性悪実翠石の妃翠ちゃん ① ----------------------------------------------------------------------- とある男の家では、飼い実装のミドリと飼い実翠の妃翠(ひすい)が飼われていた。 お互い内心では相手の事をよく思っていなかったが、飼い主の前では特に喧嘩するでもなく穏やかに過ごしていた。 だが、そんな穏やかな日々は、些末な出来事が原因で崩れ去る事になる。 『デププププッ♪』 飼われて1周年の記念にと飼い主に貰った胸元のリボンを、ミドリは妃翠にこれ見よがしに見せつける。 ワタシはオマエなんかよりも飼い主に愛されている、そう言いたいようだった。 悔しいだろう、と嘲笑を向けてくるミドリに、妃翠は愛らしい顔に似合わぬ酷薄な笑みを浮かべ、ミドリの耳元で囁く。 「……わたしは、ご主人さまにたくさん愛してもらって、そんなリボンなんかより、もっとずっと素敵で大切ものを、プレゼントしてもらっちゃってる、です……♥」 そう言って、自身の股間から子宮のあたりまでを撫でさすってみせる妃翠に、ミドリはたまらず激昂した。 『デギャァァァァッ!!』 激怒のあまり漏れ出た糞を妃翠に投げつけ、服と言わず髪と言わず、汚い緑色で染めてゆく。 ミドリの蛮行は、騒ぎを聞きつけ駆け付けた飼い主に、蹴りを見舞われるまで続いた。 『許してデスゥ……、お家に入れてデスゥ……、お外はさみしくてイヤデスゥ……』 家の中を糞と悪臭で汚染したミドリは、快適な家の中から叩き出され、庭での生活を命じられた。 捨てられたり殺処分されたりするよりはよほど温情のある処分だったが、当のミドリが納得しているかはまた別問題だ。 鎖で繋がれているため家の中には入れない。 飼い主と顔を合わせるのは日に二度の餌やりの時のみ。 お風呂も温かな湯ではなく、ホースで雑に水をかけられるだけ。 家の中からは時折飼い主と不愉快な肉穴人形の楽しげな声が聞こえてきて、神経を逆撫でする。 怒りと寂しさにたまらず泣き叫べば、罰として餌が抜かれた。 何より我慢ならないのは、あのダッチワイフが時たま窓から顔を覗かせ、勝ち誇った笑みを向けてくることだ。 『デギギギギギギ………!』 妃翠を呪い殺さんばかりに睨みつけるが、無論効果などありはしない。 文字通り、飼い殺されて命が尽きるまでの間、ミドリは屈辱に満ちた生涯を送る羽目になった。
