性悪実翠石の妃翠ちゃん ⑦ 飼いの証 ----------------------------------------------------------------------- 主人が実翠石の妃翠を伴って、庭飼いしている実装石のミドリに餌をやっている時の事だった。 いつになくミドリとその仔がデスデステチテチ鳴き喚くので、主人が眉をひそめながらもリンガルを立ち上げる。 『ご主人サマ、お願いデス!この仔にお名前と首輪を下さいデス!』 『ワタチも飼い実装のはずテチ!お名前と首輪がほしいテチ!』 名前と首輪。 どちらも飼い実装の象徴であり、飼い主との絆を示すものである。 主人はそのどちらも、ミドリの仔には与えていなかった。 「ミドリ、何を言っているんだ?お前の仔は飼い実装じゃないぞ?」 言った主人も、言われたミドリ親仔も怪訝な表情を浮かべる。 「そいつはお前が勝手に産んだ仔だろう?別に捨てたり間引いたりしろとは言わないが、俺が飼ってやる義理はないぞ」 『デ・・・?』 『テ、テチ・・・?』 訳が分からない、という表情を浮かべるミドリ親仔に、妃翠は嘲笑を浮かべながら、 左手の薬指の指輪をさりげなくミドリ親仔に見せつけ、指輪に軽く口付ける。 主人に迎え入れられたその日に贈られた、飼い実翠としての証である大切な指輪。 ミドリ親仔は激昂しかけるが、主人の前だからかギリギリのところで踏みとどまる。 妃翠はそんなミドリ親仔を横目で見やりながら、主人の腕を抱き締めた。 「ね、ご主人さま。前に首輪を付けてもらってエッチした時は、すっごくドキドキしちゃった、です♥ ご主人さまがよければ、また首輪を付けて、エッチしてください、です♥」 上目遣いで可愛らしくおねだりする妃翠の肩を、主人は優しく抱き寄せて、家の中へと戻って行く。 『ワ、ワタチ、飼いじゃないのテチ……!?飼いのママの仔なのに、飼い実装じゃないのテチ……!?』 しばしの間、仔実装の哀れっぽく甲高い泣き声と、それを慰めるミドリの鳴き声が響いていたが、 互いを求め合っている最中の主人と妃翠の耳に届くことは、終ぞなかった。
