いや雰囲気が違うだろ? これはな、さっきリミはオレと別な家にお出かけしたからなんだ。そうすると、
色々変わったような気がするけど、気のせいだからな』

「ご主人様が言うからには、本当デス。でも…随分変わったデス」
「本当テチ。なんか、前より幼くなった気がするテチ」

「ひ、ヒィィ…おうちに帰りたいテチ。ママぁ…」
 完全に怯えきっているリミは、水槽の端で身体を縮め、ブルブル震えている。
 そりゃま、生まれて初めて自分達以外の実装石に逢うんだから、当然だろうな。
 まして、こんな極端な箱入り娘なら尚更だ。

「ここはあなたのおうちデスよ。さあリミ、こっちに来なさいデス。もうすぐご主人様が、ご飯をくださるデス」
 そう言いながら、多少乱暴に、偽ルミがリミの手を引く。
 こんなにがさつに扱われた事のないリミは、すぐに悲鳴を上げた。
「イタイテチ! お願いオバサマ、リミを許してくださいテチぃっ!!」
「実の母親に向かって、何を言い出すデスこの仔は!」
 無理矢理引き寄せて、軽くビンタをかます。
 こちらの偽ルミは、ちょっとハードな躾が特徴だ。
「キャッ!」
「ダダこねはいい加減にするデス。ほら、ロミだって笑ってるデスよ」
「レプププ、オネーチャンみっともないレフー♪」
 リミは、ぽかーんと口を開け、ロミと紹介された蛆実装を見た。
 あーあ、驚いてるよ。
 そりゃまあ、自分の妹とは似ても似つかない蛆実装を、妹と同じ名前で紹介されりゃあ、誰でもこうなるか。

 さて、こちらもぼうっとしてはいられない。
 こいつらが本物リミの正体に気付いて、共食いし始めるより先に、今夜の夕食を用意してやらないと。
 今日のメニューは、としあきの家からの帰り際に捕獲してきた、多分元飼い実装だったと思われる仔実装4匹。
 可哀想に、捨てられたんだろうな。
 母親とはぐれて泣いているところを、捕らえてきた。
 保護して食事を用意すると言ったら、何の疑問も持たずに寄って来た。
 まー、用意する食事は君達のものではないんだけどね。
 つか、君達が用意される食事そのものなんだ。
 すでに服をむしり、髪をすべて抜き、低圧ドドンパで糞抜きも済ませた。
 これを、水槽の中にそっと離してやる。
 テェェェン、テェェェンと泣きながら、水槽の中をヨチヨチと走り回る仔実装。
 偽ルミ達の目が、ギラリと輝いた。

『おい、ルミ』

「はい、ご主人様」

『リミにも、ちゃんと食べさせてやれよ』

「もちろんデス。ありがたくいただきますデス」
  
 肝心のリミは、目の前で突然起こった事態が、まったく飲み込めていないようだ。
 裸で禿頭にされた、自分と同じくらいの体格の仔実装が、助けを求めながら走りよってくる。
 なんなんだろう、彼女達は? とでもいいたげな表情だ。
 それを、見知らぬ三人の実装石が追い、捕まえる。
 あっというまに捕らえ、腕をねじり取り、足を引き千切り、辺りを鮮血に染める。
 耳をつんざく、断末魔の悲鳴。
 実装石が、実装石を殺し、食らっている。

 さーて、この地獄絵図、温室育ちのリミには、どんな風に映るかな?
 凄惨な光景を、じっくりと目に焼き付けてくれ。

 すでにリミの偽石は眠っている間に取り出され、固定剤でガッチリ固められた上に栄養剤漬け。
 どんなに衝撃的な場面に遭遇しても、死にはしない。
 パンコンしても、顔を涙でぐしょぐしょにしても、逃げ場は一切ありはしない。

 四匹の仔実装のうち、三匹は、ものの数分もしないうちに殺され、偽一家の腹の中に収まった。
 随分腹が減っていたようだ。
 そりゃまあ、今日はうっかり朝の食事も与え忘れていたからなあ。
 骨や脊髄にこびりついた僅かな肉片を、偽ロミがレフレフ言いながらついばむ。
 実に和やかな風景だ。
 生き残った仔実装は、リミの脇で水槽の壁に頭を付け、ガタガタ震えている。
 こいつらも、リミ同様偽石を取り出されているため、恐怖で死ぬことは許されない。
 背後から偽ルミが近寄り、仔実装を頭を鷲掴みにして、持ち上げる。

「テチィィィッ!! テチィィィッッ!! ユルシテクダサイテチ!! コロサナイデテチ!! イイコニシマスカラタスケテテチ!!」
 必死で命乞いをする仔実装をちらりと見ると、偽ルミは、徐に床に叩き付ける。
「デ…ヂィィッッ!!」
 ぐしゃっ、ぐしゃっ!
 何度か叩き付けて、叫び声も上げられなくなったところで、偽ルミは仔実装をリミに向かって放り投げた。
 水槽の壁に激突して、仔実装の身体が、ずるずると滑り落ちる。
 それを見て、リミはさらに激しくパンコンした。

「早く食べなさいデス、リミ」
「———テ…た、食べ……?」
「仔実装くらい、自分で捕まえて食べられるようになるデス。妹のレミですら出来る事デスよ」
「レ、レミ? そ、そんな事できるわけがないテチ。あ、あの子は…」
「お姉ちゃん食べないなら、ワタチ食べちゃうテチよ!」
 いつのまにか偽ルミの脇に立った偽レミが、ヨダレをたらしながら弱っていく仔実装を見つめる。
「ダメですレミ。今リミに食べさせないと、明日が辛いことになるです。お前はリミの食べ残しを分けてやる
 から、我慢して待つデス」
「テチィ…」
 偽レミを引き下がらせると、偽ルミはため息をついて、仔実装の背中の肉を掴み上げた。
 贅肉のように掴み上げられる皮膚は、偽ルミの力でみるみるうちに引き裂かれ、削がれていく。
「デジャアァァッッッッ!!!」
 悲痛な、それでいて甘美な悲鳴が轟く。
 リミは、気を失いそうになりながらも、必死で地獄の惨劇に耐えているようだ。
 いいよいいよ〜♪ リミ、お前は最高♪

 内心ワクワクしながら見ていると、偽ルミは、引き千切った肉をリミの口に運んでやった。
「ほら、世話を焼かせないで欲しいデス。食べなさいデス」
「…ウゲェッ!! ゲロゲロゲロ〜っ!!」
「! せっかくのご飯に、なんてことをするデス!」
 偽ルミの、愛のビンタがリミに炸裂する。
 ああ、でもまずいよそれは。
 吹っ飛んだ先には、背中の肉を剥ぎ取られた、瀕死の仔実装がいる。
 よりによって、倒れ込んだリミの眼前には、その仔実装の顔があった。
 死にたくても死ねず、姉妹を目の前で惨殺され、本人も痛めつけられて絶望のどん底に突き落とされた、
元飼い実装の子供。
 その表情のせつなさは、さぞ凄まじいものだろう。
 この角度からだとよく見えないが、リミが金縛りに遭っているところをみると、相当なものらしい。

「罰として、お前は夕飯抜きデス! 今夜は一人で反省しなさいデス!!」
 そう言うと、偽ルミは仔実装の背に馬乗りになり、次々に背中の肉をはぎ取り始める。
「デギャ…! ギュボ……!! ゴボボッ……!!! グフッ…」
 背中どころか内臓まで引き出され、仔実装は、口から異常な量の血液を吐き出した。
 それが、リミの顔を塗らす。
 恐らく、仔実装の目は、最期の瞬間までリミを見つめ続けているだろう。
 どうして助けてくれないの、どうしてこんな目に遭わないといけないの…といった、悲痛な視線で。
 仔実装のリミには、相当強い刺激だろうな♪ …と思ってたら、どうやら、とっくに気絶しているようだ。
 泡吹いた悶絶していやがる。
 仕方ない、こんな楽しい所で気絶などという逃げの一手は使って欲しくない物だ。
 オレは、愛用のマチ針を取り出し、リミに狙いをつけた。

『それ、ひろあきスティング!!』

 ぷすうっ!

「デシャアァァッッッ!!!」

 リミは、地獄の痛みでまたまた地獄へと引き戻された。
  
「お前達、これを食べていいデス。ママが食べやすいようにしてあげるデス!」
「ありがとう、ママ♪」
「レフー、リミオネーチャンはいくじなしレフ」
「こんなんじゃ、ご飯食べられなくなっちゃうテチ」
「蛆ちゃんばっかり食べてるからテチ」

 楽しい夕食のひとときは、まだまだ続く。
 リミは、意識を失う事も許されず、一歩も動けず、偽石自壊という究極の選択も選べぬまま、未知の領域を
強制的に歩まされている。

 愛護の中の愛護で、平穏を貪っていた者が、今度は生肉や死肉を貪る事を強要される。
 この非道徳的な、鬼畜的なシチュエーションを、なんと表現するべきだろうか。

 ああ、やっぱり、最高。
 オレ実装石大好きだわ♪


 …長かった。
 ホントに長い準備だった。
 でも、地道にやっててよかった。

 としあき。
 お前が育てた実装石、最高すぎるよ♪



 さて、としあきの家に置いてきた偽リミの守備はどうかな?
 俺は、としあき家の騒動を勝手に想像して、独り悦に入った。



(続く)

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 前回は愛護モノで突っ走ってひんしゅく買ったので、今度は虐待モノで。
 あんまり長くはしないつもりです(もう充分長いけど)。

 最後に書くのもアレですが、□□□と■■■は、それぞれ視点変化の目安の印です。

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1 Re: Name:匿名石 2023/07/15-16:30:12 No:00007524[申告]
こっちのひろあき鬼畜すぎる…
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